(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000341
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】サルモネラ検出物品及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/04 20060101AFI20160915BHJP
C12R 1/42 20060101ALN20160915BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12R1:42
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-511433(P2014-511433)
(86)(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公表番号】特表2014-513555(P2014-513555A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】US2012037701
(87)【国際公開番号】WO2012161992
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】61/488,492
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】マック, パトリック エー.
(72)【発明者】
【氏名】レイフ‐ウェナー, マーラ エス.
【審査官】
森井 文緒
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−057054(JP,A)
【文献】
特表平11−508138(JP,A)
【文献】
特表平09−511917(JP,A)
【文献】
特表2008−536492(JP,A)
【文献】
特表2011−502546(JP,A)
【文献】
ANTIBIOTICS (1975) vol.20, no.10, p.911-917
【文献】
J. Clin. Microbiol. (2000) vol.38, no.12, p.4633-4636
【文献】
Jpn. J. Vet. Sci. (1988) vol.50, no.5, p.1025-1034
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00−3/00
PubMed
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サルモネラ微生物を検出する方法であって、
(a)(i)液体試料;
(ii)サルモネラ微生物を検出するための培養デバイスであって、
サルモネラ微生物の増殖を促進するための栄養素と、セフスロジン、ナリジクス酸、ストレプトマイシン、メチシリン及び胆汁酸塩を含む複数の選択剤と、を含む選択的増殖培地と、
サルモネラ微生物の存在可能性を示すための第1の識別指示薬系と、
非識別指示薬系と、
非サルモネラ微生物の存在を示すための第2の識別指示薬系と、
ゲル化剤と、を含む培養デバイス;及び
(iii)サルモネラ微生物の存在を示すための第3の識別指示薬系
を提供することと、
(b)前記培養デバイス中で、規定の体積の前記液体試料を、前記選択的増殖培地、前記第1の識別指示薬系、前記非識別指示薬系、前記第2の識別指示薬系及び前記ゲル化剤と接触させることにより、
前記液体試料が接種された水和した増殖培地であって、
前記選択的増殖培地、前記第1の識別指示薬系、前記非識別指示薬系及び前記第2の識別指示薬系を含む水和した増殖培地
を含む培養デバイスを形成することと、
(c)第1の期間にわたって、前記水和した増殖培地を含む培養デバイスをインキュベートすることと、
(d)サルモネラ微生物の存在可能性の指示の有無について、前記インキュベートされた培養デバイスを観察することと、
(e)前記サルモネラ微生物の存在可能性の指示が観察された場合に、前記第3の識別指示薬系を前記インキュベートされた培養デバイス中の前記水和した増殖培地と接触させることと、
(f)前記第3の識別指示薬系との接触の後に、サルモネラ微生物の存在の指示の有無について、前記インキュベートされた培養デバイスを観察することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
[0001] サルモネラ微生物は、食中毒の有意な原因物質である。これらの微生物は、生肉、野菜、ピーナッツバター等の乳製品及び加工食品に見られる。サルモネラ感染は、熱、腹痛及び下痢等の腸炎の症状をもたらし、加えて、悪心及び嘔吐を引き起こし得る。大規模食品製造施設は、多数の消費者に流通され得る、汚染食品の源であり、消費者の多くは、細菌に感染する可能性がある。
【0002】
[概要]
[0002] 概して、本発明は、微生物を検出するための物品、システム、及び方法に関する。具体的には、システム及び方法は、サルモネラ属に属する微生物を検出するために使用され得る。本発明の物品は、栄養培地と、ほとんどの微生物の増殖を実質的に妨げる一方で、サルモネラ微生物の増殖を可能にする、高度に選択的な薬剤の組み合わせとを含む。物品は更に、最大で3つの指示薬系を含み、各指示薬系は、サルモネラ微生物の存在可能性を示す固有の機能を果たす。本発明の物品がサルモネラ微生物の存在可能性を示す時に、サルモネラ微生物の存在を示すために、第4の固有の指示薬系が更に使用され得る。有利に、システム及び方法は、方法が開始された後に、数時間内のサルモネラ微生物の存在を示すために使用され得る。
【0003】
[0003] 一態様では、本開示は、標的微生物を検出するための培養デバイスを提供する。培養デバイスは、標的微生物の増殖を促進するための栄養素と、セフスロジン、ナリジクス酸、ストレプトマイシン、メチシリン、及び胆汁酸塩を含む複数の選択剤とを含む選択的増殖培地を含むことができる。培養デバイスは更に、第1の識別指示薬系及びゲル化剤を含むことができる。
【0004】
[0004] いずれかの実施形態において、培養デバイスは更に、標的微生物の存在を示すための非識別指示薬系を含むことができる。上記の実施形態のいずれかにおいて、第1の識別指示薬系は、pH指示薬を含むことができる。上記の実施形態のいずれかにおいて、培養デバイスは更に、非標的微生物の存在を示すための第2の識別指示薬系を含むことができる。上記の実施形態のいずれかにおいて、第2の識別指示薬は、発色性β−ガラクトシダーゼ酵素基質を含むことができる。上記の実施形態のいずれかにおいて、選択的増殖培地は、乾燥、再水和可能選択的増殖培地を含むことができ、ゲル化剤は、乾燥、冷水可溶性ゲル化剤を含む。上記の実施形態のいずれかにおいて、培養デバイスは、薄膜培養デバイスであってもよい。
【0005】
[0005] 更に別の態様では、本開示は、サルモネラ微生物を検出する方法を提供する。方法は、液体試料、上記の培養デバイスのいずれか、及び第3の識別指示薬系を提供することを含むことができる。方法は更に、接種された培養デバイスを形成するために、培養デバイス中で、規定の体積の試料を、選択的増殖培地;第1の指示薬系;存在する場合、非識別指示薬系;存在する場合、第2の指示薬系;及びゲル化剤と接触させることを含むことができる。方法は更に、第1の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることと、標的微生物の試料中の存在可能性の指示を検出するために、増殖培地を観察することと、標的微生物の存在可能性の指示がある時に、第3の識別を水和した増殖培地と接触させることと、標的微生物の存在の指示のために、水和した増殖培地中の第3の識別指示薬系を観察することと、を含むことができる。
【0006】
[0006] 更に別の態様では、本開示は、サルモネラ微生物を検出する方法を提供する。方法は、試料、上記の薄膜培養デバイスのいずれか、及び第3の識別指示薬系を提供することを含むことができる。方法は更に、水和した増殖培地を形成するために、培養デバイス中で、規定の体積のサルモネラを含まない水性液体を、選択的増殖培地;第1の識別指示薬系;存在する場合、非識別指示薬系;存在する場合、第2の識別指示薬系;及びゲル化剤と接触させることを含むことができる。方法は更に、水和した増殖培地に試料を接種して、接種された培養デバイスを形成することと、第1の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることと、標的微生物の試料中の存在可能性の指示を検出するために、水和した増殖培地を観察することと、標的微生物の存在可能性の指示がある時に、第3の識別を水和した増殖培地を接触させることと、標的微生物の存在の指示のために、水和した増殖培地中の第3の識別指示薬系を観察することと、を含むことができる。
【0007】
[0007] 方法の上記の実施形態のいずれかにおいて、標的微生物の存在可能性の指示を検出することは更に、非識別指示薬系及び第1の識別指示薬系と反応するが、第2の識別指示薬系と反応しないコロニーを観察することを含むことができる。上記の実施形態のいずれかにおいて、第2の構成成分を水和した増殖培地と接触させることの後に、方法は更に、第2の期間にわたって、培養デバイスをインキュベートすることを含むことができる。方法の上記の実施形態のいずれかにおいて、第1の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることは、約0.5時間〜約24時間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることを含むことができる。方法の上記の実施形態のいずれかにおいて、第2の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることは、約30分〜約360分にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることを含むことができる。
【0008】
[0008] 別の態様において、本開示は、サルモネラ微生物を検出するためのシステムを提供する。システムは、サルモネラ微生物に対して高度に選択的である栄養培地と、少なくとも2つの識別指示薬系とを含む培養デバイスを含み、第1の識別指示薬系は、サルモネラ微生物の陽性指示薬であり、第2の識別指示薬系は、サルモネラ微生物の陰性指示薬である。システムは更に、第3の識別指示薬系を含む検出物品を含むことができ、第3の識別指示薬系は、サルモネラ微生物の陽性指示薬である。
【0009】
[0009] システムのいずれかの実施形態において、第2及び第3の識別指示薬系のそれぞれは、発色性酵素基質を含むことができ、各発色性酵素基質は、炭水化物構成成分及び発色団を含む。システムのいずれかの実施形態において、第2及び第3の識別指示薬系のそれぞれは、同一の発色団を含むことができる。システムのいずれかの実施形態において、第2の識別指示薬系は、β−ガラクトシダーゼ酵素活性の発色性指示薬を含むことができる。システムのいずれかの実施形態において、第3の識別指示薬系は、α−ガラクトシダーゼ酵素活性の発色性指示薬を含むことができる。
【0010】
[0010] 用語「好ましい」及び「好ましくは」とは、特定の状況下で、特定の利益をもたらすことができる、本発明の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じ状況又は他の状況下で、好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0011】
[0011] 本明細書で使用するところの用語「非識別指示薬系」は、例えば、異なる種類の微生物を区別しない、指示染料等の一般的な指示薬系を指す。
【0012】
[0012] 本明細書で使用するところの用語「識別指示薬系」は、2つ以上の種類の微生物を区別する指示薬系を指す。幾つかの実施形態では、識別指示薬系は、例えば、炭水化物及びpH指示薬を含んでもよく、系は、炭水化物を酸性最終生成物に発酵させる微生物と、炭水化物を酸性最終生成物に発酵させない微生物との間で区別することができる。幾つかの実施形態では、識別指示薬系は、発色性又は蛍光酵素基質を含むことができ、系は、酵素基質と反応する酵素を含む微生物と、酵素基質と反応する酵素を含まない微生物との間で区別することができる。
【0013】
[0013] 用語「含む」及びその変化形は、これらの用語が、本説明及び特許請求の範囲に現れる場合、限定する意味を有するものではない。
【0014】
[0014] 本明細書で使用するところの「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、互換可能に使用される。したがって、例えば、微生物は、「1つ以上の」微生物を意味すると解釈され得る。
【0015】
[0015] 用語「及び/又は」とは、列記される要素のうちの1つ若しくは全て、又は列記される要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0016】
[0016] また本明細書では、終端点による数値範囲の詳細説明は、その範囲内に含まれる全ての数を包含する(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを包含する)。
【0017】
[0017] 上記の本発明の「課題を解決するための手段」は、開示される実施形態のそれぞれ、又は本発明のあらゆる実装を説明することを意図するものではない。以下の説明により、例示的実施形態を、より具体的に例示する。本出願の全体にわたる幾つかの箇所で、実施例のリストを通じて指針が提供され、それらの実施例は、様々な組み合わせで使用することができる。いずれの場合でも、記載されるリストは、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的なリストとして解釈するべきではない。
【0018】
[0018] これら及び他の実施形態の追加の詳細を添付図及び以下の説明にて提示する。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】[0019] 本開示による、サルモネラ微生物を検出する培養デバイスの一実施形態の上面斜視図。
【
図2】[0020] デバイスに接種するための「開放」位置にある培養デバイスを示す、
図1の培養デバイスの平面図。
【0020】
[詳細な説明]
[0021] 食品試料中のサルモネラ微生物を検出するための現在の方法は、非標的微生物(例えば、非サルモネラエンテロバクテリアセエ:シトロバクター、大腸菌、プロテウス/モルガネラ/プロビデンシア、非エンテロバクテリアセエ(non-Enterobactericeae):エロモナス等)に対して、標的(サルモネラ)微生物の数及び/又は濃度を増加させるために、選択増菌手順の使用を含む。典型的には16〜48時間続く増菌手順後に、得られた培養物は、例えば、めっき技術、免疫診断技術(例えば、ELISA、免疫クロマトグラフィ)、及び遺伝学的技術(例えば、PCR、rt−PCR、ハイブリッド形成技術)等、当該技術分野において既知である種々の技術によって、サルモネラ微生物の存在に対して試験され得る。技術のそれぞれは、サルモネラ微生物を同定するために追加の時間を必要とし、技術を実施するために、及び/又は結果を解釈するために、高度な訓練を受けた操作者を必要とし、多くの場合、高価な試薬、デバイス、及び/又は装置を必要とする。
【0021】
[0022] 本開示は、サルモネラ微生物を検出するための培養デバイスを提供する。
図1は、本開示による、部分的に開放した培養デバイス110の一実施形態の上面斜視図を示す。培養デバイス110は、米国特許第4,565,783号に開示される、乾燥フィルム培養デバイスと構造が似ており、それは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0022】
[0023] 培養デバイス110は、自己支持性防水基質112と、カバーシート124とを備える。閉鎖位置では、カバーシート124は、基質112に隣接する。
【0023】
[0024] 基質112は好ましくは、水を吸着しないか又は他の方法で水による影響を受けないポリエステル、ポリプロピレン、又はポリスチレン等の材料の比較的剛性のフィルムである。厚さ約0.004〜0.007インチ(0.10〜0.18mm)のポリエステルフィルム、厚さ約0.004〜0.008インチ(0.10〜0.20mm)のポリプロピレンフィルム、及び厚さ約0.015インチ(0.38mm)のポリスチレンフィルムは、良好に機能することがわかっている。他の好適な基材には、ポリエチレン又は他の耐水性コーティングを有する紙が挙げられる。基質12は、使用者が細菌コロニーを基質を介して視察することを望むか否かによって、透明又は不透明のどちらかであり得る。細菌コロニーの集計を容易にするために、基質12は好ましくは、その上に印刷される正方格子パターンを有する。
【0024】
[0025] 基質12は、その上面が接着剤116の層によってコーティングされ、その層は、粉末114を保持するのに役立ち、容易な水和のために、均一の単層中に乾燥ゲル化剤及び/又栄養素を含む。接着剤116は、非水溶性であり、微生物の増殖を阻害しないものでなければならない。好ましくは、接着剤116は、接着剤116でコーティングされたフィルムを通して細菌コロニーを見ることができるように濡れた時に、十分に透明である。接着剤116は、感圧性であることが好ましい。しかしながら、より融点の低い物質がより融点の高い基材上にコーティングされている熱活性化接着剤を用いてもよい。
【0025】
[0026] ゴム糊等の水活性化接着剤も有用である場合がある。接着剤116は、好ましくは粉末化されたゲル化剤及び/又は栄養素の粒子の直径未満の厚さで基質112上に被覆されるべきである。目的は、粒子を基質に接着させるために十分な接着剤116を塗布することであるが、あまり接着剤が多いと粒子が完全に接着剤116に埋め込まれてしまう。
【0026】
[0027] 粉末114の均一な単層は、水和のために露出される十分な表面積を有することが所望される。概して、0.0002〜0.0005インチ(0.0051〜0.013mm)の範囲の厚さの接着層が好適である。好ましい接着剤116は、イソオクチルアクリレート/アクリルアミドのコポリマー(94/6のモル比で)である。使用されてもよい他の感圧性接着剤には、イソオクチルアクリレート/アクリル酸(95/5又は94/6のモル比で)及びシリコーンゴムが挙げられる。水への露出時に乳化する接着剤は、あまり好ましくないが、不透明基材と共に、又はコロニー可視化が必要とされない場合に、使用されてもよい。
【0027】
[0028] 冷水可溶性粉末114の単層は、接着層116に均一に接着される。粉末114は、ゲル化剤、微生物を増殖させるための1つ以上の栄養素、及びゲル化剤と微生物を増殖させるための1つ以上の栄養素との混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの成分を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、用語「粉末」は、400マイクロメートル未満の平均直径を有する超微粒子状物質を指す。本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、用語「冷水に可溶」は、室温において水中で溶液を形成する物質を指す。
【0028】
[0029] 本発明のデバイスで使用される粉末の「冷水可溶性」は、例えば、これら粉末に適切なゲル化剤が含まれることに起因する場合がある。粉末114中に含むのに好適なゲル化剤には、室温において水中で溶液を形成する、天然及び合成の両方のゲル化剤が挙げられる。ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ローカストビーンガム、及びアルギン等のゲル化剤は、室温で水溶液を形成し、「冷水可溶性」である粉末を提供するために好適なゲル化剤である。
【0029】
[0030] 示されるように、粉末114は、ゲル化剤のみを含んでもよい。製造時、デバイスがゲル化剤のみを含む粉末を含有している場合、エンドユーザは、増殖させたい微生物の種類に「合わせられた」独自の特別な栄養素を添加する。例えば、乾燥粉末栄養素が、エタノール又は「フレオン」等の迅速に蒸発する液体に懸濁させられてもよい。他の例では、乾燥粉末栄養素は、水溶液に懸濁又は溶解していてもよい。液体のアリコートは、接着剤及びゲル化剤で既にコーティングされている基材112の表面に添加される。液体は蒸発させられ、ゲル化剤とともに十分な栄養素を残す。
【0030】
[0031] ゲル化剤が粉末114中に含まれる場合、基質上に配置される、例えば、1〜3ミリリットルの所定量の水又は水性試料が、25℃で、Brookfield Model L VF粘度計を用いて、60rpmで測定される時に、約1500cps以上の粘度を有するゲルを形成するように、十分な量のゲル化剤が基質112に接着される。この粘度のゲルは、便利な取り扱い及び積層を可能にし、明確なコロニー同定を提供する。ほとんどの場合、3.14平方インチ(20.3cm
2)の表面領域上の0.025〜0.050グラムのグアーガムが、1〜3ミリリットルの水性試料で水和される時に、十分な粘性ゲルを提供する。単位面積当たりのコーティング重量を制御するために、粉末粒径が使用され得る。例えば、約100メッシュのグアーガムは、重量約0.05グラム/直径2インチ(0.0098g/cm)のディスクに対してコーティングし、400メッシュのグアーガムは、重量0.025グラム/直径2インチ(0.0049g/cm)のディスクに対してコーティングする。更なる量のゲル化剤及び/又は栄養素が必要とされる場合、この実施形態のカバーシート124もまた、本明細書に記載されるようにコーティングされてもよい。
【0031】
[0032] いずれの実施形態においても、本開示の培養デバイスは、例えば、塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)等の非識別指示薬を含むことができる。幾つかの実施形態では、非識別指示薬系を粉末114に組み込むことが好ましい場合がある。あるいは、非識別指示薬系(例えば、染料)が、接着剤116に組み込まれてもよい。好適な染料は、任意の増殖微生物により代謝され、コロニーをより容易な可視化のために着色させるものである。このような染料の例には、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ベラトリルテトラゾリウムブルー、及び関連する染料が挙げられる。
【0032】
[0033] 幾つかの使用に対して、ストリーキングによって、微生物の接種を可能にするのに十分な剛性を有する培地を形成することが望ましく場合がある。ストリーキングが可能な培地を形成するために、粉末114中の少量の架橋剤を含むことが望ましい場合があり、ここで、粉末114は、ゲル化剤を含む。例えば、グアーガムの場合、四ホウ酸カリウム、アルミニウム、又はカルシウム塩等の架橋剤が、粉末114の1.0重量%未満の量で添加されてもよい。対象とする微生物の増殖に実質的に影響を及ぼさない架橋剤を慎重に選択しなければならない。
【0033】
[0034] カバーシート124は好ましくは、細菌コロニーの可視化、及び任意に、集計を容易にするために透明であり、細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性である。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「細菌及び水蒸気に対して実質的に不透過性」は、デバイスの運送、保管、及び使用中に脱水培地の所望されない汚染を防止する、並びにインキュベーション期間の間に微生物の増殖を助ける環境を提供する、カバーシートを指す。概して、カバーシート124は、基質112と同一の特性を有するが、同じくらい剛性である必要はない。カバーシート124に好ましい材料は、1.6ミル(0.041mm)の2軸配向ポリプロピレンフィルムである。カバーシート124は、接着剤の任意の層でコーティングされてもよい(図示せず)。ある特定の好ましい実施形態では、カバーシート124は、例えば、両面接着テープ126、又は感圧接着剤のみによって、基質112に接着されてもよい。
【0034】
[0035] 実質的に水を含まず、かつゲル化剤、1つ以上の選択剤、微生物を増殖させるための1つ以上の栄養素、非識別指示薬系、1つ以上の識別指示薬系、及び上記の構成成分のうちのいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される構成成分を含む、冷水で再構成可能な材料から本質的になるコーティング120が、カバーシート124の表面の少なくとも一部分にコーティングされる。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるフレーズ「実質的に水を含まない」は、いったんそれが周囲環境と平衡化できるようになると、およそ、脱水コーティングの含水量以下の含水量を有するコーティングを指す。
【0035】
[0036] コーティング120で使用される材料は、冷水で再構成可能である。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「冷水で再構成可能」は、室温において水中で溶液、ゾル、又はゲルを形成する材料を指す。この実施形態のコーティングの中に含むのに好適なゲル化剤(これらがコーティング中に含有されるならば)には、室温において水中で溶液を形成する、上記のゲル化剤が挙げられる。更に、寒天は、熱湯で溶解され、コーティングとして堆積された後に、「冷水で再構成可能」になる材料であることがわかっている。
【0036】
[0037] 好ましいコーティング混合物は、以下の成分を混合することによって調製される。
【0037】
【表1】
【0038】
[0038] 上記の混合物が、少なくとも2つの選択剤(例えば、塩化ナトリウム及び胆汁酸塩No.3)を含むことが、当業者によって理解されるであろう。更に、上記の混合物が、識別指示薬として、又は識別指示薬系の一部分として機能し得る少なくとも2つの構成成分(例えば、フェノールレッド及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−ガラクトピラノシド)を含むことが、当業者によって理解されるであろう。例えば、フェノールレッドは、例えば、サルモネラ微生物等の微生物の存在を示すための識別指示薬系を形成するために、代謝可能化合物(例えば、2−デオキシ−D−リボース又は尿素)と剤形中で使用され得る。サルモネラ微生物は、2−デオキシ−D−リボースを酸副生成物に発酵させ、それにより、pH指示薬の存在下で視覚的に検出され得る酸領域を生成することができる。サルモネラ微生物は更に、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−D−ガラクトピラノシドと反応し、黒に着色されたコロニーを形成することができる。非サルモネラ微生物(例えば、コリフォーム微生物)は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−ガラクトピラノシドと反応し、青緑色に着色されたコロニーを形成することができる。驚くべきことに、上記の発色性酵素基質の両方が、本開示の本発明の物品中で、同一の発色団(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−)を含む場合でさえ、それらは、微生物によって加水分解され、視覚的に区別できる着色生成物を生成する。指示薬系は、接着層、粉末層、及び/又は乾燥、再水和可能コーティングにおいて、培養デバイスに組み込まれてもよい。
【0039】
[0039] 上記の混合物に挙げられる選択的成分に加えて、コーティング混合物は更に、サルモネラ微生物の増殖を可能にする一方で、種々の他の(例えば、「非標的」)微生物の増殖を実質的に妨げる、高度に選択的な抗生物質の組み合わせを含むことができる。かかる組み合わせの非限定的な実施例としては、セフスロジンナトリウム塩(約12mg/L)、ナリジクス酸ナトリウム塩(約4mg/L)、ストレプトマイシン硫酸塩(約4mg/L)、及びメチシリンナトリウム塩(約45mg/L)の混合物が挙げられる。
【0040】
[0040]
図1を再び参照すると、カバーシート124は、基質112に面するカバーシート124の表面に適用されるスペーサ要素118を含む。スペーサ要素118は、カバーシート124上で、乾燥、再水和可能コーティング120を露出するために、中心を通過する円形穴122を含む。穴122の壁は、水和の後に培地を限定する所定の寸法及び形状のウェルを提供する。スペーサ要素118は、所望の体積、例えば、1、2、又は3ミリリットルのウェルを形成できるように十分厚くなければならない。独立気泡ポリエチレンフォーム又はポリスチレンフォームは、スペーサ要素118の好ましい材料であるが、疎水性(非濡れ性)であり、微生物に対して不活性、かつ滅菌に対して耐え得る任意の材料を用いることができる。
【0041】
[0041] カバーシート124を横断する穿孔126もまた、
図1に示される。穿孔126は、培養デバイス110の開放を容易にし、幾つかの実施形態では、
図2に示されるように、培養デバイス110を開放した状態で保持することができる。
【0042】
[0042]
図2は、本開示の開放した培養デバイス110の平面図を示す。基質112、カバーシート124、スペーサ要素118、穴122、及び穿孔126が、
図2に示される。この位置において、プレートに接種するために、液体試料(図示せず)が基質112上、又はスペーサ要素118によって形成されるウェル中に配置され得る。
【0043】
[0043] サルモネラ微生物の存在に対して試料を試験するために、本開示の薄膜培養デバイスが使用され得る。試料材料としては、サルモネラ微生物を含有することが疑われる試料材料が挙げられる。試料材料は、液体、固体、液体中で懸濁又は分散した固体、ヒドロゲルであってもよい。実施形態のいずれかにおいて、試料は、濃縮(例えば、濾過、沈殿、凝集、遠心分離、吸収、及び/又は吸着によって)、増菌(例えば、選択増殖増菌)、並びに精製(例えば、クロマトグラフィー精製)が挙げられるがこれらに限定されない、1つ以上の試料調製技術に供された微生物及び/又は材料(例えば、食品、飲料)を含んでもよい。
【0044】
[0044] 一実施形態において、培養デバイスを水和させ、接種された培養デバイスを形成するために、規定の体積の液体試料は、カバーシート上のコーティング及び基質上の粉末と接触させられ得る。代替実施形態では、培養デバイスの水で再構成可能なコーティングは、水性液体(例えば、滅菌水)で水和されてもよく、試料は、任意にストリークプレート技術を使用して、水和した培養デバイスに適用され得る(例えば、ピペット、綿棒、ループによって)。好ましくは、培養デバイス中のコーティングは、第1の指示薬系(例えば、2−デオキシ−D−リボース、及びフェノールレッド等のpH指示薬)、非識別指示薬系(例えば、TTC)、並びに第2の指示薬系(例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−ガラクトピラノシド、「X−gal」)を含む。任意に、培養デバイスは、イソプロピル−β−D−チオガラクトシド、β−ガラクトシダーゼ酵素活性の誘導物質等、指示薬系のうちの1つ以上と関連する微生物活性のための誘導物質を含んでもよい。サルモネラ微生物の存在を示すために使用される別の識別指示薬系は、例えば、尿素、及びフェノールレッド等のpH指示薬を含む。
【0045】
[0045] 培養デバイスの接種後に、サルモネラ微生物の増殖を促進するために、培養デバイスは、ある期間にわたってインキュベートされ得る。当業者は、サルモネラの増殖を促進するために最適な温度を認識するであろう。培養デバイスは、約0.5〜約48時間、好ましくは約0.5〜約24時間、より好ましくは約0.5時間〜約6時間にわたってインキュベートされ得る。
【0046】
[0046] インキュベーション期間後に、接種された培養培地は、サルモネラ微生物の存在可能性の指示に対して観察され得る。1つの指示は、TTCからのホルマザン色素の形成による、赤色コロニーの出現である。更に、赤色コロニーを包囲する酸領域は、コロニーがサルモネラ微生物を含むことを示し得る反応である、コロニー中の細菌が、2−デオキシ−D−リボースを酸副生成物に発酵させたことを示す。コロニーがX−galとの反応と関連する青緑色に着色された領域を有する場合、これは、コロニーがサルモネラ微生物ではない可能性があることを示す。
【0047】
[0047] 酸領域(例えば、pH指示薬がフェノールレッドである時、黄色領域)によって包囲される赤色コロニーの存在は、培養デバイス中のサルモネラ微生物の存在を示唆する。この推定的結果は更に、別の識別指示薬(例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−D−ガラクトピラノシド)をコロニーと接触させることによって裏付けられ得る。幾つかの実施形態では、これは、プレートを開放し、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−D−ガラクトピラノシドの溶液を増殖培地に添加することによってなされ得る。あるいは、これは、プレートを開放し、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−D−ガラクトピラノシドを含むコーティングを含む、乾燥、再水和可能物品を添加することによってなされ得る。物品は、米国特許第6,022,682号に記載されるように製造され得、それは、参照によりその全体が組み込まれる。5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−D−ガラクトピラノシドは、例えば、約30分〜約360分等の期間にわたって、培養デバイスの増殖領域と接触させられる。任意に、接触は、高温(例えば、37℃)で生じ得る。
【0048】
[0048] 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−D−ガラクトピラノシドを増殖培地と接触させた後に、培養デバイスは、コロニーと関連する非常に暗い(例えば、ほぼ黒)色に対して観察され得る。酸領域と関連する任意の赤色コロニー、及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−D−ガラクトピラノシドの加水分解からの非常に暗い(例えば、ほぼ黒)色は、サルモネラ微生物である可能性が非常に高い。
【0049】
[実施形態]
[0049] 実施形態1は、標的微生物を検出するための培養デバイスであって、
標的微生物の増殖を促進するための栄養素と、セフスロジン、ナリジクス酸、ストレプトマイシン、メチシリン、及び胆汁酸塩を含む複数の選択剤とを含む選択的増殖培地と、
第1の識別指示薬系と、
ゲル化剤と、を含む、培養デバイスである。
【0050】
[0050] 実施形態2は、標的微生物の存在を示すための非識別指示薬系を更に含む、実施形態1に記載の培養デバイスである。
【0051】
[0051] 実施形態3は、第1の識別指示薬系がpH指示薬を含む、実施形態1及び2に記載の培養デバイスである。
【0052】
[0052] 実施形態4は、非標的微生物の存在を指すための第2の識別指示薬系を更に含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の培養デバイスである。
【0053】
[0053] 実施形態5は、第2の識別指示薬系が発色性β−ガラクトシダーゼ酵素基質を含む、実施形態4に記載の培養デバイスである。
【0054】
[0054] 実施形態6は、微生物β−ガラクトシダーゼ酵素活性の誘導物質を更に含む、実施形態4又は実施形態5に記載の培養デバイスである。
【0055】
[0055] 実施形態7は、選択的増殖培地が、乾燥、再水和可能選択的増殖培地を含み、ゲル化剤が、乾燥、冷水可溶性ゲル化剤を含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の培養デバイスである。
【0056】
[0056] 実施形態8は、培養デバイスが薄膜培養デバイスを含む、実施形態7に記載の培養デバイスである。
【0057】
[0057] 実施形態9は、サルモネラ微生物を検出するためのシステムであって、
サルモネラ微生物に対して高度に選択的である栄養培地と、少なくとも2つの識別指示薬系とを含む培養デバイスであって、第1の識別指示薬系が、サルモネラ微生物の陽性指示薬であり、第2の識別指示薬系が、サルモネラ微生物の陰性指示薬である、培養デバイスと、
第3の識別指示薬系を含む検出物品であって、第3の識別指示薬系が、サルモネラ微生物の陽性指示薬である、検出物品と、を含む、システムである。
【0058】
[0058] 実施形態10は、第2及び第3の識別指示薬系のそれぞれが、発色性酵素基質を含み、各発色性酵素基質が、炭水化物構成成分及び発色団を含む、実施形態9に記載のシステムである。
【0059】
[0059] 実施形態11は、第2及び第3の識別指示薬系のそれぞれが、同一の発色団を含む、実施形態10に記載のシステムである。
【0060】
[0060] 実施形態12は、第2の識別指示薬系が、β−ガラクトシダーゼ酵素活性の発色性指示薬を含む、実施形態9〜11のいずれか1つに記載のシステム。
【0061】
[0061] 実施形態13は、第3の識別指示薬系が、α−ガラクトシダーゼ酵素活性の発色性指示薬を含む、実施形態9〜11のいずれか1つに記載のシステム。
【0062】
[0062] 実施形態14は、サルモネラ微生物を検出する方法であって、
液体試料、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の培養デバイス、及び第3の識別指示薬系を提供することと、
接種された培養デバイスを形成するために、培養デバイス中で、規定の体積の試料を、選択的増殖培地;第1の指示薬系;存在する場合、非識別指示薬系;存在する場合、第2の指示薬系;及びゲル化剤と接触させることと、
第1の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることと、
標的微生物の試料中の存在可能性の指示を検出するために、接種増殖培地を観察することと、
標的微生物の存在可能性の指示がある時に、第3の識別を水和した増殖培地と接触させることと、
標的微生物の存在の指示のために、水和した増殖培地中の第3の識別指示薬系を観察することと、を含む、方法である。
【0063】
[0063] 実施形態15は、サルモネラ微生物を検出する方法であって、
試料、実施形態8に記載の培養デバイス、及び第3の識別指示薬系を提供することと、
水和した増殖培地を形成するために、培養デバイス中で、規定の体積のサルモネラを含まない水性液体を、選択的増殖培地;第1の識別指示薬系;存在する場合、非識別指示薬系;存在する場合、第2の識別指示薬系;及びゲル化剤と接触させることと、
水和した増殖培地に試料を接種して、接種された培養デバイスを形成することと、
第1の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることと、
標的微生物の試料中の存在可能性の指示を検出するために、水和した増殖培地を観察することと、
標的微生物の存在可能性の指示がある時に、第3の識別を水和した増殖培地と接触させることと、
標的微生物の存在の指示のために、水和した増殖培地中の第3の識別指示薬系を観察することと、を含む、方法である。
【0064】
[0064] 実施形態16は、標的微生物の存在可能性の指示を検出することが、非識別指示薬系及び第1の識別指示薬系と反応するが、第2の識別指示薬系とは反応しないコロニーを観察することを更に含む、実施形態14又は実施形態15に記載の方法である。
【0065】
[0065] 実施形態17は、第2の構成成分を水和した増殖培地と接触させることの後に、方法が、第2の期間にわたって、培養デバイスをインキュベートすることを更に含む、実施形態14〜16のいずれか1つに記載の方法である。
【0066】
[0066] 実施形態18は、第1の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることが、約0.5時間〜約24時間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることを含む、実施形態14〜17のいずれか1つに記載の方法である。
【0067】
[0067] 実施形態19は、第1の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることが、約0.5時間〜約6時間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることを含む、実施形態18に記載の方法である。
【0068】
[0068] 実施形態20は、第2の期間にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることが、約30分〜約360分にわたって、接種された培養デバイスをインキュベートすることを含む、実施形態14〜19のいずれか1つに記載の方法である。
【実施例】
【0069】
[0069] 本発明は、以下に記載される特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に適正に明示されるように、本発明の全ての態様を保護するものであると理解されるべきである。様々な修正、同等の方法、及び、本発明を適用可能である多くの構造は、本発明が対象となる技術分野の当業者が本発明の明細書を検討することにより、容易に明らかになるであろう。特に明記しない限り、全ての割合及び部は重量である。特に明記しない限り、材料は、Alpha Biosciences,Baltimore,MDから市販されているものである。
【0070】
[0070] 材料
[0071] 実施例1.サルモネラ検出物品の調製
[0072] 上に0.5インチ(12.7mm)の正方格子線を有する防水のポリエチレンでコーティングされた紙上に、接着剤をコーティングしたことを除いて、米国特許第5,409,838号の実施例4に従って、薄膜培養プレート用の基板部材を調製した。2重量部の2−デオキシ−D−リボース(2DR)と、98重量部のグアーガム(M150グアーMEYPROGATガム、Meyhall Chemical AG)とを混合することによって、粉末組成物を調製した。少量(0.5%未満)のシリカ(CAB−O−SILシリカ、Cabot Corp.,Boston MA)を、処理のために必要に応じて添加した。次いで、粉末混合物を接着剤コーティングされた紙上に振りかけ、過剰な粉末を除去するために、傾斜させ軽く叩いた。
【0071】
[0073] 容器中で、表1に列挙される材料を1リットルの脱イオン水に添加することによってブロス混合物を調製し、米国特許第6,022,682号の実施例1に記載される方法に従って混合した。
【0072】
【表2】
*Biosynth AG,Switzerlandから
【0073】
[0074] 12mgのセフスロジンナトリウム塩(Research Products International,Chicago,IL)、4mgのナリジクス酸ナトリウム塩(Sigma Aldrich,St.Louis MO)、4mgのストレプトマイシン硫酸塩(Sigma)、45mgのメチシリンナトリウム塩(Sigma)、0.4mgのイソプロピル−B−D−ガラクトピラノシド(Sigma)、及び2gの尿素(EMD)を、20mLの滅菌脱イオン水に添加することによって、選択剤混合物を調製し、完全に溶解するまでガラスフラスコ中でかき混ぜた。ブロスを約40℃まで冷却し、選択的混合物を激しく混合しながら添加した。
【0074】
[0075] カバーフィルム用の厚さ2.9ミル(0.074mm)のポリエステルフィルムのコロナ処理された面に、選択的ブロスをコーティングしたことを除いて、米国特許第6,022,682号の実施例VIに記載されるように、カバーフィルム及び薄膜培養プレートを調製した。プレートは約7.6cm×10.2cmであり、直径5cmの円をフォームから切り取り、プレートの中心の周りにウェルを提供した。
【0075】
[0076] 実施例2.サルモネラ微生物を検出する方法
[0077] サルモネラ細菌の純培養(肉混合物から単離された3Mの培養指定FSDCC SAL140)を緩衝ペプトン水(Merck,Darmstadt,Germany)に接種し、37℃で一晩インキュベートした。得られたブロスは、約1×10
9コロニー形成単位/mL(cfu/mL)の濃度を有した。ブロスを、滅菌緩衝ペプトン水中で、約1×10
6cfu/mLの最終濃度まで希釈した。
【0076】
[0078] 1.5mLのバターフィールド緩衝液を、粉末コーティング上のウェルの位置のほぼ中央に添加することによって、実施例1の薄膜培養プレートをストリーキングのために調製した。カバーフィルムを閉鎖し、ゲルを約1時間にわたって水和させた。カバーフィルムを開放した時に、ブロスコーティングはゲル表面に移動していた。最終濃度の10マイクロリットルのループを、ゲル上のブロス表面でストリークした。カバーを閉鎖し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。プレートをコロニー計数のために分析した。コロニーを示す赤色の点が見られた。
【0077】
[0079] 実施例3.サルモネラ微生物を検出するための指示薬物品の使用
[0080] 参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第61/428,722号の実施例1及び2に記載されるディスクを、コロニーの上に配置し、ディスクを37℃でインキュベートする。3、4、及び5時間後に、ディスクを増殖に対して検査する。
【0078】
[0081] 本明細書に引用するすべての特許、特許出願及び公開公報、並びに電子的に入手可能な資料の開示内容の全体を援用する。本出願の開示内容と本明細書に援用されるいずれかの文書の開示内容との間になんらかの矛盾が存在する場合には、本出願の開示内容が優先するものとする。上記の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。本発明は、図示及び説明された厳密な詳細に限定されるものではなく、当業者には明らかな変形例は特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれるものとする。
【0079】
[0082] 全ての見出しは、読者の利便性のためであり、指定のない限り、その見出しに続く本文の意味を限定するために使用するべきではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行ってもよい。これらの及び他の実施形態は、以下の「特許請求の範囲」に含まれる。