特許第6000369号(P6000369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000369
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】一体型アレルギー検査方式の器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/157 20060101AFI20160915BHJP
   A61B 5/15 20060101ALI20160915BHJP
   A61B 5/153 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   A61B5/14 300L
   A61B5/14 300H
   A61B5/14 300F
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-544886(P2014-544886)
(86)(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-502805(P2015-502805A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】US2012067095
(87)【国際公開番号】WO2013082301
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年12月1日
(31)【優先権主張番号】61/564,593
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509055013
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TELEFLEX MEDICAL INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】グプタ ニシャ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】デンリンガー ロドニー
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−527917(JP,A)
【文献】 特表2007−532260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 − 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液中の物質の存在を検査する器具であって、
ルーメンを備えたハウジングを有し、前記ルーメンは、被験者から抜き取った血液を受け入れるよう構成され、
前記ハウジング内に設けられた第1のチャンバを有し、前記第1のチャンバは、前記抜き取った血液を受け入れるよう構成され、
前記第1のチャンバから前記抜き取った血液を受け入れるよう構成された第2のチャンバを有し、
前記第2のチャンバ内に保持されていて、前記抜き取った血液に少なくとも部分的に接触する検査ストリップを有し、
前記抜き取った血液中の前記物質に接触する前記検査ストリップの一部分が前記物質の存在を指示する可視信号を生じさせており、
前記第2のチャンバは、可撓性ドームを有し、前記可撓性ドームは、半径方向下方又は半径方向外方に撓むよう構成され、
前記可撓性ドームは、血液を前記第1のチャンバから引き出して該血液を前記第2のチャンバに引き込むよう半径方向外方に撓むものであり、
前記可撓性ドームは、前記第2のチャンバ内の圧力を増大させるよう半径方向下方に撓むものである、検査器具。
【請求項2】
血液中の物質の存在を検査する器具であって、
ルーメンを備えたハウジングを有し、前記ルーメンは、被験者から抜き取った血液を受け入れるよう構成され、
前記ハウジング内に設けられた第1のチャンバを有し、前記第1のチャンバは、前記抜き取った血液を受け入れるよう構成され、
前記第1のチャンバから前記抜き取った血液を受け入れるよう構成された第2のチャンバを有し、
前記第2のチャンバ内に保持されていて、前記抜き取った血液に少なくとも部分的に接触する検査ストリップを有し、
前記抜き取った血液中の前記物質に接触する前記検査ストリップの一部分が前記物質の存在を指示する可視信号を生じさせており、
前記検査ストリップと接触状態にある端キャップを更に有し、この端キャップは、前記検査ストリップを安定化するよう構成されている、検査器具。
【請求項3】
血液中の物質の存在を検査する器具であって、
ルーメンを備えたハウジングを有し、前記ルーメンは、被験者から抜き取った血液を受け入れるよう構成され、
前記ハウジング内に設けられた第1のチャンバを有し、前記第1のチャンバは、前記抜き取った血液を受け入れるよう構成され、
前記第1のチャンバから前記抜き取った血液を受け入れるよう構成された第2のチャンバを有し、
前記第2のチャンバ内に保持されていて、前記抜き取った血液に少なくとも部分的に接触する検査ストリップを有し、
前記抜き取った血液中の前記物質に接触する前記検査ストリップの一部分が前記物質の存在を指示する可視信号を生じさせており、
前記第1のチャンバを前記第2のチャンバから隔てるよう構成された壁と、この壁に設けられた孔を更に有し、この孔は、前記抜き取った血液が前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに移ることができるようにするよう構成されている、検査器具。
【請求項4】
前記ハウジングは、注射器の筒であり、前記第1のチャンバは、前記注射器筒によって画定されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の検査器具。
【請求項5】
医療器具を更に含み、前記検査器具の近位端は、前記医療器具の遠位端に結合されるよう構成されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の検査器具。
【請求項6】
前記物質は、抗体である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の検査器具。
【請求項7】
前記抗体は、クラスIgG,IgA,IgM又はIgEの抗体である、請求項記載の検査器具。
【請求項8】
前記抗体は、抗菌剤に結合する、請求項記載の検査器具。
【請求項9】
前記第2のチャンバは、可撓性ドームを有し、前記可撓性ドームは、半径方向下方又は半径方向外方に撓むよう構成され、
前記可撓性ドームは、血液を前記第1のチャンバから引き出して該血液を前記第2のチャンバに引き込むよう半径方向外方に撓むものであり
前記可撓性ドームは、前記第2のチャンバ内の圧力を増大させるよう半径方向下方に撓むものである、請求項2又は3に記載の検査器具。
【請求項10】
前記検査ストリップと接触状態にある端キャップを更に有し、前記端キャップは、前記検査ストリップを安定化するよう構成されている、請求項1又は3に記載の検査器具。
【請求項11】
血液を被験者から抜き取る針を更に有し、前記針は、前記ハウジングに可逆的に結合される、請求項1乃至3の何れか1項に記載の検査器具。
【請求項12】
前記検査ストリップは、免疫クロマトグラフィ検査ストリップである、請求項1乃至3の何れか1項に記載の検査器具。
【請求項13】
前記第2のチャンバ内に設けられた窓を更に有し、前記窓は、前記検査ストリップの観察を可能にする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の検査器具。
【請求項14】
前記第1のチャンバを前記第2のチャンバから隔てるよう構成された壁を更に有する、請求項1又は2に記載の検査器具。
【請求項15】
前記壁に設けられた孔を更に有し、前記孔は、前記抜き取った血液が前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに移ることができるようにするよう構成されている、請求項14記載の検査器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容、即ち、本発明は、一般に、医療検査器具に関する。特に、本発明は、一体型アレルギー検査システムを有する器具に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2011年11月29日に出願された米国特許仮出願第61/564,593号のパリ条約に基づく優先権主張出願であると共にかかる米国特許仮出願の権益を主張する出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
外科手技及び他の医療手技の実施の際、患者が手技中に悪化する場合のあるアレルギーを持っているかどうかを判定することが必要な場合が多い。アレルギー検査は、時間のかかるプロセスであると言える。多くの場合、手技中、即時回答が必要とされる。
【0004】
家庭内における或る特定の配合物又は製剤及び健康管理製品(オーラルケア製品、コンタクトレンズケア製品、包帯、軟膏、ソープ、化粧品)の大々的な使用により、幅広い年齢層がかかる特定の作用物質に対してあらかじめ感作状態になっている。予備感作状態の人は、かかる作用物質に接触すると、その人が心拍停止を伴うアナフィラキシーショックと同じほど重篤な非常に強い症状を示す確率が高い。かかるアレルギーに関する現在知られている検査を患者のベッドサイドで実施することができない。というのは、かかる検査は、時間がかかり、しかも多くのステップ及び機器を必要とするからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、アレルギー検査を医療器具に組み込むための器具を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カテーテル留置の際に使用されるアレルギー検出システムを提供する。アレルギー検出システムは、専用注射器や標準型注射器用のコネクタ内に組み込まれ又はアレルギー検出目的だけのために設計された独立型試験モジュールであっても良い。検出システムは、その構成上の特徴として、試験ストリップ、例えば免疫クロマトグラフィ試験ストリップ及び独立型試験モジュールを形成するよう検出システムをコネクタ、注射器又はハウジングに結合する構造体を含む。検出システムは、試験ストリップにより潜在的なアレルギー反応を検出するために用いられる。
【0007】
実施形態では、本発明は、血液中の物質の存否を検査する器具であって、この器具は、針と結合可能なカプラ又はハブを有し、針は、被験者から血液を抜き取ったり抜き取った血液を器具内に導入したりするためのものであり、器具は、抜き取った血液を受け入れる第1のチャンバと、検査ストリップを保持するよう構成された第2のチャンバと、第2のチャンバ内に保持された検査ストリップと、第1のチャンバを第2のチャンバから隔てる壁又はパネルと、壁又はパネルに設けられていて、血液が第1のチャンバから第2のチャンバに移ることができるようにするよう構成された少なくとも1つの孔とを更に有し、第2のチャンバは、検査ストリップを観察するための窓を有し、検査ストリップは、抜き取った血液中の物質の存否を指示する可視信号を生じさせることができ、窓は、可視信号の視覚的検出を可能にするよう構成されていることを特徴とする器具を提供する。
【0008】
また、この器具が注射器を含み、第1のチャンバが注射器のハウジングによって構成されていることを特徴とする上述の器具が提供される。また、注射器を備えていない上述の器具が提供される。また、器具が注射器及び針に結合可能であり、器具が注射器のハブに結合可能なハブを有し、器具が針に結合可能なカプラを有することを特徴とする上述の器具が提供される。さらに、提供されるのは、物質が抗菌剤に特異的に結合する抗体であることを特徴とする上述の器具である。さらに、想定されているものは、物質がクラスIgG,IgA,IgM又はIgEの抗体であることを特徴とする上述の器具である。加うるに、想定されているものは、物質が抗菌剤、例えば消毒薬又は抗生剤に特異的に結合する抗体であることを特徴とする上述の器具である。
【0009】
実施形態では、提供されるものは、血液中における第1の物質の存否について検査し、そして血液中の第2の物質の存否について検査することができる上述の器具であり、検査ストリップは、第1の物質に関する第1の可視信号及び第2の物質に関する第2の可視信号を別々にもたらすことができる。また、提供されるものは、第1の物質がラテックスに特異的に結合するIgE抗体であり、第2の物質が消毒薬に特異的に結合するIgE抗体であることを特徴とする上述の器具である。さらに想定されているものは、第2のチャンバが可撓性ドームを有し、可撓性ドームが半径方向外方に撓むことができ、使用中、可撓性ドームが半径方向外方に撓み、そして、血液を第1のチャンバから引き出して第2のチャンバ中に引き込むことができる部分真空を作り、滑りラッチが可撓性ドームに作動可能に連係され、使用中、滑りラッチが可撓性ドームを半径方向外方に圧縮して第2のチャンバ内の圧力を増大させるよう可撓性ドーム上でこれに沿って滑動可能であり、使用中、滑りラッチが可撓性ドームを解除して可撓性ドームが半径方向外方に撓むことができ、それにより第2のチャンバ内に部分真空を作るよう可撓性ドームから遠ざかるように滑動可能であることを特徴とする上述の器具である。変形例として、第1の物質は、IgG、IgA、IgM又はIgDクラスの抗体であっても良い。変形例として、第2の物質は、IgG、IgA、IgM又はIgDクラスの抗体であっても良い。
【0010】
さらに別の観点では、提供されるものは、器具が端キャップを更に有し、端キャップが検査ストリップに接触してこれを安定化するよう構成されると共に器具に結合された針の近位部分に接触してこれを安定化するよう構成されていることを特徴とする上述の器具である。また、第2のチャンバが近位端及び遠位端を有し、近位端及び遠位端のうちの一方又は両方が検査ストリップを第2のチャンバから取り込む開口部を有することを特徴とする上述の器具が提供される。さらに別の観点では、提供されるものは、第2のチャンバが近位端及び遠位端を有し、近位端及び遠位端のうちの一方又は両方が検査ストリップを第2のチャンバから取り込む開口部を有し、器具が近位端及び遠位端のうちの一方又は両方をキャップすることができる1つ又は2つ以上の端キャップを更に有することを特徴とする上述の器具である。
【0011】
さらに想定されているものは、針を更に有し、この針がカプラに可逆的に結合されることを特徴とする上述の器具である。また、針を備えていない上述の器具が想定される。
【0012】
さらに別の実施形態では、想定されるものは、血液中の抗体の存否を検査する器具であって、抗体が抗菌剤に特異的に結合し、器具が針のハブと結合可能なカプラを有し、針が被験者から血液を抜き取ったり抜き取った血液を器具内に導入したりするためのものであり、器具が抜き取った血液を受け入れる第1のチャンバと、検査ストリップを保持するよう構成された第2のチャンバと、第2のチャンバ内に保持された検査ストリップと、第1のチャンバを第2のチャンバから隔てる壁又はパネルと、壁又はパネルに設けられていて、血液が第1のチャンバから第2のチャンバに移ることができるようにするよう構成された少なくとも1つの孔とを更に有し、第2のチャンバが検査ストリップを観察するための窓を有し、検査ストリップが抗菌剤に特異的に結合する抗体の抜き取り血液中における存否を指示する可視信号を生じさせることができ、窓が可視信号の視覚的検出を可能にするよう構成されていることを特徴とする器具である。また、検査ストリップが免疫クロマトグラフィ検査ストリップであることを特徴とする上述の器具が提供される。
【0013】
方法の実施形態では、提供されるものは、カテーテル留置の際のアレルギー検出方法であって、血液を被験者から抜き取って該血液を器具の第1のチャンバ内に入れるステップを含み、器具は、(a)針と結合可能なカプラ又はハブを有し、針は、被験者から血液を抜き取ったり抜き取った血液を器具内に導入したりするためのものであり、(b)抜き取った血液を受け入れる第1のチャンバを有し、(c)検査ストリップを保持するよう構成された第2のチャンバを有し、(d)第2のチャンバ内に保持された検査ストリップを有し、(e)第1のチャンバを第2のチャンバから隔てる壁又はパネルを有し、(f)壁又はパネルに設けられていて、血液が第1のチャンバから第2のチャンバに移ることができるようにするよう構成された少なくとも1つの孔を有し、(g)第2のチャンバは、検査ストリップを観察するための窓を有し、(h)検査ストリップは、抜き取った血液中の物質の存否を指示する可視信号を生じさせることができ、(i)窓は、可視信号の視覚的検出を可能にするよう構成されており、この方法は、抜き取った血液のうちの少なくとも何割かが器具の第2のチャンバに入ることができるようにするステップを含み、針が器具に結合され、使用中、抜き取った血液のうちの少なくとも何割かが針に入り、次に第1のチャンバに入り、次いで第2のチャンバに入り、次に検査ストリップに接触することを特徴とする方法である。
【0014】
さらに別の方法実施形態では、提供されるものは、この方法が検査ストリップによって仲介される反応を更に含み、反応がアレルギーを仲介する物質の存否を指示する可視信号を生じさせることを特徴とする方法である。また、血液を第1のチャンバ中に引き込むステップが(a)被験者の血圧、(b)器具の注射器プランジャにより生じる真空、(c)器具の可撓性ドームにより生じる真空及び(d)器具の検査ストリップの毛管作用のうちの1つ又は2つ以上によって強制的に実施されることを特徴とする上述の方法が提供される。さらに別の方法実施形態では、本発明は、検査ストリップが抗菌剤、例えば消毒薬又は抗生物質に特異的に結合する抗体を検出するよう構成され、使用中、検査ストリップは、血液が特異性抗菌剤、例えば消毒薬又は抗生物質に特異的に結合する検出可能な抗体を含んでいないという可視信号をもたらし、この方法は、次に、カテーテルを被験者の体内に挿入するステップを含み、カテーテルには抗菌剤、例えば消毒薬又は抗生物質が含浸され又はカテーテルは、抗菌剤、例えば消毒薬又は抗生物質で被覆されていることを特徴とする上述の方法を提供する。
【0015】
また、検査ストリップが抗菌剤に特異的に結合する抗体を検出するよう構成され、使用中、検査ストリップは、血液が特異性抗菌剤に特異的に結合する検出可能な抗体を含んでいないという可視信号をもたらし、この方法は、次に、抗菌剤を含浸させ又は抗菌剤で被覆されたカテーテルを挿入するかどうかについての決定を下すステップを含み、決定がカテーテルを被験者の体内に挿入するのを控えることであり、この方法は、次に、カテーテルを被験者の体内に挿入するステップを含み、カテーテルには抗菌剤、例えば消毒薬又は抗生物質が含浸されておらず又はカテーテルが抗菌剤、例えば消毒薬又は抗生物質で被覆されていないことを特徴とする上述の方法が提供される。
【0016】
システム実施形態では、本発明は、血液を保持することができる医療器械と医療器具を組み合わせて含むシステムであって、医療器具が(a)針と結合可能なカプラ又はハブを有し、針が被験者から血液を抜き取ったり抜き取った血液を器具内に導入したりするためのものであり、(b)抜き取った血液を受け入れる第1のチャンバを有し、(c)検査ストリップを保持するよう構成された第2のチャンバを有し、(d)第2のチャンバ内に保持された検査ストリップを有し、(e)第1のチャンバを第2のチャンバから隔てる壁又はパネルを有し、(f)壁又はパネルに設けられていて、血液が第1のチャンバから第2のチャンバに移ることができるようにするよう構成された少なくとも1つの孔を有し、(g)第2のチャンバが検査ストリップを観察するための窓を有し、(h)検査ストリップが抜き取った血液中の物質の存否を指示する可視信号を生じさせることができ、(i)窓が可視信号の視覚的検出を可能にするよう構成されていることを特徴とするシステムを提供する。また、想定されているものは、組み合わせが可逆的組み合わせ又は永続的組み合わせであることを特徴とする上述のシステムである。さらに、提供されるものは、組み合わせが可逆的組み合わせであり、医療器具と医療器械がクリップ、スナップ、ロック又はタブのうち1つ又は2つ以上によって組み合わせ状態に保持されることを特徴とする上述のシステムである。また、組み合わせが永続的組み合わせであり、器具及び医療器械が接着剤又は一体成形のうちの1つ又は2つ以上によって組み合わせ状態に保持されることを特徴とする上述のシステムが開示される。さらに別のシステム実施形態では、提供されるものは、医療器械が注射器、トロカール、カテーテル、導入器、シース、ハブ、ポンプ又は弁のうち1つ又は2つ以上を有することを特徴とする上述のシステムである。
【0017】
上述の要望は、本発明の開示内容によって大いに満たされ、幾つかの実施形態では、少なくとも或る程度まで上述の欠点を解決することができる一体型アレルギー検査システムを備えた器具が提供される。
【0018】
本発明の実施形態によれば、検体を検査するアレルギー検査器具が近位端及び遠位端を備えたハウジングを有する。このハウジングは、ハウジングの少なくとも一部分を貫通して延びる内側チャンバを画定する外壁を更に有するのが良い。アレルギー検査器具は、ハウジングの遠位端から延びる針を更に有するのが良い。加うるに、この器具は、所定の抗体が検体中に存在しているかどうかを指示するよう構成された免疫クロマトグラフィ検査ストリップを有するのが良い。検査ストリップは、ハウジング内に位置決めされるのが良い。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、一体型アレルギー検査システムを備えた注射器が注射器ハウジングを有し、この注射器ハウジングは、注射器ハウジングの少なくとも一部分を貫通して延びる内側チャンバを画定する外壁を有し、注射器ハウジングは、近位端及び遠位端を有する。注射器は、ハウジングの遠位端から延びる針を更に有するのが良い。加うるに、注射器プランジャが注射器ハウジングの内側チャンバ内に可動的に設けられるのが良い。注射器は、所定の抗体が検体中に存在しているかどうかを指示するよう構成された免疫クロマトグラフィ検査コンポーネントを更に有するのが良く、検体は、注射器内に吸い込まれるのが良く、検査コンポーネントは、注射器ハウジング内に位置決めされる。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、一体型アレルギー検査システムを有する医療器具用のアタッチメント又は取り付け具が近位端及び遠位端を備えたハウジングを含むのが良く、近位端は、医療器具に結合するよう構成され、遠位端は、針を受け入れるよう構成される。アタッチメントは、所定の抗体が検体中に存在しているかどうかを指示するよう構成された免疫クロマトグラフィ検査コンポーネントを更に含むのが良く、検査コンポーネントは、ハウジング内に位置決めされる。検体をハウジング内に吸い込むのが良い。加うるに、アタッチメントは、検査コンポーネントが観察可能であるようにハウジングに設けられた窓を含むのが良い。
【0021】
かくして、本発明の或る特定の実施形態の詳細な説明を本明細書において良好に理解できるようにすると共に当該技術分野に対する本発明の貢献を良好に理解することができるようにするために、かかる本発明の或る特定の実施形態をかなり広義に概要説明した。当然のことながら、以下に説明すると共に添付の特許請求の範囲に記載された本発明の内容を形成する本発明の追加の実施形態が存在する。
【0022】
この点に関し、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途が以下の説明に記載され又は図面に示されたコンポーネントの構成の細部又はコンポーネントの配置状態に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、上述の実施形態に加えて種々の仕方で具体化できると共に実施される実施形態が想定可能である。また、理解されるべきこととして、本明細書において用いられている言い回し及び用語並びに要約は、説明の目的上のものであり、本発明を限定するものと解されてはならない。
【0023】
したがって、当業者であれば理解されるように、本発明の立脚する技術的思想を本発明の幾つかの目的を実施するための他の構造、方法及びシステムの設計のための基礎として容易に利用できる。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲は、かかる均等構成が本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、かかる均等構成を含むものとして解されることが重要である。
【0024】
本発明の方法及び器具の構成要素は、例えば、任意の主要な医療器具製造会社、例えばミネソタ州ミネアポリス所在のメドトロニック(Medtronic)社、カリフォルニア州サンタクララ所在のアドバンスド・カーディオバスキュラ・システムズ(Advanced Cardiovascular Systems)社、イリノイ州ディアフィールド所在のバクスター・インターナショナル(Baxter International)社、イリノイ州アボットパーク所在のアボット・ラボラトリーズ(Abott Laboratories)社、カリフォルニア州アーバイン所在のエドワーズ・ライフサイエンシズ(Edwards Lifesciences)社及びマサチューセッツ州ナティック所在のボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific)社から入手できる。本発明の構成要素は、成形、吹き込み成形、スラッシュ成形、射出成形、回転成形、圧縮成形、押し出し成形、熱成形、スタンピング、圧延等によって構成できるが、これには限定されない(シー・エス・ブラゼル(C. S. Brazel),エス・エル・ローゼン(S. L. Rozen),「ファンダメンタル・プリンシプルズ・オブ・ポリメトリック・マテリアルズ(Fundamental Principles of Polymetric Materials)」,ニュージャージー州ホーボーケン,ワイリー(Wiley),2012年)。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態としての検査ストリップを示す図である。
図2】本発明の実施形態としての独立型アレルギー検査モジュールの斜視図である。
図3】本発明の実施形態としての独立型アレルギー検査モジュールの斜視図である。
図4】本発明の実施形態としての図2及び図3に示された独立型アレルギー検査モジュールの断面図である。
図5】本発明の実施形態としての図2及び図3に示された独立型アレルギー検査モジュールの断面図である。
図6】本発明の実施形態としての図2図5に示された独立型アレルギー検査モジュールの分解組立図である。
図7】本発明の実施形態としての一体型アレルギー検査方式の注射器を示す図である。
図8】本発明の実施形態としての図7に示された一体型アレルギー検査方式の注射器の断面図である。
図9】本発明の実施形態としての図7及び図8に示された一体型アレルギー検査方式の注射器の分解組立図である。
図10】本発明の実施形態としての一体型アレルギー検査方式のコネクタを示す図である。
図11】本発明の実施形態としての図10に示された一体型アレルギー検査方式のコネクタの断面図である。
図12】本発明の実施形態としての図10及び図11に示された一体型アレルギー検査方式のコネクタの分解組立図である。
図13図13のA及びBは、モジュール実施形態の一部をなすキャップ及びキャップの付近の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、幾つかの実施形態において、医療器具に組み込み可能なアレルギー検出システムを提供する。例えば、本発明の実施形態によれば、アレルギー検出システムを専用注射器、標準型注射器用のコネクタ又はアレルギー検出目的だけのために設計された独立型検査モジュールに組み込むことができる。検出システムは、独立型検査モジュールを形成するよう検出システムをコネクタ、注射器又はハウジングに結合するための免疫クロマトグラフィメンブレン及び構造体を有するのが良いが、これらには限定されない。検出システムは、免疫クロマトグラフィを用いて識別できる潜在的なアレルギーを検出するよう使用できる。
【0027】
実施形態では、提供されるものは、ポイント・オブ・ケア(point of care:POC)検査のための器具及び関連方法である。例えば、針がセルディンガー法での使用のために導入される場合、針は、抗体を検出してアレルギー有害反応を予測するための本発明の器具及び方法と関連して使用されるのが良い。セルディンガー法は、針を患者の血管中に挿入する最初のステップを含み、セルディンガー法は、針をカテーテル又は他の医療器具で置き換えることによって終了する。最終結果は、カテーテル又は他の医療器具が被験者の血管又は他の体腔内に配置されることである。セルディンガー法及びその派生法並びにこのセルディンガー法を実施するために用いられる器具は、セルディンガー(Seldinger),「アクタ・ラディオロジカ(Acta Radiologica)」39:368‐376、タルに付与された米国特許第7,722,567明細書、クラウス等に付与された米国特許第7,972,307号明細書及びフィッシャー等に付与された米国特許第7,938,806号明細書に記載されており、これら非特許文献及び特許文献を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。本発明の器具及び方法による検査に続き、検査結果が陰性(被験者がアレルギー性ではないことを指示する)の場合、臨床医は、セルディンガー法を始めることができ、そして抗原薬、抗原消毒薬、抗原接着剤又は抗原ラテックスの入ったカテーテルで針を置き換えるのが良い。変形例として、検査が陽性の結果を出して被験者が抗原薬、抗原抗菌剤、抗原消毒薬、抗原接着剤又は抗原ラテックスに対してアレルギー性を示す可能性が多分にあることを指示した場合、臨床医は、医療器具を用いるのを控える。検査結果が陽性の場合、臨床医は、不適格な薬剤、消毒薬、接着剤又はラテックス等の入っていない別の医療器具を用いるのが良い。
【0028】
このように、本発明の器具及び手技は、ポイント・オブ・ケアで用いられ、かかる器具は、関心のある任意の医療器具を用いる手技に組み込まれ、本発明の器具及び手技は、臨床医にイエス/ノーの回答を与えることができる。本発明の器具は、関心のある医療手技に用いられる器具の物理的部分であっても良く、例えば、器具は、セルディンガー法又は他の手技で用いられる注射器に連結されるのが良い。この連結は、ルアーロック、ストルツ(Storz)ロック又は他のカプラを介してであるのが良い。変形例として、本発明の器具をセルディンガー法又は他の手技で用いられる注射器内に組み込んでも良く、即ち、この注射器内に永続的に成形しても良い。
【0029】
本発明の意図から除外される形態として、本発明は、注射器に組み込まれる検査ストリップ器具を含むに過ぎない。本発明の意図から除外される別の形態として、本発明は、注射器に組み込まれない検査ストリップ器具をその保護対象から除外する。本発明の意図から除外される形態では、本発明は、針ハブ、トロカール、拡張器、注射器、注射器筒、導入器等に組み込まれる検査ストリップ器具のみを含む。本発明の意図から除外される別の形態として、本発明は、針ハブに組み込まれない検査ストリップ器具、トロカールに組み込まれない検査ストリップ器具、拡張器に組み込まれない検査ストリップ器具、注射器又は注射器筒に組み込まれない検査ストリップ器具、導入器に組み込まれない検査ストリップ器具等をその保護対象から除外する。
【0030】
医療器具及び医薬品への暴露に起因して生じる免疫疾患
実施形態では、本発明は、医療器具のコンポーネント又は医薬品の成分に対する抗体を検出すると共に医療器具又は医薬品に暴露される被験者に生じるアレルギー反応を定量化し又は予測する器具及び関連方法を提供する。定量化できるものは、例えば、被験者の血流又は任意の体液中に存在するクラスIgG、IgA、IgM、IgD又はIgEのうちの1つ又は2つ以上の抗体である。この器具及び関連方法は、アナフィラキシー型反応又は気管支痙攣(レイトン他(Layton et al.),「クリニカル・アンド・エクスペリメンタル・アレジー(Cliln. Exp. Allergy)」,1989年,19:307‐314、テラザワ他(Terazawa et al.),「アナスティズィオロジィ(Anesthesiology)」,1998年,89:1298‐1300)、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎又は抗菌剤又は消毒薬を、例えばビグアナイド消毒薬への暴露に起因して生じる即時型接触反応(クッツシャー(Kutzscher),「クリニカル・ジャーナル・オブ・オンコロジー・ナーシング(Clin. J. Oncol. Nurs.)」,2012年,16:E48‐55、クラスティーバ(Krasteva),「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー(Eur. J. Dermatol.)」,1999年,9:144‐159)を定量化し又は予測するために構成されている。
【0031】
抗菌剤及び医療器具の他のコンポーネントに対するアレルギー反応及び抗体
本発明の器具及び方法は、被験者の血液、血清又は他の体液中に存在する抗体を検出することができ、この場合、抗体は、抗菌剤、例えば消毒薬若しくは抗生物質(トレス他(Torres et al.),2009年,19:67‐68)、抗生物質、例えばリファンピシン(ファング他(Feng et al.),「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー(Eur. J. Dermatol.)」,2011年,21:696‐699)、カテーテルに塗布した接着剤(メイクル他(Meikle et al.),「カナディアン・ジャーナル・オブ・アナスティズィア(Can. J. Aneasth.)」,2012年,59:815‐816)、医療器具内のチメロサール若しくは他の防腐剤(アンコナ他(Ancona et al.),「ダーマトロジック・クリニックス(Dermatol. Clin.)」,1990年,8:95‐105)に特異的に結合する。ラテックスに対するアレルギー反応及びラテックスに対する抗体が記載されている(パトリアルカ他(Patriarca et al.),「ジャーナル・オブ・インベスティゲーショナル・アレゴロジー・アンド・クリニカル・イミュノロジー(J. Investig. Allergol. Clin. Immunol.)」,2002年,12:169‐176、アンゼル他(Unsel et al.),「インターナショナル・アーカイブス・オブ・アレジー・アンド・イミュノロジー(Int. Arch. Allergy Immunol.)」,2012年,158:281‐287)。アレルギー反応(過敏症)は、1つ又は2つ以上の消毒薬を含浸させた医療器具に応答して起こる場合がある(ダロウイチェ(Darouiche)、ラード(Raad),「ザ・ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(New Engl. J. Med.)」,1999年,1762)。クラスIgG及びIgAの抗体は、薬剤性発疹(落葉状天疱瘡)と関連している(ファング他(Feng et al.),「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー(Eur. J. Dermatol.)」,2011年,21:696‐699)。クラスIgG及びIgEの抗体は、消毒薬に対するアレルギー反応と関連している(レイトン他(Layton et al.),「モレキュラー・イミュノロジー(Mol. Immunol.)」,1987年,24:133‐141)。種々のベータ‐ラクタム抗体に対する過敏性の原因であるIgEクラスの抗体が突き止められた(グンツ他(Gunez et al.),「ジャーナル・オブ・インベスティゲーショナル・アレゴロジー・アンド・クリニカル・イミュノロジー(J. Investig. Allergol. Clin. Immunol.)」,2012年,22:41‐47)。また、ラテックスに対して特異的に反応するIgE抗体が突き止められた(ガリンド他(Galindo et al.),「ジャーナル・オブ・インベスティゲーショナル・アレゴロジー・アンド・クリニカル・イミュノロジー(J. Investig. Allergol. Clin. Immunol.)」,2011年,21:459‐465)。
【0032】
「抗菌剤」という用語は、消毒薬及び抗生物質を含むが、これらには限定されない。
【0033】
有害事象を引き起こす場合のある抗体及び他の分子の検出
例えば検査ストリップ中の試薬により血液又は他の生物学的流体中の抗体を検出することができる。試薬は、検査ストリップの表面に共有結合により若しくは非共有結合によりくっつくことができ、試薬を検査ストリップに吸着させることができ、試薬を検査ストリップに吸収させることができ、試薬を検査ストリップの内部、例えば多孔性内部若しくは線維性内部に共有結合により若しくは非共有結合によりくっつくことができ、或いは上述の任意の組み合わせが行われる。呈色反応を含む免疫測定のための試薬、検査ストリップ、物質等が例えばタン等に付与された米国特許第7,544,324号明細書、タン等に付与された米国特許第7,438,852号明細書、イー等に付与された米国特許第7,989,217号明細書、フォード等に付与された米国特許第7,910,381号明細書に提供されており、これら米国特許の各々を個々に引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。本発明は、検査ストリップ法によりIgE又は他のクラスの抗体を圧出するB細胞を検出する抗体、例えばIgG、IgA、IgM、IgD又はIgEの検出を含む。幾つかの抗体クラスを体内で同時に圧出することができ、かかる抗体クラスは、同一の抗原を認識する。したがって、本発明は、抗体、例えばクラスIgG、IgA、IgM、IgA、IgD又はIgEのうちの2つ又は3つ以上を検出することができる検査ストリップを提供する。一実施形態では、検査ストリップは、2つの互いに異なるクラスを検出すると共に2つの互いに異なる色を提供する。別の実施形態では、検査ストリップは、互いに異なるクラスを検出し、そしてそれぞれの呈色反応の両方について同一の色を提供するが、かかる同一の色を検査ストリップ中の互いに異なる場所で提供する。さらに別の実施形態では、検査ストリップは、複数の互いに異なる抗体クラスを検出する(又は、それぞれ互いに異なる抗原に結合する複数の互いに異なる特異性抗体を検出し、この場合、これら特異性抗体の全ては、特定の一クラスに属する)。また、上述の実施形態の組み合わせ、例えば、抗生物質に結合するIgGを検出してラテックスに結合するIgEを検出する組み合わせ又は抗菌剤に結合する抗体を検出すると共に病原体に結合する抗体を検出する組み合わせが提供される。金属、コロイド粒子、例えば金コロイド、色素粒子を含む標識により呈色反応を提供することができ又は呈色反応は、ペルオキシダーゼ(過酸化酵素)又はアルカリ性ホスファターゼにより触媒される反応に起因して生じる(これについては、コバレンコに付与された米国特許第7,262,019号明細書、オプランディに付与された米国特許第5,200,312号明細書、メイソンに付与された米国特許第5,637,468号明細書及びアンに付与された米国特許第6,503,726号明細書を参照されたい。なお、これら米国特許の各々を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。)。例えば金標識抗IgE抗体が用いられる場合、検体(例えば、血液)が金標識抗IgE抗体と反応し、複合体が形成される。複合体は、メンブレンを横切って通り、ここで、不動化されたアレルゲンがこの複合体を捕捉し、その結果着色ラインが生じる(これについては、ハブシャーに付与された米国特許第7,629,127号明細書を参照されたい。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。)。
【0034】
以下は、非限定的な例を提供している。抗消毒薬抗体の検出の場合、血液を検査ストリップの第1の端部のところに設けられた検体受け入れ領域のところに付着させるのが良い。検査ストリップの反対側の端部に向かう検査ストリップの第1の端部からの溶剤の流れが抗体を検査ストリップに向かって引き寄せ、そして金消毒薬の共役体を含む検査ストリップの領域上にこれら抗体を引き寄せる。抗体が金消毒薬を含むこの領域上を移動すると、その結果として、不溶性複合体が視覚的に検出可能なラインを検出する。この不溶性複合体の一部として捕捉されなかった金消毒薬の共役体は、引き続き検査ストリップ上を移動するのでこの視覚的に検出可能なラインの視覚的信号には寄与しない。金消毒薬の共役体を用いる手法の代替手段として、用いることができるものは、抗消毒薬抗体(抗イディオタイプ抗体)に特異的に結合する抗体と金との共役体である。上述の内容は、抗消毒薬抗体に当てはまるが、抗原が抗生物質、医薬品、薬剤、ラテックス、接着剤等である実施形態にも当てはまる。
【0035】
非限定的な実施形態では、提供されるものは、全ての試薬が器械を用いないで働く検査ストリップ上に包埋された状態の免疫測定を含む器具である。生物学的流体中の全IgEは、検査ストリップのIgE反応フィールド内で検査ストリップ上に不動化された抗ヒトIgEによって結合される。捕捉されたIgEの視覚化は、コロイド状の金標識抗ヒトIgEによって指示される。過剰の標識付き抗体は、コントロールフィールド内の抗体によって捕捉される。コントロールラインがコントロールフィールド内に現れ、そして十分な生物学的流体が集められた時点を定める。検体中のIgEの存在は、反応フィールド及びコントロールフィールド内の暗色ライン、例えば赤色ラインの出現によって視覚化される。反応フィールド内にラインが存在していることとは無関係にコントロールフィールド内にラインが存在していないことは、検定結果が不適正であることを指示している。反応フィールド及びコントロールフィールドを識別する支持体上の領域は、二色の状態で支持体の裏面上に位置する。IgEが通常の基準範囲内にある検体は、反応フィールド内のラインを欠いているが、コントロールフィールド内にはラインを有する。反応フィールド及びコントロールフィールド内にラインが存在することは、全IgEレベルが高められた検体を指示している。この器具は、検査ストリップ上の色の強度が視覚的に観察されたときに生物学的流体中の全IgEの定性的/半定性的測定を行う。当業者であれば、信号の種々の強度を負又は正として区分し又は分類することができ、又、当業者であれば、これら互いに異なる強度を説明する標準操作手順(SOP)を用意することができる。また、提供されるものは、上述の実施形態であるが、この場合、上述の内容は、他の抗体クラス、例えばIgG、IgA、IgM又はIgDに当てはまる。
【0036】
非限定的な実施形態では、提供されるものは、例えばセルロースで作られた一連の毛管床(エレメント)を有する器具である。第1のエレメント(検体パッド)は、スポンジとして働き、過剰量の生物学的流体を保持することができる。次に、この生物学的流体は、第2のエレメント(共役体パッド)に移動する。第2のエレメントは、共役体である粒子の乾燥フォーマットが可溶性マトリックス内に位置した状態で作られ、可溶性マトリックスは、標的分子(抗原)と粒子の表面上に不動化されたその結合相手(抗体)の所望の化学反応を促進する試薬を含む。検体流体が可溶性マトリックスを溶解させた時点で、検体流体は又、粒子及び検体を溶解させると共に多孔性構造体を流通しながら共役混合物を溶解させる。このように、分析物は、第3の毛管床を通って更に移動しながら粒子に結合する。この物質は、第3の分子が不動化されている1つ又は2つ以上の領域又はストライプ(縞)を有する。検体‐共役混合物がこれらストライプまで移動する時点まで、分析物は、粒子に結合されていて、第3の捕捉分子は、複合体に結合する。追加の流体がストライプを通過すると、粒子が堆積し、そしてストライプ‐領域が変色する。幾つかの実施形態では、2本のストライプが存在するのが良く、一方(コントロール)のストライプは、任意の粒子を捕捉すると共に反応が順調に進んでいることを実証し、第2のストライプは、特異性捕捉粒子を含み、分析物分子が不動化されている粒子のみを捕捉する。
【0037】
検出期間
実施形態では、提供されるものは、次の期間の間に例えば抗生物質又は消毒薬に対するアレルギー反応の原因となる抗体を検出することができる器具である。
(1)この検出に専用の採血の間。
(2)次の手技の間では能力がない状態で、例えば、カテーテル又は他の医療器械の挿入中、この検出に専用の採血の間のみ。これは、排除的な実施形態である。
(3)カテーテル又は他の医療器械が被験者の体内に留置されており、即ち、カテーテル又は他の医療器械が被験者に作動的に関連付けられている期間の間。この期間は、例えば、少なくとも10分間、少なくとも1時間、少なくとも1日、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月等である場合がある。
(4)カテーテル又は他の医療器械が被験者の体内に留置されているが、抗体の検出にのみ専用である採血中、抗体を検出することができない期間のみ。これは排除的な実施形態である。
【0038】
抗体及び他の試薬
「特異的に」又は「選択的に」結合するという表現は、配位子(リガンド)/受容体(レセプタ)、核酸/相補核酸、抗体/抗原又は他の結合対(例えば、サイトカイン受容体に対するサイトカイン)について言った場合、タンパク及び他の生物学的製剤の異種団中におけるタンパクの存在の決定因子である結合反応を示している。かくして、指定された条件下において、指定された配位子は、特定の受容体に結合し、検体中に存在する他のタンパクにはかなり多くの量で結合することはない。特異的結合は又、例えば、意図した方法の結合化合物、核酸配位子、抗体又は抗体の抗原結合部位に由来する結合配合物が多くの場合少なくとも25%を超え、より多くの場合少なくとも50%を超え、最も多くの場合少なくとも100%(2倍)を超え、従来、任意他の結合配合物との親和力の少なくとも10倍を超え、通常少なくとも20倍を超え、より代表的には少なくとも100倍を超え、最も代表的には少なくとも1000倍を超える親和力でその標的に結合することを意味する場合がある(これについては、例えば、ドゥベンスキー名義の米国特許出願公開第2010/0121643号明細書を参照されたい。なお、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。)。
【0039】
代表的な実施形態では、抗体は、例えばスキャッチャード分析により求められた約109リットル/モルを超える親和力を有するであろう(ムンセン他(Munsen, et al.),「アナリティカル・バイオケミストリー(Analyt. Biochem.)」,1980年,107:220‐239)。当業者であれば認識されることとして、結合化合物の中には2つ以上の標的に特異的に結合することができるものがあり、例えば、抗体は、その抗原に特異的に結合し、抗体の寡糖類によりレクチンに結合し、更に、抗体のFc領域によりFc受容体に結合する。
【0040】
実施形態では、本発明は、血液中の抗体を検出することができる検査ストリップを提供し、この場合、抗体は、病原体に特異的に結合する。抗病原体抗体は、特性付けられている。試薬及びキットは、ウィルス(例えば、HIV、HCV、HBV)、真菌及び細菌(これについては、例えば、ノバック他(Novack et al.),「ジャーナル・オブ・クリニカル・マイクロバイオロジー(J. Clin. Micribiol.)」,2006年,44:2909‐2913、ヘネッセイ他(Hennessey et al.),「ジャーナル・オブ・アーバン・ヘルス(J. Urban Health.)」,2009年,86:93‐105、サーマン他(Thurman et al.),「クリニカル・インフェクシャス・ディジーズ(Clin. Infect. Dis.)」,2009年,48:1244‐1249、アレクサンダー他(Alexander et al.),「ジャーナル・オブ・クリニカル・マイクロバイオロジー(J. Clin. Microbiol.)」,1996年,34:1180‐1183)に特異的に結合する抗体を検出するために利用できる。
【0041】
「検体」は、ヒト、動物、プラセボ又は研究用検体、例えば細胞、組織、器官、流体、ガス、エーロゾル、スラリ、コロイド又は凝固物質を意味している。「検体」は、体内で、例えば、ヒト又は動物からの取り出しなしに検査されても良く、或いは、体外で検査されても良い。検体は、処理後、例えば組織学的方法によって検査可能である。「検体」は又、例えば、流体若しくは組織検体を含む細胞又は流体若しくは組織検体から分離された細胞を意味する。「検体」は又、ヒト若しくは動物から新たに採取された細胞、組織、器官若しくは流体又は処理され又は貯蔵されている細胞、組織、器官又は流体を意味する場合がある。
【0042】
「標識付け」された配合物が分光学的方法、光化学的方法、生化学的方法、免疫化学的方法、同位体的方法又は化学的方法によって直接的又は間接的に検出可能である。例えば、有用な標識は、32P、33P、35S、14C、3H、125I、安定同位体、エピトープタグ、蛍光色素、例えば酵素結合免疫検定で用いられる高電子密度試薬、物質若しくは酵素、又はフルオレット(fluorette)を含む(これについては、例えば、ロジノフ(Rozinov),ノラン(Nolan),「ケミストリー・アンド・バイオロジー(Chem. Biol.)」,1998年,5:713‐728を参照されたい)。
【0043】
図の詳細な説明
次に、図面の各図を参照して本発明を説明し、図中、同一の参照符号は、図全体にわたって同一の部分を示している。図1に示されているように、アレルギー検査システムは、感度の高い検出用抗体及びキャリヤ‐タンパク共役ハプテンを用いることによってアレルゲンの上昇レベルを検出することができるストリップ又はカセットフォーマットの免疫クロマトグラフィメンブレンに(PVDF又はニトロセルロース材料)を含むのが良い。抗体は、メンブレン上の所定の部位のところに乾燥状態で配置された信号発生器(例えば、金コロイド)により標識付けられる。この新規な方法を用いると、臨床医(カテーテル挿入者)は、患者がアレルゲンを患者の系中に潜在的に導入する前にアレルギー反応を起こす恐れがあるかどうかを判定することができる。このアレルギー検査システムは又、標準手技に必要なもの以外の追加のステップ、機器又は時間を必要としないので、病院スタッフに対して使用しやすさを提供する。
【0044】
図2及び図3は、本発明の実施形態としての独立型検査モジュールを示している。図2は、独立型検査モジュール10をその不作動状態で示し、図3は、独立型検査モジュール10をその作動状態で示している。独立型検査モジュール10は、近位端14及び遠位端16を備えたハウジング12を有する。針18がハウジング12の遠位端16から延びるのが良い。針18は、尖った遠位端部20及びハウジング12内に延びる近位端部22を有するのが良い。針18は、全体として、皮下注射型針として構成されるのが良く、ボア24がその長さを貫通して延びている。検査モジュール10は、観察窓26を更に有するのが良く、この観察窓を介して検査ストリップ28を観察することができる。検査ストリップ28は、オペレータが使用中、ストリップ28の変化を視認することができるよう窓26の後ろでハウジング12内に設けられる。検査モジュール10は、スライダ30及び真空ボタン32(図4図6に示されている)を更に有するのが良い。図2に示されている不作動状態では、スライダ30は、検査モジュール10の遠位端寄りに位置決めされる。針18を患者の体内に挿入し、検査が必要とされる場合、スライダ30をその遠位前方位置から近位位置に動かすのが良い。図2及び図3のハウジング12の側部36に設けられたスロット34がスライダ30を作動させてこれを近位位置に至らせた後、スライダ30を定位置にロックするよう構成されている。
【0045】
ボタンは、弾性材料、例えばシリコーン、ラテックス又はポリウレタンから成るのが良い。非限定的な一実施形態では、ボタンは、ボタンのドームのピークのところが薄くなっており、ドームの底部のところが厚くなっている。
【0046】
図4及び図5は、図2及び図3に示された独立型検査モジュール10の断面図である。図4は、独立型検査モジュール10を図2に示されているような不作動位置で示す断面図、図5は、独立型検査モジュール10を図3に示されているような作動位置で示す断面図である。ハウジング12は、検査モジュール10の近位端14の近くに位置する内側空間38を備えるのが良い。検査ストリップ28は、この内側空間38内に設けられるのが良い。加うるに、吸収パッド40がこの内側空間38内の検査ストリップ28の底部に組み込まれるのが良い。検査ストリップ28は、近位端42及び遠位端44を有するのが良い。キャップ46が針の近位端22と検査ストリップ28の遠位端44との間の接合部の頂部を覆って配置されている。
【0047】
以下の説明は、キャップ(46)の非限定的な実施形態に関する。キャップは、検査ストリップを保持し又は位置決めする。キャップは、針の近位端を保持し又は位置決めする。また、キャップは、真空ボタンから針の近位端までの細い真空経路を作り又は構成する。好ましい実施形態では、キャップ(46)は、取り外すことができない。
【0048】
本発明の非限定的な実施形態では、吸収パッドは、検査ストリップの一体部分である。別の非限定的な実施形態では、吸収パッドは、検査ストリップとは別体であり、検査ストリップと同一の空間を占めることはない。吸収パッドは、検査ストリップに入るサンプルの全量を増大させる。吸収パッドは、血液細胞の移動を止めることができ、それにより呈色反応の発生及び検出(臨床医の眼による)のための清浄なフィールドをもたらすことができる。追加的に又は代替的に、吸収パッドは、毛管引力により生物学的流体を吸い込んでも良く、その結果、検査ストリップの広い領域が湿潤する。別の実施形態では、器具は、検査ストリップだけを有し、吸収パッドを備えない。吸収パッドを備えない一実施形態では、検査ストリップは、毛管引力によって流体を分散させることはなく、生物学的流体は、毛管引力なしで十分に分散する。別の実施形態では、検査ストリップは、呈色反応が起こる視認可能な領域への赤血球の移動を検査ストリップが止めるほど十分厚い(又は、薄いけれども十分に不透明である)。さらに別の実施形態では、検査ストリップは、毛管引力を有しこの検査ストリップは又、赤血球の通過を阻止すると共に呈色反応の起こる視認可能な領域に赤血球が存在するのを阻止するほど十分厚い(又は、薄いが十分に不透明である)。吸収パッドは、セルロース、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)、ニトロセルロース等から成るのが良い。検査ストリップのための母材又はマトリックスとして適していて、発色試薬のための反応領域として役立ち、オプションとして、赤血球を制止しオプションとして生物学的流体を引き付けてこれを分散させる毛管引き付け手段として役立つフィルタ材料が入手できる(独国ダームスタッド所在のイーエムディー・ミリポア(EMD Millipore)、マサチューセッツ州ビレリカ所在のミリポア(Millipore)、テキサス州プラノ所在のメンブレン・ソリューションズ(Membrane Solutions))。ローゼンシュタインに付与された米国特許第4,855,240号明細書、キャンベルに付与された米国特許第4,703,017号明細書及びデビット等に付与された米国特許第4,376,110号明細書は、吸収材料、毛管材料、検査ストリップ、標識及び免疫測定法を開示しており、これら米国特許を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0049】
図4及び図5は又、独立型検査モジュール10の真空ボタン32を示している。図4に示されている不作動位置では、真空ボタン32は、スライダ30によって押し下げられている。これにより、真空ボタン32は、針18が挿入されていつでも血液を取り出すことができる状態になるまで押し下げ状態に保たれる。図5に示されているように、器具がいったん定位置にあると、スライダ30を作動位置に引っ込めて真空ボタン32を解除し、かくして、真空が生じて血液が針18のボア24内に流れることができる。スライダ30を作動位置にロックすることにより、針18を患者の静脈中に挿入するときに起きる真空ボタン32の押し下げが阻止され、それにより空気が接近箇所内に潜在的に押し込まれるのを阻止し或いは器具を使用した後に血液が器具から噴出するのが阻止される。検査モジュール10内に吸い込まれた血液は、検査ストリップ28の低端から吸収される。吸収パッド40は、信号検出反応の完了後に血漿検体を吸収することができる。吸収パッド40は、多孔性支持体及びこの多孔性支持体の細孔中に分散され、吸収され又は塗布された吸収剤を更に有するのが良い。色信号が観察窓26内で約10分以内に現れる場合があるが、検査ストリップ中に含まれている抗体の検出に応じてこれよりも短い時間又はこれよりも長い時間を必要とする場合がある。
【0050】
図6は、図2図5に示されている独立型検査モジュール10の分解組立図である。図6に示されているように、検査モジュールは、ハウジング12及びハウジング12の遠位端16に結合された針18を有する。ハウジング12は、検査モジュール10の近位端14の近くに位置する内側空間38を備えるのが良い。検査ストリップ28は、この内側空間38内に設けられるのが良い。加うるに、吸収パッド40がこの内側空間38内で検査ストリップ28に組み込まれるのが良い。検査ストリップ28は、近位端42及び遠位端44を有するのが良い。キャップ46が針の近位端22と検査ストリップ28の遠位端44との間の接合部の頂部を覆って配置されている。図6は又、独立型検査モジュールが血液検体を吸い込むことができるよう独立型検査モジュールのための真空を生じさせるよう協働するスライダ30と真空ボタン32を示している。スライダ30及び真空ボタン32は又、真空ボタンが再び押し下げられるのを阻止して入口部位中への空気の押し込みを阻止し又は血液が使用後に噴出することができるのを阻止する。真空ボタン32は、ハウジング12に設けられた開口部48内に位置している。スライダ30は、これ又図2及び図3に示されたスロット34を経て定位置にロックすることができる。図示のように、タブ31がスロット34のアーキテクチャに設けられた切り欠き31′と相互作用してスライダ30を定位置にロックする。しかしながら、スライダを定位置にロックする任意適当な手段を使用することができる。スライダ30を作動位置にロックすることにより、針18を患者の静脈中に挿入するとき、真空ボタン32の押し下げが阻止され、それにより空気が接近箇所内に潜在的に押し込まれるのを阻止し或いは器具を使用した後に血液が器具から噴出するのが阻止される。キャップ46も又示されており、このキャップは、検査ストリップ28と針18の近位端22との間の接合部を覆って配置されている。
【0051】
図7は、一体型アレルギー検査システムの別の実施形態としての一体型アレルギー検査方式の注射器を示している。図7に示されているように、注射器100は、近位端部104及び遠位端部106を備えたハウジング104を有している。ハウジング102の近位端部104は、注射器100の使用中、指掛けとしての役目を果たすことができるフランジ108,110を有するのが良い。ハウジング102は、窓112を有するのが良く、窓112は、この窓の下に位置した検査ストリップが注射器100のユーザに見えるよう配置されている。検査ストリップは、検査ストリップの遠位端だけが注射器ハウジング102内に吸い込まれた血液にさらされるようそれ自体のルーメン又はチャネル内に位置している。針ハブ114がハウジング102の遠位端106のところに配置されるのが良く、この針ハブは、血液を注射器100のルーメン内に吸い込むための皮下注射型針に結合されるよう構成されているのが良い。注射器ハウジングキャップ116が検査ストリップをハウジング102内に保持するよう遠位端106に結合されるのが良い。注射器100は、血液を注射器のルーメン内に吸い込むよう負圧を生じさせるためにハウジング102のルーメン内に延びるプランジャ118を更に有するのが良い。プランジャ118は、プランジャ118の近位端部117のところに位置した親指掛け119を有するのが良い。
【0052】
検査ストリップがそれ自体のルーメン又はチャネル内に位置する実施形態では、血液又は他の生物学的検体は、チャネルの遠位‐近位長さの約5%であり、チャネルの遠位‐近位長さの約10%であり、チャネルの遠位‐近位長さの約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%又はこれ以上の穴、スリット、通路又は隙間を通って、チャネルに入る。スリット又は隙間がチャネルの遠位‐近位長さの約100%である場合、その結果、注射器に入り又はモジュール(10)内の対応の構造体に入った血液は、検査ストリップ全体と本質的に同時に接触する。
【0053】
穴、スリット、通路又は隙間に対するチャネルの向きに関し、穴、スリット又は隙間は、チャネルの最も遠位側の部分に対応した箇所で始まり、次に近位側に進むのが良い。変形例として、穴、スリット又は隙間は、チャネルの最も近位側の部分に対応した箇所で始まり、次に遠位側に進むのが良い。さらに別の変形例では、穴、スリット、通路又は隙間は、全体がチャネルの最も遠位側の部分と最も近位側の部分との間に位置しても良い。例えば、穴又は通路は、チャネル中程の箇所の近くに配置されるのが良く、この場合、穴に入った血液は、近位側と遠位側の両方向に移動する。
【0054】
穴、スリット、通路又は隙間がチャネルの遠位‐近位長さの約5%である実施形態では、検査ストリップの約5%だけが血液又は他の生物学的検体によって湿潤される場合がある。変形例として、穴、スリット、通路又は隙間がチャネルの遠位‐近位長さの約5%である実施形態では、検査ストリップの約5%以上が血液又は他の生物学的検体によって湿潤される場合があり、このように量が多くなるのは、検査ストリップを通る生物学的検体の移動に起因している。移動は、拡散による場合があり、毛管力による場合があり、或いは、拡散と毛管力の組み合わせによる場合がある。上述の説明は、穴、スリット、通路又は隙間がチャネルの遠位‐近位長さの90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満である構成例にも当てはまる。
【0055】
図8は、図7に示された注射器の断面図である。図8に示されているように、注射器100は、ハウジング102を有し、ルーメン120がハウジング102を貫通して延びている。プランジャ118は、ハウジング102のルーメン120内に延びた状態で示されている。加うるに、図8は、ハウジング102内で窓112の下に位置決めされた検査ストリップ122を示している。注射器ハウジングキャップ116は、検査ストリップ122を医師により観察可能に窓112の下の定位置に保持している。変形例として、検査ストリップ122は、注射器100内への位置決めのためのカセットの形態又は任意他の適当な形態のものであって良い。加うるに、吸収パッド124が検査ストリップ122内に組み込まれるのが良い。吸収パッド124は、単一の検出反応の完了後に血漿サンプルを吸収することができる。吸収パッド124は、多孔性支持体及びこの多孔性支持体の細孔中に分散され、吸収され又は塗布された吸収剤を更に有するのが良い。色信号が観察窓112内で約10分以内に現れる場合があるが、検査ストリップ中に含まれている抗体に応じてこれよりも短い時間又はこれよりも長い時間を必要とする場合がある。
【0056】
図9は、図7及び図8に示された注射器の分解組立図である。図9は、検査ストリップ122のための窓112を備えたハウジング102を示している。注射器ハウジングキャップ116は、検査ストリップが検査中に動くことがないよう検査ストリップを定位置に保持するために使用されるのが良い。プランジャ118は、ハウジング112のルーメン120内で滑るよう構成されているのが良い。
【0057】
図10は、本発明の実施形態としての一体型検査システムのためのコネクタ設計例を示している。コネクタ200は、近位端202及び遠位端204を備えたハウジング201を有し、このコネクタは、注射器本体と注射器のための針との間に配置可能に構成されているのが良い。コネクタ200は、多種多様な仕方で、例えば、摩擦保持具、タブ又は任意他の適当なカップリングにより注射器本体に連結されるのが良い。図10に示されているように、コネクタ200は、コネクタ200の近位端部202のところに配置されたルアーねじ山206により注射器に結合されるのが良い。コネクタ200は、コネクタ200を針に結合するカップリング208を更に有するのが良い。針は、コネクタ200を通って血液を吸い込むのに適した皮下注射型針又は任意他の針の形態をしているのが良い。コネクタは、窓210を更に有し、この窓を介して検査ストリップ(図示せず)を視覚化することができる。
【0058】
図11は、図10に示された実施形態の断面図であり、図12は、図10及び図11に示された実施形態の分解組立図である。図11及び図12は、コネクタハウジング201内に配置された検査ストリップ214を示している。図示のように、検査ストリップ214は、コネクタハウジング201内で螺旋巻きされている。検査ストリップ214は、ハウジング201に設けられた窓210を介して視認可能である。検査が必要なとき、血液をハウジング201により構成されたルーメン212中に吸い込むのが良い。加うるに、吸収パッド216が検査ストリップ214の下に位置決めされているのが良い。検査ストリップ228に組み込まれた吸収パッド216は、単一の検出反応の完了後に血漿サンプルを吸収することができる。吸収パッド216は、多孔性支持体及びこの多孔性支持体の細孔中に分散され、吸収され又は塗布された吸収剤を更に有するのが良い。色信号が観察窓210内で約10分以内に現れる場合があるが、血液サンプル中に含まれている抗体に応じてこれよりも短い時間又はこれよりも長い時間を必要とする場合がある。
【0059】
変形例として、検査ストリップ、例えば免疫クロマトグラフィ検査ストリップを多種多様な医療器具に組み込むことができる。かかる例の1つは、「ヘモホッパ(hemo-hopper)」、例えば医用トレー又はキット内の血液リザーバ内に組み込まれた検査ストリップである。血管への接近中に吸い込まれた血液は、ヘモホッパ内に入れられる。次に、検体を検査ストリップ中に吸収するのが良い。加うるに、吸収パッドは、検査ストリップの下に位置決めされるのが良い。吸収パッドは、単一の検出反応の完了後に血漿サンプルを吸収することができる。吸収パッドは、多孔性支持体及びこの多孔性支持体の細孔中に分散され、吸収され又は塗布された吸収剤を更に有するのが良い。色信号が約10分以内に現れる場合があるが、血液サンプル中に含まれている抗体に応じてこれよりも短い時間又はこれよりも長い時間を必要とする場合がある。
【0060】
図13(A,B)は、モジュール実施形態の一部をなす端キャップ及び端キャップの近くの構造体を示している。端キャップ(346)は、針(318)と接触状態にある。端キャップ(346)は、真空ボタン(32)が嵌まり込むことができるキャビティ(348)の一部を構成している。真空ボタン(32)の非限定的な実施形態が図4図6に示されている。図13(A)は、検査ストリップなしでキャップを示し、図13(B)は、検査ストリップつきでキャップを示している。
【0061】
本発明の方法及び器具又は装置を現時点において最も実用的であり且つ好ましい実施形態であると考えられる観点で説明したが、理解されるべきこととして、本発明は、開示した実施形態に限定される必要はない。本発明は、特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれる種々の改造例及び同様な構成例に及ぶものであり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲には、かかる全ての改造例及び類似の構造体を含むよう最も広い解釈が与えられるべきである。本発明は、特許請求の範囲に記載された任意且つ全ての実施形態を含む。
【0062】
また、理解されるべきこととして、本発明の本質から逸脱せずに種々の変更を行うことができる。かかる変更は又、本明細書中に暗黙的に含まれている。これら変更は、本発明の範囲に依然として含まれる。理解されるべきこととして、本発明は、別個独立にしかも全体的システムとして、且つ方法モードと装置モードの両方で本発明の多くの観点を網羅した特許を生じさせるものである。
【0063】
さらに、本発明及び特許請求の範囲の記載中の種々の要素の各々は、種々の仕方で達成することも可能である。本発明は、かかる各変形例が任意の装置に実施形態、方法若しくはプロセス実施形態の変形例であるにせよ或いはこれらの任意の要素の単なる変形例であるにせよいずれにせよ、かかる各変形例を含むものと理解されるべきである。
特に、本開示内容が本発明の要素に関するので、各要素に関する用語は、例え機能又は結果だけが同一であるとしても均等装置用語又は方法用語によって表現可能であることが理解されるべきである。
【0064】
かかる均等用語、広い用語又はそれどころかより包括的な用語は、各要素又は行為の説明に含まれるものと解されるべきである。本発明の受けるべき暗黙的に広い保護範囲を明示することが望ましい場合、かかる用語を代用することができる。
【0065】
理解されるべきこととして、全ての行為は、その行為を実施する手段として又はその行為を引き起こす要素として表現できる。
【0066】
同様に、開示した各物理的要素は、この物理的要素が容易にする行為の開示を含むものと理解されるべきである。
【0067】
特許を得るための本願において言及された任意の特許明細書、刊行物又は他の先行技術文献を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0068】
最後に、本願と共に提出された情報開示陳述書(Information Disclosure Statement)又は他の情報陳述書に列記された全ての文献を補遺として最後に付けると共にこれらを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とするが、上述の各々に関し、参照により引用して組み込んだかかる情報又は陳述内容がこの発明/これらの発明の特許取得と首尾一貫していないと考えられる恐れのある範囲まで、かかる陳述内容は、本出願人によりなされたものと考えられるべきではない旨、明示する。
【0069】
この点に関し、現実的な理由で、しかも潜在的に数百にも及ぶ請求項の追加を回避するため、本出願人は、最初の従属性だけを示した状態で請求項を提出していることは理解されるべきである。
【0070】
裏付けは、1つの独立形式の請求項又は技術的思想の下で提出された種々の従属性又は他の要素のうちの任意のものの任意他の独立形式の請求項又は技術的思想の下での従属性又は要素としての追加を可能にするようニューマターに関する法律(米国特許法35USC§132又は他のこのような法律(これらには限定されない)を含む)の下で必要な範囲まで存在するものと理解されるべきである。
【0071】
実体的ではない置換が行われる範囲まで、本出願人が事実上、任意特定の実施形態を文言上含むような特許請求の範囲を作成しなかった範囲まで、そして別の該当する範囲まで、本出願人は、本出願人があらゆる結果を予期することが単にできなかったという理由でかかる保護範囲を放棄しようとし又は実際に放棄したものと解されてはならず、当業者であっても、かかる変形実施形態を文言上含む請求項を作成したものと合理的に期待されるべきではない。
【0072】
さらに、原文における移行句“comprising”(訳文では「〜を含む」又は「〜を有する」としている場合が多い)の使用は、伝統的なクレーム解釈に従って、「非限定(open-end)」クレームを本明細書に維持するために用いられている。かくして、別段の必要がなければ、“comprise”又は派生語、例えば“comprises”又は“comprising”は、記載した要素若しくはステップ又は要素若しくはステップの群の包含を示唆しているが、任意他の要素若しくはステップ又は要素若しくはステップの群の排除を意味するわけではないことは理解されるべきである。
【0073】
かかる用語は、本出願人に法上可能な限り最も広い保護範囲を与えるよう最も広範な形態で解釈されるべきである。
【0074】
本発明の多くの特徴及び多くの利点は、詳細な説明から明らかであり、かくして、本発明の真の精神及び範囲に属する本発明のかかる全ての特徴及び利点を含むことは、添付の特許請求の範囲によって意図されている。さらに、多くの改造例及び変形例が当業者には容易に明らかなので、本発明を図示すると共に説明した構成及び作用そのものに限定することは望ましくなく、従って、全て適当な改造例及び均等例は、本発明の範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B