特許第6000343号(P6000343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000343
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】創傷接触部材および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20160915BHJP
   A61M 27/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   A61F13/00 301C
   A61M27/00
【請求項の数】8
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-514141(P2014-514141)
(86)(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公表番号】特表2014-521397(P2014-521397A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】GB2012000489
(87)【国際公開番号】WO2012168678
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】1109497.6
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1109500.7
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1109502.3
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ケネス・ヒックス
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・メアリー・ハドルストン
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0305526(US,A1)
【文献】 特表2012−528680(JP,A)
【文献】 特表2011−516199(JP,A)
【文献】 実開昭48−114696(JP,U)
【文献】 実開昭48−059593(JP,U)
【文献】 特表2012−513825(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0160874(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00 − 13/14
15/00 − 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷からの除去時の痛みを軽減するように選択された、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材であって、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える創傷接触部材において、
マイクロCTで測定した場合に、前記複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有することと、
1つまたは複数のストラット要素が、マイクロCTで測定した場合に、0.23mm以上の厚さを有することと、
からなる群より選択される少なくとも1つの属性を備えており、
前記複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3mmから5.5mmの間の直径を有しており、かつ前記細孔の数が、10ppi(25ppcm)〜20ppi(51ppcm)である、創傷接触部材。
【請求項2】
前記複数のストラット要素のうちの少なくとも10%が、0.23mm以上の厚さを有する、請求項に記載の創傷接触部材。
【請求項3】
−120mmHgにて50から90%の間の圧縮歪みを有する、請求項1または2に記載の創傷接触部材。
【請求項4】
前記複数のストラット要素は、マイクロCTで測定した場合に、126mmの体積内に30から150mmの間の総表面積を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の創傷接触部材。
【請求項5】
フォームである、請求項1からのいずれか一項に記載の創傷接触部材。
【請求項6】
前記創傷接触部材の密度が、0.03から0.04g.cm−3の間である、請求項1からのいずれか一項に記載の創傷接触部材。
【請求項7】
患者または患畜の創傷を陰圧閉鎖療法(NPWT)により治療するための装置であって、
請求項1からのいずれか一項に記載の創傷接触部材と、
前記創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、前記創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と、
を備える、装置。
【請求項8】
前記封止密閉部を真空源と流体連通状態に配置するための連結デバイスをさらに備える、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、創傷接触部材と、それを組み込んだ方法、装置、システム、およびキットに関する。詳細には、限定するものではないが、実施形態は、組織の内方成長を防止もしくは阻止し、かつ/または組織の肉芽成長を向上させるためのフォームと、組織の内方成長を防止もしくは阻止し、かつ/または組織の肉芽成長を向上させるように構成された創傷充填材と、組織の内方成長を防止もしくは阻止し、かつ/または組織の肉芽成長を向上させるように創傷を治療する方法と、創傷を治療するための装置とに関する。いくつかの実施形態の創傷接触部材は、陰圧閉鎖療法(NPWT)の適用において使用され得る。いくつかの実施形態は、一般的にはNPWTを利用する創傷治療に関し、より詳細には、その治療の改良された装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
局所陰圧療法(TNP)または真空補助閉鎖療法としばしば呼ばれるNPWTは、慢性損傷、複雑な急性創傷を含むがそれらに限定されない多数の創傷タイプの治療において、より迅速かつより可制御的な治癒を行うことによって、極めて有効であることが判明している。さらに、NPWTは、熱傷、弁状創傷、移植片、および切開創傷の治療において有効であることが判明している。創傷という用語は、広範な解釈を有し得るものであり、哺乳動物の身体における損傷または軟組織の喪失を含み得る点を理解されたい。NPWTを適用するために利用される装置は、一般的には、創傷を覆って閉鎖環境を形成するための覆布または封止フィルムなどを含む。吸引導管が、閉鎖環境との間で流体連通状態になされ、その遠位端部で例えば電気駆動ポンプまたは手動ポンプなどの真空源へと連結されて、創腔内に大気圧と比較して陰圧(減圧)を生じさせる。この減圧により、例えば血流の上昇、肉芽組織の成長の迅速化、および滲出液が創傷から除去されることなど、多数の有益な治療効果が創傷に対してもたらされる。
【0003】
NPWTは、多数の形状および大きさの創傷の治療に利用可能である。また、これらの創傷は、かなりの深さを、したがってかなりの体積を有するものであってもよい。臨床医は、近年のNPWT用包帯による成果の向上を依然として必要としている。特に、患者がかなりの組織の喪失を受けているような大きな創傷は、閉鎖を行うことが可能となるまでに、組織の迅速な成長をしばしば必要とする。かかる例においては、組織の欠陥を埋め、創面収縮および最終的には再上皮化を促進させるために、肉芽組織の迅速な形成が望ましい。
【0004】
好ましくは、創傷は、底部から上方に治癒し、エッジから望ましくは均一に閉じるべきである。特に、創傷は、組織中の閉塞された腔部すなわち「死腔」を囲み形成しないことが望ましい。なぜならば、かような腔部は、感染を受けやすいからである。
【0005】
NPWTの際の閉塞された腔部の形成を防止するのに、創傷には、NPWTの際に生じる圧縮力に抵抗するように望ましくは幾分かの弾性を有し、しかし陰圧の伝達および流体流を許容する、充填材が詰められてもよい。この充填材の目的は、創傷のエッジ同士を離れた状態に維持することにより、かかる腔部を成長させ形成することができないようにすることである。陰圧が、創傷部位に対して印加されると、充填材は、圧壊し、創傷床の方向へと押される傾向がある。充填材は、臨床医により個別の創傷に合致するように形状設定されてもよく、創傷床との間に密着部を形成するように創傷内に配置されてもよい。
【0006】
また、充填材は、流体流チャネルを提供することにより、創傷の表面積にわたって均一な減圧分布をもたらし、創面からの(一般的には吸引導管に付随する遠隔の廃物容器または創傷包帯自体の中の保管領域内への)流体滲出物の効率的な吸引分離を促進させることができる。また、創傷充填材が存在することにより、下層組織がある程度のストレス下に置かれることによって、新組織の成長を刺激することができる。創面に対して緊張を課す創傷充填材の局所解剖学的性質の結果として創傷の細胞に対してストレスがかかることが、細胞増殖を刺激し細胞外基質の生成を増加させる点において重要な因子となることは、よく知られている。組織の緊張を高め、したがって細胞のストレスを高めることにより、細胞の増殖を上昇させることが可能であることが判明している。
【0007】
既知の創傷充填材は、網状フォームなどの連続気泡フォームまたはガーゼからしばしば構成される。これらの両タイプの充填材により、陰圧の良好な伝達が可能となり、流体の除去が可能となるが、様々な弱点を被る。フォーム充填材は、組織がフォーム構造体の中へと成長し得るという事態にしばしば陥る。フォームは、創傷床に固着した状態となり、包帯の交換時にこの充填剤を除去することが困難となり得る。新たに形成された肉芽組織は、充填材が除去される際に、フォームと共に引き裂かれてしまう場合があり、これにより、充填剤を除去する際に患者に痛みが生じ得る。これは、創傷にとっても患者にとってもトラウマ的なものとなり得る。臨床医は、組織の内方成長を最小限に抑えるために早期に包帯を交換することと、看護時間、治療コスト、および患者のアクセスを最小限に抑えるために包帯を留置することとの間で、妥協しなければならない事態にしばしば直面する。これは、現行の連続気泡フォーム充填材(すなわち非常に連続気泡的な構造を有するフォーム)の場合には特に問題となる。したがって、連続気泡創傷充填材の使用は、2〜3日間に限定される傾向があり、この日数を超えると、かなりの組織の内方成長およびその後の付着が発生すると考えられており、少なくとも、結果として除去時に組織に対する損傷および痛みが生ずる可能性がある。ガーゼ充填材および連続気泡/独立気泡混合フォーム充填材(例えばポリビニルアルコールベースフォーム)は、一般的に、内方成長に関してはより良好に機能するが、同等レベルの肉芽組織が認められる状況を誘発する能力という点では劣る場合がある。充填材と創面との間に配置される創傷接触層を備えることにより、フォームの内方に組織が成長する可能性が低下することがよく知られているが、肉芽組織形成が認められる状況を低減させるという不利益をやはりもたらす。また、結果として、治癒時間が長期化する。多くの状況において、創傷接触層は、創傷床に対して直に位置決めされ得る薄い材料シートまたは材料膜を指して用いられる用語である。しかし、創傷接触層は、創傷床に接触するあらゆる層または部材とすることもあり得る。
【0008】
充填材内への組織の内方成長を制限するための複数の試みが、従来技術において説明されている。しかし、これは、常に、肉芽細胞成長を制限し、したがって臨床効率全体に制約を与えるという犠牲を払うものであった。米国特許第6,695,823号、米国特許公開第2007/0293830号、米国特許公開第2008/091521号、米国特許公開第2006/046060号、米国特許公開第2008/0317826号、米国特許公開第2009/0105671号、米国特許公開第2008/0300555号、WO2008/141228、米国特許公開第2010/0160876号、およびWO2009/089016が、かかる試みを説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,695,823号
【特許文献2】米国特許公開第2007/0293830号
【特許文献3】米国特許公開第2008/091521号
【特許文献4】米国特許公開第2006/046060号
【特許文献5】米国特許公開第2008/0317826号
【特許文献6】米国特許公開第2009/0105671号
【特許文献7】米国特許公開第2008/0300555号
【特許文献8】WO2008/141228
【特許文献9】米国特許公開第2010/0160876号
【特許文献10】WO2009/089016
【特許文献11】米国特許公開第2011/0282309 A1号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Journal of Plastic & Reconstructive Surgery」Vol. 114、No. 5、1086〜1096頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施形態の1つの目的は、上述の問題を少なくとも部分的に緩和することである。
【0012】
本発明の実施形態の1つの目的は、既知の材料に比べて改良された創傷接触材料を提供することである。
【0013】
本発明の実施形態の1つの目的は、組織の内方成長を防止する、最小限に抑える、遅延させる、低減させる、または阻止するための、装置および方法を提供することである。
【0014】
本発明の実施形態の1つの目的は、内方成長を軽減しつつも肉芽組織の形成を促進させる、創傷充填材または創傷接触部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材が提供される。マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材が提供される。マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材が、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材が提供される。マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、複数のストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、患者または患畜の創傷を陰圧閉鎖療法(NPWT)により治療するための装置が提供され、この装置は、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える。
【0019】
本発明の第5の態様によれば、患者または患畜の創傷を陰圧閉鎖療法(NPWT)により治療するための装置が提供され、この装置は、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材が、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する。
【0020】
本発明の第6の態様によれば、患者または患畜の創傷を陰圧閉鎖療法(NPWT)により治療するための装置が提供され、この装置は、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、複数のストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する。
【0021】
本発明の第7の態様によれば、陰圧閉鎖療法(NPWT)において使用するためのキットが提供され、このキットは、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える。
【0022】
本発明の第8の態様によれば、陰圧閉鎖療法(NPWT)において使用するためのキットが提供され、このキットは、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材が、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する。
【0023】
本発明の第9の態様によれば、陰圧閉鎖療法(NPWT)において使用するためのキットが提供され、このキットは、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、複数のストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する。
【0024】
本発明の第10の態様によれば、患者または患畜の創傷を治療する方法が提供され、この方法は、
創傷床に対して創傷接触部材を適用するステップ
を含み、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える。
【0025】
本発明の第11の態様によれば、患者または患畜の創傷を治療する方法が提供され、この方法は、
創傷床に対して創傷接触部材を適用するステップ
を含み、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材が、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する。
【0026】
本発明の第12の態様によれば、患者または患畜の創傷を治療する方法が提供され、この方法は、
創傷床に対して創傷接触部材を適用するステップ
を含み、
創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、複数のストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する。
【0027】
本発明の第13の態様によれば、創傷からの除去時の痛みを軽減するように選択された、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材が提供され、この創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、
複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有することと、
1つまたは複数のストラット要素が、マイクロCTで測定した場合に、0.23mm以上の厚さを有することと
からなる群より選択される少なくとも1つの属性を備える。
【0028】
この第13の態様による創傷接触要素は、マイクロCTで測定した場合に、0.007から0.5mmの間の厚さを有する複数のストラット要素のうちの少なくとも95%のストラット要素と、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素とを共にさらに備えてもよい。任意には、創傷接触要素は、以下の属性、すなわち
複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有することと、
複数の細孔のうちの少なくとも95%が、2.5mm以上の直径を有することと、
最も通常の細孔径が、3.3から4.7mmの間であることと、
細孔径が、5から25ppiの間であることと、
複数のストラットのうちの少なくとも10%が、0.23mm以上の厚さを有することと、
-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有することと、
-120mmHgにて約50から約80%の間の圧縮歪みを有することと、
-120mmHgにて約55から約75%の間の圧縮歪みを有することと、
マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有することと、
マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に45から100mm2の間の総表面積を有することと、および/または、
マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に55から95mm2の間の総表面積を有することと
の中の1つまたは複数をさらに備えてもよい。
【0029】
さらに、創傷接触部材は、創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させてもよい。創傷接触部材は、フォームであってもよく、このフォームは、網状のもの、ポリウレタン、および/またはポリエーテルポリウレタンであってもよい。創傷接触部材は、0.03から0.04g.cm-3の間の密度を有してもよい。
【0030】
本発明の第14の態様によれば、患者または患畜の創傷を陰圧閉鎖療法(NPWT)により治療するための装置が提供され、この装置は、第13の態様の創傷接触部材と、創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材とを備える。この装置は、密閉部を真空源と流体連通状態に配置するための連結デバイスをさらに備えてもよい。
【0031】
本発明の第15の態様によれば、創傷床に対して第13の態様の創傷接触部材を適用するステップを含む、創傷を治療するための方法が提供される。この方法は、創傷接触部材を覆うカバーを適用することにより封止密閉部を形成するステップ、および/または創傷床に対して陰圧閉鎖療法(NPWT)を適用するステップをさらに含んでもよい。この方法は、創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させるために利用されてもよい。この方法は、少なくとも72時間にわたり創傷に対して-40mmHgから-200mmHgの範囲内の陰圧を印加してもよく、陰圧および創傷接触部材は、創傷における肉芽組織の成長を促進させ、陰圧によって創傷接触部材を圧縮して、それにより、空隙体積を縮小させると共に、ストラット体積を拡張させる。この方法は、創傷からカバーおよび創傷接触部材を除去することをさらに含んでもよく、創傷から創傷接触部材を除去するために必要とされる力は、5mN未満である。いくつかの実施形態においては、創傷に対する陰圧の印加により、創傷接触部材は、創傷の組織中に約950から約1000μmだけ入り込む。いくつかの実施形態においては、陰圧を印加するステップの前に、創傷接触部材は、総体積の約90から約98%の細孔体積を有し、少なくとも72時間にわたり陰圧を印加するステップの後に、創傷接触部材は、総体積の約70から約90%の細孔体積を有する。
【0032】
いくつかの実施形態は、従来的な期間(3日間など)内における創傷接触部材または充填材に対する組織の内方成長が、完全にまたは実質的に防止されるという利点をもたらす。したがって、創傷部位からの創傷接触部材の除去は、既知の材料に比べて、患者にとってより少ない痛みを伴い、創傷部位の組織に対してより少ない損傷をもたらす。いくつかの実施形態は、創傷接触部材が存在することにより有利な度合いの肉芽組織が刺激されるという利点をもたらす。これにより、既知の方法および装置に比べて、より迅速な治癒プロセスを創傷において達成することが可能となる。いくつかの実施形態は、NPWT用(例えば大気圧より40から200mmHg低い圧力においてなど)の改良された創傷治療装置および創傷治療方法を提供する。
【0033】
以下、添付の図面を参照として、本発明の実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】それぞれ異なる細孔径を有するフォームを示す走査電子顕微鏡画像である。
図2】NPWT装置を示す図である。
図3】代替的なNPWT装置を示す図である。
図4】陰圧による圧縮下で創傷部位に接触するフォームを示す図である。
図5】それぞれ異なる細孔数を有するフォームについて測定した圧縮歪みのグラフである。
図6】NPWT後に創傷床に接触するフォームを示す画像である。
図7】NPWT後の各フォームの創傷床圧痕深さのグラフである。
図8】NPWT後の各フォームの肉芽組織グレードのグラフである。
図9】NPWT後の様々な創傷床特徴のグラフである。
図10】NPWT後の創傷床に接触するフォームを示す画像である。
図11】NPWT後の各フォームの組織の内方成長のグラフである。
図12】NPWT後に各フォームを除去するための様々な力の測定値のグラフである。
図13a】非圧縮状態にある様々なフォームのストラットサイズの測定値を示す図である。
図13b】圧縮状態にある様々なフォームのストラットサイズの測定値を示す図である。
図13c】非圧縮状態にある様々なフォームの細孔径の測定値を示す図である。
図13d】圧縮状態にある様々なフォームの細孔径の測定値を示す図である。
図14】圧縮歪みを測定するための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
これらの図において、同様の参照数字は、同様の部分を指す。
【0036】
創傷接触部材、創傷パッカ材料、および創傷充填材という用語は、本明細書においては、フォーム、ガーゼ、または他の材料などの、創傷に接触するおよび/または創傷を少なくとも部分的に埋めるために使用される任意の適切な構成要素を指すために、同義的に使用される。創傷接触要素という用語は、創傷床に実際に接触することが可能な創傷充填材の個別の部分を指すために使用される。
【0037】
本明細書においては、「内方成長」という用語は、より通例的に認識されるような意味で、すなわち創傷充填材の機構または腔部の中に少なくとも部分的に入り込んで成長し、創傷充填材の構造要素を少なくとも部分的に包囲して、場合によっては創傷充填材に付着する、組織の形成を指して使用される。すなわち、この組織は、創傷充填材内で成長し、充填剤を部分的に包み込み、場合によっては充填材に付着することにより、創傷充填材に少なくとも部分的に絡み合った状態になり、それにより、組織からの充填材の除去が、困難になり、または患者にとって痛みを伴うものになる。換言すれば、組織は、創傷充填材の要素にまたは要素の周囲に少なくとも部分的に固着する程度にまで成長する。組織が創傷充填材に固着する点は、固着点と呼ばれる場合がある。
【0038】
肉芽組織は、創傷を治癒するために形成される、創傷部位の新たに成長した組織物質を指す。この組織は、様々な細胞タイプを含む、潅流された線維性結合組織である。この組織は、大まかには、創傷の底から成長して、創傷スペース全体を徐々に埋めることになる。
【0039】
フォームは、気泡を固体中に捕獲することにより形成された物質である。上述のように、フォームは、相互に連結した気泡を全く有さない独立気泡構造(細孔として知られており、すなわち各細孔が完全に閉鎖され、材料により囲まれる)から、連結された細孔と、細孔を支持する3次元網状構造すなわち「碁盤目状配列」の材料とを有する(この碁盤目状配列は必ずしも規則的なものではない)、様々な度合いの連続気泡構造に至るまで、非常に様々な構造を有し得る。様々な細孔径、様々なガス対周囲材料比、等々を有する、多様なセル構造が可能である。周囲の碁盤目状配列材料は、様々な構造に形成され得るものであり、この碁盤目状配列のそれぞれ個別のセクションは、ストラットと呼ばれ得る。典型的なストラットは、図1の参照番号10で特定される。したがって、創傷と接触状態にあるフォームの面は、相互に離間された創傷接触要素を備え、これらの各要素が、創傷接触面を有する。気泡により形成される細孔は、多くの場合、略球形の開口として形成される傾向があり、ストラットは、多くの場合、比較的太い端部と比較的細い中央部分とを有し、三角形断面を有する、ロッド状形状を取る傾向がある。
【0040】
本明細書においては、ppi(pores per inch:1インチ当たりの細孔数)は、フォーム材料の1インチ(2.54cm)の長さの直線にわたる細孔数の度量として利用される。標準的なフォーム材料の細孔径は、業界の製造業者により指定され、ある程度の一貫性を有することが、当業者には理解されよう。
【0041】
本発明者らは、創傷床への接触に使用するための様々なタイプのフォームと、かかるフォームに関連する様々なパラメータと対する徹底的な研究を実行した。驚くべきことには、一実施形態において、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が2.5mm以上の直径を有し、複数のストラットのうちの少なくとも95%が0.007から0.5mmの間の厚さを有し、フォームが0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラットを備える、フォームは、NPWTにおいて一般的に使用されるフォームまたは充填材に比べて、肉芽組織成長の強化と内方成長の防止または軽減との両方において特に良好に機能することが判明した。
【0042】
さらに、驚くべきことには、他の実施形態において、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が0.007から0.5mmの間の厚さを有し、1つまたは複数のストラット要素が0.23mm以上の厚さを有し、フォームが-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、フォームは、NPWTにおいて一般的に使用されるフォームまたは充填材に比べて、肉芽組織成長の強化と内方成長の防止または軽減との両方において特に良好に機能することも判明している。
【0043】
最後に、また驚くべきことには、他の実施形態において、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が0.007から0.5mmの間の厚さを有し、1つまたは複数のストラット要素が0.23mm以上の厚さを有し、これらのストラット要素が126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、フォームは、NPWTにおいて一般的に使用されるフォームまたは充填材に比べて、肉芽組織成長の強化と内方成長の防止または軽減との両方においてやはり特に良好に機能することも判明している。
【0044】
他の実施形態は、以下の特性の中の1つのみを、2つの組合せを、3つの組合せを、4つの組合せを、5つの組合せを、または6つ全ての組合せを有するフォームを備える。マイクロCTで測定した場合に、(1)複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有する。(2)複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有する。複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有する。(4)フォームが、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラットを備える。(5)フォームが、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する。および/または、マイクロCTで測定した場合に、(6)ストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する。以下では、望ましいフォームのさらなる実施形態を説明する。
【0045】
先行の研究は、組織の肉芽成長と内方成長との間には何らかのペイオフが常に存在することを示唆しているが、驚くべきことに、本発明者らは、組織の肉芽成長が良好(すなわち高い)となり得ると共に、内方成長の度合いが大幅に良好(すなわち低いまたは皆無である)となり得る、ある範囲のフォームパラメータを発見した。
【0046】
以前は、肉芽組織のより高い成長は、創傷充填材における組織のより高い付着を伴い、細孔径の拡大と共に、フォームに対する内方成長度が上昇する(例えば60ppiなどのより小さな細孔径のフォームがより低い内方成長度をもたらす一方で、30ppiなどのより大きな細孔径のフォームがより高い内方成長度をもたらす)と、考えられていた。しかし、この予想された結果とは対照的に、25ppi未満(すなわち約5から25ppi)の細孔数に相当する細孔径を有するフォームは、肉芽組織の優れた刺激と識別可能な内方成長の皆無とをもたらし、これにより、創傷から充填剤を除去するために最小限の力が必要とされ、除去時に創傷床の崩壊度が低くなることが、本発明者らにより判明した。特に、5から25ppiの、特に10から20ppiの、さらに特に15ppiの細孔数を有するフォームが、適切な創傷接触部材となり、本明細書に記載される利点をもたらすことが、判明した。これらの利点は、主にNPWT下での創傷治療に関連して明らかになった。
【0047】
マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える場合には、これは、組織成長と本明細書において指摘する関連する特性とに対する驚くべき効果に寄与すると考えられる。
【0048】
本発明の実施形態は、既知の装置および方法に比べて驚くべき新規の利点と、本明細書において説明するような肉芽成長および内方成長の改善における新規の技術効果とをもたらすものであった。
【0049】
本開示のフォームは、創傷充填材または他の創傷接触部材として非常に適する。このフォームの使用により、患者および臨床医にとっての包帯除去経験の全般が著しく改善される。また、これは、包帯の着用時間を長期化させ、コスト削減につながる。驚くべきことに、肉芽組織の形成は、これまで考えられていたように内方成長と同義的な関係には必ずしもならないことが判明している。これらのいくつかの実施形態においては、所望の効果を実現するために種々のフォーム材料を使用することが可能であることが、当業者には認識されよう。
【0050】
本開示の創傷接触部材を使用する場合には、NPWTは、創傷を覆い閉鎖環境を形成することにより、創傷に対して適用することが可能となる。この装置は、覆布または封止フィルムまどを備える。吸引導管が、閉鎖環境との間で流体連通状態になされ、その遠位端部が例えば電気駆動ポンプまたは手動ポンプなどの真空源へと連結されて、創腔内に大気圧と比較して(減圧)を生じさせる。深い創傷は、創傷パッカまたは創傷充填材を詰められてもよい。
【0051】
図2は、NPWT装置の一実施形態の概略図を示す。図2は、使用の際に、創傷部位22を覆っておよび周囲に配置された覆布20の図を示す。覆布20は、創傷を覆う包帯としての役割を果たし、普通はNPWTと共に使用される任意のタイプの包帯であってもよく、非常に概括的な言い方をすれば、包帯技術において、創傷を覆い周囲の健康な組織24との間で封止を行うことにより創傷の上に封止された腔部または空隙を形成することで知られているような、例えば半透過性で可撓性の粘着性の包帯材料などを備えてもよい。この封止された腔部または空隙は、以降においては創傷チャンバ26と呼ぶ。以降では、チャンバは、任意の幾何学形状の密閉体積を意味するものと理解される。このチャンバは、固定的なまたは可撓性の幾何学形状を有するものであってもよい。
【0052】
図2に示すように、創傷パッカ材料または創傷充填材28が、創傷床と覆布との間の腔部内において使用されてもよい。これは、いくつかの機能の中でもとりわけ、創傷領域にわたり達成されるべき均一な真空分布の実現を補助する。
【0053】
吸引導管(吸引チューブ)30は、例えば中を貫通する単一のルーメンを有し、生組織と同等のプラスチック材料から作製された、普通の可撓性チューブであってもよい。しかし、代替的に、吸引導管は、特殊な目的を達成するために、中を貫通する複数のルーメンを有してもよい。図示する例においては、吸引チューブは、創傷チャンバから、創傷部位からの滲出物を収取するための廃物収集キャニスタ32へと、および次いで陰圧を印加するためのポンプへと連結される。廃物キャニスタの出口ポートからポンプの最終排出ポートにかけては、流体は、実質的に気体状のもののみとなる。廃物キャニスタ32は、廃物キャニスタからの液体および細菌が出口ポートを経由して漏れるのを防止する、1つまたは複数のフィルタ(図示せず)を備えてもよい。例えば、これらのフィルタは、全ての液体および細菌が廃物キャニスタ32の内部廃物収集容積に閉じ込められるように、1μm疎水性液体フィルタと、0.2μm細菌フィルタとを備えてもよい。ポンプは、消音システム(図示せず)、および/またはポンプから排出ポートを経由して排出されるガスと共に臭気が漏出しないようにするための活性炭基体を有する最終フィルタをさらに備えてもよい。
【0054】
したがって、使用に際して、覆布20は、ポンプに対して流体連通された創傷部位を覆って位置決めされ、陰圧が、印加される。ポンプが作動されると、陰圧が、吸引チューブ30内に生成され、創傷チャンバ26に連通される。治療は、必要な長さにわたり、断続的にまたは連続的に継続され得る。
【0055】
この装置の陰圧範囲は、約-40mmHgから約-200mmHgの間であってもよいことが想定される(これらの圧力は、通常の周囲大気圧に対するものであり、したがって-200mmHgは、実際的な言い方をすれば約560mmHgとなる点に留意されたい)。適切には、この圧力範囲は、約-75mmHgから約-150mmHgの間であってもよい。代替的には、-75mmHgまでの、-80mmHgまでの、または-80mmHgを超過する圧力範囲を利用することが可能である。また、適切には、-75mmHg未満の圧力範囲を利用することも可能である。代替的には、-100mmHg超の圧力範囲を、または-150mmHg超の圧力範囲を利用することが可能である。適切には、創傷チャンバの圧力は-125mmHgから-20mmHgの間である。
【0056】
NPWTは、本明細書に記載されるいくつかの実施形態と共に利用し得る有利なシステムであるが、陰圧を利用しない他の構成を想定することが可能である。例えば、それほど深さのない創傷については、ある種の創傷接触層としての上述のフォームと、この創傷接触層および創傷に対して幾分かの陽圧を印加するためにこの創傷接触層を覆い広げられるカバー層とを備える包帯が、適用されてもよい。
【0057】
図3に示すように、いくつかの実施形態においては、上述の別個のキャニスタではなく、包帯自体が創傷床から取り除かれた滲出液を収容するための保管領域を備える、創傷包帯が用意されてもよい。例えば、包帯36は、創傷接触部材層38を備えてもよい。多細孔性材料層40、すなわち透過層により、液体およびガスを含む流体を、創傷部位から離れるように包帯の上方層内に透過させることが可能となる。この層は、NPWTの際には開状態に留まるため、陰圧は連通することが可能となり、陰圧は創傷部位にわたって均一化される。フォームの吸収性材料層42、すなわち不織材料もしくは合成材料および任意には超吸収性材料の層が、創傷部位から除去された流体用のリザーバを形成する。ガス不透過性で水蒸気透過性のカバー層44が、包帯の幅にわたって延在する。このカバー層は、包帯の外周部に沿った境界領域において層38に対して封止される。オリフィス46が、包帯に対して陰圧が印加され得るように、カバー層44に形成される。吸引ポート48が、オリフィスを覆いカバー層の頂部に対して封止され、オリフィスを通して陰圧を連通させる。管材が、このポートを吸引ポンプ(図示せず)に対して結合してもよい。液体に対しては不透過性であるがガスに対しては透過性であるフィルタ要素50が、液体障壁としての役割を果たすために設けられ、これにより、創傷包帯からの液体の漏出がなくなる。かかる創傷包帯ならびに関連するデバイスおよび方法のさらなる詳細は、米国特許公開第2011/0282309 A1号に見ることができ、その全体が、ここに参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
したがって、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える一実施形態の陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材が提供される。
【0059】
マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材が、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える陰圧閉鎖療法(NPWT)用の別の創傷接触部材が提供される。
【0060】
マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、複数のストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える陰圧閉鎖療法(NPWT)用のさらに別の創傷接触部材が提供される。
【0061】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、複数のストラットのうちの少なくとも10%が、マイクロCTで測定した場合に、0.23mm以上の厚さを有してもよい。
【0062】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有してもよい。より適切には、少なくとも95%が、この直径を有する。
【0063】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、部材は、-120mmHgにて50から80%の間の、50から90%の間の、およびより適切には55から75%の間の圧縮歪みを有してもよい。
【0064】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、部材は、126mm3の体積内に30から150mm2の間の表面積を有してもよい。より適切には、部材は、126mm3の体積内に45から100mm2の間の表面積を有し、さらにより適切には、50から95mm2の間の表面積を有する。
【0065】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、材料は、フォーム、特に弾性フォームであってもよい。NPWTによる患者または患畜の創傷の治療に適した装置の一実施形態は、上述のような創傷接触部材と、カバー部材とを備えてもよい。
【0066】
フォームの細孔径に付帯する因子には、空隙体積、ストラットサイズ、ストラット厚さ、材料組成、材料圧縮性、細孔寸法の異方性、材料の総表面積、およびフォーム密度が含まれる。
【0067】
フォーム材料の細孔径の違いが、組織の内方成長と肉芽組織成長との両方の度合いに対して影響を及ぼし得ることが確認されている。
【0068】
フォームの細孔径は、ストラット幅(およびストラット材料の密度によって決定され得るストラット長さ)に相関し得る。理論に縛られることを望むものではないが、細孔径およびストラット幅は、創傷床の組織中へのフォームの入り込みの程度または度合いに影響を及ぼすと考えられる。さらに、組織中へのフォームの入り込みが、組織に対するストレスおよび組織内における歪みに影響を及ぼすと考えられる。例えば、フォーム充填材が、NPWT装置を利用して創傷に対して適用される場合には、フォームストラットは、圧縮の最中に創面を下方に押圧し、減圧は、ストラット同士の間の細孔内へと創面を押し込むように作用する。この同時の押圧および引っ張りは、「微小変形歪み」として知られる歪みを結果的にもたらし得る。さらに、組織が受けるストレスおよび歪みは、肉芽組織の生成に影響を及ぼすと考えられており、白血球の細胞浸潤および組織の再組織化は、肉芽組織形成の発生の初期徴候と認識されている。
【0069】
さらに、フォーム材料の剛直性および圧縮性もまた、組織中へのフォームの入り込みの程度または度合いに影響を及ぼすこととなる。
【0070】
したがって、フォームストラットが創傷床に接触し創傷床に対してある量のストレスを課することによる微小変形歪みは、肉芽組織の成長、したがって迅速な治癒の助長を助けると認識される。
【0071】
理論に縛られることを望むものではないが、フォーム内への組織の内方成長は、細孔径、ストラットサイズ、ストラット表面積、およびフォームの圧縮性の中の1つまたは複数により影響され得ると考えられる。細孔径は、フォームの材料の圧縮性により影響され得る(圧縮性がより高い場合には、陰圧を受けると、細孔径が効果的に縮小し、創傷に接触するフォームのスタット表面積が拡張する)。より大きなストラットサイズ(幅)、したがってより大きな創傷接触面積は、フォーム内への組織の内方成長を物理的に阻止すると考えられる。より大きなストラットは、フォーム内での組織の付着を阻止するのに十分な程度まで、フォームの中および周囲において組織が成長する可能性を制限することが可能である。ストラット表面積は、陰圧を受けた場合のフォームの材料の圧縮性により影響され得る(圧縮性がより高い場合には、細孔径が効果的に縮小し、創傷に接触するフォームのスタット表面積が拡張する)。材料の圧縮性は、細孔径に影響を及ぼし得る(圧縮性がより高い場合には、陰圧を受けると、細孔径が効果的に縮小し、創傷に接触するフォームのスタット表面積が拡張する)。
【0072】
陰圧の印加は、フォームの特徴に影響を及ぼすことが認識される。すなわち、フォームに対して陰圧を印加すると、空隙の体積百分率は低下し、ストラットの体積百分率および表面積は共に上昇および拡張し、細孔径は縮小し、細孔形状は変化する(異方性の増大)。
【0073】
使用に適したフォームには、ポリウレタン(ポリエステルウレタンおよびポリエーテルウレタンなど)、ポリオレフィン(ポリエチレンなど)、ポリビニルアルコール、シリコーン、酢酸ヒドロコルチゾン、エチレン酢酸ビニル、セルロース、酢酸セルロース、ならびに例えばポリエステル-シリコーンなどのそれらの混合物が含まれ得る。
【0074】
Vishal Saxenaら(「Journal of Plastic & Reconstructive Surgery」Vol. 114、No. 5、1086〜1096頁)は、様々な多細孔性創傷充填材とそれらの創傷床の組織の緊張に対する影響とのコンピュータシミュレーションの利用について記載している。
【0075】
理論に縛られることを望むものではないが、本開示の実施形態によるフォームの細孔径が比較的大きいことにより、下層組織が成長するための比較的大きなスペースが与えられると考えられる。しかし、細孔領域間にストラットが存在することにより、ストラットは、組織内にかなりの深さまで入り込むことが可能となり、大きな度合いの微小歪みが引き起こされ、したがって高い量の肉芽組織成長形成が促進される。ストラットが大きく、介在するスペースの容量が大きい(すなわち所与の材料密度にて)ため、組織は、ストラットの頂部を越えてフォームの隣接する構造体内へと成長することを阻止または減速される。
【0076】
実験中に、表面積の大きな差が、30ppi以上の細孔数を有するフォームと、30ppi未満の細孔数を有するフォームと(同様の密度にて)の間に存在することに気付いた。5から25ppiを有するフォームは、肉芽組織の発育を促すが、著しくより低い表面積は、組織がフォーム内に成長しフォームに付着するのを回避させるのに役立つと考えられる。一般的には、これまで、細孔径が非常に小さい場合には、組織の内方成長は、肉芽組織の成長がより低いことにより、低く、細孔径が大きくなるにつれて、肉芽組織の成長が高まり、内方成長も高まると考えられていた。しかし、本発明者らは、本発明の一実施形態における5から25ppiを有するフォームが、内方成長を殆ど伴わないことを発見した。他の実施形態においては、上述のストラット特性を有するフォームが、内方成長を殆ど伴わない。
【0077】
いくつかの実施形態では、創傷接触要素同士は、肉芽組織の成長を促進するために離間されるが、組織の内方成長を防止するのに十分な間隔(および/または深さ)を依然として有する。
【0078】
肉芽組織の形成は、創傷接触要素に隣接する位置において促進される。本開示の実施形態によれば、かかる組織の位置同士の間の癒着は、創傷接触要素の間隔および/または細孔の深さの特定の選択により、防止または阻止され得る。
【0079】
NPWT治療下における典型的なフォーム圧縮は、フォームの体積にわたり均一には分布しないことが認められる。しばしば、細孔およびストラットの圧縮は、創傷床から離れる方向に向かって徐々により高くなる。陰圧化におけるフォームの圧縮の概略図が、図4に示される。図4は、この効果を過度に単純化した図として、断面においてフォームストラットを示すに過ぎない。図4からは、NPWT下においては(印加方向が矢印N.P.により大まかに同定される)、フォームは、接触表面すなわち創傷床に接触するフォームのエッジに沿ってより開いた状態となる傾向があることが分かる。
【0080】
さらに、上述の適切な特徴を有するフォームは、陰圧下において試験した場合に、「座屈」効果をさらに生じさせることに気付いた。これらのフォームストラットは、特に細長いストラット形態をもたらす寸法を有し、陰圧下において、創傷床に面するフォームのエッジ上のストラット(ストラットの「第1の層」)は、通常の態様で機能して、創傷床の組織に接触し、この組織に対してストレスを課すこととなった。しかし、ストラットのこの第1の層の背後に位置するストラットは、座屈して、フォームストラットの第1の層の背後にある種のブランケット効果をもたらした。それぞれ異なる細孔径のフォームの圧縮性を調査する研究により、上述の適切な特徴を有するフォームは、より低い圧縮性を有するより大きな細孔径を有するフォームの傾向に逆らうものとなることが確認された(図5を参照)。また、かかるブランケット形成は、組織がフォームの細孔内に成長して内方成長を生じさせるのを物理的に阻止することにもつながり得る。
【0081】
実験データ
本発明者らは、それぞれ異なるppi(pores per inch:1インチ当たりの細孔数)を有するフォームの様々なパラメータを試験した。フォーム材料は、Acoustafoam Limited(Telford、Shropshire、UK)から入手可能な標準的な連続気泡の完全な網状のポリエーテルポリウレタンフォームであった。各フォームサンプルの化学組成は、赤外線分光法を利用して試験した他のフォームと同一になるように確認を取った。
【実施例1】
【0082】
本発明者らは、15ppi、30ppi、45ppi、および60ppiのフォームを含む、それぞれ異なる細孔数を有する複数のフォームのパラメータを試験した。結果は、以下のTable 1(表1)に示す。
【0083】
本発明者らは、立体顕微鏡および走査電子顕微鏡(SEM)でこれらのフォームを観察した。SEM調査による画像を図1に示す。また、本発明者らは、SEMで圧縮された状態のフォームも観察した。
【0084】
本発明者らは、以下で「測定技術」の章において説明される技術を利用して、ストラットのパーセンテージ、ストラットの表面積、細孔のパーセンテージ、および細孔スペースの異方性を含む、フォーム密度ならびにフォーム「開放性」を計算した。具体的には、平均密度を除く全ての測定値を、以下に説明するようにマイクロCTにより測定した。
【0085】
【表1】
【0086】
適切には、創傷接触部材は、約0.002から約0.004g.cm-3の間の平均密度を有する。
【0087】
適切には、創傷接触部材は、総体積の約2.5から3%の間を占める。
【実施例2】
【0088】
本発明者らは、生体内ブタ創傷モデルにおいてNPWT下におけるそれぞれ異なる細孔径を有するフォームの効果を調査した。創傷を作り、組織学的目的から創傷に対してフォーム片を縫合し、引き抜き力データを目的として創傷に対して直径6cmおよび深さ2mmのさらなる円形のフォーム片を追加し、次いでNPWTにより創傷を治療した。各創傷は、直径6cmおよび深さ2cmの円形であり(すなわち円形創傷底を有する)、皮下組織に達していた。
【0089】
-125mmHgの一定の圧力にて72時間のNPWTの後に、フォームおよび下層の創傷床を切り離し、光学顕微鏡検査を利用して組織学的に検査した。結果の画像を図6に示す。図6から分かるように、創傷床102の組織内への15ppiのフォームのストラット115の入り込みは、30ppiのフォームのストラット130の入り込みよりも著しく大きい。
【0090】
また、創傷床内へのフォームの圧痕の平均深さを組織学的に測定した。要約した結果を図7に示す。15ppiを有するフォームは、全ての他のサンプルよりも著しく深い創傷床内への圧痕をもたらしたことが明らかである。適切には、創傷床内ヘの圧痕の深さは、約900から約1200μmの間である。さらに適切には、圧痕の深さは約900から約1000μmの間である。
【0091】
また、フォームに隣接して形成される肉芽組織を視覚的に調査し、0から5の尺度でグレード分けした。0は、新たに形成された肉芽組織が皆無な状態であり、5は、2人の無関係な臨床医が観察した場合の肉芽組織の存在感が強い状態である。15ppiのフォームでは、他のサンプルに比べて肉芽組織形成が最高レベルに認められた。要約した結果を図8に示す。また、図示するように、15ppiのフォームは、他のフォームに比べて肉芽組織形成度において最高位を記録した。
【0092】
さらに、肉芽の初期徴候に気付いた。特に、図9は、フォームのそれぞれ異なる細孔数ごとのμm2当たりに存在する白血球(創傷治癒の初期炎症期に関与する白血球)の個数のグラフを示す。これらの結果は、創傷の底に存在するフォームについてのものである。さらに、創傷の底に存在するフォームについての、再組織化深さによりμmで評価した組織の再組織化の度合いが示される。15ppiのフォームは、試験した他のフォームよりも、所与の領域に対するより高い白血球の浸潤と、より高い組織の再組織化度をもたらすことが分かる。このように、15ppiのフォームの使用後に存在する白血球の個数がより多いことは、組織の肉芽成長が、試験した他のフォームに比べて高いまたはより迅速になり得ることを示唆する。
【0093】
また、創傷部位およびフォームの上述の組織学的考察を利用して、フォーム内への組織の内方成長が72時間のNPWTセッション後に存在するか否かを調査した。図10に示すように、15ppiのフォームのストラット215は、創傷床202内に深く埋設されるが、組織の形成は、ストラットを覆って成長していない。対照的に、30ppiのフォームのストラット230では、視認可能な著しい量の組織成長が、ストラットを覆って位置している。このように、ストラットを覆う視認可能な組織成長を伴うフォームは、創傷部位からフォームを除去する際に、上に重なる組織に損傷を与える可能性がある。
【0094】
視覚による検査に加えて、フォーム内への組織の成長深さもそれぞれのフォームサンプルについて組織学的に測定した。図11に示すように、15ppiのフォームは、0μmの成長深さを有する(すなわち組織はフォームストラットを越えて全く成長しない)が、他のサンプルは、少なくとも300μm以上の著しくより多量の成長をフォームストラット上に有することが分かる。成長深さは、創傷充填材の除去時の患者の痛みなどの上述の弱点を回避するために、ゼロであることが好ましい。しかし、100μmまたは50μm以下の成長深さは、30ppi以上のフォームが示すより大きな成長深さよりは良好である。
【0095】
さらに、本発明者らは、続いて、上述の72時間にわたるNPWTセッション後の創傷から様々な細孔数のフォーム片を除去するために必要とされる力の測定を行った。これは、力測定デバイス(ニュートンメータ)に結合されたリグをフォーム片に装着することにより実行した。リグは、フォーム片に対して均等間隔で装着された4対の鉗子を備え、それぞれの鉗子セットが、ニュートンメータのフックに対してワイヤで装着された。ニュートンメータを、創傷部位の上方に懸吊し、コードでコンピュータに接続することで、力を経時的に記録した。ニュートンメータを4mm/sの一定速度にて創傷部位から真っ直ぐに離れる方向へと引っ張り、創傷部位からフォームを除去するのに必要とされる力を記録した。最大力、平均力、および領域力を記録した(mNで)。それぞれの測定について、コンピュータは、サンプルが創傷から離れるように引っ張られている期間にわたって力の読取値を記録した。最大力は、各サンプルについて引き抜き期間の間に必要とされた最大力とした。平均力は、各サンプルについて引き抜き期間の間に得られた全ての読取値の平均力とした。これらの結果を図12においてグラフで、および以下のTable 2(表2)において示す。15ppiのフォームは、著しく低い最大力を必要とし、著しく低い平均力を必要とし、著しく低い領域力を示したのが分かる。
【0096】
創傷部位から15ppiのフォームを除去するために必要とされるこの顕著に低い力は、15ppiのフォームにおいてはゼロまたは最小限の内方成長が生じていたという事実を支持するものと考えられる。
【0097】
適切には、上述の条件下における平均引き抜き力は、約0.1から約5mNの間である。約0.1から約3mNの間の平均引き抜き力が、より適切であり、0.1から2mNの間がさらにより適切である。
【0098】
そのため、単位面積当たりの平均引き抜き力は、適切には0.177mN/cm2未満であり、またはより適切には0.106mN/cm2未満であり、またはより適切には0.071mN/cm2未満である。
【0099】
【表2】
【実施例3】
【0100】
本発明者らは、10ppi、15ppi、20ppi、および30ppiを含むそれぞれ異なる細孔数を有する複数のフォーム片のパラメータを試験した。それらの結果をTable 3(表3)に示す。Table 3(表3)に示す結果は、「圧縮下」と記されない限りは、非圧縮状態(静止時)のフォームサンプルに関するものである。「圧縮下」データについては、40mm×18mm×30mm(厚さ30mm)のサンプルを2つのプラスチックスライド間に挟み、接着テープで一体的に固定することにより、サンプルの厚さが6mmになるように圧縮した。
【0101】
【表3】
【実施例4】
【0102】
本発明者らは、非圧縮状態および圧縮状態におけるそれぞれ異なるppiの複数のフォームの表面積を試験した。それらの結果を以下でTable 4(表4)に示す。表面積は、「測定技術」の章において以下で説明される技術を利用してマイクロCTで測定した。「圧縮」データについては、40mm×18mm×30mm(厚さ30mm)のサンプルを2つのプラスチックスライド間に挟み、接着テープで一体的に固定することにより、サンプルの厚さが6mmになるように圧縮した。
【0103】
【表4】
【実施例5】
【0104】
本発明者らは、それぞれ異なるppiを有するフォームサンプルの細孔径およびストラット厚さの分布を調査した。これらのフォームサンプルを、「測定技術」の章において以下で説明されるようなマイクロCT分析を利用して調査した。
【0105】
様々な異なるppiのフォームサンプルを調査した。注目に値する興味深い結果を図13a図13dに示す。具体的には、図13aは、非圧縮下におけるそれぞれ異なるppiのフォームについての、出現した各ストラットサイズにおける総ストラットのパーセンテージを示すグラフを図示する。圧縮下におけるそれぞれ異なるppiのフォームについての、出現した各ストラットサイズにおける総ストラットのパーセンテージを示すグラフは、図13bに示される。非圧縮下におけるそれぞれ異なるppiのフォームについての、出現した各細孔径における総細孔のパーセンテージを示すグラフが、図13cに示される。圧縮下におけるそれぞれ異なるppiのフォームについての、出現した各細孔径における総細孔のパーセンテージを示すグラフが、図13dに示される。
【0106】
測定技術
マイクロCT(マイクロコンピュータ断層撮影法)
マイクロCT分析のためのサンプルの調製は、約25mm×25mm×高さ70mmのNPWTフォームのセクションを真鍮ピンサンプルホルダに直に固定することを伴うものであった(実撮像領域は高さ約14mmに一致する点に留意されたい)。
【0107】
マイクロCT画像を、60kVの電圧および167μAの電流でマイクロフォーカスX線源を利用してSkyscan 1172 Micro-CTにおいて取得した。X線陰影画像を、180°取得角度にわたり0.2°の刻み幅で、5μm×5μmの画素分解能で取得した。また、フォームを、0.4°の刻み幅で、17μm×17μmの画素分解能でおよび約28mmの撮像高さをもたらすダブルスキャンを利用して撮像した。これは、フォームサンプルを超えるものを、特にこれらのフォームについてのより大きな細孔径を包含するものであった。X線陰影画像を、Skyscanにより供給される再構成プログラム(N-Recon)を利用して3D断面へと再構成した。
【0108】
マイクロCT計算については、ストラットおよび細孔の一部を包含する取得画像から関心体積(VOI)を選択した。VOIは、サンプル当たり約3時間まで計算処理時間を短縮させるように選択され、フォームの細孔径に応じて変更した。
【0109】
以下のパラメータを計算した:
- ストラットサイズ
- ストラット表面積(フォーム同士の間の比較を実施することが可能になるように80ppiのフォーム(126mm3)についての関心体積(VOI)に対して正規化される)
- 細孔径
- 空隙体積%
【0110】
ストラット表面積は、CTスキャン時に取得したデータから計算した。それぞれのフォームサンプルについての関心体積が、確認され、次いで比較を実施することが可能になるように80ppiのサンプルの関心体積に対して正規化される。具体的には、126mm3のフォームの所与体積において、出現したストラットの全ての外表面の表面積を確認した。
【0111】
ストラットサイズは、球体フィッティングモデルにより計算し、複数のストラットにわたる各ストラットからの複数の測定値を取得することを伴った。ストラットの寸法に可能な限り緊密に合致するように複数の球体を各ストラットに対してフィッティングさせ、各球体の直径をSEMにより測定した。Table 2(表2)において上述したストラット幅範囲は、視認される全てのストラットについての全ての直径の分布である。
【0112】
細孔径の計算は、球体を細孔スペース内にフィッティングし、球体の直径を測定し細孔径として取得する、計算手順に基づき行った。
【0113】
走査電子顕微鏡検査
画像は、5kVの加速電圧、2.5スポットサイズでのFEI Inspect S SEMの操作を利用して収集した。画像は、80倍拡大にて収集した。圧縮されたフォームのストラット幅の選択は、その機器のソフトウェアを利用して測定した。
【0114】
光学顕微鏡検査
光顕微鏡画像は、Axiovisionソフトウェアと共にZeiss Discovery V12立体顕微鏡を使用して収集した。圧縮されたフォームのストラット幅の選択は、その機器のソフトウェアを利用して測定した。
【0115】
初期係数(ヤング率)
圧縮試験向けにフォームを調製するために、カッター(54mm/E)および液圧プレスを使用して円形セクションを切り取った。次いで、各フォームセクションの垂直方向高さを、厚さ計で測定する前に復帰させた(約6時間)。次いで、測定したフォームを、Instron 5569において単軸圧縮にて試験した。利用した試験パラメータをTabale 5(表5)に示す。
【0116】
【表5】
【0117】
ヤング率は、Instron Bluehill(Version 2.6)制御ソフトウェア中の自動アルゴリズムを利用して1%から4%歪みの間にて計算した。
【0118】
密度
フォームブロック(約70mm2)の寸法をデジタルノギスを使用して測定し、次いでブロックの体積を計算した。次いで、このフォームブロックを秤量し、密度を計算した。
【0119】
-120mmHgにおける圧縮歪み
基本的な実験設定を図14に示す。フォームサンプル402が、Perspexシート404、406のセットの間に位置決めされ、上部シートが、開口408を有する。この方法は、以下のステップを含む。
1.図14に示す順序でプラスチックラップ(粘着フィルム)片410(全ての構成要素を密閉するのに十分な大きさのもの)の上にPerspexプレートおよびフォームサンプルを配置する。
2.構成要素の周囲にプラスチックラップを巻き付けてシステムを完全に封止することにより、これらのプレートの上部側のものの一方の側部が、平滑であり、測定が可能になるように粘着フィルムの1つの層のみにより覆われるように、確保する。
3.デジタルノギスを使用してシステム全体の厚さ(A)を測定する。
4.上部プレート中の開口を覆うフィルム中に小さな穴を作製する。
5.Smith & Nephew PLCから入手可能なRenasys EZポンプ(図示せず)などのポンプに対して連結された真空ポート412を穴の上方に位置決めし、ポンプ(-120mmHgまたは所望のレベルに設定された)をオンに切り替えつつ保持する。ポートとフィルムとの間にシールを維持するのに十分な接着がもたらされる。
6.フォームの吸引を確認し、60秒間待機した後に新たな厚さを測定する。この時間経過は、フォームが可能な限り圧縮されるのを確保するために必要とされる。
7.初期測定と同一位置において厚さ(B)を測定する。
8.上述の方法を利用して、しかしフォームを除外して、空測定(C)を行う。
9.圧縮歪みを以下の計算により判定する。
【0120】
圧縮フォーム厚さおよび非圧縮フォーム厚さは、フォームが定位置にある状態で測定した値から空試験値を引くことにより計算される:
非圧縮フォーム厚さD=A-C
圧縮フォーム厚さE=B-C
圧縮歪み%=(D-E)*100/D
【0121】
本実施例において、細孔径は、マイクロCT測定により計算したことを指摘しておく。また、当然ながら、細孔径は、例えば複数の基準材料および圧力低下を利用することによって計算することも可能である。
【0122】
上述の実施形態によれば、創傷充填用途または創傷接触用途のフォームは、使用が容易であり、肉芽組織性成長を促進させ、組織の内方成長を防止または軽減する。さらなる利点には、包帯交換による感染リスクの低下、患者の不快感の軽減、創傷ケア用品の適用または除去における臨床医の時間の短縮、および創傷に対する充填材の接触時間の長期化が可能になることが含まれる。
【0123】
上述のような詳細な設計に対する様々な変更が可能である。例えば、フォーム材料が、上述の実施形態においては使用されたが、ネットまたは穿細孔を備えるポリマースラブなどの他の基体を創傷に接触させるために使用することが可能である(しかし必ずしも有利であるわけではない)。例えば、ネットは、押し縮めて創傷に詰めることにより、創傷床がこのネットの細孔と接触状態になることが可能である。ネット、ポリマースラブ、および/またはフォームは、組み合わせて創傷接触部材として使用することが可能である。例えば、1.5×2mmの直径、0.25mmのストラット幅、および0.4mmの厚さを有するスチレン/ブタジエン共重合体ネットメッシュ(製品コードXO 2550-002 SBDでConwed Plastics、Minneapolis、USAから入手可能なものなど)を使用することが可能である。代替的には、0.6×1.0mmの細孔径、0.4mmのストラット幅、および0.5mmの厚さを有する熱可塑性ポリウレタン(やはり製品コードTP2000-001TPUでConwedより入手可能なもの)を使用することが可能である。
【0124】
上述のように、これらの材料は、NPWTと組み合わせて、例えば創傷充填材としてまたは創傷包帯を目的とした独立型創傷接触部材として使用し得ることが認識されよう。フォームは、創傷を部分的にのみ埋めてもよく、他の材料と組み合わせて使用されてもよく、または例えば浅い創傷に適した包帯の創傷接触層として使用されてもよい。
【0125】
他の実施形態が、以下の段落において理解される。
【0126】
患者または患畜の創傷を陰圧閉鎖療法(NPWT)により治療するための装置であって、創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、創傷接触部材が創傷床に対して適用される際に創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材とを備える装置。NPWTが3日間にわたり封止された密閉部に対して適用された後の使用の際に、創傷接触部材は、固定点が皆無である状態を示す。代替的には、創傷接触部材は、10%未満またはさらに好ましくは5%の固定点範囲を示してもよい。ここで、固定点のパーセンテージは、創傷接触部材の表面上に固定点を形成するために利用可能な創傷床に並置されるストラットの個数に基づき計算される。例えば、所与の面積において、固定点を形成するために創傷床に対して理論上利用可能なストラットが100個であり、5個のストラットが固定点を形成する場合には、これは5%となる。
【0127】
患者または患畜の創傷を治療する方法であって、創傷床に接触するように創傷接触部材を適用するステップと、カバー部材で創傷接触部材を覆って封止された密閉部を形成するステップと、3日間にわたり封止された密閉部に対してNPWTを適用するステップとを含む方法。NPWTを適用するステップの後に、創傷接触部材は、固定点の皆無な状態を示す。代替的には、創傷接触部材は、10%未満またはさらに好ましくは5%の固定点範囲を示してもよい。
【0128】
陰圧閉鎖療法(NPWT)により患者または患畜の創傷を治療するための装置であって、創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、創傷接触部材が創傷床に対して適用される際に創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材とを備える装置。2日間または3日間のNPWTの適用後の使用の際に、創傷接触部材は、5mN未満の力により創傷床から除去することが可能である。適切には、創傷接触部材は、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0129】
患者または患畜の創傷を治療する方法であって、創傷床に接触するように創傷接触部材を適用するステップと、2日間または3日間にわたり創傷に対してNPWTを適用するステップとを含む方法。NPWT後に、創傷接触部材は、5mN未満の力により創傷床から除去することが可能である。適切には、創傷接触部材は、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0130】
患者または患畜の創傷を治療する方法であって、創傷床に接触するように創傷接触部材を適用するステップを含み、創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を有し、マイクロCTで測定した場合に、これら複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、複数のストラット要素のうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、この方法がさらに、次いでカバー部材で創傷接触部材を覆うことにより封止腔部を形成するステップと、この腔部に陰圧を印加することにより、創傷床における肉芽組織成長を促進させるステップと、所定の期間の後に創傷床から創傷接触部材を除去するステップとを含む、方法。創傷接触部材は、5mN未満の力により創傷床から除去することが可能である。適切には、創傷接触部材は、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0131】
患者または患畜の創傷を治療する方法であって、創傷床に接触するように創傷接触部材を適用するステップを含み、創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラットからなる網を有し、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する少なくとも1つのストラットを有し、創傷接触部材が、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有し、この方法がさらに、次いでカバー部材で創傷接触部材を覆うことにより封止腔部を形成するステップと、この腔部に陰圧を印加することにより、創傷床における肉芽組織成長を促進させるステップと、所定の期間の後に創傷床から創傷接触部材を除去するステップとを含む、方法。創傷接触部材は、5mN未満の力により創傷床から除去することが可能である。適切には、創傷接触部材は、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0132】
患者または患畜の創傷を治療する方法であって、創傷床に接触するように創傷接触部材を適用するステップを含み、創傷接触部材が、複数の細孔により隔てられた複数のストラットからなる網を有し、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する少なくとも1つのストラットを有し、複数のストラットが、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有し、この方法がさらに、次いでカバー部材で創傷接触部材を覆うことにより封止腔部を形成するステップと、この腔部に陰圧を印加することにより、創傷床における肉芽組織成長を促進させるステップと、所定の期間の後に創傷床から創傷接触部材を除去するステップとを含む、方法。創傷接触部材は、5mN未満の力により創傷床から除去することが可能である。適切には、創傷接触部材は、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0133】
マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有する、複数の細孔を有するフォーム。このフォームは、患者または患畜の創傷床に対して適用され、72時間のNPWT下において試験した場合に、5mN未満の引き抜き力を示す。適切には、フォームは、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0134】
マイクロCTで測定した場合に、複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、フォームが、0.23mm以上の厚さを有する少なくとも1つのストラットを有する、複数のストラットを有するフォーム。このフォームは、患者または患畜の創傷床に対して適用され、72時間のNPWT下において試験した場合に、5mN未満の引き抜き力を示す。適切には、フォームは、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0135】
マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有する、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備えるフォームを使用することを含む、創傷治癒を促進させるためのNPWTの一方法における改良。
【0136】
マイクロCTで測定した場合に、複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、フォームが、0.23mm以上の厚さを有する少なくとも1つのストラットを有する、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備えるフォームを使用することを含み、フォームが、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、創傷治癒を促進させるためのNPWTの一方法における改良。
【0137】
マイクロCTで測定した場合に、複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、フォームが、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、複数のストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備えるフォームを使用することを含む、創傷治癒を促進させるためのNPWTの一方法における改良。
【0138】
患者または患畜の創傷の治癒を促進させる方法であって、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、複数の細孔により隔てられる複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有する、複数の細孔を有する創傷充填材を創面に対して適用するステップと、創傷充填材に陰圧を課すステップとを含む、方法。
【0139】
患者または患畜の創傷の治癒を促進させる方法であって、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、充填材が、0.23mm以上の厚さを有する少なくとも1つのストラットを有し、充填材が、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、複数のストラットを有する創傷充填材を創面に対して適用するステップと、創傷充填材に陰圧を課すステップとを含む、方法。
【0140】
患者または患畜の創傷の治癒を促進させる方法であって、マイクロCTで測定した場合に、複数のストラットのうちの少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、充填材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラットを備え、複数のストラットが、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、複数のストラットを有する創傷充填材を創面に対して適用するステップと、創傷充填材に陰圧を課すステップとを含む、方法。
【0141】
患者または患畜の創傷を治癒する方法であって、創傷床に対して創傷接触部材を適用するステップと、創傷充填材に対して陰圧を印加することにより900から1200μmの間の圧痕を創傷床中に形成するステップとを含む、方法。適切には、陰圧は、900から1000μmの間の圧痕を形成するように印加される。
【0142】
複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材。ストラット要素は、創傷床における肉芽組織成長を促進させるが、組織の内方成長を実質的に防止するのに十分な距離だけ、相互に離間される。
【0143】
創傷接触部材の適性を試験するための方法であって、ブタの創傷に対して創傷接触部材を適用するステップと、所定の期間にわたりNPWTを適用するステップと、5mN未満の力で創傷接触部材を除去することにより創傷接触部材の適性を判定するステップとを含む、方法。適切には、創傷接触部材は、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0144】
創傷接触部材を備える創傷包帯であって、創傷接触部材がブタの創傷に対して適用され、所定の期間にわたりNPWTが適用される場合に、創傷接触部材が、5mN未満の力で創傷から除去され得る、創傷包帯。適切には、創傷接触部材は、3mN未満の、より適切には2mNの力により除去することが可能である。
【0145】
陰圧閉鎖療法(NPWT)において使用するための創傷接触部材であって、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える創傷接触部材。複数の細孔および複数のストラット要素は、使用の際に創傷接触部材が、NPWTが適用される72時間の期間にわたって哺乳動物の被検体の創傷表面に接触される場合に、創傷床から直交方向に延在する任意の線に沿って移動したときに衝突する第1のストラットの中から、少なくとも90%が、創傷床から遠位の位置に、組織と接触状態にない表面を有するように、構成される。さらに好ましくは、第1のストラットの95%または99%または100%が、創傷床から遠位の位置に、組織と接触状態にない表面を有する。
【0146】
さらに他の実施形態が、以下の段落において理解される:
【0147】
1. 創傷を治療するための方法であって、
創傷接触部材を創傷と接触状態に位置決めするステップであって、創傷接触部材は、細孔により分離され、5から25ppiの間の細孔径を有する、ストラットからなる網を備える、位置決めするステップと、
創傷接触部材を覆うカバーを位置決めすることにより、創傷の上に封止環境を形成するステップと、
封止環境と流体連通状態にある真空源から陰圧を供給することにより、創傷接触部材を通して創傷に陰圧を伝達するステップと、
少なくとも72時間にわたり創傷に対して-40mmHgから-200mmHgの範囲内の陰圧を印加するステップであって、陰圧および創傷接触部材は、創傷における肉芽組織の成長を促進させ、陰圧によって創傷接触部材を圧縮して、それにより、空隙体積を縮小させると共に、ストラット体積を拡張させるステップと、
創傷からカバーおよび創傷接触部材を除去するステップであって、創傷から創傷接触部材を除去するために必要とされる力が、5mN未満である、除去するステップと
を含む、方法。
【0148】
2. 複数の細孔のうちの少なくとも90%が、マイクロコンピュータ断層撮影法により測定された場合に、2.3から5.5mmの間の直径を有する、段落1に記載の方法。
【0149】
3. 複数のストラットのうちの少なくとも95%が、マイクロコンピュータ断層撮影法により測定された場合に、0.007から0.5mmの間の厚さを有する、段落1または2に記載の方法。
【0150】
4. 創傷に対する陰圧の印加により、創傷接触部材は、創傷の組織中に約950から約1000μmだけ入り込む、段落1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
5. 創傷接触部材は、-120mmHgにて約50%から約90%の間の圧縮歪みを有する、段落1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
6. 創傷接触部材は、フォームを備える、段落1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
7. 陰圧を印加するステップの前に、創傷接触部材は、総体積の約90から約98%の細孔体積を有し、少なくとも72時間にわたり陰圧を印加するステップの後に、創傷接触部材は、総体積の約70から約90%の細孔体積を有する、段落1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
8. 少なくとも72時間にわたり陰圧を印加するステップの後に、創傷接触部材は、固定点が皆無な状態を示す、段落1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
9. 陰圧下において創傷接触部材内への組織の内方成長を測定する方法であって、
創傷接触部材を組織と接触状態に位置決めするステップであって、創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラットからなる網を備える、位置決めするステップと、
創傷接触部材を覆うカバーを位置決めすることにより、創傷の上に封止環境を形成するステップと、
封止環境と流体連通状態にある真空源から陰圧を供給することにより、創傷接触部材を通して創傷に陰圧を伝達するステップと、
創傷接触部材内への組織の内方成長を測定するステップであって、
(i)創傷接触部材に対して組織が固定される点の数を測定するステップ、および
(ii)組織から創傷接触部材を除去するために必要とされる力量を測定するステップ
の一方または両方により実施される、測定するステップと
を含む、方法。
【0156】
10. 創傷接触部材は、フォームを備える、段落9に記載の方法。
【0157】
11. 組織は、患者の創傷組織である、段落9または10に記載の方法。
【0158】
12. 組織は、動物の組織である、段落9から11のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
13. 組織は、実験用組織である、段落9から12のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
14. 陰圧は、-40mmHgから-200mmHgの範囲内において少なくとも72時間にわたり創傷に対して印加される、段落9から13のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
15. 複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材であって、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える、創傷接触部材。
【0162】
16. 複数の細孔のうちの少なくとも95%が、2.3から5.5mmの間の直径を有する、段落15に記載の創傷接触部材。
【0163】
17. 複数の細孔のうちの少なくとも95%が、2.5mm以上の直径を有する、段落16に記載の創傷接触部材。
【0164】
18. 最も通常の細孔径が、3から5mmの間である、段落15から17に記載の創傷接触部材。
【0165】
19. 最も通常の細孔径が、3.3から4.7mmの間である、段落18に記載の創傷接触部材。
【0166】
20. ストラット要素の少なくとも10%が、0.23mm以上の厚さを有する、段落15から19に記載の創傷接触部材。
【0167】
21. -120mmHgにて50から90%の間の圧縮歪みを有する、段落15から20に記載の創傷接触部材。
【0168】
22. -120mmHgにて約50から80%の間の圧縮歪みを有する、段落21に記載の創傷接触部材。
【0169】
23. -120mmHgにて約55から75%の間の圧縮歪みを有する、段落22に記載の創傷接触部材。
【0170】
24. マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に30から150mm2の間の表面積を有する、段落15から23に記載の創傷接触部材。
【0171】
25. マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に45から100mm2の間の表面積を有する、段落24に記載の創傷接触部材。
【0172】
26. マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に50から95mm2の間の表面積を有する、段落25に記載の創傷接触部材。
【0173】
27. 創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させる、段落15から26に記載の創傷接触部材。
【0174】
28. フォームである、段落15から27に記載の創傷接触部材。
【0175】
29. 網状フォームである、段落28に記載の創傷接触部材。
【0176】
30. フォームは、ポリウレタンである、段落28または29に記載の創傷接触部材。
【0177】
31. フォームは、ポリエーテルポリウレタンである、段落30に記載の創傷接触部材。
【0178】
32. 密度が、0.03から0.04g.cm-3の間である、段落15から32に記載の創傷接触部材。
【0179】
33. 陰圧閉鎖療法(NPWT)により患者または患畜の創傷を治療するための装置であって、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える、装置。
【0180】
34. 真空源と流体連通状態に密閉部を配置するための連結デバイスをさらに備える、段落33に記載の装置。
【0181】
35. 陰圧閉鎖療法(NPWT)において使用するためのキットであって、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える、キット。
【0182】
36. 患者または患畜の創傷を治療する方法であって、
創傷床に対して創傷接触部材を適用するステップ
を含み、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有し、複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有し、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備える、方法。
【0183】
37. 創傷接触部材を覆うカバー部材を適用することにより封止密閉部を形成するステップをさらに含む、段落36に記載の方法。
【0184】
38. 創傷床に対して陰圧閉鎖療法(NPWT)を適用するステップをさらに含む、段落36または37に記載の方法。
【0185】
39. 創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させるステップをさらに含む、段落36から38のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
40. 複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材であって、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、創傷接触部材。
【0187】
41. -120mmHgにて約50から約80%の間の圧縮歪みを有する、段落40に記載の創傷接触部材。
【0188】
42. -120mmHgにて約55から75%の間の圧縮歪みを有する、段落41に記載の創傷接触部材。
【0189】
43. 複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有する、段落40から42に記載の創傷接触部材。
【0190】
44. 複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有する、段落43に記載の創傷接触部材。
【0191】
45. 複数の細孔のうちの少なくとも95%が、2.3から5.5mmの間の直径を有する、段落43または44に記載の創傷接触部材。
【0192】
46. 最も通常の細孔径が、3から5mmの間である、段落40から45に記載の創傷接触部材。
【0193】
47. 最も通常の細孔径が、3.3から4.7mmの間である、段落46に記載の創傷接触部材。
【0194】
48. ストラット要素の少なくとも10%が、0.23mm以上の厚さを有する、段落40から47に記載の創傷接触部材。
【0195】
49. マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に30から150mm2の間の表面積を有する、段落40から48に記載の創傷接触部材。
【0196】
50. マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に45から100mm2の間の表面積を有する、段落49に記載の創傷接触部材。
【0197】
51. マイクロCTで測定した場合に、126mm3の体積内に50から95mm2の間の表面積を有する、段落50に記載の創傷接触部材。
【0198】
52. 創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させる、段落40から51に記載の創傷接触部材。
【0199】
53. フォームである、段落40から52に記載の創傷接触部材。
【0200】
54. 網状フォームである、段落53に記載の創傷接触部材。
【0201】
55. フォームは、ポリウレタンである、段落53または54に記載の創傷接触部材。
【0202】
56. フォームは、ポリエーテルポリウレタンである、段落55に記載の創傷接触部材。
【0203】
57. 密度が、0.03から0.04g.cm-3の間である、段落40から56に記載の創傷接触部材。
【0204】
58. 陰圧閉鎖療法(NPWT)により患者または患畜の創傷を治療するための装置であって、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材は、細孔により分離されたストラット要素網を備え、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材は、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、装置。
【0205】
59. 真空源と流体連通状態に密閉部を配置するための連結デバイスをさらに備える、段落58に記載の装置。
【0206】
60. 陰圧閉鎖療法(NPWT)において使用するためのキットであって、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材は、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、キット。
【0207】
61. 患者または患畜の創傷を治療する方法であって、
創傷床に対して創傷接触部材を適用するステップ
を含み、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、創傷接触部材は、-120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、方法。
【0208】
62. 創傷接触部材を覆うカバー部材を適用することにより封止密閉部を形成するステップをさらに含む、段落61に記載の方法。
【0209】
63. 創傷床に対して陰圧閉鎖療法(NPWT)を適用するステップをさらに含む、段落61または62に記載の方法。
【0210】
64. 創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させるステップをさらに含む、段落61から63のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
65. 複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備える、陰圧閉鎖療法(NPWT)用の創傷接触部材であって、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、ストラット要素が、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、創傷接触部材。
【0212】
66. 126mm3の体積内に45から100mm2の間の表面積を有する、段落65に記載の創傷接触部材。
【0213】
67. 126mm3の体積内に50から95mm2の間の表面積を有する、段落66に記載の創傷接触部材。
【0214】
68. 複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.3から5.5mmの間の直径を有する、段落65から67に記載の創傷接触部材。
【0215】
69. 複数の細孔のうちの少なくとも90%が、2.5mm以上の直径を有する、段落68に記載の創傷接触部材。
【0216】
70. 複数の細孔のうちの少なくとも95%が、2.3から5.5mmの間の直径を有する、段落68または69に記載の創傷接触部材。
【0217】
71. 最も通常の細孔径が、3から5mmの間である、段落65から70に記載の創傷接触部材。
【0218】
72. 最も通常の細孔径が、3.3から4.7mmの間である、段落71に記載の創傷接触部材。
【0219】
73. ストラット要素の少なくとも10%が、0.23mm以上の厚さを有する、段落65から72に記載の創傷接触部材。
【0220】
74. -120mmHgにて約50から約90%の間の圧縮歪みを有する、段落65から73に記載の創傷接触部材。
【0221】
75. -120mmHgにて約50から約80%の間の圧縮歪みを有する、段落74に記載の創傷接触部材。
【0222】
76. -120mmHgにて約55から75%の間の圧縮歪みを有する、段落75に記載の創傷接触部材。
【0223】
77. 創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させる、段落65から76のいずれか1つに記載の創傷接触部材。
【0224】
78. フォームである、段落65から77に記載の創傷接触部材。
【0225】
79. 網状フォームである、段落78に記載の創傷接触部材。
【0226】
80. フォームは、ポリウレタンである、段落78または79に記載の創傷接触部材。
【0227】
81. フォームは、ポリエーテルポリウレタンである、段落80に記載の創傷接触部材。
【0228】
82. 密度が、0.03から0.04g.cm-3の間である、段落65から81に記載の創傷接触部材。
【0229】
83. 陰圧閉鎖療法(NPWT)により患者または患畜の創傷を治療するための装置であって、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、ストラット要素は、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、装置。
【0230】
84. 真空源と流体連通状態に密閉部を配置するための連結デバイスをさらに備える、段落83に記載の装置。
【0231】
85. 陰圧閉鎖療法(NPWT)において使用するためのキットであって、
創傷床に対して適用するための創傷接触部材と、
創傷接触部材が創傷床に対して適用される場合に、創傷接触部材の周囲に封止密閉部を形成するように構成されたカバー部材と
を備え、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、ストラット要素は、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、キット。
【0232】
86. 患者または患畜の創傷を治療する方法であって、
創傷床に対して創傷接触部材を適用するステップ
を含み、
創傷接触部材は、複数の細孔により隔てられた複数のストラット要素からなる網を備え、マイクロCTで測定した場合に、ストラット要素の少なくとも95%が、0.007から0.5mmの間の厚さを有し、創傷接触部材が、0.23mm以上の厚さを有する1つまたは複数のストラット要素を備え、ストラット要素は、126mm3の体積内に30から150mm2の間の総表面積を有する、方法。
【0233】
87. 創傷接触部材を覆うカバー部材を適用することにより封止密閉部を形成するステップをさらに含む、段落86に記載の方法。
【0234】
88. 創傷床に対して陰圧閉鎖療法(NPWT)を適用するステップをさらに含む、段落86または87に記載の方法。
【0235】
89. 創傷接触部材内への組織の内方成長を防止または軽減するのと同時に、創傷床における肉芽組織成長を促進させるステップをさらに含む、段落86から88のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に適用されるような新規の特徴を示し、説明し、指摘したが、本開示の趣旨から逸脱することなく、示したデバイスまたはプロセスの形態および詳細において様々な省略、代替、および変形を行い得ることが、理解されよう。さらに、上述の様々な特徴およびプロセスは、相互に別個に利用されてもよく、様々な様式で組み合わされてもよい。上述の実施形態のいずれかに関連して説明される特徴は、種々の実施形態間で互換的に適用することが可能である点が、当業者には自明であろう。上述の実施形態は、本発明の様々な特徴を示すための例である。あらゆる可能な組合せおよび下位組合せが、本開示の範囲内に包含されるように意図される。上述の実施形態の多くは、同様の構成要素を備え、そのため、これらの同様の構成要素は、種々の実施形態間で互換可能である。
【0237】
本明細書の説明および特許請求の範囲の全体にわたって、「備える(comprise)」および「含む(contain)」ならびにそれらの変形体は、「含むがそれに限定されない」を意味しており、他の部分、付加物、構成要素、完全体、またはステップを除外するようには意図されない(および除外しない)。本明細書の説明および特許請求の範囲の全体にわたって、単数形は、コンテクストにより特に要求されない限りは、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合には、本明細書は、コンテクストにより特に要求されない限りは、複数形および単数形を想定するものとして理解されるべきである。
【0238】
本発明の特定の態様、実施形態、または例との組合せで説明された特徴、完全体、特性、複合物、化学的部分、または群は、適合し得る限りにおいては、本明細書において説明される任意の他の態様、実施形態、または例に対して適用可能である点を理解されたい。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)において開示される全ての特徴、および/または開示されるような任意の方法またはプロセスの全てのステップは、かかる特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的でない限りは、任意の組合せで組み合わされてもよい。本発明は、いかなる前述の実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示される特徴の中の任意の新規の1つ、もしくは任意の新規の組合せまで、あるいは、開示されるような任意の方法またはプロセスのステップの中の任意の新規の1つ、もしくは任意の新規の組合せにまで範囲が及ぶ。
【0239】
本出願に関連して本明細書と同時にまたは本明細書に先んじて提出された、および本明細書により縦覧に付された、全ての書類および文献に注意が向けられ、全てのかかる文書および文献の内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0240】
10 ストラット
20 覆布
22 創傷部位
24 周囲の健康な組織
26 創傷チャンバ
28 創傷パッカ材料、創傷充填材
30 吸引導管、吸引チューブ
32 廃物収集キャニスタ
36 包帯
38 創傷接触部材層
40 多細孔性材料層
42 吸収性材料層
44 カバー層
46 オリフィス
48 吸引ポート
50 フィルタ要素
102 創傷床
115 ストラット
130 ストラット
202 創傷床
215 ストラット
230 ストラット
402 フォームサンプル
404 Perspexシート
406 Perspexシート
408 開口
410 プラスチックラップ(粘着フィルム)片
412 真空ポート
図1
図2
図3
図4
図6
図10
図14
図5
図7
図8
図9
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図13d