特許第6000368号(P6000368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000368
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】マイクロコイルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   A61B17/12
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-544636(P2014-544636)
(86)(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公表番号】特表2015-502797(P2015-502797A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】KR2011009384
(87)【国際公開番号】WO2013081227
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0128649
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514287731
【氏名又は名称】インキュメデックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カン, ホ チャン
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0165569(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/046932(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0092997(US,A1)
【文献】 特開2007−000596(JP,A)
【文献】 特開2006−075281(JP,A)
【文献】 特表2003−521991(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0306504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコイルアセンブリであって、
患者の血管奇形内に挿入可能なマイクロコイルユニットと、
前記マイクロコイルユニットを前記血管奇形に送達するコイルプッシャユニットと、
前記コイルプッシャユニット内に移動可能に配置されている引張ワイヤと、
前記マイクロコイルユニットを前記引張ワイヤに連結している括り糸と、
括り糸切断ユニットと
を備え、
前記括り糸切断ユニットは、第1の刃および第2の刃を備え、前記第1の刃は、前記引張ワイヤに連結されており、かつ、前記引張ワイヤの移動によって、前記括り糸を括られた状態に維持するための設定位置と、前記括り糸を切断するための切断位置との間で移動可能であり、前記第2の刃は、前記第1の刃が前記切断位置に移動されると、前記第1の刃との相互作用によって前記括り糸を切断するように配置されている、マイクロコイルアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の刃は、前記コイルプッシャユニット内に固定して配置され、
前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第2の刃通過孔が、前記第2の刃内に形成され、
前記第1の刃は、前記括り糸を切断するように前記第2の刃通過孔内に挿入可能である、
請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項3】
前記第2の刃通過孔の直径は、前記第1の刃の外径より大きく、かつ前記第1の刃の外径および前記括り糸の厚さの和より小さい、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項4】
前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第1の刃通過孔が、前記第1の刃内に形成されている、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項5】
前記括り糸は、
前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第1の結目部と、
前記第1の結目部に連結され、前記第2の刃通過孔および前記第1の刃の外側を通過する第1の延在部分と、
前記第1の延在部分に連結され、前記第1の刃通過孔を通過する第2の延在部分と、
前記第2の延在部分に連結され、前記第1の結目部に接近して前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第2の結目部と
を備えている、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項6】
前記切断位置は、前記第1の刃の後端部が前記第2の刃の前端部と接触し、それによって、前記第1の延在部分を切断する位置である、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項7】
前記第2の刃は、前記コイルプッシャユニットの前端部に固定して配置され、
前記第2の刃は、前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第2の刃通過孔と、前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に交差する方向に通過し、前記第2の刃通過孔と連通する第2の刃交差孔とを形成し、
前記第1の刃は、前記第2の刃に対して移動可能であり、
前記第1の刃は、前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第1の刃通過孔と、前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に交差する方向に通過し、前記第1の刃通過孔と連通する第1の刃交差孔とを形成する、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項8】
前記括り糸は、
前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第1の結目部と、
前記第1の結目部に連結され、前記第2の刃通過孔、前記第1の刃交差孔、および前記第2の刃交差孔を通過する第1の延在部分と、
前記第1の延在部分に連結され、前記第1の刃通過孔および前記第2の刃通過孔を通過する第2の延在部分と、
前記第2の延在部分に連結され、前記第1の結目部に接近して前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第2の結目部と
を備えている、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項9】
前記切断位置は、前記第1の刃が前記第2の刃交差孔を遮断するように移動し、それによって、前記第1の延在部分を切断する位置である、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の刃交差孔を形成する内側壁および前記第2の刃交差孔を形成する内側壁のうちの少なくとも1つは、上端に向かって増加する内径を有するように傾斜されている、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項11】
前記引張ワイヤは、前記第1の結目部および前記第2の結目部のうちの少なくとも1つの移動を制限する結目部停止部を備えている、請求項に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項12】
前記マイクロコイルユニットは、
前記血管奇形内に挿入可能であり、以前に決定された形状に変形可能な血栓誘導コイルと、
前記血栓誘導コイルの内側を通過する伸張抵抗コアと
を備え、
前記括り糸は、前記引張ワイヤを前記伸張抵抗コアに連結している、請求項1に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項13】
前記マイクロコイルユニットは、前記伸張抵抗コアに連結され、前記血栓誘導コイル内の前記伸張抵抗コアを支持するコア支持部材をさらに備えている、請求項12に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項14】
前記コイルプッシャユニットは、前記引張ワイヤが移動可能に配置されているプッシャ管を備えている、請求項1に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項15】
前記マイクロコイルユニットに接近する前記プッシャ管の一部は、螺旋パターンを備え、
前記コイルプッシャユニットは、コイル停止部をさらに備え、前記コイル停止部は、前記プッシャ管の螺旋パターンの先端に連結され、前記コイル停止部は、前記括り糸が通過する開口部を形成し、前記括り糸の切断の間、前記マイクロコイルユニットが前記プッシャ管内に移動することを防止する、請求項14に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【請求項16】
前記括り糸は、縫合糸を備えている、請求項1に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、韓国特許出願第10−2011−0128649号(2011年12月2日出願、韓国特許庁)の利益を主張する。該出願の開示は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(技術分野)
本発明の概念は、マイクロコイルアセンブリに関し、より具体的には、マイクロコイルユニットが、正確に、患者の動脈瘤または他の血管奇形内に挿入され、それによって、効率的に、施術者の外科手術目的を満たすことができるように、マイクロコイルユニットが、便宜かつ正確に、マイクロコイルアセンブリから分離されることを可能にする、マイクロコイルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
脳動脈瘤(すなわち、急性くも膜下出血)は、先天的に脆弱な脳動脈による、または動脈硬化、細菌感染症、頭部の創傷、脳梅毒等による動脈壁における脳血管の膨隆を指す。そのような脳動脈瘤は、初期症状を伴わずに突然発症し、脳動脈瘤の発病の間、極度の痛みを引き起こす。症例の15%は、突然死亡し、15%は、医療治療下で死亡し、30%は、治療後、生存するが、激しい後遺症を伴う。したがって、脳動脈瘤は、極めて死に至る危険のある疾患であり得る。
【0004】
脳動脈瘤のための治療法は、侵襲的療法および非侵襲的療法に分割される。これらのうち、非侵襲的療法は、脳動脈瘤にマイクロコイルを充填し、血栓を誘発させ、それによって、血液の付加的流入を防止し、破裂した動脈瘤のリスクを低下させる(塞栓術)。非侵襲的療法は、脳外科手術による後遺症を緩和させること、短期入院の利点を有すること等の可能性があるので、広く研究および開発されている。
【0005】
非侵襲的療法において使用されるマイクロコイルアセンブリは、概して、マイクロコイルユニットと、マイクロコイルユニットを患者の動脈瘤に送達するためのコイルプッシャユニットとを含む。マイクロコイルユニットが、動脈瘤内に挿入され始めると、施術者は、マイクロコイルユニットをコイルプッシャユニットから分離する。マイクロコイルユニットをコイルプッシャユニットから分離する方法として、機械的方法、化学的方法、熱的方法等が存在する。
【0006】
それらのうち、最も便宜かつ正確な方法は、機械的方法である。分離のための従来の機械的方法は、マイクロコイルユニットの端部に提供されるフックと、コイルプッシャユニットの端部に提供されるフックとの間の係止状態を解除することによって達成される。しかしながら、そのような解除方法は、複雑であるだけではなく、また、所望の位置に、かつ所望のタイミングにおいて、マイクロコイルユニットをコイルプッシャから正確に分離することが困難である。
【0007】
故に、マイクロコイルユニットが、便宜かつ正確に、コイルプッシャユニットから分離されることができる、マイクロコイルアセンブリに関して、研究および開発が行なわれる必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の概念は、マイクロコイルユニットが、患者の動脈瘤または他の血管奇形内に正確に挿入され、それによって、効率的に、施術者の外科手術目的を満たすことができるように、マイクロコイルユニットが、便宜かつ正確に、マイクロコイルアセンブリから分離されることを可能にする、マイクロコイルアセンブリを提供することである。
【0009】
本発明の概念のある側面によると、患者の動脈瘤または他の血管奇形内に挿入され、血栓を誘発することによって血液の流入を防止するマイクロコイルユニットと、マイクロコイルユニットに隣接して配置され、マイクロコイルユニットを患者の動脈瘤または他の血管奇形に制御可能に送達するコイルプッシャユニットと、コイルプッシャユニット内に相対的に移動可能に配置されている引張ワイヤと、マイクロコイルユニットおよび引張ワイヤを接続している括り糸と、括り糸切断ユニットの少なくとも一部が、括り糸を括られた状態に維持するための設定位置と、括り糸を切断するための切断位置との間で移動可能であり、切断位置に移動されると、括り糸を切断するように、コイルプッシャユニットに隣接して配置されている括り糸切断ユニットとを含む、マイクロコイルアセンブリが、提供される。
【0010】
括り糸切断ユニットは、引張ワイヤに連結され、引張ワイヤの移動と連動して移動する第1の刃を含み得る。
【0011】
括り糸切断ユニットはさらに、コイルプッシャユニットに隣接して配置され、第1の刃が切断位置に移動されると、第1の刃との相互作用によって、括り糸を切断する第2の刃を含み得る。
【0012】
第2の刃は、コイルプッシャユニット内に移動されないように固定されて配置され得、括り糸が、コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第2の刃通過孔が、第2の刃内に形成され得、第1の刃は、括り糸を切断するとき、第2の刃通過孔内に挿入され得る。
【0013】
第2の刃通過孔の内径は、第1の刃の外径より大きく、かつ第1の刃の外径および括り糸の厚さの和より小さくあり得る。
【0014】
括り糸が、コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第1の刃通過孔が、第1の刃内に形成され得る。
【0015】
括り糸は、引張ワイヤの後端部に結ばれている第1の結目部と、第1の結目部に接続され、第2の刃通過孔および第1の刃の外側を通過する第1の延在部分と、第1の延在部分に接続され、第1の刃通過孔を通過する第2の延在部分と、第2の延在部分に接続され、第1の結目部に隣接して引張ワイヤの後端部に結ばれている第2の結目部とを含み得る。
【0016】
切断位置は、第1の刃の後端部が、第1の延在部分を切断するように第2の刃の前端部と接触する位置であり得る。
【0017】
第2の刃は、コイルプッシャユニットの前端部に固定して配置され得、括り糸が、コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第2の刃通過孔と、コイルプッシャユニットの長手方向に交差する方向に形成され、第2の刃内に形成され得る、第2の刃通過孔と連通する第2の刃交差孔とが、前記第2の刃内に形成され、第1の刃は、第2の刃に対して相対的に移動可能であるように配置され、コイルプッシャユニットの長手方向における第1の刃通過孔と、コイルプッシャユニットの長手方向に交差する方向に形成され、第2の刃通過孔と連通する第1の刃交差孔とが、第1の刃内に形成され得る。
【0018】
括り糸は、引張ワイヤの後端部に結ばれている第1の結目部と、第1の結目部に接続され、第1の刃交差孔および第2の刃通過孔を通過する第1の延在部分と、第1の延在部分に接続され、第1の刃通過孔および第2の刃通過孔を通過する第2の延在部分と、第2の延在部分に接続され、第1の結目部に隣接して引張ワイヤの後端部に結ばれている第2の結目部とを含み得る。
【0019】
切断位置は、第1の刃が第2の刃交差孔を遮断するように移動するにつれて、第1の延在部分が、第1の刃および第2の刃の相互作用によって切断される位置であり得る。
【0020】
第1の刃交差孔を形成する内側壁および第2の刃交差孔を形成する内側壁のうちのいずれか1つは、上端に向かって増加する内径を有するように傾斜され得る。
【0021】
引張ワイヤは、第1の結目部および第2の結目部のうちの少なくともいずれか1つの移動を制限する結目部停止部を含み得る。
【0022】
マイクロコイルユニットは、患者の動脈瘤または他の血管奇形内に挿入され、以前に決定された形状に変形させられることにより、血液を凝固させる血栓誘導コイルと、血栓誘導コイルの内側を通過するように配置されている伸張抵抗コアとを含み得、括り糸は、引張ワイヤおよび伸張抵抗コアを接続し得る。
【0023】
マイクロコイルユニットはさらに、伸張抵抗コアに連結され、血栓誘導コイル内の伸張抵抗コアを支持するコア支持部材を含み得る。
【0024】
コイルプッシャユニットは、引張ワイヤが収容されるプッシャ管を含み得る。
【0025】
螺旋パターンが、マイクロコイルユニットに隣接する部分において、プッシャ管に提供され得、コイルプッシャユニットはさらに、プッシャ管の螺旋パターンの先端に連結され、括り糸が通過する開口部を形成し、マイクロコイルユニットが、括り糸の切断の間、プッシャ管内に移動することを防止するコイル停止部を含み得る。
【0026】
括り糸は、縫合糸であり得、引張ワイヤは、コイルプッシャユニット内に収容され得、引張ワイヤの端部は、引張ワイヤの動作のために、コイルプッシャユニットの外側に露出され得る。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
マイクロコイルアセンブリであって、
患者の動脈瘤または他の血管奇形内に挿入され、血栓を誘発することによって血液の流入を防止するマイクロコイルユニットと、
前記マイクロコイルユニットに隣接して配置され、前記マイクロコイルユニットを前記患者の前記動脈瘤または他の血管奇形に送達するコイルプッシャユニットと、
前記コイルプッシャユニット内に相対的に移動可能に配置されている引張ワイヤと、
前記マイクロコイルユニットと前記引張ワイヤとを接続している括り糸と、
前記コイルプッシャユニットに隣接して配置されている括り糸切断ユニットと
を備え、
前記括り糸切断ユニットの少なくとも一部は、前記括り糸を括られた状態に維持するための設定位置と、前記括り糸を切断するための切断位置との間で移動可能であり、前記切断位置に移動されると、前記括り糸を切断する、マイクロコイルアセンブリ。
(項目2)
前記括り糸切断ユニットは、前記引張ワイヤに連結され、前記引張ワイヤの移動に配置連動して移動する第1の刃を備えている、項目1に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目3)
前記括り糸切断ユニットは、前記コイルプッシャユニットに隣接して配置され、前記第1の刃が前記切断位置に移動されると、前記第1の刃との相互作用によって前記括り糸を切断する第2の刃をさらに備えている、項目2に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目4)
前記第2の刃は、前記コイルプッシャユニット内に移動しないように固定して配置され、
前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第2の刃通過孔が、前記第2の刃内に形成され、
前記括り糸を切断するとき、前記第1の刃が前記第2の刃通過孔内に挿入される、
項目3に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目5)
前記第2の刃通過孔の内径は、前記第1の刃の外径より大きく、かつ前記第1の刃の外径および前記括り糸の厚さの和より小さい、項目4に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目6)
前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第1の刃通過孔が、前記第1の刃内に形成されている、項目4に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目7)
前記括り糸は、
前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第1の結目部と、
前記第1の結目部に接続され、前記第2の刃通過孔および前記第1の刃の外側を通過する第1の延在部分と、
前記第1の延在部分に接続され、前記第1の刃通過孔を通過する第2の延在部分と、
前記第2の延在部分に接続され、前記第1の結目部に隣接して前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第2の結目部と
を備えている、項目6に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目8)
前記切断位置は、前記第1の刃の後端部が、前記第1の延在部分を切断するために、前記第2の刃の前端部と接触する位置である、項目7に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目9)
前記第2の刃は、前記コイルプッシャユニットの前端部に固定して配置され、
前記括り糸が前記コイルプッシャユニットの長手方向に通過する第2の刃通過孔と、前記コイルプッシャユニットの長手方向に交差する方向に形成され、前記第2の刃通過孔と連通する第2の刃交差孔とが、前記第2の刃内に形成され、
前記第1の刃は、前記第2の刃に対して相対的に移動可能であるように配置され、
前記コイルプッシャユニットの長手方向における第1の刃通過孔と、前記コイルプッシャユニットの長手方向に交差する方向に形成され、前記第2の刃通過孔と連通する第1の刃交差孔とが、前記第1の刃内に形成されている、項目3に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目10)
前記括り糸は、
前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第1の結目部と、
前記第1の結目部に接続され、前記第1の刃交差孔および前記第2の刃通過孔を通過する第1の延在部分と、
前記第1の延在部分に接続され、前記第1の刃通過孔および前記第2の刃通過孔を通過する第2の延在部分と、
前記第2の延在部分に接続され、前記第1の結目部に隣接して前記引張ワイヤの後端部に結ばれている第2の結目部と
を備えている、項目9に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目11)
前記切断位置は、前記第1の刃が前記第2の刃交差孔を遮断するように移動するにつれて、前記第1の延在部分が、前記第1の刃と前記第2の刃との相互作用によって切断される位置である、項目10に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目12)
前記第1の刃交差孔を形成する内側壁および前記第2の刃交差孔を形成する内側壁のうちのいずれか1つは、上端に向かって増加する内径を有するように傾斜されている、項目11に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目13)
前記引張ワイヤは、前記第1の結目部および前記第2の結目部のうちの少なくともいずれか1つの移動を制限する結目部停止部を備えている、項目7または10に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目14)
前記マイクロコイルユニットは、
前記患者の動脈瘤または他の血管奇形内に挿入され、以前に決定された形状に変形させられることにより血液を凝固させる血栓誘導コイルと、
前記血栓誘導コイルの内側を通過するように配置されている伸張抵抗コアと
を備え、
前記括り糸は、前記引張ワイヤと前記伸張抵抗コアとを接続している、項目1に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目15)
前記マイクロコアユニットは、前記伸張抵抗コアに連結され、前記血栓誘導コイル内の前記伸張抵抗コアを支持するコア支持部材をさらに備えている、項目14に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目16)
前記コイルプッシャユニットは、前記引張ワイヤが収容されるプッシャ管を備えている、項目1に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目17)
前記マイクロコイルユニットに隣接する部分において、螺旋パターンが前記プッシャ管内に提供され、
前記コイルプッシャユニットは、コイル停止部をさらに備え、前記コイル停止部は、前記プッシャ管の螺旋パターンの先端に連結され、前記括り糸が通過する開口部を形成し、前記括り糸の切断の間、前記マイクロコイルユニットが前記プッシャ管内に移動することを防止する、項目16に記載のマイクロコイルアセンブリ。
(項目18)
前記括り糸は、縫合糸であり、
前記引張ワイヤは、前記コイルプッシャユニット内に収容され、前記引張ワイヤの端部は、前記引張ワイヤの動作のために、前記コイルプッシャユニットの外側に露出されている、項目1に記載のマイクロコイルアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の概念の例示的実施形態は、付随の図面と関連して検討される以下の発明を実施するための形態からより明確に理解されるであろう。
図1図1は、本発明の概念の例示的実施形態による、マイクロコイルアセンブリの斜視図である。
図2図2は、図1における部分Aの拡大斜視図である。
図3図3は、図1における部分Bの拡大斜視図である。
図4図4は、図1における部分Cの拡大斜視図である。
図5図5は、図1のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸切断ユニットの構造を図式的に図示する、断面図である。
図6図6は、図1のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸を切断するプロセスを図示する、図である。
図7図7は、患者の動静脈奇形瘤内に挿入された図1のマイクロコイルアセンブリを図示する、概略図である。
図8図8は、本発明の概念の別の例示的実施形態による、マイクロコイルアセンブリを図示する、斜視図である。
図9図9は、図8における面積Eの内側を図示する、拡大斜視図である。
図10図10は、図8のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸切断ユニットの構造を図式的に図示する、断面図である。
図11図11は、図8のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸を切断するプロセスを図示する、図である。
図12図12は、本発明の概念の別の例示的実施形態による、マイクロコイルアセンブリ内の括り糸切断ユニットの構造を図式的に図示する、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の概念の実施形態を図示するための添付の図面は、本発明の概念およびその利点の十分な理解を得るために、参照される。
【0029】
以下、本発明の概念が、添付の図面を参照して、本発明の概念の実施形態を説明することによって、詳細に説明される。
【0030】
図1は、本発明の概念の例示的実施形態による、マイクロコイルアセンブリの斜視図である。図2は、図1における部分Aの拡大斜視図である。図3は、図1における部分Bの拡大斜視図である。図4は、図1における部分Cの拡大斜視図である。図5は、図1のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸切断ユニットの構造を図式的に図示する、断面図である。図6は、図1のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸を切断するプロセスを図示する、図である。図7は、患者の動静脈奇形瘤内に挿入された図1のマイクロコイルアセンブリを図示する、概略図である。
【0031】
そこに示されるように、本実施形態におけるマイクロコイルアセンブリ100は、患者の動脈瘤Mまたは他の血管奇形内に挿入され、血栓を誘発させ、それによって、血液の流入を防止するマイクロコイルユニット110と、マイクロコイルユニット110に隣接して配置され、マイクロコイルユニット110を患者の動脈瘤Mまたは他の血管奇形に搬送する、コイルプッシャユニット120と、コイルプッシャユニット120内に配置され、その中で相対的に移動可能である、引張ワイヤ130と、マイクロコイルユニット110および引張ワイヤ130を接続している括り糸140と、その少なくとも一部が、括り糸140を括られた状態に維持するための設定位置と、括り糸140を切断するための切断位置との間で移動することができるように、コイルプッシャユニット120に隣接して配置され、切断位置に移動されると、括り糸140を切断する、括り糸切断ユニット150とを含む。
【0032】
マイクロコイルユニット110は、患者の動脈瘤Mまたは他の血管奇形内に挿入され、血栓を誘発させ、それによって、血液の流入を防止する。マイクロコイルユニット110は、患者の動脈瘤M内に挿入されると、以前に決定された形状に変化させられ、血栓を誘発する血栓誘導コイル111と、血栓誘導コイル111の内側を貫通する伸張抵抗コア112とを含む。
【0033】
血栓誘導コイル111は、コイル巻きデバイス(マンドレル)の周囲に適切な直径を有する白金ワイヤを巻き、次いで、高温の炉内で熱処理を適用することによって製造される。ここでは、コイル巻きデバイスは、患者の動脈瘤M内で変形させられるように、血栓誘導コイル111の形状に対応する形状を有するように提供される。また、適切な直径は、患者の動脈瘤Mのサイズに基づいて決定される。代替として、血栓誘導コイル111の直径は、変形前の血栓誘導コイル111の形状、血栓誘導コイル111の可撓性、動脈瘤M内で変形させられる血栓誘導コイル111の形状等に基づいて、変更され得る。
【0034】
伸張抵抗コア112は、血栓誘導コイル111が、動脈瘤M内に正確に位置付けられることができるように、患者の動脈瘤M内で以前に決定された形状を有するように変化させられる。血栓誘導コイル111が、直接、伸張抵抗コア112の代わりに、押し引きされる場合、血栓誘導コイル111が、渦巻状に巻かれるので、血栓誘導コイル111のN番目の巻き部分と(N+1)番目の巻き部分との間に間隙または緊密な接触が、存在し得る。
【0035】
故に、伸張抵抗コア112が、本問題を解決するために提供される。患者において、脳動脈瘤の手術を行なう施術者(例えば、外科医または同等者)は、伸張抵抗コア112に接続された血栓誘導コイル111が、微調節されることができるように、精密に、マイクロカテーテルX内で伸張抵抗コア112を押し引きする。すなわち、伸張抵抗コア112は、施術者が、血栓誘導コイル111を動脈瘤M内に正確に挿入することができるように、押し引きされるときでも、容易に変形させられない。
【0036】
伸張抵抗コア112は、モノマーの相手方(the opposite)であるように分子を重合させることによって生成されるポリマーから作製される。伸張抵抗コア112は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアミドモノフィラメント、およびポリアミドコンポジットフィラメント等の種々の種類のポリマーの中から選択される1つを含む。ポリプロピレンは、プロピレンを重合させることによって生成される、熱可塑性樹脂であり、ナイロンは、−CONH−で結合されている鎖状の高分子を指す、合成高分子ポリアミドの総称であり、ポリアミドモノフィラメントは、脂肪族または芳香族アミドの主鎖構造を有するポリマーとしてポリアミドが与えられる、単一フィラメントであり、ポリアミドコンポジットフィラメントは、ポリアミドが与えられる、複合フィラメントである。
【0037】
ポリマーから作製される伸張抵抗コア112は、有利には、フレーミングコイル、フィリングコイル、またはフィニッシングコイルとして使用されることができるように、可撓性であるだけではなく、また、伸張にも抵抗する。ここでは、フレーミングコイルは、最初に、患者の動脈瘤M内に挿入され、フィリングコイルで充填されるフレームを提供する、コイルであり、フィリングコイルは、フレーミングコイル内に充填されるコイルであり、フィニッシングコイルは、フィリングコイルで充填されないフレーミングコイルの微細な間隙に充填されるコイルである。
【0038】
代替として、伸張抵抗コア112は、ニチノールから作製され得る。ニチノールは、ニッケルおよびチタンをほぼ同一の比率で混合することによって形成される、非磁性合金である。
【0039】
一方、コイルプッシャユニット120に隣接する伸張抵抗コア112の一端は、ループ状に成形され、その他端は、この構成要素のために使用される材料のタイプに応じて、伸張抵抗コア112の一部を溶融または溶接することによって形成されるボールまたはチップボール(TB)状に成形される。具体的には、本実施形態における伸張抵抗コアは、それらの各々ループ形状を有し、それらが垂直方向に互から離間される二重のループのように成形される。
【0040】
このように、伸張抵抗コア112の一端は、括り糸140が、伸張抵抗コア112の内側に貫通し、伸張抵抗コア112を容易に括ることができるように、ループ状に成形される。したがって、伸張抵抗コア112は、括り糸140を介して、引張ワイヤ130に接続される。
【0041】
さらに、マイクロコイルユニット110はさらに、伸張抵抗コア112に接続され、血栓誘導コイル111内の伸張抵抗コア112を支持する、コア支持部材113を含む。コア支持部材113は、チップボール(TB)の反対側に提供される。コア支持部材113が、チップボール(TB)の反対側に提供され、伸張抵抗コア112を支持するので、伸張抵抗コア112は、血栓誘導コイル111の内部空洞内に安定して配置される。
【0042】
一方、伸張抵抗コア112の他端は、血栓誘導コイル111が、患者の動脈瘤M内に挿入されている間、動脈壁が、血栓誘導コイル111によって損傷されないように保護されることができるように、チップボール(TB)とともに形成される。
【0043】
チップボール(TB)は、伸張抵抗コア112材料の融点以上の温度で伸張抵抗コア112を溶融することによって形成される。これは、対流加熱空気、伝導熱、またははんだごて等の源から放出する熱の形態において、伸張抵抗コア112材料を溶融可能な熱を印加することによって達成されることができる。代替として、金属材料が、伸張抵抗コア112のために使用される場合、チップボール(TB)は、伸張抵抗コア112のコイルプッシャユニット120に隣接する一端と反対の他端をアーク溶接することによって形成され得る。特に、本実施形態におけるチップボール(TB)は、伸張抵抗コア112の他端を電気アーク溶接することによって形成され、電気アーク溶接プロセスは、血栓誘導コイル111材料を球状形状に融解する。いくつかの金属材料は、アーク溶接プロセスが、不活性ガス真空内で行なわれることを要求し得る。
【0044】
電気アーク溶接方法は、コーティング材料が使用されず、スラグが発生せず、精密な溶接が可能であるので、本実施形態における伸張抵抗コア112のチップボール(TB)を形成するために適切である。しかしながら、本発明の概念の権利範囲は、チップボール(TB)の形成方法に限定されない。代替として、本実施形態におけるチップボール(TB)は、伸張抵抗コア112の他端に電気アーク溶接ではなく、別の溶接方法を適用することによって形成され得る。
【0045】
血栓誘導コイル111は、その一端が、チップボール(TB)と接触するので、伸張抵抗コア112に固定される。代替として、チップボール(TB)は、血栓誘導コイル111の一端と伸張抵抗コア112の一端との間にアーク溶接を適用することによって提供され得る。すなわち、チップボール(TB)は、血栓誘導コイル111の一端と伸張抵抗コア112の他端との間にアーク溶接を適用することによって、伸張抵抗コア112の他端に溶接を適用せずに提供され得る。
【0046】
チップボール(TB)を形成するさらに別の方法は、製造プロセスの間の塗布時に、球状形状を形成し、伸張抵抗コア112を血栓誘導コイル111の端部に固着させる接着剤を使用することである。接着剤は、n−ブチルシアノアクリレート等のインプラントグレードのポリマーまたはエポキシ等のコポリマーであろう。使用される接着剤のタイプに応じて、チップボール(TB)は、紫外線または高温印加による接着剤の硬化に応じて形成される。
【0047】
コイルプッシャユニット120は、マイクロコイルユニット110に隣接して配置され、マイクロコイルユニット110を患者の動脈瘤Mに搬送する。コイルプッシャユニット120は、引張ワイヤ130が収容されるプッシャ管121を含む。
【0048】
プッシャ管121は、ニチノールまたは300系ステンレス鋼等の金属合金、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の硬質ポリマー、または硬質ポリマーおよび金属合金を機械的に組み合わせことによって形成される硬質ポリマー管から作製され得る。
【0049】
本実施形態では、プッシャ管121は、螺旋パターン123を具備し、螺旋パターン123は、ポリマー外被で積層された金属コイルから成ることにより、プッシャ管121のこの部分を容易に屈曲させ、マイクロコイルユニット110に隣接させる。プッシャ管121内に提供される螺旋パターン123は、プッシャ管121が平滑に屈曲され得るように、プッシャ管121が、特定の位置で突然折れることを防止し得る。さらに、外部保護ポリマー管(図示せず)が、螺旋パターン123を有するプッシャ管121の外側表面に連結され得る。
【0050】
螺旋パターン123は、患者の神血管系内へのより平滑な操向のために、プッシャ管121をより可撓性にするように意図される。プッシャ管を可撓性にする代替方法は、180度離れた、中実管の遠位区画の両側に切断される複数の隣接するスロットのパターンを作成することであり、各スロットは、管直径の半分未満の深度まで切断される。隣接するスロットはまた、優先的屈曲が、プッシャ管内に存在しないように、5度〜90度で交互し得る。
【0051】
本実施形態では、コイルプッシャユニット120はさらに、プッシャ管121の螺旋パターン123の先端に連結され、括り糸140が通過する開口部を形成し、括り糸140の切断の間、マイクロコイルユニット110がプッシャ管121内に移動することを防止するコイル停止部122を含む。
【0052】
コイル停止部122は、マイクロコイルユニット110が、括り糸140の切断の間、螺旋パターン123の内側に移動することを制限することによって、括り糸140の切断を促進する。
【0053】
引張ワイヤ130は、コイルプッシャユニット120に対して相対的に移動可能であるように配置される。本実施形態では、引張ワイヤ130は、プッシャ管121に対して相対的に移動可能であるように、プッシャ管121内に配置される。さらに、引張ワイヤ130の動作のために、引張ワイヤ130の一端は、プッシャ管121の外側に露出されている。
【0054】
以下に説明されるように、括り糸140は、結目141および144を介して、引張ワイヤ130に接続される。結目141および144の移動を制限するための結目部停止部131は、説明の便宜上、以下に説明されるように、引張ワイヤ130上に提供される。
【0055】
括り糸140は、マイクロコイルユニット110および引張ワイヤ130を接続する。括り糸140の両端が、引張ワイヤ130上で結び目を形成するので、括り糸140は、マイクロコイルユニット110および引張ワイヤ130を接続する。括り糸140の配置は、説明の便宜上、以下に説明される。本実施形態における括り糸140は、縫合糸であり得る。
【0056】
括り糸切断ユニット150は、その少なくとも一部が、括り糸140を括られた状態に維持するための設定位置と、括り糸140を切断するための切断位置との間を移動することができるように、コイルプッシャユニット120に隣接して配置され、切断位置に移動されると、括り糸140を切断する。本実施形態では、括り糸切断ユニット150は、コイルプッシャユニット120に隣接して配置される。
【0057】
括り糸切断ユニット150は、引張ワイヤ130に連結され、引張ワイヤ130の移動に連動して移動する第1の刃151を含む。第1の刃151は、その片側において、引張ワイヤ130の端部に連結され、引張ワイヤ130の移動に連動して移動する。
【0058】
第1の刃151が、引張ワイヤ130の移動に連動されるので、引張ワイヤ130の移動は、コイルプッシャユニット120内において、括り糸140を括られた状態に維持するための設定位置と、括り糸140を切断するための切断位置との間で第1の刃151を移動させる。
【0059】
切断位置における括り糸140の切断を促進するために、括り糸切断ユニット150はさらに、コイルプッシャユニット120に提供される第2の刃155を含み、第1の刃151が、切断位置に移動されると、第1の刃151との相互作用によって、括り糸140を切断する。
【0060】
第1の刃151および第2の刃155は、300系ステンレス鋼から作製され得る。
【0061】
本実施形態では、第2の刃155は、プッシャ管121内に移動しないように、固定して配置される。さらに、第1の刃151は、第2の刃155に接近するように、およびそこから分離されるように螺旋パターン123内で相対的に移動する。
【0062】
本実施形態では、第2の刃155は、プッシャ管121に隣接して配置され、プッシャ管121内に固定して配置され得る。
【0063】
第2の刃155に対して相対的に移動可能であるように配置される、第1の刃151は、括り糸140の切断の間、引張ワイヤ130の移動により、第2の刃155に向かって移動され、第2の刃155との相互作用によって、括り糸140を切断する。括り糸140の切断部分は、説明の便宜上、以下に説明される。
【0064】
括り糸140がコイルプッシャユニット120の長手方向に通過する第2の刃通過孔156が、第2の刃155内に形成されている。括り糸140がコイルプッシャユニット120の長手方向に通過する第1の刃通過孔152が、第1の刃151内に形成されている。故に、括り糸140の切断の間、第1の刃151の一部は、第2の刃通過孔156内に挿入され、それによって、括り糸140の切断を促進する。
【0065】
括り糸140は、引張ワイヤの後端部130に結ばれている、第1の結目部141と、第1の結目部141に接続され、第2の刃通過孔156および第1の刃151の外側を通過する第1の延在部分142と、第1の延在部分142に接続され、第1の刃通過孔152を通過する第2の延在部分143と、第2の延在部分143に接続され、第1の結目部141に隣接する引張ワイヤの後端部130に結ばれている第2の結目部144とを含む。
【0066】
第1の延在部分142は、第2の刃通過孔156を通過し、第1および第2の刃151および155の相対的移動によって、特に、第1の刃151の内側ではなく、第1の刃151の外側を通過することによって、切断される。
【0067】
したがって、括り糸140の切断の間、第1および第2の刃151および155は、第1の延在部分142を切断する。故に、切断位置は、第1の刃の後端部151が第2の刃の前端部155と接触する位置である。
【0068】
さらに、本実施形態では、第1の刃151の後端部の接点が、第2の刃155の前端部と接触することによる第1の延在部分142の切断を促進するために、第2の刃通過孔156の内径D2は、第1の刃151の外径D1をより大きく、かつ第1の刃151の外径D1および括り糸140の厚さTの和である長さD3より小さい。
【0069】
第2の刃通過孔156の内径D2は、第1の刃151の外径D1および括り糸140の厚さTの和である長さD3より小さく、第2の刃通過孔156内に挿入される、第1の刃151の後端部は、括り糸140の第1の延在部分142を容易に切断し得る。
【0070】
引張ワイヤ130は、第1および第2の結目部141および144のうちの少なくとも1つの移動を制限する結目部停止部131を含む。本実施形態では、結目部停止部131は、第1の刃151を第2の刃155に向かって引っ張り、括り糸140を切断するプロセスにおいて、第1および第2の結目部141および144が第1の刃151に向かう方向に引張ワイヤ130に沿って摺動することを制限する。
【0071】
したがって、本実施形態によるマイクロコイルアセンブリ100は、括り糸切断ユニット150を、括り糸140を括られた状態に維持するための設定位置から括り糸140を切断するための切断位置へと移動させ、マイクロコイルユニット110および引張ワイヤ130を接続する括り糸140を切断することによって、便宜かつ正確に、マイクロコイルユニット110をマイクロコイルアセンブリ100から切断し得る。
【0072】
次に、本実施形態によるマイクロコイルアセンブリ100の動作が、詳細に説明される。
【0073】
マイクロコイルアセンブリ100は、患者の大腿部等の適切な挿入開始位置から動脈瘤Mまで延在する、マイクロカテーテルXの空洞X1に沿って、動脈上の動脈瘤M内に挿入される。すなわち、動静脈奇形瘤Mまで延在される、マイクロカテーテルXが、最初に、挿入され、次いで、マイクロコイルアセンブリ100が、マイクロカテーテルXに沿って挿入される。マイクロコイルアセンブリ100は、非常に小さい直径を有するように製造され、したがって、便宜に挿入されることができるように、マイクロカテーテルXの内側にある程度の可撓性を有する。
【0074】
コイルプッシャユニット120に接続されるマイクロコイルユニット110は、マイクロカテーテルXの内側壁によって与えられる応力によってマイクロカテーテルX内で無作為に変形させられず、そのまま動脈瘤Mに搬送される。
【0075】
マイクロコイルユニット110が、患者の動脈瘤M内に挿入される場合、第1の刃151は、引張ワイヤ130を引っ張ることによって、第2の刃155に向かって引かれる。次いで、マイクロコイルユニット110は、コイル停止部122によって、コイルプッシャユニット120内に挿入されることを制限される。
【0076】
第1の刃151が、第2の刃155に向かって徐々に移動されるにつれて、第1の刃151は、括り糸140を切断するための切断位置に移動される。第1の刃151の後端部は、切断位置において、第2の刃155の前端部と係合されるので、括り糸140の第1の延在部分142が、切断される。
【0077】
次に、切断された括り糸140は、伸張抵抗コア112から解放される。その結果、マイクロコイルユニット110は、マイクロコイルアセンブリ100から分離される。
【0078】
括り糸140が切断される場合でも、括り糸140は、第1および第2の結目部141および144を通して、引張ワイヤ130に括られているので、括り糸140は、引張ワイヤ130から分離されない。
【0079】
括り糸140が切断されると、マイクロコイルユニット110は、マイクロコイルアセンブリ100から分離され、患者の動脈瘤M内に完全に挿入される。
【0080】
マイクロカテーテルXの端部から出て動脈瘤M内に挿入されるマイクロコイルユニット110は、マイクロカテーテルXの内側壁によって与えられる応力から解放され、その結果、マイクロコイルユニット10が熱力を受けている間、以前に決定された形状を有するように変形させられることができ、それによって、動脈瘤Mを充填する。
【0081】
マイクロコイルユニット110は、マイクロカテーテルXの端部から出ると、2次元渦巻形状または3次元渦巻複合パターン等の事前に設定された無作為形状を有するように変形させられる。マイクロコイルユニット110の変形させられた形状は、患者の動脈瘤Mのサイズ、形状、および他の種々のデータに応じて、以前に決定されている。
【0082】
本実施形態によるマイクロコイルアセンブリ100では、マイクロコイルユニット110および引張ワイヤ130を接続する括り糸140は、設定位置と切断位置との間を移動する括り糸切断ユニット140が、切断位置に移動すると、切断されるように構成される。したがって、マイクロコイルユニット110は、便宜かつ正確に、マイクロコイルアセンブリ100から分離され、正確に、患者の動脈瘤M内に挿入され、それによって、施術者の外科手術動作を効率的に満たす。
【0083】
図8は、本発明の概念の別の例示的実施形態による、マイクロコイルアセンブリ100aを図示する、斜視図である。図9は、図8における領域Eの内側を図示する、拡大斜視図である。図10は、図8のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸切断ユニットの構造を図式的に図示する、断面図である。図11は、図8のマイクロコイルアセンブリ内の括り糸を切断するプロセスを図示する、図である。
【0084】
第1の実施形態と比較して、本実施形態は、コイルプッシャユニット120aおよび括り糸切断ユニット150aの構造が異なるが、他の構造は、図1−7の第1の実施形態のものと実質的に同一である。以下の説明では、コイルプッシャユニット120aおよび括り糸切断ユニット150aの構造が、主に、論じられる。
【0085】
本実施形態によるマイクロコイルアセンブリ100aでは、コイルプッシャユニット120aは、引張ワイヤ130が収容される管形状を有するプッシャ管121aを含む。第2の刃155aが、プッシャ管121aの正面端に固定して配置される。第2の刃155aは、プッシャ管121aの正面端に配置されるので、第1の実施形態のコイル停止部122は、マイクロコイルアセンブリ100aの構造が簡略化されるように、必要とされない。
【0086】
括り糸140aがコイルプッシャユニット120の長手方向に通過する、第2の刃通過孔156が、第1の実施形態におけるように、第2の刃155a内に形成される。
【0087】
本実施形態では、第2の刃交差孔157が、第2の刃155a内に形成される。第1の実施形態と異なり、第2の刃交差孔157は、コイルプッシャユニット120の長手方向に交差する方向に形成され、第2の刃通過孔156と連通する。第2の刃交差孔157は、第2の刃155aの側壁内に形成され、第2の刃通過孔156と連通する。
【0088】
第1の刃151aは、第2の刃155aに対して相対的に移動可能なように配置される。第1の刃151aは、第2の刃155aの内側に沿って誘導されることによって、すなわち、第2の刃通過孔156によって、移動される。
【0089】
さらに、第1の刃通過孔152が、第1の実施形態におけるように、コイルプッシャユニット120の長手方向に形成される。第1の刃交差孔153が、第1の刃151a内に形成される。第1の刃交差孔153は、コイルプッシャユニット120の長手方向に形成され、第1の実施形態と異なり、設定位置において、第2の刃交差孔157と連通する。第1の刃交差孔153は、第1の刃151aの側壁内に形成され、第1の刃通過孔152と連通する。
【0090】
括り糸140aは、引張ワイヤ130の後端部に結ばれている第1の結目部(図示せず)と、第1の結目部に接続され、第1の刃交差孔153および第2の刃交差孔157を通過する第1の延在部分142aと、第1の延在部分142aに接続され、第1の刃通過孔152および第2の刃通過孔156を通過する第2の延在部分143と、第2の延在部分143に接続され、第1の結目部141に隣接する引張ワイヤ130の後端部に結ばれている第2の結目部(図示せず)とを含む。
【0091】
本実施形態では、第1の延在部分142aは、第1の刃交差孔153および第2の刃交差孔157を通過し、第1および第2の刃151aおよび155aの相対的移動によって切断される。
【0092】
その結果、括り糸140aを切断するための切断位置は、第1の刃151aが、第2の刃交差孔157を遮断するように移動するにつれて、第1の延在部分142aが、第1および第2の刃151aおよび155aの相互作用によって切断される位置である。
【0093】
切断位置では、括り糸140aは、第1の刃交差孔153の内側壁154が、第2の刃交差孔157の内側壁158と係合されるので、切断される。
【0094】
図12は、本発明の概念の別の例示的実施形態による、マイクロコイルアセンブリ内の括り糸切断ユニットの構造を図式的に図示する、断面図である。第2の実施形態と比較して、本実施形態は、第2の刃交差孔157の内側壁158aの形状が異なるが、他の構造は、図8−11の第2の実施形態のものと実質的に同一である。以下の説明では、第2の刃交差孔157の内側壁158aの形状が、主に、論じられる。
【0095】
第2の実施形態において、第1の刃交差孔153を形成する内側壁154および第2の刃交差孔157を形成する内側壁158のうちのいずれか1つが、その上端に向かって増加するその内径に伴って傾斜される場合、第1の延在部分142aの切断は、容易となる。
【0096】
したがって、本実施形態では、第2の刃交差孔157を形成する内側壁158aは、その上端に向かって増加するその内径に伴って傾斜される。
【0097】
第1の延在部分142aは、急峻な形状を有するように、その上端に向かって増加するその内径に伴って傾斜される内側壁158aが、第1の刃交差孔153の内側壁154と係合されるので、より容易に切断される。
【0098】
前述のように、本実施形態によるマイクロコイルアセンブリでは、マイクロコイルユニットは、括り糸切断ユニットを、括り糸を括られた状態に維持するための設定位置から、括り糸を切断するための切断位置に移動させ、マイクロコイルユニットおよび引張ワイヤを接続する括り糸を切断することによって、便宜かつ正確に、マイクロコイルアセンブリから分離され得る。
【0099】
本発明の概念が、特に、その例示的実施形態を参照して図示および説明されたが、形態および詳細における種々の変更が、以下の請求項の精神および範囲から逸脱することなく、行なわれてもよいことを理解されるであろう。
図1
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