特許第6000416号(P6000416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6000416ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂、感光性樹脂組成物及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000416
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂、感光性樹脂組成物及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/02 20060101AFI20160915BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   C08G61/02
   G03F7/023 511
【請求項の数】12
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2015-139162(P2015-139162)
(22)【出願日】2015年7月10日
(62)【分割の表示】特願2012-550952(P2012-550952)の分割
【原出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-232135(P2015-232135A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】特願2010-291189(P2010-291189)
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-64204(P2011-64204)
(32)【優先日】2011年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】李 軍
【審査官】 上前 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−524695(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/007827(WO,A1)
【文献】 特開昭60−021046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00−61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】
{式中、R1は、下記一般式(2):
【化2】
(式中、Rは、メチル基又はエチル基であり、そして、pとqは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)で表されるビフェニルジイル基であり、Rは、水素、メチル基、及びエチル基から選ばれる基であり、そしてnは、2〜150の整数である。}で表されるビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【請求項2】
前記一般式(1)が、下記一般式(3):
【化3】
{式中、R及びnは、前記一般式(1)で定義したものと同じである。}又は下記一般式(4):
【化4】
{式中、R及びnは、前記一般式(1)で定義したものと同じである。}で表される、請求項1に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【請求項3】
前記一般式(2)が下記式(5):
【化5】
で表される、請求項1又は2に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【請求項4】
前記式(5)が、下記式(6):
【化6】
で表される、請求項3に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂及び感光剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記感光剤が光酸発生剤である、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記感光剤がナフトキノンジアジド化合物である、請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
以下の工程:
下記一般式(7):
【化7】
{式中、Rは、水素、メチル基、及びエチル基から選ばれる基である。}で表される化合物と、下記一般式(8):
【化8】
{式中、R3は、メチル基又はエチル基であり、pとqは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、そしてRは、ハロゲン原子、水酸基、及び炭素数1〜10の不飽和結合を有していてもよいアルコキシ基から成る群から選ばれる基である。}で表される化合物とを、5:1〜1:5のモル比で混合し、さらに触媒を加える工程、及び
60℃以上で1分〜48時間加熱する工程、
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法によって得られた樹脂、及び感光剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物の製造方法
【請求項10】
前記感光剤が光酸発生剤である、請求項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
【請求項11】
前記感光剤がナフトキノンジアジド化合物である、請求項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法
【請求項12】
以下の工程:
半導体基板上に、請求項5〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層、又は請求項9〜11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法により製造された感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を形成する工程、
該感光性樹脂層を活性光線で露光する工程、
該露光された感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを得る工程、及び
得られたレリーフパターンを加熱する工程
を含む、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第一の態様は、半導体装置における表面保護膜又は層間絶縁膜等を形成するために有用なアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物、該組成物を用いた高耐熱性の硬化レリーフパターンの製造方法及び該硬化レリーフパターンを有する半導体装置に関する。
【0002】
本発明の第二の態様は、ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂、その製法、及び該樹脂の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、半導体装置の表面保護膜及び層間絶縁膜には、優れた耐熱性、電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂又はポリベンゾオキサゾール樹脂が広く用いられている。これらの樹脂は各種溶剤への溶解性が低いため、一般的に前駆体の形で溶剤へ溶解させた組成物として使用される。従って、使用時には前駆体を閉環させる工程が必要となる。この閉環工程は通常300℃以上に加熱する熱硬化によって行われている。
【0004】
しかしながら、近年では、従来品に比べて耐熱性に劣る半導体装置が開発され、表面保護膜又は層間絶縁膜の形成材料にも熱硬化温度の低下が求められるようになっており、特に250℃以下での熱硬化性を求められることも多くなっている。
【0005】
この要求に対し、閉環の必要がない樹脂として、コスト及び感光性能に秀でたノボラックなどのフェノール樹脂を用い、これに架橋剤又は別種のポリマーを加えることで耐熱性等を向上させた材料が提案されている(特許文献1及び2)。しかしながら、これらの材料を表面保護膜又は層間絶縁膜として半導体装置に適用しても、軟化点が低いために硬化時に設計どおりのレリーフパターンが得られず、さらには得られる硬化膜の伸度が低いため、半導体装置の信頼性は低く、ポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂の代替材料とすることは困難であった。
【0006】
また、以下の特許文献3には、ビフェニル化合物とフェノール類との縮合体を骨格に持つフェノール樹脂が提案されており、この縮合体をエポキシ樹脂の硬化剤として用いた耐熱性エポキシ樹脂硬化物も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−215789号公報
【特許文献2】特開2009−237125号公報
【特許文献3】特開平8−143648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる現状に鑑み、本発明の第一の態様において、本発明が解決しようとする課題は、半導体装置に適用したときに信頼性の高い半導体装置が作製でき、アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物、該組成物を用いた硬化レリーフパターンの製造方法、及び該硬化レリーフパターンを有して成る半導体装置を提供することである。
【0009】
また、特許文献1に記載された樹脂は軟化点が低いため耐熱性が低く、パターン形状が変形するために、ベース樹脂として使用するには不向きであった。また、特許文献3に記載された材料は樹脂のアルカリ溶解性が乏しいため、充分なリソグラフィー性(アルカリ可溶性)を有さなかった。
かかる現状に鑑み、本発明の第二の態様において、本発明が解決しようとする課題は、半導体装置に適用した場合に充分なリソグラフィー性(アルカリ可溶性)を有するとともに、耐熱性に優れる樹脂、その製法、該樹脂を用いた組成物、さらに該組成物を用いた半導体装置の製法及び半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、半導体装置に適用したときに、信頼性の高い硬化膜を形成できる材料であるためには、アルカリ可溶性フェノール樹脂中の軟化点、及びフェノール性水酸基同士の配置が重要であることを見出し、本発明の第一の態様を為すに至った。本発明の第一の態様は、下記の通りである。
【0011】
[1] 下記一般式(1):
−A−B−A−B−A−B−A−・・・B・・・A−B−A− (1)
{式中、Aは、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を有する炭素数6〜25の2価の有機基であり、該Aの結合手はフェノール性水酸基を有する芳香環に存在し、かつ該芳香環には水酸基以外の置換基が存在してもよく;Bは、フェノール性水酸基を有さない炭素数1〜15の2価の有機基であり;iは、1以上n以下の整数であり;そしてnは、2以上1,000以下の整数である。}で表される構造を有し、かつ分子力学法によって、該Bを挟んで向かい合う2つのA内のフェノール性水酸基中の酸素原子間の最短距離dを計算することにより得られる該dの平均値(Σd/n)が9オングストローム(Å)以上であり、かつ軟化点が100℃以上であることを特徴とするアルカリ可溶性フェノール樹脂;
感光剤;及び
溶剤
を含むアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物。
【0012】
[2] 前記アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を硬化することにより得られる硬化膜の伸度が15%以上である、[1]に記載のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物。
【0013】
[3] 前記dの平均値(Σd/n)は、10オングストローム(Å)以上である、[1]又は[2]に記載のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物。
【0014】
[4] 前記Bは、下記一般式(2):
−X−L−Y−M−Z− (2)
{式中、L及びMは、フェノール性水酸基を有さず、かつフェノール性水酸基以外の置換基を有していてもよい炭素数6〜10の2価の芳香族基であり、そしてX、Y及びZは、単結合、炭素数1〜2の脂肪族鎖、アミド基、カルボニル基、エステル基、ウレア基、ウレタン基、エーテル基及びチオエーテル基から成る群から選ばれる2価の基である。}
で表される、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物。
【0015】
[5] 前記Aは2〜3個のフェノール性水酸基を有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物。
【0016】
[6] 架橋剤をさらに含む、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物。
【0017】
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を基板に塗布する工程、該アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を露光する工程、露光したアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を現像してレリーフパターンを形成する工程、及び該レリーフパターンを加熱して硬化レリーフパターンを形成する工程を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
【0018】
[8] [7]に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有して成る半導体装置。
【0019】
また、本発明者らは、上記本発明の第二の態様における課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねた結果、ビフェニルジイル構造及びトリヒドロキシベンゼン構造の両者を有する樹脂を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明の第二の態様を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明の第二の態様は以下の通りのものである:
[1]下記一般式(1):
【化1】
{式中、R1は、下記一般式(2):
【化2】
(式中、Rは、メチル基又はエチル基であり、そして、pとqは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)で表されるビフェニルジイル基であり、Rは、水素、メチル基、及びエチル基から選ばれる基であり、そしてnは、2〜150の整数である。}で表されるビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【0021】
[2]前記一般式(1)が、下記一般式(3):
【化3】
{式中、R及びnは、前記一般式(1)で定義したものと同じである。}又は下記一般式(4):
【化4】
{式中、R及びnは、前記一般式(1)で定義したものと同じである。}で表される、前記[1]に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【0022】
[3]前記一般式(2)が下記式(5):
【化5】
で表される、前記[1]又は[2]に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【0023】
[4]前記式(5)が、下記式(6):
【化6】
で表される、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂。
【0024】
[5]以下の工程:
下記一般式(7):
【化7】
{式中、Rは、水素、メチル基、及びエチル基から選ばれる基である。}で表される化合物と、下記一般式(8):
【化8】
{式中、Rは、メチル基又はエチル基であり、pとqは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、そしてRは、ハロゲン原子、水酸基、及び炭素数1〜10の不飽和結合を有していてもよいアルコキシ基から成る群から選ばれる基である。}で表される化合物とを、5:1〜1:5のモル比で混合し、さらに触媒を加える工程、及び
60℃以上で1分〜48時間加熱する工程、
を含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂の製造方法。
【0025】
[6]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂又は前記[5]に記載のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン製造方法によって得られた樹脂、及び感光剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【0026】
[7]前記感光剤が光酸発生剤である、前記[6]に記載の感光性樹脂組成物。
【0027】
[8]前記感光剤がナフトキノンジアジド化合物である、前記[6]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【0028】
[9]以下の工程:
半導体基板上に、前記[6]〜[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を形成する工程、
該感光性樹脂層を活性光線で露光する工程、
該露光された感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを得る工程、及び
得られたレリーフパターンを加熱する工程
を含む、半導体装置の製造方法。
【0029】
[10]前記[9]に記載の製造方法により製造された半導体装置。
【発明の効果】
【0030】
本発明の第一の態様によれば、半導体装置の表面保護膜又は層間絶縁膜を形成するための熱硬化温度を比較的低い温度(例えば、250℃以下)にすることができる。また、本発明によれば、アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を硬化することにより得られる硬化膜の伸度を向上させることができる。さらに、本発明の第一の態様によれば、半導体装置に対し、熱による応力が掛かったときの、表面保護膜又は層間絶縁膜のクラックを減らして、それの信頼性を高めるだけでなく、それを有して成る半導体装置の信頼性を高めることもできる。
【0031】
本発明の第二の態様によれば、従来のフェノール樹脂では実現し得なかったリソグラフィー性と樹脂耐熱性を同時に満たし、かつ半導体装置に適用できる性能を兼ね備えたビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂、その製法、該樹脂を用いた組成物、さらに該組成物を用いた半導体装置の製法及び半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第一の態様において、参考例1におけるフェノール樹脂(P−1)の分子力学法による三次元構造式を示す図であり、斜線球体部は水素原子を表し、砂地球体部は酸素原子を表し、そして白色球体部は炭素原子を表す。
図2】本発明の第二の態様において、実施例1で合成した樹脂(P−11)のH−NMRの測定結果である。
図3】本発明の第二の態様において、実施例1で合成した樹脂(P−11)のIRスペクトルの測定結果である。
図4】本発明の第二の態様において、実施例2で合成した樹脂(P−12)のH−NMRの測定結果である。
図5】本発明の第二の態様において、実施例2で合成した樹脂(P−12)のIRスペクトルの測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、まず、本発明の第一の態様における、特定のアルカリ可溶性フェノール樹脂;感光剤;及び溶剤を含むアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物(以下、単に「第一の組成物」という)について説明する。
【0034】
<第一の組成物に用いられるアルカリ可溶性フェノール樹脂>
本発明の第一の態様における組成物に用いられるアルカリ可溶性フェノール樹脂は、その繰り返し単位にフェノール性水酸基を有する化合物を含む高分子化合物である。
【0035】
アルカリ可溶性フェノール樹脂は、下記一般式(1):
−A−B−A−B−A−B−A−・・・B・・・A−B−A− (1)
{式中、Aは、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を有する炭素数6〜25の2価の有機基であり、該Aの結合手はフェノール性水酸基を有する芳香環に存在し、かつ該芳香環には水酸基以外の置換基が存在してもよく;Bは、フェノール性水酸基を有さない炭素数1〜15の2価の有機基であり;iは、1以上n以下の整数であり;そしてnは、2以上1,000以下の整数である。}で表される構造を有し、かつ軟化点が100℃以上であることを特徴とする。また、上記一般式(1)において、nは、2以上1,000以下の整数、好ましくは5以上800以下の整数である。
【0036】
本発明の第一の態様に使用されるアルカリ可溶性フェノール樹脂は、Bを挟んで向かい合う2つのAにおいて、一方のAのフェノール性水酸基の酸素原子と他方のAのフェノール性水酸基の酸素原子との間の最も近い距離(以下、水酸基間距離又は最短距離dともいう)が、通常のアルカリ可溶性フェノール樹脂のそれと比して長い構造を有することが重要である。したがって、本発明の第一の態様に使用されるアルカリ可溶性フェノール樹脂は、分子力学法によって、Bを挟んで向かい合う2つのA内のフェノール性水酸基中の酸素原子間の最短距離dを計算することにより得られる該dの平均値(Σd/n)が9オングストローム(Å)以上であることを特徴とする。より詳細には、Bを挟んで向かい合う2つのAが、それぞれ単数又は複数のフェノール性水酸基を有する場合において、一方のAのフェノール性水酸基の酸素原子と、他方のAのフェノール性水酸基の酸素原子との間の最短距離dは、分子力学法によって算出され、そして最短距離dの平均値(Σd/n)は9Å以上である。
【0037】
水酸基間距離が長い構造を有するアルカリ可溶性フェノール樹脂、感光剤及び溶剤を含むアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を用いて膜を成型し、加熱硬化させたときに、優れた伸度を持つ硬化膜が得られる。この理由は定かではないが、硬化膜を形成したときに分子間で形成される水素結合の配置の粗密が伸度に大きく影響を与えると本発明者は考える。樹脂硬化膜が高い伸度を発揮するためには、硬化膜に外力がかかったときに分子が変形したり、分子鎖がずれたりして外力のエネルギーを吸収することが必要になるが、この時に、分子間の水素結合が密に存在していると、外力がかかったときの分子の変形量及び分子鎖のずれ量が小さくなり吸収できるエネルギーの大きさも小さくなってしまう。そのため、吸収しきれないエネルギーにより分子鎖の切断などが起こり、硬化膜としてクラックなどを生じてしまう。これに対し、アルカリ可溶性フェノール樹脂として水酸基間距離が大きい構造を有する樹脂を用いると、分子間の水素結合が密になり過ぎず、硬化膜が高い伸度を有することができ、結果として表面保護膜、層間絶縁膜として使用したときに、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0038】
アルカリ可溶性フェノール樹脂の中の水酸基間距離は、バイオラッドラボラトリーズ社製のSymApps(登録商標)で分子力学計算(分子力学法)のMM2法により3次元構造式を計算することにより求められる。アルカリ可溶性フェノール樹脂は上記方法で計算したときに、水酸基間距離が、9オングストローム以上であることが必要であり、好ましくは10オングストローム以上であり、11オングストローム以上であることがより好ましい。この距離の上限は、伸度とアルカリ溶解性の観点から20オングストローム以下であることが好ましい。したがって、上記最短距離dの平均値(Σd/n)は、9オングストローム(Å)以上、好ましくは10オングストローム以上、より好ましくは11オングストローム以上であり、また上記最短距離dの平均値(Σd/n)の上限値も20オングストローム以下であることが好ましい。A及びBがそれぞれ1種類の2価の有機基である場合には、A−B−Aにおける最短距離dが、最短距離dの平均値(Σd/n)そのものと等しい。なお、アルカリ可溶性フェノール樹脂が、Aとして複数の種類の2価の有機基を使用するか、及び/又はBとして複数の種類の2価の有機基を使用した共重合体である場合には、存在し得る結合に対しての距離を上記と同様に求め、その実際の存在割合から加重平均で算出する。例えば、Bとして2種類の化合物(各々B’,B’’とする)を使用したアルカリ可溶性フェノール樹脂の場合を考える。この時、A−B’−Aにおいて、水酸基間距離が5オングストロームであり、そしてA−B’’−Aにおいて、水酸基間距離が10オングストロームであるとすると、生成したアルカリ可溶性フェノール樹脂をNMR等で分析し、樹脂中に含まれるB’とB’’の比が8/2であった場合には、このアルカリ可溶性フェノール樹脂の水酸基間距離は6オングストロームである。2種以上のアルカリ可溶性フェノール樹脂を混合した場合は、それらの樹脂の混合比率から同様に求めることができる。
【0039】
本発明の第一の態様におけるアルカリ可溶性フェノール樹脂は更に軟化点が100℃以上であることが必須である。第一の組成物を膜状に成型してレリーフパターンを形成してから硬化膜とするときに、アルカリ可溶性フェノール樹脂の軟化点が100℃未満であると、形成したレリーフパターンの形状が崩れてしまう。軟化点はJIS K5601−2−2による環球法で測定することができる。軟化点は120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることが更に好ましい。軟化点は高いほど好ましいが、溶剤又はアルカリ現像液への溶解性から、その上限は300℃であることが好ましい。
【0040】
上記の条件を満たすアルカリ可溶性フェノール樹脂の具体的な例を以下に説明する。
アルカリ可溶性フェノール樹脂は、上記一般式(1)中のA部を与える化合物、例えばフェノール性水酸基を有する化合物に対して、上記一般式(1)中のB部を与える化合物、例えば、フェノール性水酸基を有さない、アルデヒド化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、又はジエン化合物を重合させて得ることができる。
また、フェノール性水酸基を有する、アルデヒド化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、又はジエン化合物を重合に用いることもできる。この場合、これらの化合物のうち、該化合物のフェノール性水酸基を有する芳香環と隣接するA部とを連結する部分をB部とし、その他の部分をA部とする。
その具体例としては2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、4,6−ビス(ヒドロキシメチル)−o―クレゾール、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)−m−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(p−ヒドロキシメチルベンジル)−p−クレゾール等が挙げられ、例えば2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールを用いたときにはp−クレゾール構造部をA部、2つのメチレン構造部をB部とみなし、2,6−ビス(p−ヒドロキシメチルベンジル)−p−クレゾールを用いた時にはp−クレゾール構造部分をA部、2つのp−キシリレン構造部をB部とみなす。
【0041】
上記一般式(1)中のA部を与える化合物として用いられるフェノール性水酸基を有する化合物の例としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、ベンジルオキシフェノール、キシレノール、カテコール、レゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ハイドロキノン、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、カフェイン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,6−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル、
【0042】
2,3−ジヒドロキシベンズアミド、2,4−ジヒドロキシベンズアミド、2,6−ジヒドロキシベンズアミド、3,4−ジヒドロキシベンズアミド、3,5−ジヒドロキシベンズアミド、4−ニトロカテコール、4−フルオロカテコール、4−クロロカテコール、4−ブロモカテコール、4−ニトロレゾルシノール、4−フルオロレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、4−ブロモレゾルシノール、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2’,3’−ジヒドロキシアセトフェノン、2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン、2’,6’−ジヒドロキシアセトフェノン、3’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン、3’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3−ジヒドロキシベンゾニトリル、2,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、2,6−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,5−ジヒドロキシベンゾニトリル、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、
【0043】
没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、2’,3’,4’−トリヒドロキシアセトフェノン、2’,4’,5’−トリヒドロキシアセトフェノン、2’,4’,6’−トリヒドロキシアセトフェノン、3’,4’,5’−トリヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、パラロゾール酸、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシベンゼン)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−ビフェニルイル)プロパンなどが挙げられる。
【0044】
また、上記一般式(1)中のA部を与える化合物としては、上記の化合物の中で、2〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物であることが好ましい。
【0045】
上記の化合物の中で、本発明の第一の態様がより好ましい効果を奏するために、好ましい化合物としては、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,6−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,3−ジヒドロキシベンズアミド、2,4−ジヒドロキシベンズアミド、2,6−ジヒドロキシベンズアミド、3,4−ジヒドロキシベンズアミド、3,5−ジヒドロキシベンズアミド、2,3−ジヒドロキシベンゾニトリル、2,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、2,6−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,5−ジヒドロキシベンゾニトリル、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、没食子酸メチル、没食子酸エチル、及び没食子酸プロピルが挙げられる。
【0046】
次に、上記一般式(1)中のB部を与える化合物の具体例を記載する。
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、トリオキサン、グリオキザール、シクロヘキシルアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、フマルアルデヒド酸メチル、3−メチル−2−ブテナール、グリオキシル酸、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、ナフトアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。
メチロール化合物としては、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、リビトール、アラビトール、アリトール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、1,3−プロパンジオール、2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、モノアセチン、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール、ペンタエリスリトール、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3,6−ビス(ヒドロキシメチル)デュレン、2−ニトロ−p−キシリレングリコール、1,10−ジヒドロキシデカン、1,12−ジヒドロキシドデカン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルフェニル、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルアニリド、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシメチルフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0047】
アルコキシメチル化合物としては、1,3−ジメトキシプロパン、1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、2,2−ビス(メトキシメチル)酪酸、2,2−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、2,3−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(メトキシメチル)アダマンタン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルフェニル、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルアニリド、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−メトキシメチルフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0048】
ジエン化合物としては、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、デカジエン、3−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ブタンジオール−ジメタクリラート、2,4−ヘキサジエン−1−オール、メチルシクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、1−ヒドロキシジシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジアリルスルフィド、アジピン酸ジアリル、2,5−ノルボルナジエン、テトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シュウ酸ジアリル、グルタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、シアヌル酸ジアリル、シアヌル酸ジアリルプロピル、イソシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリルプロピル等が挙げられる。
【0049】
上述したB部は、下記一般式(2):
−X−L−Y−M−Z− (2)
{式中、L及びMは、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を有さず、かつフェノール性水酸基以外の置換基は有していてもよい炭素数6〜10の2価の芳香族基であり、そしてX、Y及びZは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜2の脂肪族基、アミド基、カルボニル基、エステル基、ウレア基、ウレタン基、エーテル基及びチオエーテル基から成る群から選ばれる2価の基である。}
で表される構造が好ましい。
【0050】
本発明の第一の態様におけるアルカリ可溶性フェノール樹脂は、上述のフェノール性水酸基を有する化合物に対し、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、又はジエン化合物を、それぞれ脱水、脱アルコール、又は不飽和結合を開裂させながら重合させることにより樹脂化することができるが、その重合時に、酸性又はアルカリ性の触媒を用いてもよい。酸性の触媒としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、酢酸、シュウ酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、酢酸亜鉛、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等が挙げられる。一方で、アルカリ性の触媒としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0051】
本発明の第一の態様におけるアルカリ可溶性フェノール樹脂の重量平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、3,000以上がより好ましく、4,000以上が最も好ましい。
【0052】
重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により算出する。
【0053】
<第一の組成物に用いられる感光剤>
第一の組成物には、感光剤が必須成分として含まれる。感光剤の種類を選択することにより、第一の組成物をポジ型にも、ネガ型にもすることができる。アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物をポジ型にする場合は、感光剤として光酸発生剤を選ぶことが必要である。ネガ型にする場合には光酸発生剤、又は光塩基発生剤を使用し、後述する架橋剤が必要となる。光酸発生剤としてはナフトキノンジアジド(NQD)化合物、オニウム塩、ハロゲン含有化合物等を用いることができるが、溶剤溶解性及び保存安定性の観点から、後述のNQD化合物が好ましい。
【0054】
上記オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられ、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、及びトリアルキルスルホニウム塩から成る群から選ばれるオニウム塩が好ましい。
【0055】
上記ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等が挙げられ、トリクロロメチルトリアジンが好ましい。
【0056】
上記ナフトキノンジアジド化合物としては、1,2−ベンゾキノンジアジド構造又は1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物が挙げられ、これらは例えば米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、及び米国特許第3,669,658号明細書等に記述されている。該ナフトキノンジアジド構造は、以下に詳述する特定構造を有するポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルから成る群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「NQD化合物」ともいう。)である。
【0057】
該NQD化合物は、常法に従って、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物を、クロルスルホン酸又は塩化チオニルでスルホニルクロライドとし、得られたナフトキノンジアジドスルホニルクロライドと、ポリヒドロキシ化合物とを縮合反応させることにより得られる。例えば、ポリヒドロキシ化合物と、所定量の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリドとを、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン等の溶媒中において、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下で反応させてエステル化を行い、得られた生成物を水洗、乾燥することによりNQD化合物を得ることができる。
【0058】
好ましいNQD化合物の例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【化9】
{式中、Qは水素原子または下記:
【化10】
のナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であり、すべてのQが同時に水素原子であることはない。}
【0059】
また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基及び5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
【0060】
本発明の第一の態様において、アルカリ可溶性フェノール樹脂100質量部に対する感光剤の配合量は、1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。感光剤の上記配合量が1質量部以上である場合、樹脂のパターニング性が良好であり、50質量部以下である場合、硬化後の膜の引張り伸び率が良好であり、かつ露光部の現像残さ(スカム)が少ない。
【0061】
光塩基発生剤としては、オキシム型、カルバメート化合物、4級アンモニウム塩、アミンイミド化合物等が挙げられ、カルバメート化合物が好ましい。
【0062】
<第一の組成物に用いられる溶剤>
第一の組成物に用いられる溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等が挙げられ、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。これらの中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
【0063】
本発明のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物において、溶剤の添加量は、アルカリ可溶性フェノール樹脂100質量部に対して100〜1000質量部であり、好ましくは120〜700質量部であり、さらに好ましくは150〜500質量部の範囲である。
【0064】
<第一の組成物に用いられる架橋剤>
本発明の第一の態様におけるアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物には架橋剤がさらに含有されていることが好ましい。
【0065】
本発明の第一の態様で使用される架橋剤としては、下記1)〜10):
1)エポキシ化合物、例えば、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリグリシジル、エピクロン830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(商品名、DIC社製)、デナコールEX−201、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(商品名、ナガセケムテックス社製)、
【0066】
2)オキセタン化合物、例えば、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン―イル)メトキシ]メチル}オキセタン、
【0067】
3)オキサゾリン化合物、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、エポクロスK−2010E、K−2020E、K−2030E、WS−500、WS−700、RPS−1005(商品名、日本触媒社製)、
【0068】
4)カルボジイミド化合物、例えば、カルボジライトSV−02、V−01、V−02、V−03、V−04、V−05、V−07、V−09、E−01、E−02、LA−1(商品名、日清紡ケミカル社製)、
【0069】
5)アルデヒド及びアルデヒド変性体、例えば、アルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、
【0070】
6)イソシアネート化合物、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート500、600、コスモネートNBDI、ND(商品名、三井化学社製)デュラネート17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(商品名、旭化成ケミカル社製)、
【0071】
7)金属キレート剤、例えば、アセチルアセトンアルミニウム(III)塩、アセチルアセトンチタン(IV)塩、アセチルアセトンクロム(III)塩、アセチルアセトンマグネシウム(II)塩、アセチルアセトンニッケル(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンアルミニウム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンチタン(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンクロム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンマグネシウム(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンニッケル(II)塩、
【0072】
8)N−メチロール化合物、例えば、ニカラックMW−30MH、MW−100LH、BL−60、MX−270、MX−280、MX−290(商品名、三和ケミカル社製)、サイメル300、303、1123、マイコート102、105(商品名、日本サイテック社製)、
【0073】
9)C−メチロール化合物、例えば、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、
【0074】
10)不飽和結合含有化合物、例えば、酢酸ビニル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリルエステル、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、NKエステル1G、2G、3G、4G、9G、14G、NPG、BPE−100、BPE−200、BPE−500、BPE−1400、A−200、A−400、A−600、TMPT、A−TMM−3(商品名、新中村化学工業社製)、BANI−M、BANI−X(商品名、丸善石油化学株式会社製)
で表される架橋剤が挙げられる。
【0075】
上述の架橋剤の中でも、得られた熱硬化膜の伸度及び耐熱性の観点から、エピクロン830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000、デナコールEX−201、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン―イル)メトキシ]メチル}オキセタン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、ニカラックMW−30MH、MW−100LH、BL−60、MX−270、MX−280、MX−290、サイメル300、303、1123、マイコート102、105、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、酢酸ビニル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリルエステル、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、BANI−M、及びBANI−Xが好ましい。
【0076】
架橋剤を使用する場合の架橋剤の配合量としては、アルカリ可溶性フェノール樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0077】
<第一の組成物に用いられるその他の添加剤>
本発明の第一の組成物には、必要に応じて、染料、界面活性剤、基板との密着性を高めるための接着助剤、溶解促進剤、架橋促進剤等を含有させることが可能である。
【0078】
上記染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が挙げられる。染料の配合量としては、アルカリ可溶性フェノール樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0079】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類又はその誘導体から成る非イオン系界面活性剤の他、例えばフロラード(登録商標、商品名、住友3M社製)、メガファック(登録商標、商品名、大日本インキ化学工業社製)、ルミフロン(登録商標、商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。
【0080】
界面活性剤を使用する場合の界面活性剤の配合量としては、アルカリ可溶性フェノール樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
【0081】
上記接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、及び各種アルコキシシランが挙げられる。
【0082】
アルコキシシランの好ましい例としては、例えば、テトラアルコキシシラン、ビス(トリアルコキシシリル)メタン、ビス(トリアルコキシシリル)エタン、ビス(トリアルコキシシリル)エチレン、ビス(トリアルコキシシリル)ヘキサン、ビス(トリアルコキシシリル)オクタン、ビス(トリアルコキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリアルコキシシリル)プロピル]ジスルフィド、N−フェニル−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、2−(トリアルコキシシリルエチル)ピリジン、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、ビニルトリアルコキシシラン、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリアルコキシシラン、3−(トリアルコキシシリル)プロピルコハク酸無水物、N−(3−トリアルコキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン及び3−アミノプロピルジアルコキシアルキルシラン並びに酸無水物又は酸二無水物の反応物、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン又は3−アミノプロピルジアルコキシアルキルシランのアミノ基をウレタン基又はウレア基に変換したもの等を挙げることができる。なお、上記した化合物中のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、酸無水物としてはマレイン酸無水物、フタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられ、酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられ、ウレタン基としてはt−ブトキシカルボニルアミノ基等が挙げられ、ウレア基としてはフェニルアミノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0083】
接着助剤を使用する場合の接着助剤の配合量としては、アルカリ可溶性フェノール樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0084】
上記溶解促進剤としては、水酸基又はカルボキシル基を有する化合物が好ましい。水酸基を有する化合物の例としては、前述のナフトキノンジアジド化合物に使用しているバラスト剤、並びにパラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、及びMtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA等の非直鎖状フェノール化合物(全て本州化学工業社製)、ジフェニルメタンの2〜5個のフェノール置換体、3,3−ジフェニルプロパンの1〜5個のフェノール置換体、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物との1対2反応物、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物との1対2反応物、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド等が挙げられる。
【0085】
カルボキシル基を有する化合物の例としては、3−フェニル乳酸、4−ヒドロキシフェニル乳酸、4−ヒドロキシマンデル酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸、2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオン酸、マンデル酸、アトロラクチン酸、アセチルマンデル酸(例えば、O−アセチルマンデル酸など)、α−メトキシフェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸等を挙げることができる。
【0086】
溶解促進剤を使用する場合の溶解促進剤の配合量としては、アルカリ可溶性フェノール樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0087】
上記架橋促進剤としては、熱または光により酸、塩基、ラジカルを発生するものが好ましい。熱又は光により酸を発生するものとしては、TPS−105、1000、DTS−105、NDS−105、165(商品名、みどり化学社製)、DPI−DMAS、TTBPS−TF、TPS−TF、DTBPI−TF(商品名、東洋合成社製)等のオニウム塩、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸メトキシエチルなどのスルホン酸エステル、NAI−100、101、105、106、PAI−101(商品名、みどり化学社製)、イルガキュアPAG−103、108、121、203、CGI−1380、725、NIT、1907、PNBT(商品名、BASFジャパン社製)等のオキシムスルホネート等を挙げることができる。熱又は光により塩基を発生するものとしては、U−CATSA−1、102、506、603、810(商品名、サンアプロ社製)、CGI−1237、1290、1293(商品名、BASFジャパン社製)等のアミン塩、2,6−ピペリジン又はブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ヘキサメチレンジアミンなどのアミノ基をウレタン基又はウレア基に変換したものなどが挙げられる。ウレタン基としてはt−ブトキシカルボニルアミノ基等が挙げられ、ウレア基としてはフェニルアミノカルボニルアミノ基等が挙げられる。熱又は光によりラジカルを発生するものとしては、イルガキュア651、184、2959、127、907、369、379(商品名、BASFジャパン社製)等のアルキルフェノン、イルガキュア819(商品名、BASFジャパン社製)等のアシルフォスフィンオキサイド、イルガキュア784(商品名、BASFジャパン社製)等のチタノセン、イルガキュアOXE01、02(商品名、BASFジャパン社製)等のオキシムエステル等を挙げることができる。
【0088】
<第一の態様におけるアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物の硬化膜>
本発明の第一の態様におけるアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を下記で説明される方法に従って硬化することにより得られる硬化膜の伸度は、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。その理由として、本発明のアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を硬化させて、表面保護膜や層間絶縁膜として使用した際に、熱による応力がかかってもクラックを生じにくくし、それの信頼性を高めるだけでなく、それを有してなる半導体装置の信頼性を高めることもできることが挙げられる。伸度の上限値は数値が大きいほど好ましいが、例えば100%である。
【0089】
伸度の測定方法は、以下の通りである。
アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレート上において該シリコンウエハー及びスピンコート膜を100℃で3分間加熱して、窒素雰囲気下において該スピンコート膜を250℃で1時間硬化して厚さ10μmの硬化物を得る。この硬化物を3mm幅でダイシングソーにより切断して、23質量%フッ酸水溶液で処理することによりシリコンウエハーを剥離して、さらに温度23℃・湿度50%の雰囲気に24時間以上静置して、20本のサンプルを得て、引っ張り試験機(例えば、テンシロン(登録商標、オリンテック社製))にて各サンプルの引っ張り伸度を測定し、20本のサンプルの結果のうち、上位5点のサンプルの平均値を得る。引っ張り試験機の測定条件は以下の通りとする。
温度:23℃
湿度:50%
初期試料長さ:50mm
試験速度:40mm/min.
ロードセル定格:2kgf
【0090】
<第一の態様における硬化レリーフパターンの形成方法>
本発明の第一の態様におけるアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を用いて基板上に硬化レリーフパターンを形成する方法の一例を以下に示す。
【0091】
まず感光剤を含有する組成物を適当な支持体又は基板、例えばシリコンウエハー、セラミック、アルミ基板などに塗布する。この時、形成するパターンと支持体との耐水接着性を確保するため、あらかじめ支持体又は基板にシランカップリング剤などの接着助剤を塗布しておいてもよい。該組成物の塗布方法はスピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等で行う。次に、80〜140℃でプリベークして塗膜を乾燥後、アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を露光する。露光する化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線などが使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。パターンの解像度及び取り扱い性の点で、その光源波長は水銀ランプのg線、h線またはi線が好ましく、単独でも混合していてもよい。露光装置としてはコンタクトアライナー、ミラープロジェクション、及びステッパーが特に好ましい。
【0092】
次に現像が行われるが、浸漬法、パドル法、回転スプレー法等の方法から選択して行うことができる。現像により、塗布されたアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物から、露光部又は未露光部を溶出除去され、レリーフパターンを得ることができる。現像液としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩類等の水溶液、および必要に応じてメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤又は界面活性剤を適当量添加した水溶液を使用することができる。これらの中で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましく、その濃度は、好ましくは、0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは、1.0〜5.0質量%である。
【0093】
現像後、リンス液により洗浄を行い現像液を除去することにより、レリーフパターンを得ることができる。リンス液としては、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を単独または組み合わせて用いることができる。
【0094】
最後に、このようにして得られたレリーフパターンを加熱することで硬化レリーフパターンを得ることができる。加熱温度は150℃以上280℃以下が好ましい。
【0095】
一般的に使われているポリイミドまたはポリベンゾオキサゾール前駆体組成物を用いた硬化レリーフパターンの形成方法においては、300℃以上に加熱して脱水環化反応を進行させることにより、ポリイミド又はポリベンズオキサゾール等に変換する必要があるが、本発明の第一の態様における硬化レリーフパターンの製造方法においてはその必要性がないので、熱に弱い半導体装置等にも好適に使用することが出来る。一例を挙げるならば、プロセス温度に制約のある高誘電体材料又は強誘電体材料、例えばチタン、タンタル、またはハフニウムなどの高融点金属の酸化物から成る絶縁層を有する半導体装置に好適に用いられる。
【0096】
半導体装置がこのような耐熱性上の制約を持たない場合であれば、もちろん、本発明の第一の態様における方法においても300〜400℃に加熱処理をしてもよい。このような加熱処理は、ホットプレート、オーブン、または温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いることにより行うことが出来る。加熱処理を行うときの雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。また、より低温にて熱処理を行う必要が有るときには、真空ポンプ等を利用して減圧下にて加熱を行ってもよい。
【0097】
<第一の態様における半導体装置>
また、本発明の第一の態様におけるアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物を用いて製造した硬化レリーフパターンを有して成る半導体装置も本発明の一態様である。本発明の半導体装置は、上述の硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する装置の保護膜として、既知の半導体装置の製造方法と組み合わせることで製造することができる。
【0098】
以下、本発明の第二の態様を詳細に説明する。
【0099】
<ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂の合成方法>
主鎖にビフェニルジイル構造を有するトリヒドロキシベンゼン樹脂(以下、単に「ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂」ともいう。)は、トリヒドロキシベンゼン構造及びビフェニルジイル構造を有する繰り返し単位を含むポリマーである。本発明に係るビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂は、特定のトリヒドロキシベンゼン化合物とビフェニルジイル基を有する化合物から合成される。
【0100】
前記したように、本発明に係るビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂は、下記一般式(1):
【化11】
{式中、R1は、下記一般式(2):
【化12】
(式中、Rは、メチル基又はエチル基であり、そして、pとqは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)で表されるビフェニルジイル基であり、Rは、水素、メチル基、及びエチル基から選ばれる基であり、そしてnは、2〜150の整数である。}で表される。トリヒドロキシベンゼン構造とビフェニルジイル構造とは任意の順で結合していてもよい。トリヒドロキシベンゼン構造とビフェニルジイル構造とは、メチレン基を介して結合していることがアルカリ溶解性の観点から好ましい。
【0101】
中でも、前記一般式(1)が、下記一般式(3):
【化13】
{式中、R及びnは、前記一般式(1)で定義したものと同じである。}又は下記一般式(4):
【化14】
{式中、R及びnは、前記一般式(1)で定義したものと同じである。}で表される、ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂であることが、本発明の第二の態様の効果をより発揮する観点から好ましい。
【0102】
また、前記一般式(2)が下記式(5):
【化15】
で表される、ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂であることも、本発明の第二の態様の効果をより発揮する観点から好ましい。
【0103】
さらに、前記式(5)が、下記式(6):
【化16】
で表されるビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂であることが好ましい。
【0104】
本発明の第二の態様におけるビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂の製造方法としては、例えば、ビフェニルジイル構造を有する化合物(以下、単に「ビフェニルジイル化合物」ともいう。)とトリヒドロキシベンゼン類化合物との縮合反応が挙げられる。 具体的には、以下の工程:
下記一般式(7):
【化17】
{式中、Rは、水素、メチル基、及びエチル基から選ばれる基である。}で表される化合物と、下記一般式(8):
【化18】
{式中、Rは、メチル基又はエチル基であり、pとqは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、そしてRは、ハロゲン原子、水酸基、及び炭素数1〜10の不飽和結合を有していてもよいアルコキシ基から成る群から選ばれる基である。}で表される化合物とを、5:1〜1:5のモル比で混合し、さらに触媒を加える工程、及び
60℃以上で1分〜48時間加熱する工程、
を含む製造方法によりビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂を製造することができる。
【0105】
トリヒドロキシベンゼン類化合物としては、ベンゼン環に水酸基以外の置換基としてメチル基、エチル基を有してもよい。トリヒドロキシベンゼン類化合物の好ましい例としては、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(フロログルシノール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。中でも、現像性の観点から、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンであることが好ましい。これらは単独でも用いても混合して用いてもよい。
【0106】
トリヒドロキシベンゼン類化合物との縮合可能なビフェニルジイル化合物としては、例えば、4,4´−ビスクロロメチルビフェニル、4,4’-ビフェニルジメタノール、4,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニルなどが挙げられる。この他にもメチル基、エチル基といった置換基を有するものを採用し得る。ビフェニルジイル化合物の具体例として4,4’−構造を挙げたが、例えば、2,2’−、2,3’−、3,4’−等、他の置換構造を有する化合物であってもよい。中でも耐熱性の観点からは、4,4’−置換のビフェニルジイル化合物が好ましい。これらのビフェニルジイル化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせで用いてもよい。
【0107】
ビフェニルジイル化合物とトリヒドロキシベンゼン類化合物との縮合反応は、トリヒドロキシベンゼン類化合物とビフェニルジイル化合物をモル比で5:1〜1:5、好ましくは5:1〜1.01:1、より好ましくは2.5:1〜1.1:1の比で混合し、触媒を加えて60℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上で加熱することによって進行する。酸性の触媒としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、酢酸、シュウ酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、酢酸亜鉛、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等が挙げられる。一方、アルカリ性の触媒としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0108】
また、上記縮合反応においては、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ―ブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの溶媒を使用してもよい。
【0109】
ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂の重量平均分子量は1,500〜200,000が好ましく、1,500〜100,000がより好ましく、2,000〜50,000がさらに好ましい。
【0110】
<本発明の第二の態様における感光性樹脂組成物>
ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂を含む感光性樹脂組成物は、紫外線、電子線、X 線をはじめとする放射線に感応して樹脂パターンを形成できる組成物であれば、特に限定されるものではなく、ネガ型、ポジ型のいずれの感光性組成物であってもよい。
【0111】
感光性樹脂組成物がネガ型の感光性組成物として使用される場合、感光剤は光酸発生剤であることが好ましい。光酸発生剤は、放射線照射を受けて酸を発生し、発生した酸は、上記ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂と後述する架橋剤との架橋反応を引き起こすことができる。このような化合物としては、例えば、トリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾメタン化合物を挙げることができる。
【0112】
中でも、オキシムエステル化合物が好ましく、具体的には、2−[2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「イルガキュアPAG121」)、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「イルガキュアPAG103」)、[2−(n−オクタンスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「イルガキュアPAG108」)、α−(n−オクタンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「CGI725」)等を挙げることができる。
【0113】
感光性樹脂組成物はポジ型の感光性組成物として使用することも可能である。この場合、感光剤としては光酸発生剤であることが好ましく、光酸発生剤は、ナフトキノンジアジド誘導体を含むことが好ましい。前記ナフトキノンジアジド誘導体としては、1,2−ベンゾキノンジアジド構造又は1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物が挙げられ、これらの化合物は、例えば、米国特許第2,772,972号明細書、同第2,797,213号明細書、同第3,669,658号明細書等により公知である。該ナフトキノンジアジド誘導体は、以下詳述する特定構造を有するポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルから成る群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「NQD化合物」ともいう。)である。
【0114】
感度及び伸度等硬化膜物性の観点から、好ましいNQD化合物の例としては、例えば、下記のものが挙げられる:
【化19】
{式中、Qは、水素原子又は下記:
【化20】
で表されるナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であり、全てのQが同時に水素原子であることはない。}。
【0115】
また、NQD化合物として、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基及び5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用したナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
【0116】
感光性樹脂組成物中の、感光剤の添加量は、ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。この添加量が1質量部以上であると、放射線照射により発生する酸の量が十分となり、感度が向上し、この添加量が50質量部以下であれば、硬化後の機械物性が良好となる。
【0117】
また、感光性樹脂組成物には、架橋剤を添加することで、塗膜を加熱硬化する際に、機械物性、耐熱性、耐薬品性などの膜性能を強化することもできる。膜性能を十分に強化するためには、架橋剤は、好ましくは、エポキシ基、オキセタン基、−N−(CH−OR)基{式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。}、及び−C−(CH−OR)基{式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基である。}から成る群から選ばれる少なくとも2つの基を有する化合物である。具体的には、本発明の第一の態様で述べた架橋剤を用いることができる。
架橋剤を添加する場合の添加量は、ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂100質量部に対して、1〜60質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましい。
【0118】
また、ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂を含有する感光性樹脂組成物は、これらの成分を溶剤に溶解したワニス状の形態をとる。ここで用いる溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等が挙げられ、中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコールが好ましく、これらは単独でも混合して用いてもよい。溶剤の使用量は、得られる膜厚によって異なり、ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂100質量部に対して、70〜1900質量部の範囲で用いられる。
【0119】
本発明の第二の態様におけるビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂を含有する感光性樹脂組成物は、次のようにして使用できる。まず、該組成物を、適当な基板、例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等にスピナーを用いた回転塗布やロールコーターにより塗布する。これをオーブンやホットプレートを用いて50〜140℃で10秒〜1時間乾燥し、マスクを介して、コンタクトアライナーやステッパーを用いて化学線の照射を行う(露光工程)。次に照射部を現像液で溶解除去し、引き続きリンス液によるリンスを行うことで所望のレリーフパターンを得る(現像工程)。現像方法としてはスプレー、パドル、ディップ、超音波等の方式が可能である。リンス液は蒸留水、脱イオン水等が使用できる。得られたレリーフパターンを160〜380℃で10秒〜2時間、加熱処理して、耐熱性被膜を形成することができる(加熱工程)。
【0120】
上記感光性樹脂組成物は半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜としても有用である。半導体用途の具体的な好ましい例は、半導体表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜などである。
【実施例】
【0121】
以下、参考例、実施例及び比較例により本発明の第一の態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0122】
なお、実施例中の測定条件は以下に示すとおりである。
<重量平均分子量(Mw)>
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン(昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105)換算で算出した。使用したGPC装置及び測定条件は以下の通りである。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l EtBr/N−メチルピロリドン
流速:1ml/min.
【0123】
<水酸基間距離(最短距離d)>
まず、バイオラッドラボラトリーズ社製のChemWindow(登録商標)でアルカリ可溶性フェノール樹脂のA−B−Aの化学構造式を描く。
【0124】
この時、Aとなる(A部を与える)フェノール性水酸基を有する化合物と、Bとなる(B部を与える)化合物とが結合するときの結合位置が複数あった場合でも、そのうちの1つしか結合しないとする。その場合の結合位置は、Bを挟んで向かい合う2つのAが、それぞれ1つのフェノール性水酸基を有する場合には、フェノール性水酸基の2,6−位が最優先され、その両方が水素原子以外の置換基でふさがれている場合は4−位と結合するとする。2,6−位の両方ともが結合しうる場合は、隣接する3,5−位の置換基の嵩高さが小さい方が優先するとする。例えば、Aがm−クレゾールであった場合には6−位と結合するとする。また、Bを挟んで向かい合う2つのAが、それぞれ2つのフェノール性水酸基を有する場合には、カテコール類であれば、3,6−位が最優先され、その次の優先順位として4,5−位が、レゾルシノール類であれば、2−位が最優先され、その次の優先順位として4,6−位が、ハイドロキノン類であれば、2,6−位が最優先され、その次の優先順位として3,5−位が結合するとするが、この場合もフェノール性水酸基が1つの場合と同様に隣接する置換基の嵩高さを考えながら結合位置は決定される。また、Bを挟んで向かい合う2つのAが、それぞれ3つのフェノール性水酸基を有する場合には、ピロガロール類であれば、隣接する置換基の嵩高さを考えながら4,6−位から選択され、そのどちらにも水素原子以外の置換基がある場合には5−位が結合し、フロログルシノール類であれば、2,4,6−位のうち置換基のない位置が、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン類であれば、3−位が、3−位に置換基がある場合は5−位が、5−位にも置換基があれば6−位が結合するとする。以上の置換位置はフェノール性水酸基の位置を1−位とし、A内のフェノール性水酸基が2つ以上で複数の置換位置の指定法が考えられる場合は、全てのフェノール性水酸基の置換位置ができるだけ小さい数字になるように決定される他はIUPACの命名法に従う。
【0125】
次に、ChemWindow(登録商標)で作図したアルカリ可溶性フェノール樹脂の構造式をバイオラッドラボラトリーズ社製のSymApps(登録商標)にコピーし、3次元構造式を計算した後に、Aの水酸基のうち、最も距離が近い組を選択して酸素原子間の距離を表示させることにより、水酸基間距離(最短距離d)を求める。また、Aとして複数の種類の2価の有機基を使用するか、及び/又はBとして複数の種類の2価の有機基を使用した共重合体である場合には、それらの加重平均値を求める。
【0126】
アルカリ可溶性フェノール樹脂を混合した場合は、各々について、上記計算をした後、混合比に応じてその加重平均を取る。
【0127】
<軟化点>
JIS K5601−2−2に従って、ASP−M2SP(明峰社製作所社製)を使用し、熱媒としてグリセリンを用いて、環球法にて測定した。170℃まで昇温しても軟化しなかったサンプルは、>170℃と記載した。
【0128】
<本発明の第一の態様における参考例1>
容量0.5Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスラスコ中で、カテコール66.1g(0.6mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル72.7g(0.3mol)、ジエチル硫酸2.1g(0.15mol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル27gを70℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0129】
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を2時間攪拌した。
【0130】
次に反応容器を大気中で冷却し、これに別途テトラヒドロフラン100gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を4Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、フェノール樹脂(P−1)を収率73%で得た。P−1のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で4,100であった。
P−1について、バイオラッドラボラトリーズ社製のSymApps(登録商標)で行った、分子力学計算(分子力学法)のMM2法による3次元構造式を図1に示す。図1において、斜線球体部は水素原子を表し、砂地球体部は酸素原子を表し、そして白色球体部は炭素原子を表す。
【0131】
<本発明の第一の態様における参考例2>
上述した参考例1のカテコールの代わりに、ピロガロール56.7g(0.45mol)を用いて、参考例1と同様に合成を行い、フェノール樹脂(P−2)を収率77%で得た。P−2のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で7,700であった。
【0132】
<本発明の第一の態様における参考例3>
参考例1のカテコールの代わりに、フロログルシノール56.7g(0.45mol)を、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル72.7g(0.3mol)の代わりに2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン56.5g(0.3mol)を用いて、参考例1と同様に合成を行い、フェノール樹脂(P−3)を収率65%で得た。P−3のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で5,600であった。
【0133】
<本発明の第一の態様における参考例4>
参考例1の4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル72.7g(0.3mol)の代わりに、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル36.3g(0.15mol)と1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン24.9g(0.15mol)を用いて、参考例1と同様に合成を行い、フェノール樹脂(P−4)を収率70%で得た。P−4のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で7,600であり、1H−NMRにより4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル由来のビフェニルジイルユニットと1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン由来のキシリレンユニットの導入割合は43/57であった。これは、1H−NMRの7〜8ppmの領域で、カテコール以外の芳香族の水素原子のピークが現れる領域においての全積分値に対するビフェニルジイル基の2,2’、6,6’位の水素原子のピークである7.6ppmの積分値から読み取ることにより算出した。従って、P−4における水酸基間距離は、以下のように計算される。
(ピロガロール−メチレン−ビフェニルジイル−メチレン−ピロガロール)ユニット:11.346オングストローム
(ピロガロール−キシリレン−ピロガロール)ユニット:8.339オングストローム
P−4:11.346×0.43+8.339×0.57=9.632オングストローム
【0134】
<アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物の調製>
フェノール樹脂100質量部、架橋剤20質量部、感光剤12質量部をγ−ブチロラクトン122質量部に溶解して均一溶液とした後、孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過して、表1で示されるアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物溶液を調製した。
【0135】
フェノール樹脂としては上述した参考例1〜3で合成したP−1〜3、又は以下に示すものを用いた。
EP4080G(クレゾールノボラック樹脂、商品名、旭有機材工業社製)
HF−4M(フェノールノボラック樹脂、商品名、明和化成社製)
MEH−7851−S(フェノール−ビフェニルジイル樹脂、商品名、明和化成社製)
架橋剤としては以下のものを用いた。
MX−270(ニカラックMX−270、商品名、三和ケミカル社製)
【0136】
感光剤としては以下のものを用いた。
TPPA{以下:
【化21】
(式中、Qのうち83%が下記構造:
【化22】
であり、残りが水素原子である。)に構造を示す。}
【0137】
表1の中の評価項目は、以下のように試験を行った。
<伸度>
上述の測定方法に従い、万能試験機テンシロンUTM−II−20(オリエンテック社製)にて測定した。
【0138】
<サーマルサイクル(TC)試験>
アルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物をクリーントラック−Mark8(東京エレクトロン社製)により、6インチシリコンウエハー上にスピンコートし、120℃のホットプレートで3分間加熱して、厚み10μmの膜を得た。膜厚は膜厚測定装置ラムダエース(大日本スクリーン製造社製)にて測定した。この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通して、i線(365nm)の露光波長を有するステッパーNSR2005i8A(ニコン社製)を用いて露光量を段階的に変化させてi線を照射することにより露光した。次に、クリーントラック−Mark8にて23℃で2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液AZ−300MIF(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を用いて200秒間現像し、純水でリンスした後、縦型キュア炉VF200B(光洋サーモシステム社製)にて窒素雰囲気下で250℃で1時間硬化を行い、硬化レリーフパターンを得た。この段階で50μm四方のレリーフパターンのサイズが現像後の時点と10%以上異なる場合は、表1のTC試験の欄に−と記載した。得られたレリーフパターンをサーマルサイクルチャンバーTSE−11(エスペック社製)を使用して、−65℃〜135℃で30分ずつ、1000サイクルの試験を行った後、膜表面を光学顕微鏡で観察した。膜にクラックがないものをA、あるものをBとした。
【0139】
【表1】
【0140】
表1の結果から明らかなように、軟化点が100℃以上で水酸基間距離(最短距離d)が9オングストロームを超えるものは、設計どおりのレリーフパターンが得られ、TC試験でクラックが生じず、信頼性の高い硬化膜を形成することができる。
【0141】
以下、実施例により本発明の第二の態様を具体的に説明する。
以下の実施例において使用した測定方法を以下に示す。
(1)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)測定
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex KD−806M(直列に2本)
容離液:NMP(0.01mol/L、LiBr) 40℃
流速:1.0ml/分
検出器:JASCO RI−930
【0142】
(2)H−NMR測定
装置:日本電子株式会社製 ECS400
溶媒:ISOTEC 重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)
測定温度:25℃
【0143】
(3)赤外線吸収(IR)スペクトル測定
装置:Thermo Scientific社製 AVATAR 360 FT−IR
測定方法:透過法(KBr錠剤)
【0144】
[本発明の第二の態様における実施例1]
<ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂(P−11)の合成>
容量0.5リットルのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスラスコ中で、ピロガロール50.4g(0.4mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル72.7g(0.3mol)、ジエチル硫酸2.1g(0.15mol)、DMDG27gを70℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を2時間攪拌した。
次に反応容器を大気中で冷却し、これに別途テトラヒドロフラン100gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を4Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、以下に示す構造:
【化23】
を持つビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂(P−11)を収率70%で得た。
このようにして合成された樹脂(P−11)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で11,000であった。図2に、樹脂(P−11)のH−NMRの測定結果を示す。図2中、H−NMRシグナルピーク:3.8ppm(m)、6.0〜6.5ppm(m)、7.0〜7.2ppm(br)、7.5ppm(br)、8.2ppm(t)、8.8ppm(s)であった。また、図3に、樹脂(P−11)のIRスペクトルを示す。
【0145】
[本発明の第二の態様における実施例2]
<ビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂(P−12)の合成>
実施例1のピロガロールの代わりに、フロログルシノール50.4g(0.4mol)を用いて、実施例1と同様に合成を行い、以下に示す構造:
【化24】
を持つビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂(P−12)を収率70%で得た。
このようにして合成された樹脂(P−12)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で32,000であった。
図4に、樹脂(P−12)のH−NMRの測定結果を示す。図4中、H−NMRシグナルピーク:3.6〜4.0ppm(m)、5.8〜6.2ppm(m)、7.3ppm(d−d)、8.1ppm(br)、8.9〜9.2ppm(m)であった。また、図5に、樹脂(P−12)のIRスペクトルを示す。
【0146】
[本発明の第二の態様における実施例3]
<感光性樹脂組成物の調製、及びその評価>
実施例1で得た樹脂(P−11):100質量部、下記構造:
【化25】
を持つ架橋剤MX−270(商品名ニカラックMX−270、三和ケミカル社製):20質量部、下記構造:
【化26】
{式中、Qの内83%が以下の構造:
【化27】
であり、残余が水素原子である。}を持つ感光剤(C-1):12質量部を、GBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過して感光性樹脂組成物を調製し、そのリソグラフィー性・耐熱性を評価した。評価結果を以下の表2に示す。
【0147】
[本発明の第二の態様における実施例4]
実施例3において樹脂P−11を実施例2で得た樹脂(P−12)に替えた以外は実施例3と同様に感光性樹脂組成物を調製し、そのリソグラフィー性・耐熱性を評価した。評価結果を以下の表2に示す。
【0148】
[本発明の第二の態様における比較例1]
実施例3において、樹脂P−11を、下記樹脂(P−13)に替えた以外は実施例3と同様に感光性樹脂組成物を調製し、そのリソグラフィー性・耐熱性を評価した。評価結果を以下の表2に示す。
樹脂P−13:MEH−7851−4H(ビフェニルジイルフェノール樹脂、明和化成社製)
【化28】
樹脂P−13のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で11,000であった。
【0149】
<リソグラフィー性評価>
実施例3、実施例4、及び比較例1で得た感光性樹脂組成物を、東京エレクトロン社製スピンコーター(CLEANTRACK MK−8)にて、6インチシリコンウエハーにスピン塗布し、120℃、180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、9μmの塗膜を形成した。膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)にて測定した。この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通してi線(365nm)の露光波長を有するニコン社製ステッパー(NSR2005i8A)を用いて露光量を段階的に変化させて露光した。これをAZエレクトロニックマテリアルズ社製アルカリ現像液(AZ300MIFデベロッパー、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用い、現像時間60秒で現像を行い、ポジ型レリーフパターンを形成した。
【0150】
得られたレリーフパターンのリソグラフィー性を以下の評価基準に従って評価した:
A:700mJ/cm−2で露光された10ミクロン幅のパターンが解像された。
B:700mJ/cm−2で露光された10ミクロン幅のパターンが解像されなかった。
【0151】
<耐熱性評価(軟化点測定)>
樹脂(P−11)、樹脂(P−12)、及び樹脂(P−13)の軟化点を、JIS K 2207に従って測定した。使用した装置は、メイテック社製 ASP−M2SPであった。
【0152】
以下の表2に示すように、本発明の第二の態様における感光性樹脂組成物を用いることにより、適切な現像時間で、解像パターンを形成することができること、及び本発明のビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂(P−11)と(P−12)は、従来技術の樹脂(P−13)よりも高い軟化点を有していることから、良好な耐熱性を有していることが分かる。
【0153】
【表2】
【0154】
実施例4においては、170℃までの軟化点測定では軟化点は観測されず、軟化点は170℃より高い温度であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の第一の態様におけるアルカリ現像用感光性フェノール樹脂組成物は、半導体装置及び発光装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、並びに液晶配向膜等として好適に利用できる。
【0156】
本発明の第二の態様におけるビフェニルジイルトリヒドロキシベンゼン樹脂組成物は、半導体装置及び発光装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、並びに液晶配向膜等として好適に利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5