(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
概論
本発明の実施形態は、領域中の磁界で発生した摂動の相殺のための方法を提供する。摂動は、典型的には金属成分である摂動要素を磁気送信機によって発生した磁界へ導入することによって起こる。摂動要素の存在を相殺するために、本発明の実施形態によって用いられる反応磁界モデルは、各磁気送信機が要素中で送信機の複数の画像を作成することを仮定する。モデルは、各画像がそれぞれの反応磁界を発生させて、それが送信機によって発生した磁界を全体で摂動させるよう作用することを仮定する。
【0030】
各画像は、通常は多極子、すなわち、双極子、四極子及び/又は高次極子などの組み合わせとして特性評価され得る。各画像の特性は、とりわけ画像を生じさせる送信機磁界にも依存する。モデルは、通常、磁界が球面調和関数展開によって表されることができることを想定することによって、また画像の総合特性に従って、多極子画像のそれぞれから反応磁界を計算する。典型的に、画像特性は、摂動要素不在中はもとより、摂動要素の存在下での送信機からの磁界を測定することによって効果的に決定され、またこの特性は、空間転送行列及び反応磁界行列の観点から表され得る。
【0031】
一旦、画像が特性評価されたら、領域中に配置されたプローブが摂動磁界を測定する。次に、領域中のプローブの位置が、測定された磁界及び上述のように計算された反応磁界に対応して計算されてもよい。
【0032】
システムの説明
本発明の実施形態による、カテーテルプローブ22の遠位端21の位置を感知するよう構成された、位置感知システム20の概略描写図である
図1、遠位端21を示す概略的詳細図である
図2、及びシステム20で使用される要素の概略図である
図3を参照する。通常、プローブ22は、システム20の操作段階中に医療専門家によって患者の体腔又は器官中に挿入され、システムの較正段階中には存在しない。明確化のために、
図1では、プローブ22は破線で示されている。患者は、通常、位置感知システム20を操作することができる医療専門家によって実行される処置中に、手術台24上に横たわる。明確化及び簡略化のために、
図1には患者及び医療専門家の双方共示されていない。
【0033】
例えば、以下に記載のプローブ22は、患者の心臓の室内での侵襲的処置で使用されることが仮定される。患者は、概ね類似した交番磁界発信器コイル32A、32B、...の構成28を含む位置バッド26を患者の下に配置することによって発生する磁界中の手術台24上に配置される。コイルは、本明細書において総じて磁界発信器コイル32とも称される。コイル32は、これらの交番磁界を領域30中に発生させ、
図1では楕円として概略的に図示される。
図3は、コイル32の代表的な配列を図示している。
【0034】
典型的に、また
図3に図示されるように、配列28は、3組の三軸コイル34、36、及び38として形成された送信機コイル32を含み、三軸コイルの各組は、互いに直交する3つのコイルを含む。しかしながら、配列28以外の磁気送信機コイル32の配列が可能であり、このような配列は、当該技術分野における当業者には明らかであろう。開示を参照により本明細書に援用する、Govariの米国特許第6,484,118号は、配列28に似たコイルの配列と同様に、システム20中に使用され得るコイル32の他の配列を記載している。
【0035】
本明細書における記載は、遠位端21が、遠位端(この遠位端は、通常、
図2に図示される電極48などの他の要素を含む)に設置される電磁(EM)センサ46の一部として、概ね直交する3つのコイル40、42、及び44を含むことを仮定している。コイル32によって発生した磁界は、コイルにより感知される磁界により、センサ46のコイル中で電気信号を生成する。センサ46のコイルからの電気信号は、プローブ22の位置の座標及び向きの座標を決定するよう信号を解析するコントロールユニット50に運ばれる。座標は、位置パッド26に対して固定された、
図3に図示される直交する1組のxyz軸を基準にすると仮定される。
【0036】
プローブ22の位置及び向きを検出するための遠位端21中のコイルの他の配列は、当該技術分野において既知である。1つのそのような配列は、磁界の投影を測定する1つのコイルを使用する。コイル40、42、及び44により例示されるものとは異なるコイル配列を説明するために、当該技術分野における当業者は、必要な変更を加えて本記載を適合させることが可能であろう。
【0037】
コントロールユニット50は、典型的には適切な信号処理回路を備えたコンピュータであるプロセッサ52を含む。プロセッサは、システム20を操作するためのデータが記憶されている揮発性データ記憶装置及び非揮発性データ記憶装置の双方を通常含むメモリ54を使用する。プロセッサは、プローブ22の位置の視覚的ディスプレイ56を提供することが可能なコンソールを駆動するよう接続されている。
【0038】
システム20は、蛍光透視鏡コントローラ61によって操作され、かつ手術台24上の患者の蛍光透視画像を作成することができる、蛍光透視鏡60を含む。蛍光透視鏡コントローラ61は、コントロールユニット50のサブユニットであると仮定される。蛍光透視鏡60は、本明細書ではコリメーター62とも称される視準されたX線源62及び検出器64を含む多数のセクションを有する。コリメーター及び検出器は、それらに横軸68及び軸68を通って紙面に垂直な軸の2つの軸の周りを回転させる別のセクションである「Cビーム」66によって、共に連結されている。Cビームは、コリメーター及び検出器を、横軸に平行な方向など、空間において移動させることも可能である。Cビーム66は、蛍光透視鏡の軸68周囲の回転の際に、互いに固定された配列に、及び互いから一定の距離にて、コリメーター及び検出器を保持する。典型的に、蛍光透視鏡60によって作成される画像は、軸68の周りの任意の向きに回転した蛍光透視鏡で作成されてもよく、その向きは、患者のニーズ及び専門的操作システム20の条件に応じて選択される。
【0039】
通常、蛍光透視鏡60は、プローブ22が使用されるのとほぼ同時にその画像を作成するよう作動する。しかし、領域30に近接している蛍光透視鏡の金属成分は、その領域中でコイル32によって発生した磁界を改変させる。これらの改変に対する相殺なしでは、プローブ22の測定された位置における誤差が導入される。本明細書で記載されるように、本発明の実施形態は、手術台24に対する蛍光透視鏡60の向き又は位置に関係なく、蛍光透視鏡60によって生じる磁界における改変を相殺して、プローブ22の測定された位置における誤差が導入されるのを防ぐ。
【0040】
典型的に、システム20は、単純化のために図には示されていないが、以下の説明で必要なものとして言及される、他の要素を含む。例えば、システム20は、1つ以上の体表面電極からの信号を受信するように接続されて、ECG同期信号をコントロールユニット50に供給する、心電図(ECG)モニターを含んでもよい。
【0041】
図1の構成は、概念的明確化のためだけに選択された構成例である。代替的な実施形態では、他の任意の適切な構成を用いることもできる。典型的には、プロセッサ52は、本明細書に記載される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよく、あるいは代替又は追加として、磁気、光学、若しくは電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供及び/又は保存されてもよい。
【0042】
システム20は、領域30内でコイル32によって発生した磁界をプロットすることが可能な装置も含む。本発明の一実施形態では、マッパー70が、磁界をプロットするために用いられ、マッパーは、プラスチックのシートなどの固体ベース上の既知の位置に固定するよう据え付けられた磁界検出器72の配列を含む。マッパー70は、位置パッド26に対して既知の所定の位置及び向きで手術台24上に配置できるように構成されている。一実施形態では、マッパー70は50個の検出器を含む。典型的に、検出器は、磁界及びすべてのその無視できない勾配が測定可能であるように、マッパー内に構成される。一代替実施形態では、マッパーは、高さ×幅×長さ=150mm×250mm×250mmの概算寸法を有する矩形状箱内に分配された78個の検出器を有する。
【0043】
マッパーは、検出器72からの磁気測定を用いて、通常は左右部材に対して、並びに頭部材及び足部材に対してぼぼ中央に配置されてもよい。
【0044】
システム20の操作に関する次の説明では、マッパー70は磁界をプロットするために用いられることが想定されるが、マッパーは、領域30内の磁界を測定するための1つの代表的なシステムであることが理解され、既知の位置に移動させることが可能な1つ以上の磁界検出器などの他の適切なシステムが使用されてもよい。このような代替的磁界プロッティングシステムは、当該技術分野における当業者には明確となるであろうし、本発明の範囲内に含まれることが想定される。
【0045】
検出器72は、Hallプローブ又はセンサ46に概ね類似するセンサなどのような、磁界の大きさ及び方向を測定するための任意の好都合なセンサを含んでもよい。検出器からの読取りは、通常、ケーブル74によってコントロールユニット50に転送されるが、無線伝送装置のような他の任意の好都合な転送方法が用いられてもよい。
【0046】
以下により詳細に説明されるように、マッパー70は、システム20の較正段階で用いられるので、マッパー及びその接続ケーブルは
図1では破線で示されている。システム20がその操作段階にあるときには、マッパー及びそのケーブルは取り外される。
【0047】
いくつかの実施形態では、システム20は、センサ46と概ね類似する1つ以上の参照センサ76を含む。センサ76は、以下に述べるように、コントロールユニット50に信号を提供して、コントロールユニット50が蛍光透視鏡60の位置及び向きを決定することができるようにする。典型的に、センサ76は、手術台24に対して固定されており、手術台の下に都合よく位置付けられることができる。別の方法としては、参照センサ76は、蛍光透視鏡60に固定されてもよい。
【0048】
ここで、本発明の実施形態による、プローブ22の遠位端21の位置を決定するための手順のフローチャート100である
図4を参照する。フローチャート100は、第1較正段階102、それに続く第2操作段階104を含む。以下のフローチャートの記載もまた、以下の「反応磁界モデル」の見出しのセクションの一部分に言及している。
【0049】
較正段階の第1マッピング工程106では、コイル32によって発生した磁界を摂動させ得るすべての物体(本明細書では磁界摂動源又は磁界摂動要素と称する)が、領域30及びその近辺から取り除かれる。そのような物体は、蛍光透視鏡60を含む。マッパー70は、位置パッド26に対して所定の位置及び向きで手術台24上に配置され、送信機コイル26が起動する。コントロールユニット50は磁界検出器72を作動させて、領域30内の未摂動磁界をマッピングする。
【0050】
マッパー70が所定の位置のままである第2マッピング工程108では、蛍光透視鏡60は、領域30の近辺で、位置パッド軸に対して特定の位置及び向き(LO)に配置される。コントロールユニット50は、蛍光透視鏡コントローラ61を用いて特定のLOを決定してもよい。あるいは、参照センサを含む実施形態では、コントロールユニット50は、「適合蛍光透視鏡位置」と表題を付けたセクションで以下に記載されるように、LOを決定するようセンサからの信号を用いてもよい。蛍光透視鏡の既知のLOを決定するための更なる別の光学的方法が、
図5、6A、6B、及び7を参照して以下に説明されている。
【0051】
以下に説明するように、蛍光透視鏡60は、2つの摂動要素:コリメーター62及び検出器64を有することが想定される。以下に記載する工程110での特性評価が有効であるために、異なるLOがそれらが2つのセットで選択される:コリメーター62が領域30から遠く離れており、そのため検出器64のみが摂動要素である第1セット、及び検出器64が領域30から遠く離れており、そのためコリメーター62のみが摂動要素である第2セット。
【0052】
それぞれの既知のLOに関して、コントロールユニット50は、領域30内の摂動した磁界をマッピングするように、磁界検出器72を作動させる。
【0053】
多極子特性評価工程110では、コントロールユニットは、蛍光透視鏡60の各摂動要素によって生じる摂動が、それぞれの要素内の磁気画像源によって発生した反応磁界によるものであることが想定される。工程110で実施される解析は、「反応磁界モデル」と表題を付けたセクションで、以下により詳細に説明される。磁気源は、摂動要素内、すなわち、コリメーター62及び検出器64の2つの摂動要素内の送信機コイル32の画像であると考えてよい。もし蛍光透視鏡60が異なる数の要素を有する場合、又は他の磁界摂動源の場合でも、当該技術分野における当業者は説明を適合させることができるであろう。
【0054】
理論的には、もし磁界摂動源が完全に伝導性球体であり、かつ送信機が、そのモーメントが球体の中心に向かう双極子である場合、球体によって生成される送信機の画像は単一の双極子である。そのような理論的モデルからの相違、とりわけ送信機が完全な双極子ではない、及び摂動源が完全な伝導性球体ではないことを含む相違を許容するために、本発明の実施形態は、蛍光透視鏡の各摂動要素内で、単一の送信機コイル32がコイルの2つ又はそれ以上の多極子磁気源画像を発生させることを想定する。
【0055】
各多極子は、それぞれの反応磁界を発生させることが想定され、また多極子は、双極子、四極子及び/又は高次極子を含んでもよい。双極子以外の成分を有する反応磁界の画像源の可能性を考慮するために、別個の極を用いてデータを解析するよりもむしろ、コントロールユニット50は球面調和解析を用いる。「反応磁界モデル」のセクションで説明するように、また例として、本明細書では各コイル32は、コリメーター62中で5つの多極子画像、また検出器64中で5つの多極子画像を発生させることが想定される。画像の位置は、反応磁界を表現すると想定される球面調和関数に関する展開点として作用する。当該技術分野における当業者は、本説明をコリメーター及び/又は検出器中の他の数の画像に関して調整することが可能であろう。
【0056】
通常は較正段階の終わりである、工程110の終わりに、コントロールユニットは、各摂動要素のすべての複数画像源を特性評価した。各摂動要素に関して、特性評価は、摂動源中の画像源の位置、及び各摂動要素の画像源によって発生する反応磁界行列[T
reaction]の要素を決定することを含む。コリメーター62及び検出器64が摂動要素であるような、ここで考慮される代表的な実施形態に関して、それぞれの行列[T
reaction]
collimator及び[T
reaction]
detectorが決定される。
【0057】
一実施形態では、検出器は38cm×48cmの寸法の外部矩形フレームを有する。検出器に関する5つの画像源は、矩形角部から約10cmの位置及び矩形の中心に、並びに検出器の表面下約10cmに位置することが想定される。コリメーターの外側は同様な矩形寸法を有し、またコリメーターの5つの画像源は、検出器のものと同様な方法で配置される。
【0058】
操作段階では、コントロールユニットは、行列[T
reaction]
collimator及び[T
reaction]
detectorを用いて、画像源から発生した反応磁界を計算する。
【0059】
第1操作段階の工程112では、工程110後に送信機コイルが非作動状態である場合は、コントロールユニットが送信機コイル32を作動させる。
【0060】
摂動工程114では、蛍光透視鏡60が既知のLO内に移動される、すなわち、領域30の近辺で、検出器が既知のLO内にあり、コリメーターもまた既知のLO内にあり、コントロールユニット50は既知のLOを位置合わせする。既知のLOは、較正プロセスに関して上述された方法の1つによって、コントロールユニット50に提供されてもよい。
【0061】
初期位置決定工程118では、コントロールユニットは、プローブ22の遠位端21内のセンサから発生した信号を測定する。第1の概算として、コントロールユニットは、信号から決定された磁界は非摂動磁界であると仮定する。第1マッピング工程106からの結果を用いて、コントロールユニットは、遠位端のおおよその位置を決定する。
【0062】
磁界補正工程120では、コントロールユニット50は、方程式(7)を用いて、前工程で決定された位置にて、反応磁界を計算する。コントロールユニットは、測定された磁界から反応磁界を減算して、その位置における非摂動磁界の改善された概算を作り出す。
【0063】
改善された位置決定工程122では、コントロールユニットは、非摂動磁界値及び工程120において決定された磁界の値を用いて、遠位端の位置の改善された決定を行う。
【0064】
任意の比較工程124では、コントロールユニットは、工程122で決定された最終位置と最後から2番目の位置との間の差が、通常は約0.1mmである事前設定値未満であるかどうかを調べる。もし差が事前設定値以上であれば、コントロールユニットは工程122に戻る。もし差が事前設定値未満であれば、コントロールユニットは最終工程126へと続く。
【0065】
工程120〜124は、コントロールユニットが遠位端の位置をより一層正確に決定すると同時に、その位置での非摂動磁界もより一層正確に決定するような、任意の反復ループを説明していることが理解されるであろう。
【0066】
いくつかの実施形態では、工程120及び124によって画定されるが工程122を含まないものに概して類似したループが、時間的連続測定で行われる。この場合、反応磁界補正が、各センサに対して次の測定に間に合うように適用される。測定値が16分毎に計算されるような一実施形態では、発明者らは、固定センサに関して、センサの位置の真の値を得るために、3回以下の繰り返しが必要であることがわかった。
【0067】
最終工程126では、コントロールユニットは、工程122で遠位端の位置として見出した位置の最終決定を用いる。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態による、別の位置感知システム150の概略描写図である。
図6A及び6Bは、本発明の一実施形態による、システム150の一部、及びシステムの較正に用いられた要素の概略図である。以下に記載する相違点とは別に、システム150の操作は、システム20(
図1〜4)の操作と概ね同様であり、システム20及び150の双方で同一の参照数字によって示される要素は、構成及び操作において概ね同様である。明確化及び簡略化のために、システム20内に存在し
図1に図示されるシステム150のいくつかの要素は、
図5には示されていない。
【0069】
システム150では、1つ以上の基準マーク152が蛍光透視鏡60の要素に付けられている。本明細書では、例として、2つのマーク152がコリメーター62に取り付けられていることが仮定される。これに加えて、2つ以上のカメラ154が、位置パッド26に固定するよう取り付けられている。カメラ154は、コントロールユニット50の制御下にあり、そのため、プロセッサ52は、カメラによって作成された画像を受け取り、処理することが可能である。カメラが作成する画像が基準マーク152の画像を含むような位置及び向きで、カメラは位置パッド26に固定される。
【0070】
図7のフローチャートを参照して以下により詳細に記載されるように、コントロールユニット50は、基準マーク152のカメラ画像を用いて、コリメーター62及び検出器64を含む蛍光透視鏡60の位置及び向きを位置パッド26に対して決定する。この決定を実行するために、カメラの位置は、位置パッドに対して位置合わせされる。位置パッドに対するカメラの位置合わせ、並びに蛍光透視鏡の位置及び向きに対する基準マーク画像の関係の決定は、
図7のフローチャートに従って、コントロールユニット50によって実現される。
【0071】
位置合わせは、位置パッド内の既知の位置に固定された取り外し可能なビルド済み較正ジグ156を用いて実行されてもよい。いくつかの実施形態では、ジグ156は、蝶番158及び160にて留められた折り畳み式である。
図6Bに図示されるように、ジグ156を折り畳み式にすることで、現場の技術者は、既存の位置感知システム20中でジグを位置パッド26に容易にかつ効果的に改造することが可能である。ジグ156の要素からの画像は、位置パッド内にカメラを整列させるために、またカメラによって導入され得る光学的誤差を補正するために用いられる。
【0072】
コントロールユニット50は、
図5及び6Aに図示される蛍光較正システム(FCS)162を用いて、基準マーク画像と蛍光透視鏡の位置及び向きとの関係を決定してもよい。FCS(162)は、その画像をコントロールユニットに送信することが可能な第2の対のカメラ164を含む。カメラは、支持体166上に据え付けられており、各カメラは、コントロールユニット50から受け取った指令に従って、独立してパン及びチルトを行うことが可能である。
【0073】
図7は、本発明の一実施形態による、操作システム150中のコントロールユニット50によって実行される工程のフローチャート200である。フローチャート200は、較正段階202と操作段階204とに分かれる。
【0074】
較正段階の第1工程206では、基準マーク152が蛍光透視鏡60に付けられる。基準マークは、以下に説明するように、カメラが接続されたときに基準マークがカメラ154の視野内にあるように、位置パッド26に配置される。典型的に、蛍光透視鏡のほぼすべての操作位置及び向きに関して、基準マークが少なくとも1つのカメラ154の視野内にあるように、基準マークが付けられる蛍光透視鏡の要素が選択される。ここでは、例として、基準マークはコリメーターに付けられていると仮定する。いくつかの実施形態では、基準マーク152が、蛍光透視鏡のすべての位置及び向きに関して、少なくとも1つのカメラの視野内にあるように、システム150では2つを超えるカメラ154が使用される。
【0075】
カメラ据え付け工程208では、カメラが既知の位置にあり、既知の配向を有するように、カメラ154は位置パッド26に固定するよう取り付けられる。いくつかの実施形態では、カメラのための較正物体として機能するジグ156を用いて、カメラは取り付け後にそれらの既知の位置及び既知の向きに位置合わせされる。カメラのそれぞれによって作成されたジグの画像は、コントロールユニット50がカメラの撮像における不完全性を補正することを可能にするデータを提供することはもとより、カメラが正確に位置合わせされることを可能にする。あるいは、カメラ154を、位置パッドに対して既知の位置及び既知の向きに固定するための、並びにカメラの画像における不完全性を補正するための他の任意の便利な方法が用いられてもよい。
【0076】
セットアップ工程210では、FCS(162)が、位置パッド26に対して既知の位置に固定するよう配置される。FCS(162)の配置は、FCSの支持体166を手術台24(
図5に図示)に、又は位置パッド26自体のようなその他の任意の都合の良い物体に取り付けることによって可能である。支持体166上に据え付けられたカメラ164が、常に基準マーク152を撮像できるようコントロールユニットによって回転することができるように、FCS 162が配置される。
【0077】
データ測定工程212では、蛍光透視鏡コントローラ61を用いて、蛍光透視鏡60が複数の異なる位置、すなわち、複数の異なる位置及び向きに移動される。それぞれの異なる位置では、カメラが既知のパン及びチルト角度にあるように、コントロールユニット50がカメラ164に信号を送信する。コントロールユニット50は、各カメラ164が基準マーク152を撮像するように、カメラをパン及び/又はチルトさせる。コントロールユニット50は、各カメラによって作成された基準マークの画像を記録するのと同様に、各カメラのパン及びチルト角度を記録する(コントロールユニットは、パン及びチルト角度を送っているので、各カメラ164の配向を認識している)。
【0078】
これに加えて、コントロールユニット50は、蛍光透視鏡のそれぞれの異なる位置にて、各カメラ154によって作成された基準マークの画像を記録する。
【0079】
相関工程214では、コントロールユニット50は、カメラ164の基準マーク画像とカメラ154の基準マーク画像との間の相関を生じさせる。相関は、コントロールユニットに2つのシステムの軸、すなわち、蛍光透視鏡の軸と位置パッドの軸とを位置合わせさせる。
【0080】
一旦位置合わせが実行されると、較正段階の最終工程216で、カメラ164を含むFCS(162)が取り外される。
【0081】
操作段階の操作工程218では、カメラ154が起動される。基準マークがコリメーターに取り付けられているような本例では、コントロールユニットはカメラから基準マーク画像を受け取り、工程214で決定された相関を用いて画像を解析して、位置パッドに対するコリメーターの位置及び向きを決定する。蛍光透視鏡60のコリメーター及び検出器は、互いに物理的関係で固定されているので、コリメーターの位置及び向きにより、コントロールユニットは、最大それらの間の距離まで検出器の位置及び向きを知ることができる。この欠測値は、通常、以下に記載される「蛍光透視鏡適応位置(Adaptive Fluoroscope Location)」法に類似した最適化技術を用いて決定される。
【0082】
フローチャート200が、位置パッドに対する蛍光透視鏡の位置及び向きの決定を参照して説明されてきた。フローチャートの工程は、典型的に、位置パッドの送信機を干渉する可能性があり、位置パッドの近辺に配置され、位置パッドの近辺を移動するような他の物体の位置及び向きを決定するために、必要な変更を加えて実施可能であることが理解されるであろう。すべてのそのような実施は、本発明の範囲内であることが仮定される。
【0083】
反応磁界モデル
本発明の実施形態の反応磁界モデルは、源磁界中に設置された磁気摂動要素によって起因する磁気反応磁界が、要素中の複数のポイント源によって発生することを仮定する。源磁界は、任意の数の磁界送信機によって発生され得る。ポイント源は、磁界送信機の摂動要素中の画像であると考えられてもよい。
【0084】
本発明の実施形態に関して、モデルの説明は、簡略化のために次のように仮定する。
● 摂動要素蛍光透視鏡60は、Cビーム66によって接続されたコリメーター62及び検出器64を含む。発明者らは、検出器及びコリメーターのみが摂動要素であると仮定した場合に、蛍光透視鏡によって発生した反応磁界に関して良好な結果が得られることがわかったため、以下の解析では、この2つの要素のみが想定される。しかしながら、同種の解析を他の摂動要素に適用してもよく、そのため本発明の範囲は、任意の数のそのような要素を含む。
● 送信機の数及び型配列28の3つの三軸コイルに対応させるために、9つの磁界送信機があると仮定する。送信機のそれぞれは、ほぼ双極子である。しかし、一般的に、磁界送信機の数又は配列に制限はない。
● 各摂動要素におけるポイント源例えば、所定の送信機は、各摂動要素中の画像として5つのポイント源を発生させると仮定され、これは本明細書では展開ポイントとも称される(なぜなら、以下に言及された球面調和関数がこれらの点から展開するからである)。他の実施形態では、送信機当たり他の数の画像ポイント源が想定されてもよく、異なる摂動要素に関する源の数は等しい必要はない。本発明の実施形態では、異なる送信機に相当する5つのポイント源は、互いに一致すると仮定する。これに加えて、5つのポイント源は、矩形の中心及び角部にあることが仮定される。
● 球面調和関数各ポイント源は、双極子、四極子、及び/又はより高次の極からなると考えられる。本モデルは、別個の成分を解析するよりもむしろ、各ポイント源からの磁界が球面調和関数展開によって表現され得ると仮定する。発明者らは、3次までの展開が良好な結果をもたらすことがわかったが、本発明の範囲がより低次又はより高次までの展開を含むことが理解されるであろう。
● 位置測定簡略化のために、すべての位置は単一セットの軸に対して測定されることが仮定される。例えば、単一セットの軸は、検出器の中央画像ポイント源にてその原点を有する検出器64に基づくことが仮定され、x軸及びy軸は、検出器内のポイント源の矩形の辺によって規定される。
【0085】
1つの送信機
まず初めに、1つの送信機、及び本明細書では断らない限り検出器64であることが仮定される摂動要素中で送信機によって形成された1つの展開点について考慮する。1つの展開点は、検出器に基づく一組の(x,y,z)座標の原点(0,0,0)であることが簡素化のために仮定されると、原点からの1つの位置(x,y,z)にての磁気反応磁界に関する表現(3要素カラムベクトルとして表現される)は、
【数1】
であり、ここで、
【数2】
はカラムベクトルとして表現された反応磁界であり、
[C
0]は原点について展開された、1〜3次の球面調和関数項に基づく、15要素のカラムベクトルであり([C]の展開された変形に関する表現は以下に示す)、
[T
spatial(x,y,z)]は、[C
0]の球面調和関数項から誘導された3×15の空間転送行列である。
【0086】
図8A〜8Gは、本発明の一実施形態による、[T
spatial(x,y,z)]の要素それぞれを示す。
【0087】
5つの展開点(0,0,0)、(x
1、y
1、z
1)、(x
2、y
2、z
2)、(x
3、y
3、z
3)、(x
4、y
4、z
4)に関して、方程式(1)は次のようになる。
【数3】
ここで、[T
spatial(x,y,z)(5)]は3×75の空間転送行列であり、
[C
5]は75要素カラムベクトルである。
[T
spatial(x,y,z)(5)]は、それぞれの変位の座標により原点からそれぞれがオフセットしている、4つの[T
spatial]行列を[T
spatial(x,y,z)]と連結させることによって形成され、すなわち、
【数4】
であり、
[C
5]は、対応する展開点についてそれぞれが展開された球面調和関数項に基づく、5つのカラムベクトルをスタックすることによって形成される。すなわち、
【数5】
である。
【0088】
1つの送信機からの磁界
領域30中の任意の点にての、任意の所定の送信機からの磁界は、位置パッドの製造プロセス中に実施される較正から計算されることができる。送信機の特性評価のために、検出器64の領域中の多くの点を考慮する。発明者らは、17個の点が適切であることがわかったが、他の任意の好都合な数が使用されてもよい。17個の点における磁界は、非摂動磁界の51要素のカラムベクトル[B
satellite]によって表されることができる。
【数6】
[C
5]は、次の方程式により、[B
satellite]に依存するものと想定される。
[C
5]=[T
reaction]・[B
satellite] (6)
ここで、[T
reaction]は、要素が検出器の反応特性を表す75×51の反応行列である。
【0089】
一般的な場合
上記誘導を用いて、点(x、y、z)における検出器反応磁界のための表現式は、以下の方程式(7)として記述することができる。表現式は、検出器内に9個の送信機及び5個の展開点があるものと仮定する。
【数7】
ここで、[Breac(x,y,z,)]は、それぞれが方程式(1)の反応磁界ベクトルのカラムに類似した9カラムを有する3×9の反応磁界行列であり、
【数8】
[B
satellite(9)]は、ベクトル[B
satellite](方程式(5))に類似したカラムを有する、未摂動磁界の51×9の行列であり、
【数9】
[T
spatial(x,y,z)(5)]及び[T
reaction]は、方程式(2)及び(6)と同一の次元数を有するが、要素は方程式(7)の必要条件に対応している。
【0090】
積[T
spatial(x,y,z)(5)].[T
reaction]は、検出器で作成された5つの画像を有効に特性評価することが理解されるであろう。
【0091】
方程式(7)は、以下に説明するように、システム20の較正段階及び操作段階の双方において使用することが可能である。
【0092】
いくつかの実施形態では、方程式(7)をそのまま用いるよりはむしろ、[Breac(x,y,z)]及び[T
spatial(x,y,z)(5)]を‖B(x,y,z)‖で割ることによって方程式を適応させるが、ここでB(x、y、z)は、(x、y、z)における送信機からの非摂動磁界である。発明者らは、このような適応は送信機磁界が弱い位置で重視され得、この磁界の測定における誤差を相殺することが可能であることがわかった。
【0093】
簡略化のために、本明細書の説明は、方程式(7)がそのまま用いられると仮定するが、当該技術分野における当業者は、上記の方程式(7)への適応を実現する実施形態に関して、必要な変更を加えて説明を改変することが可能であろう。
【0094】
較正段階
較正段階では、方程式(7)を用いて[T
reaction]の値を見つける。
【0095】
特定の位置(x、y、z)に関して、検出器が磁界を摂動させるような位置での検出器64による磁界と、磁界を摂動させないような位置での検出器による磁界との間の差を見つけることによって、[Breac(x,y,z)]の要素を見つけることが可能である。
【0096】
[T
spatial(5)(x,y,z)]の要素は、展開点の位置(方程式(2)を参照)が必要に応じて方程式で使用されることを想定して、
図8に示される方程式から見つけることが可能である。
【0097】
このようにして、方程式(7)では、[T
reaction]以外のすべての項が解明される。
【0098】
[T
reaction]は、当該技術分野における当業者にはよく知られた方法によって、方程式(7)を操作することで見つけることが可能である。[T
reaction]を見つけるためのそのような方法の1つでは、[Breac(x,y,z)]及び[T
reaction]をベクトル化し、Kronecker積
【数10】
を適用して、改善された方程式を作り出す。
【数11】
この上付き文字Tは転置を示している。
【0099】
vec[T
reaction]は、
【数12】
によって方程式(10)の両側を乗じることによって算出される。[T
reaction]は、vec[T
reaction]を適切なカラムの長さに分割することによって算出される。
【0100】
このような方法は、(x、y、z)の1つの値、また特定の位置にある検出器(及び結果的には展開点)に関する[T
reaction]を見つける。
【0101】
較正段階では、マッパー70は、Nセンサを用いて、(x、y、z)のN値の測定を行うことが想定される。N点(x
1、y
1、z
1)、...、(x
N、y
N、z
N)に関して、次に示す式の行列をスタックすることによって、方程式(10)が書き換えられてもよい。
【数13】
【0102】
方程式(11)は、1つの検出器位置に関するものであり、次のように書き換えられてもよい。
【数14】
【0103】
較正段階では、検出器がM位置に配置されていると仮定し、行列の更なるスタックによって、方程式(12)は方程式(13)を構成するように適合されてもよい。
【数15】
【0104】
方程式(10)を解くための上述された方法に関しては、方程式(13)の[T
reaction]に関する解が、
【数16】
の擬似逆行列によって方程式の両側を乗じることで算出され得る。
【0105】
N=50及びM=30であるような一実施形態では、行列
【数17】
は、約40,000×4,000の寸法を有する。当該技術分野において既知であるように、擬似逆行列は、特異値分解を用いて算出することが可能である。一実施形態では、擬似逆行列中の特異値の数は、解の質、すなわち、解がどれだけよく摂動を修正するかが低下し始める点を見つけることによって最小化される。通常は、約10
−6までの値が用いられる。
【0106】
較正段階は、通常、各摂動要素に関して、[T
reaction]を見つけるよう実行される。したがって、コリメーター62及び検出器64が、唯一の摂動要素であると想定されるような蛍光透視鏡60に関しては、行列[T
reaction]
collimator及び行列[T
reaction]
detectorが見出される。[T
reaction]
collimatorを見つけるために、典型的には、蛍光透視鏡位置を変えると同時に手術台24が下げられ、その結果、検出器の影響は無視できるほど小さい。同様に、[T
reaction]
detectorを見つけるために、典型的には、蛍光透視鏡位置を変えると同時に手術台が上げられる。
【0107】
操作段階
操作段階では、較正段階で決定された[T
reaction]の値を、方程式(7)に置換して、[Breac(x,y,z)]の値を見つける。もし1つを超える摂動要素があれば、反応磁界は、各要素からの[Breac(x,y,z)]のそれぞれの値の線形重畳であると仮定される。
【0108】
適合蛍光透視鏡位置
図1に戻って参照すると、本発明の実施形態は、位置パッドに対して蛍光透視鏡60を適応的に配置するための方法を提供する。本方法は、基準の蛍光透視鏡フレームの予備的位置合わせが、任意の便利なプロセスによって、基準の位置パッドフレームで実施されたことを仮定する。このようなプロセスは、通常、蛍光透視鏡を用いて手術台24上の物体を撮像し、位置パッドのコイル32から物体までの距離を見つけ、画像を距離と比較することによって位置合わせを実行する。本プロセスは、通常、蛍光透視鏡の多くの異なる位置に適用され、コリメーターから検出器までの距離、及び物体を撮像する際の蛍光透視鏡の向きなどのような、蛍光透視鏡の既知のパラメータを用いる。予備的位置合わせは、一般的に、システム20で患者に施される臨床的処置の開始時に実施される。
【0109】
処置中に、3つのパッチ電極が通常患者の胸部に配置され、本明細書では、各パッチは、センサ76に類似したセンサを含むと仮定する。これらのパッチセンサは、通常、位置パッドに対して位置が異なるが、これらの位置は、これらが検出する磁界から推定されてもよい。すべての5つのセンサ(それぞれが3つのコイルを有する)が、コイル32からの9つの送信された磁界に、同様にコリメーター及び検出器からの画像磁界に曝されて、その結果、プロセッサ52に入力される、センサからの135個の独立して数値が付けられた測定された信号(本明細書では「Meas」と称される)が常に存在する。この数の信号は、蛍光透視鏡及びその構成要素の位置及び向きを完全に説明するのに必要な自由度数に関して、重複性の高い値のセットを提供すると理解されであろう。そのうえ、センサ76にて測定された未摂動磁界は、センサにおいて反応磁界の直接的測定を可能にする。
【0110】
このようにして、プロセッサ52は、検出器64及びコリメーター62の位置はもとより、蛍光透視鏡の位置及び向きを計算するために、信号Measを用いることができる。プロセッサは、以下のコスト関数を計算する。
【数18】
このMは、位置パッド26及び上述した反応磁界モデルにより発生した磁界の和であり、
【数19】
はセンサの変位であり、
【数20】
はセンサの向きであり、
φ
fluoroは蛍光透視鏡60の高度であり、
θ
fluoroは蛍光透視鏡60の方位であり、
d
detは検出器64の距離であり、
d
colはコリメーター62の距離であり、
上記の変数のすべては、位置パッド軸及び原点に対して計算される。
【0111】
蛍光透視鏡、並びにその構成要素の位置及び向きを計算するために、プロセッサは、コスト関数Cを最適化する。最適化は、一般的に、Cの一次及びより高次の導関数の計算を伴うが、当該分野において既知の最適化のためのいかなる方法を用いてもよい。
【0112】
上記説明は、磁界摂動要素である蛍光透視鏡の要素に言及したが、本発明の範囲は、他の摂動要素を含むことが理解されるであろう。例えば、プローブ22は、配列28によって発生した磁界を摂動させる金属構成要素を含んでもよく、これらの要素により発生した摂動は、蛍光透視鏡要素に関して本明細書中に記載されるような方法と実質的に類似した方法で相殺され得る。このような金属構成要素には、手術台又はその部品を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
したがって、上述の実施形態は一例として引用したものであり、本発明は上記に具体的に図示及び記載したものに限定されないことが認識されるであろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに当業者であれば上記の説明文を読むことで想到されるであろう、先行技術に開示されていないそれらの変更及び改変が含まれるものである。
【0114】
〔実施の態様〕
(1) 複数の磁気送信機を用いて、領域中に磁界を発生させることと、
磁界摂動要素を前記領域中に導入することと、
前記磁界摂動要素内の各磁気送信機の複数画像を特性評価することと、
前記特性評価された画像に基づいて、前記領域中で反応磁界を計算することと、
前記領域中にプローブを配置し、前記プローブにおける摂動した磁界を測定することと、
前記測定された摂動した磁界及び前記計算した反応磁界に対応して前記プローブの位置を決定することと、
を含む、方法。
(2) 前記磁界を発生させることが、前記磁界摂動要素が不在の前記磁界を測定することと、前記領域中に存在する前記磁界摂動要素を伴う前記磁界を測定することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記磁界摂動要素を前記領域中に導入することが、前記磁界摂動要素の位置及び向きを、前記磁気送信機によって規定された軸に対して測定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記磁界摂動要素の前記位置及び前記向きを測定することが、前記反応磁界に対応して前記位置及び前記向きを適応的に計算することを含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記複数画像を特性評価することが、前記複数画像が互いに対して所定の構成にあると仮定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記所定の構成が、矩形を含み、前記複数画像が、前記矩形の角部及び中心に位置する5つの画像を含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記反応磁界を計算することが、球面調和関数展開により、前記磁界を計算することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記反応磁界を計算することが、最大3次までの前記球面調和関数展開を実行することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記球面調和関数展開により前記磁界を計算することが、前記展開を空間転送行列として設定することを含み、前記方法が、前記磁界摂動要素の特性を反応磁界行列として決定することを更に含み、前記反応磁界を計算することが、前記空間転送行列と前記反応磁界行列との積に対応する、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記プローブを配置することが、患者の体内に前記プローブを配置することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0115】
(11) 前記磁界摂動要素が、蛍光透視鏡の少なくとも1つのセクションを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記蛍光透視鏡の蛍光透視鏡軸を、前記送信機によって規定された軸に対して位置合わせすることを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記蛍光透視鏡軸を位置合わせすることが、前記送信機に固定するよう接続されたカメラで、前記蛍光透視鏡に取り付けられた基準マークの画像を作成することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記磁界摂動要素を導入することが、前記画像に対応して前記磁界摂動要素の位置及び向きを測定することを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 領域中で磁界を発生するよう構成された複数の磁気送信機と、
前記領域中に導入された磁界摂動要素と、
プロセッサであって、
前記磁界摂動要素内の各磁気送信機の複数画像を特性評価し、
前記特性評価された画像に基づいて、前記領域中の反応磁界を計算し、
前記領域中に配置されたプローブにて摂動した磁界を測定し、
前記測定された摂動した磁界及び前記計算された反応磁界に対応して、前記プローブの位置を決定するよう構成される、プロセッサと、
を含む、装置。
(16) 前記プロセッサが、前記磁界摂動要素が不在の前記磁界を測定し、前記領域中に存在する前記磁気摂動要素を伴う前記磁界を測定するよう構成される、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記プロセッサが、前記磁界摂動要素の位置及び向きを、前記磁気送信機によって規定された軸に対して測定するよう構成される、実施態様15に記載の装置。
(18) 前記磁界摂動要素の前記位置及び前記向きを測定することが、前記反応磁界に対応して前記位置及び前記向きを適応的に計算することを含む、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記複数画像を特性評価することが、前記複数画像が互いに対して所定の構成にあると仮定することを含む、実施態様15に記載の装置。
(20) 前記所定の構成が、矩形を含み、前記複数画像が、前記矩形の角部及び中心に位置する5つの画像を含む、実施態様19に記載の装置。
【0116】
(21) 前記反応磁界を計算することが、球面調和関数展開により、前記磁界を計算することを含む、実施態様15に記載の装置。
(22) 前記反応磁界を計算することが、最大3次までの前記球面調和関数展開を実行することを含む、実施態様21に記載の装置。
(23) 前記球面調和関数展開により前記磁界を計算することが、前記展開を空間転送行列として設定することを含み、前記プロセッサが、前記磁界摂動要素の特性を反応磁界行列として決定するよう、及び前記空間転送行列と前記反応磁界行列との積に対応して前記反応磁界を計算するよう構成される、実施態様21に記載の装置。
(24) 前記プローブが、患者の体内に配置されている、実施態様15に記載の装置。
(25) 前記磁界摂動要素が、蛍光透視鏡の少なくとも1つのセクションを含む、実施態様15に記載の装置。
(26) 前記蛍光透視鏡の蛍光透視鏡軸を、前記送信機によって規定された軸に対して位置合わせすることを含む、実施態様25に記載の装置。
(27) 前記蛍光透視鏡軸を位置合わせすることが、前記送信機に固定するよう接続されたカメラで、前記蛍光透視鏡に取り付けられた基準マークの画像を作成することを含む、実施態様26に記載の装置。
(28) 前記プロセッサが、前記画像に対応して前記磁界摂動要素の位置及び向きを測定するよう構成される、実施態様27に記載の装置。
(29) 位置パッド上に、患者に磁界を発生させるよう構成された磁気送信機を据え付けることと、
前記位置パッドにそれぞれの固定された向きで位置パッドカメラを取り付けることと、
前記位置パッドに回転可能なカメラを接続させることと、
前記患者を撮像するよう構成された蛍光透視鏡に、基準マークを取り付けることと、
前記蛍光透視鏡を、異なる位置に位置付けることと、
を含み、
各位置に関しては、
前記回転可能なカメラを既知の向きに配向させ、前記基準マークのそれぞれの画像を、前記回転可能なカメラ及び前記位置パッドカメラで作成することと、
前記位置パッドの軸に対して前記蛍光透視鏡の位置及び向きを位置合わせするよう、前記それぞれの画像を解析することと、
を含む、方法。
(30) 前記回転可能なカメラを前記位置パッドから取り外すことと、前記位置パッドカメラにより作成された前記基準マークの前記画像のみを用いて、前記位置パッドの前記軸に対して前記蛍光透視鏡の前記位置及び向きを決定することと、を含む、実施態様29に記載の方法。
【0117】
(31) 前記位置パッドカメラを前記位置パッドに取り付けることが、取り外し可能なジグを前記位置パッドに取り付けることと、前記カメラで前記ジグを撮像することによって、前記位置パッドカメラを前記それぞれの固定された向きに整列させることと、を含む、実施態様29に記載の方法。
(32) 位置パッドと、
前記位置パッド上に据え付けられ、患者に磁界を発生させるよう構成された磁気送信機と、
それぞれの固定した向きで前記位置パッドに取り付けられた位置パッドカメラと、
前記位置パッドに接続された回転可能なカメラと、
前記患者を撮像するよう構成された蛍光透視鏡と、
前記蛍光透視鏡に取り付けられた基準マークと、
プロセッサであって、
異なる位置に前記蛍光透視鏡を位置付けるよう構成され、各位置に関しては、
前記回転可能なカメラを既知の向きに配向させ、前記回転可能なカメラ及び前記位置パッドカメラで前記基準マークのそれぞれの画像を作成するよう、並びに
前記位置パッドの軸に対して前記蛍光透視鏡の位置及び向きを位置合わせするよう、前記それぞれの画像を解析するよう構成された、プロセッサと、
を含む、装置。
(33) 前記プロセッサが、前記回転可能なカメラが前記位置パッドから取り外される間に、前記位置パッドカメラによって作成された前記基準マークの前記画像のみを用いて、前記位置パッドの前記軸に対して前記蛍光透視鏡の前記位置及び向きを決定するよう構成される、実施態様32に記載の装置。
(34) 前記位置パッドに取り付けられるよう構成された取り外し可能なジグを含み、前記位置パッドカメラが、前記カメラで前記ジグを撮像することによって、前記それぞれの固定された向きに整列するよう構成される、実施態様32に記載の装置。