特許第6000330号(P6000330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6000330特に繊維強化プラスチック部材を製造する際の予備成形体である、繊維プリフォームを製造する装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000330
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】特に繊維強化プラスチック部材を製造する際の予備成形体である、繊維プリフォームを製造する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/16 20060101AFI20160915BHJP
   B29K 101/00 20060101ALN20160915BHJP
【FI】
   B29B11/16
   B29K101:00
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-503036(P2014-503036)
(86)(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公表番号】特表2014-512988(P2014-512988A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2012051290
(87)【国際公開番号】WO2012136392
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2015年1月13日
(31)【優先権主張番号】102011007021.4
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506408818
【氏名又は名称】フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ゲッティンガー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル カイザー
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−175116(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0000608(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102009042384(DE,A1)
【文献】 特開2007−291582(JP,A)
【文献】 特開2007−283586(JP,A)
【文献】 特開昭60−034832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
15/08−15/04
C08J 5/04− 5/10
5/24
B29C 70/00
70/06
70/10−70/12
70/16
70/30
70/52
70/58
70/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
維強化プラスチック部材を製造する際の予備成形体である、繊維プリフォーム(28,28.1)を製造する装置であって、該装置は、複数の糸又は粗糸を準備するための複数の繰出しステーション(1,1.1,2,2.1,3,3′,4,4′)と、それぞれ1つ又は複数の糸又は粗糸の始端部(20,20′)を把持することができる複数のグリッパ(5,5.1)と、少なくとも1つの第1の成形型(15,15′,15.1)とを有し、前記各グリッパ(5,5.1)は、最大ポジション(8,8.1)と引取りポジション(9,9.1)との間の移動路において往復動可能であり、前記引取りポジション(9,9.1)は糸引渡し箇所(14,14.1)に設けられていて、前記最大ポジション(8,8.1)よりも前記繰出しステーション(1,1.1,2,2.1)の近傍に位置している、装置において、
第1の成形型(15,15′,15.1)は、前記最大ポジション(8,8.1)と前記糸引渡し箇所(14,14.1)との間の接続ラインの領域に立体賦形ポジションを有し、かつ前記接続ラインの略垂直方向外側に出発ポジションを有しており、垂線に対して+/−30°までの偏差が可能であり、第1の成形型(15,15′,15.1)は少なくとも前記出発ポジションにおいて回転可能及び/又は旋回可能であり、かつ回転させられた位置及び/又は旋回させられた位置においても、各立体賦形ポジションに移動することができることを特徴とする、繊維プリフォームを製造する装置。
【請求項2】
第2の成形型(16,16′)が設けられていて、該第2の成形型(16,16′)は、立体賦形ポジションにおいて第1の成形型(15,15′,15.1)とまとめられるようになっていて、固有の出発ポジションを有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
第1及び/又は第2の成形型(15,15′,15.1,16,16′)の出発ポジションと立体賦形ポジションとの間における運動方向が、前記移動路に対してほぼ垂直に配置されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
第2の成形型(16,16′)は、少なくとも前記出発ポジションにおいて回転可能及び/又は旋回可能であり、かつ回転させられた位置及び/又は旋回させられた位置において、立体賦形ポジションに移動することができる、請求項2記載の装置。
【請求項5】
第2の成形型(16,16′)はフードとして形成されていて、第1の成形型(15,15′,15.1)の上に適合し、前記糸又は粗糸のための間隙が、第1の成形型と第2の成形型との間に残っている、請求項2記載の装置。
【請求項6】
第1及び/又は第2の成形型(15,15′,15.1,16,16′)の回転軸線は、前記移動路に対してほぼ垂直に位置し、かつ前記出発ポジションと前記立体賦形ポジションとの間における運動方向に対してほぼ平行に位置している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
第1及び/又は第2の成形型(15,15′,15.1,16,16′)は、加熱装置を備えている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
1の成形型(15,15′,15.1)は、圧着装置を備えている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
第2の成形型(16,16′)は、圧着装置を備えている、請求項2を引用する請求項3から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
第1及び/又は第2の成形型(15,15′,15.1,16,16′)は、容易に切離し可能に、移動装置に取り付けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の装置を使用して、繊維強化プラスチック部材を製造する際の予備成形体である、繊維プリフォーム(28,28.1)を製造する方法であって、下記の方法ステップ、すなわち:
複数のグリッパ(5,5.1)を用いた第1の層のための糸又は粗糸の張設、
第1の成形型(15,15′,15.1)を用いた第1の層の立体賦形、
第1の層の糸又は粗糸の切断、
複数のグリッパ(5,5.1)を用いた第2の層のための糸又は粗糸の張設、
第1の成形型(15,15′,15.1)を用いた別の層の立体賦形、
第2の層の糸又は粗糸の切断、
という方法ステップを相前後して有する、方法において、
立体賦形を、張設された糸又は粗糸の領域への第1の成形型(15,15′,15.1)の進入移動によって行い、第1の成形型(15,15′,15.1)を、第1の層の糸又は粗糸の切断後でかつ前記別の層の立体賦形前に、回転及び/又は旋回させることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記回転を、張設された糸又は粗糸(21)に対してほぼ垂直にかつ前記進入移動時における運動方向に対してほぼ平行に位置する軸線を中心にして行う、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第1の成形型(15,15′,15.1)を、10°〜170°の角度で回転させる、請求項1又は1記載の方法。
【請求項14】
第1の成形型(15,15′,15.1)を、30°〜150°の角度で回転させる、請求項11又は12記載の方法。
【請求項15】
第1の成形型(15,15′,15.1)を、45°〜135°の角度で回転させる、請求項11又は12記載の方法。
【請求項16】
第1の層の立体賦形過程と別の層の張設過程との間において、第1の層の固定を加熱及び/又はプレスによって行う、請求項1から1までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
立体賦形時に、第2の成形型(16,16′)を、それぞれの層が成形されるように、移動させて第1の成形型(15,15′,15.1)とまとめる、請求項1から1までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
第1及び別の層(25,25.1,26.1,27.1)の立体賦形を、同じ装置において行う、請求項1から1までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に繊維強化プラスチック部材を製造する際の予備成形体である、繊維プリフォームを製造する装置であって、該装置は、複数の糸又は粗糸を準備するための複数の繰出しステーションと、それぞれ1つ又は複数の糸又は粗糸の始端部を把持することができる複数のグリッパと、少なくとも1つの第1の成形型とを有し、各グリッパは、最大ポジションと引取りポジションとの間の移動路において往復動可能であり、引取りポジションは糸引渡し箇所に設けられていて、最大ポジションよりも繰出しステーションの近傍に位置している、装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、前記装置を使用して、例えば繊維強化プラスチック部材を製造する際の予備成形体である、繊維プリフォームを製造する方法であって、下記の方法ステップ、すなわち:
複数のグリッパ(5,5.1)を用いた第1の層のための糸又は粗糸の張設、
第1の成形型を用いた第1の層の立体賦形、
第1の層の糸又は粗糸の切断、
複数のグリッパを用いた第2の層のための糸又は粗糸の張設、
第1の成形型を用いた別の層の立体賦形、
第2の層の糸又は粗糸の切断、
という方法ステップを相前後して有する、方法に関する。
【0003】
繊維強化プラスチックは、特に剛性を生ぜしめるマトリックス材料と、このマトリックス材料に埋め込まれていて特に引張り強度を提供する繊維とから成っている。繊維強化プラスチックは、特に高負荷される部材であって、それにも拘わらず、なお可能な限り軽量であることが望まれている部材のために使用される。繊維は横方向においては強度を伝えることはないので、繊維は、その長手方向がそれぞれの負荷方向と可能な限り良好に合致するように、方向付けられねばならない。このことを達成するために、繊維はしばしば種々異なった方向に敷設されねばならない。繊維層が負荷に良好にかつ正確に適合していればいるほど、部材はより良好なものとなる。繊維強化プラスチックから成る部材のためには、多数の製造方法が存在する。大量の個数を製造するのに良好に使用可能な方法は、今日においてしかしながら、巻成又はプレートプレスもしくはストランドプレスによる、回転対称の部材又はプレート形状もしくはロッド形状の部材においてしか存在しない。
【0004】
これに対して複雑かつ高価な3D構造は、極めて高いコストをかけてしか製造することができない。それというのは、必要な繊維プリフォームの製造が困難で、時間がかかり、かつ高コストであるからである。高価な構造は、多くの場合無端繊維で製造される。多くの方法では、最初に繊維プリフォームが、所望の三次元の部材形状に相応して製造され、これらの繊維プリフォームは主に、しばしば複数の層で互いに上下に重ねて配置された繊維から成っており、これによって必要な繊維方向を得ることができる。次いで繊維プリフォームは、マトリックス材料を含浸又は塗布され、ときにはさらにプレスされ、そして最後に硬化される。繊維プリフォームの製造のため及び、部材の含浸及び/又は硬化のために、所望の部材形状に相応した成形型を使用することができ、この成形型上に又は成形型中に、繊維プリフォーム又は部材が載置され、かつ/又はプレスされる。
【0005】
繊維プリフォームが後続の加工のために十分な形状安定性を有するために、繊維プリフォームには、少量の接着剤又は結合剤が与えられ、そして繊維プリフォームは、三次元の立体賦形の後で、例えば乾燥によって又は加熱及び冷却によって、固定される。
【0006】
繊維プリフォームは多くの場合、予め製造されかつ予め結合された面状の半製品を、互いに積層及び固定するによって形成される。このような半製品は、例えばテープ又は織布、束又はフリースであり、これらの半製品では、多数の個々の糸又は粗糸が既に1つの面状形成物に織られ、縫い合わされ又は接着されている。糸というのは、いわゆる無端繊維を使用する場合、つまり繊維がボビン又は糸玉から繰り出される場合の表現である。撚られずに同時に1つのボビン又は糸玉から繰り出される多数の糸が、糸束又は粗糸と呼ばれる。この場合粗糸は、フィラメントとも呼ばれる数万のシングル糸から成っていてよい。
【0007】
必要な個別部材は、DE102008011658A1に基づいても公知であるように、多くの場合巻成体として提供される面状の半製品から、型紙の形式で裁断される。次いで必要な個別部材は、成形型の上に載置されて互いに結合又はプレスされる。接着又は縫合によってこのような半製品を製造するための例も、同様にDE102008011658A1に示されている。それにもかかわらず、しばしば、多くの手による作業が必要である。カセット内に予め蓄えられ、次いでコアに載置される半製品から、裁断によって一次元的な湾曲した単純なプリフォームを、機械式に製造する装置は、DE102008042574A1に基づいて公知である。複雑な形状は、なお機械式に製造することができない。
【0008】
複雑な部材用の繊維プリフォームを製造する別の可能性は、自動化された繊維載置法である。この場合細い糸束又は糸束から成るベルトが、1つの繊維載置ヘッドから成形型の上で往復案内され、かつこの際に互いに並べられてかつ互いに上下に成形型の上に載置され、プレスされて固定される。複雑な部材のためには、手間もしくはコストのかかる、ロボットによる繊維載置ヘッドの制御が必要である。2つ、3つ又はそれどころか4つの繊維載置ヘッドを平行に使用する場合でも、製造速度はなお比較的ゆっくりである。それというのは、これらのヘッドは、しばしば長い距離を進む必要があり、かつ細い繊維束によって順次作業が行われるからである。さらにヘッドは、クリールから多軸で運動させられる載置ヘッドへの、極めて長くかつ複雑化された糸ガイド(Garnnachfuehrung)を有する。粗糸のねじれを阻止するために、特殊なガイド爪を備えたホース内におけるこのような糸ガイドは、例えばUS2008/0202691A1に示されている。
【0009】
本発明の課題は、より複雑な高価値の構造をも容易に自動化可能で、しかも形状及び繊維の方向付けに関してフレキシブルで、迅速かつ安価に製造することができる、繊維プリフォームを製造する装置及び方法を提供することである。
【0010】
この課題は、請求項1の特徴部記載の構成を有する装置によって解決される。別の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【0011】
前記課題を解決するために本発明による装置では、第1の成形型は、最大ポジションと糸引渡し箇所との間の接続ラインの領域に立体賦形ポジションを有し、かつ接続ラインの外側に出発ポジションを有しており、第1の成形型は少なくとも出発ポジションにおいて回転可能及び/又は旋回可能であり、かつ回転させられた位置及び/又は旋回させられた位置においても、各立体賦形ポジションに移動することができるようになっている。
【0012】
このように構成されていると、グリッパのための単純な、特に直線的な経路によって、複数の糸又は粗糸を同時に張設することができ、しかも、種々異なった方向付けの複数の層を次々と、成形型において立体賦形することができる。繰出しステーション及び糸ガイドをグリッパによって、位置固定のままにすることができる。後の部材に関する所望の層方向付けは、成形型の回転によって得ることができる。従って、繊維プリフォームの極めてフレキシブルな構成が可能であり、しかも糸ガイド経路の複雑化された計算なしに簡単な自動化が可能である。これによって装置は、糸又は粗糸における2kg/分を越える処理速度又は、それどころか3kg/分を越える処理速度に適したように構成されている。
【0013】
かつては通常であった面状の半製品を省略し、その代わりに糸又は粗糸から直接繊維プリフォームが立体賦形され、かつ製造されるので、材料コストが公知の方法に比べて大幅に低減する。さらに並列作業によって、短い製造時間を達成することができる。面状の半製品は、予備製造に基づいてかなり高価である。強く三次元的な部材の場合には、大面積の半製品を使用すると、さらに皺が発生するおそれがある。また小面積の半製品の場合には、個別部分の裁断及び結合のためのコストが高まる。
【0014】
好適な態様では、第2の成形型が設けられていて、該第2の成形型は、立体賦形ポジションにおいて第1の成形型とまとめられるようになっていて、固有の出発ポジションを有する。このように構成されていると、一群をなす多数の糸又は粗糸を両成形型の間において立体賦形もしくは変形することによって、複雑化された三次元形状をもより正確に製造することができる。好ましくは第2の成形型は、第1の成形型から見て、張設された糸又は粗糸の反対の側に配置されている。立体賦形ポジションへの移動は、第2の成形型のために好ましくは、第1の成形型と同時に又は第1の成形型の後で行うことができる。しかしながらまた、この移動を第1の成形型の前に行うこともできる。第1及び/又は第2の成形型は、複数部分から形成されていてもよい。
【0015】
所望の形状への可能な限り良好な立体賦形を得るために、別の好適な態様では、第1及び/又は第2の成形型の出発ポジションと立体賦形ポジションとの間における運動方向が、グリッパの移動路に対してほぼ垂直に配置されている。この場合+/−30°までの偏差が可能である。グリッパの移動路は好ましくは、ほぼ水平方向であり、成形型の移動方向はほぼ垂直方向である。両方の方向に対しても、同様に+/−30°までの偏差が可能である。グリッパの移動路は好ましくは、立体賦形前における張設された糸又は粗糸とほぼ一致している。
【0016】
特に好適な態様では、第2の成形型は、少なくとも出発ポジションにおいて回転可能及び/又は旋回可能であり、かつ回転させられた位置及び/又は旋回させられた位置において、立体賦形ポジションに移動することができる。回転及び/又は旋回は、第1の成形型の回転及び/又は旋回に相応して実施される。例えば第1の成形型における別の繊維配向を有する別の層の立体賦形後又は立体賦形時に、第2の成形型は、第1の成形型と適合してまとめられることができる。好適な態様では、第2の成形型はフードとして形成されていて、第1の成形型の上に適合し、糸又は粗糸のための間隙が、第1の成形型と第2の成形型との間に残っている。このように構成されていると、糸又は粗糸は所望の形状に正確に変形され、つまり立体賦形される。
【0017】
立体賦形時に重要なことは、糸又は粗糸の張力が調節又は調整されるということである。必要な場合には、立体賦形中に、例えば、糸又は粗糸が立体賦形時に強く変位される、極めて強く三次元的な部材では、補足調整することも可能である。従って追加的に、張力を調節及び/又は調整するための張設装置が設けられていると好適である。特に好適な張設装置は、張力を立体賦形時に一定に保つこと又は所定の値範囲内に保つことができる。
【0018】
本発明の別の態様では、第1及び/又は第2の成形型の回転軸線は、移動路に対してほぼ垂直に位置し、かつ第1及び/又は第2の成形型の出発ポジションと立体賦形ポジションとの間における運動方向に対してほぼ平行に位置している。
【0019】
さらに、第1及び/又は第2の成形型は、加熱装置及び/又は圧着装置を備えていることができる。温度上昇又は圧力上昇によって、層をなして設けられている結合剤を活性化することができ、その結果糸又は粗糸は、所定の形状において固定され、かつ互いにまず結合されて1つの層を形成し、次いで繊維プリフォームを形成する。結合材料として、少なくとも部分的に熱可塑性プラスチック又は接着剤から成っている糸又は粗糸を、一緒に立体賦形することができる。これによって繊維材料と一緒に、固定のために必要な結合材料もまた装着される。結合材料は、繊維材料の他に結合材料をも含有するハイブリッド糸によってもたらすことも、又は糸又は粗糸への被覆又は噴霧によってもたらすこともできる。結合材料はまた、成形型における糸又は粗糸の立体賦形後に、例えば噴霧によってもたらすこともできる。糸又は粗糸の層を固定することによって、糸又は粗糸の別の層を装着するため又は繊維プリフォームのさらなる加工のための、確実な安定性が得られる。
【0020】
種々異なった部材形状への簡単かつフレキシブルな適合を可能にするために、別の態様では、第1及び/又は第2の成形型は、容易に切離し可能に、移動装置に、特にリフティングテーブル又は降下装置に取り付けられている。このように構成されていると、糸又は粗糸の1つ又は複数の層を、1つの成形型と一緒に、後続の装置、特に同じく本発明のように構成された装置に引き渡すことができ、これによってこの後続の装置において1つ又は複数の別の層を装着することができる。
【0021】
装置への糸又は粗糸の供給は、繰出しステーションから行われる。繰出しステーションは例えばいわゆるボビンクリールとして形成されていてよい。この場合糸又は粗糸は、スプール又は糸玉(ボビン)から引き出すことができる。各糸引渡し箇所は、1つ又は複数の繰出しステーションから糸又は粗糸を得る。ボビン又は糸引渡し箇所又はその間に、糸張力を調整又は調節するための装置が設けられていてよい。
【0022】
さらに好適な態様では、糸又は粗糸を1つの成形型とグリッパとの間において切り離すことができる切断装置、及び/又は、糸又は粗糸を1つの成形型と糸引渡し箇所との間において切り離すことができる切断装置が設けられている。
【0023】
さらに別の好適な態様では、グリッパは、その移動路において種々異なった個々の中間ポジションをとることができ、かつ該中間ポジションにおいて糸又は粗糸の各始端部をしっかりと保持することができる。これによって種々様々な形状を写し取ることができる。そして各グリッパによって、成形型の相応な箇所のために必要な長さの糸だけが張設される。また別の好適な態様では、個々のグリッパは、1つの成形型の外輪郭に従って該グリッパの移動路において位置決めすることができる。すなわちグリッパは、繊維プリフォームが縁部を有する位置の可能な限り近傍にグリッパが位置するように、糸又は粗糸の始端部をしっかと保持し、この場合前記縁部において糸は成形後に成形型のところで切断される。つまりグリッパは、該グリッパが成形のためのポジションに移動させられた場合には、各糸又は粗糸が成形型から出たところで位置決めされ、また複数部分から成る成形型が存在する場合には、これらの成形型がまとめられた場合に、各糸又は粗糸が成形型から出たところで位置決めされる。これによって複雑な構造でも、高価な繊維材料における切り屑の発生が極めて僅かになり、このことは、特に大量生産時に重要である。
【0024】
前記課題は、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置に関連した、請求項10記載の特徴を備えた方法によって解決される。方法に対する別の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【0025】
本発明による方法は、立体賦形を、張設された糸又は粗糸の領域への第1の成形型の進入移動によって行い、第1の成形型を、第1の層の糸又は粗糸の切断後でかつ別の層の立体賦形前に、回転及び/又は旋回させることを特徴とする。
【0026】
このようにすると、既に本発明による装置に関する記載において挙げられた利点が得られる。
【0027】
方法の好適な態様では、複数の別個のグリッパが、それぞれ個々のグリッパに対応配設された複数の糸引渡し箇所において個々の又は複数の糸又は粗糸を把持し、次いでグリッパが互いにほぼ平行な移動路において移動させられ、これによって糸又は粗糸が互いに並んで張設されるように、張設過程を行う。さらに方法の好適な態様では、複数のグリッパを、1つの張設過程において同時にかつ互いに無関係に独立させて移動させるようにした。このようにすると、糸又は粗糸は迅速に互いに平行に張設され、しかも各グリッパを互いに無関係に独立させて作動させることができる。
【0028】
好適な態様では、第1の成形型の回転を、張設された糸又は粗糸に対してほぼ垂直にかつ進入移動時における運動方向に対してほぼ平行に位置する軸線を中心にして行う。さらに好適には、第1の成形型を、10°〜170°の角度、好ましくは30°〜150°の角度、特に好ましくは45°〜135°の角度で回転させる。同様に第2の成形型も、10°〜170°の角度、好ましくは30°〜150°の角度、特に好ましくは45°〜135°の角度で回転させることができる。
【0029】
別の好適な態様では、第1の層の立体賦形過程と別の層の張設過程との間において、第1の層の固定を、特に加熱及び/又はプレスによって行う。これによって第1の層は、さらなる方法ステップ又はさらなる処理のための十分な安定性を得る。好適な態様では、各層を立体賦形後に、特にまた繊維プリフォームを最後の層の立体賦形後に固定する。これは、既に述べたように、例えば結合材料の活性化によって行われる。
【0030】
固定は、まさに立体賦形時に、つまり第1又は第2の成形型の進入移動時に、開始すること又はその後で行うことができる。糸又は粗糸の切断は、固定中又は固定後に行うことができる。
【0031】
より正確な形状付与を可能にする態様では、立体賦形時に、第2の成形型、特にフードを、それぞれの層が成形されかつ場合によっては固定されるように、移動させて第1の成形型とまとめる。
【0032】
種々異なった繊維配向を有する複数の層によって繊維プリフォームを製造するためには、第1の層及び別の層を立体賦形するためにそれぞれ同じ装置を使用することができる。これらの層の立体賦形の間において、成形型は相応に回転及び/又は旋回させられる。
【0033】
しかしながらまた、2つ又はそれ以上の装置を備えた一種の製造ラインを設けることも可能であり、このような製造ラインでは、第1の層の立体賦形は1つの装置において行われ、第1の成形型はその後で別の装置に引き渡され、この別の装置において別の層が立体賦形される。その上に位置する層を備えた成形型の回転及び/又は旋回は、第1の装置又は別の装置において行うことができる。例えば複数の層を相前後して複数の装置において装着し、その後で繊維プリフォームを完成させることができる。この場合各装置に1つの層が装着され、特にまた固定されると好適である。
【0034】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1a〜図7bには本発明による装置の好適な実施形態が、種々異なった方法ステップにおいて示されており、図8a〜図8cには本発明による別の好適な実施形態が、種々異なった方法ステップにおいて示されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1a】グリッパによる糸又は粗糸の取出し中における状態を示す側面図である。
図1b】グリッパによる糸又は粗糸の取出し中における状態を示す平面図である。
図2a】糸又は粗糸の張設後における状態を示す側面図である。
図2b】糸又は粗糸の張設後における状態を示す平面図である。
図3a】第1の層の第1の立体賦形ステップ後における状態を示す側面図である。
図3b】第1の層の第1の立体賦形ステップ後における状態を示す平面図である。
図4a】第1の層の第2の立体賦形ステップ後における状態を示す側面図である。
図4b】第1の層の第2の立体賦形ステップ後における状態を示す平面図である。
図5a】糸又は粗糸の切断後における状態を示す側面図である。
図5b】糸又は粗糸の切断後における状態を示す平面図である。
図6a】成形型の回転後でかつグリッパによる第2の層のための糸又は粗糸の取出し中における状態を示す側面図である。
図6b】成形型の回転後でかつグリッパによる第2の層のための糸又は粗糸の取出し中における状態を示す平面図である。
図7a】第2の層の第2の立体賦形ステップ後における状態を示す側面図である。
図7b】第2の層の第2の立体賦形ステップ後における状態を示す平面図である。
図8a】第1の層の装着後における状態を示す平面図である。
図8b】別の層の装着後における状態を示す平面図である。
図8c】さらに別の層の装着後における状態を示す平面図である。
【0036】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0037】
装置及び方法の特に好適な実施形態では、装置は下記の方法ステップのために適している、もしくは装置によって下記の方法ステップは相前後して又は部分的に互いに平行に実施される:
・糸又は粗糸及び場合によっては結合材料の準備
・必要な糸又は粗糸、及び場合によっては結合材料の把持
・グリッパの相応な位置決めによる、必要な糸又は粗糸の張設
・第1の成形型による第1の立体賦形
・第2の成形型による第2の立体賦形
・糸又は粗糸から成る層の固定
・成形型の両側における糸又は粗糸の切断
・送出された必要でない糸又は粗糸の巻き戻し
・成形型の開放
・装着された層を備えた1つの成形型の回転及び/又は移動
繊維プリフォームが完成するまでの、同じ装置における又は単数又は複数の別の本発明による装置における、別の層の装着のための工程の繰り返し。
【0038】
糸又は粗糸用の繊維材料としては、例えば炭素(カーボン)、ガラス又はアラミドから成る繊維、又は別の繊維を使用することができる。繊維強化プラスチック用のマトリックス材料としては、例えば熱可塑性又は熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、他のプラスチック(ポリマ)又は他の樹脂が、使用の対象になる。結合材料としては、熱可塑性プラスチック又は接着剤を使用することができる。結合材料は、既にハイブリッド糸又はハイブリッド粗糸として存在することができ、すなわち個々の繊維又は糸は、結合材料から成っており、又は結合材料は、糸又は粗糸と一緒にグリッパによって張設されるか、又は立体賦形された糸又は粗糸に塗布又は噴霧される。
【0039】
図1a及び図1bには、装置の基本的な構造が示されている。糸又は粗糸の準備は、多数の繰出しステーションによって行われ、これらの繰出しステーションにおいては、繊維材料が、スプール又は糸玉(いわゆるボビン)の形で準備され、複数の列1,2において互いに並んで、相前後して、又は互いに上下に配置されている。ボビンはまた、図1aに示すように、上側列及び下側列を形成してもよい。糸又は粗糸の始端部20は、使用される繰出しステーション3,4のためのそれぞれ使用される領域においてだけ略示されている。他のすべての始端部も、相応な糸引渡し箇所14に挿通され、その結果始端部を、所属のグリッパによって引取りポジション9において把持することができる。これは例えば一緒にボビンクリール(Spulengatter)とも呼ばれる。
【0040】
他方の側においてグリッパ5は、その最大ポジション8において示されており、これらの最大ポジション8は、この場合出発ポジションにも相当する。1つのグリッパのクランプ幅はbで示され、すべてのグリッパの総クランプ幅はBで示されている。図面には等しい幅のグリッパだけが示されているが、もちろん、異なった幅を有するグリッパも可能である。グリッパはまた、必ずしも、その最大ポジションと引取りポジションとを同一線上に有する必要はない。さらにリフティングテーブル17上における第1の成形型15が示され、かつ、フードとして形成されている第2の成形型16が、出発ポジションにおいて、つまりグリッパの移動路(Pfad)の外側に示されている。第2の成形型は、平面図では示されていない。また、第2の成形型のための相応な移動装置又は降下装置も特別には示されていない。さらに、結合材料タンク19が設けられており、この結合材料タンク19は、例えば繰出しステーションの列の間に配置されていてよい。
【0041】
グリッパ6は、引取りポジションにあり、装置における該グリッパの配置に相当する糸又は粗糸を、グリッパ6が糸又は粗糸の始端部を把持することによって、引き取る。グリッパは、例えばロッド又はピストンであるガイド装置7によって移動可能である。これらのグリッパは個々に、しかしながら単に直線的にかつ平行な移動路において互いに並んで、引取りポジションと最大ポジションとの間において運動することができる。これによって単純な自動化及び迅速かつ平行な運動が可能である。図示のように、複数の繰出しステーションを1つのグループにまとめること、及び1つのグリッパに対応配設させることが可能である。1つのグリッパは複数の糸又は粗糸を一緒に把持することができる。いずれにせよ、グリッパの数と少なくとも同じ数の繰出しステーションが設けられていることが望ましい。
【0042】
図2a,図2bには、張設された糸又は粗糸21が示されており、これらの糸又は粗糸21をグリッパ10はその中間ポジションへの移動によって引き出している。この過程は、アクティブに駆動される繰出し動作によって促進することができる。中間ポジションは、成形型の外輪郭に近くに、もしくは、成形型がその立体賦形ポジションにもたらされた場合における、外輪郭の後における位置の近くにある。糸又は粗糸21と一緒に、例えば結合糸又は結合フリースである結合材料18もまた、グリッパによって一緒に張設することができる。図示のように繰出しステーションの上側列と下側列とが設けられていてよいので、結合材料は、糸又は粗糸の上側の群と下側の群との間において張設される。引出し時に結合材料は糸引渡し箇所14の領域において、特に加熱装置によって、予め活性化することができるので、糸又は粗糸は立体賦形の開始時と同時に既に幾分互いに固定される。さらに糸引渡し箇所14の領域には、拡開装置が設けられており、この拡開装置は、単列又は複数列の爪(Zinke)を備えた一種のコームとして形成することができる。このようにして、糸又は粗糸が面を覆うように互いに並んで位置し、かつ後の立体賦形時にも側方に滑り出さないことが、保証される。拡開装置は糸道に沿って又はグリッパ移動路に沿って移動可能であってよい。さらに、糸張力測定装置13のための可能性も図示されている。
【0043】
立体賦形というのは、成形型を用いて糸又は粗糸を変形すること、もしくは所定の形にすることである。立体賦形は単数又は複数の段階において行うことができ、この場合単数又は複数の成形型が同時に又は相前後して、張設された糸又は粗糸から成る層へと移動することができる。立体賦形中に、糸張力を調整すると、特に一定に保つと有利である。すなわち糸又は粗糸は、立体賦形のために成形型の相応な箇所においてどの程度必要であるかに応じて、送出される。このことを達成するために、ブレーキ及びクラッチ装置を設けることができる。各繰出しステーションに又は繰出しステーションの各グループに、相応な制御装置が対応配設されていると、好適である。このように構成されていると、糸又は粗糸が過剰な負荷(張力)を受けること又は極めてルーズに配設されることが、阻止される。糸張力は、糸引渡し箇所の領域及び/又は繰出しステーションと糸引渡し箇所との間における適宜な測定装置によっても、測定することができる。糸張力の値は好ましくは1〜50N/m2である。
【0044】
図3a及び図3bには、第1の立体賦形後における状態が示されている。リフティングテーブル17によって第1の成形型15′は立体賦形ポジションに移動させられている。これによって糸又は粗糸22は変位させられ、成形型15′によって立体賦形される。グリッパ10は、成形型15′の外輪郭の近傍において糸の始端部を固定する。このステップの後で、択一的に又は追加的に結合材料を、糸又は粗糸に塗布又は噴霧することができる。
【0045】
次のステップにおいて糸又は粗糸は、立体賦形ポジションに移動させられた第2の成形型16′を用いて、さらに立体賦形もしくは変形される(図4a及び図4b)。間に糸又は粗糸の層を挟み込んでいる両方の成形型の共働によって、正確な形状付与が可能である。両方の成形型が押し合わされ、一方の成形型、好ましくは第2の成形型が、又は両方の成形型が加熱されていてよく、その結果結合材料は活性化され、糸又は粗糸は形状安定的に固定されて1つの層を形成する。固定と同時に又は固定の後で、糸又は粗糸は成形型の両側において、つまりグリッパと成形型との間及び糸引渡し箇所と成形型との間において、切断される。1実施形態では、切断装置は第1又は第2の成形型に結合されている。この場合切断が少なくとも、糸引渡し箇所の側において成形型の近傍において行われると、好適である。これによって高価な繊維材料における切り屑の発生が僅かになり、繊維プリフォームの僅かな後処理しか必要でなくなる。
【0046】
切断された糸又は粗糸23は、巻戻し装置を介して再び引き戻されて巻き上げられるか又は、相応な糸ガイドを介して中間貯蔵される。この巻戻し動作は、再び糸又は粗糸の始端部が糸引渡し箇所14の領域に位置し、かつ該始端部をグリッパによって引き取ることができるように行われ、しかもこの際に、過度に多くの切り屑が発生することはない。始端部を検出するためには、センサを使用することができる。
【0047】
図5a及び図5bにおいては糸又は粗糸は、既に巻き戻されているか又は糸引渡し箇所において切断されており、従って再び始端部は糸引渡し箇所に位置している。グリッパにおいても、繊維材料の切り屑24は極めて僅かしか存在しない。それというのは、グリッパはそれぞれ成形型の外輪郭の近傍にかつ該外輪郭に沿って位置決めされ、かつ使用されたもしくは必要な量の糸だけを張設したからである。成形型15,16は再びその出発ポジションにもたらされる。第1の成形型には、第1の成形された層25が残っている。
【0048】
図6a及び図6bには、第1及び第2の成形型15,16が、回転させられた位置で示されている。この場合成形型15,16は90°回転させられている。しかしながら他の回転角、例えば約30°、45°、60°の回転角も可能であり、又は旋回も可能である。回転角は好ましくは10〜170°である。このことは、糸又は粗糸の別の層をどのようにかつどのような繊維配向で装着したいかによって決定される。必要なグリッパ6′は、使用される糸又は粗糸の始端部20を把持するために、引取りポジションにある。
【0049】
次いで、別の層の糸又は粗糸が、グリッパの中間ポジションに到るまで張設され、かつ立体賦形され、この場合第1及び第2の成形型15′,16′は立体賦形ポジションに移動させられる。
【0050】
図7a及び図7bには、装置が、糸又は粗糸が切断された後の状態で示されている。使用されたグリッパ11は、中間ポジションに位置している。方形ではない成形型の場合又は他の回転角の場合、グリッパ11は、異なった中間ポジションに位置していてもよい。糸又は粗糸及び場合によっては結合材料から成る別の層は、同様に加熱及び/又はプレスによって、形状安定的に固定され、かつ第1の層に結合されることができる。そして両方の層は一緒に繊維プリフォーム28を形成する。
【0051】
図8aには、例えばエンジンフード用の繊維プリフォームを製造する場合に使用することができる別の実施形態が示されている。使用されるグリッパ10.1は中間ポジションに位置し、使用されないグリッパ5.1は最大ポジション8.1に位置している。第1の成形型15.1において、糸又は粗糸の第1の層25.1が立体賦形されかつ固定されている。第2の成形型は図示されていない。糸又は粗糸の貯蔵は、繰出しステーション1.1,2.1において行われる。さらに結合材料タンク19.1及び糸引渡し箇所14.1が設けられている。
【0052】
単数又は複数の別の層の形成は、同一の装置において行うことも、又は、第1の成形型が第1の層と一緒に引き渡される単数又は複数の別の本発明による装置において行うこともできる。図8bでは別の層26.1が、回転させられた成形型に立体賦形されている。図面を見易くするために、一対の糸又は粗糸しか示されていない。使用されたグリッパ11.1は、成形型の外輪郭に沿って位置し、可能な限り正確に成形型に追従する。さらなる正確な適合のために、細いグリッパ又は種々異なった幅のグリッパを使用することができる。
【0053】
図8cには、さらに別の層が装着された状態が示されている。使用されたグリッパ12.1は、再び外輪郭に沿って位置している。固定後に、これらの層は一緒になって繊維プリフォーム28.1を形成する。
【符号の説明】
【0054】
1,1.1,2,2.1 繰出しステーションの列
3,3′,4,4′ 使用中の繰出しステーション
5,5.1 グリッパの列
6,6′ 引取りポジションにおけるグリッパ
7,7.1,7′,7.1′ グリッパ用のガイド装置
8,8.1 最大ポジションの位置
9,9.1 引取りポジションの位置
10,10.1,11,11.1,12,12.1 中間ポジションにおけるグリッパ
13,13′ 糸張力用の測定装置
14,14.1 糸引渡し箇所(場合によっては拡開装置及び/又は結合剤予備活性のための装置をも備える)
15 出発ポジションにおける第1の成形型
15′,15.1 立体賦形ポジションにおける第1の成形型
16 出発ポジションにおける第2の成形型
16′ 立体賦形ポジションにおける第2の成形型
17 リフティングテーブル
18 結合材料
19,19.1 結合材料タンク
20,20′糸又は粗糸の始端部
21 張設された糸又は粗糸
22 立体賦形された糸又は粗糸
23,23′ 切断された糸又は粗糸
24 切り屑
25 糸又は粗糸の第1の層
26.1,27.1 糸又は粗糸の別の層
28,28.1 繊維プリフォーム
b 1つのグリッパのクランプ幅
B すべてのグリップの総クランプ幅
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c