特許第6000522号(P6000522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6000522改善された陽極終端を有する固体電解コンデンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000522
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】改善された陽極終端を有する固体電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/012 20060101AFI20160915BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20160915BHJP
   H01G 9/028 20060101ALI20160915BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   H01G9/05 E
   H01G9/05 D
   H01G9/08 C
   H01G9/02 331G
   H01G9/02 331F
   H01G9/24 C
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-208063(P2011-208063)
(22)【出願日】2011年9月5日
(65)【公開番号】特開2012-74698(P2012-74698A)
(43)【公開日】2012年4月12日
【審査請求日】2014年4月4日
(31)【優先権主張番号】12/890,908
(32)【優先日】2010年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511167272
【氏名又は名称】エイヴィーエックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】アレス フィロウバル
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−079357(JP,A)
【文献】 特開2008−172263(JP,A)
【文献】 特開2000−077269(JP,A)
【文献】 特開2007−273996(JP,A)
【文献】 特開2001−291641(JP,A)
【文献】 特開2005−322917(JP,A)
【文献】 特開2003−272949(JP,A)
【文献】 特開2010−087241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/012
H01G 9/00
H01G 9/028
H01G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、下面、前面、及び後面を形成し、陽極リードが電気的に接続された陽極と、該陽極の上に重なる誘電体層と、該誘電体層の上に重なって固体電解質層を含む陰極とを含むコンデンサ素子と、
前記陰極に電気的に接続された陰極終端と、
第1の部分及び第2の部分を含む陽極終端と、
を備え、前記第1の部分が折り曲げられておらず、前記コンデンサ素子の前記下面と実質的に平行であって、前記コンデンサ素子の前記下面の下に配置されており、前記第2の部分が折り曲げられて前記陽極終端の前記第1の部分と実質的に垂直な少なくとも2つの区画を形成し、該少なくとも2つの区画を通ってスロットが延びて前記陽極リードを受け入れる、
ことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記スロットがU字形を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2の部分が、約400〜約5000マイクロメートルの高さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第2の部分が、約800〜約1200マイクロメートルの高さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記スロットが、約250〜約3000マイクロメートルの高さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記スロットが、約500〜約1000マイクロメートルの高さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記コンデンサ素子を封入して、前記陽極終端及び陰極終端の少なくとも一部を露出したままにするケースをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記陽極終端の前記第2の部分が、前記ケース内に封入される、
ことを特徴とする請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記陽極終端の前記第1の部分と前記コンデンサ素子の前記下面との間に配置された絶縁材料をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記陰極終端が、前記コンデンサ素子の前記下面に電気的に接続された第1の部分と、前記コンデンサ素子の前記後面に電気的に接続された第2の部分とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記陽極が、タンタル、ニオブ、又はこれらの導電性酸化物を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記固体電解質が導電性ポリマーを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)である、
ことを特徴とする請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記固体電解質上に存在する導電性被覆をさらに備え、該導電性被覆が導電性ポリマー粒子の分散液を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記陽極リードが、約100マイクロメートル以上の高さ及び/又は幅を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項16】
前記陽極リードが、約250〜約1000マイクロメートルの高さ及び/又は幅を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項17】
コンデンサを形成する方法であって、
基部と、該基部から延びて陥凹部を形成するタブとを含む陽極終端と、陰極終端とを含むリードフレームを提供するステップと、
前記タブを上向きに折り曲げるステップと、
その後、前記タブを軸に沿って下向きに折り曲げて、前記基部と実質的に垂直な少なくとも2つの区画であって、スロットが通って延びる少なくとも2つの区画を有する直立部分を形成するステップと、
前記リードフレーム内にコンデンサ素子を配置して、前記スロットにより陽極リードが受け入れられるように、また、前記基部が前記コンデンサ素子の前記下面の下に配置されるようにするステップであって、該基部は折り曲げられないステップと、
前記陽極リードを前記直立部分に電気的に接続するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記陰極終端を陰極に電気的に接続するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記陥凹部が概ね円形状である、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記陥凹部が、約20〜約1000マイクロメートルの直径を有する、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記陥凹部が、約200〜約500マイクロメートルの直径を有する、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記軸が、前記陥凹部の中心を通って延びる、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記コンデンサ素子を、前記陽極終端及び陰極終端の少なくとも一部が露出されたままとなるようにケース内に封入するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記コンデンサ素子が、陽極と、前記陽極上に重なる誘電体層と、前記誘電体層上に重なって固体電解質を含む陰極とを含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記固体電解質が導電性ポリマーを含む、
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(タンタルコンデンサなどの)固体電解コンデンサは、電子回路の小型化に大きく貢献してきたとともに、極端な環境でのこのような回路の応用を可能にしてきた。多くの従来の電解コンデンサには、プリント基板上に表面実装できる終端が形成される。例えば、陽極終端は、金属リードフレームの一部をコンデンサ素子の方向へ隆起させることによって形成されることが多い。その後、リードフレームの隆起部分を、陽極から延びるワイアに溶接することができる。しかしながら、このような従来型の終端の1つの問題点は、比較的太い陽極リードワイアと安定した接続を形成することが困難な場合が多く、これが電気的性能に不利な影響を与え得る点である。従って、現在、固体電解コンデンサ、及び特に比較的太い陽極リードワイアを使用する固体電解コンデンサで使用するための陽極終端を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第6,322,912号明細書
【特許文献2】米国特許第6,391,275号明細書
【特許文献3】米国特許第6,416,730号明細書
【特許文献4】米国特許第6,527,937号明細書
【特許文献5】米国特許第6,576,099号明細書
【特許文献6】米国特許第6,592,740号明細書
【特許文献7】米国特許第6,639,787号明細書
【特許文献8】米国特許第7,220,397号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/0019581号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2005/0103638号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/0013765号明細書
【特許文献12】米国特許第6,197,252号明細書
【特許文献13】米国特許第4,085,435号明細書
【特許文献14】米国特許第4,945,452号明細書
【特許文献15】米国特許第5,198,968号明細書
【特許文献16】米国特許第5,357,399号明細書
【特許文献17】米国特許第5,394,295号明細書
【特許文献18】米国特許第5,495,386号明細書
【特許文献19】米国特許第6,191,936号明細書
【特許文献20】米国特許第5,949,639号明細書
【特許文献21】米国特許第3,345,545号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2005/0270725号明細書
【特許文献23】米国特許第6,674,635号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2008/232037号明細書
【特許文献25】米国特許第5,457,862号明細書
【特許文献26】米国特許第5,473,503号明細書
【特許文献27】米国特許第5,729,428号明細書
【特許文献28】米国特許第5,812,367号明細書
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Bruanauer,Emmet及びTeller著、米国化学会機関誌(Journal of American Chemical Society)、第60巻、1938年、309頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの実施形態によれば、上面、下面、前面、及び後面を形成するコンデンサ素子が開示される。このコンデンサ素子は、陽極リードが電気的に接続された陽極と、陽極上に重なる誘電体層と、誘電体層上に重なって固体電解質を含む陰極とを含む。陰極には陰極終端が電気的に接続される。コンデンサは、第1の部分及び第2の部分を含む陽極終端を備え、第1の部分はコンデンサ素子の下面と実質的に平行であり、第2の部分は折り曲げられて、陽極終端の第1の部分と実質的に垂直な少なくとも2つの区画を形成する。この区画を通ってスロットが延び、陽極リードを受け入れる。
【0005】
本発明の別の実施形態によれば、コンデンサを形成する方法が開示される。この方法は、陽極終端及び陰極終端を含むリードフレームを提供するステップを含み、陽極終端は、基部及びここから延びるタブを含み、このタブが陥凹部を形成する。タブは上向きに折り曲げられ、その後この上に向いたタブが軸に沿って下向きに折り曲げられて、基部と実質的に垂直な少なくとも2つの区画を有する直立部分を形成する。この区画を通ってスロットが延びる。リードフレーム上にはコンデンサ素子が配置されて、陽極リードがスロットに受け入れられるようになる。この陽極リードは、直立部分に電気的に接続される。
【0006】
以下、本発明のその他の特徴及び態様についてより詳細に説明する。
【0007】
当業者を対象とする本発明の最良の形態を含む本発明の完全かつ実施可能な開示について、本明細書の残りの部分において添付図を参照しながらさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】陽極及び陰極終端に接続されたコンデンサ素子の1つの実施形態の斜視図である。
図2】本発明で使用するリードフレームの1つの実施形態の斜視図である。
図3図2のリードフレームの陽極及び陰極終端の一部を上向きに曲げた斜視図である。
図4図3のリードフレームの陽極終端の別の部分を下向きに曲げた斜視図である。
図5】本発明のコンデンサの1つの実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び図面における参照符号の反復使用は、本発明の同じ又は類似の特徴又は要素を示すことを意図するものである。
【0010】
当業者であれば、本考察が例示的な実施形態についての説明にすぎず、本発明のより広い態様を限定することを意図するものではないと理解すべきである。
【0011】
大まかに言えば、本発明は、陽極と、誘電体と、固体電解質とを含む固体電解コンデンサ素子を含むコンデンサに関する。陽極からは陽極リードが延びて、陽極終端に電気的に接続される。陽極終端は直立部分を含み、これが軸を中心に湾曲し又は折り曲げられて2又はそれ以上の区画を有するようになる。直立部分のこれらの区画を通って、陽極リードを保持するための(U字形などの)スロットが延びる。結果として得られる陽極終端の「折り曲げた」構成により、直立部分及びその関連するスロットの総厚が増加し、これにより終端が陽極リードに与える機械的支持及び安定の度合いが高まる。このことは、約100マイクロメートル以上の、実施形態によっては約200マイクロメートル以上の、及び実施形態によっては約250〜約1000マイクロメートルの高さ及び/又は幅を有するような太い陽極リードに関して特に有益である。
【0012】
図1及び図5を参照すると、上面37と、下面39と、前面36と、後面38とを有するコンデンサ素子33に電気的に接続する陽極終端62と陰極終端72とを含むコンデンサ30の1つの実施形態を示している。明確に図示はしないが、コンデンサ素子33は、陽極と、誘電体と、固体電解質とを含む。陽極は、約5,000μF*V/g以上の、実施形態によっては約25,000μF*V/g以上の、実施形態によっては約40,000μF*V/g以上の、及び実施形態によっては約70,000〜約200,000μF*V/gのような高い比電荷を有するバルブ金属組成物で形成することができる。バルブ金属組成物は、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ハフニウム、チタン、これらの合金、これらの酸化物、これらの窒化物などの、バルブ金属(すなわち酸化可能金属)又はバルブ金属ベースの化合物を含む。例えば、バルブ金属組成物は、ニオブの酸素に対する原子比が1:1.0±1.0の、実施形態によっては1:1.0±0.3の、実施形態によっては1:1.0±0.1の、及び実施形態によっては1:1.0±0.05の酸化ニオブのようなニオブの導電性酸化物を含むことができる。例えば、酸化ニオブは、NbO0.7、NbO1.0、NbO1.1、及びNbO2であってもよい。好ましい実施形態では、組成物がNbO1.0を含み、これは高温での焼結後であっても化学的に安定した状態を保つことができる導電性酸化ニオブである。このようなバルブ金属酸化物の例が、Fifeに付与された米国特許第6,322,912号、Fife他に付与された第6,391,275号、Fife他に付与された第6,416,730号、Fifeに付与された第6,527,937号、Kimmel他に付与された第6,576,099号、Fife他に付与された第6,592,740号、Kimmel他に付与された第6,639,787号、及びKimmel他に付与された第7,220,397号、並びにSchnitterに付与された米国特許出願公開第2005/0019581号、Schnitter他に付与された米国特許出願公開第2005/0103638号、Thomas他に付与された米国特許出願公開第2005/0013765号に記載されており、これらの特許は全てあらゆる目的によるこれらへの参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0013】
一般に、陽極は、従来の作製手順を利用して形成することができる。1つの実施形態では、最初に特定の粒径を有するタンタル又は酸化ニオブ粉末が選択される。例えば、粒子は、フレーク状、角状、瘤状、及びこれらの混合又は変形であってもよい。これらの粒子は、通常少なくとも約60メッシュの、実施形態によっては約60メッシュ〜約325メッシュの、及び実施形態によっては約100〜約200メッシュの篩サイズ分布も有する。さらに比表面積は、約0.1〜約10.0m2/g、実施形態によっては約0.5〜約5.0m2/g、及び実施形態によっては約1.0〜約2.0m2/gである。「比表面積」という用語は、吸着ガスとして窒素を使用する、Bruanauer、Emmet、及びTeller著,Journal of American Chemical Society、第60巻、1938年、309頁の物理的ガス吸着法(B.E.T.)により測定される表面積を意味する。同様に、バルク(又はScott)密度は、通常約0.1〜約5.0g/cm3、実施形態によっては約0.2〜約4.0g/cm3、及び実施形態によっては約0.5〜約3.0g/cm3である。
【0014】
陽極の構成を容易化するために、導電性粒子に他の組成物を添加することができる。例えば、導電性粒子を結合剤及び/又は潤滑剤と任意に混合して、陽極体を形成すべく加圧されたときに粒子が相互に正確に付着し合うのを確実にすることができる。適当な結合剤として、樟脳、ステアリン酸及びその他の石鹸状の脂肪酸、Carbowax(Union Carbide社)、Glyptal(General Electric社)、ポリビニルアルコール、ナフタリン、植物性ワックス、及びマイクロワックス(精製パラフィン)を挙げることができる。結合剤は、溶媒内で溶解又は分散することができる。例示的な溶媒として、水、アルコールなどを挙げることができる。利用する場合、結合剤及び/又は潤滑剤の割合は、全質量の約0.1重量%〜約8重量%まで様々であってよい。しかしながら、本発明では結合剤及び潤滑剤が必須ではないことを理解されたい。
【0015】
結果として得られた粉末を、いずれかの従来の粉末プレス成形を使用して圧縮することができる。例えば、プレス成形は、ダイと1又は複数のパンチとを使用する単一ステーション圧縮プレスであってもよい。或いは、ダイ及び単一の下方パンチのみを使用するアンビル型圧縮プレス成型を使用することができる。単一ステーション圧縮プレス成型は、単動、複動、フローティングダイ、可動プラテン、対向ラム、ねじプレス、インパクトプレス、加熱プレス、鋳造又は定寸などの様々な能力を有するカムプレス、トグル/ナックルプレス及び偏心/クランクプレスのようないくつかの基本型で利用可能である。粉末は、(タンタルワイアなどの)陽極ワイアの周囲で圧縮することができる。或いは、陽極体の加圧及び/又は焼結後に陽極ワイアを陽極体に付着(例えば、溶接)することもできる。圧縮後、ペレットを真空下で(約150℃〜約500℃などの)一定の温度で数分間加熱することにより、あらゆる結合剤/潤滑剤を除去することができる。或いは、例えば、Bishop他に付与された米国特許第6,197,252号に記載されるように、ペレットを水溶液と接触させることによって結合剤/潤滑剤を除去することもでき、該特許はあらゆる目的によるこの特許への参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。その後、ペレットが焼結されて多孔質の一体化した塊を形成する。例えば、1つの実施形態では、真空又は不活性雰囲気下で約1200℃〜約2000℃の、及び実施形態によっては約1500℃〜約1800℃の温度で加熱することによりペレットを焼結することができる。焼結時に、ペレットは粒子間の結合が増大することにより収縮する。
上述の技術に加え、Galvaqniに付与された米国特許第4,085,435号、Sturmer他に付与された第4,945,452号、Galvaqniに付与された第5,198,968号、Salisburyに付与された第5,357,399号、Galvaqni他に付与された第5,394,295号、Kulkarniに付与された第5,495,386号、及びFifeに付与された第6,322,912号に記載されるような、陽極体を構築するための他のいずれかの技術を本発明に基づいて利用することもでき、これらの特許はあらゆる目的によるこれらへの参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0016】
必須ではないが、コンデンサの電気的性能を向上させるように陽極の厚みを選択することもできる。例えば、陽極の厚みは約4ミリメートル以下とすることができ、実施形態によっては約0.05〜約2ミリメートル、及び実施形態によっては約0.1〜約1ミリメートルとすることができる。陽極の形状も、結果として得られるコンデンサの電気的性能を向上させるように選択することができる。例えば、陽極は、曲線、正弦曲線、長方形、U字形、V字形などの形状を有することができる。陽極は、体積に対する表面の割合を増やして、ESRを最小化するとともに静電容量の周波数応答を拡げるために、1又はそれ以上の畝、溝、凹部、又は窪みを含むという点において「溝付き」形状を有することもできる。このような「溝付き」陽極は、例えば、Webber他に付与された米国特許第6,191,936号、Maeda他に付与された第5,949,639号、及びBouqault他に付与された第3,345,545号、並びにHahn他に付与された米国特許出願公開第2005/0270725号に記載されており、これらの特許は全てあらゆる目的によるこれらへの参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0017】
陽極には、(ワイア、シートなどの)陽極リード16も電気的に接続される。通常、リード16は、タンタル、ニオブ、ニッケル、アルミニウム、ハフニウム、チタン、その他、並びにこれらの酸化物及び/又は窒化物などのいずれかの導電性材料で形成される。リード16を接続する方法は、抵抗溶接又はレーザ溶接を使用してリードを連結すること、陽極体の形成中に(焼結前などに)この中にリードを埋め込むことなどによる、当業で公知の様々な方法であってよい。例えば、図示の実施形態では、リード16が、コンデンサ素子33の前面36から延びる埋め込みワイアの形をとる。
【0018】
陽極が構築されると、陽極の上部及び/又は内部に誘電体層が形成されるようにこれを陽極酸化することができる。陽極酸化とは、陽極を酸化して比較的高い誘電率を有する材料を形成する電気化学処理のことである。例えば、酸化ニオブ(NiO)陽極を五酸化ニオブ(Ni25)に陽極酸化することができる。通常、陽極酸化は、陽極を電解質内に浸漬するなどして最初に陽極に電解質を加えることにより行われる。一般に、電解質は、(水性又は非水性などの)溶液、分散液、融液などの液体の形をとる。例えば、一般に電解質内には、(脱イオン水などの)水、(ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどの)エーテル、(メタノール、エタノール、エチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、及びブタノールなどの)アルコール、トリグリセリド、(アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンなどの)ケトン、(酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコール酢酸エーテル、及びメトキシプロピルアセテートなどの)エステル、(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルカプリリック/カプリック脂肪酸アミド、及びN−アルキルピロリドンなどの)アミド、(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、及びベンゾニトリルなどの)ニトリル、(ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホランなどの)スルホキシド又はスルホンなどの溶媒が使用される。溶媒は、電解質の約50重量%〜99.9重量%、実施形態によっては約75重量%〜約99重量%、及び実施形態によっては約80重量%〜約95重量%を構成することができる。必ずしも必須ではないが、所望の酸化物の獲得を促進するために(水などの)水性溶媒を使用することが多くの場合望ましい。実際には、水は電解質で使用する(単複の)溶媒の約50重量%以上、実施形態によっては約70重量%以上、及び実施形態によっては約90重量%〜約100重量%を構成することができる。
【0019】
電解質はイオン伝導性であり、25℃の温度で測定した場合、センチメートルあたり約1ミリシーメンス(「mS/cm」)以上、実施形態によっては約30mS/cm以上、及び実施形態によっては約40mS/cm〜約100mS/cmのイオン伝導率を有することができる。電解質のイオン伝導率を高めるために、溶媒内で解離してイオンを形成できる化合物を使用することができる。この目的に適したイオン化合物として、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ボロン酸などの酸と、アクリル酸、メタクリル酸、マロン酸、コハク酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、オレイン酸、没食子酸、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、フタール酸、イソフタール酸、グルタール酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、イタコン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、桂皮酸、安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸などのカルボン酸を含む有機酸と、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸と、ポリ(アクリル)又はポリ(メタクリル)酸及び(マレイン酸−アクリル酸、スルホン酸−アクリル酸、及びスチレン酸−アクリル酸共重合体などの)これらの共重合体、カラギニン酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸などのポリマー酸とを挙げることができる。イオン化合物の濃度は、所望のイオン伝導率を達成するように選択される。例えば、(リン酸などの)酸は、電解質の約0.01重量%〜約5重量%、実施形態によっては約0.05重量%〜約0.8重量%、及び実施形態によっては約0.1重量%〜約0.5重量%を構成することができる。必要であれば、電解質内にイオン化合物の混和物を使用することもできる。
【0020】
電流が電解質を通過して誘電体層を形成する。電圧の値により誘電体層の厚みを管理する。例えば、必要な電圧に達するまで、最初は電源装置を定電流モードに設定することができる。その後、電源装置を定電位モードに切り換えて、陽極の表面を覆って所望の誘電体の厚みが形成されるのを確実にすることができる。言うまでもなく、パルス又は段階定電位法などの他の公知の方法を使用することもできる。電圧は、通常約4〜約200V、及び実施形態によっては約9〜約100Vである。陽極酸化中、電解質を約30℃以上、実施形態によっては約40℃〜約200℃、及び実施形態によっては約50℃〜約100℃などの高い温度に維持することができる。陽極酸化を大気温度以下で行うこともできる。結果として生じる誘電体層を陽極の表面上又はその細孔内に形成することができる。
【0021】
誘電体層が形成されると、例えば、比較的絶縁性の高い樹脂性材料(天然又は合成)で作製したような保護被覆を任意に施すことができる。このような材料は、約10Ω/cmを越える、実施形態によっては約100を越える特異的な抵抗率を有し、実施形態によっては約1000Ω/cmを越える、実施形態によっては約1×105Ω/cmを越える、及び実施形態によっては約1×1010Ω/cmを越える特異的な抵抗率を有することができる。本発明で利用することができるいくつかの樹脂性材料として、以下に限定されるわけではないが、ポリウレタン、ポリスチレン、(グリセライドなどの)不飽和又は飽和脂肪酸のエステルなどが挙げられる。例えば、適当な脂肪酸のエステルとして、以下に限定されるわけではないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エレオステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アレウリチン酸、シェロール酸などのエステルが挙げられる。これらの脂肪酸のエステルは、結果として生じる被膜を安定層に迅速に重合できるようにする「乾性油」を形成するために比較的複雑な組み合わせで使用する場合、特に有用であることが判明している。このような乾性油として、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はトリグリセリドを挙げることができ、これらはそれぞれ1つ、2つ、及び3つのエステル化された脂肪酸アシル残基を含むグリセロール骨格を有する。例えば、使用できるいくつかの適当な乾性油として、以下に限定されるわけではないが、オリーブ油、アマニ油、ヒマシ油、キリ油、大豆油、及びシェラックが挙げられる。これらの及びその他の保護被覆材料は、Fife他に付与された米国特許第6,674,635号にさらに詳細に記載されており、該特許はあらゆる目的によるこの特許への参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0022】
その後、陽極酸化した部品は、二酸化マンガン、導電性ポリマーなどの固体電解質を含む陰極を形成するステップを受ける。例えば、硝酸マンガン(Mn(NO32)を熱分解することにより二酸化マンガン固体電解質を形成することができる。このような技術は、例えば、Sturmer他に付与された米国特許第4,945,452号に記載されており、該特許はあらゆる目的によるこの特許への参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0023】
(ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、ポリアニリンなどの)1又はそれ以上のポリヘテロ環、ポリアセチレン、ポリ‐p‐フェニレン、ポリフェノレート、及びこれらの誘導体を含む導電性ポリマー被覆を使用することもできる。複数の導電性ポリマー層から導電性ポリマー被覆を形成することもできる。例えば、1つの実施形態では、導電性ポリマー陰極が、PEDTから形成された1つの層とポリピロールから形成された別の層とを含むことができる。様々な方法を利用して、陽極部品上に導電性ポリマー被覆を施すことができる。例えば、電解重合法、スクリーン印刷法、浸漬法、電着塗装法、及び噴霧法などの従来の技術を使用して、導電性ポリマー被覆を形成することができる。
【0024】
1つの特定の実施形態では、導電性被覆が、π共役であるとともに(少なくとも約1μScm-1の導電率などの)真性導電率を有する置換ポリチオフェンを含む。置換ポリチオフェンは、一般化学式(I)、(II)、又はこれらの両方の繰り返し単位を有することができ、
式中、
Aは、(メチレン、エチレン、n‐プロピレン、n‐ブチレン、n‐ペンチレンなどの)任意に置換されたC1〜C5のアルキレン基であり、
Rは、(メチル、エチル、n‐又はiso‐プロピル、n‐,iso‐,sec‐又はtert‐ブチル、n‐ペンチル、1‐メチルブチル、2‐メチルブチル、3‐メチルブチル、1‐エチルプロピル、1,1‐ジメチルプロピル、1,2‐ジメチルプロピル、2,2‐ジメチルプロピル、n‐ヘキシル、n‐ヘプチル、n‐オクチル、2‐エチルヘキシル、n‐ノニル、n‐デシル、n‐ウンデシル、n‐ドデシル、n‐トリデシル、n‐テトラデシル、n‐ヘキサデシル、n‐オクタデシルなどの)直鎖又は分岐の、任意に置換されたC1〜C18のアルキル基、(シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどの)任意に置換されたC5〜C12のシクロアルキル基、(フェニル、ナフチルなどの)任意に置換されたC6〜C14のアリール基、(ベンジル、o‐,m‐,p‐トリル,2,3‐,2,4‐,2,5‐,2,6‐,3,4‐,3,5‐キシリル、メシチルなどの)任意に置換されたC7〜C18のアラルキル基、任意に置換されたC1〜C4のヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシル基であり、
xは、0〜8の、実施形態によっては0〜2の整数であり、及び実施形態によってはxが0である。化学基「A」又は「R」の置換基の例としては、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホネート、アミノ、アルデヒド、ケト、カルボン酸エステル、カルボン酸、カーボネート、カルボキシレート、シアノ、アルキルシラン及びアルコキシシラン基、カルボキシアミド基などが挙げられる。
【0025】
一般化学式(I)又は一般化学式(II)の、又は一般化学式(I)及び(II)の繰り返し単位の総数は、通常2〜2000、及び実施形態によっては2〜100である。
【0026】
特に適した置換ポリチオフェンは、「A」が任意に置換されたC2〜C3のアルキレン基であり、xが0又は1のものである。1つの特定の実施形態では、置換ポリチオフェンが、化学式(II)の繰り返し単位を有するポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)(「PEDT」)であり、この場合「A」はCH2‐CH2であり「x」は0である。このようなポリマーの生成に使用されるモノマーは望む通りに様々であってよい。例えば、特に適したモノマーは、一般化学式(III)、(IV)又はこれらの両方を有する置換3,4‐アルキレンジオキシチオフェンであり、
式中、A、R、及びXは上記で定義した通りである。
【0027】
このようなモノマーの例としては、例えば、任意に置換された3,4‐エチレンジオキシチオフェンが挙げられる。3,4‐エチレンジオキシチオフェンの商業的に適した例が、H.C.Starck GmbH社から、Clevios(商標)Mの名称で市販されている。上記のモノマーのダイマー又はトライマーであるこれらのモノマーの誘導体を使用することもできる。本発明で使用するには、より高分子の誘導体、すなわちモノマーのテトラマー、ペンタマーなどが適している。誘導体は、同一の又は異なるモノマー単位で構成することができ、純粋な形で、及び互いの及び/又はモノマーとの混合物の形で使用することができる。これらの前駆体の酸化形態又は還元形態を使用することもできる。
【0028】
上述したようなチオフェンモノマーを、酸化触媒の存在下で化学重合することができる。通常、酸化触媒としては、鉄(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウム(IV)、マンガン(IV)、マンガン(VII)、又はルテニウム(III)カチオンなどの遷移金属カチオンが挙げられる。ドーパントを使用して、導電性ポリマーに過剰電荷を与え、ポリマーの導電性を安定化させることもできる。通常、ドーパントとしては、スルホン酸のイオンなどの無機又は有機アニオンが挙げられる。いくつかの実施形態では、前駆体溶液内で使用する酸化触媒が、(遷移金属などの)カチオン及び(スルホン酸などの)アニオンを含むという点で、触媒機能とドーピング機能の両方を有する。例えば、酸化触媒は、(FeCl3などの)ハロゲン化(III)鉄又はFe(ClO43又はFe2(SO43などの他の無機酸の鉄(III)塩、並びに有機酸及び有機基を備える無機酸の鉄(III)塩などの鉄(III)カチオンを含む遷移金属塩とすることができる。有機基を有する無機酸の鉄(III)塩の例としては、例えば、(ラウリルサルフェートの鉄(III)塩などの)C1〜C20アルカノールの硫酸モノエステルの鉄(III)塩が挙げられる。同様に、有機酸の鉄(III)塩としては、(メタン、エタン、プロパン、ブタン、又はドデカンスルホン酸などの)C1〜C20のアルカンスルホン酸の鉄(III)塩、(トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、又はペルフルオロオクタンスルホン酸などの)脂肪族ペルフルオロスルホン酸の鉄(III)塩、(2‐エチルヘキシルカルボン酸などの)C1〜C20の脂肪族カルボン酸の鉄(III)塩、(トリフルオロ酢酸、又はペルフルオロオクタン酸などの)脂肪族ペルフルオロカルボン酸の鉄(III)塩、(ベンゼンスルホン酸、o‐トルエンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、又はドデシルベンゼンスルホン酸などの)C1〜C20のアルキル基によって任意に置換された芳香族スルホン酸の鉄(III)塩、(カンファースルホン酸などの)シクロアルカンスルホン酸の鉄(III)塩などが挙げられる。これらの上述した鉄(III)塩の混合物を使用することもできる。本発明で使用するには、鉄(III)‐p‐トルエンスルホネート、鉄(III)‐o‐トルエンスルホネート、及びこれらの混合物が特に適している。鉄(III)‐p‐トルエンスルホネートの商業的に適した例が、H.C.Starck GmbH社から、Clevios(商標)Cの名称で市販されている。
【0029】
様々な方法を利用して、導電性被覆を形成することができる。1つの実施形態では、酸化触媒及びモノマーが、部品上の原位置で重合反応が生じるように順番に又は同時に付加される。導電性ポリマー被覆を形成するために使用できる適当な付加技術としては、スクリーン印刷法、浸漬法、電着塗装法、及び噴霧法が挙げられる。例として、最初に(3,4‐エチレンジオキシ‐チオフェンなどの)モノマーを酸化触媒と混合して溶液を生成することができる。混合物が生成されると、これを加えて重合を可能にすることにより、表面上に導電性被覆を形成できるようになる。或いは、酸化触媒とモノマーを順番に加えることができる。1つの実施形態では、例えば、酸化触媒が(ブタノールなどの)溶媒に溶解され、その後浸漬溶液として加えられる。次にこの部品を乾燥させて、ここから溶媒を除去することができる。その後、モノマーを含む溶液にこの部品を浸漬することができる。
【0030】
通常、重合は、使用する酸化剤及び所望の反応時間に応じて、約−10℃〜約250℃、及び実施形態によっては約0℃〜約200℃の温度で行われる。上述のような適当な重合技術は、Bilerに付与された米国特許出願公開第2008/232037号にさらに詳細に記載されている。このような導電性被覆を施すためのさらに他の方法が、Sakata他に付与された米国特許第5,457,862号、Sakata他に付与された第5,473,503号、Sakata他に付与された第5,729,428号、及びKudoh他に付与された第5,812,367号に記載されており、これらの特許はあらゆる目的によるこれらへの参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0031】
原位置付加により形成される被覆に加え、或いはこれと併せて、導電性ポリマー粒子が分散した形の導電性被覆を使用することもできる。これらの粒子のサイズは様々であってもよいが、通常は陽極部品に付着できる表面積を増やすために直径が小さいことが望ましい。例えば、粒子は、約1〜約500ナノメートル、実施形態によっては約5〜約400ナノメートル、及び実施形態によっては約10〜約300ナノメートルの平均直径を有することができる。粒子のD90値(D90値以下の直径を有する粒子が、全ての固体粒子の総体積の90%を構成する)は、約15マイクロメートル以下、実施形態によっては約10マイクロメートル以下、及び実施形態によっては約1ナノメートル〜約8マイクロメートルであってもよい。粒子の直径は、超遠心法、レーザ回折法などの公知の技術を使用して測定することができる。
【0032】
別個の対イオンを使用して、置換ポリチオフェンが運ぶ正電荷の影響を弱めることにより、導電性ポリマーの微粒子形態への形成を促進することができる。場合によっては、ポリマーは構造単位内に陽及び陰電荷を有し、陽電荷は主鎖上に位置し、陰電荷は任意に、スルホネート基又はカルボキシレート基などの化学基「R」の置換基上に位置する。主鎖の陽電荷を、化学基「R」上に任意に存在するアニオン基で部分的又は全体的に飽和させることができる。全体的にみれば、これらの場合、ポリチオフェンはカチオン性、中性、さらにはアニオン性であってもよい。にもかかわらず、これらは全て、ポリチオフェン主鎖が陽電荷を有しているためカチオン性ポリチオフェンとみなされる。
【0033】
対イオンは、モノマーアニオンであっても、又はポリマーアニオンであってもよい。ポリマーアニオンは、例えば、(ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などの)ポリマーカルボン酸、(ポリスチレンスルホン酸(「PSS」)、ポリビニルスルホン酸などの)ポリマースルホン酸などであってもよい。酸もまた、ビニルカルボン酸及びビニルスルホン酸と、アクリル酸エステル及びスチレンなどの他の重合可能モノマーとのコポリマーなどのコポリマーであってもよい。同様に、適当なモノマーアニオンとして、例えば、C1〜C20のアルカンスルホン酸(例えば、ドデカンスルホン酸)、脂肪族ペルフルオロスルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、又はペルフルオロオクタンスルホン酸)、C1〜C20の脂肪族カルボン酸(例えば、2‐エチルヘキシルカルボン酸)、脂肪族ペルフルオロカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸、又はペルフルオロオクタン酸)、C1〜C20のアルキル基によって任意に置換された芳香族スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、o‐トルエンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、又はドデシルベンゼンスルホン酸)、シクロアルカンスルホン酸(例えば、カンファースルホン酸又はテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、パークロレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート又はヘキサクロロアンチモネート)などのアニオンが挙げられる。特に適した対イオンは、ポリマーカルボン酸又は(ポリスチレンスルホン酸(「PSS」)などの)ポリマースルホン酸のようなポリマーアニオンである。このようなポリマーアニオンの分子量は、通常、約1,000〜約2,000,000、及び実施形態によっては約2,000〜約500,000の範囲内にある。
【0034】
これらを使用する場合、所定の層におけるこのような対イオンの置換ポリチオフェンに対する重量比は、通常約0.5:1〜約50:1、実施形態によっては約1:1〜約30:1、及び実施形態によっては約2:1〜約20:1である。上記の重量比で参照した置換ポリチオフェンの重量は、重合中に完全な変換が起こると仮定した場合、使用するモノマーの計量部分に対応する。
【0035】
分散液は、ポリマー層の付着特性をさらに向上させて分散液内の粒子の安定性も高めるために1又はそれ以上の結合剤を含むこともできる。結合剤は、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酪酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸アミド、ポリアクリロニトリル、スチレン/アクリル酸エステル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル及びエチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、メラミン・ホルムアミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂又はセルロースなどの本質的に有機性のものであってもよい。結合剤の付着力を高めるために架橋剤を使用することもできる。このような架橋剤として、例えば、メラミン化合物、マスクドイソシアネート又は3‐グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラエトキシシラン・ハイドロライゼートなどの官能性シラン、或いはポリウレタン、ポリアクリレート又はポリオレフィンなどの架橋可能ポリマー、及びこれに続く架橋が挙げられる。(水などの)分散剤、界面活性物質などの、当業で公知のその他の成分を分散液に含めることもできる。
【0036】
必要であれば、所望の被覆厚が得られるまで、上述した付加ステップの1又はそれ以上を繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、一度に比較的薄い被覆層しか形成されない。全体的な目標被覆厚は、一般に所望のコンデンサの特性によって様々であってよい。通常、結果的に得られる導電性ポリマー被覆は、約0.2マイクロメートル(「μm」)〜約50μm、実施形態によっては約0.5μm〜約20μm、及び実施形態によっては約1μm〜約5μmの厚みを有する。なお、被覆厚は、必ずしも部品上の全ての位置で等しいとは限らない。とは言うものの、一般に平均被覆厚は上記の範囲に収まる。
【0037】
導電性ポリマー被覆は、任意にヒーリング処理することができる。ヒーリング処理は、導電性ポリマー層を各々付加した後、又は導電性ポリマー被覆全体を付加した後に行うことができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液内に部品を浸漬し、その後、電流が予め選択したレベルに低下するまで溶液に定電圧を印加することにより、導電性ポリマーをヒーリング処理することができる。必要であれば、このようなヒーリング処理を複数のステップで行うことができる。例えば、電解質溶液を、(エタノールなどの)アルコール溶媒にモノマー、触媒、又はドーパントを入れた希薄溶液とすることができる。必要であれば、被覆を洗浄して、様々な副生物、過剰試薬などを除去することもできる。
【0038】
必要であれば、任意に部品に外部被覆を施すこともできる。外部被覆は、少なくとも1つの炭素質層と、この炭素質層の上に重なる少なくとも1つの金属層とを含む。金属層は、コンデンサのためのハンダ付け可能な導電体、接触層、及び/又は電荷コレクタとして機能することができ、銅、ニッケル、銀、ニッケル重複、亜鉛、錫、パラジウム、鉛、銅重複、アルミニウム、モリブデン、チタン、鉄、ジルコニウム、マグネシウム、及びこれらの合金などの導電性金属で形成することができる。この層で使用するのに特に適した導電性金属は銀である。炭素質層は、コンデンサの抵抗を増加させることになる金属層と固体電解質層との接触を制限することができる。炭素質層は、グラファイト、活性炭、カーボンブラックなどの様々な公知の炭素質材料で形成することができる。炭素質層の厚みは、通常約1μm〜約50μm、実施形態によっては約2μm〜約30μm、及び実施形態によっては約5μm〜約10μmの範囲内にある。同様に、金属層の厚みは、通常約1μm〜100μm、実施形態によっては約5μm〜約50μm、及び実施形態によっては約10μm〜約25μmの範囲内にある。
【0039】
どのように形成されたかにかかわらず、結果的に得られるコンデンサ素子33は、上述したように、陽極終端62及び陰極終端72とに電気的に接触して提供される。(銅、ニッケル、銀、ニッケル重複、亜鉛、錫、パラジウム、鉛、銅重複、アルミニウム、モリブデン、チタン、鉄、ジルコニウム、マグネシウム、及びこれらの合金などの)導電性金属などのいずれかの導電性材料を使用して終端を形成することができる。特に適した導電性金属として、例えば、銅、(銅‐ジルコニウム、銅‐マグネシウム、銅‐亜鉛、又は銅‐鉄などの)銅合金、ニッケル、及び(ニッケル‐鉄などの)ニッケル合金が挙げられる。一般に、終端の厚みは、コンデンサの厚みを最小限に抑えるように選択される。例えば、終端の厚みは、約0.05〜約1ミリメートル、実施形態によっては約0.05〜約0.5ミリメートル、及び約0.07〜約0.2ミリメートルの範囲内にあることができる。1つの例示的な導電性材料に、Wieland社(ドイツ)から市販されている銅‐鉄合金メタルプレートがある。必要であれば、当業で公知のように、終端の表面をニッケル、銀、金、錫などで電気めっきして、最終部品を回路基板に確実に実装できるようにすることができる。1つの特定の実施形態では、終端の両面をニッケル及び銀フラッシュでそれぞれめっきする一方で、実装面も錫はんだ層でめっきする。
【0040】
陰極終端は、コンデンサ素子33の表面のいずれと電気的に接触してもよいが、図示の実施形態における陰極終端72は、下面39及び後面38と電気的に接触している。より具体的には、陰極終端72は、比較的平坦な、コンデンサ素子33の下面39に対して実質的に平行に配置された第1の部分73と、平坦部分73に対して(90°±5°などの)実質的に垂直に配置された第2の直立部分74とを含む。直立部分74は、コンデンサ素子33の後面38と電気的に接触し、これと実質的に平行である。任意に、直立部分74は、コンデンサの製造中に折り曲げられやすくする開口部76を形成することができる。なお、平坦部分及び直立部分を一体として示しているが、代わりにこれらを別個の断片として、直接又は追加の導電性素子を介してともに接続することもできる。
【0041】
陽極終端62も、比較的平坦な、コンデンサ素子33の後面39に対して実質的に平行に配置された第1の部分63と、平坦部分63に対して(90°±5°などの)実質的に垂直に配置された第2の直立部分64とを含む。直立部分64は、軸「A」に沿って曲げられることにより、第1の区画66aと第2の区画66bとが、ともに逆向きの「U字形」構造を形成する。通常、区画66a及び66bは、各々が陽極終端62の平坦部分63に対して(90°±5°などの)実質的に垂直に配置される。図1により分かりやすく示すように、陽極リード16を保持するためのスロット51が、直立部分64の両区画を通じて延びる。スロット51は、様々な異なる形状及びサイズのいずれかを有することができる。例えば、図示の実施形態では、スロット51が、リード16の表面接触及び機械的安定性をさらに高めるための「U字形」を有する。
【0042】
陽極終端62及び陰極終端72を含むリードフレームにコンデンサ素子を取り付けた例示的な態様を図2図4に示しており、これについてより詳細に説明する。簡略化するために、単一のコンデンサのみの構成について説明する。しかしながら、リードフレームは、個々のコンデンサアセンブリに切断された複数の終端を含むことができる。図2を参照すると、上述したような陽極終端62及び陰極終端72を含むリードフレームの一部を示している。なお、図示しているのはリードフレームの一部のみであり、一般にこのリードフレームは、明示していない他の構成要素を含む。例えば、最初に金属シートを介して終端を接続し、これをコンデンサの製造中に後で取り除くことができる。
【0043】
図2のリードフレームは、初期の「平坦」構成で示している。この実施形態では、陽極終端62が、基部63と、ここから延びるタブ64とを有する。図3に示すように、タブ64は上向きに曲げられて直立部分を形成する。次に、直立タブ部分64を折り曲げ軸「A」に沿って下向きに曲げることにより、部分64内の陥凹部又は孔78が所望のスロット51を形成する。陥凹部78の形状及びサイズ、直立部分64の高さ、及び折り曲げ軸「A」(図3)の位置が一体となって、結果的に得られるスロット51の高さを決定する。例えば、陥凹部78は、円形形状と、約20〜約1000マイクロメートルの、実施形態によっては約100〜約600マイクロメートルの、及び実施形態によっては約200〜約500マイクロメートルの直径とを有することができる。同様に、直立部分64は、約400〜約5000マイクロメートルの、実施形態によっては約600〜約1500マイクロメートルの、及び実施形態によっては約800〜約1200マイクロメートルの高さ「H1」(例えば図2及び図5を参照、平坦部分63の上面から部分64の上端までを測定)を有することができる。折り曲げ軸「A」の位置は、望む通りに様々であってよいが、多くの場合、図3に示すように陥凹部78の中心を通って延びる。結果的に得られるスロット51の高さ「H2」(例えば図2及び図5を参照、平坦部分63の上面からスロット51の陽極リード16を載置する部分の下面までを測定)は、同様に、約250〜約3000マイクロメートル、実施形態によっては約400〜約1500マイクロメートル、及び実施形態によっては約500〜約1000マイクロメートルであることができる。
【0044】
陰極終端72も、最初に基部73と、ここから延びるタブ74とを含む。この場合も、図3に示すように、タブ74を上向きに曲げて直立部分を形成することができる。必要であれば、コンデンサ素子33が包まれるまで、代わりにタブ74を平坦にしておくことができる。
【0045】
再び図1及び図5を参照して分かるように、(単複の)終端が所望の構成に曲げられると、コンデンサ素子33が、下面39が平坦部分63及び73に接触して陽極リード16がスロット51に受け入れられるようにしてこれらの上に配置される。必要であれば、陰極終端72とコンデンサ素子33の間に導電性接着剤93を配置して付着度合いを高めることができる。同様に、コンデンサ素子33の下面39と陽極終端62の平坦部分63との間にプラスチックパッド又はテープなどの絶縁材料91を配置して、陽極終端と陰極終端を電気的に絶縁することもできる。次に、機械的接合、レーザ溶接、導電性接着剤などの当業で公知のいずれかの技術を使用して、陽極リード16をスロット51に電気的に接続することができる。陽極リード16を電気的に接続すると、任意の導電性接着剤を硬化させることができる。例えば、ヒートプレスを使用して熱及び圧力を印加し、コンデンサ素子33が接着剤によって陰極終端72に適切に接着されることを確実にすることができる。
【0046】
コンデンサ素子が取り付けられると、リードフレームを樹脂ケーシング58(図5)内に閉じ込め、これにシリカ又は他のいずれかの公知の封入材料を充填する。ケースの幅及び長さは、対象とする用途によって様々であってよい。好適なケーシングとして、例えば「A」、「B」、「F」、「G」、「H」、「J」、「K」、「L」、「M」、「N」、「P」、「R」、「S」、「T」、「W」、「Y」、又は「X」ケース(AVX Corporation)を挙げることができる。使用するケースのサイズにかかわらず、回路基板上に実装するために陽極終端62及び陰極終端72の少なくとも一部が露出されるようにしてコンデンサ素子33を封入する。例えば、図5に示す実施形態では、陽極終端62の平坦部分63が露出されているが、直立部分64はケーシング58内に封入されている。同様に、陰極終端72の平坦部分73も露出されているが、直立部分74はケーシング58内に封入されている。
【0047】
以下の実施例により、本発明をより良く理解することができる。
【0048】
試験手順
等価直列抵抗(ESR)
Kelvin Leadを取り付けたKeithley 3330 Precision LCZメータを使用して、2.2ボルトのDCバイアス及び0.5ボルトのピークトゥピーク正弦波信号で等価直列抵抗を測定することができる。動作周波数は100kHzであり、温度は23℃±2℃であった。
【0049】
静電容量
Kelvin Leadを取り付けたKeithley 3330 Precision LCZメータを使用して、2.2ボルトのDCバイアス及び0.5ボルトのピークトゥピーク正弦波信号で静電容量を測定した。動作周波数は120Hzであり、温度は23℃±2℃であった。
【0050】
漏れ電流:
最低限60秒後に、25℃の温度、定格電圧で漏れ電流を計測する漏れ試験セットを使用して漏れ電流(「DCL」)を測定した。
【実施例1】
【0051】
コンデンサを形成するために、タンタルワイア(直径0.5mm)を含むタンタル陽極を、最初に液体電解質内で15.5Vで150μmまで陽極酸化した。次に、陽極をトルエンスルホン酸鉄(III)のブタノール溶液(Clevios(商標)C,H.C.Starck社)内に5分間浸漬し、引き続き3,4‐エチレンジオキシチオフェン(Clevios(商標)M,H.C.Starck社)内に1分間浸漬することにより、導電性ポリマー被覆を形成した。重合から45分後に、誘電体の表面にポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)の薄層が形成された。この部品をメタノール内で洗浄して反応副生物を除去し、液体電解質内で陽極酸化して、メタノール内で再び洗浄した。この重合サイクルを6回繰り返した。その後、この部品を、固形分2%の分散ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)内に125℃で20分間浸漬した。ここでも、この処理を6回繰り返した。次に、当業で公知のように、部品をグラファイト及び銀で被覆した。
【0052】
コンデンサ素子のタンタルワイアが形成されると、これをレーザによって特定の長さに切断した。導電性ポリマーへの機械的及び温度的損傷を防ぐために、スポット直径の小さなファイバーレーザを使用した。その後、コンデンサ素子をリードフレームのポケット内に置き、図1図5に示すような、リードフレームの「折り曲げた」直立部分のU字形スロットによってタンタルワイアを収容した。このように配置したら、パルスレーザビームを使用して、直立部分にワイアを溶接した。コンデンサ素子をリードフレームに取り付けた後、これを高さ約1.90mm、幅約2.80mm、及び長さ約3.50mmの「B」ケースに封入した。上述の方法により1,100個の部品を作製した。
【実施例2】
【0053】
リードフレームの直立部分を図1図3に示すように折り曲げなかったことを除き、実施例1で説明した態様によりコンデンサを形成した。この方法により1,100個の部品を作製した。
【0054】
形成されると、実施例1及び2の部品に様々な性能試験を行った。実施例1の部品の95%が性能試験に合格と判定されたのに対し、実施例2の部品は10%しか合格しなかった。この低い収率は、レーザビームの高エネルギーによってタンタルワイアが融解して蒸発したことに起因すると考えられる。漏れ電流、ESR、静電容量、及び誘電正接も試験した。以下、平均試験結果を示す。
平均試験結果
【0055】
当業者であれば、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく本発明のこれらの及びその他の修正及び変更を行うことができる。また、様々な実施形態の態様を、全部又は一部の両方の形で置き替えできることを理解されたい。さらに、当業者であれば、上述の説明は例示を目的としたものにすぎず、以下に添付する特許請求の範囲にさらに記載するように本発明を限定することを意図するものではないことが理解できよう。
図1
図2
図3
図4
図5