(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、血糖値を測定する生体試料測定装置に適用したものを、添付図面を用いて説明する。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、本実施形態の生体試料測定装置の斜視図であり;
図2は、その断面図であり;
図3は、その上面図であり;
図4は、その制御ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の生体試料測定装置は、その一端にセンサ挿入部1を有する本体ケース2を備える。センサ挿入部1には、点着部11aを有するセンサ11が挿入可能に構成されている。
【0013】
本体ケース2の上面には、表示部3と、操作ボタン14および15とが設けられている。センサ挿入部1は、
図2に示すように、本体ケース2の内部にある基板(電気回路基板)4の一端に配置されている。また、センサ挿入部1には、
図2および
図3に示されるように、加速度センサ5が配置されている。
【0014】
センサ挿入部1の内部には、挿入される生体試料測定センサ11と電気的に接続するコネクタ部(図示せず)が設けられている。センサ挿入部1に生体試料測定センサ11を挿入することにより、このコネクタ部を経由して、基板4に構成された測定部と生体試料測定センサ11の接続部とが電気的に接続される。
【0015】
加速度センサ5は、このコネクタ部に隣接するように配置されることが望ましい。このように、加速度センサ5は、制御素子6近傍の基板4に配置されており;つまり、測定部または制御部として機能する制御素子6近傍の基板4に配置されている。また、加速度センサ5は、センサ挿入部1の近傍に配置されている。
【0016】
基板4の上面には、マイコンと呼ばれる制御素子6が配置されている。
図4に示すように、制御素子6は、センサ挿入部1が接続された測定部7と、この測定部7が接続された制御部8と、前記加速度センサ5が接続された判定部9と、判定部9が接続されたメモリ部10とを備える。判定部9とメモリ部10は、制御部8に接続されている。
【0017】
また、センサ挿入部1には、生体試料測定センサ11の挿入を検知する挿入検知部12が設けられ、挿入検知部12は制御部8に接続されている。さらに、制御部8には、表示部3と、警報手段としての一例であるブザー13と、操作ボタン14および15とが接続されている。
【0018】
以上の構成を有する生体試料測定装で血糖値を測定するフローを、
図5を参照して説明する。まずは、基本的な測定フローを説明する。測定をするには、まず
図1に示すように、生体試料測定センサ11(血糖値センサ)をセンサ挿入部1に挿入する。センサの挿入を、挿入検知部12が検出することで、電源がON状態となる(
図5のステップS1)。その後、
図1の状態の生体試料測定センサ11の点着部11aに、穿刺した指から滲出した血液を点着する(
図5のステップS5)。点着した血液が、点着部11aから生体試料測定センサ11内にある試薬(図示せず)に到達し、血液とこの試薬により電気化学反応が生じる。その化学反応の信号を測定部7で測定し(
図5のS10)、その測定結果を表示部3に表示する(
図5のS12)。
【0019】
さらに、本実施形態においては、上述したステップS1とS5の間と、ステップS5〜S10の間とで、過大な衝撃がセンサ挿入部1に加わっているか否かを検知する。具体的には、
図5のS2(測定前)および/またはS7(測定中)において、加速度センサ5からの出力を判定部9に入力する。そして、判定部9において、その出力値が予め設定されている所定値以上か否かを判定する(ステップS3および/またはS8)。判定部9において判定した衝撃が、所定値よりも小さい場合には、異常はないと判断してステップS5およびS10へとそれぞれ移行する。一方で、判定部9において判定した衝撃が所定値以上の場合には、ステップS4またはステップS9において「過大な衝撃有」というフラグをメモリ部10に記録する。
【0020】
ステップS10において測定が完了したら、ステップS11において、メモリ部10に前記フラグが入力された否かを制御部8が判定する。このフラグがある場合には、エラー表示を表示部3に表示する。表示とともに、ブザー13でエラー警告をしてもよい。
【0021】
図6(a)〜(d)は、表示部3に表示されるエラー表示の例が示される。
図6(a)は、衝撃を受けたことを、ドットマトリックスで示したエラー表示であり;
図6(b)は、衝撃を受けたことを、エラーコード(セグメント表示の場合)で示したエラー表示である。
図6(c)及び
図6(d)は、実施の形態3において説明する。
【0022】
穿刺した指から滲出する血液を生体試料測定センサ11の点着部11aに点着する場合において、この指を生体試料測定センサ11から離間させるときに、センサ挿入部1に過大な衝撃が加わりやすい。つまりこのときに、生体試料測定センサ11の点着部11aを指が弾いてしまうことがある。指による弾きの衝撃によって、点着した血液が生体試料測定センサ11内の試薬部分にスムーズに到達できない。その結果として、測定精度が低くなってしまう。
【0023】
そこで本実施形態においては、センサ挿入部1に加わる過大な衝撃を加速度センサ5によって検出する。過大な衝撃を検出したときには、表示部3にエラー表示をする。それにより、不適切な測定値が表示されることを抑制する。このようにして本実施形態においては、測定精度を高める。
【0024】
本実施形態において、センサ挿入部1に加えられた過大な衝撃を、加速度センサ5によって検出するために、
図3に示すように、センサ挿入部1に加速度センサ5を配置している。具体的には、センサ挿入部1にある基板4に、加速度センサ5を実装した構成としている。
【0025】
加速度センサ5は、3次元タイプの加速度センサであることが好ましい。3次元タイプの加速度センサは、X,Y,Z各軸方向の加速度成分をそれぞれ測定することができる。そのため、3次元タイプの加速度センサによれば、衝撃の方向と、衝撃力とを記録することができ、センサ挿入部1が受けた衝撃をより詳細に把握することができる。
【0026】
3次元加速度センサ(3軸加速度センサともいう)には、ピエゾ抵抗型、静電容量型、熱検知型などがある。3次元加速度センサは、携帯電話、ゲームコントローラ、ハードディスクの振動検知、ロボットの姿勢制御などにも応用されている。
【0027】
ピエゾ抵抗型3次元加速度センサとは、シリコン半導体の製造技術によって、表面を円環状に薄く作りダイヤフラムを形成し;中央の錘をこの薄い金属で支えることで加速度による変位を検出しやすくし; ダイヤフラムの位置変化をピエゾ抵抗素子によって検出し;電気回路によって増幅・計測するものである。静電容量型3次元加速度センサとは、梁構造で支えられた微小な可動部でのわずかな位置変化を静電容量の変化として検出し;電気回路によって増幅・計測するものである。熱検知型3次元加速度センサとは、ヒーターにより加速度センサ筐体内に熱気流を発生させ、加速度による対流の変化を熱抵抗などで検出するものである。
【0028】
ここで使用する加速度センサは、静電容量型3次元加速度センサであり、その測定レンジは、例えば、−2g〜+2g(g:重力加速度)である。標準重力加速度は、1.0G=約9.8m/s
2である。
【0029】
さらに、加速度センサが検知した衝撃と本体ケース2などの耐久性とを比較して、必要に応じて、生体試料測定装置の早期交換を促すようにユーザに通知することもできる。ここで「本体ケース2の耐久性」とは、測定装置の品質評価や出荷検査における、本体ケースの機械的強度試験(例えば、測定装置の落下試験など)などにおいて評価される、測定装置としての機械的強度の品質保証範囲を示す耐久性能のことをいう。機械的強度試験では、具体的には、完成品の測定装置の落下試験(例えば、1mの高さから床に落とす試験など)を行った場合に、測定装置内の基板に実装されている部品が外れたり、基板などにクラックが入ったり、部品自体が破壊されていたりすることにより、測定装置としての性能に影響が出る可能性があるかどうかを試験する。
【0030】
[実施の形態2]
本実施形態の生体試料測定装置は、
図7に示すように、加速度センサ5を本体ケース2の内部の基板4の上に配置している。このように配置された加速度センサ5は、主に、本体ケース2の全体が受けた衝撃を検出することができる。本体ケース2の全体が衝撃を受けるとは、例えば、本体ケース2を測定中に落下させた場合や、本体ケース2を周囲の物体に不注意でぶつけた場合などが想定される。
【0031】
[実施の形態3]
本実施形態の生体試料測定装置は、
図8に示すように、2つの加速度センサ5aと5bを搭載している。一方の加速度センサ5aは、実施の形態1に示す場合と同様に、基板4のセンサ挿入部1に対応した位置に設けており;他方の加速度センサ5bは、実施の形態2に示す場合と同様に、本体ケース2の内部の基板4に設けている。
【0032】
本実施の形態では、2つの加速度センサ5aと5bを、それぞれ異なる場所に設けているので、それぞれの加速度センサの検出結果を相互に活用して、衝撃の種類を詳細に検出することができる。それにより、測定の信頼性をより高めることができる。
【0033】
具体的には、加速度センサ5aは、センサ挿入部1に装着されている生体試料測定センサ11の点着部11aに血液を点着するときに、前記生体試料測定センサ11を指などで弾いた場合の衝撃などを検出することができる。また加速度センサ5aは、本体ケース2全体に衝撃を受けた場合も検出ができる。一方、加速度センサ5bは、本体ケース2の内部の中央付近に配置されているため、本体ケース2の全体に掛かる衝撃を検出できるが、生体試料測定センサ11を弾くことによる衝撃など小さな衝撃を検出するには不十分である。
【0034】
そこで、加速度センサ5aのみが、所定値より大きい衝撃を検出した場合には、点着時にユーザの指が生体試料測定センサ11を弾いたと判断する。そして、表示部3には
図6(c)に示すエラーメッセージを表示する。一方、加速度センサ5aおよび5bの両方が、所定値より大きい衝撃を検出した場合には、本体ケース2全体が衝撃を受けたと判断し、表示部3には、
図6(d)に示すエラーメッセージを表示し、ユーザに注意を喚起することができる。
【0035】
[実施の形態4]
本実施形態の生体試料測定装置は、実施の形態3と同様に2つの加速度センサを搭載するが;
図9と
図10に示されるように、センサ挿入部1が、本体ケース2に着脱可能に構成されている。すなわち、本実施形態の生体試料測定は、加速度センサ5bと装着部16とが設けられた本体ケース2と、加速度センサ5aと挿入検知部12とが設けられたセンサ挿入部1とを有し、センサ挿入部1は、着脱可能に装着部16に装着できるように構成されている。
【0036】
図9に示されるように、装着部16には、複数の接点端子を有するコネクタ部16aが設けられている。
図10に示すように、センサ挿入部1が装着部16に装着されると、センサ挿入部1を構成する加速度センサ5aおよび挿入検知部12の信号が、コネクタ部16aを経由して、本体ケース2内の基板4上の制御素子6に含まれる判定部9および制御部8に送信される。
【0037】
生体試料を測定するときに、センサ挿入部1に挿入された生体試料測定センサ11の信号が、コネクタ部16aを経由して、制御素子6内に配置された測定部7に送信される。そして、生体試料(例えば、血液など)の測定(例えば、血糖値測定など)を行なう。
【0038】
本体ケース2の装着部16は、基板4と一体化されていてもよい。すなわち、制御素子6を実装された基板4に、コネクタ部16aを構成する複数の接点端子を設けて、装着部16を構成する。
【0039】
交換可能なセンサ挿入部1に、加速素センサ5aとともに、それ以外のセンサ(例えば温度センサ、湿度センサなど)を設けてもよい。
【0040】
図10は、本実施形態の生体試料測定装置の制御ブロック図を示している。
図10に示される制御ブロックは、実施の形態1および実施の形態2の制御ブロック(
図4)とは異なり、2つの加速度センサ5aと5bを具備しており、2つの加速度センサ5a,5bは、制御素子6の判定部9に接続されている。加速度センサ5aの信号は、コネクタ部16aを経由して、判定部9へ送信される。つまり、加速度センサ5aおよび5bの加速度情報(出力情報)は、判定部9に入力される。
【0041】
本実施形態の生体試料測定装置では、センサ挿入部1が交換可能であるため、センサ挿入部1やその周辺が汚れた場合(例えば血液が付着した場合)などに交換することができる。そのため、清掃などがし易く、保守・メンテナンス性に優れたメリットがあり、生体試料測定装置を衛生的に維持でき、最終的に生体試料測定装置の安定稼動などの信頼性向上に貢献する。
【0042】
[実施の形態5]
本実施形態の生体試料測定装置は、
図11に示すように、加速度センサ5aをセンサ挿入部1に、加速度センサ5bを基板4上に設けている。
図11は、本実施形態の生体試料測定装置のセンサ挿入部1付近の内部断面図を示しており;生体試料測定センサ11が、センサ挿入部1に挿入された状態を示す。生体試料測定センサ11の接続端子(不図示)は、コンタクトピン20の接触部21と接触し、電気的に接続されている。なお、
図11では、制御部などの主な電気回路部分は、便宜上省略している。
【0043】
加速度センサ5aは、コンタクトピン20に接触して配置されている。また、加速度センサ5aは配線29を介して、基板4と電気接続している。センサ挿入部1に挿入された生体試料測定センサ11の先端(接続端子)は、突起22に係止している。つまり、突起22は、生体試料測定センサ11のストッパとして機能する。
図11は、生体試料測定センサ11が突起22に係止した状態、つまり、生体試料測定センサ11がセンサ挿入部1に正しくセットされた状態を示している。
【0044】
図8の生体試料測定装置は、センサ挿入部1の一部であって、かつ基板4の上に設けられた加速度センサ5aを有するが;
図11の生体試料測定装置は、センサ挿入部1の一部であって、コンタクトピン20に接触するように取付けられた加速度センサ5aを有する。
【0045】
生体試料測定センサ11がセンサ挿入部1に挿入されたとき、コンタクトピン20が矢印X方向にたわむ。コンタクトピン20に接触して取り付けられている加速度センサ5aが、コンタクトピン20の振動を検知する。このようにして、生体試料測定センサ11の挿入を加速度センサ5aで検知することができる。同様に、生体試料測定センサ11のセンサ挿入部1からの排出も、加速度センサ5aで検知することができる。
【0046】
このような構成としておくことにより、生体試料測定センサ11の点着部11aに、指から滲出した血液を点着したときに、指によって「たわんだ」状態にされた生体試料測定センサ11が、そのたわみを勢いよく解消したときの衝撃や、測定中に指などが生体試料測定センサに接触して生じる衝撃などを、加速度センサ5aで確実に検知することができる。その衝撃を検知した場合には、測定値が信頼できない可能性が高いため、測定値は表示せず、測定不良として警告表示をすることができる。
【0047】
測定中に衝撃を受けることで、生体試料測定センサ11内の試薬などが所定位置から移動して、測定値(血糖値)が誤って過少になったり過大になったりする。測定値が過少または過大になると、誤った量のインスリンが投与される恐れがあり、事故が発生する。特に、測定値が過少になった場合には、その過少測定値に基づいてインスリンを必要以上に投与することになり、低血糖という非常に危険な状態に陥る事故が発生する。本発明の血液検査装置は、このような問題を確実に防止することができる。
【0048】
生体試料測定センサ11のセンサ挿入部1への装着が完了したら、生体試料測定センサ11の点着部11aに血液などを点着して、測定を開始する。測定が完了すると、表示部に測定結果が表示される。この測定をしている間、コンタクトピン20に取り付けられた加速度センサ5aや、基板4上に設けられた加速度センサ5bが、外部からの衝撃を受けたかどうかを監視する。測定中に、所定値を超える衝撃を検出した場合には、測定された血糖値の信頼性に問題があると判断する。そして、測定値を表示せずに、「測定中に衝撃があり、測定不良である」旨の警告表示を行ない、測定のやり直しを促す。
【0049】
より具体的には、加速度センサ5aおよび加速度センサ5bの両方において、所定値を超える衝撃を検知した場合は、測定装置自体が何かにぶつかって衝撃を受けたと判断して、測定エラーを表示する。そして、測定装置の機器自体の操作ができるか確認するように促す警告を表示する。
【0050】
加速度センサ5aのみが所定値より大きい衝撃を検知した場合は、測定中に生体試料測定センサ11に指が触れたりした可能性があると判断して、測定エラーを表示する。そして、測定のやり直しと、丁寧な操作を求める注意を表示する。
【0051】
血糖値などの測定が完了したら、使用済みの生体試料測定センサ11を手で摘んで抜き出して、廃棄する。これらの排出動作による衝撃も、加速度センサ5aが検知することができる。このように、加速度センサ5aは、生体試料測定センサ11の挿入および排出の両方を検知することもできる。
【0052】
図11におけるセンサ挿入部1に設けた加速度センサ5aの感度と、基板4上の加速度センサ5bの感度とを異なる測定レンジのものにしてもよい。例えば、加速度センサ5aの感度を、加速度センサ5bよりも2倍〜10倍程度の高感度にする。より具体的な例としては、加速度センサ5aとして測定レンジが−2g〜+2gである加速度センサを使用し、加速度センサ5bとして測定レンジが−6g〜+6gである加速度センサを使用する場合などが考えられる。それにより、測定中の生体試料測定センサへの接触により生じる衝撃を、より高感度で測定し、衝撃の検出精度を向上させることができる。
【0053】
測定操作の確実性を向上させるために、以下の閾値L1〜L3を設定してもよい。閾値L1は、生体試料測定センサ11の挿入や排出を検出するための閾値であり、例えば0.01g〜0.3g程度の範囲で設定されていればよい。また、閾値L2は測定中の指などの生体試料測定センサに接触したことを検出する(測定値に信頼性がない可能性があることを検出する)ための閾値であり、例えば、0.005g〜0.3g程度の範囲であればよい。さらに、閾値L3は測定自体ができないと判断するための閾値であり、例えば、0.5g以上が望ましい。
【0054】
閾値L1〜L3の関係は、例えば以下の通りの関係とする。
(1) L1 < L3
(2) L2 < L3
(3) L1≦L2 または L1>L2
【0055】
ここで、閾値L1と閾値L2の関係をL1>L2にした場合は、生体試料測定センサ11の挿入または排出時の衝撃(加速度)よりも小さい衝撃(加速度)でもエラーと判断することになるので、より高い安全性を確保できる。
【0056】
また、閾値L1〜L3は、加速度センサ5a及び加速度センサ5bの両方で測定した加速度データと比較してもよいが;その目的からすれば、閾値L1と閾値L2は、主にセンサ挿入部1に設けた加速度センサ5aで測定した加速度データと比較することが有効であり、閾値L3は、基板4上に設けた加速度センサ5bで測定した加速度データと比較する方が有効であろう。このことからも、上述したように加速度センサ5aと加速度センサ5bとが異なる感度の加速度センサを選択してもよい。
【0057】
センサ挿入部1(
図11におけるコンタクトピン20の上)に取り付けられた加速度センサ5aと、装置内部の基板4に配置された加速度センサ5bとは、いずれも3次元加速度センサであることが好ましい。
【0058】
図12aは、3次元加速度センサの各軸(X軸、Y軸、Z軸)と、生体試料測定センサとの関係を示している。
図12aでは、X軸は、板状の生体試料測定センサ11の長手方向と平行であり;Y軸は、そのX軸に直交しており;Z軸は、X軸およびY軸のそれぞれと直行している、つまりX−Y平面に対して垂直である。この関係は一例であり、基準の軸が、複数の加速度センサ全てにおいて同一に設定されていれば問題はない。つまり、
図12aでは、生体試料測定センサの長手方向と平行な方向をX軸と定義し、このX軸を基準にしたが;生体試料測定センサの長手方向と平行な方向をY軸と定義して、Y軸を基準の軸にしてもよいし、生体試料測定センサの長手方向と平行な方向をZ軸と定義して、Z軸を基準の軸にしてもよい。すなわち、複数の3次元加速度センサのX軸同士、Y軸同士,Z軸同士それぞれが共通(同一方向)に設定されていれば問題はない。
【0059】
図12aに示される3次元加速度センサ5aにより測定した測定加速度GAと、3次元加速度センサ5bにより測定した測定加速度GBについて説明する。加速度GAおよびGBは以下のように表される。ここでは、
図12bに示すように、方向と力を表すベクトル値を示している。ここで、GAxはGAのx成分、GAyはGAのy成分、GAzはGAのz成分を示す。同様に、GBxはGBのx成分、GByはGBのy成分、GBzはGBのz成分を示す(以下同様)。
GA=GAx+GAy+GAz(X,Y,Z軸成分のベクトルの総和を示す)
GB=GBx+GBy+GBz(X,Y,Z軸成分のベクトルの総和を示す)
【0060】
測定加速度GAおよびGBを、その測定時に応じて以下のように定義する。
生体試料測定センサ11をセンサ挿入口1に挿入したときに測定した測定加速度:GA1、GB1
血糖値測定中に測定した測定加速度:GA2、GB2(測定加速度GA2およびGB2は、それぞれ1つとは限らず、通常は複数回測定される)
生体試料測定センサ11をセンサ挿入口1から排出したときに測定した測定加速度:GA3、GB3
【0061】
測定加速度GA2とGB2に基づいて、以下のように判断することができる。測定加速度GA2とGB2が測定できない場合は、生体試料測定装置自体がエラー(故障)であると判断する。「測定加速度GA2、GB2>閾値L3」の場合は、生体試料の測定ができないと判断して、測定装置の故障がないかの確認と、再測定を求める。「閾値L3>測定加速度GA2、GB2>閾値L2」の場合は、適切な測定がなされていない可能性があると判断して、生体試料測定センサを交換して再測定するように求める。「測定加速度GA2、GB2≦閾値L2」の場合は、適切な測定がなされたと判断する。
【0062】
もちろん、測定加速度GA2と閾値L2のみを比較して、適切な測定がなされたかどうか判断することもできる。また、加速度センサ5aと5bとの感度が異なる場合には、加速度センサ5aおよび5bから入力されたデータを感度換算して得た測定加速度GA2およびGB2と、閾値L2およびL3とを、それぞれ比較する。感度換算は、判定部9または制御部8(
図10など参照)によって行う。
【0063】
また、測定加速度GA2およびGB2のX,Y,Z軸成分(測定加速度成分)に基づいて、以下のように判断することもできる。「測定加速度成分GA2x、GA2y、GA2z、GB2x、GB2yまたはGB2z>閾値L3」の場合は、血糖値測定中に衝撃を受けて、血糖値測定ができないと判断する。「測定加速度成分GB2z(またはGB2x、GB2y)>閾値L2」の場合は、測定中に衝撃を受けて、適切な血糖値測定がなされていない可能性があると判断する。「測定加速度成分GA2x、GA2y、GA2z、GB2x、GB2yおよびGB2z≦閾値L2」の場合は、適切な測定がなされたと判断する。
【0064】
生体試料測定センサを指などにより弾いた場合について、以下に詳細を説明する。
図12cは、血糖値などの測定中に、生体試料測定センサ11に指などが触れた場合に、3次元加速度センサ5aから出力される信号の一つである、Z軸方向の出力信号波形Wgの一例を示している。ここでは、センサ挿入部やコンタクトピンの配置関係から、生体試料測定センサ11の平面に対して垂直方向、つまりZ軸方向に顕著に変動する場合を検討する。
【0065】
生体試料測定センサ11に指などが触れたり、生体試料測定センサ11をたわんだ状態から開放したりした場合には、
図12cのような振動波形である出力信号Wgが、加速度センサ5aから出力される。すなわち、GAzの測定加速度の値は、中心:0に対して、上下(つまりプラス/マイナス)方向に大きく振れながら、時間tの経過とともに、減衰している。
【0066】
Z軸方向の測定加速度の値の変化である出力信号Wgのデータを、3次元加速度センサ5aから判定部9に取り込み、メモリ部10に記憶する。これらの加速度センサ5aの測定加速度データと閾値L2とを比較し、閾値L2を越えるか否かを判定部9において判定する。具体的には、Z軸出力信号Wgの初期ピーク値(+側ピーク値であるP1,P3,P5など、及びマイナス側ピーク値であるP2,P4,P6など)を求め、それらを加速度センサ5aの測定中の判定用閾値L2と比較する。そして、ピーク値P1が+側閾値L2(+L2)を超えていた場合や、ピーク値P2がマイナス側閾値L2(−L2)を下回った場合にエラーと判断する。
【0067】
また、
図12cの例では、出力信号Wgは、閾値+L2を超えているプラス側ピーク値:P1とP3を有し、振動波形であることがわかる。同様に、出力信号Wgは、閾値−L2を下回っているマイナス側ピーク値:P2とP4を有し、振動波形であることがわかる。このように、複数のピーク値を検出して振動波形であることが判別できたことから、測定装置の落下や測定装置が外部の何かとの衝突ではなく、「生体試料測定センサに指などが触れた」ことによるエラーであることが判る。
【0068】
一方で、「測定装置の落下や測定装置が外部の何かと衝突」した場合には、
図12cに示すような振動波形にはならず、1回だけのピーク値を示すことが多い。つまり、
図12cに示すような、時間に対してピーク値が徐々に減衰していく波形ではなく、
図12dに示すような、衝撃時に大きなピーク値が出た後、一気に波形のピークが減衰するような波形となることが多い。
【0069】
図12dは、測定装置の落下や測定装置が外部の何かと衝突」した場合の3次元加速度センサ5aのZ軸成分の出力信号Wgの一例を示している。この例では、衝撃時のピークP1が、閾値+L2だけでなく、+側閾値L3(+L3:L3は、前述の「測定自体ができないと判断するための閾値」である)をも超えた高いピーク値を示している。つまり、静電容量型の3次元加速度センサ5aの測定加速度GA(測定中の場合はGA2に該当)のZ軸成分の測定加速度データのピーク値P1と閾値L3(+L3)とを比較することによりエラーを判別する。すなわち、衝撃の大きさによる判別をすることができる。同様に、マイナス側の最大値であるピークP2のピーク値が、−側閾値L3(−L3)を下回る場合は「測定装置の落下や測定装置が外部の何かと衝突」と思われるエラーと判断する。
【0070】
図12dは、P1とP2の両方のピーク値が、閾値L3より大きい例であるが;このような場合だけとは限らず、ピークP1のみが閾値L3より大きい場合もあるし、ピークP2のみが閾値L3より大きい場合もある。衝撃の強さや、衝撃の方向はばらばらに発生して、一定に限られないためである。従って、+側および−側の両方のピーク値を閾値(+L3,−L3など)と比較する必要がある。
【0071】
また、
図12dの場合は、
図12cのように振動波形でないことからも「生体試料測定センサに指が触れたことによる」エラーとは異なるエラーであることを判別することができる。
【0072】
以上のように、本発明では、加速度センサからの出力信号Wgを監視することにより、衝撃の大きさを判別するだけでなく、出力信号Wgの波形を確認する(振動波形であるかどうかなど)ことで、その衝撃の原因を判別することができる。これにより、ユーザに対して、生体試料測定における正確な注意・警告の指示・表示・通知を行うことができ、測定装置の安定使用、確実性を向上することができる。
【0073】
図12cには、徐々に減衰する振動波形の一例を示したが、波形の形状はこれに限られない。
図12cに示されるような振動波形についても、ピーク値、振動の周波数または周期、減衰時間などの要素が異なる場合があるため、種々の波形の形状がありうる。さらに、振動波形ではなく、測定装置が落下した場合などには一過性の波形が観測されることもある。このように、測定装置に対する外部からの衝撃には様々な形態があり、様々な波形パターンが考えられる。
【0074】
衝撃を受ける方向が、X軸、Y軸またはZ軸方向とほぼ平行である場合は、測定加速度成分を、閾値L2またはL3と比較してもよい。一方で、衝撃を受ける方向が、X,YまたはZ軸方向と平行ではない場合は、各軸に沿った成分(GB2x,GB2y、GB2zなど)と合成したベクトル値(GA2、GB2など;
図12b参照)とは差がある。そのため、測定加速度の各成分(GB2x,GB2y、GB2zなど)と閾値L1〜L3とを比較するだけではなく、合成した測定加速度GA2およびGB2と各閾値L1〜L3とを比較して、両方の比較を併用して判断すると、より正確なものとなる。
【0075】
[実施の形態6]
図13は、血糖値測定を行うための印加電圧の波形パターンの例を示している。ここで、加速度センサの測定タイミングについて説明する。
図13は、血糖値(グルコース値)を測定するために、測定装置から生体試料測定センサの検出電極(作用極や対極など測定のための電極)に供給する印加電圧の波形を示す。
図13は、3つのマルチパルス波形(矩形波)を印加する場合を示している。
【0076】
具体的には、パルスPW1において、測定開始時からt1時間(例;2秒間;0.5〜5秒程度)、印加電圧V1(例:350mV;100〜800mVの範囲で可)を印加する。その後のt4時間(例:1秒間;0.1〜3秒程度)は、電圧を印加しない。次に、パルスPW2において、再度、t2時間(例;2秒間;0.5〜5秒)、印加電圧V2(例:250mV;100〜800mVの範囲で可)を印加する。その後のt5時間(例:0.1秒;0〜1.0秒)は、電圧を印加しない。さらにパルスPW3において、t3時間(例:0.5秒;0.1〜2秒)、印加電圧V3(例:2.5v;1.5〜3.5V)を印加する。
【0077】
ここで、パルスPW1とパルスPW2は、グルコースを測定するための電圧印加を示すか、または妨害物質(グルコース値測定に影響を与える物質)を測定するための電圧印加を示している。また、パルスPW3は、Hct(ヘマトクリット)値を測定するための電圧印加を示している。
【0078】
また、
図14は、
図13に示すパルス印加電圧を印加した場合に、例えば、血糖値測定においては、生体試料測定センサの検出電極(作用極、対極など)からの出力信号を示している。W1は、パルス電圧PW1(印加電圧V1、印加時間t1)を印加しているときの検出電極(作用極、対極など)からの出力信号を示している。W2は、パルス電圧PW2(印加電圧V2、印加時間t2)を印加したときの出力信号を示している。生体試料測定センサにおける酸化還元反応による反応電流、つまりグルコース値に対応した出力信号である。また、W3は、パルス電圧PW3(印加電圧V3、印加時間t3)を印加したときのHct電極からの出力信号を示している。つまり、Hct値に対応した出力信号である。グルコース値と、Hct(ヘマトクリット)値と、他のデータ(温度データや妨害物質のデータなど)に基づいて、基準温度におけるグルコース値(血糖値)を求める。
【0079】
このようにしてグルコース値を測定する間に、もし、外部から測定装置に衝撃が与えられた場合、血液と溶解した反応中の試薬が、所定位置(例えば、検出電極上)からずれて、適切な反応が十分起こらず、グルコース値の測定値が正確でなかったり、測定自体ができなかったりする。測定装置に衝撃が与えられた場合とは、外部から測定装置に衝撃が与えられたり、測定装置を落としたり、または生体試料測定センサに指が触れたり、血液を生体試料測定センサに点着する時に生体試料測定センサをたわむように強く押し当てたりした場合などが考えられる。
【0080】
加速度センサを搭載した測定装置を使用することにより、この問題を解決する。つまり、測定中に衝撃が発生したかどうかを正確に検知し、測定中に衝撃が検出された場合には、測定データが正確でないと判断される。そのため、測定データは表示されず、エラー表示がなされ、再測定などを促す。その結果、信頼できる測定値のみが表示部に表示され、測定装置としての信頼性が向上する。
【0081】
また、パルス電圧PW1,PW2またはPW3を印加中に衝撃が与えられると、
図15における出力信号W1,W2またはW3も、正常でない波形になることが多い。よって、出力信号W1,W2またはW3の波形から、衝撃を受けたことを検知することもできる。しかしながら、電圧が印加されていない時間帯(
図13におけるt4およびt5の時間帯)や測定開始直前(電圧を印加する前)においては、出力信号が出力されないため、出力信号波形から衝撃を検出することは難しい。よって、加速度センサによる検知が重要となる。
【0082】
図13および
図14では、印加電圧波形がPW1,PW2,PW3の3つの波形を含むマルチ波形である場合を示したが、2つの波形(Hct値測定用の印加をしない場合)を含むマルチ波形である場合や、4つ以上の波形(グルコース測定用の印加を3つ以上)を含むマルチ波形である場合でも同様の効果を得ることができる。以上のように本発明においては、血糖値測定の全てのタイミングにおける衝撃を、確実に検出することができる。それにより、信頼性の高い測定値のみを表示部に表示することにより、今まで、外部からの衝撃により測定値が過少となり、その過少測定値に基づいてインスリンの投与量が余分に投与され;そのことが原因で、危険な低血糖の状態を引き起こされる事故の発生を、未然に防止することができる。それにより、測定装置の信頼性及び安全性をより確実なものにしている。
【0083】
[実施の形態7]
図15は、
図9および
図10の血糖値測定などの生体試料測定装置の変形例を示すものであり、表示部47を有する測定装置本体40と、測定装置本体40の一部を覆うカバー41とを含む生体試料測定装置を示す。カバー41には、生体試料測定センサ11を挿入するためのセンサ挿入部1が設けられており、さらにカバー41の裏面には加速度センサ5aが設けられている。
【0084】
カバー41の裏面に設けられた加速度センサ5aは、カバー41が測定装置本体40に装着されたときに、配線42と、接続部43と、測定装置本体の接続部44とを介して、測定装置本体40の内部に搭載されている制御部などの電気回路と電気的に接続される。これにより、装置本体40にカバー41が装着されると、装置本体40から接続部44などを経由して加速度センサ5aに電源が供給され、また、加速度センサ5aからの信号も、装置本体40側に送ることができるようになる。
【0085】
また、生体試料測定センサ11の接続電極部11b(測定のための検出電極である作用極や対極などと接続されている)、測定装置本体40のセンサコンタクト部46に配置された複数のコンタクトピン45に接触することで、生体試料測定センサ11は測定装置本体40内の測定部などの電気回路と電気的に接続される。
【0086】
図15に示される生体試料測定装置では、交換可能なカバー41に加速度センサ5aを設けることで、カバー41を交換することにより感度の異なる加速度センサを使用することができる。測定装置本体40の基板4に、もう一つの加速度センサ5b(不図示)を設けてもよい。2つの加速度センサ5a,5bの感度を変えることで、異なる大きさの衝撃を検知することができる。それにより、生体試料測定センサ11に触れた衝撃を高感度で検出することになり、測定時の検知性能を向上させ、より信頼性の高い測定及び信頼性の高い測定装置を実現することができる。
【0087】
[実施の形態8]
生体試料測定センサ11への生体試料の点着量が少なすぎると、適切な生体成分量の測定(例:血糖値測定など)ができない。その場合に、生体試料を追加点着(「追い足し」ともいう)してから、測定を行うことがある。そのため、生体試料の点着量が少なすぎると判断してから、追加点着を受けるまで、所定の時間待機することが必要になる場合がある。
図16は、その追加点着である「追い足し」がなされたかどうかを、加速度センサ5aなどにより検知する動作フローを示す。
図16に示される動作フローでは、センサ挿入部1に配置された加速度センサ5a(
図11など参照)で追い足しを検知する。以下、各ステップS21〜S33について具体的に説明する。
【0088】
S21:生体試料測定センサ11の装着を確認する。生体試料測定センサ11がセンサ挿入部1に装着されたかどうかは(
図11など参照)、生体試料測定センサ11の接続電極部11b(
図12など参照)と接触する測定装置側のコンタクト部16a(複数のコンタクトピン20;
図9、
図15など参照)の端子間の導通/抵抗値を確認することにより確認する。生体試料測定センサ11の装着が確認できれば、ステップS22へ移行する。
【0089】
S22:生体試料測定センサ11の装着を確認すると、測定装置のメイン電源がONする。これにより、表示部3(
図1など参照)などが表示できるようになる。なお、測定装置にある電源ボタンを押すことにより、メイン電源をONすることもできる。
【0090】
S23:装着された生体試料測定センサ11の機種を判別する。機種判別は、生体試料測定センサ11の接続電極部11bに設けられたパターンの違いなどに基づいて行う。
【0091】
S24:判別された機種が適切でない場合は、ステップS25に移行し;判別された機種が適切であれば、ステップS26に移行する。
S25:機種エラー(図では、“E7”のエラーコード)を表示し、生体試料測定センサ11を正規のものと交換するように指示する。そして、S21へ移行する。
S26:「血液の点着」を促す表示をして、生体試料測定センサ11の点着をユーザに促す。
【0092】
S27:血液が生体試料測定センサ11の点着部11aに点着されたか否かを判別する。血液点着の確認は、血液の流入方向に、複数の「検知極」を設けておき、血液の流入によりその検知極の電極間の抵抗値などの変化を検知することで行う。例えば、生体試料測定センサ11の点着部11aに一番近い第1の検知極で、まず血液の点着を検知する。血液の点着が確認されたら、ステップS28へ移行する。
【0093】
血液の点着を、加速度センサ5a(
図11など参照)で間接的に検知することもできる。つまり、ユーザの指に滲出した血液を生体試料測定センサ11の先端の点着部11aに点着するときに、おのずと指が生体試料測定センサ11に接触する。その接触を加速度センサ5aで検知することができる。この場合は、指と生体試料測定センサ11とが接触したことを検知できればよい。
【0094】
血液を点着するための、生体試料測定センサ11の点着部11aへの指の接触のさせ方は、ユーザによってばらつきがあり、指を強く押し付けるユーザもいれば、軽く指を接触させるユーザもいる。従って、指と生体試料測定センサとの接触を検知する閾値L4は、測定中の衝撃を判断する閾値L2よりも、小さい値にしておくことが好ましい。L4≦L2であればよいが、L4=α*L2 (α=1/1〜1/10程度)であることが好ましい。閾値L4としては、例えば0.005〜0.3g程度であればよい。
【0095】
S28:第2の検知極(点着部11aから最も離れた位置の検知極)により、センサ11aのキャピラリ(供給路;図示せず)に血液が十分流入したことがどうかを検知する。血液の流入が検知されれば、測定に必要な十分量の血液が生体試料測定センサ11のキャピラリ(供給路)に流入したと判断され、ステップS33に移行する。一方、血液の流入が不十分と判断された場合は、ステップS29へ移行する。第2の検知極は、点着部11aから最も離れた位置に配置されていることが好ましいが、酸化還元反応電流を検出する作用極や対極などの検出電極よりもキャピラリの奥(点着部11aより遠い側)に配置されていればよい。
【0096】
S29:生体試料の追加点着(追い足し)シーケンスでは、「追い足し(追加点着)」がなされるまで待機する時間(追い足し待機時間)を設定する。追い足し待機時間は、例えば10秒〜120秒程度であり、好ましくは15〜60秒である。
【0097】
S30:追い足し待機時間を監視し、待機時間を超過した場合は、「点着不良」/「点着量不足」によるエラーと判断する。そして表示部3に、エラー表示およびサウンダにより注意音を鳴らし、生体試料測定センサ11を交換して測定をやり直すように促す。
【0098】
S31:加速度センサ5a(
図11など参照)で、ユーザの指が点着部11aに接触したかどうかを検知して、生体試料測定センサ11に追加点着がされたかどうか判断する。基本的には、ステップS27と同様であり、閾値L4の設定についても同様である。追加点着がされたことを検知したら、ステップS32へ移行する。検知できない場合は、ステップS30へ戻る。
【0099】
S32:上記ステップS28と同様に、点着部11aから一番遠い位置(一番奥)にある第2の検知極と所定電極との抵抗値などの変化から、血液の流入を検知する。血液が検知されれば、測定に十分な血液が生体試料測定センサ11のキャピラリ(供給路)に流入したとして、ステップS33に移行する。血液が不十分と判断した場合は、ステップS30に戻る。
【0100】
S33:点着量(検体である血液などの量)が十分であり測定可能と判断されれば、「点着完了」の表示を行ない、血糖値の測定処理を行う。