(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000534
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】航空機の客室サービス管理システム
(51)【国際特許分類】
B64D 11/04 20060101AFI20160915BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20160915BHJP
B64F 1/36 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
B64D11/04
B64D47/00
B64F1/36
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-264593(P2011-264593)
(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公開番号】特開2013-116666(P2013-116666A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132013
【氏名又は名称】株式会社ジャムコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 修一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0231212(US,A1)
【文献】
特開2005−084814(JP,A)
【文献】
特表2004−519397(JP,A)
【文献】
特開平02−155853(JP,A)
【文献】
特開2002−037417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/00 − 11/06
B64D 47/00
B64F 1/36
B64F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の機内において、ユーザ側の情報端末からミール、ドリンクを予約した乗客ユーザに対して、予約したミール、ドリンクをサービスする客室サービス管理システムであって、
乗客の情報端末に入力されたフライトの予約、座席の指定、及びミール、ドリンクの予約情報を受信するデーターサーバーと、
前記データーサーバーが受信したフライトの予約、座席の指定、及びミール、ドリンクを含む予約情報をケータリング会社に送信する手段と、
前記データーサーバーが受信した予約情報における座席の指定、及びミール、ドリンクの予約情報をダウンロードし、当該予約情報を客室乗務員が航空機の機内において携帯する携帯端末に送信するセンターサーバーと、
前記ケータリング会社により航空機の機内に搬入されたRFIDタグであって、ミール、ドリンクに取り付けられたRFIDタグに含まれるミール、ドリンクの種類を含む情報を読み取り、当該読み取り情報を表示する機能を有するRFIDタグリーダーと、
を備え、
前記携帯端末は、
前記センターサーバーからの予約情報を受信し、当該予約情報における座席と前記ミール、ドリンクの種類を関連付けして表示する機能を有し、
前記携帯端末に表示された予約情報とRFIDタグリーダーにより読み取って表示されたRFIDタグの情報を元に客室乗務員による前記座席の乗客に対して予約のミール、ドリンクのサービスを行うとともに前記RFIDタグリーダーにより読み取ったミール、ドリンクを乗客に提供したあと、サービスが完了した座席には、提供済である旨を示す情報を表示して、客室サービス管理を行う
ことを特徴とする客室サービス管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の客室内において、乗客に対してミール(食事・スナック)やドリンク(飲料)のサービスや機内で販売する商品等を無線タグを利用して合理的に管理する航空機の客室サービス管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の利用者は、フライトの予約時にベジタリアン用の食事等の特別な食事等要望を電話等で予約することは可能であり、航空会社は、これらの要望を食事や飲料等を用意するケータリング会社に伝えて、予約されたフライトに要望された食事等を搬入している。
一方、ローコストキャリア(LCC)時代の到来によるフード・ドリンクサービスの有料化に伴ない、オーダー内容の確認や機内食の残数管理等が客室乗務員CAの重要な業務ともなり、客室乗務員CAの負担も大きくなっている。
商品や物品にRFIDと称する無線認識タグを取り付け、RFIDリーダーでこれらのタグを読み取って、物流の管理を行う技術は、下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−521740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、乗客がPCや携帯情報端末からフライトと座席を予約する際に、乗客がドリンクやミール、スナック等のフードに加えてアメニティの要求を行うと、これらの要求をケータリング会社が受けてドリンクやフードにRFIDタグを付与し、タグが付与されたドリンクやフード等を機内に搭載することにより、客室乗務員がこれらを管理して乗客の要望に対応して乗客の満足度を向上する客室サービス管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の航空機の客室サービス管理システムは、航空機の乗客が情報端末からフライト予約時に座席の指定と、ミール、ドリンク、必要な物品の情報を航空機を運搬する航空会社のデーターサーバーへの入力する工程と、データーサーバーが入力された情報をケータリング会社へ送るとともに、航空機のセンターサーバーへ送る工程と、ケータリング会社が、送られた情報に対応するミール、ドリンク、必要な物品を用意するとともに、RFIDタグを付して航空機内に搬入する工程と、航空機内のセンターサーバーがルーターを介して客室乗務員が携帯する携帯端末に情報を送る工程と、客室乗務員が、RFIDリーダーによりミール、ドリンク、必要な物品のRFIDタグを読み取り、携帯端末に表示された情報と対応して乗客に対してサービスを行う工程を備えるものである。
そして、客室乗務員が携帯する携帯情報端末は、各座席位置と、各座席の乗客に対して提供するミール、ドリンク、必要な物品を表示するとともに、これらの残量を集計する機能を備えるものである。
また、客室乗務員が携帯する携帯情報端末より、機内で販売する免税品の残数管理と通貨換算機能を備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は以上の手段を備えることにより、航空機を利用するユーザの要求に適格に応えることができ、また航空会社も各フライトに必要なドリンクやフードを過不足なく搭載することでコスト及び重量を低減することが可能となる。
また、客室の客室乗務員も乗客に対して最適なサービスを提供し、またドリンクやフードの残数管理や機内販売の商品の管理、価格計算等も効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の航空機の客室サービス管理システムの説明図。
【
図2】本発明の航空機の客室サービス管理システムの機内を中心とした説明図。
【
図3】客室乗務員CAによるサービスの詳細を示す説明図。
【
図4】客室乗務員CAが携帯するPDAの表示情報を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の航空機の客室サービス管理システムの概要を示す説明図である。
航空機を利用しようとするユーザは、パソコンや携帯端末100を利用してフライトの予約と座席の指定を行う。この際に、ユーザは希望するドリンクの種類やミール(食事)の指定を行う。
【0009】
この情報は、ケータリング会社200に伝えられ、ケータリング会社200は、ドリンクやミール300を用意するとともに、各ドリンクやミールトレイ300にRFIDタグT
1を付与する。
タグT
1を付与されたドリンクやフード300は、空港に運ばれ航空機の機内500へ搬入される。
【0010】
航空機の機内500にあって、客室乗務員CAはRFIDリーダーR
1を用いてドリンクやミール300のタグT
1の情報を読み取り、指定された座席の乗客に対して、予約時に要求されたドリンクやミールをサービスする。
このシステムにより、予め要求された乗客の希望するドリンクやミールを正確に提供することができ、乗客の満足度も格段に向上する。
【0011】
図2は、
図1で説明した航空機の客室サービス管理システムの機内を中心とした説明図である。
ユーザは、PC100等でフライトと座席の予約を行うと同時に、ドリンクやミールの予約を行う。
【0012】
これらのデーターは、航空会社のデーターサーバー110に伝えられる。この特報はケータリングで会社に伝えられるとともに、機内のセンターサーバー600にダウンロードされる。
ケータリング会社は要求されたドリンクやミールを用意してRFIDタグを付して客室500内のギャレー510に搬入する。
【0013】
機内のセンターサーバー600は、ルーター610から無線LANに情報を出力し、この情報は客室乗務員CAが携帯する携帯情報端末(PDA)700に受信される。
客室乗務員CAはPDA700に表示された座席の乗客に対して予約されたドリンクやミールをサービスする。
【0014】
図3は、客室乗務員CAによるサービスの詳細を示す。
機内のギャレーに搭載されたサービスカート520内には、ケータリング会社が準備したミールを載せたトレイ300が格納されている。
【0015】
これらのトレイ300にはケータリング会社によりRFIDタグT
1が付与されていて、ミールの情報が記憶されている。客室乗務員CAはタグT
1のリーダーR
1をタグに近づけることにより、タグT
1の情報はリーダーR
1のディスプレイ上に表示される。客室乗務員CAはこの情報を確認して予め乗客から要求されていたミールやスナック等をサービスする。
【0016】
リーダーR
1を操作して、サービスカート520内に残るミールの残数の管理を行うことができる。
【0017】
図4は、客室乗務員CAが携帯する携帯情報端末(PDA)700の表示情報の例を示す説明図である。
携帯情報端末(PDA)700には、シート番号と、肉、魚等の要求されたミールの種類が表示され、サービスが完了したシートには、その旨が表示されるとともに、ミールの残数が確認される。
【0018】
また、乗客に免税品等の販売を行う際には、通貨の換算等の計算を行い、物品の残数も管理を行うことができる。
また、携帯情報端末(PDA)700は、乗客の搭乗履歴、マイレージ情報の登録を記録し、VIP顧客の情報や追加するメモ情報等を記録し、表示する機能を備える。
【0019】
本発明の航空機の客室サービス管理システムは以上のように、乗客に予約されたドリンクやミールを始め、乗客が要求する物品などをサービスできるので、乗客の満足度を高めるとともに、数量を正確に管理して運搬コストも低減することができる。
また、客室乗務員CAの業務負担を軽減して結果的に乗客へのサービスを向上することができるものである。
【符号の説明】
【0020】
100 情報端末
110 データーサーバー
200 ケータリング会社
300 ミール、ドリンク、など
500 航空機の機内
510 ギャレー
520 サービスカート
600 センターサーバー
610 ルーター
700 携帯情報端末(PDA)
CA 客室乗務員
T
1 RFIDタグ
R
1 RFIDリーダー