(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000324
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両用内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02F 1/30 20060101AFI20160915BHJP
F02D 35/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
F02F1/30
F02D35/00 368C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-247371(P2014-247371)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-109042(P2016-109042A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2015年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】山西 輝英
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智康
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 覚
(72)【発明者】
【氏名】永田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】藁品 拓哉
【審査官】
櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−072383(JP,A)
【文献】
特開2010−190083(JP,A)
【文献】
特開2006−250128(JP,A)
【文献】
特開2010−007645(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/080654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/30
F02D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(F)に支持される機関本体(16)の一部が、シリンダボア(25)を有するシリンダボディ(22)と、前記シリンダボア(25)に摺動自在に嵌合されるピストン(26)の頂部を臨ませる燃焼室(27)を前記シリンダボディ(22)との間に形成して前記シリンダボディ(22)に結合されるシリンダヘッド(23)とで構成され、前記シリンダヘッド(23)の側壁(28)に、複数の冷却フィン(53,54,55,56,57,58)が一体に突設されるとともに、前記燃焼室(27)から燃焼ガスを排出する排気ポート(33)を形成する排気管接続管部(34)が一体に突設され、前記排気管接続管部(34)に、前記排気ポート(33)を流通する燃焼ガスの成分を検出する排気ガスセンサ(60)が取付けられる鞍乗り型車両用内燃機関において、
前記冷却フィン(53〜58)が突設されるようにして前記シリンダヘッド(23)の側壁(28)の一部を構成しつつ前記排気管接続管部(34)を囲む冷却フィン配設壁部(28a)と、前記排気管接続管部(34)との間に空隙(63)が形成され、走行風を流通させるようにして前記シリンダヘッド(23)を貫通する導風通路(65)が、その上流端を前記空隙(63)に開口するようにして前記シリンダヘッド(23)に設けられ、前記排気ガスセンサ(60)を取付けるようにして前記排気管接続管部(34)に形成される排気ガスセンサ取付け部(61)と、前記冷却フィン配設壁部(28a)とが、前記空隙(63)を跨ぐ架橋部(64)を介して一体に連結され、前記架橋部(64)の前記走行風に対向する面の幅(W1)が、前記排気ガスセンサ取付け部(61)よりも幅広で、且つ、該架橋部(64)の両側を前記走行風が流通するように前記空隙(63)の幅(W3)よりも小さく設定されることを特徴とする鞍乗り型車両用内燃機関。
【請求項2】
前記架橋部(64)が、前記走行風に対向する面の幅(W1)を前記走行風流通方向に沿う面の幅(W2)よりも大きくして上下方向に延びるようにしつつ、前記排気管接続管部(34)および前記冷却フィン配設壁部(28a)間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両用内燃機関。
【請求項3】
前記排気管接続管部(34)が、前記排気ポート(33)を形成する筒状部(34a)と、前記排気ガスセンサ取付け部(61)の一部を形成するようにして前記筒状部(34a)から側方に突出する突出部(34b)とを一体に有するように形成され、前記架橋部(64)がその一端部(64a)を前記突出部(34b)の突出端部に合わせるように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗り型車両用内燃機関。
【請求項4】
前記冷却フィン配設壁部(28a)に、前記架橋部(64)の延長線上で該架橋部(64)の延出方向に沿って延びる冷却フィン(56,57)が突設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両用内燃機関。
【請求項5】
前記排気管接続管部(34)に、水平面(HP)に対して斜めに交差する方向に配置されて前記排気ポート(33)を両側から挟む一対のボス部(34c,34d)が排気管(36)を接続するようにして一体に形成され、前記排気ガスセンサ取付け部(61)が、一対の前記ボス部(34c,34d)の配列方向とほぼ直交する方向で前記排気ガスセンサ(60)を取り付けるようにして前記排気管接続管部(34)に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両用内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームに支持される機関本体の一部が、シリンダボアを有するシリンダボディと、前記シリンダボアに摺動自在に嵌合されるピストンの頂部を臨ませる燃焼室を前記シリンダボディとの間に形成して前記シリンダボディに結合されるシリンダヘッドとで構成され、前記シリンダヘッドの側壁に、複数の冷却フィンが一体に突設されるとともに、前記燃焼室から燃焼ガスを排出する排気ポートを形成する排気管接続管部が一体に突設され、前記排気管接続管部に、前記排気ポートを流通する燃焼ガスの成分を検出する排気ガスセンサが取付けられる鞍乗り型車両用内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車に搭載される内燃機関のシリンダヘッドに、排気ポートを形成する排気管接続管部がシリンダヘッドの側壁から突出するようにして一体に設けられ、前記排気ポートを流通する燃焼ガスの成分を検出する排気ガスセンサが、前記排気管接続管部に取付けられるようにしたものが、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−223728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排気ポート内には高温の燃焼ガスが流通するので、排気管接続管部はシリンダヘッド中でも特に高温となる部位であり、このような高温となる排気管接続管部に排気ガスセンサを取り付ける場合には排気管接続管部の外壁に伝わった熱が排気ガス取付け部の周囲に滞留して排気ガスセンサに悪影響を及ぼすことを避けることが必要であるので、上記特許文献1で開示されたものでは、排気管接続管部の外面に冷却フィンを突設することで冷却性を高めるようにしている。ところが、シリンダヘッドの冷却性を高めるためにその外周壁を拡張するように設計することがあり、そのような外周壁の拡張の結果、シリンダヘッドの側壁からの排気管接続管部の突出量を相対的に小さくせざるを得ない場合がある。その場合には、排気管接続管部に冷却フィ
ンを設けることが難しく、冷却フィンに依存しないで排気センサ取付け部の熱を低減できる技術が必要とされている。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、排気管接続管部に冷却フィンを設けることなく、排気ガスセンサ取付け部の熱を低減し得るようにした鞍乗り型車両用内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体フレームに支持される機関本体の一部が、シリンダボアを有するシリンダボディと、前記シリンダボアに摺動自在に嵌合されるピストンの頂部を臨ませる燃焼室を前記シリンダボディとの間に形成して前記シリンダボディに結合されるシリンダヘッドとで構成され、前記シリンダヘッドの側壁に、複数の冷却フィンが一体に突設されるとともに、前記燃焼室から燃焼ガスを排出する排気ポートを形成する排気管接続管部が一体に突設され、前記排気管接続管部に、前記排気ポートを流通する燃焼ガスの成分を検出する排気ガスセンサが取付けられる鞍乗り型車両用内燃機関において、前記冷却フィンが突設されるようにして前記シリンダヘッドの側壁の一部を構成しつつ前記排気管接続管部を囲む冷却フィン配設壁部と、前記排気管接続管部との間に空隙が形成され、
走行風を流通させるようにして前記シリンダヘッドを貫通する導風通路が、その上流端を前記空隙に開口するようにして前記シリンダヘッドに設けられ、前記排気ガスセンサを取付けるようにして前記排気管接続管部に形成される排気ガスセンサ取付け部と、前記冷却フィン配設壁部とが、前記空隙を跨ぐ架橋部を介して一体に連結され、
前記架橋部の前記走行風に対向する面の幅が、前記排気ガスセンサ取付け部よりも幅広で、且つ、該架橋部の両側を前記走行風が流通するように前記空隙の幅よりも小さく設定されることを第1の特徴とする。
【0007】
また、本発明は、第
1の特徴の構
成に加えて、前記架橋部が、前記走行風に対向する面の幅を走行風流通方向に沿う面の幅よりも大きくして上下方向に延びるようにしつつ、前記排気管接続管部および前記冷却フィン配設壁部間に設けられることを第
2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1
または第2の特徴の構
成に加えて、前記排気管接続管部が、前記排気ポートを形成する筒状部と、前記排気ガスセンサ取付け部の一部を形成するようにして前記筒状部から側方に突出する突出部とを一体に有するように形成され、前記架橋部がその一端部を前記突出部の突出端部に合わせるように形成されることを第
3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第
3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記冷却フィン配設壁部に、前記架橋部の延長線上で該架橋部の上下延出方向に沿って延びる冷却フィンが突設されることを第
4の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第1〜第
4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記排気管接続管部に、水平面に対して斜めに交差する方向に配置されて前記排気ポートを両側から挟む一対のボス部が排気管を接続するようにして一体に形成され、前記排気ガスセンサ取付け部が、一対の前記ボス部の配列方向とほぼ直交する方向で前記排気ガスセンサを取り付けるようにして前記排気管接続管部に形成されることを第
5の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、シリンダヘッドの側壁の一部を構成して排気管接続管部を囲む冷却フィン配設壁部と、排気管接続管部に形成される排気ガスセンサ取付け部とが、冷却フィン配設壁部および排気管接続管部間に形成される空隙を跨ぐ架橋部を介して一体に連結されるので、排気ポートから排気ガスセンサ取付け部に伝わった熱が、冷却フィンが設けられる冷却フィン配設壁部に架橋部を介して伝わる
から、排気ガスセンサ取付け部の周囲の熱こもりを抑制し、排気管接続管部に冷却フィンを設けることなく、排気ガスセンサ取付け部の熱を低減することができ
る。またシリンダヘッドを貫通する導風通路の上流端が空隙に開口するので、導風通路に走行風を効果的に導くために冷却フィン配設壁部および排気管接続管部間の空隙が大きく形成されるが、架橋部によって排気ガスセンサ取付け部の周囲にこもりがちとなる熱を架橋部によって冷却フィン配設壁部側に素早く熱引きして排気ガスセンサ取付け部の周囲の熱こもりを防止することができ
る。また架橋部の走行風に対向する面の幅が排気ガスセンサ取付け部よりも幅広であるので、熱引き性と、走行風による冷却性とを合わせて、排気ガスセンサ取付け部の冷却性を高めることができ、さらに、架橋部の両側を走行風が流通することで、走行風による架橋部の冷却の左右バランスを図ることができる。
【0012】
本発明の第
2の特徴によれば、走行風に対向する面の架橋部の幅を大きくして上下に延びるように架橋部を形成したので、走行風を架橋部に当てやすくして、架橋部を伝わる熱を走行風で冷却することができ
る。
【0013】
本発明の第
3の特徴によれば、排気管接続管部が一体に有して筒状部から側方に突出する突出部の突出端に、架橋部の一端部を合わせるので、排気ガスセンサ取付け部の周辺を架橋部で補強して剛性を増大することができる。
【0014】
本発明の第
4の特徴によれば、架橋部の延長線上で該架橋部の上下延出方向に沿って延びる冷却フィンが冷却フィン配設壁部に突設されるので、架橋部による熱引き性を高めることができる。
【0015】
さらに本発明の第
5の特徴によれば、排気管を接続するための一対のボス部が、水平面に対して斜めに交差する方向に配置されて排気管接続管部に一体に形成され、それらのボス部の配列方向とほぼ直交する方向で排気ガスセンサを取り付けるようにして排気ガスセンサ取付け部が排気管接続管部に形成されるので、ボス部との干渉を回避して排気ガスセンサを排気管接続管部に取付けることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図7】
図4の7矢視方向からシリンダヘッドを見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について添付の
図1〜
図7を参照しながら説明するが、以下の説明で前後、左右および上下は自動二輪車に乗車した乗員から見た方向を言うものとする。
【0018】
先ず
図1において、この自動二輪車の車体フレームFが前端に有するヘッドパイプ11には、前輪WFを軸支するフロントフォーク12およびバー状の操向ハンドル13が操向可能に支持され、前記車体フレームFの一部を構成するダウンフレーム14が前記ヘッドパイプ11から後下がりに延びるようにして前記前輪WFの後方に配置される。また前記車体フレームFの前後方向中間部で上下に揺動可能に支持されるスイングアーム15の後部には後輪WRが軸支される。
【0019】
前記後輪WRを駆動する動力を発揮する空冷式の内燃機関Eの機関本体16が、前記ダウンフレーム14および前記後輪WR間に配置されるようにして前記車体フレームFに支持されており、前記ダウンフレーム14の下部には、前記機関本体16が有するクランクケース21の前部を支持するマウント部材17が固定される。また前記機関本体16の上方に配置される燃料タンク18が前記車体フレームFの前部に支持され、該燃料タンク18の後方に配置される乗車用シート19が前記車体フレームFの後部に支持される。
【0020】
図2および
図3を併せて参照して、前記機関本体16は、車幅方向に延びるクランクシャフト20(
図1参照)を回転自在に支持するクランクケース21と、わずかに前傾した姿勢で前記クランクケース21の前側上部に結合されて上方に立ち上がるシリンダボディ22と、該
シリンダボディ22の上部に結合されるシリンダヘッド23と、該シリンダヘッド23に上方から結合されるヘッドカバー24とを有して、単気筒に構成される。
【0021】
前記シリンダボディ22が有するシリンダボア25には、前記クランクシャフト20に連接されるピストン26が摺動自在に嵌合されており、このピストン26の頂部を臨ませる燃焼室27が、前記シリンダボディ22および前記シリンダヘッド23間に形成される。
【0022】
図4および
図5を併せて参照して、前記シリンダヘッド23の側壁28の後面には、前記燃焼室27に吸気するための吸気ポート29を形成する吸気管接続管部30が、右斜め後方に向けて突出するようにして一体に突設され、この吸気管接続管部30には、前記シリンダヘッド23から後方に延びる吸気装置31の一部を構成する吸気管32が接続される。
【0023】
前記シリンダヘッド23における前記側壁28の前面には、前記燃焼室27から燃焼ガスを排出する排気ポート33を形成する排気管接続管部34が、右斜め前方に突出するようにして一体に突設され、この排気管接続管部34には、排気装置35の一部を構成する排気管36が接続され、該排気管36は、
図1で示すように、前記機関本体16の下方を通って後方に延出される。
【0024】
図3に注目して、前記シリンダヘッド23には、前記吸気ポート29から前記燃焼室27への吸気量を制御する吸気弁39が弁ばね41で閉弁方向に付勢されつつ開閉作動可能に配設されるとともに、前記燃焼室27から前記排気ポート33への排気量を制御する排気弁40が弁ばね
42で閉弁方向に付勢されつつ開閉作動可能に配設されており、前記シリンダヘッド23および前記ヘッドカバー24間に形成される動弁室43に、前記吸気弁39および前記排気弁40を開閉駆動する動弁機構44が収容される。
【0025】
前記動弁機構44は、前記クランクシャフト20に図示しない調時伝動機構を介して連動、連結されて前記シリンダヘッド23に回転自在に支持されるカムシャフト45と、該カムシャフト45および前記吸気弁39間に介設される吸気側ロッカアーム46と、前記カムシャフト45および前記排気弁40間に介設される排気側ロッカアーム47とを備える。前記カムシャフト45は、前記クランクシャフト20と平行な軸線を有しており、このカムシャフト45と平行な軸線を有して前記シリンダヘッド23に支持される吸気側ロッカシャフト48および排気側ロッカシャフト49で前記吸気側および前記排気側ロッカアーム
46,
47が揺動可能に支持される
前記シリンダヘッド23には、前記側壁28の右面に開口する取付け孔51が設けられており、前記燃焼室27に先端部を臨ませる点火プラグ50が前記取付け孔51から前記シリンダヘッド23に取付けられる。
【0026】
ところで前記シリンダボディ22には、上下方向に間隔をあけた複数の冷却フィン52が一体に突設されており、前記シリンダヘッド23の側壁28の上下方向に間隔をあけた複数箇所にも冷却フィン53が一体に突設される。
【0027】
図7を併せて参照して、前記シリンダヘッド23の前記側壁28には、上下方向に間隔をあけた前記冷却フィン53相互を連結するようにして上下方向に延びる複数の冷却フィンが一体に突設されており、この実施の形態では、前記側壁28の右面から突出して上下に延びる一対の冷却フィン54と、前記側壁28の後面から突出して上下に延びる一対の冷却フィン(図示せず)と、前記側壁28の前面から突出して上下に延びる4つの冷却フィン55,56,57,58とが前記側壁28に一体に突設される。
【0028】
前記排気管接続管部34には、前記排気ポート33を流通する燃焼ガスの成分を検出する排気ガスセンサ60(
図2参照)が取付けられるものであり、前記排気ガスセンサ60を取付けるための排気ガスセンサ取付け部61が、前記排気管接続管部34の左側壁側に形成される。
【0029】
ところで前記冷却フィン53〜58が突設されるようにして前記シリンダヘッド23の側壁28の一部を構成する冷却フィン配設壁部28aは、前記排気管接続管部34との間に空隙63を形成するようにして該排気管接続管部34を囲むものであり、前記排気ガスセンサ取付け部61と、前記冷却フィン配設壁部28aとは、前記空隙63を跨ぐ架橋部64を介して一体に連結される。
【0030】
また前記シリンダヘッド23には、走行風を流通させるようにして該シリンダヘッド23を前後方向に貫通する導風通路65が、その上流端を前記空隙63に開口するようにして設けられ、前記走行風の一部が前記点火プラグ50の周囲を流通して前記取付け孔51側に流れるようにするために、前記導風通路65の中間部および前記取付け孔51間を結ぶ分岐通路66が前記シリンダヘッド23に設けられる。
【0031】
しかも前記架橋部64は、前記走行風に対向する面の幅W1(
図4、
図6および
図7参照)を走行風流通方向に沿う面の幅W2(
図3および
図4参照)よりも大きくして上下方向に延びるようにしつつ、前記排気管接続管部34および前記冷却フィン配設壁部28a間に設けられ、前記架橋部64の前記走行風に対向する面の前記幅W1は、前記排気ガスセンサ取付け部61よりも幅広に形成される。
【0032】
また前記架橋部64の前記走行風に対向する面の幅W1は、該架橋部64の両側を前記走行風が流通するように前記空隙63の幅W3(
図4および
図7参照)よりも小さく設定される。
【0033】
ところで前記排気管接続管部34は、前記排気ポート33を形成する筒状部34aと、前記排気ガスセンサ取付け部61の一部を形成するようにして前記筒状部34aから左側方に突出する突出部34bとを一体に有するように形成され、前記架橋部64がその一端部64aを前記突出部34bの突出端部に合わせるように形成される。
【0034】
また前記シリンダヘッド23の側壁28における前記冷却フィン配設壁部28aの前面に配設された上下に延びる冷却フィン55〜58のうち冷却フィン56,57は、前記架橋部64の延長線上で該架橋部64の延出方向に沿って延びるように配置される。
【0035】
さらに前記排気管接続管部34には、前記排気ポート33の中心を通る水平面HPに対して斜めに交差する方向に配置されて前記排気ポート33を両側から挟む一対のボス部34c,34dが、排気管36を接続するようにして一体に形成される。すなわち前記水平面HPと斜めに交差する平面PL上に軸線を配置したねじ孔70,71を有するボス部34c,34dが、前記排気管接続管部34に一体に形成されており、前記排気管36は前記ねじ孔70、71に螺合するボルト68,69で前記ボス部34c,34dに締結される。
【0036】
また前記排気ガスセンサ取
付け部61は、前記ボス部34c,34dの配列方向とほぼ直交する方向で前記排気ガスセンサ60を取り付けるようにして前記排気管接続管部34に形成される。すなわち前記排気ガスセンサ取付け部61の上部には、前記ボス部34c,34dの配列方向すなわち前記平面PLとほぼ平行な取付け座61aが平坦に形成されており、この取付け座61aと直交する方向に延びて前記排気ポート33に内端を開口させたセンサ取付け孔62が、前記排気ガスセンサ
60を取り付けるようにして前記取付け座61aに設けられる。
【0037】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、排気ポート33を形成するようにしてシリンダヘッド23の側壁28の前面に一体に突設される排気管接続管部34に、排気ポート33を流通する燃焼ガスの成分を検出する排気ガスセンサ60を取付けるようにして排気ガスセンサ取付け部61が形成されるのであるが、冷却フィン53〜58が突設されるようにして前記シリンダヘッド23の側壁28の一部を構成しつつ前記排気管接続管部34を囲む冷却フィン配設壁部28aと、前記排気管接続管部34との間に空隙63が形成され、前記排気ガスセンサ取付け部61と、前記冷却フィン配設壁部28aとが、前記空隙63を跨ぐ架橋部64を介して一体に連結されるので、排気ポート33から排気ガスセンサ取付け部61に伝わった熱が、冷却フィン53〜58が設けられる冷却フィン配設壁部28aに架橋部64を介して伝わることになり、排気ガスセンサ取付け部61の周囲の熱こもりを抑制し、排気管接続管部34に冷却フィンを設けることなく、排気ガスセンサ取付け部61の熱を低減することができる。
【0038】
また走行風を流通させるようにして前記シリンダヘッド23を貫通する導風通路65が、その上流端を前記空隙63に開口するようにして前記シリンダヘッド23に設けられるので、導風通路65に走行風を効果的に導くために冷却フィン配設壁部28aおよび排気管接続管部34間の空隙63が大きく形成されることになるが、架橋部64によって排気ガスセンサ取付け部61の周囲にこもりがちとなる熱を架橋部64によって冷却フィン配設壁部28a側に素早く熱引きして排気ガスセンサ取付け部61の周囲の熱こもりを防止することができる。
【0039】
また前記架橋部64が、前記走行風に対向する面の幅W1を走行風流通方向に沿う面の幅W2よりも大きくして上下方向に延びるようにしつつ、前記排気管接続管部34および前記冷却フィン配設壁部28a間に設けられるので、走行風を架橋部64に当てやすくして、架橋部64を伝わる熱を走行風で冷却することができる。
【0040】
また前記架橋部64の前記走行風に対向する面の幅W1が、前記排気ガスセンサ取付け部61よりも幅広に設定されるので、熱引き性と、走行風による冷却性とを合わせて、排気ガスセンサ取付け部61の冷却性を高めることができる。
【0041】
また前記架橋部64の前記走行風に対向する面の幅W1が、該架橋部64の両側を前記走行風が流通するように前記空隙63の幅よりも小さく設定されるので、架橋部64の両側を走行風が流通することで、走行風による架橋部64の冷却の左右バランスを図ることができる。
【0042】
また前記排気管接続管部34が、前記排気ポート33を形成する筒状部34aと、前記排気ガスセンサ取付け部61の一部を形成するようにして前記筒状部34aから左側方に突出する突出部34bとを一体に有するように形成され、前記架橋部64がその一端部64aを前記突出部34bの突出端部に合わせるように形成されるので、排気ガスセンサ取付け部61の周辺を架橋部64で補強して剛性を増大することができる。
【0043】
また前記冷却フィン配設壁部28aに、前記架橋部64の延長線上で該架橋部64の延出方向に沿って上下方向に延びる冷却フィン56,57が突設されるので、架橋部64による熱引き性を高めることができる。
【0044】
さらに前記排気管接続管部34に、水平面HPに対して斜めに交差する方向に配置されて前記排気ポート33を両側から挟む一対のボス部34c,34dが排気管36を接続するようにして一体に形成され、前記排気ガスセンサ取付け部61が、一対の前記ボス部34c,34dの配列方向とほぼ直交する方向で前記排気ガスセンサ60を取り付けるようにして前記排気管接続管部34に形成されるので、ボス部34c,34dとの干渉を回避して排気ガスセンサ60を排気管接続管部34に取付けることが容易である。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0046】
16・・・機関本体
22・・・シリンダボディ
23・・・シリンダヘッド
25・・・シリンダボア
26・・・ピストン
27・・・燃焼室
28・・・シリンダヘッドの側壁
28a・・・冷却フィン配設壁部
33・・・排気ポート
34・・・排気管接続管部
34a・・・筒状部
34b・・・突出部
34c,34d・・・ボス部
36・・・排気管
53,54,55,56,57,58・・・冷却フィン
60・・・排気ガスセンサ
61・・・排気ガスセンサ取付け部
63・・・空隙
64・・・架橋部
64a・・・架橋部の一端部
65・・・導風通路
F・・・車体フレーム
HP・・・水平面
W1・・・架橋部の走行風に対向する面の幅
W2・・・架橋部の走行風流通方向に沿う面の幅
W3・・・空隙の幅