特許第6000334号(P6000334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6000334造形物を積層造形するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000334
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】造形物を積層造形するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/00 20060101AFI20160915BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20160915BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20160915BHJP
【FI】
   B29C67/00
   B33Y10/00
   B33Y30/00
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-505781(P2014-505781)
(86)(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公表番号】特表2014-514193(P2014-514193A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】IL2012050137
(87)【国際公開番号】WO2012143923
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】61/476,275
(32)【優先日】2011年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ナパデンスキー エドゥアルド
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−040445(JP,A)
【文献】 特開2008−098280(JP,A)
【文献】 特表2002−507940(JP,A)
【文献】 特開2009−006538(JP,A)
【文献】 特表2009−542487(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0006966(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/008116(WO,A1)
【文献】 特開2003−181941(JP,A)
【文献】 特表2009−525207(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0299517(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/089576(WO,A1)
【文献】 特開2008−275970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 67/00
B29C 47/00
B41J 2/005−2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元の造形物を積層造形する方法であって、対象物の断面の形状に従ってそれぞれパターン化される複数の層を連続して形成し、これによって前記造形物を形成するステップ、を含み、
前記複数の層のうちの少なくとも1層において、前記層の前記形成が、ラスタ走査を行って少なくとも第1の構築材料組成物をインクジェット技術によって分配し、ベクタ走査を行って少なくとも第2の構築材料組成物を前記インクジェット技術とは別の技術によって分配するステップを含んでいる、
方法。
【請求項2】
前記第1の構築材料組成物が前記第2の構築材料組成物とは異なる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の構築材料組成物が、ほぼ非導電性であり、前記第2の構築材料組成物が、ほぼ導電性である、
請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の構築材料組成物および前記第2の構築材料組成物のうちの少なくとも一方が、紫外線硬化性成分を含んでいる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の構築材料組成物および前記第2の構築材料組成物が、前記分配時に異なる温度にある、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベクタ走査が、少なくとも部分的に前記ラスタ走査と同時に行われる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ベクタ走査および前記ラスタ走査が連続して行われる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の構築材料から溶剤を蒸発させるステップ、をさらに含んでいる、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ベクタ走査は、(i)細長い構造、(ii)第1の構築材料によって満たされた領域を少なくとも部分的に囲んでいる境界構造、(iii)層間結合構造、からなる群から選択される少なくとも1つの構造を形成するように選択される経路に沿う、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記別の技術は、溶けたポリマを押し出す、液体材料またはペースト状材料を圧力によって分配する、からなる群から選択される、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
三次元の造形物を積層造形するシステムであって、
ラスタ走査を行って前記ラスタ走査時に第1の構築材料組成物をインクジェット技術によって分配するように構成されている第1の分配ヘッドと、
ベクタ走査を行って前記ベクタ走査時に第2の構築材料組成物を前記インクジェット技術とは別の技術によって分配するように構成されている第2の分配ヘッドと、
複数の層を、対象物の形に対応する形状を有するパターンに連続して形成するように前記第1の分配ヘッドおよび前記第2の分配ヘッドの両方を制御するコントローラと、
を備えている、
システム。
【請求項12】
前記コントローラが、前記第1の分配ヘッドのラスタ走査を確立して非導電性のモデリング材料を分配し、前記第2の分配ヘッドのベクタ走査を確立して導電性材料を分配することによって、少なくとも1層を形成するように構成されている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の構築材料組成物および前記第2の構築材料組成物の少なくとも一方が紫外線硬化性であり、前記システムが放射源をさらに備えている、
請求項11または請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の分配ヘッドおよび前記第2の分配ヘッドが、独立して移動するように構成されている、
請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の分配ヘッドが前記第2の分配ヘッドに堅牢に取り付けられている、
請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ベクタ走査が、少なくとも部分的に前記ラスタ走査と同時に行われる、
請求項11から請求項15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記ベクタ走査および前記ラスタ走査が連続して行われる、
請求項11から請求項16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
(i)細長い構造、(ii)前記第1の構築材料組成物によって満たされた領域を少なくとも部分的に囲んでいる境界構造、(iii)層間結合構造、からなる群から選択される少なくとも1つの構造を形成するように選択される経路に沿って、前記第2の構築材料組成物が分配されるように、前記コントローラが、前記第2の分配ヘッドを制御するように構成されている、
請求項11から請求項17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記別の技術は、溶けたポリマを押し出す、液体材料またはペースト状材料を圧力によって分配する、からなる群から選択される、
請求項11から請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国特許出願第61/476,275号(出願日:2011年4月17日)の優先権の利益を主張し、この文書の内容は、その全体が本明細書に記載されている場合と同じように、参照によって本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、造形物の積層造形(AM)に関し、より詳細には、それに限定されないが、材料もしくは走査パターンまたはその両方の組合せを使用して造形物を積層造形するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
積層造形とは、一般的には、対象物のコンピュータモデルを利用して三次元(3D)の造形物を製造する工程である。このような工程は、さまざまな分野(例えば設計に関連する分野)において、可視化、デモンストレーション、機械的な試作品製作、さらにはラピッドマニュファクチャリング(RM)(rapid manufacturing)を目的として、使用されている。
【0004】
積層造形システムの基本的な動作は、三次元のコンピュータモデルを薄い断面にスライスするステップと、その結果を二次元の位置データに変換するステップと、データを制御機器に供給し、制御機器が作業面の上に層単位で三次元の構造物を製造するステップと、からなる。
【0005】
積層造形は、数多くの異なる製作方法を伴う(例えば、三次元印刷、薄膜積層法、熱溶解積層法)。
【0006】
三次元印刷工程においては、例えば、一連のノズルを有する分配ヘッドから構築材料を分配して、支持構造の上に層を堆積させる。次に、構築材料に応じて、適切な装置を使用して層を硬化または固化させることができる。構築材料は、モデリング材料(造形物を形成する)および支持材料(造形物が構築されるときに造形物を支持する)を含んでいることができる。さまざまな三次元印刷技術が存在しており、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、および特許文献13(いずれも同一の譲受人)で開示されており、これらの文書の内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0007】
積層造形では、機械設備および労働力の最小限の投資で、機能部分の試作品(プロトタイプ)を迅速に製作することができる。このようなラピッドプロトタイピングによって、迅速かつ効果的なフィードバックが設計者に提供されることにより、製品の開発サイクルが短縮され、設計工程が改善される。さらに、積層造形は、例えば設計のさまざまな側面(例えば、美的外観、嵌合い、組立てなど)を評価する目的で、非機能部分を迅速に製作するために使用することもできる。さらに、積層造形技術は、医療分野(治療を行う前に、予測される結果をモデル化する)においても有用であることが証明されている。これ以外にも、具体的な設計や機能を視覚化することが有用である多くの分野、例えば、建築、歯科、形成外科(ただしこれらに限定されない)では、ラピッドプロトタイピングの恩恵を受けることができる。
【0008】
二次元の位置データに従って材料を堆積させて層を形成するステップは、一般的には、分配装置(例:印刷ヘッド、押し出しノズルなど)と作業面との間の特定の動き(モーション)パターンに沿って横方向の相対的な動きを確立することによって達成することができる。この技術分野では、2種類の動きパターン(「ラスタ走査」および「ベクタ走査」と称される)が公知である。ラスタ走査は、分配装置および作業面の間の前後の相対的な動きによって特徴付けられ、一般にはいくつかのノズルを使用して並列に堆積させる。ラスタ走査時には、分配装置が作業面上のすべての位置にアクセスし、コントローラが、アクセスされた各位置に対して、二次元の位置データに従って分配ノズルを選択的に作動させる、または作動させない。ベクタ走査においては、分配装置は作業面上のすべての位置にはアクセスしない。代わりに、相対的な動きは、材料を堆積させる必要のある位置に基づいて選択される経路に沿ったものとなる。
【0009】
特許文献14には、印刷ヘッドが作業面の上を走査方向およびインデックス方向(index direction)の両方に移動するラピッドプロトタイピング技術が開示されている。Leyden氏は、2つの走査プロトコルを開示している。一方のプロトコルにおいては、印刷ヘッドは、主走査方向に動いた後、二次走査方向に小さく動き(この間は分配は行われない)、その後、主走査方向の逆向きに走査する(再び分配が行われる)。もう1つのプロトコルにおいては、主走査が行われている間、小さい二次走査移動が行われる。さらに、Leyden氏は、ベクタ走査と、ベクタ走査およびラスタ走査の組合せも開示している。
【0010】
いくつかの積層造形技術では、2種類以上のモデリング材料を使用して造形物を積層的に形成することができる。例えば、本譲受人の特許文献13(この文書の内容は参照によって本明細書に組み込まれている)には、複数の分配ヘッドを有する積層造形装置と、複数の構築材料を製造装置に供給するように構成されている構築材料供給装置と、製造装置および供給装置を制御するように構成されている制御ユニットと、を備えたシステムが開示されている。このシステムは、いくつかの動作モードを有する。1つのモードにおいては、製造装置の1回の構築走査サイクルの間、すべての分配ヘッドが作動する。別のモードにおいては、1回の構築走査サイクルまたはその一部の間、分配ヘッドのうちの1つまたは複数が作動しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,259,962号明細書
【特許文献2】米国特許第6,569,373号明細書
【特許文献3】米国特許第6,658,314号明細書
【特許文献4】米国特許第6,850,334号明細書
【特許文献5】米国特許第7,183,335号明細書
【特許文献6】米国特許第7,209,797号明細書
【特許文献7】米国特許第7,225,045号明細書
【特許文献8】米国特許第7,300,619号明細書
【特許文献9】米国特許第7,479,510号明細書
【特許文献10】米国特許第7,500,846号明細書
【特許文献11】米国特許第7,658,976号明細書
【特許文献12】米国特許第7,962,237号明細書
【特許文献13】米国公開特許出願第20100191360号明細書
【特許文献14】米国特許第6,193,923号明細書(Leyden)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、三次元の造形物を積層造形する方法が提供される。本方法は、対象物の断面の形状に従ってそれぞれパターン化される複数の層を連続して形成し、これによって造形物を形成するステップを含んでいる。本発明のいくつかの実施形態においては、複数の層のうちの少なくとも1層の形成は、ラスタ走査を行って少なくとも第1の構築材料組成物を分配し、ベクタ走査を行って少なくとも第2の構築材料組成物を分配するステップを含んでいる。オプションとして、ベクタ走査は、(i)細長い構造、(ii)第1の構築材料によって満たされた領域を少なくとも部分的に囲んでいる境界構造、(iii)層間結合構造、からなる群から選択される少なくとも1つの構造を形成するように選択される経路に沿う。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料組成物は、第2の構築材料組成物とは異なる。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料組成物は、ほぼ非導電性であり、第2の構築材料組成物は、ほぼ導電性である。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料組成物および第2の構築材料組成物のうちの少なくとも一方は、紫外線硬化性成分を含んでいる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料組成物および第2の構築材料組成物は、分配時に異なる温度にある。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によると、構造は、ラスタ走査によって形成される領域内に埋め込まれる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によると、構造は、層の周縁部である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によると、経路は、ラスタ走査によって形成される領域に埋め込まれる複数のラインを形成するように選択される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によると、ベクタ走査は、少なくとも部分的にラスタ走査と同時に行われる。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によると、ベクタ走査およびラスタ走査は連続して行われる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1層は、複数の層の中の内側層である。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1層は、複数の層のうちの最上層または最下層である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1層は少なくとも2層を備えている。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によると、本方法は、第2の構築材料から溶剤を蒸発させるステップを含んでいる。本発明のいくつかの実施形態によると、溶剤は水を含んでいる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本明細書に記載されている方法によって作製可能な回路が提供される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、三次元印刷によって作製される、非導電性の紫外線硬化性材料からなる複数の層を備えた製造品目(article of manufacture)が提供され、複数の層のうちの少なくとも1層は、導電性材料からなる導電性ラインのパターンを備えている。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によると、導電性材料は、紫外線硬化性である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の製造品目を備えた回路が提供される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたオプトエレクトロニクスシステムが提供される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたセンサが提供される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたダイオードシステムが提供される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたトランジスタシステムが提供される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたメモリシステムが提供される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えた撮像システムが提供される。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたディスプレイシステムが提供される。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたプロジェクタディスプレイシステムが提供される。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えた認識票システム(identification tag system)が提供される。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたスマートカードシステムが提供される。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明の回路を備えたバッテリが提供される。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、三次元の造形物を積層造形するシステムが提供される。本システムは、ラスタ走査時にラスタ走査を行って第1の構築材料組成物を分配するように構成されている第1の分配ヘッドを備えている。さらに、本システムは、ベクタ走査時にベクタ走査を行って第2の構築材料組成物を分配するように構成されている第2の分配ヘッドを備えている。さらに、本システムは、複数の層を、対象物の形に対応する形状を有するパターンに連続して形成するように第1の分配ヘッドおよび第2の分配ヘッドを制御するコントローラ、を備えている。本発明のいくつかの実施形態においては、コントローラは、(i)細長い構造、(ii)第1の構築材料によって満たされた領域を少なくとも部分的に囲んでいる境界構造、(iii)層間結合構造、からなる群から選択される少なくとも1つの構造を形成するように選択される経路に沿って、第2の構築材料組成物を分配するように、第2の分配ヘッドを制御するように構成されている。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によると、コントローラは、第1のヘッドのラスタ走査を確立して非導電性のモデリング材料を分配し、第2のヘッドのベクタ走査を確立して導電性材料を分配することによって、少なくとも1層を形成するように構成されている。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料および第2の構築材料の少なくとも一方が紫外線硬化性であり、本システムは放射源をさらに備えている。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によると、経路は、ラスタ走査によって形成される領域内に埋め込まれる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によると、経路は、ラスタ走査によって形成される領域内に埋め込まれる複数の導電性ラインを形成するように選択される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1のヘッドおよび第2のヘッドは、独立して移動するように構成されている。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1のヘッドは第2のヘッドに堅牢に取り付けられている。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によると、ベクタ走査は、少なくとも部分的にラスタ走査と同時に行われる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によると、ベクタ走査およびラスタ走査は連続して行われる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1層は、複数の層の中の内側層である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1層は、複数の層のうちの最上層または最下層である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によると、少なくとも1層は、少なくとも2層を備えている。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、三次元の造形物を積層造形する方法が提供される。本方法は、対象物の断面の形状に従ってそれぞれパターン化される複数の層を連続して形成し、これによって造形物を形成するステップを含んでいる。本発明のいくつかの実施形態においては、層のうちの少なくとも1層の形成は、少なくとも第1の構築材料組成物を60℃以上の温度において分配し、少なくとも第2の構築材料組成物を40℃以下の温度において分配するステップ、を含んでいる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料組成物は、ほぼ非導電性であり、第2の構築材料は、ほぼ導電性である。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料組成物の分配は、ラスタ走査によって特徴付けられる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によると、第2の構築材料組成物の分配は、ラスタ走査によって特徴付けられる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によると、第2の構築材料組成物の分配は、ベクタ走査によって特徴付けられる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の構築材料組成物および第2の構築材料組成物のうちの少なくとも一方は、紫外線硬化性である。
【0059】
本明細書において使用されているすべての技術用語および科学用語の意味は、特に定義されない限り、本発明が属する技術分野における通常の技能を有する者によって一般に理解されている意味と同じである。本発明の実施形態を実施する、またはテストするときには、本明細書に記載されている方法および材料に類似するかまたは同等の方法および材料を使用することができるが、例示的な方法および材料が以降に記載してある。矛盾が生じる場合、定義を含めて本特許明細書に従うものとする。さらには、これらの材料、方法、および例は、説明のみを目的としており、本発明を制限することを意図していない。
【0060】
本発明の実施形態の方法もしくはシステムまたはその両方を実施する場合、選択されるタスクを、手動で、または自動的に、またはこれらを組み合わせて、実行または完了することができる。さらに、本発明の方法もしくはシステムまたはその両方の実施形態の実際の設備および機器に従って、いくつかの選択されるタスクを、オペレーティングシステムを使用して、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、またはファームウェアによって、あるいはこれらの組合せによって、実施することができる。
【0061】
例えば、本発明の実施形態による選択されるタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施することができる。ソフトウェアとしては、本発明の実施形態による選択されるタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用するコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として、実施することができる。本発明の例示的な実施形態においては、本明細書に記載されている方法もしくはシステムまたはその両方の例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、データプロセッサ(例えば、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォーム)によって実行される。データプロセッサは、オプションとして、命令もしくはデータまたはその両方を格納するための揮発性メモリと、命令もしくはデータまたはその両方を格納するための不揮発性記憶装置(例えば、磁気ハードディスク、リムーバブルメディア)、の少なくとも一方を含んでいる。オプションとして、ネットワーク接続も提供される。オプションとして、ディスプレイもしくはユーザ入力デバイス(例えば、キーボード、マウス)またはその両方も提供される。
【0062】
本明細書には、本発明のいくつかの実施形態について、単なる一例として、添付の図面を参照しながら説明してある。以下では、図面を詳細に参照するが、図示されている細部は一例であり、本発明の実施形態を実例を挙げて説明することを目的としていることを強調しておく。この点において、当業者には、図面を参照しながらの説明によって、本発明の実施形態をどのように実施するかが明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1A】本発明の実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1B】本発明の実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1C】本発明の実施形態による積層造形システムの概略図である。
図2A】本発明の実施形態による、ベクタ走査によって層に形成された構造の概略図である。
図2B】本発明の実施形態による、ベクタ走査によって層に形成された構造の概略図である。
図2C】本発明の実施形態による、ベクタ走査によって層に形成された構造の概略図である。
図2D】本発明の実施形態による、ベクタ走査によって層に形成された構造の概略図である。
図3】本発明の実施形態による、製造品目の概略図である。
図4】本発明の実施形態による、電気装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、造形物の積層造形(AM)に関し、より詳細には、それに限定されないが、材料もしくは走査パターンまたはその両方の組合せを使用して造形物を積層造形するシステムおよび方法に関する。
【0065】
本発明の少なくとも一実施形態について詳しく説明する前に、以下の点を理解されたい。すなわち、以下の説明に記載されている、もしくは、図面または例の少なくとも一方に示されている、またはその両方である構成要素および/または方法の構造および配置構成の細部は、本発明の適用を必ずしも制限するものではない。本発明は、別の実施形態とする、または、さまざまな方法で実施または実行することができる。
【0066】
本発明の実施形態の方法およびシステムは、複数の層を、対象物の形に対応する形状を有するパターンに形成することによって、三次元の造形物を層単位で製造する。
【0067】
本明細書において使用されている用語「造形物」は、造形物全体またはその一部を意味する。
【0068】
各層は、二次元表面を走査してそれをパターン化する積層造形装置によって形成される。本発明のいくつかの実施形態においては、積層造形装置は三次元印刷装置である。
【0069】
本発明の実施形態の積層造形装置の走査には、ラスタ走査もしくはベクタ走査またはその両方を含めることができる。
【0070】
本明細書では、「ラスタ走査」とは、積層造形装置の分配ヘッドと作業面との間の相対的な動きが1本または2本の直線につねに平行である走査モードを意味する。この走査モードにおいては、堆積は直線に沿った相対的な動きの間のみに行われることが好ましい。
【0071】
ラスタ走査の代表的な例は以下のとおりである。分配ヘッドは、作業面に平行である主走査方向に移動する。走査中、装置は、二次元の層または表面上の複数の目標位置にアクセスし、各目標位置ごと、または目標位置のグループごとに、目標位置または目標位置のグループが構築材料によって占有される必要があるか否かと、そこに供給するべき構築材料の種類とを決定する。この決定は、表面のコンピュータ画像に従って行われる。
【0072】
オプションとして、主走査方向に沿った走査全体が完了すると、分配ヘッドは、構築材料を分配することなくインデックス方向に動く、インデックス方向も作業面に平行であるが、主走査方向に直交する。分配ヘッドは、主走査方向において逆方向走査を行うこともでき、逆方向走査の間、分配ヘッドは、構築材料を選択的に分配する。インデックス方向の動きは、走査の任意の段階において行うことができる。
【0073】
インデックス方向の動きは、例えば、逆方向走査が完了するたびに行う、またはこの技術分野において公知であるように、2回の連続する順方向走査と逆方向走査の間に行うことができる。分配ヘッドは、インデックス方向に沿って配置されている複数のノズルを含んでいることができ、したがって、層全体をカバーするのに要求される走査の回数が減少する。
【0074】
ラスタ走査において1層を形成する間に分配ヘッドによって行われる一連の走査を、本明細書では1回の走査サイクルと称する。本明細書では、主走査方向をX方向と称し、インデックス方向をY方向と称する。X方向およびY方向は、一般には作業面の境界に平行である。
【0075】
本明細書では、「ベクタ走査」とは、積層造形装置の分配ヘッドと作業面との間の相対的な動きが、層のコンピュータ画像に従ってコントローラによって動的に選択される経路に沿う走査モードを意味する。
【0076】
オプションとして、経路は曲がっている。オプションとして、経路の少なくとも一部分は、分配が行われる作業面の境界に平行ではない。
【0077】
したがって、分配ヘッドの動きがつねにX方向またはY方向に平行であるラスタ走査とは異なり、ベクタ走査の動きは、必ずしもX方向またはY方向に平行ではない任意の経路に沿うことができる。
【0078】
一般に、本発明の実施形態の積層造形装置は、何回かの通過動作において作業面を走査する。この動作が適用されるのは、Y方向に沿った分配ヘッドの幅が作業面の幅より小さいとき、もしくは、1回の積層造形バッチ工程において同じ作業面の上にいくつかの造形物が構築されるとき、またはその両方である。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態においては、積層造形装置は、構築している層に対応する二次元の位置データに基づいて走査モードを選択する。ベクタ走査においては、1つの層のスループットは、支持材料または構築材料によって覆われる領域の大きさによって決まり、したがって、体積の大きくない造形物は、体積の大きい造形物よりも高速に構築される。これに対してラスタ走査においては、スループットは、必ずしも材料を堆積させる必要のある領域によって決まるのではなく、支持材料またはモデリング材料の分配装置がこれらの材料を堆積させるために行う必要のある走査通過動作の回数によって決まる。
【0080】
一例として、ラスタ走査モードを使用して印刷する場合、Z軸に平行な軸線を有する棒を構築するためには、同じ長さおよび同じ直径の管を構築するのと同じ時間がかかるが、ベクタ走査モードを使用する場合、同じ棒を構築する方が同じ管を構築するよりもずっと長い時間がかかる。
【0081】
したがって、いくつかの実施形態においては、ラスタ走査によって得られるスループットが代わりにベクタ走査によって得られるスループットと同程度であるかまたはそれより大きいときには、ラスタ走査を採用する。これは、ラスタ走査およびベクタ走査の走査速度や、ラスタ材料の堆積装置の(Y軸に沿った)幅、層の厚さなど、システムの特性に依存する。
【0082】
いくつかの実施形態においては、堆積させる材料の特性または属性、もしくは、堆積するように選択された特定の材料の使用法や特定の位置によって最終的な造形物に反映されることが望まれる特性または属性、またはその両方に従って、ラスタ堆積が1種類または複数種類の材料を堆積させる目的に採用され、ベクタ堆積が1種類または複数種類の別の材料を堆積させる目的に採用される。
【0083】
いくつかの実施形態においては、ラスタ走査およびベクタ走査のいずれも、インクジェットによって材料を堆積させる。
【0084】
いくつかの実施形態においては、ラスタ走査ではインクジェットによって材料を堆積させ、ベクタ走査では、別の異なる技術(例えば、溶けたポリマを押し出す、液体材料またはペースト状材料を圧力によって分配するシステム)を使用して材料を堆積させる。
【0085】
したがって、積層造形装置は、占有される必要のある目標位置に構築材料を分配し、それ以外の目標位置には構築材料が存在しないままにする。この装置は、一般には複数の分配ヘッドを含んでおり、分配ヘッドそれぞれを、異なる構築材料を分配するように構成することができる。したがって、異なる目標位置を異なる構築材料によって占有することができる。本発明のさまざまな例示的な実施形態においては、この装置は、ラスタ走査を行うように構成された1つまたは複数の分配ヘッドと、ベクタ走査を行うように構成された1つまたは複数の分配ヘッドとを備えている。ラスタ走査を行うように構成されたヘッドによって分配される1種類または複数種類の構築材料は、ベクタヘッドによって分配される1種類または複数種類の構築材料とは異なっていることができる。あるいは、ラスタ走査ヘッドによって分配される1種類または複数種類の構築材料は、ベクタヘッドによって分配される1種類または複数種類の構築材料と同じにすることができる。
【0086】
構築材料の種類は、2つの大きなカテゴリとして、モデリング材料と支持材料とに分類することができる。支持材料は、製作工程時に造形物または造形物の一部を支持する、もしくはそれ以外の目的(例えば中空の造形物や多数の穴を有する造形物を提供する)、またはその両方を目的とする支持基盤または支持構造としての役割を果たす。支持構造は、例えば支持強度を高めるためのモデリング材料要素をさらに含んでいることができる。
【0087】
モデリング材料は、一般的には、積層造形において使用するために調製される組成物であり、単独で(すなわち他の物質と混合する、または組み合わせる必要なしに)三次元の造形物を形成するができる。
【0088】
最終的な三次元造形物は、1種類または複数種類のモデリング材料からなる、またはモデリング材料と支持材料の組合せからなる、またはその変形(例:硬化の後)からなる。これらの処理すべては、固体自由形状製造の技術分野の当業者に周知である。
【0089】
本装置が、ラスタ走査用に構成された複数の分配ヘッドを備えているとき、それらの分配ヘッドのうちの少なくとも1つがモデリング材料を分配することが好ましく、それらの分配ヘッドのうちの少なくとも1つが支持材料を分配することが好ましい。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態においては、本装置は、ラスタ走査用に構成されたいくつかの分配ヘッドと、ベクタ走査用に構成された1つの分配ヘッドとを備えている。これに代えて、本装置は、ベクタ走査用のいくつかの分配ヘッドを備えていることができる。
【0091】
ラスタ走査ヘッドとベクタ走査ヘッドは、互いに物理的に取り付けることができ、または、それぞれが独立して動くように構成することができる。ラスタ走査ヘッドとベクタ走査ヘッドとが互いに物理的に取り付けられているときには、ラスタ走査およびベクタ走査が連続してまたは間欠的に実行される。ラスタ走査ヘッドとベクタ走査ヘッドが独立して動くように構成されているときには、ラスタ走査およびベクタ走査を、同時に実行する、部分的に同時に実行する、間欠的に実行する、または交互に実行することができる。
【0092】
本発明のいくつかの例示的な実施形態においては、2種類以上のモデリング材料を、それぞれ積層造形装置の異なる分配ヘッドから分配することによって、造形物が製造される。層内の材料、および材料の組合せは、造形物の所望の特性に従って選択する。
【0093】
図1A図1Cは、本発明のいくつかの実施形態による、造形物12を積層造形する目的に適するシステム10の代表的な例を示しており、ただし本発明はこの例に限定されない。
【0094】
システム10は、複数の分配ヘッド21a,21b,21c,21dを備えた分配ユニット21を有する積層造形装置14を備えている。オプションとして、分配ユニット21は、例えば図1Aに示したように、ラスタ走査を行うように構成されたヘッドと、ベクタ走査を行うように構成されたヘッドの両方を備えている。これに代えて、分配ユニット21は、ラスタ走査を行うように構成されたヘッドのみを備えていてもよい。システム10の異なる例においては、図1Bに示したように、ユニット21が複数の分配ヘッド21a,21b,21cを備えている一方で、ベクタ走査堆積を行うように構成された個別のヘッド23がユニット21の外側に位置している。
【0095】
各ヘッドは、構築材料24が分配される少なくとも1つのノズルを備えている。ヘッドのうちの1つまたは複数(例:ラスタ走査ヘッド)は、図1Cに示したように、ノズル22のアレイを備えていることが好ましい。
【0096】
装置14は三次元印刷装置であることが好ましく(ただし必須ではない)、その場合、分配ヘッドが印刷ヘッドであり、構築材料はインクジェット技術によって分配される。このことは必須条件ではなく、なぜなら、用途によっては、積層造形装置において三次元印刷技術を必ずしも採用しなくてもよいためである。本発明のさまざまな例示的な実施形態に従って予測される積層造形装置の代表的な例としては、以下に限定されないが、結合剤噴射式の粉末ベースの装置(binder jet - powder-based apparatus)、熱溶解積層装置、溶解材料堆積装置(fused material deposition apparatus)が挙げられる。
【0097】
オプションとして、各分配ヘッドには構築材料リザーバを介して供給されることが好ましく、構築材料リザーバは、オプションとして、温度制御ユニット(例:温度センサもしくは加熱装置またはその両方)と、材料レベルセンサとを含んでいてもよい。構築材料を分配する目的で、例えば圧電式インクジェット印刷技術におけるように、分配ヘッドのノズルを介して材料の液滴を選択的に堆積させるための電圧信号が分配ヘッドに印加される。各ヘッドの分配速度は、ノズルの数、ノズルのタイプ、および電圧信号の印加速度(周波数)に依存する。このような分配ヘッドは、固体自由形状製造の技術分野の当業者に公知である。
【0098】
分配ノズルまたはノズルアレイの総数は、好ましくは(ただし必須ではない)、分配ノズルの約1/2が支持材料を分配する目的に指定され、分配ノズルの約1/2がモデリング材料を分配する目的に指定されるように選択する。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態においては、支持材料を分配するノズルの数は、モデリング材料を分配するように指定されたノズルの数とほぼ同じである。2種類のモデリング材料が存在するときには、支持材料のノズルの数は、ノズルの総数の約1/3であることが好ましい。
【0100】
ただし、上の例は本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、モデリング材料を堆積させるヘッド(モデリングヘッド)の数と、支持材料を堆積させるヘッド(支持ヘッド)の数は上記とは異なっていてよいことを理解されたい。
【0101】
装置14は、硬化ユニットをさらに備えていてもよく、硬化ユニットは1つまたは複数の放射源26を備えていてもよく、放射源26は、使用するモデリング材料に応じて、例えば、紫外線ランプ、可視光ランプ、赤外線ランプ、または他の電磁放射源、または電子ビーム源とすることができる。放射源26は、硬化性のモデリング材料を硬化または固化させる役割を果たす。
【0102】
分配ヘッドおよび放射源は、フレームまたはブロック28の中に取り付けられていることが好ましく、フレームまたはブロック28は、トレイ30(作業面としての役割を果たす)の上で往復移動するように動作することが好ましい。ベクタ走査用の印刷ヘッドは、ブロック28の中に取り付ける、または図1Bに示したように個別のユニットとしてもよい。一般的な慣例によると、トレイ30はX−Y平面に位置している。トレイ30は、(Z方向に沿って)垂直に、一般には下向きに移動するように構成されていることが好ましい。本発明のさまざまな例示的な実施形態においては、装置14は、さらに、1つまたは複数のレベリング装置32(例:ローラー34)を備えている。レベリング装置32は、新たに形成された層を、その上に次の層を形成する前に、まっすぐにする、水平にする、層の厚さを確立する、のうちの少なくとも1つを行う役割を果たす。レベリング装置32は、レベリング時に発生する余分な材料を集めるための廃棄材料収集装置36を備えていることが好ましい。廃棄材料収集装置36は、材料を廃棄材料タンクまたは廃棄材料カートリッジに送る任意のメカニズムを備えていることができる。
【0103】
使用時、システム10の分配ヘッドは、所定の走査モード(ラスタ走査またはベクタ走査)に従って移動し、トレイ30の上を通過する過程において、構築材料を所定の形状に選択的に分配する。構築材料は、一般には、1種類または複数種類の支持材料と、1種類または複数種類のモデリング材料とを含んでいる。ユニット21の分配ヘッドが通過した後、放射源26によって(1種類または複数種類の)モデリング材料を硬化させる。さらに、分配ヘッドが通過した後、このようにして形成された層をまっすぐにするレベリング装置32が後に続くようにすることができる。
【0104】
層が完成すると、トレイ30は、次に印刷される層の所望の厚さに従って、Z方向に所定のZレベルまで下がる。この手順が繰り返されて、三次元の造形物12を層単位で形成する。これに代えて、層が完成する前に(例えば、ラスタ走査時におけるユニット21の分配ヘッドの順方向の通過と逆方向の通過との間に)、トレイ30をZ方向に移動させることができる。
【0105】
システム10は、オプションとして、構築材料供給装置50を備えており、構築材料供給装置50は、構築材料の容器またはカートリッジを備えており、複数の構築材料を製作装置14に供給することが好ましい。
【0106】
制御ユニットまたはコントローラ52は、製作装置14を制御し、オプションとして、供給装置50も制御することが好ましい。制御ユニット52は、データプロセッサ54と通信することが好ましく、データプロセッサ54は、コンピュータの造形物データ(例:STL(Standard Tessellation Language)フォーマットなどの形式においてコンピュータ可読媒体上に表されるCAD形状データ)に基づく製作命令に関連するデジタルデータを送信する。制御ユニット52は、一般に、各分配ヘッドまたはノズルアレイに印加される電圧と、それぞれの分配ヘッドにおける構築材料の温度の少なくとも一方を制御する。さらに、制御ユニット52は、それぞれの分配ヘッドの走査モードも選択する。
【0107】
製造データが制御ユニット52にロードされると、制御ユニット52はユーザの介入なしに動作することができる。いくつかの実施形態においては、制御ユニット52は、ユニット52と通信する例えばデータプロセッサ54を使用して、またはユーザインタフェース16を使用して、オペレータからの追加の入力を受け取る。ユーザインタフェース16は、この技術分野において公知の任意のタイプ、例えば、以下に限定されないが、キーボード、タッチスクリーンなどとすることができる。制御ユニット52は、例えば、追加の入力として、1つまたは複数の構築材料の種類や属性を受け取ることができ、属性は、例えば、以下に限定されないが、色、特徴的なひずみや遷移温度、粘度、電気特性、磁気特性である。他の属性および属性のグループも考えられる。
【0108】
いくつかの実施形態においては、異なる分配ヘッドから異なる材料を分配することによって、造形物を製作するように意図されている。これらの実施形態では、特に、与えられた数の材料から材料を選択し、選択される材料およびそれらの特性または属性の所望の組合せを定義することが可能である。これらの実施形態によると、層の中で各材料が堆積される空間位置は、異なる三次元空間位置が異なる材料によって占有されるように定義する、または、堆積後に層の中での材料の空間的な組合せが可能となり、これにより1つまたは複数の各位置に複合材料が形成されるように、実質的に同じ三次元位置または隣接する三次元位置が2種類以上の異なる材料によって占有されるように定義する。
【0109】
堆積後のモデリング材料の任意の組合せまたは混合が考えられる。例えば、ある材料が分配されると、この材料は元の特性を維持することができる。しかしながら、この材料が、別のモデリング材料と同時に分配される、または同じ位置あるいは近い位置に分配される別の材料と同時に分配されるとき、これらの分配される材料とは異なる1つまたは複数の特性を有する複合材料が形成される。
【0110】
したがって、本発明の実施形態では、材料の多様な組合せを堆積させて造形物を製作することが可能であり、造形物は、その各部を特徴付けるうえで望ましい特性に従って、造形物の複数の異なる部分における材料の複数の異なる組合せからなることができる。
【0111】
複数のモデリング材料およびモデリング材料の組合せを分配することのできる積層造形システムの原理および動作に関するさらなる詳細は、特許文献13に記載されており、この文書の内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0112】
積層造形が三次元印刷によるときには、インクジェット技術によって分配することができるように、構築材料の粘度が十分に低い(例:20cps以下)ことが好ましい。積層造形技術においては、構築材料として紫外線硬化性の材料を使用することが有利であり、なぜなら、このような材料はすぐれた特性を有するためである。このタイプの材料は、一般には、粘度を下げるため堆積させる前に加熱する。
【0113】
別のタイプの構築材料(例えば導電性材料やインクなど)を使用してもよい。いくつかの実施形態においては、導電性インク材料あるいはインクには、十分な量の低粘度の揮発性溶剤が含まれており、したがって、室温または40℃未満の温度において、あるいは、分配前に分配器/ノズルにおいて溶剤が大量に蒸発することのない十分に低い温度において、堆積させることができる。
【0114】
例えば導電性インクは、一般には、導電性材料、例えば銀または導電性ポリマ材料(例:PDOT−PSS)(ただしこれらに限定されない)の粒子を溶剤中に分散させることによって作製される。
【0115】
導電率は、溶剤中の導電性粒子の含有量に伴って増大する。したがって、高い含有量の導電性粒子を使用すると、高い導電率が達成される。導電率のさらなる増大は、何種類かの導電性粒子を一緒に溶解させることによって達成される。このような処理によってインクの粘度が高まるため、導電性インクは、分配時に蒸発させる大量の揮発性溶剤を使用して作製する。
【0116】
本発明者は、低粘度の溶剤を高温下で使用した場合の問題として、構築材料がまだ分配ヘッド側に存在している時点で早々と溶剤が蒸発してしまうことを見出した。さらに、本発明者は、例えば、上に造形物を構築する基板がポリマである場合、高温によって基板が損傷を受けうることを見出した。
【0117】
したがって、本発明者は、低温では粘度が高すぎる紫外線硬化性の材料と、揮発性溶剤が含まれる構築材料の両方を同じ温度で分配することは問題であることを認識した。
【0118】
本発明によると、上記の問題は、一方の構築材料を高温(例:60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、または少なくとも80℃)で分配し、他方の構築材料を低温(例:40℃以下、35℃以下、または30℃以下)で分配する手法によって解決された。
【0119】
このことは、各構築材料がそれぞれの分配ヘッドに充填されている間、各構築材料の温度を個別に制御することによって行うことができる。したがって、本発明のさまざまな例示的な実施形態においては、コントローラ52は、少なくとも2つの分配ヘッドを異なる温度に維持する。オプションとして、コントローラ52は、より高い温度で構築材料を分配するのにラスタ走査を行い、より低い温度で構築材料を分配するのにベクタ走査を行うことが好ましい。これに代えて、より高い温度での構築材料と、より低い温度での構築材料の両方を、ラスタ走査時に分配する。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態の態様においては、三次元の造形物を積層造形するのに適する方法が提供される。この方法は、積層造形システム(例:システム10)を使用して実行することができる。この方法は、それぞれ対象物の断面の形状に従ってパターン化される複数の層を連続して形成するステップを含んでいる。本発明のさまざまな例示的な実施形態においては、層のうちの少なくとも1層は、ラスタ走査を行って少なくとも第1の構築材料組成物を分配し、ベクタ走査を行って少なくとも第2の構築材料組成物を分配することによって、形成される。ベクタ走査およびラスタ走査は、前述したように、連続して行う、または少なくとも部分的に同時に行うことができる。
【0121】
オプションとして、第1の構築材料組成物および第2の構築材料組成物の一方または両方は、紫外線硬化性成分を含んでいることが好ましい。いくつかの実施形態においては、第1の構築材料組成物は第2の構築材料組成物と異なる。例えば、第1の構築材料組成物をほぼ非導電性とすることができ、第2の構築材料をほぼ導電性とすることができる。
【0122】
本明細書では、「ほぼ非導電性」とは、室温における導電率が1S/m未満、0.1S/m未満、0.01S/m未満、10−3S/m未満、10−4S/m未満、または10−5S/m未満であることを意味する。
【0123】
本明細書では、「ほぼ導電性」とは、室温における導電率が少なくとも1S/m、少なくとも10S/m、少なくとも100S/m、少なくとも1000S/m、少なくとも10,000S/m、または少なくとも100,000S/mであることを意味する。
【0124】
第1の構築材料組成物および第2の構築材料組成物は、必要に応じて同じ温度または異なる温度で分配することができる。例えば、第2の構築材料組成物を、揮発性溶剤(例:水)を含んだ紫外線硬化性材料とすることができ、第1の構築材料組成物を、揮発性溶剤を含まない、または少量のみ含む紫外線硬化性材料とすることができる。これらの実施形態においては、第2の構築材料組成物は、第1の構築材料組成物の分配温度よりも(例えば少なくとも20℃だけ)低い温度で分配することができる。分配した後、第2の構築材料組成物から溶剤を蒸発させることができる。
【0125】
ベクタ走査は、導電性の「トラック」(例えば連続的な細長い構造)を印刷するのに有利であり、なぜならベクタ堆積ヘッドは、XY平面に平行に動くときに導電性材料を連続的に堆積させることができるためである。ベクタ分配ヘッドは、ラスタ分配ヘッドとは個別にかつ近接して位置させることができ、ラスタヘッドとは個別に、またはラスタヘッドと協力して作製領域の上を移動し、層内の導電性トラックの存在の有無およびその空間位置に応じて、ラスタ分配とは個別かつ実質的に同時に、または連続して、材料を分配する。例えば、ラスタ分配ヘッドが走査を行って構築材料(例:非導電性材料)を選択的に分配して層を形成することができ、その後、ベクタ分配ヘッドがその層内の所定の空間位置に別の材料(例:導電性材料)を選択的に分配して、層と共に導電性トラックまたは導電性パターンを形成する。
【0126】
ベクタ走査は、層に少なくとも1つの構造を形成するように選択される経路に沿う。この構造は、例えば細長い構造とすることができる。
【0127】
用語「細長い構造」とは、寸法の1つが他の2つの寸法のいずれよりも少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも100倍(例えば少なくとも500倍)大きい三次元体を意味する。細長い固体構造の最大の寸法を本明細書では縦寸法と称し、他の寸法を横寸法と称する。
【0128】
図2Aは、ベクタ走査によって層60に形成される複数の細長い構造62の代表的な例を示している。
【0129】
この構造は、第1の構築材料によって満たされた領域の少なくとも一部分を囲んでいる境界構造としてもよい。図2Bは、ベクタ走査によって層60に形成される境界構造66の代表的な例を示している。
【0130】
この構造は、層間を結合する構造としてもよい。このタイプの実施形態においては、構造は層の全体の大きさに対して小さい(例:1%未満)ことが好ましい。図2Cは、2つの層60と層70を結合する層間構造68の代表的な例を示している。
【0131】
この構造は、ラスタ走査によって形成される領域の中に埋め込むこともできる。例えば、再び図2Aを参照し、層60の主領域72をラスタ走査によって形成することができ、領域72の中に構造62を埋め込むことができる。
【0132】
この構造は、層の周縁部とすることもできる。図2Dはこの実施形態を示しており、層60とその周縁部における構造74とを示している。
【0133】
ラスタ走査とベクタ走査の組合せは、造形物を形成する層のいずれにおいても行うことができる。具体的には、いくつかの実施形態においては、ラスタ走査とベクタ走査の組合せは複数の層の中の内側層において行われ、いくつかの実施形態においては、ラスタ走査とベクタ走査の組合せは最上層において行われ、いくつかの実施形態においては、ラスタ走査とベクタ走査の組合せは最下層において行われる。ラスタ走査とベクタ走査の組合せは、必要に応じて複数の層において行うこともできる。
【0134】
次に図3を参照し、この図は、本発明のいくつかの実施形態による、製造品目80の概略図である。
【0135】
製造品目80は、一般には、三次元印刷によって製作された、非導電性材料からなる複数の層60(図3の上面図には1層のみを示してある)を備えており、これらの層のうちの少なくとも1層は、導電性材料からなる導電性ラインのパターン82を備えている。パターン82は、非導電性材料の領域84の上に堆積させる、または領域84に埋め込むことができる。製造品目80は、システム10によって、もしくは上述した方法によって、またはその両方によって、製作することができる。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態においては、製造品目80は回路(例:回路基板)である。図4は、回路80を含んだ電気装置90の概略図である。電気装置90は、一般には(ただし必須ではない)、大面積エレクトロニクス装置である。本発明の実施形態に適する電気装置の代表的な例としては、以下に限定されないが、オプトエレクトロニクスシステム、ディスプレイシステム(例:アクティブマトリクスディスプレイシステム)、プロジェクタディスプレイシステム、センサ、認識票、記憶媒体、スマートカード(例:マイクロプロセッサカード、暗号化カード、ATMカード、契約者識別モジュールカード(SIMカードとしても知られている))、プロジェクタディスプレイ、バッテリが挙げられる。さらに、電気装置90は、ダイオードシステムやトランジスタシステムなどの電子部品とすることもできる。
【0137】
いくつかの実施形態においては、堆積させた後に固化することのできる材料(例えば紫外線硬化性材料)が採用され、特定の分配器から堆積される。さらには、固化しない材料(例えば電解質)が使用され、別の分配器から分配される。さらに、堆積させた後に導電性材料となる材料も使用される。これらのすべての材料を一緒に使用して、1つの装置(例えばバッテリなど)を構築することができる。
【0138】
本出願から発生する特許権の存続期間中、特に大面積エレクトロニクスの技術分野における数多くの関連する電子装置が開発されることが予測されるが、用語「電気装置」の範囲は、このような新規の技術すべてを含むものとする。
【0139】
本発明の実施形態の方法の1つまたは複数の動作は、コンピュータによって実施される。本発明の実施形態の方法を実施するコンピュータプログラムは、一般に、配布媒体(例えば、以下に限定されないが、フロッピーディスク、CD−ROM、フラッシュメモリデバイス、ポータブルハードディスク)を通じて使用者に配布することができる。配布媒体からハードディスクまたは類似する中間記憶媒体に、コンピュータプログラムをコピーすることができる。配布媒体または中間記憶媒体からコンピュータ命令をコンピュータの実行メモリにロードし、本発明の方法に従って動作するようにコンピュータを設定することによって、コンピュータプログラムを実行することができる。これらの操作すべては、コンピュータシステムの技術分野における当業者に周知である。
【0140】
コンピュータによって実施される、本発明の実施形態の方法は、数多くの形態として具体化することができる。例えば、本方法は、有形媒体(例えば、本方法の動作を実行するコンピュータ)上に具体化することができる。本方法は、本方法の動作を実行するコンピュータ可読命令を備えたコンピュータ可読媒体上に具体化することができる。さらには、有形媒体上のコンピュータプログラムを実行するようにされた、またはコンピュータ可読媒体上の命令を実行するようにされたデジタルコンピュータ機能を有する電子デバイスに、本方法を具体化することもできる。
【0141】
本出願から発生する特許権の存続期間中、積層造形のための数多くの関連するモデリング材料が開発されることが予測されるが、用語「モデリング材料」の範囲は、このような新規の技術すべてを含むものとする。
【0142】
本明細書において使用されている語「約」は、±10%を意味する。
【0143】
語「例示的な」は、本明細書においては、「例、一例、または説明としての役割を果たす」を意味する目的で使用されている。「例示的な」と記載されている実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい、または有利であるとは解釈されないものとし、さらには、他の実施形態の特徴を組み込むことが排除されないものとする。
【0144】
語「オプションとして」は、本明細書においては、「いくつかの実施形態において設けられ、他の実施形態には設けられない」を意味する目的で使用されている。本発明のいずれの実施形態も、互いに矛盾しない限りは複数の「オプションの」特徴を含んでいることができる。
【0145】
語「備えている」、「含んでいる」、「有する」、およびこれらの活用形は、「〜を含んでいるがそれらに限定されない」を意味する。
【0146】
語「からなる」は、「〜を含んでおりそれらに限定される」を意味する。
【0147】
表現「本質的に〜からなる」は、組成物、方法、または構造が、追加の構成要素、追加のステップ、または追加の部分を含んでいることができるが、請求されている組成物、方法、または構造の基本的かつ新規の特徴が、これらの追加の構成要素、追加のステップ、または追加の部分によって実質的に変更されない場合に限られることを意味する。
【0148】
本明細書において使用されている単数形「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」は、文脈から明らかに単数形に限定されない限りは、対象要素の複数形も含む。例えば、表現「ある化合物」または「少なくとも1種類の化合物」には、複数種類の化合物(それらの混合物も含む)も含まれうる。
【0149】
本出願の全体を通じて、本発明のさまざまな実施形態は、範囲形式で提示されていることがある。範囲形式での記述は、便宜上および簡潔さのみを目的としており、本発明の範囲を固定的に制限するようには解釈されないものとする。したがって、範囲の記述には、具体的に開示されている可能な部分範囲すべてと、その範囲内の個々の数値とが含まれるものとみなされたい。例えば、1〜6などの範囲の記述には、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)と、この範囲内の個々の数(例えば1、2、3、4、5、6)とが含まれるものとみなされたい。このことは、範囲の広さにかかわらずあてはまる。
【0150】
本明細書中に数値範囲が示されているときには、示された範囲内の任意の該当する数値(分数または整数)が含まれるものとする。第1の指示数と第2の指示数「との間の範囲」、および、第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という表現は、本明細書においては互換的に使用され、第1の指示数および第2の指示数と、それらの間のすべての分数および整数を含むものとする。
【0151】
明確さを目的として、個別の実施形態の文脈の中で説明されている本発明の複数の特徴は、1つの実施形態の中に組み合わせて設けることもできることを理解されたい。逆に、簡潔さを目的として、1つの実施形態の文脈の中で説明されている本発明のさまざまな特徴は、個別に設ける、または適切な部分組合せとして設ける、または本発明の任意の他の説明されている実施形態において適切に設けることもできる。さまざまな実施形態の文脈の中で説明されている特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作・機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とはみなさないものとする。
【0152】
ここまで、本発明について、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者には数多くの代替形態、修正形態、および変形形態が明らかであろう。したがって、添付の請求項の概念および広い範囲内に含まれるそのような代替形態、修正形態、および変形形態は、すべて本発明に包含されるものとする。
【0153】
本明細書に記載されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、これら個々の刊行物、特許、および特許出願それぞれが、参照によって本明細書に組み込まれることを明示的かつ個別に示されている場合と同じように、それぞれの内容全体が参照によって本明細書に組み込まれている。さらには、本出願において参考文献が引用または特定されていることは、そのような参考文献が本発明の従来技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されない。セクションの見出しが使用されている場合、それらの見出しは必ずしも本発明を制限するものとして解釈されない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4