(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記距離測定手段は、前記定位置範囲の中心に対して前記列車の進行方向側にずれて設置され、前記列車の進行方向に対して後方の前記車両端との距離を測定する請求項1記載の列車位置検知装置。
前記距離測定手段は、前記列車に設けられた車両扉をレーザで走査して前記車両扉との間の距離を検出可能な位置に配置される請求項1から請求項5の何れか1項記載の列車位置検知装置。
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の前記距離測定手段によって測定された前記距離の変化に基づいて、前記列車が停止したか否かを判定する停止判定手段を備える列車停止検知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の検知装置では、測距装置によって車両連結部の両側の車両のエッジ部までの距離を得る必要がある。しかしながら、車両連結部の中心位置と測距装置との位置にずれが大きくなるほど、一方の車両のエッジ部までの距離を検出できても、他方の車両のエッジ部までの距離を検出できない。
【0006】
この理由は、車両連結部の中心位置と測距装置との位置のずれが大きいと、
図19に示すように、測距装置112からの放射ビームが手前側の車両116の車両外枠130に遮られ、車両連結部118の車両116側を走査できず、この車両116のエッジ部(車両端A)を検知できないためである。
このため、車両連結部の両側の車両のエッジ部の位置を求める検知装置では、車両の停止位置を正しく判定できない場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、列車が定位置に停止していることをより確実に検知できる、列車位置検知装置及び列車位置検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の列車位置検知装置、列車停止検知装置、並びに列車位置検知方法及び列車停止検知方法は以下の手段を採用する。
【0009】
本発明の第一態様に係る列車位置検知装置は、列車の車両連結部が駅に対して予め定められた定位置範囲であることを検知する列車位置検知装置であって、前記定位置範囲の中心位置からずれて前記駅に設置され、前記車両連結部における一方の車両端との距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段によって測定された前記距離に基づいて、前記車両連結部と前記定位置範囲との位置関係を判定する判定手段と、を備える。
【0010】
本構成に係る列車位置検知装置は、列車の車両連結部が駅に対して予め定められた定位置範囲であることを検知する。
【0011】
駅には車両までの距離を測定する距離測定手段が設置される。この距離測定手段は、定位置範囲の中心位置からずれて駅に設置され、車両連結部における一方の車両端との距離を測定する。
距離測定手段は、定位置範囲の中心位置からずらして駅に設置されることで、車両連結部において距離測定手段をずらした方向とは逆側の車両端までの距離を、列車の位置に関わらず測定できる。そして、測定された一方の車両端との距離に基づいて、車両連結部と定位置範囲との位置関係が判定手段によって判定される。
【0012】
従って、本構成によれば、列車が定位置に停止していることをより確実に検知できる。
【0013】
上記第一態様では、前記距離測定手段が、前記定位置範囲の中心に対して前記列車の進行方向側にずれて設置され、前記列車の進行方向に対して後方の前記車両端との距離を測定してもよい。
【0014】
本構成によれば、車両連結部における車両端までの距離を距離測定手段がより確実に測定できる。
【0015】
上記第一態様では、前記距離測定手段が、第1距離測定手段及び第2距離測定手段であり、前記第1距離測定手段が、前記定位置範囲の中心位置からずれて前記駅に設置され、前記車両連結部における一方の車両端との距離である第1距離を測定し、前記第2距離測定手段が、前記定位置範囲の中心位置を基準に前記第1距離測定手段の設置位置とは逆側に設置され、前記車両連結部における他方の車両端との距離である第2距離を測定し、前記判定手段が、前記第1距離及び前記第2距離に基づいて、前記車両連結部と前記定位置範囲との位置関係を判定する。
【0016】
本構成に係る列車位置検知装置は、車両までの距離を測定する第1距離測定手段及び第2距離測定手段が駅に設置される。
【0017】
この第1距離測定手段は、定位置範囲の中心位置からずれて駅に設置され、車両連結部における一方の車両端との距離である第1距離を測定する。また、第2距離測定手段は、定位置範囲の中心位置を基準に第1距離測定手段の設置位置とは逆側に設置される。そして、第2距離測定手段は、車両連結部における他方の車両端との距離である第2距離を測定する。
第1距離測定手段及び第2距離測定手段は、定位置範囲の中心位置からずれて駅に設置されることで、車両連結部において各々ずらした方向とは逆側の車両端までの距離を測定できる。そして、列車の位置に関わらず測定される第1距離と第2距離とに基づいて、車両連結部と定位置範囲との位置関係が判定手段によって判定される。
【0018】
従って、本構成によれば、列車の位置に関わらず車両連結部における両側の車両端を検知できるので、列車が定位置に停止していることをより確実に検知できる。
【0019】
本発明の第二態様に係る列車位置検知装置は、列車の車両連結部が駅に対して予め定められた定位置範囲であることを検知する列車位置検知装置であって、前記定位置範囲の中心位置に対応して前記駅に設置され、前記車両連結部における一方の車両端との距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段によって測定された前記距離に基づいて、前記車両連結部と前記定位置範囲との位置関係を判定する判定手段と、を備え、前記距離測定手段は、前記列車の進行方向に対して前方の前記車両端を検知できない場合に、後方の前記車両端との距離を測定し、前記列車の進行方向に対して後方の前記車両端を検知できない場合に、前方の前記車両端との距離を測定する。
【0020】
本構成に係る列車位置検知装置は、列車の車両連結部が駅に対して予め定められた定位置範囲であることを検知する。
【0021】
駅には車両までの距離を測定する距離測定手段が設置される。この距離測定手段は、定位置範囲の中心位置に対応して駅に設置され、車両連結部における一方の車両端との距離を測定する。
この距離測定手段は、列車の進行方向に対して前方の車両端を検知できない場合に、後方の車両端との距離を測定し、列車の進行方向に対して後方の車両端を検知できない場合に、前方の前記車両端との距離を測定する。すなわち、距離測定手段は、距離測定の対象となる車両端を切り替える。
そして、列車の位置に関わらず測定される一方の車両端との距離に基づいて、車両連結部と定位置範囲との位置関係が判定手段によって判定される。
【0022】
このように、本構成によれば、距離測定の対象となる車両端が切り替えられるので、列車が定位置に停止していることをより確実に検知できる。
【0023】
上記第一態様又は第二態様では、前記定位置範囲が、前記列車の種類に応じて予め定められてもよい。
【0024】
本構成によれば、駅に停止する列車の種類が異なっても、列車に応じた定位置を検知できる。
【0025】
上記第一態様又は第二態様では、距離測定手段が、前記列車に設けられた車両扉をレーザで走査して前記車両扉との間の距離を検出可能な位置に配置されてもよい。
【0026】
本構成によれば、列車の定位置と共に、車両扉の開閉状態も検出できる。また、距離測定手段が車両からより離れた位置に配置されることとなるため、車両連結部に対する測定可能範囲が大きくなり、測定点数が多くなるので、車両端の検出精度を上げることができる。
【0027】
本発明の第三態様に係る列車停止検知装置は、上記記載の前記距離測定手段によって測定された前記距離の変化に基づいて、前記列車が停止したか否かを判定する停止判定手段を備える。
【0028】
本発明の第四態様に係る列車位置検知方法は、列車の車両連結部が駅に対して予め定められた定位置範囲であることを検知する列車位置検知方法であって、前記定位置範囲の中心位置からずれて前記駅に設置された距離測定手段によって、前記車両連結部における一方の車両端との距離を測定する第1工程と、前記距離測定手段によって測定された前記距離に基づいて、前記車両連結部と前記定位置範囲との位置関係を判定する第2工程と、を有する。
【0029】
本発明の第五態様に係る列車位置検知方法は、列車の車両連結部が駅に対して予め定められた定位置範囲であることを検知する列車位置検知方法であって、前記定位置範囲の中心位置に対応して前記駅に設置された距離測定手段によって、前記車両連結部における一方の車両端との距離を測定する第1工程と、前記距離測定手段によって測定された前記距離に基づいて、前記車両連結部と前記定位置範囲との位置関係を判定する第2工程と、を有し、前記第1工程は、前記列車の進行方向に対して前方の前記車両端を前記距離測定手段が検知できない場合に、前記距離測定手段が後方の前記車両端との距離を測定し、前記列車の進行方向に対して後方の前記車両端を前記距離測定手段が検知できない場合に、前記距離測定手段が前方の前記車両端との距離を測定する。
【0030】
本発明の第六態様に係る列車停止検知方法は、上記記載の前記距離測定手段によって測定された前記距離の変化に基づいて、前記列車が停止したか否かを判定する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、列車が定位置に停止していることをより確実に検知できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係る列車位置検知装置、列車停止検知装置、並びに列車位置検知方法及び列車停止検知方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本第1実施形態に係る列車位置検知装置(列車定位置停止検知装置)は、列車の車両連結部が駅に対して予め定められた定位置範囲であることを検知するものである。
【0035】
図1は、列車定位置停止検知装置10(
図6も参照)が備える距離測定装置(以下「測距装置」という。)12と、駅のプラットホームに停止する列車14との位置関係を示す模式図である。
図1(A)は列車14の側面図であり、
図1(B)は列車14の縦断面図である。また、
図1(C)は測距装置12による測定結果の一例である。なお、列車14が図示される
図1及び他の図面において、列車14の進行方向を図面右側から左側としている。すなわち、列車14が図示される図面の左側が列車14の前方であり、右側が列車14の後方である。
【0036】
ここで、列車14に列車定位置停止装置が備えられておらず、駅のプラットホームにホームドアが設置されている場合、列車は、プラットホーム近傍の線路脇に設置されている停止位置目標(停目ともいう。)22を目標として停止する。また、列車は、ホームドアの開口幅内に車両16のドアの開口が収まるように定位置停止範囲内に停止することが求められる。そして、列車14が定位置停止範囲内に停止した後に、ホームドアと車両ドアが開かれる。
【0037】
この場合、列車14は、複数の車両16が車両連結部18で連結されており、車両連結部18が予め定められた定位置範囲20の位置で停止となる。この定位置範囲20は、例えば、列車14の停止精度と駅のプラットホームに設置されるホームドアの開口幅等に基づいて予め定められる。
また、定位置範囲20は、列車14の種類に応じて予め定められている。例えば、他の列車14に比べて先頭車両が長い列車14は、他の列車14に比べて定位置範囲20が列車進行方向に対して後ろ側となる。
なお、列車14の種類が異なっても列車の停止位置が同一とされる駅(プラットホーム)では、列車14の種類に関係なく定位置範囲20は同一とされる。
【0038】
なお、本実施形態に係る列車定位置停止検知装置10では、定位置範囲20の列車進行方向側はオーバ範囲24とされる、一方、定位置範囲20の列車進行方向逆側はショート範囲26とされる。すなわち、車両連結部18が定位置範囲20を超えたオーバ範囲24で停止すると、オーバ停止となる。一方、車両連結部18が定位置範囲20よりも手前のショート範囲26で停止すると、ショート停止となる。なお、オーバ範囲24及びショート範囲26も予め定められている。
【0039】
測距装置12は、レーザ走査により列車14までの距離を測定するものであり、定位置範囲20の中心位置20CLからずれて、すなわちオフセットして駅に設置される。測距装置12の設置位置の具体例は、例えば、列車14が到着するプラットホームの上方(例えば屋根下)やプラットホーム近辺の軌道(線路)脇等であり、列車14までの距離を測定できる位置であれば限定されない。本実施形態に係る測距装置12は、
図1(B)に示されるように、一例として列車14に対して斜め上方となるように駅のプラットホームの上方に設置される。
【0040】
そして、測距装置12は、列車14が駅に停止した場合に、車両連結部18における一方の車両端(一例として、車両16のエッジ部)との距離を測定する。
なお、測距装置12の測定対象とされる車両連結部18は、列車14の前方側、中央近辺、又は後方側の何れでも構わない。
また、
図1に示されるように、測距装置12は、車両16の側面に対してレーザを照射して車両16までの距離を測定するが、これに限らず、車両16の屋根に対してレーザを照射して車両16までの距離を測定してもよい。
【0041】
より具体的には、本第1実施形態に係る測距装置12は、定位置範囲20の中心位置20CLに対して列車14の進行方向側にずれて設置され、列車14の進行方向に対して後方の車両端(以下「後方車両端」という。)16Rとの距離を測定する。
図1の例では、測距装置12は、定位置範囲20外の列車進行方向側、すなわちオーバ範囲24側にオフセットして設置される。
車両連結部18における後方車両端16Rが測距装置12の位置よりも列車進行方向側で停止(大幅なオーバ停止)することはほぼないため、
図1のように測距装置12が設置されることで、測距装置12と後方車両端16Rとの距離がより確実に測定できる。
なお、測距装置12は、レーザ走査範囲が少なくともオーバ範囲24、定位置範囲20、ショート範囲26を含むように設置される必要がある。これにより、列車14が想定される範囲内でオーバ停止又はショート停止しても、測距装置12による後方車両端16Rまでの距離の測定が可能となる。
【0042】
そして、測距装置12がレーザ走査をすることによって、車両端の形状(以下「車両端形状」という。)が検出される。
図1(C)に示されるように、オフセットして設置された測距装置12によって後方車両端16Rの形状は検出できる。一方、前方の車両端(以下「前方車両端」という。)16Lの形状は検出できない。この理由は、前方車両端16L側の車両外枠30によって測距装置12からのレーザが遮られるためである。
すなわち、本第1実施形態に係る列車定位置停止検知装置10は、後方車両端16Rのみを検出することを前提としたものである。
【0043】
図2は、本第1実施形態に係る測距装置12によるレーザ走査範囲の一例である。測距装置12は、列車14の方向を90°、本図では列車進行方向が0°(基点角度)となり、−45°から+225°(最大走査角度幅270°)の範囲において、所定角度毎にレーザの照射角度を変化させてレーザ走査を行う。
【0044】
次に、
図3を参照して、測距装置12による距離測定方法について説明する。
図3に示されるように、列車進行方向と平行な方向をX軸とし、X軸に直交する方向をY軸とする。
【0045】
測距装置12は、基点角度(θ=0°)から一定角度毎にレーザを照射し、このレーザ(線A
1)によって測距装置12から車両16(車両外枠30及び車両連結部18)までの距離を測定する。線A
1と線A
1に対応する角度θ
1に基づいて、X軸方向の距離A
1XとY軸方向の距離A
1Yとを算出し、XY座標点A
1XYを検出する。
同様にして、一定角度毎にn本のレーザ(線A
n)を車両16及び車両連結部18に照射し、X軸方向の距離A
nXとY軸方向の距離A
nYとを算出し、n個のXY座標点を検出する。なお、A
1からA
nまでのレーザ照射を1スキャンと定義する。
このn個のXY座標点を結ぶことで車両16及び車両連結部18の形状が得られる。
【0046】
このように検出したn個のXY座標点に基づいて、X方向(列車進行方向)に直線的であった形状がY軸方向に略直角(90°)に変化する位置、すなわち車両16のエッジが後方車両端16Rの位置(以下「後方車両端位置R
X」という。)として検出される。
【0047】
そして、検出された後方車両端位置R
Xを用いて、車両連結部18と定位置範囲20との位置関係が判定される。
なお、測距装置12の位置及び定位置範囲20も後方車両端位置R
Xと同じXY座標空間で表される。すなわち、後方車両端位置R
Xと定位置範囲20とを比較することで、車両連結部18と定位置範囲20との位置関係が判定可能である。
【0048】
次に、車両連結部18と定位置範囲20との位置関係を判定する定位置停止判定方法の一例を説明する。
まず、定位置範囲20を基準として閾値TPL(Threshold Position Left)と閾値TPR(Threshold Position Right)を予め設定する。閾値TPL及び閾値TPRは、車両連結部18の中心位置18CLが定位置範囲20であることを判定するため閾値であり、閾値TPLは定位置範囲20の左側(列車進行方向側)の閾値であり、閾値TPRは定位置範囲20の右側(列車進行方向逆側)の閾値である。
一方、後方車両端位置R
Xに所定値αを減算することで、車両連結部18の中心位置18CLが算出される。所定値αは、車両連結部18の長さの半値である。なお、車両連結部18の長さは、列車14の種類に関わらず、略同じである。
【0049】
そして、TPL<R
X−α<TPRの場合に、列車14は定位置範囲20で停止したと判定される。一方、R
X−α≧TPRの場合、列車14はショート範囲26で停止したと判定され、R
X−α≦TPLの場合、列車14はオーバ範囲24で停止したと判定される。
【0050】
図4は列車14の停止位置の例を示し、
図5は
図4に対応する車両連結部18の後方車両端16Rの検出結果示した模式図である。
【0051】
図4(A)及び
図5(A)では、車両連結部18の中心位置18CLが閾値TPRよりも大きいため、列車14はショート範囲26での停止とされる。
図4(B)及び
図5(B)から
図4(D)及び
図5(D)では、車両連結部18の中心位置18CLは、閾値TPLと閾値TPRとの間であるため、列車14は定位置範囲20で停止したとされる。
一方、
図4(E)及び
図5(E)では、車両連結部18の中心位置18CLは、閾値TPLよりも小さいため、列車14はオーバ範囲24での停止とされる。
【0052】
図6は、本第1実施形態に係る列車定位置停止検知装置10の電気的構成を示すブロック図である。
列車定位置停止検知装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0053】
列車定位置停止検知装置10は、測距装置12及び演算処理部40を備える。なお、列車定位置停止検知装置10は、後述するように停止判定部46を備えているため、列車停止検知装置としても機能する。
演算処理部40は、入力部42、車種情報記憶部43、停止位置判定部44、停止判定部46、及び判定出力部48を備える。
【0054】
入力部42は、測距装置12による列車14までの距離の測定結果が入力され、入力された測定結果を停止位置判定部44及び停止判定部46へ出力する。
【0055】
車種情報記憶部43は、列車14の種類に応じた定位置範囲20等、列車14の種類に応じた各種情報を記憶している。なお、駅のプラットホームに進入した列車14の種類は、例えば、列車14の運行情報、列車14に備えられたICタグの読み取り、又は駅に備えられている車種判別装置等によって判定される。
【0056】
停止位置判定部44は、上述した定位置停止判定方法に基づいて、車両連結部18と定位置範囲20との位置関係を判定する。車両連結部18の中心位置18CLと定位置範囲20の中心位置20CLとのずれ量(距離)も算出される。なお、停止位置判定部44で行う定位置停止判定方法で用いられる定位置範囲20は、プラットホームに進入してきた列車14の種類に応じて車種情報記憶部43から読み出される。
なお、列車14の種類が異なっても列車の停止位置が同一とされる駅(プラットホーム)では、車種情報記憶部43から列車14の種類に応じ定位置範囲20を読み出すことなく、予め定められた定位置範囲20によって、定位置停止判定が行われる。
【0057】
停止判定部46は、測距装置12によって測定された車両端(本第1実施形態では後方車両端16R)までの距離の変化に基づいて、列車14が停止したか否かを判定する。すなわち、測距装置12から車両端までの距離に変化が生じている場合は、列車14は走行中であると判定され、該変化が生じない状態が予め定められる確定時間(t)を経過した場合は、列車14は停止していると判定される。
【0058】
判定出力部48は、停止位置判定部44及び停止判定部46の判定結果が入力され、この判定結果を列車定位置停止検知装置10に接続されている他の装置へ出力する。他の装置とは、例えば、駅のプラットホームに設置されているホームドア等の制御も司る上位設備となる総合制御盤である。また、総合制御盤を介して列車14の表示器等に列車14の停止位置が表示され、乗務員に列車14の停止位置が認識される。これにより、オーバ停止又はショート停止の場合、列車14の運転者は、列車14を再び走行させて列車14を定位置範囲20に停止させる。
【0059】
図7,8は、本第1実施形態に係る定位置停止判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
まず、ステップ100では、例えば駅のプラットホームに設置されている列車在線検知装置が列車14を検知することで、列車14が測距装置12による測距開始位置に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ102へ移行する。
なお、列車14が測距開始位置に到達したことは、例えば、列車進行方向に対してプラットホームの後端に列車在線検知装置(以下「第1在線検知装置」という。)が設置され、この第1在線検知装置が駅に進入してきた列車14の最後端を検知することで判定される。また、列車14の最後端の検知とは、駅に進入してきた列車14が第1在線検知装置を通り過ぎ、第1在線検知装置が列車14を検知しなくなった場合である。
【0061】
ステップ102では、測距装置12が車両連結部18の後方車両端16Rの検出を開始する。
【0062】
次のステップ104では、ステップ102の検出結果に基づいて、
図8の処理に示される列車14の停止位置判定を行う。
【0063】
次のステップ106では、列車在線検知装置によって、列車14が測距終了位置に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合は定位置停止判定処理を終了する。一方、否定判定の場合は、ステップ102へ戻り、各ステップの処理を繰り返す。
なお、列車14が測距終了位置に到達したことは、例えば、第1在線検知装置よりもプラットホームの列車進行方向側に列車在線検知装置(以下「第2在線検知装置」という。)が設置され、この第2在線検知装置が駅に進入してきた列車14の最後端を検知することで判定される。すなわち、列車14は、第1在線検知装置と第2在線検知装置との間が列車14の後端となるように停止する。そして、列車14が発車すると、第2在線検知装置が列車14の最後端を検知するので、これによって測距装置12による後方車両端16Rの検出が終了する。
また、上記の他に、例えば、停止していた列車14の移動を他のセンサで検知した場合等に、定位置停止判定処理を終了してもよい。
【0064】
図8のステップ200では、後方車両端16Rの検出結果に基づいて、列車14の位置がショート範囲26であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ202へ移行する。一方、否定判定の場合は、列車14が測距開始位置に到達しているものの、未だショート範囲26にまで到達していない状態である。
【0065】
ステップ202では、列車14の位置がショート範囲26であり、車両連結部18の中心位置18CLと定位置範囲20の中心位置20CLとのずれ量と共に、判定結果を出力する。
【0066】
ステップ204では、後方車両端16Rの検出結果に基づいて、列車14が移動状態であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ206へ移行する。一方、否定判定の場合、すなわち列車14が停止状態の場合は、ステップ212へ移行する。ステップ212では、列車14が停止状態であることを示す停止出力を行い、定位置停止判定処理を終了する。
【0067】
ステップ206では、後方車両端16Rの検出結果に基づいて、列車14の位置が定位置範囲20であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ208へ移行する。一方、否定判定の場合、すなわち列車14の位置が定位置範囲20でない場合は、列車14は未だショート範囲26で移動しているため、ステップ204へ戻る。
【0068】
ステップ208では、列車14の位置が定位置範囲20であることを示す判定結果を出力する。
【0069】
次のステップ210では、後方車両端16Rの検出結果に基づいて、列車14が停止状態であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ212へ移行する。一方、否定判定の場合、すなわち列車14が移動状態の場合は、ステップ214へ移行する。
【0070】
ステップ214では、後方車両端16Rの検出結果に基づいて、列車14の位置がオーバ範囲24であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ216へ移行する。一方、否定判定の場合、すなわち列車14の位置がオーバ範囲24でない場合は、列車14は未だ定位置範囲20で移動しているため、ステップ210へ戻る。
【0071】
ステップ216では、列車14の位置がオーバ範囲24であり、車両連結部18の中心位置18CLと定位置範囲20の中心位置20CLとのずれ量と共に、判定結果を出力する。
【0072】
次のステップ218では、後方車両端16Rの検出結果に基づいて、列車14が停止状態であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ212へ移行する。一方、否定判定の場合、すなわち列車14が移動状態の場合は、ステップ220へ移行する。
【0073】
ステップ220では、列車14がオーバ範囲24を超え、かつ列車在線検知が無くなったか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ222へ移行する一方、否定判定の場合はステップ118へ戻る。
【0074】
ステップ222では、列車14は駅のプラットホームに停止しない通過列車であることを示す移動判定の出力を行い、定位置停止判定処理を終了する。
【0075】
以上説明したように、本第1実施形態に係る列車定位置停止検知装置10は、定位置範囲20の中心位置20CLからずれて駅に設置された測距装置12によって、車両連結部18における後方車両端16Rとの距離を測定し、測定した距離に基づいて車両連結部18と定位置範囲20との位置関係を判定する。
このように、測距装置12を定位置範囲20の中心位置20CLからずれて駅に設置することで、測距装置12は、車両連結部18において測距装置12をずらした方向とは逆側の車両端までの距離を、列車14の停止位置に関わらず測定できる。
【0076】
従って、本第1実施形態に係る列車定位置停止検知装置10は、列車14が定位置に停止していることをより確実に検知できる。
【0077】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0078】
図9は、本第2実施形態に係る測距装置12と駅のプラットホームに停止する列車14との位置関係を示す模式図である。なお、
図9における
図1と同一の構成部分については
図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0079】
本第2実施形態に係る列車定位置停止検知装置10は、測距装置12として、2つの測距装置12A,12Bを有する。
測距装置12Aは、定位置範囲20の中心位置20CLからずれて駅に設置され、車両連結部18における一方(後方)の後方車両端16Rとの距離である後方車両端距離を測定する。
測距装置12Bは、定位置範囲20の中心位置20CLを基準に測距装置12Aの設置位置とは逆側に設置され、車両連結部18における他方の車両端である前方車両端16Lとの距離である前方車両端距離を測定する。
なお、測距装置12A,12Bは、共に、レーザ走査範囲が少なくともオーバ範囲24、定位置範囲20、ショート範囲26を含むように設置される。
【0080】
図10は、本第2実施形態に係る測距装置12A,12Bによる測定結果の一例である。
図10(A)は測距装置12Aの測定結果の一例であり、
図10(B)は測距装置12Aの測定結果の一例である。
【0081】
図10(A)に示されるように、測距装置12Aによって後方車両端16Rの形状は検出できるものの、前方車両端16Lの形状は検出できない。一方、
図10(B)に示されるように、測距装置12Bによって前方車両端16Lの形状は検出できるものの、後方車両端16Rの形状は検出できない。
【0082】
そして、演算処理部40が備える停止位置判定部44は、後方車両端距離及び前方車両端距離に基づいて、車両連結部18と定位置範囲20との位置関係を判定する。
【0083】
具体的には、後方車両端距離に基づいて後方車両端位置R
Xを求め、前方車両端距離に基づいて前方車両端位置L
Xを求め、後方車両端位置R
Xと前方車両端位置L
Xとの中間を車両連結部18の中心位置18CLとして算出する。
車両連結部18の中心位置18CLが、閾値TPLと閾値TPRとの間の場合には、列車14は定位置範囲20で停止したと判定される。一方、車両連結部18の中心位置18CLが閾値TPLより小さい場合、列車14はオーバ範囲24で停止したと判定され、車両連結部18の中心位置18CLが閾値TPRより大きい場合、列車14はショート範囲26で停止したと判定される。
【0084】
図11は、本第2実施形態に係る定位置停止判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
まず、ステップ300では、例えば駅のプラットホームに設置されている列車在線検知装置が列車14を検知し、この列車14が測距装置12による測距開始位置に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ302へ移行する。
【0086】
ステップ302では、測距装置12A,12Bが車両連結部18の後方車両端16R及び前方車両端16Lの検出を開始する。
【0087】
次のステップ304では、後方車両端距離と前方車両端距離とから、車両連結部18の中心位置18CLを算出する。
【0088】
次のステップ306では、ステップ304の算出結果に基づいて、上述した第1実施形態に係る
図8の処理に示される列車14の停止位置判定を行う。なお、後方車両端16R及び前方車両端16Lの検出及び列車14の停止位置判定は、列車14が停止するまで繰り返し行われる。
【0089】
次のステップ308では、列車在線検知装置によって、列車14が測距終了位置に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合は定位置停止判定処理を終了する。一方、否定判定の場合は、ステップ302へ戻り、各ステップの処理を繰り返す。
【0090】
以上説明した様に、本第2実施形態に係る列車定位置停止検知装置10は、列車14の停止位置に関わらず車両連結部18における両側の車両端(後方車両端16R及び前方車両端16L)を検知できるので、列車14が定位置に停止していることをより確実に検知できる。
【0091】
なお、測距装置12Aと測距装置12Bとは、同一の車両連結部18でなく、各々異なる車両連結部18の前方車両端16L又は後方車両端16Rを検出してもよい。具体的には、例えば、測距装置12Aが列車14の最前方における車両16の後方車両端16Rを検出し、測距装置12Aが列車14の最後方における車両16の前方車両端16Lを検出する。そして、列車定位置停止検知装置10は、これら異なる車両の後方車両端16Rと前方車両端16Lに基づいて、車両連結部18の中心位置18CLを算出する。
【0092】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態に係る測距装置12は、定位置範囲20の中心位置20CLに対応して駅に設置され、車両連結部18における一方の車両端との距離を測定する。すなわち、測距装置12の走査角度90°と定位置範囲20の中心位置20CLとが一致若しくは略一致するように配置される。
【0093】
本第3実施形態に係る測距装置12は、列車14の進行方向に対して前方車両端16Lを検知できない場合に、後方車両端16Rとの距離を測定し、列車14の進行方向に対して後方車両端16Rを検知できない場合に、前方車両端16Lとの距離を測定する。すなわち、測距装置12は、距離測定の対象となる車両端を切り替える。
【0094】
なお、車両連結部18の中心位置18CLは、後方車両端16Rを示す後方車両端位置R
Xを検出した場合、後方車両端位置R
Xに所定値αを減算することで算出される一方、前方車両端16Lを示す前方車両端位置L
Xを検出した場合、前方車両端位置L
Xに所定値αを加算することで算出される。
すなわち、TPL<R
X−α<TPRの場合に、列車14は定位置範囲20で停止したと判定される。一方、R
X−α≧TPRの場合、列車14はショート範囲26で停止したと判定され、L
X+α≦TPLの場合、列車14はオーバ範囲24で停止したと判定される。
【0095】
図12は列車14の停止位置の例を示し、
図13は
図12に対応する車両連結部18の後方車両端16Rの検出結果示した模式図である。
【0096】
図12(A)及び
図13(A)では、車両連結部18の中心位置18CLが、閾値TPRよりも大きいため、列車14はショート範囲26での停止とされる。
図12(B),(C)及び
図13(B),(C)では、車両連結部18の中心位置18CLが、定位置範囲20の中心位置20CLと閾値TPRとの間であり、
図12(D)及び
図13(D)では、車両連結部18の中心位置18CLが、定位置範囲20の中心位置20CLと同じであるため、列車14は定位置範囲20で停止したとされる。
【0097】
ここで、
図12(A)〜(C)及び
図13(A)〜(C)で示されるように、車両連結部18の中心位置18CLが定位置範囲20の中心位置20CLよりもショート範囲26側である場合、測距装置12は、列車14の進行方向に対して前方車両端16Lを検知できない。このため、測距装置12は、後方車両端16Rとの距離を測定する。
なお、
図12(D)及び
図13(D)に示されるように、車両連結部18の中心位置18CLが定位置範囲20の中心位置20CLと一致又は略一致する場合、測距装置12は、後方車両端16R及び前方車両端16Lを検知可能であるが、一例として、測距装置12は、後方車両端16Rまでの距離を測定する。
【0098】
そして、
図12(E)〜(G)及び
図13(E)〜(G)で示されるように、車両連結部18の中心位置18CLが定位置範囲20の中心位置20CLよりもオーバ範囲24側である場合、測距装置12は、後方車両端16Rを検知できないため、距離測定の対象を前方車両端16Lに切り換える。
なお、
図12(E),(F)及び
図13(E),(F)では、車両連結部18の中心位置18CLが、定位置範囲20の中心位置20CLと閾値TPLとの間であり、列車14は定位置範囲20で停止したとされる。
一方、
図12(G)及び
図13(G)では、車両連結部18の中心位置18CLが、閾値TPLよりも小さいため、列車14はオーバ範囲24での停止とされる。
【0099】
図14は、本第3実施形態に係る定位置停止判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0100】
まず、ステップ400では、例えば駅のプラットホームに設置されている列車在線検知装置が列車14を検知し、この列車14が測距装置12による測距開始位置に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ402へ移行する。
【0101】
ステップ402では、測距装置12によって、列車14の車両連結部18の前方車両端16Lを検出可能か否かを判定し、肯定判定の場合はステップ404へ移行し、否定判定の場合はステップ406へ移行する。
【0102】
ステップ404では、測距装置12が車両連結部18の前方車両端16Lの検出を開始し、ステップ408へ移行する。
【0103】
ステップ406では、測距装置12が車両連結部18の後方車両端16Rの検出を開始し、ステップ408へ移行する。
【0104】
ステップ408では、ステップ404又はステップ406の検出結果に基づいて、上述した第1実施形態に係る
図8の処理に示される列車14の停止位置判定を行う。なお、後方車両端16R又は前方車両端16Lの検出及び列車14の停止位置判定は、列車14が停止するまで繰り返し行われる。
【0105】
次のステップ410では、列車在線検知装置によって、列車14が測距終了位置に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合は定位置停止判定処理を終了する。一方、否定判定の場合は、ステップ402へ戻り、各ステップの処理を繰り返す。
【0106】
以上説明した様に、本第3実施形態に係る列車定位置停止検知装置10は、距離測定の対象となる車両端が切り替えられるので、列車14が定位置に停止していることをより確実に検知できる。
【0107】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
図15は、本第4実施形態に係る測距装置12と駅のプラットホームに停止する列車14との位置関係を示す模式図である。
図15(A)は列車14の側面図であり、
図15(B)は列車14の縦断面図である。なお、
図15における
図1と同一の構成部分については
図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0108】
本第4実施形態に係る測距装置12は、車両連結部18との間の距離だけでなく、列車14に設けられた車両扉50をレーザで走査して車両扉50との間の距離を検出可能な位置に配置される。本第4実施形態に係る測距装置12による測定結果は、後述する車両扉検知や車両長検知にも用いられる。
なお、本実施形態では、車両長検出が必要な場合には、測距装置12Cが更に設けられる。
【0109】
測距装置12は、レーザが車両16の側壁面16C及び車両連結部18を照射するように、車両16の側壁面16Cよりも高い位置に配置される。測距装置12Cは、レーザが車両16の前方端部16Aを照射するように、車両16の側壁面16Cよりも高い位置に配置される。そして、測距装置12,12Cは、列車14の車両扉50の窓ガラスの影響や、乗降時の列車14の傾きの変化を考慮して、例えば後述する
図18に示すように、窓ガラスよりも下部に照射される。
なお、測距装置12,12Cは、プラットホーム上の乗客の立ち位置等を考慮して、プラットホームの屋根から吊り下げて設置される。
【0110】
図16は、本第4実施形態に係る測距装置12によるレーザ走査範囲を示す模式図であり、車両16上面を示している。
図16(A)が本第4実施形態に係るレーザ走査範囲を示し、
図16(B)が比較例としての第1実施形態に係るレーザ走査範囲を示す。
本第4実施形態に係る測距装置12は、車両連結部18との間の距離、及び車両扉50との間の距離を測定するため車両16からより離れた位置に配置される。このため、レーザ走査範囲は第1実施形態に係る測距装置12よりも広く、かつ車両連結部18に対する測定可能範囲W(測定可能深さ)が大きくなり、測定点数が多くなる。これにより、第4実施形態に係る測距装置12は、後方車両端16Rの検出精度を上げることが可能となる。
【0111】
図17は、本第4実施形態に係る列車定位置停止検知装置10の電気的構成を示すブロック図である。なお、
図17における
図6と同一の構成部分については
図6と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0112】
入力部42は、測距装置12による列車14までの距離の測定結果が入力され、入力された測定結果を停止位置判定部44、停止判定部46、扉状態判定部60、及び車両長検出部62へ出力する。また、入力部42は、測距装置12Cによる列車14までの距離の測定結果が入力され、入力された測定結果を車両長検出部62へ出力する。
【0113】
扉状態判定部60は、測距装置12において測定され、測距装置12から出力された車両扉50及び戸袋52との間の距離に基づいて、列車14を2次元の座標軸で表し、2次元の座標軸上で表された形状に基づいて、列車14の車両扉50の状態、すなわち車両扉50が開状態、開閉動作中、又は、閉状態にあるかを判定する。
【0114】
図18は、本第4実施形態に係る測距装置12による車両扉50に相当する範囲の測定結果を示すグラフである。
【0115】
測距装置12は、レーザが車両連結部18と共に、列車14の車両扉50及び戸袋52を横断して走査するように配置される。このとき、レーザは、車両扉50だけでなく、車両扉50が収納される戸袋52も照射する。これにより、
図18(A)に示すように、列車14の車両扉50又は戸袋52を反射した光を受光することによって、車両扉50が閉状態にあるときは、戸袋52と車両扉50の境界部分の奥行きも検知できる。したがって、車両停止時の車両扉50の位置や幅を確定できる。
【0116】
列車14の車両扉50が開動作を開始し、開状態となると、
図18(B)及び
図18(C)に示すように、車両扉50に相当する範囲の奥行きが変化し、2次元の座標軸上で表された車両扉50に相当する範囲の形状が変化する。これにより、扉状態判定部60は、列車14の車両扉50が閉状態にあるか、開閉動作中にあるか、又は、開状態にあるかを判定できる。
【0117】
そして、扉状態判定部60の判定結果を用いて、駅のプラットホームに設置されているホームドア装置のドア部の開閉動作を車両扉50の開閉に連動させることができる。
【0118】
次に、車両長検出部62による、プラットホームに停止した列車14の車両16の車両長の検出方法について説明する。
測距装置12Cは、車両16の前方端部16Aを網羅するように走査し、測距装置12は、車両連結部18を含む車両16の後方端部16B(前方車両端16L)を網羅するように走査し、その測定結果が車両長検出部62に入力される。車両長検出部62は、入力された測定結果に基づいて、車両16の端部(前方端部16A、後方端部16B)を検出する。このとき、
図15(A)に示すように、測距装置12の基点と測距装置12Cの基点との間の距離がMであり、測距装置12Cの基点から測距装置12Cが検出する車両16の前方端部16Aまでの距離がLであり、測距装置12の基点から測距装置12が検出する車両16の後方端部16Bまでの距離がRであるとき、車両長は、L+M+Rとなる。
【0119】
そして、車両長検出部62によって算出された車両16の長さに基づいて、例えば、プラットホームに停止した列車14の車両16の種類が判別される。
【0120】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0121】
上記各実施形態では、車両端を、車両16のX方向に直線的であった形状がY軸方向に略直角(90°)に変化する位置、すなわち車両16のエッジとする場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、車両16の形状がY軸方向に略直角(90°)に変化することまでは検出せずに、車両16のX方向に直線的であった形状が途切れる位置を車両端とする形態としてもよい。
【0122】
また、上記各実施形態で説明した定位置停止判定処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【解決手段】列車定位置停止検知装置10は、定位置範囲20の中心位置20CLからずれて駅に設置された測距装置12によって、車両連結部18における後方車両端16Rとの距離を測定し、測定した距離に基づいて車両連結部18と定位置範囲20との位置関係を判定する。このように、測距装置12を定位置範囲20の中心位置20CLからずれて駅に設置することで、測距装置12は、車両連結部18において測距装置12をずらした方向とは逆側の車両端までの距離を、列車14の位置に関わらず測定できる。