特許第6000547号(P6000547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000547
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】チャイルドロック付摺動自在容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   B65D83/04 E
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-289506(P2011-289506)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-139265(P2013-139265A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】相 澤 恒
(72)【発明者】
【氏名】国 分 靖
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/055001(WO,A1)
【文献】 特開2010−143610(JP,A)
【文献】 米国特許第04113098(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0055903(US,A1)
【文献】 国際公開第01/015998(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/06
B65D 43/20
B65D 83/04
A61J 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前板と、後板と、一対の側板とを有し、上方が開口する四角筒状の下容器と、 下容器に、下容器の後板側から前板側に向って摺動自在に装着されて下容器を密閉し、天板と、後板と、一対の側板とを有する蓋体とを備え、
下容器の各側板の前板側に段部を介して内側に入り込んでいる内側板部が前記側板と一体に形成され、各内側板部外方に下容器の前板から内側板部と平行に延びる作用板が設けられ、
前記下容器の一対の側板は、前記底板と、前記後板とに連結され、前記下容器の一対の内側板部は、前記底板と、前記前板とに連結されて、前記蓋体で密閉され前記下容器形成され
各作用板の後方端に係合段部を介して係合片が設けられ、
下容器を蓋体で密閉した場合、蓋体の各側板は下容器の対応する側板上および対応する係合片上に重なり合い、かつ蓋体の各側板の前方端は下容器の係合段部に当接し、
下容器の各係合片に係合部が設けられ、蓋体の対応する側板に係合片の係合部に係合する係止部が設けられていることを特徴とするチャイルドロック付摺動自在容器。
【請求項2】
下容器の各係合片の係合部は外方へ突出する突起からなり、蓋体の側板の係止部は内方へ引込み突起を受け入れる溝部からなることを特徴とする請求項1記載のチャイルドロック付摺動自在容器。
【請求項3】
蓋体の天板裏面に内方へ突出する第1天板突起が設けられ、蓋体を密閉時から開方向へ摺動させる際、第1天板突起は下容器の後板に当接して蓋体の摺動作用に抵抗を与えることを特徴とする請求項1又は2記載のチャイルドロック付摺動自在容器。
【請求項4】
蓋体の天板裏面に内方へ突出する第2天板突起が設けられ、蓋体を密閉時から開方向へ摺動させる際、第2天板突起は下容器の後板に当接して蓋体の開度を定めることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のチャイルドロック付摺動自在容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物収納用の容器に係り、とりわけ子供のいたずら等による事故防止を目的としたチャイルドロック付摺動自在容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、固形薬あるいはカプセル等の内容物を収納するため、摺動自在容器が用いられている。このような摺動自在容器は、内容物を収納する下容器と、この下容器に対して摺動自在に装着されて下容器を密閉する蓋体とを有している。
【0003】
摺動自在容器内には固形薬あるいはカプセル等の内容物が収納されるが、子供が容器を開いて内容物である固形薬あるいはカプセル等を取り出すことも考えられる。
【0004】
従来より、子供のいたずら等による事故防止を目的とした容器がいくつか開発されているが、簡単な構造でかつ子供のいたずら等による事故防止を確実に実行することができる容器は未だ開発されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−261162号
【特許文献2】特表2011−516356号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、子供のいたずら防止機能を図ることができる容器であって、簡単な構造で取扱いが容易となるチャイルドロック付摺動自在容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、底板と、前板と、後板と、一対の側板とを有し、上方が開口する四角筒状の下容器と、下容器に、下容器の後板側から前板側に向って摺動自在に装着されて下容器を密閉し、天板と、後板と、一対の側板とを有する蓋体とを備え、下容器の各側板の前板側に段部を介して内側に入り込んでいる内側板部が前記側板と一体に形成され、各内側板部外方に下容器の前板から内側板部と平行に延びる作用板が設けられ、前記下容器の一対の側板は、前記底板と、前記後板とに連結され、前記下容器の一対の内側板部は、前記底板と、前記前板とに連結されて、前記蓋体で密閉され前記下容器形成され、各作用板の後方端に係合段部を介して係合片が設けられ、下容器を蓋体で密閉した場合、蓋体の各側板は下容器の対応する側板上および対応する係合片上に重なり合い、かつ蓋体の各側板の前方端は下容器の係合段部に当接し、下容器の各係合片に係合部が設けられ、蓋体の対応する側板に係合片の係合部に係合する係止部が設けられていることを特徴とするチャイルドロック付摺動自在容器である。
【0008】
本発明は、下容器の各係合片の係合部は外方へ突出する突起からなり、蓋体の側板の係止部は内方へ引込み突起を受け入れる溝部からなることを特徴とするチャイルドロック付摺動自在容器である。
【0009】
本発明は、蓋体の天板裏面に内方へ突出する第1天板突起が設けられ、蓋体を密閉時から開方向へ摺動させる際、第1天板突起は下容器の後板に当接して蓋体の摺動作用に抵抗を与えることを特徴とするチャイルドロック付摺動自在容器である。
【0010】
本発明は、蓋体の天板裏面に内方へ突出する第2天板突起が設けられ、蓋体を密閉時から開方向へ摺動させる際、第2天板突起は下容器の後板に当接して蓋体の開度を定めることを特徴とするチャイルドロック付摺動自在容器である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、きわめて簡単な構造をもち、取扱いが容易となり、かつ子供のいたずら等による事故防止機能をもったチャイルドロック付摺動自在容器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明によるチャイルドロック付摺動自在容器を示す斜視図。
図2図2は下容器を示す平面図。
図3図3は下容器を示す側面図。
図4図4は下容器を示す側断面図。
図5図5は下容器を後板からみた図。
図6図6は蓋体を示す平面図。
図7図7は蓋体を示す側面図。
図8図8は蓋体を示す側断面図。
図9図9は蓋体を示す裏面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1乃至図9は本発明によるチャイルドロック付摺動自在容器の一実施の形態を示す図である。
【0015】
図1乃至図9に示すように、チャイルドロック付摺動自在容器1は、底板3と、前板4と、後板5と、一対の側板6、6とを有し、上方が開口する四角筒状の下容器2と、下容器2に下容器2の後板5側から前板4側へ向って摺動自在に装着されて下容器2を密閉する蓋体20とを備えている。
【0016】
このうち蓋体20は、下容器2の開口を覆う天板21と、後板22と、一対の側板23、23とを有しており、蓋体20の前方側は開口してこの前方側開口を下容器2の後板5から前板4側に向って移動させることにより蓋体20が装着されている。
【0017】
このような構成からチャイルドロック付摺動自在容器1の下容器2および蓋体20のいずれもABS、PP、PE、PS、PC等の合成樹脂で出来ており、射出成形により作製される。
【0018】
またチャイルドロック付摺動自在容器1内には、内容物Tとして固形薬又はカプセルシガレット、無煙たばこ製品、口腔用たばこ製品、シガリロなど一連のたばこ製品等が収納される。
【0019】
次にチャイルドロック付摺動自在容器1の各部の構成について説明する。
【0020】
まず下容器2は、上述のように、底板3と、前板4と、後板5と、一対の側板6、6とを有する四角形筒状をなしている。そして下容器2の各側板6、6の前板4側に段部16を介して側板が内側に入り込んで内側板部7が形成されている。また各内側板部7の外方には、前板4から内側板部7と平行に延びる作用板8が内側板部7と所定間隔をおいて設けられている。
【0021】
さらに各作用板8の後方端(後板5側の端部)には、係合段部9を介して内側に係合片10が設けられている。そしてこの係合片10の外面には外方へ突出する突起(係合部)11が設けられ、この突起11は後述する蓋体20の側板23内面に設けられた溝部(係止部)26内に受け入れられて溝部26により係合される。
【0022】
また各作用板8を外方から内方へ向って押圧することにより、作用板8および係合片9が内方へ撓んで下容器2側の突起11と蓋体20側の溝部26との係合が解除される。
【0023】
また下容器2に対して蓋体20を装着し、下容器2を蓋体20により密閉した場合、蓋体20の各側板23は下容器2の対応する側板6上および対応する係合片10上に重なり合う。このとき同時に、蓋体20の各側板23の前方端23aは下容器2の作用板8の係合段部9に当接し、下容器2に対して蓋体20が位置決めされ、下容器2が蓋体20によって完全に密閉される。
【0024】
さらにまた下容器2には、一対の側板6、6および後板5の下端から外方へ突出する周縁突起13が設けられている。
【0025】
この周縁突起13は、一側の側板6、6および後板5に沿って周状に延びるとともに、底板3と同一平面上に設けられている。
【0026】
そして下容器2に対して蓋体20を装着して摺動させた場合、蓋体20の側板23の下端がこの周縁突起13上に沿って案内される。
【0027】
同様に下容器2の各側板6、6外面には、周縁突起13の直上に水平方向に直線上に延びる案内溝部15が設けられている。また蓋体20の一対の側板23内面には、下容器2の側板6の案内溝部15内に嵌合する案内突起25が水平方向に直線上に延びている。
【0028】
そして下容器2に対して蓋体20を装着して摺動させた場合、蓋体20の案内突起25が下容器2の案内溝部15に沿って案内される。
【0029】
さらに図6乃至図9に示すように、蓋体20の天板21の裏面には内方へ突出する第1天板突起28と第2天板突起29とが設けられている。
【0030】
このうち蓋体20の第1天板突起28は、天板21の裏面のうち後板22側に寄って設けられて、第2天板突起29は天板21の裏面のうち中央寄りに設けられている。
【0031】
第1天板突起28は、密閉時から蓋体20を開方向へ摺動させる際、下容器2の後板5に当接して蓋体20の開方向への摺動作用に抵抗を付与する。このことにより例え下容器2の突起11と蓋体20の溝部26との係合が解除しても、下容器2に対して蓋体20が簡単に開方向へ摺動しないようになっている。
【0032】
また第2天板突起29は、蓋体20を更に開方向へ摺動させる際、下容器2の後板5に当接して蓋体20の移動を阻止し、このことにより蓋体20の下容器2に対する開度を定めるようになっている。
【0033】
さらにまた、図3に示すように下容器2の作用板8の外面には、開閉作動時に指が滑らないよう滑り止め8aが設けられている。
【0034】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0035】
まず、内容物Tが収納された下容器2に蓋体20が装着される。この場合、蓋体20を下容器2に対して後板5側から前板4側に向って摺動しながら装着することができ、下容器2は蓋体20により密閉される。
【0036】
この状態では、下容器2の一対の側6、6上および一対の係合片10、10上に蓋体20の各側板23、23が重なり合う。また蓋体20の各側板23、23の前方端23a、23aが対応する下容器2の係合段部9に当接し、蓋体20は密閉位置に位置決められる。
【0037】
また下容器2の係合片10、10に設けられた突起11、11が、蓋体20の側板23、23に設けられた溝部26、26に係合している。このことにより、蓋体20の開方向への移動が阻止される。
【0038】
従って、子供が誤って蓋体20を開けて下容器2内に収納された固形薬又はカプセル等を外方へ取り出すことはできない。
【0039】
次に蓋体20を開ける場合、まず下容器2に設けられている一対の作用板8を内方へ押圧する。このことにより一対の作用板8および係合片10を同時に内方へ撓ませることができ、係合片10の外面に設けられた突起11を蓋体20の側板23の内面に設けられた溝部26から解除することができる。この状態で蓋体20を開方向(下容器2の前板4から後板5へ向う方向)へ摺動させる。
【0040】
この場合、まず蓋体20の密閉時から開方向への摺動開始直後に、蓋体20の第1天板突起28が下容器2の後板5に当接し、蓋体20の摺動作用に抵抗を与える。このことにより、例え下容器2の突起11と蓋体20の溝部26との係合が解除しても、蓋体20を容易に摺動させて開くことを防止することができる。
【0041】
次に蓋体20を更に開方向へ摺動させることにより、蓋体20の第1天板突起28が下容器2の後板5上端を乗り越え、蓋体20は開方向へ更に摺動する。
【0042】
次に蓋体20の第2天板突起29が下容器2の後板5上端に当接して、蓋体20の開方向へ摺動が規制される。このことにより下容器2に対する蓋体20の開度が定まる。
【0043】
この状態で下容器2内に収納されている内容物Tを外方へ取り出すことができる。
【0044】
以上のように本実施の形態によれば、子供が誤って下容器2内に収納された固形薬又はカプセル等の内容物を外方へ取り出すことを未然に防ぐことができる。
【0045】
また下容器2から蓋体20を開方向へ摺動させる場合、まず下容器2の突起11を蓋体20の溝部26から外す必要がある。この場合、下容器2の一対の側板6、6前方に配設された一対の作用板8、8を内方へ押圧するだけで、作用板8、8および作用板8、8に連結された係合片10、10を直接的に撓ませることができ、このことにより係合片10、10に設けられた突起11と蓋体20側の溝部26との係合を解除することができる。このように一対の作用板8、8を内方へ押圧するだけで、作用板8、8に連結された係合片10、10を直接的に撓ませることによって係合片10、10の突起11と蓋体20側の溝部26との係合を解除することができるので、突起11と溝部26との係合をきわめて簡単な操作で解除することができる。また下容器2に蓋体20を密閉した場合、下容器2と蓋体20とを係合片10の突起11と蓋体20の溝部26とからなるきわめて簡単な構造により係止することができる。
【0046】
また、下容器2の作用板8、8は、側板6、6が内側に入り込んでいる内側板部7、7の外方に内側板部7、7と所定間隔をおいて平行に設けられているので、作用板8、8を内方へ押圧した場合、作用板8、8および作用板8、8に連結された係止片10、10の内方への撓み量を大きく取ることができ、このことにより下容器2側の突起11と蓋体20側の溝部26との係合を容易かつ確実に解除することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 チャイルドロック付容器
2 下容器
3 底板
4 前板
5 後板
6 側板
7 内側板部
8 作用板
9 係合段部
10 係合片
11 突起
20 蓋体
21 天板
22 後板
23 側板
26 溝部
28 第1天板突起
29 第2天板突起
T 内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9