特許第6000540号(P6000540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポーラ化成工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000540
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】セラミドを含有する乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/68 20060101AFI20160915BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20160915BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   A61K8/68
   A61K8/33
   A61K8/36
   A61K8/55
   A61K8/06
   A61Q19/00
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-273278(P2011-273278)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-124226(P2013-124226A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年12月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】藤山 一平
(72)【発明者】
【氏名】駒田 美香
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−094810(JP,A)
【文献】 特開2003−313149(JP,A)
【文献】 特開2004−131420(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/004676(WO,A1)
【文献】 特開2006−273747(JP,A)
【文献】 特開2007−001950(JP,A)
【文献】 特開2006−193464(JP,A)
【文献】 特開2011−195527(JP,A)
【文献】 特開2007−269722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)セラミドと、2)リン脂質と、3)イソステアリン酸と、4)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルを含有することを特徴とする乳化組成物。
【請求項2】
前記1)セラミド及び前記2)リン脂質が油相と水相の界面に存在し、前記3)イソステアリン酸及び前記4)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルが油相に存在することを特徴とする、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
前記セラミドが、セラミドタイプ2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
前記セラミドの含有量が、0.01〜5質量%であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の乳化組成物。
【請求項5】
リン脂質の含有量が0.01〜5質量%であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の乳化組成物。
【請求項6】
1)セラミドと、2)リン脂質と、3)イソステアリン酸と、4)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルを混合し油相成分を調製する工程と、水相成分を調製する工程と、調製した前記油相成分と前記水相成分を混合し乳化する工程を含むことを特徴とする、乳化組成物の製造方法。
【請求項7】
1)セラミドと、2)リン脂質と、3)イソステアリン酸と、4)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルとを混合し油相成分を調製する工程を有することを特徴とする、セラミドを乳化組成物に安定に配合させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミドと、リン脂質と、イソステアリン酸と、油剤とを含有した、保湿効果、水分蒸散抑制効果、使用感、製剤安定性の良い新しい乳化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
角層は皮膚の最外層に存し、外部からの物理的、化学的刺激を防ぐ機能を有した重要な生体防御器官であるといえる。かかる防御は角層を構成する角層細胞の緻密な重層構造、言わば皮膚バリア構造に由来する。このような皮膚のバリア機能は、角層細胞の構造に由来するところが大きく、角層細胞あるいはその重層構造物である角層に異常が生じると、生体外異物の侵入を阻止することができなくなり、生体内に好ましくない細菌、ウイルス、生体に悪影響を及ぼす物質が入り込み、炎症などの疾病を引きおこし、生体内物質の生体内への保持が不全となり、皮膚からの水の散逸を抑制することができなくなり、皮膚の水分量を低下させ、皮膚の乾燥感、みずみずしさ等の見た目の美観を損なうこととなる。
【0003】
このような皮膚バリア機能を向上させるために、様々な化粧料が開発され、角層細胞間脂質の多くを占めるセラミドを配合した化粧料や、角層の水分保持機能の維持・補強を目的に油剤を配合した乳液やクリーム等の乳化化粧料が開発されてきた。
【0004】
セラミドは、皮膚を構成する重要な成分であり、その機能として、皮膚バリア機能を担っていると言われている。この為、化粧料などに配合する試みが多々行われているが、水に対しても、又、油性成分に対しても相溶性があまりないので、その配合は製剤的な観点から多くの困難さを伴う。例えば、長期的な保存により不溶物を形成する場合が存することなどが例示できる。
【0005】
この様な課題を元に、多価アルコール、高級アルコール、アシル化ポリグリセリンなどを用いて、液晶構造を作成し、セラミドを液晶の形態で安定に含有させる技術が考案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。またセラミドとリン脂質とカチオン性界面活性剤とでベシクルを形成させる技術が存在する(例えば、特許文献3)。さらにイソステアリン酸を塩基性物質で中和したものにセラミドを加え、高級アルコールを添加することによって、二分子膜からなる閉鎖小胞体を形成させることができ、これによってセラミドを水性媒体中に多量に配合する技術も存在する(例えば、特許文献4)。しかしながら、この様な系に於ける液晶やベシクルの分散安定性は、長期的な保存においては良好とは言い難い。
【0006】
一方、乳化組成物は、多種多様な油剤を配合することが可能であり、有用な剤形となっている。この様な乳化組成物のうち、セラミドを多く配合するため、セラミド等の難溶性物質の溶解性を高めたエステル油および乳化組成物が提案されている(例えば、特許文献5)。しかしながら、これらのエステル油は、極性が高いことから、乳化組成物にした場合、その経時や高温での安定性に課題が存在した。そのため、セラミドを多く溶解でき、乳化安定性に優れた新たな乳化組成物の技術開発が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開2004−331595号公報
【特許文献2】特開2004−331594号公報
【特許文献3】特開2006−193464号公報
【特許文献4】特開2008−94810号公報
【特許文献5】特開2003−104911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
セラミドを安定に配合した、保湿効果、水分蒸散抑制効果、使用感、製剤安定性の良い新しい乳化組成物を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、化粧品分野で使用できうる油剤、乳化剤を組み合わせて使用し、新たな乳化組成物を目指して鋭意研究した結果、以下に示すような乳化組成物が、セラミドを安定に配合でき、保湿効果、水分蒸散抑制効果、使用感、製剤安定性の良い乳化組成物を確保できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下に示すとおりである。
【0010】
(1)(A)セラミドと、(B)リン脂質と、(C)イソステアリン酸と、(D)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルとを含有することを特徴とする乳化組成物。
(2)(A)セラミド及び(B)リン脂質が油相と水相の界面に存在し、(C)イソステアリン酸及び(D)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルが油相に存在することを特徴とする、請求項1に記載の乳化組成物。
)前記セラミドが、セラミドタイプ2であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の乳化組成物。
)前記セラミドの含有量が、0.01〜5質量%であることを特徴とする、(1)〜(3)の何れか一項に記載の乳化組成物。
)リン脂質の含有量が0.01〜5質量%であることを特徴とする、(1)〜()何れか1項に記載の乳化組成物。
(6)(A)セラミドと、(B)リン脂質と、(C)イソステアリン酸と、(D)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルを混合し油相成分を調製する工程と、水相成分を調製する工程と、調製した前記油相成分と前記水相成分を混合し乳化する工程を含むことを特徴とする、乳化組成物の製造方法。
(7)(6)に記載の製造方法により製造された乳化組成物。
(8)(A)セラミドと、(B)リン脂質と、(C)イソステアリン酸と、(D)ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルとを混合し油相成分を調製する工程を有することを特徴とする、セラミドを乳化組成物に安定に配合させる方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保湿効果、水分蒸散抑制効果、使用感、製剤安定性の良い新しい乳化組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<本発明に必須のセラミド>
本発明の乳化組成物は、セラミドを必須成分として含有することを特徴とする。セラミドとしては、通常タイプ1〜タイプ7が存在することが知られており、それらのいずれもが利用できるが、その中では特にタイプ2が好ましく、N−ステアロイルジヒドロキシスフィンゴシンが特に好ましい。この様なセラミドには市販品が存在し、かかる市販品を購入し、利用することが出来る。この様な市販品のうち、好ましいものとしては、タイプ1である、N- (27−オクタデカノイルオキシ−ヘプタコサノイル−)−フィトスフィンゴシンを成分とする、「Ceramide I」(コスモファーム社製)、タイプ2であるN−ステアロイルジヒドロキシスフィンゴシンを成分とする、「セラミドTIC−001」(高砂香料工業株式会社製)、タイプ3であるN−ステアロイルフィトスフィンゴシンを成分とする「Ceramide III」(コスモファーム社製)、N−リノレオイルフィトスフィンゴシンを成分とする「Ceramide IIIA」(コスモファーム社製)、N−オレオイルフィトスフィンゴシンを成分とする「Ceramide IIIB」(コスモファーム社製)、タイプ6であるN−2−ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシンを成分とする、「Ceramide VI」(コスモファーム社製)等が好ましく例示できる。これらは唯一種を含有することも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかるセラミドの本発明の外用剤に於ける好ましい含有量は、総量で乳化組成物全量に対して、0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。これは少なすぎると、セラミドの有している好ましい効果が発現せず、多すぎるとセラミドの不溶物を形成させてしまう場合がある。
【0013】
<本発明に必須のリン脂質>
本発明の乳化組成物は、リン脂質を必須成分として含有することを特徴とする。本発明の乳化組成物では、通常化粧料など使用されているリン脂質は、特段の限定無く使用することが出来る。かかるリン脂質としては、例えば、レシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル酸及びそれらのリゾ体から選択されるものが好ましく例示できる。ここで、レシチンとは、ホスファチジルコリンを主成分とするリン脂質の慣用名であり、レシチンに換えて、主成分であるホスファチジルコリンを用いることも出来る。その基源としては、大豆や卵黄などが好適に例示でき、大豆が特に好ましく例示できる。本発明の外用組成物に於いては、かかるリン脂質は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明の外用組成物に於ける、かかるリン脂質の好ましい含有量は、総量で、乳化組成物全量に対して、0.01〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0質量%である。これは、少なすぎると安定な乳化組成物が得られず、多すぎると、使用感が非常に悪くなるからである。
【0014】
<本発明に必須のイソステアリン酸>
本発明の乳化組成物は、イソステアリン酸を含有することを特徴とする。かかるイソステアリン酸は、0.1〜10.0質量%含有することが好ましく、1.0〜5.0質量%含有することがさらに好ましい。この量範囲で含有することにより、乳化安定性を高められる。又、イソステアリン酸は中和され塩の状態でもよく、中和剤としては、通常化粧料で使用されるものであれば特段の限定無く使用できる。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギニン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。特に好ましいものはカリウム塩である。
【0015】
<本発明に必須のヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテル>
本発明の乳化組成物は、ヒドロキシアルキル(C12−18)ヒドロキシダイマージリノレイルエーテルを含有することを特徴とする。何れも化粧料原料であり既に市販品が存在し、スーパーモルPS(クローダジャパン株式会社製)、スーパーモルLM(クローダジャパン株式会社製)等が例示できる。かかる成分は、1.0〜10.0質量%含有することが好ましく、5.0〜7.0質量%含有することがさらに好ましい。
【0016】
<本発明の乳化組成物>
本発明の乳化組成物は、乳液、クリーム、美容液、マッサージ、パック等のスキンケア化粧料及びリキッドファンデーション等のメイクアップ化粧料、クレンジングクリーム、洗顔、ボディシャンプー等の皮膚洗浄料、シャンプー、リンス、トリートメント、整髪料等の毛髪用組成物等を含む。
【0017】
このようにして得られた乳化組成物は、セラミドを安定に配合した、保湿効果、水分蒸散抑制効果、使用感、製剤安定性の優れた全く新しい乳化組成物となりうる。
【0018】
本発明の乳化組成物に於いては、前記の成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)
、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)
、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンBジオクタノエート、ビタミンB又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【実施例】
【0019】
<製造例1>本発明の乳化組成物の製造
以下に示す処方に従って、本発明の乳化組成物である、乳液を作製した(実施例1)。すなわち、(A)の各成分を混合し90℃で加熱溶解した。一方(B)の各成分を混合溶解して90℃に加熱した。(A)の混合物に(B)を加えて撹拌して乳化させた。その後、室温まで撹拌、冷却し、乳液を得た。また実施例1のうち、セラミドTIC−001を、Ceramide IIIに置換した実施例2、Ceramide VIに置換した実施例3、レシチンをホスファチジルコリンに置換した実施例4、リゾレシチンに置換した実施例5、スーパーモルLMをスーパーモルPSに置換した実施例6も同時に調製した。さらに実施例1のうち、セラミドTIC−001を水に置換した比較例1、イソステアリン酸をステアリン酸に置換した比較例2、レシチンをポリオキシエチレン(10)モノステアレートに置換した比較例3、スーパーモルLMをグリセロールトリオレートに置換した比較例4および比較例5も同時に調製した。表1にその組成を示す。
【0020】
【表1】
【0021】
<試験例1>皮膚の保湿効果試験
試験は、5名のパネラーを対象として、20℃、相対湿度50%の部屋で実施した。測定部位を32℃の温水で30秒間洗浄し、20分間安静にし、その後、測定を行った。前腕内側部の皮膚を対象として、試験予定日の前日(−1日)に、予め試験予定部位の皮膚水分量をSKICON−200EX(IBS社製)にて測定しておく。その後、5%濃度のラウリル硫酸ナトリウム水溶液を含浸させたガーゼ(2cm×2cm)を30分間接触させた。翌日(0日)SKICON−200EXにて、皮膚水分量を測定、その後、表1に示した試験サンプル(実施例1〜6、比較例1〜5)を塗布した。試験サンプルの塗布は、一日3回実施した。塗布1日後、2日後に再度皮膚水分量を測定した。同時に、試験サンプルの塗布を行わない未処置対照の試験も実施した。評価結果を表2に示した。
【0022】
【表2】
【0023】
<試験例2>水分蒸散抑制試験
水を充填したアクリルカップの上面に濾紙でフタをしたものを用意し、このフタとなっている濾紙に試験サンプル(実施例1〜11、比較例1〜5)を同量塗布した。これを40℃の恒温室に24時間保存した。この濾紙、及び、濾紙に試験サンプルを塗布したもの、それを用いてフタをした状態のものについては、予め重量を計測しておいた。保存後、再び同様に重量を計測し、系全体からの水分の散逸量を計算した。評価結果を表3に示した。試験サンプルの塗布を行わない未処置対照の散逸量を100%とした。
【0024】
【表3】
【0025】
<試験例3>乳液の使用感評価
皮膚の保湿効果試験に際して、試験部位における試験サンプル塗布時の使用感に関してアンケートを行った。評価基準を以下に示した。また5名で最も多い結果を表4に示した。
1:ベタツキ感がなく、とてもよい使用感である
2:ベタツキ感を若干感じるが、比較的よい使用感である
3:ベタツキ感を感じ、悪い使用感である
4:ベタツキ感をかなり感じ、非常に悪い使用感である
【0026】
【表4】
【0027】
<試験例4>乳液の安定性
乳液の安定性は、表1に示した試験サンプルを、5℃、40℃、60℃に2週間保管した後、5℃と比較して評価した。結果は表5に示す。
0 … 5℃と同じである。
1 … 5℃と比較して、わずかに乳化不良が見られる(全体の1%未満)。
2 … 5℃と比較して、乳化不良が見られる(全体の10%未満)。
3 … 乳化が破壊され、油が分離している。
【0028】
【表5】
【0029】
表2−5の結果より、本発明によれば、保湿効果、水分蒸散抑制効果、使用感、製剤安定性の良い新しい乳化組成物を提供できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、保湿効果、水分蒸散抑制効果、使用感、製剤安定性の良い新しい乳化組成物に適用できる。