特許第6000404号(P6000404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000404
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20160915BHJP
   G03F 7/42 20060101ALI20160915BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   H01L21/30 572B
   G03F7/42
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 648G
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-96769(P2015-96769)
(22)【出願日】2015年5月11日
(62)【分割の表示】特願2011-550960(P2011-550960)の分割
【原出願日】2011年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-159331(P2015-159331A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2015年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2010-12634(P2010-12634)
(32)【優先日】2010年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黒川 禎明
(72)【発明者】
【氏名】濱田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】小林 信雄
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 裕次
【審査官】 今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−135127(JP,A)
【文献】 特開昭61−104621(JP,A)
【文献】 特開平11−260718(JP,A)
【文献】 特開2002−110525(JP,A)
【文献】 特開2010−010348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸を中心に回転する基板保持部に保持された板状基板の表面に処理液を供給する処理液供給機構を備え、前記処理液により前記板状基板の表面を処理する基板処理装置であって、
昇降機構によって昇降動作可能で、下降した位置にて、前記基板保持部に保持された前記板状基板の表面に対して所定の間隔をもって対向配置され、前記板状基板の表面との間に処理液を保持する処理液保持プレートと、
前記処理液保持プレートにおける、前記基板保持部の前記回転軸に対応する位置を含む所定領域全体に接して当該所定領域を加熱する加熱部とを有し、
前記処理液供給機構は、前記基板保持部とともに回転する状態の前記板状基板の表面と、前記加熱部により加熱される前記処理液保持プレートとの間の隙間に前記処理液を供給する基板処理装置。
【請求項2】
前記加熱部は、前記処理液保持プレートにおける、前記板状基板に対向する面と逆側の面に当接するように設けられたシート状ヒータを有し、
該シート状ヒータには前記基板保持部の前記回転軸からずれた位置に孔が形成され、
前記処理液供給機構は、前記シート状ヒータの前記孔を通して前記板状基板の表面と前記処理液保持プレートとの間の隙間に前記処理液を供給する請求項記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給機構は、前記処理液保持プレートにおける、前記基板保持部の前記回転軸に対応する位置からずれた位置を貫通して前記板状基板の表面と前記処理液保持プレートとの間の隙間に前記処理液を供給する請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液保持プレートは、前記板状基板の表面を覆うことが可能なプレート本体と、
該プレート本体の周縁に前記基板保持部側に突出するように形成された壁部とを有し、
前記壁部の先端が前記処理液保持プレートを横切る方向に傾斜している請求項1乃至のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液保持プレート内に、当該処理液保持プレートの前記板状基板の表面に対向する面に沿って延びて該面の所定位置にて開口する流路が形成され、
前記処理液供給機構からの前記処理液が前記流路を通って当該処理液保持プレートと前記板状基板の表面との間の隙間に供給される請求項1乃至のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記加熱部は、発熱量を個々的に制御可能な複数の個別加熱部により形成された請求項1乃至5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記シート状ヒータは、前記処理液保持プレートの前記板状基板に対向する面と逆側の面に同心状に配置される発熱量を個々的に制御可能な複数のヒータ部を有する請求項記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理液保持プレートの前記板状基板に対向する面には、該面にて開口して当該処理液保持プレートの側面に抜ける複数の溝が形成された請求項1乃至のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記処理液供給機構は、前記処理液の全部または一部が流れ、前記処理液保持プレートを加熱する加熱部からの熱にて加熱される流路を有する請求項1乃至のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれかに記載の基板処理装置を用い、
前記処理液供給機構から前記基板保持部とともに回転する状態の前記板状基板の表面と前記処理液保持プレートとの間の隙間に処理液を供給する処理液供給ステップと、
前記板状基板の表面と前記加熱部によって加熱される前記処理液保持プレートとの間の隙間に前記処理液を保持する処理液保持ステップとを有する基板処理方法。
【請求項11】
前記処理液保持ステップは、前記処理液供給機構からの前記処理液の供給を継続させつつ実行される請求項10記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記処理液保持ステップは、前記処理液供給機構からの前記処理液の供給を継続させることなく実行される請求項10記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の板状基板の表面を処理液にて処理する基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハの表面に形成されたレジストを例えば硫酸と過酸化水素水とを混ぜあわせてできる処理液にて除去する基板処理装置が提案されている(特許文献1参照)。この基板処理装置では、ヒータが埋設された保持プレート上に保持された半導体ウェーハの表面に処理液が吹きかけられるようになっている。このように加熱された半導体ウェーハの表面に処理液が供給されるので、処理液が半導体ウェーハを介して加熱されてそのレジスト除去能力を高めることができ、結果として、半導体ウェーハの表面からレジストを確実に除去することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−66400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の基板処理装置では、加熱される半導体ウェーハに処理液が単に吹きつけられるだけなので、処理液の加熱効率が悪く、また、処理液の利用効率も悪い。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、処理液をより効率的に加熱しつつ効率的に使用して板状基板の表面を処理することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板処理装置は、
所定の回転軸を中心に回転する基板保持部に保持された板状基板の表面に処理液を供給する処理液供給機構を備え、前記処理液により前記板状基板の表面を処理する基板処理装置であって、
昇降機構によって昇降動作可能で、下降した位置にて、前記基板保持部に保持された前記板状基板の表面に対して所定の間隔をもって対向配置され、前記板状基板の表面との間に処理液を保持する処理液保持プレートと、
前記処理液保持プレートにおける、前記基板保持部の前記回転軸に対応する位置を含む所定領域全体に接して当該所定領域を加熱する加熱部とを有し、
前記処理液供給機構は、前記基板保持部とともに回転する状態の前記板状基板の表面と、前記加熱部により加熱される前記処理液保持プレートとの間の隙間に前記処理液を供給する構成となる。
【0007】
本発明に係る基板処理方法は、前記処理液供給機構から前記基板保持部とともに回転する状態の前記板状基板の表面と前記処理液保持プレートとの間の隙間に処理液を供給する処理液供給ステップと、
前記板状基板の表面と前記加熱部によって加熱される前記処理液保持プレートとの間の隙間に前記処理液を保持する処理液保持ステップとを有する構成となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基板処理装置及び基板処理方法によれば、加熱部により加熱される処理液保持プレートによって加熱される処理液が当該処理液保持プレートと回転する板状基板との間に層状に維持され、その加熱されつつ層状に維持された処理液によって板状基板の表面が処理されるので、処理液を無駄なく効率的に使用して当該板状基板の表面を処理することができるようになる。そして、加熱部が処理液保持プレートの基板保持部の回転軸に対応する位置を含む所定領域に接しているので、処理液保持プレートと板状基板の表面との間に保持される処理液の温度を、回転軸近辺の中心部とその他の部分とで均一化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の第1の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
図2図1に示す基板処理装置に用いられる基板保持プレートの図1の矢印Xに示す方向から見た構造を示す平面図である。
図3A図1に示す基板処理装置の動作手順を示すフローチャート(その1)である。
図3B図1に示す基板処理装置の動作手順を示すフローチャート(その2)である。
図4図1に示す基板処理装置における処理液保持プレートの上昇動作を示す図である。
図5図1に示す基板処理装置における半導体ウェーハの搬入を示す図である。
図6図1に示す基板処理装置における処理液保持プレートの下降動作を示す図である。
図7図1に示す基板処理装置における基板保持プレートの回転動作を示す図である。
図8図1に示す基板処理装置における処理液の供給動作を示す図である。
図9】基板処理装置の動作手順の他の例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
図11】基板保持プレートに保持された半導体ウェーハの表面に対向して配置される処理液保持プレートの第1変形例を示す断面図である。
図12】前記処理液保持プレートの第1変形例を示す斜視図である。
図13】処理液保持プレートの第2変形例を示す断面図である。
図14】処理液保持プレートの前記第2変形例を示す平面図(図13の矢印Yから見た図)である。
図15】処理液保持プレートの第3変形例を示す拡大断面図である。
図16】処理液保持プレートの前記第3変形例を示す平面図(図15の矢印Zの方向から見た図)である。
図17】処理液保持プレートの第4変形例を示す拡大断面図である。
図18】処理液保持プレートの第5変形例を示す拡大断面図である。
図19】処理液保持プレートの基板保持プレートに保持された半導体ウェーハの表面に対向する面と逆側の面に設けられるシート状ヒータの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置は図1に示すように構成される。この基板処理装置は、板状基板としての半導体ウェーハ(以下、単にウェーハという)の表面に形成されたレジストの除去処理を行うものである。
【0012】
図1において、この基板処理装置は、処理対象となるウェーハ100を保持する基板保持プレート10(基板保持部)と、この基板保持プレート10に対向して配置される処理液保持プレート15とを有している。基板保持プレート10は、回転機構30によって回転軸Cを中心に回転可能な構造となっている。基板保持プレート10の表面には複数の支持ピン11が設けられており、ウェーハ100は、その周囲部分がこれら複数の支持ピン11にて支持されるようにして基板保持プレート10に保持される。また、処理液保持プレート15は、昇降機構40によって、昇降動作可能な構造となっている。処理液保持プレート15は、後述する処理液に耐性を有する材料(例えば、水晶材)にて形成され、図1とともに、図2(基板保持プレート10の図1の矢印Xに示す方向から見た構造を示す)に示すように、周辺部に基板保持プレート10と逆側に立ち上がる壁の形成された円形盆状の形状となっている。処理液保持プレート15の基板保持プレート10に対向する面と逆側の面には、円形シート状のヒータ20(加熱部)が貼り付けられている。円形シート状のヒータ20には、後述する処理液供給管55を通すための円形の孔20aが形成されている。この円形の孔20aは、その中心が、基板保持プレート10の回転軸Cからずれたものとなっている。
【0013】
また、この基板処理装置は、処理液供給機構50を有している。処理液供給機構50は、処理液を貯留する4つの処理液槽51a、51b、51c、51dを有している。処理液槽51aには硫酸(H2SO4)が、処理液槽51bには過酸化水素水(H22)が、処理液槽51cには純水(H2O)が、処理液槽51dにはアンモニア水(NH3)が、それぞれ貯留されている。各処理液槽51a、51b、51c、51cからは個別送通管54a、54b、54c、54dが延びており、それら個別送通管54a、54b、54c、54dが並列的に処理液供給管55に結合されている。処理液供給管55は、ヒータ20の孔20aから処理液保持プレート15の前記孔20aに対向する位置に形成された孔を通って、その先端部が基板保持プレート10に対向する面側から露出している(図1及び図2参照)。これにより、処理液供給管55を通った処理液は、ウェーハ100の表面に供給されるようになる。
【0014】
各個別送通管54a、54b、54c、54dには、流量調整バルブ52a、52b、52c、52dと、流量計53a、53b、53c、53dとが設けられている。各流量調整バルブ52a、52b、52c、52dを調整することにより、対応する処理液槽51a、51b、51c、51dから処理液供給管55に流れ込む処理液の量を調整することができる。また、そのときに各個別送通管54a、54b、54c、54dを流れる処理液の量が対応する流量計53a、53b、53c、53dに表れる。
【0015】
なお、図示しないが、前述した構成の基板処理装置は、回転機構30、昇降機構40、流量調整バルブ52a、52b、52c、52d及びヒータ20の動作を制御する制御装置を有している。
【0016】
この基板処理装置では、次のようにしてウェーハ100に対する処理がなされる。
【0017】
円形シート状のヒータ20が通電される。この通電されたヒータ20によって処理液保持プレート15の基板保持プレート10に対向する面と逆側の面が均等に加熱され、処理液保持プレート15の全体が所定温度(例えば、温度範囲100℃〜400℃内の温度)に保持される。この状態で、図3A及び図3Bに示す手順に従って動作がなされる。
【0018】
図4に示すように、処理液保持プレート15が最上位点まで上昇され、この処理液保持プレート15と基板保持プレート10との間に搬入された処理対象のウェーハ100が、図5に示すように、その周囲部分が複数の支持ピン11に支持されるようにして基板保持プレート10上に保持される(S11)。このとき、ウェーハ100の中心と基板保持プレート10の回転軸Cとが合致するように位置決めされる。
【0019】
次いで、処理液保持プレート15が、図6に示すように、基板保持プレート10上に保持されたウェーハ100の表面との間に所定の隙間(例えば、4mm以下)が形成される位置まで下降する(S12)。そして、図7に示すように、基板保持プレート10が比較的低速な所定速度(例えば、50rpm程度)にて回転される。これにより、ウェーハ100が基板保持プレート10とともに前記所定速度にて回転する(S13)。
【0020】
処理液保持プレート15がウェーハ100の表面に対して所定間隔をもって対向配置されて、ウェーハ100が比較的低速の所定速度で回転する状態において、処理液供給管55から処理液が、処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間の隙間に供給される(S14)。具体的には、流量調整バルブ52c、52dが閉鎖された状態で、流量調整バルブ52a、52bの開度が調整され、処理液槽51aからの硫酸(H2SO4)が流量調整バルブ52aの開度に応じた流量にて個別送通管54aを通って、また、処理液槽51bからの過酸化水素水(H22)が流量調整バルブ52bの開度に応じた流量にて個別送通管54bを通って、処理液供給管55に流入する。これにより、硫酸(H2SO4)と過酸化水素水(H22)とが混ぜ合わされてできる処理液Sが処理液供給管55を通って処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間の隙間に供給される。
【0021】
回転するウェーハ100の表面に処理液Sが供給されると、その処理液Sがウェーハ100の外周方向に向けて順次移動する。そして、図8に示すように、処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間の隙間に処理液Sが満たされて、処理液Sの表面張力によってウェーハ100の表面に層状の処理液Sが保持される。このように、処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間に層状に保持される処理液Sは、ヒータ20によって加熱される処理液保持プレート15によって全体的に加熱されて高温(例えば、温度範囲100℃〜400℃内の温度)に維持される。そして、この高温に維持されてレジスト除去能力の高められた処理液S(硫酸(H2SO4)と過酸化水素水(H22)とを混ぜ合わせてできる)によってウェーハ100の表面に形成されたレジストが除去されていく。この状態で、処理液Sが処理液供給管55から連続的に供給されると、ウェーハ100の表面の処理液Sが新たな処理液Sにて置換されつつ層状の形態を維持し、レジストの溶解した処理液Sが回転するウェーハ100の外周部分から順次廃液として排出されていく(処理液の排出機構については図示略)。
【0022】
図3Aに戻り、上記のようにして、処理液Sが供給されつつウェーハ100の表面の処理(レジスト除去処理)がなされ、所定の処理時間が経過すると、流量調整バルブ52a、52bが閉鎖され、処理液槽51aからの硫酸(H2SO4)、及び処理液槽51bからの過酸化水素水(H22)の供給が止められる(S15)。その後、流量調整バルブ52cの開度が調整されて、処理液槽51cからの純水(H2O)が流量調整バルブ52cの開度に応じた流量にて個別送通管54cを通って処理液供給管55に流入する(S16)。これにより、前記処理液Sに代えて、純水(H2O)が処理液供給管55からウェーハ100の表面に連続的に供給され、ウェーハ100の表面が、供給される純水(H2O)によって洗浄される(洗浄処理1)。そして、ウェーハ100の表面の純水(H2O)による洗浄が所定時間なされると、流量調整バルブ51cが閉鎖され(S17)、純水(H2O)によるウェーハ100の表面の洗浄が終了する。
【0023】
次に、流量調整バルブ52b、52c、52dの開度が調整されて、処理液槽51bからの過酸化水素水(H22)が流量調整バルブ52bの開度に応じた流量にて個別送通管54bを通って、処理液槽51cからの純水(H2O)が流量調整バルブ52cの開度に応じた流量にて個別送通管54cを通って、また、処理液槽51dからのアンモニア水(NH3)が流量バルブ52dの開度に応じた流量にて個別送通管54dを通って、処理液供給管55に流入する。これにより、過酸化水素水(H22)、純水(H2O)及びアンモニア(NH3)を混ぜ合わせてできるアルカリ性の処理液APMが処理液供給管55を通って処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間の隙間に供給され(S18)、供給される処理液APMによってウェーハ100の表面の酸性残留物が中和され、ウェーハ100の表面の洗浄がなされる(洗浄処理2)。そして、ウェーハ100の表面の処理液APMによる洗浄が所定時間なされると、流量調整バルブ52b、52c、52dが閉鎖され(S19)、処理液APMによるウェーハ100の表面の洗浄が終了する。
【0024】
その後、再度、流量調整バルブ52cの開度が調整されて、処理液槽51cからの純水(H2O)が流量調整バルブ52cの開度に応じた流量にて個別送通管54cを通って処理液供給管55に流入する(S20)。これにより、純水(H2O)が処理液供給管55からウェーハ100の表面に連続的に供給され、ウェーハ100の表面が、供給される純水(H2O)によって再度洗浄される(洗浄処理3)。そして、ウェーハ100の表面の純水(H2O)による洗浄が所定時間なされると、流量調整バルブ51cが閉鎖され(S21)、純水(H2O)によるウェーハ100の表面の洗浄が終了する。
【0025】
このようにして各洗浄処理1、2、3が終了すると、処理液保持プレート15が最上位点まで上昇された(S22:図5参照)後に、図3Bに示す手順に従って処理が継続される。即ち、基板保持プレート10が高速(例えば、1500rpm程度)にて回転される。これにより、ウェーハ100が基板保持プレート10とともに高速に回転する(S23)。このようにウェーハ100が高速に回転すると、ウェーハ100上に残留した水分が遠心力によって飛散され、ウェーハ100上の水分が除去される(乾燥処理)。
【0026】
前記ウェーハ100の乾燥処理が所定時間なされると、基板保持プレート10の回転が停止され(S24)、基板保持プレート10上に保持された処理済みのウェーハ100が搬出される(S25)。以後、順次供給されるウェーハ100に対して前述したのと同様の手順(図3A及び図3B参照)に従って、処理がなされる。
【0027】
前述したような基板処理装置によれば、基板保持プレート10上に保持されたウェーハ100の表面に処理液Sが層状に保持され、その層状の処理液Sが全体的に円形シート状のヒータ20によって均等に加熱される処理液保持プレート15によって加熱されるので、処理液Sをより効率的に加熱することができる。また、その加熱される層状の処理液Sがウェーハ100の表面に常に保持された状態でウェーハ100の表面が処理されるようになるので、その処理液Sを無駄なく効率的に使用してウェーハ100の表面を処理することができようになる。
【0028】
また、ヒータ20に設けた円形の孔20aは、その中心が、基板保持プレート10の回転軸Cからずれた位置(偏心)に設けたものとなっている。これにより、処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間に層状に保持される処理液Sの温度を、回転軸C近辺の中心部とその他の部分とでより均一化させることができる。つまり、孔20aが回転軸上に配置されると、常にウェーハ100の同じ箇所(中心部分)が孔20aに対向することになるが、孔20aが基板処理プレート10(ウェーハ100)に対して偏心した位置に形成されていると、ウェーハ100の回転に伴ってウェーハ100における孔20aとの対向部分が逐次変化するから、処理液Sの温度の均一化を図ることができる。
【0029】
なお、前述した基板処理装置では、レジスト除去処理(図3AにおけるS14、S15参照)を行った後に、純水での洗浄処理1(図3AにおけるS16、S17参照)、APMでの洗浄処理2(図3AにおけるS18、S19参照)、更に、純水での洗浄処理3(図3AにおけるS20、S21参照)の3回の洗浄処理がなされたが、APMの洗浄処理2及び1回分の純水での洗浄処理3を省くこともできる。この場合、図9に示すように、レジスト除去処理(S14、S15)が終了した後に、純水での洗浄処理(S16、17参照)が1回だけ行われる。その後、処理液保持プレート15が最上位点まで上昇されて(S22)、乾燥処理(S23)が所定時間なされる。そして、その乾燥処理が終了した後に、ウェーハ100の回転が停止されて(S24)、ウェーハ100が搬出される(S25)。
【0030】
前述したレジスト除去処理(図3及び図9におけるS14参照)では、ウェーハ100の表面と処理液保持プレート15との間に処理液Sが保持された状態で、処理液供給管55を通して処理液Sが連続的に供給される。この場合、前述したように、ウェーハ100の表面の処理液Sが新たな処理液Sにて置換されつつ層状の形態を維持し、レジストの溶解した処理液Sが回転するウェーハ100の外周部分から順次廃液として排出されていくものであった。処理液Sによるウェーハ100(板状基板)の表面の処理は、これに限られず、ウェーハ100の表面と処理液保持プレート15との間に処理液Sが保持された状態で、処理液供給管55を通した処理液Sの供給を止めることもできる。例えば、所定温度を超えると急激に処理能力を高める特性の処理液を用いる場合等では、ウェーハ100の表面と処理液保持プレート15との間に処理液Sが保持された状態で処理液供給管55を通した処理液Sの供給を止めることが好ましい。この場合、処理液Sの新たな供給が止められて、ウェーハ100の表面上に処理液Sが置換されずに留めおかれ、その間加熱される処理液Sが前記所定温度を超えるとウェーハ100の表面がその所定温度を超えて比較的高温となった処理液により処理される。例えば、処理液としてリン酸を用い、ウェーハ100の表面に形成された窒化膜をエッチング(除去)する場合、このような手法をとることが好ましい。この手法では、例えば、所定温度を超えた処理液Sにてウェーハ100の必要な処理が完了すると見込まれる時間だけ処理液Sの供給を停止させることができ、また、温度計等を利用した温度管理に従って処理液Sの供給を停止させることができる。
【0031】
本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置は、図10に示すように構成される。この処理装置では、硫酸(H2SO4)を貯留する処理液槽51aから延びる個別送通管54aが、処理液保持プレート15に設けられた円形シート状のヒータ20に当接配置される加熱送通管部分54aaを有している。処理液槽51aから流出して個別送通管54aを通る硫酸(H2SO4)は、加熱送通管部分54aaを通過する際にヒータ20によって加熱され、高温になった状態で、処理液供給管55に流入する。なお、他の構成は、図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置と同じである。
【0032】
このような基板処理装置によれば、硫酸(H2SO4)が処理液保持プレート15に設けられたヒータ20によって加熱された状態で、処理液供給管55内において過酸化水素水(H22)と混ぜ合わされて処理液Sが生成されるので、比較的高い温度の処理液Sが処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間の隙間に供給されるようになる。そして、その比較的高い温度の処理液Sが、処理液保持プレート15とウェーハ100の表面との間で層状に保持されて、処理液保持プレート15によって再度加熱されるようになる。従って、他の加熱手段を別途設けることなく、処理液Sを更に効率的に加熱することができるようになる。
【0033】
処理液保持プレート15の変形例について説明する。
【0034】
処理液保持プレート15の第1変形例が図11及び図12に示される。
【0035】
図11及び図12において、この処理液保持プレート15は、プレート本体151とプレート本体151の周縁に基板保持プレート10側に突出するように形成された壁部152とを有する構造となっている。プレート本体151は、前述した処理液保持プレート(図1及び図2参照)と同様に、円形盆状となって、基板保持プレート10に対向する面と逆側の面に円形シート状のヒータ20が貼り付けられている。そして、ヒータ20に形成された孔20a及びその孔20aに対応してプレート本体151に形成された孔を処理液供給管55が貫通している。プレート本体151の基板保持プレート10に対向する面は、ウェーハ100の表面、更には、基板保持プレート10の面を覆うことが可能なサイズになって、プレート本体15の周縁がウェーハ100の周縁及び基板保持プレート10の周縁の外側に位置するようになっている。
【0036】
また、プレート本体151の周縁に形成された壁部152は、その先端が当該処理液保持プレート15を横切る方向(図11において左右方向)に傾斜するように形成されている。具体的には、図11における右側から左側に向かって壁部152が徐々に高くなるようにその先端が傾斜している。
【0037】
このような構造の処理液保持プレート15によれば、例えば、前述した洗浄処理3(図3A参照)や洗浄処理(図9参照)が終了した場合や、レジスト除去処理の過程で何らかの理由により、処理液保持プレート15を上昇させた際に、加熱温度が比較的低くて蒸発し難い処理液保持プレート15の周縁に付着した純水や処理液Sが、傾斜する壁部152の先端を伝って処理液保持プレート15の一方の側に集まる。そして、その純水や処理液Sの液滴がウェーハ100の周縁や基板保持プレート10の周縁より外側に滴下する。これにより、基板保持プレート10やそれに保持されたウェーハ100に純水や処理液Sが滴下することを防止することができる。更に、処理液保持プレート15が上昇した状態で、処理液保持プレート15と基板保持プレート10との間に進入したロボットアームに処理液保持プレート15から滴下した純水や処理液Sが付着することを防止することもできる。即ち、プレート15の一方側に処理液Sや純水を集めることで、処理液が集まる方向と逆方向(プレート15の他方)からロボットアームを進入させる構造にすれば、該ロボットアームに処理液が付着することを防止することができる。
【0038】
処理液保持プレート15の第2変形例が図13及び図14に示される。なお、図13は、図14に示す処理液保持プレート15のA−A´線での断面を示している。
【0039】
図13及び図14図13の矢印Yの方向から見た図)において、円形シート状のヒータ20の周縁に近い所定部位に孔20aが形成され、その孔20aを通して処理液供給管55が処理液保持プレート15に挿入されている。処理液保持プレート15には、ウェーハ10の表面に対向する面に沿って延びる流路153が形成されている。処理液保持プレート15におけるウェーハ10の表面に対向する面の略中央には開口153aが形成され、流路153は、処理液供給管55の先端から渦巻状に延びて開口153aに至っている。
【0040】
このような構造の処理液保持プレート15によれば、処理液供給管55を流れてきた処理液Sが処理液保持プレート15内に渦巻状に形成された流路153を通っている間に加熱され、その加熱されて比較的高い温度になった処理液Sが流路153の開口153aからウェーハ100の表面と処理液保持プレート15との間に供給される。そのため、より高い温度の処理液Sを処理液保持プレート15とウェーハ100との間に層状に維持させることができるようになる。
【0041】
円形シート状のヒータ20が面全体から均一に発熱するものでなく、例えば、線状の発熱体が所定の形状に配置される構造である場合、そのヒータ20によって加熱される処理液保持プレート15の面内での温度分布は、ヒータ20における前記線状の発熱体の配置形状に対応したものとなる。このような場合、前述した流路153は、処理液保持プレート15の面内での温度分布に従って決められた加熱され易い領域に沿って(例えば、ヒータ20における線状の発熱体の配置形状に対応させて)形成することもできる。この場合、処理液保持プレート15における加熱され易い領域が流路153を流れる処理液Sによって冷却される(処理液Sが加熱される)ようになるので、ヒータ20によって加熱される処理液保持プレート15の面内での温度分布がより均一なものになり得る。その結果、ウェーハ100の表面と処理液保持プレート15との間に層状に維持される処理液Sの温度分布もより均一なものとなり得る。
【0042】
処理液保持プレート15の第3変形例が図15及び図16図15の矢印Zの方向から見た図)に示される。なお、図15は、図16に示す処理液保持プレート15のA−A´線での断面を示している。
【0043】
図15及び図16において、処理液保持プレート15のウェーハ100の表面に対向する面に、該面にて開口して当該処理液保持プレート15の周側面156に抜ける複数の溝155が形成されている。これら複数の溝155は、図16に示すように、処理液保持プレート15の当該面に縦・横の格子状に配置されている。
【0044】
このような構造の処理液保持プレート15によれば、円形シート状のヒータ20により加熱される処理液保持プレート15のウェーハ100の表面に対向する面に接する処理液Sが気化して気体が発生しても、処理液Sと処理液保持プレート15の表面との間に気体の層が形成されることなく、その気体が各溝155を通って処理液保持プレート15の外に逃げることができるようになる。このため、前記気体によって断熱されることなく、処理液Sを効率的に加熱することができるようになる。
【0045】
前述した複数の溝155は、図16に示すように格子状に配列されていたが、その配列の形態は、各溝155が処理液保持プレート15の周側面156に抜けるものであれば、特に限定されず、例えば、放射状に配列されるものであってもよい。
【0046】
処理液保持プレート15の第4変形例が図17に示される。
【0047】
図17において、前述した第3変形例(図15及び図16参照)と同様に、処理液保持プレート15のウェーハ100の表面に対向する面に、該面にて開口して当該処理液保持プレート15の周側面156に抜ける複数の溝155が格子状に形成されている。更に、各溝155の底部に、溝幅より広い幅の円筒状通路155aが形成されている。これによれば、加熱される処理液Sが蒸発して各溝155に導かれた気体をその円筒状通路155aを通して確実に処理液保持プレート15の外に逃がすことができるようになる。
【0048】
処理液保持プレート15の第5変形例が図18に示される。
【0049】
図18において、前述した第4変形例(図17参照)と同様に、処理液保持プレート15のウェーハ100の表面に対向する面に、該面にて開口して当該処理液保持プレート15の周側面156に抜ける各溝155の底部に円筒状通路155aが形成されている。更に、各溝155の処理液保持プレート15の面での開口部が、溝幅より広い幅の半円筒状凹部155bとして形成されている。これによれば、ヒータ20により加熱される処理液保持プレート15のウェーハ100の表面に対向する面に接する処理液Sが気化して気体が発生しても、その気体を半円筒状凹部155bによって集めて有効に各溝155内に導くことができるようになる。そして、そのように各溝155に導かれた気体を円筒状通路155aを通して確実に処理液保持プレート15の外に逃がすことができる。また、各溝155の開口部として形成される半円筒状凹部155bによって処理液保持プレート15のウェーハ100の表面に対向する面の表面積が大きくなるので、当該面に接する処理液Sをより効率的に加熱することができるようになる。
【0050】
更に、処理液保持プレート15の各溝155が開口する面(ウェーハ100の表面に対向する面)には、複数の凹部157が形成されている。各凹部157は、球面状(ディンプル状)のものであっても、溝状のものであっても、更に、他の形状のものであってもよい。このように処理液保持プレート15の各溝155が開口する面に複数の凹部157がされる場合、処理液保持プレート15のウェーハ100に対向する面の表面積が更に大きくなるので、処理液保持プレート15の当該面に接する処理液Sを更に効率的に加熱することができるようになる。
【0051】
次に、円形シート状のヒータ20の変形例が図19に示される。
【0052】
図19において、処理液保持プレート15のウェーハ100の表面に対向する面と逆側の面に貼り付けられた円形シート状のヒータ20は、発熱量を個々的に制御可能な2つのヒータ片201、202にて構成される。円形状のヒータ片201の外側に円環状のヒータ片202が同心的に配置されている。このようなヒータ20によれば、同心的に配置された2つのヒータ片201,202の発熱量を個々的に制御することで、部分的に温度の異なる処理液S、具体的には、同心状の部分毎に温度の異なる処理液Sにてウェーハ100の表面を処理することができるようになる。例えば、ウェーハ100の中心部分に多くのレジストが塗布されている場合、内側に位置する円状のヒータ片201の発熱量が外側の円環状のヒータ202の発熱量より多くなるように制御することにより、ウェーハ100の表面に付着したレジストを有効に除去することができるようになる。
【0053】
前述した本発明の各実施の形態に係る基板処理装置は、ウェーハ100の表面のレジスト除去処理を行うものであったが、液晶基板等の他の板状基板を処理するものであってもよい。また、処理液保持プレート15には処理液加熱機構としてシート状のヒータを設けたが、処理液保持プレート15を加熱できればシート状に限られない。例えば、板状部材に棒状ヒータを埋め込んだものを用いても構わない。更に、処理対象としてウェーハを選択した場合、ヒータは円形が好ましいが、形状は処理対象に応じて適宜変更設定するものである。
【符号の説明】
【0054】
10 基板保持プレート(基板保持部)
15 処理液保持プレート
20 ヒータ(加熱部)
20a 孔
30 回転機構
40 昇降機構
50 処理液供給機構
51a、51b、51c、51d 処理液槽
52a、52b、52c、52d バルブ
53a、53b、53c、53d 流量計
54a、54b、54c、54d 個別送通管
55 処理液供給管
100 半導体ウェーハ(板状基板)
151 プレート本体
152 壁部
153 流路
153a 開口
155 溝
155a 円筒状通路
155b 半円筒状凹部
156 周側面
157 凹部
201、202 ヒータ片
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19