特許第6000393号(P6000393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6000393ウッド型ゴルフクラブヘッドおよびウッド型ゴルフクラブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6000393
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ウッド型ゴルフクラブヘッドおよびウッド型ゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20160915BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20160915BHJP
【FI】
   A63B53/04 A
   A63B102:32
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-62205(P2015-62205)
(22)【出願日】2015年3月25日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 和也
【審査官】 青山 玲理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−271488(JP,A)
【文献】 特開平04−012777(JP,A)
【文献】 特開2002−248182(JP,A)
【文献】 特開2006−334142(JP,A)
【文献】 特開2006−042951(JP,A)
【文献】 米国特許第03851877(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00−53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球面を有するフェース部と、
シャフトと接続されるホーゼル部と、
前記打球面に対して前記ホーゼル部側の端部に位置するヒール部と、
前記打球面に対して前記ヒール部と反対側の端部に位置するトゥ部とを備え、
前記ヒール部は、前記ヒール部の外壁から前記トゥ部側に向かって凹んでいる凹部を有し、
前記ホーゼル部の外周側壁は前記凹部内に露出しており、さらに、
前記フェース部の下部と接続されているソール部を備え、
前記ホーゼル部は、前記ソール部側に位置する下方端部を有し、
前記ホーゼル部の前記下方端部は前記凹部内に露出している、ウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ホーゼル部には貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の中心軸に平行であって前記ヒール部の前記外壁と接する接線と、前記ホーゼル部の前記下方端部との最短距離は、1mm以上10mm以下である、請求項に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記ホーゼル部の前記外周側壁の厚みは、2mm以下である、請求項に記載のウッド型ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のウッド型ゴルフクラブヘッドを備えるウッド型ゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウッド型ゴルフクラブヘッドおよびウッド型ゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
シャフト軸から重心までの最短距離である重心距離を短くするために、シャフトと接続されるホーゼル部をトゥヒール方向においてヒール部の外壁よりも内側に配置したウッド型ゴルフクラブヘッドが知られている。
【0003】
このようなウッド型ゴルフクラブヘッドは、たとえば鋳造により製造されるが、製造に用いられる中子を抜きやすくするため、一般にホーゼル部とヒール部の外壁とが一体として連なるように形成されている。つまり、ホーゼル部とヒール部の外壁との間は、ホーゼル部およびヒール部を構成する材料で充填されている。
【0004】
特開2002−239039号公報には、ヘッド基体の内部に配置されたホーゼル部と該ヘッド基体のヒール側の側面部との間に間隙が形成されていることにより、ゴルフクラブヘッドの重心がその分だけトウ側に配置されているゴルフクラブヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−239039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来のウッド型ゴルフクラブヘッドでは、ホーゼル部を囲うようにヒール部の外壁が形成されており、十分に軽量化することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、重心距離が短く、かつ軽量化されているウッド型ゴルフクラブヘッドおよびウッド型ゴルフクラブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るウッド型ゴルフクラブヘッドは、打球面を有するフェース部と、シャフトと接続されるホーゼル部と、打球面に対してホーゼル部側の端部に位置するヒール部と、打球面に対してヒール部と反対側の端部に位置するトゥ部とを備え、ヒール部は、ヒール部の外壁からトゥ部側に向かって凹んでいる凹部を有し、ホーゼル部の外周側壁は凹部内に露出している。さらに、本発明に係るウッド型ゴルフクラブヘッドは、フェース部の下部と接続されているソール部を備える。ホーゼル部は、ソール部側に位置する下方端部を有している。ホーゼル部の下方端部は凹部内に露出している。
【発明の効果】
【0009】
本発明に依れば、重心距離が短く、かつ軽量化されているウッド型ゴルフクラブヘッドおよびウッド型ゴルフクラブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッドを説明するための正面図である。
図2】本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッドを説明するための側面図である。
図3】本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッドを説明するための断面図である。
図4図3中の線分IV−IVにおける端面図である。
図5】本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブを説明するための図である。
図6】本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブを説明するための断面図である。
図7】本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッドの変形例を説明するための断面図である。
図8図4に示す本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブの変形例を示す端面図である。
図9】本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブの変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
図1図3を参照して、本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッド10について説明する。ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、ウッド型ゴルフクラブに用いられるゴルフクラブヘッドであって、ドライバーゴルフクラブ、フェアウェイウッド、またはユーティリティクラブに用いられるヘッドである。図1は、フェアウェイウッドヘッドとしてのウッド型ゴルフクラブヘッド10をフェース部1側から見た正面図である。図2は、フェアウェイウッドヘッドとしてのウッド型ゴルフクラブヘッド10をヒール部2側から見た斜視図である。
【0013】
ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、フェース部1、ヒール部2、トゥ部3、バック部、クラウン部4、ソール部5、およびホーゼル部11を備える。
【0014】
フェース部1は、打球面1Aを有し、ウッド型ゴルフクラブヘッド10の前方側に位置する。ヒール部2は、打球面1Aに対してホーゼル部11(言い換えると、シャフト20(図5参照))側の端部に位置する。トゥ部3は、打球面1Aに対してヒール部2と反対側の端部に位置するトゥ部3とを備えている。バック部(図示しない)は、フェース部1よりも後方側に位置する。クラウン部4およびソール部5はフェース部1とバック部とを接続しており、クラウン部4はフェース部1に対して上方に位置し、ソール部5はフェース部1に対して下方に位置する。言い換えると、クラウン部4はフェース部1の上部とバック部の上部とを接続し、ソール部5はフェース部1の下部とバック部の下部とを接続している。
【0015】
ホーゼル部11は、後述するシャフト20(図5参照)に接続される部分である。ホーゼル部11には、シャフト20の一方の端部を上方側から収容可能であって、かつシャフト20を位置決め可能に設けられている貫通孔が形成されている。言い換えると、ホーゼル部11は、シャフト20の外径以上の孔径を有する上方開口部11Aと、シャフト20の外径未満の孔径を有する下方開口部11Bとを有している。ホーゼル部11の下方開口部11Bは、ホーゼル部11のソール部5側に位置する下方端部を構成しており、後述する凹部12内に露出している。
【0016】
ホーゼル部11は、クラウン部4よりも上方に突出している部分と、クラウン部4よりも下方に位置している部分とを含む。ホーゼル部11の貫通孔を囲うように形成されている側壁は、ウッド型ゴルフクラブヘッド10において露出していない内周側壁13と、後述する凹部12内に露出している外周側壁15とを有している。
【0017】
ホーゼル部11の貫通孔は、上方開口部11Aから下方側に向かって延びるように形成されており、シャフト20の外径以上の孔径を有してシャフト20を収容可能な第1部分と、当該部分と下方開口部11Bとを接続するように形成されている第2部分を有している。
【0018】
ヒール部2は、ヒール部2の外壁からトゥ部3側に向かって凹んでいる凹部12を有している。凹部12は、ヒール部2においてホーゼル部11の上方開口部11Aよりも下方に位置する部分(凹部12の上方端部)からソール部5側に位置する部分まで延びるように形成されている。凹部12は、ホーゼル部11の外周側壁15を露出するように形成されている。凹部12の上方端部はホーゼル部11の下方開口部11Bよりも上方に形成されており、凹部12の下方端部はホーゼル部11の下方開口部11Bよりも下方に形成されている。
【0019】
凹部12内において、ウッド型ゴルフクラブヘッド10の外周面に露出している部分は、ホーゼル部11の上記外周側壁15と、ホーゼル部11の下方開口部11Bとソール部5とを接続している下方側壁14と、外周側壁15および下方側壁14とヒール部2とを接続しておりフェース部1側に位置する前方側壁16と、外周側壁15および下方側壁14とヒール部2とを接続しておりバック部側に位置する後方側壁17とを有している。凹部12の下方側壁14は、ホーゼル部11の内周側壁13と連なるように形成されている。
【0020】
図4を参照して、外周側壁15は、ホーゼル部11の貫通孔の中心軸A1に垂直な断面において、たとえば中心軸A1を中心とする円弧状に形成されている。なお、外周側壁15は、中心軸A1に垂直な断面において任意の形状を有するように形成されていればよく、たとえば直線状に形成されていてもよい。図4を参照して、前方側壁16および後方側壁17は、たとえば平面状に形成されている。前方側壁16および後方側壁17は、たとえば中心軸A1に対して垂直な断面(図4の紙面)上において中心軸A1と直交する線分に対し線対称となるように設けられていてもよいし、非線対称となるように設けられていてもよい。また、前方側壁16とヒール部2との接続部、および後方側壁17とヒール部2との接続部は、それぞれ任意の形状であればよく、鋭角または鈍角を成すように接続されていてもよい。
【0021】
前方側壁16と後方側壁17とは、ホーゼル部11の貫通孔の中心軸を挟んで対向するように形成されている。前方側壁16と後方側壁17とは、互いに任意の角度で交差するように設けられていればよいが、たとえば鈍角を成すように設けられている。言い換えると、ホーゼル部11の外周側壁15と前方側壁16および後方側壁17との接続部は、たとえばフェース‐バック方向(前後方向)において前方側壁16および後方側壁17とヒール部2との接続部よりも内側に位置している。
【0022】
凹部12は、フェース‐バック方向(前後方向)における幅(言い換えると、前方側壁16および後方側壁17とヒール部2との接続部間のフェース‐バック方向における距離)が、凹部12の上記上方端部よりもホーゼル部11の下方開口部11Bを露出している部分において幅広となるように形成されているのが好ましい。また、凹部12は、上記幅が、ホーゼル部11の下方開口部11Bを露出している部分よりも凹部12の下方端部側において幅広となるように形成されているのが好ましい。
【0023】
ホーゼル部11の貫通孔の中心軸A1に平行であってヒール部2の外壁と接する接線A2と、ホーゼル部11の下方端部との最短距離L1は、1mm以上10mm以下であるのが好ましく、より好ましくは3mm以上8.88mm以下である。下方側壁14と接線A2との最短距離は、上記最短距離L1よりも長く、内周側壁13と接線A2と最短距離と同等以上であるのが好ましい。下方側壁14と接線A2との最短距離は、たとえば15mm以上22.88mm以下であるのが好ましい。
【0024】
ホーゼル部11の外周側壁15の厚みは、2mm以下である。ホーゼル部11の外周側壁15の厚みは、一定であってもよいし、分布を有していてもよい。ホーゼル部11の外周側壁15の厚みは、たとえば上方開口部11A側において下方開口部11B側よりも厚く形成されていてもよい。
【0025】
フェース部1を構成する材料は、たとえば公知のウッド型ゴルフクラブヘッドを構成する材料と同一材料であり、チタン合金またはステンレス鋼などとすることができる。また、ヒール部2、トゥ部3、バック部、クラウン部4、ソール部5、およびホーゼル部11を構成する材料は、フェース部1を構成する材料と同一材料とすることができる。
【0026】
ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、任意の方法により製造され得るが、たとえば鍛造または鋳造により作製された各部材が溶接されることにより製造され得る。
【0027】
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブ100について説明する。ウッド型ゴルフクラブ100は、ウッド型ゴルフクラブヘッド10にシャフト20およびグリップ30が取り付けられることにより構成される。ウッド型ゴルフクラブ100は、シャフト20と、シャフト20の一方端部に取り付けられたグリップ30と、シャフト20のグリップ30と反対側の他方端部に取り付けられているウッド型ゴルフクラブヘッド10を備えている。シャフト20の上記他方端部は、ゴルフクラブヘッド10のホーゼル部11に接続されている。シャフト20およびグリップ30は、周知のものを採用可能である。
【0028】
図6を参照して、ウッド型ゴルフクラブヘッド10のホーゼル部11とシャフト20とは、任意の方法により固定されていればよいが、たとえばホーゼル部11の内部に接着されて固定される。
【0029】
なお、図3に示されるように、本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッド10において、ホーゼル部11の下方開口部11Bは凹部12内においてウッド型ゴルフクラブヘッド10の外部に露出しているが、これに限られるものでは無い。異なる観点から言えば、凹部12は、上方端部がホーゼル部11の下方開口部11Bよりも上方に形成されており、下方端部がホーゼル部11の下方開口部11Bよりも下方に形成されているがこれに限られるものではない。凹部12は、ホーゼル部11の外周側壁15を露出するように形成されている限りにおいて、任意に構成されていればよい。
【0030】
図7に示されるように、下方開口部11Bは、ウッド型ゴルフクラブヘッド10の内部に接続されていてもよい。異なる観点から言えば、凹部12は、たとえば上方端部および下方端部がいずれもホーゼル部11の下方開口部11Bよりも上方に形成されていてもよい。このようにしても、ヒール部2側において外周側壁15とヒール部2の外壁とが重なるように形成されていないため、ウッド型ゴルフクラブヘッド10は従来のウッド型ゴルフクラブヘッドと比べて質量を軽減することができる。
【0031】
図8を参照して、前方側壁16および後方側壁17は、たとえば曲面状に形成されていてもよい。この場合、前方側壁16および後方側壁17は、たとえばトゥ‐ヒール方向においてトゥ部3側に凹状となるように曲面状に形成されている。
【0032】
図9を参照して、ウッド型ゴルフクラブ100は、シャフト20の中心軸A3に対するウッド型ゴルフクラブヘッド10の固定角度を調整可能に設けられていてもよい。言い換えると、ウッド型ゴルフクラブヘッド10のホーゼル部11は、シャフト20の中心軸A3がホーゼル部11の貫通孔の中心軸A1に対して交差した状態で該シャフト20を固定可能に設けられており、フェース角、ライ角、およびロフト角の少なくともいずれか1つを調整可能に設けられていてもよい。このような固定角度調整機構は任意の構成を備えていればよい。
【0033】
たとえば、シャフト20の他方端部はソケット23に取り付けられており、ソケット23がホーゼル部11の貫通孔内に固定されることにより、ゴルフクラブヘッド10とシャフト20とが接続されていてもよい。このとき、ホーゼル部11の貫通孔の第2部分18は、ソケット23をウッド型ゴルフクラブヘッド10に固定するためのねじ22(図5参照)の軸部を挿入可能に設けられている。
【0034】
ソケット23は、ホーゼル部11の貫通孔内に挿入されている部分25と、ホーゼル部11の貫通孔外に露出されている部分24とを有している。ソケット23において露出される部分24に設けられている一方端部にはシャフト20を挿入可能な挿入孔26が形成されており、シャフト20は該挿入孔26に挿入されてたとえば接着により固定されている。ソケット23において挿入されている部分25に設けられている他方端部にはねじ孔21が形成されている。このとき、シャフト20とソケット23とは、ソケット23をホーゼル部11の貫通孔内に固定したときに、ホーゼル部11の貫通孔の中心軸A1に対して、シャフト20の中心軸A3が所定の角度で傾斜するように固定されている。言い換えると、シャフト20とソケット23とは、たとえば中心軸A1と中心軸A3との成す当該角度を周知の方法により調整可能に設けられている。
【0035】
ねじ22は、ねじ孔21と緊締可能に設けられている軸部と、下方開口部11Bの孔径よりも大きな外径を有するねじ頭とを有している。ねじ22がねじ孔21に緊締されることにより、ホーゼル部11の下方開口部11Bに対してソケット23とねじ22が位置決めされ、その結果、ウッド型ゴルフクラブヘッド10に対してシャフト20が位置決めされる。
【0036】
露出されている部分24は、挿入されている部分25に対してたとえば拡径されている。挿入されている部分25は、たとえば露出されている部分24との境界部から上記中心軸A1において所定の距離だけ下方に位置する領域にスプライン加工されていてもよい。この場合、ホーゼル部11の内周側壁13の内面および外周側壁15には、ホーゼル部11の上方の端部から当該所定の距離だけ下方に位置する領域にスプライン加工されていてもよい。
【0037】
このようにしても、図9に示されるウッド型ゴルフクラブヘッド10およびウッド型ゴルフクラブは、図6に示される本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッド10およびウッド型ゴルフクラブと同様の効果を奏することができる。さらに、このようなウッド型ゴルフクラブヘッド10は、シャフト20の中心軸A3に対する固定角度を調整可能であるが、このときホーゼル部11の下方端部(下方開口部11Bなど)にウッド型ゴルフクラブヘッド10の外部から容易にアクセスすることができる。そのため、シャフト20の中心軸A1に対するウッド型ゴルフクラブヘッド10の固定角度を調整する際などに、作業を容易に行うことができる。
【0038】
次に、本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッド10の作用効果について説明する。
【0039】
ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、打球面1Aを有するフェース部1と、シャフトと接続されるホーゼル部11と、打球面1Aに対してホーゼル部11側の端部に位置するヒール部2と、打球面1Aに対してヒール部2と反対側の端部に位置するトゥ部3とを備える。ヒール部2は、ヒール部2の外壁からトゥ部3側に向かって凹んでいる凹部12を有し、ホーゼル部11の外周側壁15は凹部12内に露出している。
【0040】
従来のウッド型ゴルフクラブヘッドにも、重心距離を短くするためにトゥヒール方向においてヒール部よりもトゥ部側にホーゼル部が配置されているものが存在する。しかし、このようなウッド型ゴルフクラブヘッドでは、一般的に鍛造後に中子を抜きやすくするためにホーゼル部はヒール部と一体として成形され、ホーゼル部の外周側壁とヒール部の外壁との間はホーゼル部やヒール部を構成する材料で満たされている。言い換えると、従来のウッド型ゴルフクラブヘッドでは、ヒール部に他の部分よりも肉厚であって質量の大きい部分が形成されている。また、上記特許文献1に記載のゴルフクラブヘッドでは、ホーゼル部とヒール部の外壁との間に間隙が形成されているため、上記従来のウッド型ゴルフクラブヘッドと比べて軽量化を図れるが、ホーゼル部を囲うようにヒール部の外壁が形成されているため、十分な軽量化を図ることは困難である。
【0041】
これに対し、ウッド型ゴルフクラブヘッド10では、ヒール部2はヒール部2の外壁からトゥ部3側に向かって凹んでいる凹部12を有し、ホーゼル部11の外周側壁15は凹部12内に露出している。そのため、ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、上記のような肉厚な部分がホーゼル部11とヒール部2との間に形成されておらず、またヒール部2側において外周側壁15とヒール部2の外壁とが重なるように形成されていない。その結果、ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、従来のウッド型ゴルフクラブヘッドと比べて質量を軽減することができる。
【0042】
また、ホーゼル部11はヒール部2の外壁に囲まれていないため、ウッド型ゴルフクラブヘッド10のホーゼル部11は、従来のウッド型ゴルフクラブヘッドのホーゼル部と比較して、調角性に優れる。
【0043】
また、ホーゼル部11の外周側壁15は凹部12内に露出しており、ヒール部2の外壁がホーゼル部11を囲むように形成されていないため、ウッド型ゴルフクラブヘッド10は中子を用いずに容易に製造され得る。
【0044】
ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、フェース部1の下部と接続されているソール部5を備えている。ホーゼル部11は、ソール部5側に位置する下方端部を有し、ホーゼル部11の下方端部は凹部12内に露出している。
【0045】
このようにすれば、ホーゼル部11の下方端部にウッド型ゴルフクラブヘッド10の外部から容易にアクセスすることができる。そのため、たとえばホーゼル部11に対しシャフト20を着脱する際や、シャフト20の中心軸線に対するウッド型ゴルフクラブヘッド10の固定角度を調整する際などに、作業を容易に行うことができる。
【0046】
ホーゼル部11には貫通孔が形成されており、貫通孔の中心軸A1に平行であってヒール部2の外壁と接する接線A2と、ホーゼル部11の下方端部との最短距離L1は、1mm以上10mm以下である。
【0047】
当該最短距離L1を1mmとすれば、たとえばヒール部2を構成する材料がチタン合金である場合に、ホーゼル部の位置は同等であるが凹部12が形成されておらずホーゼル部の外周側壁とヒール部の外壁との間がヒール部を構成する材料で満たされている従来のウッド型ゴルフクラブヘッドと比べて、約0.5gの軽量化を実現することができる。なお、ウッド型ゴルフクラブヘッド10が1g軽量化されることにより、ウッド型ゴルフクラブ100のスイングバランスは変化することが知られている。そのため、当該最短距離L1を1mm以上とすれば、ウッド型ゴルフクラブヘッド10を約5g以上軽量化することができることから、ウッド型ゴルフクラブヘッド10は大きな軽量化効果を奏することができるといえる。なお、当該最短距離L1の上限は、ルールに定められたものである。
【0048】
なお、本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッド10は、フェアウェイウッドに用いられるウッド型ゴルフクラブヘッドとして設けられているが、これに限られるものでは無い。ウッド型ゴルフクラブヘッド10は、ドライバーゴルフクラブに用いられるウッド型ゴルフクラブヘッドとして構成されていてもよいし、ユーティリティクラブに用いられるハイブリッドゴルフヘッドとして構成されていてもよい。つまり、本実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブ100は、ドライバーゴルフクラブ、フェアウェイウッド、またはユーティリティクラブとして構成され得る。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、ドライバーゴルフクラブ、フェアウェイウッド、またはユーティリティクラブに用いられるウッド型ゴルフクラブヘッドおよびそれを備えるウッド型ゴルフクラブに特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0051】
1 フェース部、1A 打球面、2 ヒール部、3 トゥ部、4 クラウン部、5 ソール部、10 ウッド型ゴルフクラブヘッド、11 ホーゼル部、11A 上方開口部、11B 下方開口部、12 凹部、13 内周側壁、14 下方側壁、15 外周側壁、16 前方側壁、17 後方側壁、18 第2部分、20 シャフト、21 ねじ孔、22 ねじ、23 ソケット、30 グリップ、100 ウッド型ゴルフクラブ。
【要約】      (修正有)
【課題】重心距離が短く、かつ軽量化されているウッド型ゴルフクラブヘッドおよびウッド型ゴルフクラブの提供。
【解決手段】打球面を有するフェース部1と、シャフトと接続されるホーゼル部11と、打球面に対してホーゼル部11側の端部に位置するヒール部2と、打球面に対してヒール部2と反対側の端部に位置するトゥ部とを備える。ヒール部2は、ヒール部2の外壁からトゥ部側に向かって凹んでいる凹部12を有し、ホーゼル部11の外周側壁15は凹部12内に露出している。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9