(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールが第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールであり、ポリエステル樹脂Pが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを80モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られたポリエステル樹脂である、請求項1又は2記載の液体現像剤。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の液体現像剤は、結着樹脂と顔料とを含有するトナー粒子が分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記結着樹脂が、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合して得られたポリエステル樹脂Pを含み、前記分散剤が、アミノ基を有するモノマーAと
式(I):
【0017】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基、R
2は、置換基を有していてもよい、炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数2以上22以下のアルケニル基を示す)
で表されるモノマーBを2/98以上50/50以下のモル比(モノマーA/モノマーB)で重合した共重合体Cを含んでいる点に1つの特徴を有しており、絶縁性液体中への結着樹脂の溶出を抑制しつつ、小粒径、低粘度かつ保存安定性と低温定着性に優れるものである。
【0018】
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
モノマーAとモノマーBが上記のモル比を有する共重合体Cは、非極性の絶縁性液体との親和性が高いため、分散性が高く、低粘度化し易く、保存安定性に優れる。さらに、該共重合体Cが、トナー粒子に吸着した際にトナー表面が改質され、トナー粒子中への絶縁性液体の浸透が促進されやすくなる。それによりトナー粒子の可塑化が起こり、低温定着性に優れると考えられる。
また、炭化水素鎖の短いモノマーB1を低減することで、トナーに吸着した分散剤による立体反発力が高まり、凝集や増粘を抑制することができ、低粘度化し易くなり、保存安定性及び低温定着性が向上すると考えられる。さらに、トナー中に炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを多く含む高極性のポリエステル樹脂Pを結着樹脂として用いることで、過剰な可塑化を防ぎ、絶縁性液体中への結着樹脂の溶出を抑制することができると考えられる。これにより、プリンター内の現像ローラー等へのフィルミングを抑制することができる。
さらに、共重合体Cはトナー粒子に速やかに吸着し立体反発効果をもたらすため、粒子の再凝集が抑制され小粒径化にも有効と考えられる。
【0019】
本発明の液体現像剤の結着樹脂は、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを70モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合して得られたポリエステル樹脂Pを含有する。
【0020】
炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0021】
脂肪族ジオールの炭素数は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、2以上、好ましくは3以上であり、低粘度化、粉砕性及び低温定着性の観点から、6以下、好ましくは4以下である。
【0022】
脂肪族ジオールとしては、トナーの低粘度化、粉砕性及び低温定着性を向上させる観点から、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。具体的には、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、1,2-プロパンジオール及び2,3-ブタンジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールがより好ましい。これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0023】
炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、樹脂の溶出抑制の観点から、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上であり、100モル%以下、好ましくは100モル%である。
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、樹脂の溶出抑制の観点から、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは100モル%である。
【0024】
他のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、脂環式ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
【0025】
カルボン酸成分は、低粘度化、粉砕性及び低温定着性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物を含有することが好ましい。
【0026】
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。なお、ジカルボン酸化合物とは、ジカルボン酸、カルボン酸と炭素数1以上3以下のアルコールとのエステル及び酸無水物を指す。
【0027】
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、低粘度化、粉砕性、及び低温定着性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
【0028】
また、トナーの耐高温オフセット性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、3価以上のカルボン酸化合物を含有していてもよい。
【0029】
3価以上のカルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられ、トナーの耐高温オフセット性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその酸無水物が好ましく、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸の無水物(無水トリメリット酸)がより好ましい。
【0030】
3価以上のカルボン酸化合物の含有量は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下であり、好ましくは0モル%以上であり、0モル%が好ましい。
【0031】
他のカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;未精製ロジン、精製ロジン等のロジン;フマル酸、マレイン酸又はアクリル酸等で変性されたロジン、これらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。
【0032】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、ポリエステル樹脂Pの軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
【0033】
ポリエステル樹脂Pにおけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂Pの酸価を低減する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上であり、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.10以下である。
【0034】
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上1.0質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下である。
【0035】
本発明において、ポリエステル樹脂とは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合により形成されるポリエステルユニットを含む樹脂をいい、ポリエステル、ポリエステルポリアミド、ポリエステル成分を含む2種以上の樹脂成分を有する複合樹脂、例えば、ポリエステル成分と付加重合系樹脂成分とが両反応性モノマーを介して部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が含まれる。ポリエステルユニットの含有量は、ポリエステル樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である。
【0036】
また、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されていてもよい。例えば、変性されたポリエステルとしては、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
【0037】
ポリエステル樹脂Pは、本発明における分散剤との吸着及びそれに伴う表面改質効果を高めるため、結晶性よりも非晶質であることが好ましい。非晶質ポリエステルを用いることにより、液体現像剤の小粒径、低粘度化が促進され、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性が向上し、さらに低温定着性に優れる。
【0038】
ポリエステル樹脂Pの軟化点は、トナーの耐高温オフセット性、耐擦過性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは85℃以上であり、トナーの低温定着性及び粉砕性を向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは95℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。
【0039】
ポリエステル樹脂の軟化点は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
【0040】
ポリエステル樹脂Pのガラス転移温度は、耐擦過性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、35℃以上、好ましくは40℃以上であり、トナーの低温定着性及び粉砕性を向上させる観点から、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。
【0041】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比等によって制御することができる。
【0042】
ポリエステル樹脂Pの酸価は、トナー粒子の粉砕性や低温定着性を向上させる観点から、好ましくは1mgKOH/g以上であり、より好ましくは2mgKOH/g以上、さらに好ましくは3mgKOH/g以上であり、液体現像剤中のトナー粒子の低粘度化の観点から、好ましくは80mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは40mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは20mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である。
【0043】
ポリエステル樹脂の酸価は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
【0044】
本発明の液体現像剤は、本発明の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル樹脂P以外の他の樹脂が含有されていてもよいが、ポリエステル樹脂Pの含有量は、樹脂の総量中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%であり、即ち結着樹脂として、ポリエステル樹脂Pのみを用いることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂P以外の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂P以外のポリエステル樹脂、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。
【0045】
顔料としては、トナー用着色剤として用いられている顔料のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができる。本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
【0046】
顔料の含有量は、トナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下であり、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上である。
【0047】
本発明では、トナー原料として、さらに、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜使用されていてもよい。
【0048】
本発明の液体現像剤は、ポリエステル樹脂Pと顔料を含有するトナー粒子を、分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散したものである。
【0049】
本発明において、分散剤は、アミノ基を有するモノマーAと前記式(I)で表されるモノマーBとを重合した共重合体Cを含有する。
【0050】
アミノ基を有するモノマーAとしては、式(II):
CH
2=C(R
5)COYR
6NR
3R
4 (II)
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1以上4以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、それらは互いに結合して環構造を形成していてもよく、R
5は、水素原子又はメチル基を示し、R
6は、炭素数2以上4以下の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、Yは−O−又は−NH−を示す)
で表されるアミノ基を有するモノマー、又はこのモノマーの酸中和物(3級アミン塩)もしくは4級アンモニウム塩が好ましい。上記の酸中和物を得るための好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸、乳酸、ピロリドン-2-カルボン酸、コハク酸等が挙げられる。上記第4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ-n-プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
【0051】
式(II)において、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、NR
3R
4は3級アミノ基が好ましい。R
3及びR
4の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0052】
R
6としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、エチレン基が好ましい。
【0053】
式(II)においてNR
3R
4が3級アミノ基であるモノマー(3級アミノ基を有するモノマー)の具体例としては、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステル、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの双方の場合を含むことを示す。
【0054】
ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上等が挙げられる。
【0055】
ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる1種以上等が挙げられる。
【0056】
これらの中では、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルが、小粒径、低粘度、保存安定性、低温定着性の観点から好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0057】
モノマーBは、前記式(I)で表されるものであり、前記式(I)において、R
2で表されるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、低粘度化、保存安定性、及び低温定着性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、低温定着性の観点から、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは14以下である。R
2のアルキル基又はアルケニル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、水酸基等の置換基を有していてもよい。
【0058】
従って、モノマーBは、R
2が、炭素数が10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であるモノマーB2を少なくとも含むことが好ましい。
【0059】
モノマーBにおいて、R
2が、炭素数が1以上9以下のアルキル基又は炭素数2以上9以下のアルケニル基であるモノマーB1と炭素数が10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であるモノマーB2のモル比(モノマーB1/モノマーB2)は、低粘度化、保存安定性、及び低温定着性の観点から、0.1以下、好ましくは0.07以下、より好ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.03以下、さらに好ましくは0.01以下であり、0以上、好ましくは0である。
【0060】
モノマーBの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)ノニル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ウンデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)トリデシル(メタ)アクリレート、(イソ)テトラデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ペンタデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ヘキサデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ヘプタデシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクタデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ノナデシル(メタ)アクリレート、(イソ)イコシル(メタ)アクリレート、(イソ)エイコシル(メタ)アクリレート、(イソ)ヘンイコシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。ここで、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方の場合を含むことを示す。
【0061】
モノマーAとモノマーBのモル比(モノマーA/モノマーB)は、分散剤として機能し、低粘度化及び保存安定性の観点から、2/98以上、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、さらに好ましくは7/93以上であり、低粘度化、保存安定性、及び低温定着性の観点から、50/50以下、好ましくは40/60以下、より好ましくは35/65以下、さらに好ましくは25/75以下、さらに好ましくは20/80以下、さらに好ましくは15/85以下である。
【0062】
共重合体Cに用いられる全モノマー中のモノマーAとモノマーBの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である。
【0063】
モノマーAとモノマーBの重合は、例えば、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等の重合開始剤の存在下、溶媒中で、40〜140℃程度に加熱して、反応させることができる。
【0064】
共重合体Cの重量平均分子量は、低粘度化及び低温定着性の観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは15,000以上であり、同様の観点から、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは30,000以下である。
【0065】
また、共重合体Cの数平均分子量は、低粘度化及び低温定着性の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,500以上、さらに好ましくは3,000以上、さらに好ましくは3,500以上であり、同様の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは9,000以下、さらに好ましくは8,000以下である。
【0066】
共重合体Cの含有量は、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは7質量部以上であり、液体現像剤の現像性(電気泳動性)を向上させる観点から、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
【0067】
本発明の液体現像剤には、共重合体C以外の公知の分散剤が含まれていてもよいが、共重合体Cの含有量は、分散剤中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である。
【0068】
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率が、好ましくは1.0×10
-11S/m以下、より好ましくは5.0×10
-12S/m以下であり、好ましくは1.0×10
-13S/m以上である。また、絶縁性液体は、誘電率が3.5以下であることが好ましい。
【0069】
絶縁性液体の具体例としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素系溶媒、ポリシロキサン、植物油等が挙げられ、炭化水素系溶媒及びポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、これらのなかでは、低温定着性の観点から、炭化水素系溶媒がより好ましく、低粘度であり、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性のバランスに優れていることから、脂肪族炭化水素がさらに好ましい。脂肪族炭化水素としては、パラフィン系炭化水素、炭素数12以上18以下のオレフィン等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。脂肪族炭化水素の中では、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させ、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点及び抵抗を高める観点から、パラフィン系炭化水素が好ましい。パラフィン系炭化水素としては、流動パラフィン、イソパラフィン等が挙げられる。
【0070】
脂肪族炭化水素の市販品としては、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーK、アイソパーM、エクソールD110(以上、いずれもエクソンモービル社製)、シェルゾール71、シェルゾールTM(以上、いずれもシェルケミカルズジャパン社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(以上、いずれも出光興産社製)、モレスコホワイトP-55、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-260(以上、いずれもMORESCO社製)、コスモホワイトP-60、コスモホワイトP-70(以上、いずれもコスモ石油ルブリカンツ社製)、ライトール(Sonneborn社製)、アイソゾール400(JX日鉱日石エネルギー社製)、リニアレン14、リニアレン16、リニアレン18、リニアレン124、リニアレン148、リニアレン168(以上、いずれも出光興産社製)等が挙げられる。
【0071】
炭化水素系溶媒の含有量は、絶縁性液体中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である。
【0072】
絶縁性液体の25℃における粘度は、液体現像剤の現像性を向上させる観点から、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下であり、液体現像剤中でのトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上である。なお、絶縁性液体の粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0073】
本発明において、トナー粒子を得る方法としては、ポリエステル樹脂Pや顔料を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法、水系樹脂分散液と水系顔料分散液を混合し樹脂粒子と顔料粒子を合一させる方法、及び水系樹脂分散液と顔料を高速攪拌する方法等が挙げられる。液体現像剤の現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。かかる観点から、本発明の液体現像剤は、
工程1:少なくとも、ポリエステル樹脂Pを含む結着樹脂と顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る工程、及び
工程2:工程1で得られたトナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程
を含む方法により製造することが好ましい。
【0074】
工程1では、少なくとも、ポリエステル樹脂Pを含む結着樹脂と顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る。
【0075】
工程1の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、樹脂中に顔料を効率よく高分散させることができる観点から、オープンロール型混練機を用いることが好ましい。
【0076】
ポリエステル樹脂Pを含む結着樹脂と顔料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。また、必要に応じて、離型剤、荷電制御剤等の添加剤を樹脂等とともに溶融混練に供してもよい。
【0077】
オープンロール型混練機とは、混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが好ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。本発明においては、樹脂への顔料の分散性を向上させる観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが好ましい。
【0078】
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2箇所以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
【0079】
高回転側ロールの原料投入側端部温度は、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料のポリエステル樹脂Pへの分散性を向上させる観点から、80℃以上、160℃以下が好ましく、同様の観点から、低回転側ロールの原料投入側端部温度は30℃以上、100℃以下が好ましい。
【0080】
高回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出の端部の設定温度の差が、混練物のロールからの脱離を防止する観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料のポリエステル樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは2℃以上であり、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。低回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出端部の設定温度の差が、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料の樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下であり、0℃であってもよい。
【0081】
高回転側ロールの周速度は、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料のポリエステル樹脂Pへの分散性を向上させる観点から、好ましくは2m/min以上、より好ましくは10m/min以上、さらに好ましくは25m/min以上であり、好ましくは100m/min以下、より好ましくは75m/min以下であり、さらに好ましくは50m/min以下である。低回転側ロールの周速度は、同様の観点から、好ましくは1m/min以上、より好ましくは5m/min以上、さらに好ましくは10m/min以上であり、好ましくは90m/min以下、より好ましくは60m/min以下、さらに好ましくは30m/min以下、さらに好ましくは20m/min以下であり、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、好ましくは1/10以上、より好ましくは3/10以上であり、好ましくは9/10以下、より好ましくは8/10以下である。
【0082】
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料の樹脂への分散性を向上させる観点から、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
【0083】
溶融混練により得られた混練物を、粉砕可能な硬度に達するまで適宜冷却し、粉砕する。
【0084】
粉砕は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、樹脂混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
【0085】
粉砕に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、気流式ジェットミル、流動層式カウンタージェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミル等が挙げられる。
【0086】
工程1において、粉砕の後、得られたトナー粒子は、必要に応じて、分級することが好ましい。
【0087】
分級に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
【0088】
工程1により得られるトナー粒子の体積中位粒径(D
50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D
50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
【0089】
工程2は、工程1で得られたトナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程である。
【0090】
本発明では、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、以下の工程2−1及び工程2−2を含む方法により、工程2を行うことが好ましい。
【0091】
工程2−1:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程。
工程2−2:工程2−1で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
【0092】
工程2−1において、トナー粒子、絶縁性液体、及び分散剤の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
【0093】
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工社製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
【0094】
トナー粒子と絶縁性液体及び分散剤を高速攪拌混合装置により混合することによって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
【0095】
続く工程2−2は、工程2−1で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程である。湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
【0096】
湿式粉砕に供するトナー粒子分散液の固形分濃度は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、トナー粒子分散液の固形分濃度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0097】
湿式粉砕に使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工社製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機及び混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
【0098】
これらの中では、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させる観点、及びトナー粒子分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
【0099】
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
【0100】
液体現像剤の固形分濃度は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。なお、液体現像剤の固形分濃度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。トナー粒子分散液調製後、希釈、濃縮等の操作がなければ、トナー粒子分散液の固形分濃度が液体現像剤の固形分濃度となるが、湿式粉砕後に絶縁性液体で希釈して固形分濃度を調整してもよい。
【0101】
本発明の液体現像剤中、ポリエステル樹脂Pの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させ、低粘度化の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、液体現像剤の粉砕性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。なお、ここでの液体現像剤中のポリエステル樹脂Pの含有量とは、液体現像剤を製造する際に、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を得た後、希釈した場合は、希釈後の液体現像剤中の含有量とする。以下、顔料、分散剤、及び共重合体Cについても同様である。
【0102】
本発明の液体現像剤中、顔料の含有量は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性の向上、及び低粘度化の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0103】
本発明の液体現像剤中、分散剤の含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させ、低粘度化の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
また、本発明の液体現像剤中、共重合体Cの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の保存安定性を向上させ、低粘度化の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
【0104】
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D
50)は、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくし、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下であり、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。なお、液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D
50)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0105】
液体現像剤の25℃における粘度は、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは15mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下であり、液体現像剤中でのトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上、さらに好ましくは3mPa・s以上、さらに好ましくは4mPa・s以上である。なお、液体現像剤の粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0106】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の液体現像剤及びその製造方法を開示する。
【0107】
<1> 結着樹脂と顔料とを含有するトナー粒子が分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、
前記結着樹脂が、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを70モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合して得られた、ガラス転移温度が35℃以上のポリエステル樹脂Pを含み、
前記分散剤が、アミノ基を有するモノマーAと、式(I)で表されるモノマーBとを重合してなる共重合体Cを含み、該モノマーAと該モノマーBのモル比(モノマーA/モノマーB)が2/98以上50/50以下であり、該モノマーBにおける、R
2が、炭素数が1以上9以下のアルキル基又は炭素数2以上9以下のアルケニル基であるモノマーB1と、R
2が、炭素数が10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であるモノマーB2のモル比(モノマーB1/モノマーB2)が0以上0.1以下である、液体現像剤。
【0108】
<2> 脂肪族ジオールの炭素数は、3以上であり、4以下である、前記<1>記載の液体現像剤。
<3> 脂肪族ジオールは、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールである、前記<1>又は<2>記載の液体現像剤。
<4> 炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上であり、さらに好ましくは100モル%である、前記<1>〜<3>いずれか記載の液体現像剤。
<5> 第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、好ましくは100モル%である、前記<3>又は<4>記載の液体現像剤。
<6> カルボン酸成分は、芳香族ジカルボン酸化合物を含有する、前記<1>〜<5>いずれか記載の液体現像剤。
<7> 芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、50モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<6>記載の液体現像剤。
<8> ポリエステル樹脂Pは、ポリエステルユニットを含む樹脂であり、ポリエステルユニットの含有量は、ポリエステル樹脂中、60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である、前記<1>〜<7>いずれか記載の液体現像剤。
<9> ポリエステル樹脂Pの軟化点は、75℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上であり、120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは95℃以下、さらに好ましくは90℃以下である、前記<1>〜<8>いずれか記載の液体現像剤。
<10> ポリエステル樹脂Pのガラス転移温度は、35℃以上、好ましくは40℃以上であり、65℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である、前記<1>〜<9>いずれか記載の液体現像剤。
<11> ポリエステル樹脂Pの酸価は、1mgKOH/g以上であり、好ましくは2mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上であり、80mgKOH/g以下であり、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは40mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは20mgKOH/g以下、さらに10mgKOH/g以下である、前記<1>〜<10>いずれか記載の液体現像剤。
<12> ポリエステル樹脂Pの含有量は、樹脂の総量中、90質量%以上、好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である、前記<1>〜<11>いずれか記載の液体現像剤。
<13> 顔料の含有量は、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、100質量部以下、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下であり、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である、前記<1>〜<12>いずれか記載の液体現像剤。
<14> アミノ基を有するモノマーAは、式(II)で表されるアミノ基を有するモノマー、このモノマーの酸中和物(3級アミン塩)及び4級アンモニウム塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である、前記<1>〜<13>いずれか記載の液体現像剤。
<15> 式(II)において、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、NR
3R
4は3級アミノ基である、前記<14>記載の液体現像剤。
<16> 式(II)においてNR
3R
4が3級アミノ基であるモノマー(3級アミノ基を有するモノマー)は、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及びジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれた少なくとも1種である、前記<14>又は<15>記載の液体現像剤。
<17> ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上であり、好ましくはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートである、前記<16>記載の液体現像剤。
<18> ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドは、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる1種以上である、前記<16>又は<17>記載の液体現像剤。
<19> 式(I)において、R
2で表されるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、10以上、好ましくは12以上であり、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である、前記<1>〜<18>いずれか記載の液体現像剤。
<20> モノマーBにおいて、R
2が、炭素数が1以上9以下のアルキル基又は炭素数2以上9以下のアルケニル基であるモノマーB1と炭素数が10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であるモノマーB2のモル比(モノマーB1/モノマーB2)は、0.07以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、さらに好ましくは0.01以下であり、好ましくは0である、前記<1>〜<19>いずれか記載の液体現像剤。
<21> モノマーAとモノマーBのモル比(モノマーA/モノマーB)は、3/97以上、好ましくは5/95以上、より好ましくは7/93以上であり、40/60以下、好ましくは35/65以下、より好ましくは25/75以下、さらに好ましくは20/80以下、さらに好ましくは15/85以下である、前記<1>〜<20>いずれか記載の液体現像剤。
<22> 共重合体Cの重量平均分子量は、5,000以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上であり、100,000以下、好ましくは50,000以下、より好ましくは30,000以下である、前記<1>〜<21>いずれか記載の液体現像剤。
<23> 共重合体Cの数平均分子量は、2,000以上、好ましくは2,500以上、より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは3,500以上であり、10,000以下、好ましくは9,000以下、より好ましくは8,000以下である、前記<1>〜<22>いずれか記載の液体現像剤。
<24> 共重合体Cの含有量は、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上であり、25質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である、前記<1>〜<23>いずれか記載の液体現像剤。
<25> 絶縁性液体が炭化水素系溶媒、好ましくは脂肪族炭化水素、より好ましくはパラフィン系炭化水素を含む、前記<1>〜<24>いずれか記載の液体現像剤。
<26> 炭化水素系溶媒の含有量は、絶縁性液体中、60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である、前記<25>記載の液体現像剤。
<27> 絶縁性液体の25℃における粘度は、100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下であり、1mPa・s以上、好ましくは1.5mPa・s以上である、前記<1>〜<26>いずれか記載の液体現像剤。
<28> 液体現像剤の固形分濃度は、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である、前記<1>〜<27>いずれか記載の液体現像剤。
<29> 液体現像剤中、ポリエステル樹脂Pの含有量は、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である、前記<1>〜<28>いずれか記載の液体現像剤。
<30> 液体現像剤中、顔料の含有量は、1質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<29>いずれか記載の液体現像剤。
<31> 液体現像剤中、分散剤の含有量は、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、8質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<30>いずれか記載の液体現像剤。
<32> 液体現像剤中、共重合体Cの含有量は、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、8質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<31>いずれか記載の液体現像剤。
<33> 液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D
50)は、5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下であり、0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上である、前記<1>〜<32>いずれか記載の液体現像剤。
<34> 液体現像剤の25℃における粘度は、30mPa・s以下、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下であり、1mPa・s以上、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、さらに好ましくは4mPa・s以上である、前記<1>〜<33>いずれか記載の液体現像剤。
<35> 工程1:少なくとも、結着樹脂と顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る工程、及び
工程2:工程1で得られたトナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程
を含む液体現像剤の製造方法であって、
前記結着樹脂が、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを70モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合して得られた、ガラス転移温度が35℃以上のポリエステル樹脂Pを含み、
前記分散剤が、アミノ基を有するモノマーAと、式(I)で表されるモノマーBとを重合してなる共重合体Cを含み、該モノマーAと該モノマーBのモル比(モノマーA/モノマーB)が2/98以上50/50以下であり、該モノマーBにおける、R
2が、炭素数が1以上9以下のアルキル基又は炭素数2以上9以下のアルケニル基であるモノマーB1とR
2が、炭素数が10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であるモノマーB2のモル比(モノマーB1/モノマーB2)が0以上0.10以下である、液体現像剤の製造方法。
<36> 工程1により得られるトナー粒子の体積中位粒径(D
50)は、3μm以上、好ましくは4μm以上であり、15μm以下、好ましくは12μm以下である、前記<35>記載の液体現像剤の製造方法。
<37> 工程2が
工程2−1:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程2−2:工程2−1で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む、前記<35>又は<36>記載の液体現像剤の製造方法。
【実施例】
【0109】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
【0110】
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0111】
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q20」(TA instruments社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
【0112】
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
【0113】
〔分散剤の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量(Mw)を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散剤(分散剤溶液から絶縁性液体を留去)をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のA-500(5.0×10
2)、A-1000(1.01×10
3)、A-2500(2.63×10
3)、A-5000(5.97×10
3)、F-1(1.02×10
4)、F-2(1.81×10
4)、F-4(3.97×10
4)、F-10(9.64×10
4)、F-20(1.90×10
5)、F-40(4.27×10
5)、F-80(7.06×10
5)、F-128(1.09×10
6))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:TSKgel GMH
XL+TSKgel G3000H
XL(東ソー株式会社製)
【0114】
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター株式会社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター株式会社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター株式会社製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー社製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)を求める。
【0115】
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」(マルエム社製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を液体現像剤に浸し、20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
【0116】
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
【0117】
〔トナー粒子分散液及び液体現像剤の固形分濃度〕
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「H-201F」(コクサン社製)を用いて、回転数25000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
【0118】
【数1】
【0119】
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D
50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D
50)を測定する。
【0120】
樹脂製造例1〔樹脂A、C〕
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒(酸化ジブチル錫)50gを、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、180℃に昇温した後、220℃まで10時間かけて昇温を行い、220℃にて反応率が90%に到達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて、表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有するポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
【0121】
樹脂製造例2〔樹脂B〕
表1に示す原料モノマー、エステル化触媒(酸化ジブチル錫)30g及びエステル化助触媒(没食子酸)3gを、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて、表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有するポリエステルを得た。
【0122】
【表1】
【0123】
分散剤製造例〔分散剤A〜I〕
溶媒(メチルエチルケトン)100gを、冷却管、窒素導入管、撹拌機及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を80℃に加温して、表2に示す原料モノマーと、重合開始剤の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、80℃でさらに3時間反応させた。80℃で溶媒を留去し、表2に示す物性を有する共重合体からなる分散剤を得た。
【0124】
【表2】
【0125】
実施例1〜7及び比較例1〜5
表4に示す結着樹脂85質量部及び顔料「ECB-301」(大日精化社製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
【0126】
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、原料投入側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
【0127】
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック社製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D
50)が10μmのトナー粒子を得た。
【0128】
得られたトナー粒子35質量部と、表4に示す絶縁性液体61.5質量部及び分散剤3.5質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミックス社製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度が38.5質量%のトナー粒子分散液を得た。
【0129】
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス社製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表4に示す体積中位粒径(D
50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し表4に示す絶縁性液体40質量部を加えて希釈し、固形分濃度を26質量%の、表4に示す物性を有する液体現像剤を得た。
【0130】
実施例及び比較例で用いた絶縁性液体の詳細を表3に示す。
【0131】
【表3】
【0132】
試験例1〔結着樹脂の絶縁性液体中への溶出性〕
液体現像剤に使用した結着樹脂をロートプレックス(ホソカワミクロン社製)で粗粉砕し、得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック社製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D
50)が10μmの樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子3.75gと液体現像剤に使用した絶縁性液体11.25gを50mL容のポリエチレン製容器に入れ、T-25 digital ULTRA-TURRAX(IKA社製)により水冷下、7000r/minで10分間撹拌した。撹拌後の懸濁液10gを遠心分離装置「3-30KS」(SIGMA社製)を用いて、回転数25000r/minで1時間回転させた。遠心分離後の上澄み液を4g採取し、真空乾燥機にて0.5kPa、100℃にて8時間乾燥させ、乾燥後の残留物の質量から結着樹脂の絶縁性液体中への溶出性を評価した。結果を表4に示す。数値が0に近いほど溶出性が低いことを示す。
【0133】
試験例2〔トナーの保存安定性〕
液体現像剤10gを20mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.5」(マルエム社製)に入れ、40℃の恒温槽にて24時間保存した。保存前後のトナー粒子の体積粒度分布を、前記トナー粒子の体積中位粒径の測定方法と同様にして測定し、得られた体積粒度分布から粒径が10μm以上の粒子の割合(体積%)を算出して、保存前(X)と保存後(Y)の差分(Y−X)の値から保存安定性を評価した。結果を表4に示す。粒径が10μm以上の粒子の割合の増加は、保存によるトナー粒子の凝集の発生が顕著であることを意味する。保存前後の差分の値が0に近いほどトナー粒子の保存安定性に優れることを示す。
【0134】
試験例3〔トナーの低温定着性〕
「PODグロスコート紙」(王子製紙社製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m
2になるように薄膜を作製した。
【0135】
作製した薄膜を、80℃の恒温槽中で10秒間保持した後、「OKI MICROLINE 3010」(沖データ社製)の定着機を外部に取り出した外部定着機にて、定着ロールの温度を90℃に設定し、140mm/secの定着速度で定着させた。その後、定着ロール温度を100℃に設定し、同様の操作を行った。これを140℃まで10℃ずつ上昇させながら、各温度で未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。
【0136】
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(3M社製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度を、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)にて測定した。画像印字部は各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から定着率(%)を算出し、定着率が最初に90%以上となる定着ロールの温度を最低定着温度とし、低温定着性を評価した。結果を表4に示す。数値が小さいほど低温定着性に優れることを示し、その温度は、120℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。
【0137】
【表4】
【0138】
実施例1〜7のトナーは、比較例1〜5のトナーと対比して、結着樹脂の溶出抑制、トナー粒子の小粒径化、液体現像剤の低粘度化、保存安定性、及び低温定着性がいずれも良好であることが分かる。
実施例1〜4、比較例5を対比すると、モノマーA/モノマーB(モル比)が10/90である共重合体を含む実施例1のトナーが、トナー粒子の小粒径化、液体現像剤の低粘度化、保存安定性、及び低温定着性により優れることが分かる。
実施例1、5、比較例2を対比すると、モノマーBとして炭素数12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いた共重合体を含む実施例1のトナーが、トナー粒子の小粒径化、液体現像剤の低粘度化、保存安定性、及び低温定着性により優れることが分かる。
実施例1、比較例3、4を対比すると、アルコール成分として炭素数2〜6の脂肪族ジオールを100モル%用いたポリエステル樹脂を含む実施例1のトナーが、結着樹脂の溶出抑制及び液体現像剤の低粘度化に優れることが分かる。
実施例1と比較例1とを対比すると、モノマーB1/モノマーB2(モル比)が0である共重合体を含む実施例1のトナーが、トナー粒子の小粒径化、液体現像剤の低粘度化、保存安定性、及び低温定着性により優れることが分かる。
実施例1と実施例7とを対比すると、重量平均分子量が25,000である共重合体を含む実施例1のトナーが、低粘度化及び低温定着性により優れることが分かる。
【解決手段】結着樹脂と顔料とを含有するトナー粒子が分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記結着樹脂が、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを70モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分と、カルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合して得られた、ガラス転移温度が35℃以上のポリエステル樹脂Pを含み、前記分散剤が、アミノ基を有するモノマーAと、式(I):
で表されるモノマーBとを重合してなる共重合体Cを含み、該モノマーAと該モノマーBのモル比(モノマーA/モノマーB)が2/98以上50/50以下である、液体現像剤、及びその製造方法。