(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
横方向に間隔を置いて配置された一対のパネル取付支柱の間に設置され、前記パネル取付支柱に固定された落下防止ワイヤーを挿通させる落下防止部材を背面側に取り付けたパネルであって、
前記落下防止部材は、複数周回したらせん状に構成され当該らせんの隙間を通って前記落下防止ワイヤーが挿通される挿通空間を画定するらせん状部と、前記らせん状部の下端に接続しらせん軸に沿った方向に伸びる棹体部と、前記棹体部に対し略直交する方向に伸び根本部分にリブが設けられて断面形状が非円形に構成された固定部とを備え、棒状部材を折り曲げることによって前記らせん状部と棹体部と固定部とが一体的に構成され、
前記根本部分のリブの外縁に対応した形状に構成され、前記固定部を挿通して前記落下防止部材を固定する固定孔が設けられているパネル。
前記落下防止部材は、前記らせん状部の軸が前記パネルの短手方向になるように固定され、短手方向に積み重ねられた複数枚が、前記落下防止ワイヤーによって相互に連結可能に構成されている、請求項1に記載のパネル。
前記落下防止部材は、前記一対のパネル取付支柱に対応して対で設けられ、前記らせん状部のらせんの向きが互いに異なるように構成されている、請求項1に記載のパネル。
横方向に間隔を置いて配置された一対のパネル取付支柱の間にパネルを設置し、前記パネルの固定孔に嵌入された落下防止部材に、前記パネル取付支柱に固定された落下防止ワイヤーを貫通させることによって、前記パネルの落下を防止するパネル取付構造であって、
前記落下防止部材は、複数周回したらせん状に構成され当該らせんの隙間を通って前記落下防止ワイヤーが挿通される挿通空間を画定するらせん状部と、前記らせん状部の下端に接続しらせん軸に沿った方向に伸びる棹体部と、前記棹体部に対し略直交する方向に伸び根本部分にリブが設けられて断面形状が非円形に構成された固定部とを備え、棒状部材を折り曲げることによって前記らせん状部と棹体部と固定部とが一体的に構成され、
前記固定孔が前記固定部の前記根本部分のリブの外縁に対応した形状に構成されている、パネル取付構造。
前記パネルに固定され、短手方向に配列された複数の前記落下防止部材は、前記らせん状部のらせんの向きが左右交互になるように構成されている、請求項11に記載のパネル取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1及び2に記載の遮音パネルは、パネル取り換えの煩雑性に以下の問題を有していた。
【0008】
すなわち、特許文献1及び2の遮音パネルは、複数枚の遮音パネルに、ワイヤーを挿通させる挿通孔を設け、複数枚のパネルを固定する。このため、例えば、特許文献1の遮音パネルでは、下側に位置する遮音パネルを交換する場合にも、当該交換対象の遮音パネルよりも上側の遮音パネルをすべて取り外して行う必要があり、交換作業が非常に煩雑になっていた。また、同様に、特許文献2のパネルでも、挿通されたワイヤーを交換対象の遮音パネルに連結されている遮音パネルを含む、すべてのパネルの環体から抜き取ってから、遮音パネルを交換する必要があった。
【0009】
また、さらに、特許文献2の遮音パネルは、外側にワイヤーが設けられ、ワイヤーの脱着などの煩雑な工程を必要とするため、遮音パネルの外側から行う必要があり、取り換え工事作業のために、道路の外の土地の使用許可を取って当該土地に足場を設けて行われていた。このため、工事の手間が煩雑であり、土地の使用許可を取る必要がない道路内側からの取り換え工事が望まれていた。
【0010】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、交換が容易な遮音パネル及びその取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。
本発明に係るパネルは、横方向に間隔を置いて配置された一対のパネル取付支柱の間に設置され、前記パネル取付支柱に固定された落下防止ワイヤーを挿通させる落下防止部材を背面側に取り付けたパネルであって、
前記落下防止部材は、
複数周回したらせん状に構成され当該らせんの隙間を通って前記落下防止ワイヤーが挿通される挿通空間を画定するらせん状部と
、前記らせん状部の下端に接続しらせん軸に沿った方向に伸びる棹体部と、前記棹体部に対し略直交する方向に伸び根本部分にリブが設けられて断面形状が非円形に構成された固定部とを備え、
棒状部材を折り曲げることによって前記らせん状部と棹体部と固定部とが一体的に構成され、
前記
根本部分のリブの外縁に対応した形状に構成され、前記固定部を挿通して前記落下防止部材を固定する固定孔が設けられている。
【0012】
前記落下防止部材は、前記パネル背面側に着脱可能に構成されることにより、パネルの設置態様に応じて落下防止部材を取り付けることができる。具体的には、パネルの背面に直接取り付けてもよいし、パネルとは別部材で構成された奥行き方向に伸びる側面フレームに固定するようにしてもよい。
【0014】
上記構成において、前記固定部は、先端部分が雄ネジに構成され、前記固定穴に挿通させた状態で、固定ナットで固定されることで、落下防止部材を確実かつ容易に固定することができる。
【0015】
また、雄ネジの断面形状が非円形に構成されることで、落下防止部材がパネルに対して回転することを防止状態に前記落下防止部材を固定することができる。
【0016】
前記落下防止部材は、前記固定部と並列して設けられた回転防止部を備え、
前記パネルに設けられた固定穴に隣接して設けられた差込孔に、前記回転防止部の先端側を挿通するように固定されることで、前記落下防止部材の前記固定部を軸とする回転を防止することができる。
【0017】
前記落下防止部材は、前記らせん状部の軸が前記パネルの短手方向になるように固定され、短手方向に積み重ねられた複数枚が、前記落下防止ワイヤーによって相互に連結可能に構成されていることが好ましい。このように構成することにより、落下防止部材への落下防止ワイヤーの挿通作業を簡易にすることができる。
【0018】
前記落下防止部材は、前記一対のパネル取付支柱に対応して対で設けられ、前記らせん状部のらせんの向きが互いに異なるように構成することにより、パネルが支柱から外れた場合でも、落下防止部材がワイヤーから外れることが防止される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るパネルの取り付け構造は、横方向に間隔を置いて配置された一対のパネル取付支柱の間にパネルを設置し、前記パネルの固定孔に嵌入された落下防止部材に、前記パネル取付支柱に固定された落下防止ワイヤーを貫通させることによって、前記パネルの落下を防止するパネル取付構造であって、
前記落下防止部材は、
複数周回したらせん状に構成され当該らせんの隙間を通って前記落下防止ワイヤーが挿通される挿通空間を画定するらせん状部と
、前記らせん状部の下端に接続しらせん軸に沿った方向に伸びる棹体部と、前記棹体部に対し略直交する方向に伸び根本部分にリブが設けられて断面形状が非円形に構成された固定部とを備え、
棒状部材を折り曲げることによって前記らせん状部と棹体部と固定部とが一体的に構成され、
前記固定孔が前記固定部の前記
根本部分のリブの外縁に対応した形状に構成されている。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の落下防止金具は、横方向に間隔を置いて配置された一対のパネル取付支柱の間に設置されたパネル
の背面に設けられた固定孔に固定され、パネル取付支柱に固定された落下防止ワイヤーを貫通させて前記パネルの落下を防止する落下防止金具であって、
複数周回したらせん状に構成され当該らせんの隙間を通って前記落下防止ワイヤーが挿通される挿通空間を画定するらせん状部と
、前記らせん状部の下端に接続しらせん軸に沿った方向に伸びる棹体部と、前記棹体部に対し略直交する方向に伸び根本部分にリブが設けられて断面形状が
前記固定孔に対応した非円形に構成された固定部とを備え、
棒状部材を折り曲げることによって前記らせん状部と棹体部と固定部とが一体的に構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、落下防止部材のらせん状に構成されたらせん状部の隙間を通して落下防止ワイヤーの中間部分から落下防止ワイヤーを落下防止部材の挿通空間へ脱着することができるため、落下防止ワイヤーを分解することなく単体のパネルを取り外しすることができる。したがって、道路の内側から交換対象となるパネルのみを単体で取り外すことができ、道路外に足場などを組む必要がないことから、パネルの交換作業を簡便にすることができる。
【0022】
また、落下防止部材のらせん状部は、棒状の部材をらせん状に成形したものであり、構成が容易であることに加え、複数の部材を組み合わせたもののように当該部材間の接続部分や可動部分などの経年劣化がない。したがって、長期間風雨などにさらされる高速道路のパネルの落下防止に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のパネル取付構造の実施形態に係る遮音パネル取付構造について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態にかかる遮音パネル取付構造を示す模式図である。
図2は、
図1の遮音パネル取付構造の組立て分解図である。
【0026】
本実施形態にかかる遮音パネル取付構造1は、高速道路Rの側部に立設した遮音壁Wに用いられ、高速道路Rの外側(背面側)から見た状態である
図1に示す構成である。この遮音壁Wは道路Rの長手方向に沿って一定の間隔をおいて、かつ隣接する溝部Mが互いに対向する姿勢となるように立設したH型鋼製のパネル取付支柱(以下、単に支柱と略記する。)2の間に、複数の遮音パネル3を固定する。遮音パネル3は、道路内で発生した音を吸音して道路の外に漏出することを防止又は抑制するものであり、支柱2に道路の内側(前面側)から設けられる。遮音パネル3は、遮音壁Wが所定の高さとなるように上下に積み重ねた状態に取りつけられている。
【0027】
図1に示すように、支柱2の下端部分には、高速道路Rの側壁Sに固定するための取り付け部2aが設けられており、当該取り付け部2aには、支柱落下防止ワイヤー6が挿通されている。支柱落下防止ワイヤー6が複数の支柱を連結しているため、自動車の衝突などにより支柱2の取り付け部2aが側壁Sから外れた場合でも、当該支柱2が道路下に落下することが防止される。
【0028】
遮音パネル3は、
図3に示すように、道路の内側に位置する前面に位置するパンチングメタル7とケーシング9とが組み合わされて構成されている。ケーシング9は一面が開口した箱状の部材であって、内部に吸音材8が収納され、パンチングメタル7は、当該ケーシング9の開口部分を閉塞するように構成される。
【0029】
ケーシング9は、パンチングメタル等の7によって閉塞される開口が前面に設けられた扁平形状の金属製部材であり、両端に支柱に取り付けるための取付部10が設けられている。また、ケーシング9には、
図2及び
図4に示すように、パンチングメタル等の7の透孔から内部に浸透した雨などを外部に排出するための水抜き穴9aが設けられている。
【0030】
遮音パネル3は、
図3に示すように、吸音材8をケーシング内に収納させ、ケーシングの開口をパンチングメタル等の7で閉塞するように組立てられ、ケーシング9の取付部10に設けられたビス孔11にボルト・ナット12を通して、支柱2の前面壁2fに固定する。
【0031】
遮音パネル3は、パンチングメタル7が道路の内側に位置するように取りつけられ、道路内で発生した音をパンチングメタル7の透孔を通してケーシング9内の吸音材8に吸音させることで、音が道路外に漏れることを防止又は抑制する。
【0032】
吸音材8は、通常使用されるものが使用可能である。一般にはグラスウールやポリエステルなどの繊維体が用いられるが、ポリウレタンフォームなどの多孔質体、セラミックなどの粉末焼結体などでもよく、その種類は特に限定されるものではない。なお、繊維体を吸音材8として用いる場合は、飛散防止などの保護フィルムを設けることが好ましい。
【0033】
ケーシング9の厚み寸法は、高さ方向中央部分が若干薄く上下端部側が厚くなるように幅方向に伸びるリブが形成されて構成され、厚み方向の外力に対する強度が確保されている。当該中央部分は、後述するように落下防止金具13が配置される。
【0034】
遮音パネル3の背面側には、落下防止金具13が設けられ、当該落下防止部材13に、パネル用落下防止ワイヤー14を挿通させることで、複数の遮音パネル3を連結し、自動車の衝突などにより変形、屈曲した遮音パネル3が支柱2から道路下に落下することを防止する。
【0035】
落下防止金具13には、パネル用落下防止ワイヤー14が挿通されており、当該パネル用落下防止ワイヤー14により複数枚のパネルが互いに又は支柱と連結されることにより、任意の遮音パネルが支柱2から外れた場合であっても、当該パネルが落下することを防止する。
【0036】
落下防止金具13は、
図4,
図5に示すように、1本の断面円形の棒状部材(本実施形態ではφ8の綱線)を折り曲げて作成されており、らせん状部15、棹体部16、固定部17とで構成され、ケーシング9の背面に直接固定される。
【0037】
パネル用落下防止ワイヤー14は、
図1に示すように、1本の支柱2に連結する複数の遮音パネル3を連結する。なお、
図1においては、中央の支柱にのみパネル用落下防止ワイヤー14を表記しており、両端の支柱については、視認できない部分の記載を省略している。パネル用落下防止ワイヤーの両端(先端14a,終端14b)は支柱2の溝部M内の下端近傍に固定されている。パネル用落下防止ワイヤーの始端14aは、図示右側の溝部Mに固定され、支柱2の上の上方へ引回され、上側から対向する図示左側の遮音パネル3の落下防止金具13に挿通される。さらに、支柱2の下端部分にある程度の余長を設けて、相対する右側の遮音パネル3の落下防止金具13を下側から挿通し、図示左側の溝部M内を下降し、終端14bが溝部M内に固定される。
【0038】
落下防止金具13のらせん状部15は、らせん状に曲げられており、中央部分にパネル用落下防止ワイヤー14が挿通される挿通空間18を画定する。また、らせん状部15の巻数は、遮音パネル3が支柱2から脱落した時にパネル用落下防止ワイヤー14から容易に外れない程度であればよく、らせんのピッチDにもよるが、概ね2巻き以上であればこの機能を確保することができる。
【0039】
らせんのピッチDは、
図6を用いて後述するパネル用落下防止ワイヤー14の挿通作業を行うことができればよく、パネル用落下防止ワイヤー14の径寸法以上であることが好ましい。後述するように、当該らせん状部15の隙間19を通して、パネル用落下防止ワイヤー14をらせん状部の挿通空間18内へ挿通する。また、らせん状部15の先端15aは開放端になっていることが必要であるが、例えば、開放端の先端15aに返しなどを設けて、パネル用落下防止ワイヤー14が脱落しにくいように構成することもできる。
【0040】
棹体部16は、らせん状部15下端かららせん状部15の軸に沿って伸びており、さらに下端が略90°折り曲げられて固定部17となっている。棹体部16は、固定部17とらせん状部15との間の間隔を確保し、パネル用落下防止ワイヤー14の挿通作業を容易にするために必要に応じて設けられ、長さとしては概ね数センチメートル程度あれば十分である。
【0041】
固定部17は、らせん状部15の軸に対して交差する方向、本実施形態では、直交する方向に伸び、先端に設けられた雄ネジ17bにより、遮音パネル3の背面に落下防止金具13を固定する。固定部17は、
図3に示すように、ケーシング9の背面に設けられた固定穴22に挿入され、緩み止めナット20a及び固定ナット20bを雄ネジ17bに螺合することによって、ケーシング9の背面側に直接固定される。このときらせん状部15のらせん軸が、遮音パネル3の短手方向に沿うような方向に配置することが好ましい。
【0042】
図6は、パネル用落下防止ワイヤーを落下防止金具に挿通する工程を示す図である。パネル用落下防止ワイヤーを落下防止金具に挿通するには、パネル用落下防止ワイヤー14の中間部分をらせん状部15の隙間19に挿入し、矢印90に示すように、パネル用落下防止ワイヤー14をらせん状部15に沿って当該隙間19内で移動させ、らせん状部15の先端15aから挿通空間18内へ挿入する。これにより、パネル用落下防止ワイヤー14の中間部分から落下防止金具13に挿通させることができ、両者間の脱着を容易にすることができる。
【0043】
落下防止金具13は、一本の棒状部材を折り曲げてらせん状部を構成し、当該らせん状部により画定される挿通空間にパネル用落下防止ワイヤー14を通すことによって、落下防止金具13とパネル用落下防止ワイヤー14とを連結させるものであり、一度連結させたパネル用落下防止ワイヤー14は容易に外れることはない。また、複数の部材を組み合わせて結合させたり、環状部分の一部を可動するように構成したものではないため、製造が容易である。さらに、落下防止部材13は使用時に長期にわたり風雨にさらされるが、上記のように結合部分や可動部分が存在しないことから、ゆるみや破損などの問題が発生することなく、品質が経年劣化しない。
【0044】
図7は、落下防止金具の他の構成例を示す斜視図である。
図5に示す落下防止金具13は、断面円形状の固定部17によって遮音パネル3の背面側に螺合されているものであるため、ナット20a,20bの締め付け強度が十分ではない場合などは、当該落下防止金具13が回転して脱落してしまう場合がある。
【0045】
この問題を解消するために、具体的には、
図7に示すように、棹体部16に回転防止部の一例としての回転防止ピン21を固定部17と並列するように突設し、当該回転防止ピン21の先端部分を遮音パネル3に設けられた差込孔23に挿入することで、落下防止金具13aの回転を防止することができる。
【0046】
図8は、落下防止金具のさらなる他の構成例を示す斜視図である。
図9は、
図8の落下防止金具の部分拡大斜視図である。
図8に示す落下防止金具24は、上記の通り落下防止金具が回転して脱落するのを防止するために、遮音パネル3に対して回転しないように、固定部25にまわり止め機構を付加している。
【0047】
図9に示すように、落下防止金具24においては、固定部25の雄ネジ26の側面を切削して平坦部27とし、固定部25の断面形状を略楕円形に構成したものである。固定部25の断面形状を非円形状とし、また、
図10に示すように断面形状に対応した長穴形状の固定穴28をとすることによって、固定部25が固定穴28に嵌装されて落下防止金具24が固定部25を中心として回転しないようにすることができる。
【0048】
なお、遮音パネル3と落下防止金具24の固定は、
図10に示すように、遮音パネル3のケーシング9の両面に配置される緩み止めナット20a及び固定ナット20bを用いて行うことができる。
【0049】
また、本実施形態の変形例として、
図11に示すように、落下防止金具24aは、棹体部をなくし、らせん状部15と固定部25とが直接つながるように構成されていてもよい。
【0050】
図12は、落下防止金具のさらなる他の構成例を示す斜視図である。
図12に示す落下防止金具29は、構成として、断面円形の雄ネジ26の根本部分にフランジ部30を設け、当該フランジ部30に回り止めリブ31を備えることによって、当該回り止めリブ31と雄ネジ26で構成される固定部25の断面形状を非円形状にした構成である。
【0051】
この構成では、パネルの背面に設けられる固定穴を回り止めリブ31と雄ネジ26の外縁に沿った形状にし、フランジ部30の当接面30aまで固定部25を挿入することにより、落下防止金具29が雄ネジ26周りに回転することが防止される。また、フランジ部30によって、遮音パネル3の背面側に取り付ける緩み止めナット20aが不要である。
【0052】
次に高速道路に沿って隣接する各支柱2,2間に、上記遮音パネル3を取りつける手順について説明する。
【0053】
上記の通り、遮音パネル3は、支柱2,2の前面壁2f手前側に固定する。この作業は、まず、
図1に示すように、パネル用落下防止ワイヤー14の両端を支柱2の下方部に固定し、支柱2に沿って
図1に示す敷設経路となるようにある程度の余長をもって配置する。なお、パネル用落下防止ワイヤー14は、支柱2への固定時は、各遮音パネル3と連結しない。
【0054】
その後、
図6を用いて上記した手順により、遮音パネル3の背面側(外側)に設けられた落下防止金具13の挿通空間18にパネル用落下防止ワイヤー14を挿通させる。上記の通り、パネル用落下防止ワイヤー14は、余長をもって敷設されているため、パネル用落下防止ワイヤー14を支柱2の手前側に引っ張って挿通作業を行うことができる。
【0055】
このようにして、落下防止金具13とパネル用落下防止ワイヤー14が連結された遮音パネル3の取付部10を支柱2の前面壁2f手前側に当接させて、ビス孔11及び前面壁2fに貫設しているボルト挿通孔を合致させ、ボルト・ナット12によって遮音パネル3を支柱2,2に固着する。
【0056】
なお、遮音パネル3の取り外しは、上記と逆の手順により行えばよく、遮音パネル3を支柱2,2から外し、落下防止金具13とパネル用落下防止ワイヤー14との連結を外すようにして行う。
【0057】
以下、同様にして遮音パネル3とパネル用落下防止ワイヤー14とを連結させて遮音パネル3を上下方向に重ねて配置する。本実施形態では、パネル用落下防止ワイヤー14及びらせん状部のらせん軸が遮音パネル3の短手方向に沿って設けられているため、遮音パネル3を上下方向に退避させることで、落下防止金具13やパネル用落下防止ワイヤー14に手が届きやすく、両者の脱着作業を行うことができ、作業効率をよくすることができる。
【0058】
このように構成した遮音壁Wに、例えば、自動車が衝突した場合、遮音パネル3道路外に向かって屈折変形した状態で押し出されるが、支柱2間にはパネル用落下防止ワイヤー14が固定されていて、このパネル用落下防止ワイヤー14に遮音パネル3に突設している落下防止金具13が連結されているから、遮音パネル3が両側の支柱2から外れても、このパネル用落下防止ワイヤー14によって吊支されて、下方に落下することがない。
【0059】
本実施形態によれば、損傷した遮音パネル3のみ交換する場合、落下防止金具13とパネル用落下防止ワイヤー14の脱着は、パネル用落下防止ワイヤー14の中間部分から行うことができるため、遮音パネル3の取り換え作業において、パネル用落下防止ワイヤー14を支柱2から取り外す必要がない。また、パネル用落下防止ワイヤー14の余長を利用して遮音パネル3を道路手前(前面)側へ引き出して行うことができるため、高速道路の内側から作業することができるという利点がある。
【0060】
(第2実施形態)
図13は、本発明の第2実施形態にかかるパネル取り付け構造の支柱取り付け部分の構成を示す拡大断面図である。本実施形態にかかるパネル取り付け構造41は、第1実施形態にかかる遮音パネル取付構造1と基本的構成を共通にするため、以下、相違点を中心に説明を進める。
【0061】
本実施形態で使用されるパネル42は、
図13に示すように、薄手のパネルであり、遮音効果としては、第1実施形態において使用されるパネルよりも低いが、軽量で薄手に構成できる利点があり、隠蔽パネルとして好適に使用できる。
【0062】
パネル42の取付部10には、断面L字型の側面フレーム43が設けられる。側面フレーム43は、パネルの両端に設けられている取付部10の補強及び落下防止金具24a、45の取り付けのためにパネルの背面側に設けられ、パネル42の厚み方向に伸びる。
【0063】
側面フレーム43は、支柱2の近接縁からの距離Gが、道路側からのパネルの取り付け及び取り外しの際に、支柱に落下防止金具24a、45が干渉しないように構成されている。
【0064】
落下防止金具24a、45は、側面フレーム43に固定されており、側面フレーム43に設けられた固定穴44に挿入され、緩み止めナット20a及び固定ナット20bを雄ネジ17bに螺合することによって、遮音パネルの背面側に配置される。
【0065】
本実施形態にかかるパネル取り付け構造41においては、異なる構成の2種類の落下防止金具24a、45を併用する。第1の落下防止金具24aは、
図11に示す構成であり、他方の第2の落下防止金具45は、
図14及び
図15に示す構成を有する。
【0066】
第1の落下防止金具24aと第2の落下防止金具45は、らせん状部15,46の構成において、第1の落下防止金具24aにおいては、らせん状部15が右巻きであるのに対し、第2の落下防止金具においては、らせん状部46が左巻きである。
【0067】
また、本実施形態においては、落下防止金具24a、45は、
図15に示すように、らせん状部15,46の先端15a,46aは固定部17の延在方向位置よりも若干余分に巻きが生じる位置に配置される。このことにより、パネル42が支柱からはずれ、パネル用落下防止ワイヤーで吊り下げられた状態になった場合でも先端位置かららせんの隙間にワイヤーが入り込むことを防止することができ、パネル用落下防止ワイヤー14の逸脱を発生させにくくなる。なお、本実施形態では、固定部17の延在方向に対して40°ほど余分に巻きが生じるように構成されている。
【0068】
図13においては、パネル42の両端にそれぞれ異なる落下防止金具24a、45を取り付けている。左右に取り付ける金具のらせんの向きを変えることによって、パネル42が支柱2から外れてパネル用落下防止ワイヤー14に吊り下げられた状態で落下する際に、らせんの向きに応じてパネル用落下防止ワイヤー14が右あるいは左に撚れて回ることがあるが、どちらか一方の落下防止金具24a、45に対しては必ず逆回転になるため、落下防止金具からパネル用落下防止ワイヤー14が自然に逸脱する可能性が低くなるという効果がある。一方で、パネルの取り付け時及び取り外し作業時においては、それぞれ単独でパネル用落下防止ワイヤー14の脱着作業を行うため、作業の負担が増すことがない。
【0069】
なお、2種類の落下防止金具24a、45は、1つのパネルに2種類設けられている必要はなく、例えば、左右の取り付け位置に同じ落下防止金具をそれぞれ取り付けた2種類のパネルを組み合わせて配置するようにしてもよい。例えば、第1の落下防止金具13を取り付けたパネルの上に、第2の落下防止金具45を取り付けたパネルを縦方向(パネルの短手方向)に並べて配置するように構成してもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施形態にかかる遮音パネル取付構造によれば、遮音パネル3に設けられている落下防止金具13とパネル用落下防止ワイヤー14との脱着をパネル用落下防止ワイヤー14の中間部分から行うことができるため、パネル用落下防止ワイヤー14を分解することなく、破損したパネル単体のみを取り外して交換することができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、落下防止金具13は、
図6に図示したように一本の棒状部材を折り曲げて構成されたもの以外に、例えば、らせん状部15の中間位置に雄ネジ部が直接取りつけられており、らせん状部15の両端が開放するように構成されていてもよい。
【0072】
また、落下防止金具の回転防止を防止するための断面が非円形の固定部の形状は、略楕円形に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0073】
さらに、上記実施形態では、らせん状部は、吊支強度に優れたコイル状のらせん形状をしているが、例えば、一平面内で渦巻き状に構成されていてもよい。この構成によっても、落下防止金具とパネル用落下防止ワイヤーとの脱着をパネル用落下防止ワイヤーの中間部分から行うことができ、かつ、個々の遮音パネルが支柱から脱落した場合であっても当該遮音パネルの落下を防止することができる。
【0074】
また、上記実施形態は遮音パネル取付構造として説明したが、例えば、道路の内側と外側とを隠蔽するための隠蔽パネルの取り付け構造においても同様に適用することが可能である。また、道路に沿って設けられる他に、間隔をおいて配置される支柱の間に取り付けられる建築用カーテンウォールパネルなどの装着にも適用可能である。
【0075】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。