特許第6000571号(P6000571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000571
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ディスペンサ装置およびカバー部材
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/16 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   B67D1/16
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-44212(P2012-44212)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180781(P2013-180781A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0218367(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0221608(US,A1)
【文献】 特開2000−62899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料およびの供給物または氷のみの供給物の少なくとも一方を放出する放出部(14)と、該放出部(14)の下方に設けられて前記供給物を受容可能な受容部(40)とを備えたディスペンサ装置において、
前記受容部(40)と該受容部(40)に受容した供給物を排出するための排出部(50)との間に、上方に開口した箱状に形成されて氷(IC)を一時的に収容可能な氷回収部(20)を、該受容部(40)および排出部(50)に連通して設け
前記受容部(40)は、前記放出部(14)の下方に位置する部位から前記氷回収部(20)に向けて下方傾斜する底板部(41)を備え、該放出部(14)から受容した前記供給物を、前記底板部(41)の上面に沿って前記氷回収部(20)へ案内するよう構成された
ことを特徴とするディスペンサ装置。
【請求項2】
前記氷回収部(20)の底壁部(21)に、該氷回収部(20)内に収容された氷(IC)との間で熱交換が可能な熱交換部(25)が設けられた請求項1記載のディスペンサ装置。
【請求項3】
前記放出部(14)は、飲料および氷の供給物を放出する飲料放出部(15)を備え、
前記熱交換部(25)内に、前記飲料放出部(15)に連通する管路(26)が形成され、
前記飲料は、前記管路(26)を介して前記飲料放出部(15)に供給される請求項2記載のディスペンサ装置。
【請求項4】
前記氷回収部(20)に、上部開口を覆うカバー部材(35)が設けられ、
前記カバー部材(35)は、前記氷の通過が可能な開口部(36)と、この開口部(36)の一端(36A)から他端(36B)に向けて該開口部(36)の下方を下方傾斜するように延在する庇状部(37)とを備え、
前記庇状部(37)の延出端(37A)は、前記カバー部材(35)の下面から氷(IC)の通過を許容する間隔で下方に離間すると共に、前記開口部(36)の他端(36B)下方まで延在している請求項1〜3の何れか一項に記載のディスペンサ装置。
【請求項5】
落下した氷を受ける氷受け部(20,40)の上方に配設されるカバー部材であって、
氷の通過が可能に形成された開口部(36)と、この開口部(36)の一端(36A)から他端(36B)に向けて該開口部(36)の下方を下方傾斜するように延在する庇状部(37)とを備え、
前記庇状部(37)の延出端(37A)は、開口部(36)の他端(36B)から氷(IC)の通過を許容する間隔で下方に離間すると共に該他端(36B)下方まで延在している
ことを特徴とするカバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料または氷の少なくとも一方の供給物の放出部を備えるディスペンサ装置と、氷受け部の上方に配設されるカバー部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジュースやアイスコーヒー等のコールド飲料を生成して注出するディスペンサ装置では、該コールド飲料を注出する飲料放出部や、飲料に入れる氷を放出する氷放出部を備えている。また、前記飲料放出部とは別に、氷のみを放出可能な氷放出部を単独で備えるディスペンサ装置もある。このようなディスペンサ装置では、飲料放出部の下方に設けられた容器セット台にコップ等の飲料容器をセットしたもとで、利用者により決定されたコールド飲料用の飲料を該飲料容器へ注出すると共に、予め生成された氷を前記氷放出部から該飲料容器へ放出するようになっている。また、フリードリンク制を実施する飲食店に設置されるドリンクバーとしてのディスペンサ装置では、利用者が同じ飲料容器を使用して別の飲料を飲用する場合の便宜を図るため、飲料容器内に残った飲み残しの飲料や氷を廃棄するための排出部(シンク)が設けられたものも実用化されている。このような排出部を備えたディスペンサ装置は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−227332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドリンクバーとして使用されるディスペンサ装置では、セルフサービスにより該ディスペンサ装置の使用に不慣れな多数の利用者が利用するため、容器セット台に対して飲料容器を適切にセットしない状態で飲料の注出を行なうことが多く発生し得る。例えば、飲料容器を適切にセットせずにコールド飲料の注出を行なった場合には、該コールド飲料用の飲料の飲料容器内に適切に注出されずに容器セット台に零れたり、氷放出部から放出された氷が該飲料容器内に放出されずに該容器セット台上に零れ易くなる。このため、従来のディスペンサ装置では、容器セット台を所謂簀の子状に形成すると共に、該容器セット台の下方にドレンパンを設けて、容器セット台から下方へ落下した飲料や氷をドレンパンで受けるように構成されている。ところが、前記容器セット台は、融ける前の氷の通過は不可能となっており、該氷が融けて生じた氷解水を前記ドレンパンで回収するようになっていた。このため、容器セット台に零れた氷は融けるまで該容器セット台上に留まることとなるから、後から零れた飲料が氷に付着すると該氷が変色して視覚的な美観が損なわれると共に、衛生的な問題も生じるおそれがある。
【0005】
また、簀の子状に形成された従来の前記容器セット台は、その隙間から下方が視認可能となっているため下方に落下した飲料や氷が見えてしまい、視覚的な美観が損なわれるものとなっていた。
【0006】
そこで本発明は、従来の技術に係るディスペンサ装置に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、飲料容器から零れたり廃棄された氷を適切に処理し得るようにしたディスペンサ装置と、氷受け部の上方に配設されるカバー部材とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、飲料およびの供給物または氷のみの供給物の少なくとも一方を放出する放出部と、該放出部の下方に設けられて前記供給物を受容可能な受容部とを備えたディスペンサ装置において、
前記受容部と該受容部に受容した供給物を排出するための排出部との間に、上方に開口した箱状に形成されて氷を一時的に収容可能な氷回収部を、該受容部および排出部に連通して設け
前記受容部は、前記放出部の下方に位置する部位から前記氷回収部に向けて下方傾斜する底板部を備え、該放出部から受容した前記供給物を、前記底板部の上面に沿って前記氷回収部へ案内するよう構成されたことを要旨とする。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、放出部から零れたり廃棄された氷が、受容部に受容されて氷回収部へ迅速に回収され、該氷回収部で一時的に収容された後に排出部へ排出されるから、放出部の下部に氷が留まることが防止されて該放出部の下部を清潔な状態に保つことができる。また、放出部の下部に氷が留まらないから、視覚的な美観が損なわれることもない。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記氷回収部の底壁部に、該氷回収部内に収容された氷との間で熱交換が可能な熱交換部が設けられたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、氷回収部の底壁部に設けた熱交換部によって該氷回収部に一時的に収容された氷の融解が促進され、該氷回収部内に氷が長時間に亘って留まることを防止し得る。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記放出部は、飲料および氷の供給物を放出する飲料放出部を備え、
前記熱交換部内に、前記飲料放出部に連通する管路が形成され、
前記飲料は、前記管路を介して前記飲料放出部に供給されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、氷回収部に一時的に収容された氷により熱交換部が冷却されることで、該熱交換部内に形成された管路を通過する飲料を予め冷やすことができるから、該飲料を冷やすための電力消費量が低減され、ディスペンサ装置の運転に係るランニングコストを抑えることができる。
【0011】
請求項4に係る発明では、前記氷回収部に、上部開口を覆うカバー部材が設けられ、
前記カバー部材は、前記氷の通過が可能な開口部と、この開口部の一端から他端に向けて該開口部の下方を下方傾斜するように延在する庇状部とを備え、
前記庇状部の延出端は、前記カバー部材の下面から氷の通過を許容する間隔で下方に離間すると共に、前記開口部の他端下方まで延在していることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、氷回収部の上部開口にカバー部材を設けると共に、開口部の一端から他端に向けて該開口部の下方を下方傾斜するよう延在する庇状部を設けたことで、該氷回収部内が該カバー部材により覆われて見えなくなるから視覚的な美観が損なわれることを防止し得る。
【0012】
また、前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項5に係る発明は、落下した氷を受ける氷受け部の上方に配設されるカバー部材であって、
氷の通過が可能に形成された開口部と、この開口部の一端から他端に向けて該開口部の下方を下方傾斜するように延在する庇状部とを備え、
前記庇状部の延出端は、開口部の他端から氷の通過を許容する間隔で下方に離間すると共に該他端下方まで延在していることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、氷受け部の上方に配設したカバー部材により該氷受け部内が覆われて見えなくなるから、視覚的な美観が損なわれることを防止し得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るディスペンサ装置によれば、飲料容器から零れたり廃棄された氷を適切に処理することができる。
また、別の発明に係るカバー部材によれば、氷受け部内がカバー部材により覆われて見えなくなるから、視覚的な美観が損なわれることを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、実施例のディスペンサ装置の正面図であり、(b)は、実施例のディスペンサ装置の右側面図である。
図2】(a)は、実施例のディスペンサ装置に設けられた氷回収部およびドレンパンの平面図であり、(b)は、(a)のII−II線断面図である。
図3図2(a)のIII−III線断面図である。
図4】(a)は、廃棄氷が回収された状態の氷回収部の縦断正面図であり、(b)は、廃棄氷が回収された状態の氷回収部の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係るディスペンサ装置およびカバー部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、各放出部14が設けられている側をディスペンサ装置Dの前側とし、該ディスペンサ装置Dを前側から見た状態で左右および前後を指称する。
【実施例】
【0016】
実施例のディスペンサ装置Dは、図1および図2に示すように、下部に設けられた本体部10と、本体部10の上部左側に設けられた製氷部12とを備えると共に、本体部10の上部には、水、飲料および氷等を放出する放出部14を備えている。この放出部14は、左から第1飲料放出部15、氷放出部18、第2飲料放出部17等が、横並びに配置されている。本体部10内には断熱構造の貯氷庫11が形成されており、製氷部12で製氷されてシュート13を介して落下放出された氷が、該貯氷庫11内に一時的に貯留される。
【0017】
第1飲料放出部15は、図1に示すように、各種ジュースやコーヒー等のコールド飲料を生成して放出するようになっており、飲料を放出する複数のノズル15Aが設けられていると共に、前述した貯氷庫11内に貯留された氷を放出する氷放出部15Bも設けられている。また、各ノズル15Aの下方には、カップ等の飲料容器Cを載せた状態でセットする所謂簀の子状の第1容器セット部16が設けられている。第1容器セット部16は、第1飲料放出部15の氷放出部15Bから落下した氷が、融解する前の状態でそのまま下方へ通過可能な隙間(図示せず)が形成されている。前記第2飲料放出部17は、水や、本体部10内に配設されたカーボネーター(図示せず)で生成された炭酸と水とを混合して生成された炭酸水を注出するものである。氷放出部18は、貯氷庫11内に貯留された氷だけを放出することが可能となっている。なお、氷放出部18の下方から第2飲料放出部17の下方には、簀の子状の第2容器セット部19が配設されている(図1参照)。この第2容器セット部19は、第2飲料放出部17から落下した水や氷放出部18から落下した融解前の氷がそのまま下方へ通過可能な隙間(図示せず)が形成されている。
【0018】
実施例のディスペンサ装置Dは、図1図3に示すように、本体部10の右側上部において第2飲料放出部17の前下方に、氷受け部としての氷回収部20が設けられている。また、本体部10の上部前側において、前記第1飲料放出部15、第2飲料放出部17および氷放出部18の下方には、左右方向へ横長に延在するトレー状の受容部40が、第1容器セット部16および第2容器セット部19より下側に位置するように設けられている。そして、後述するように、第1飲料放出部15、第2飲料放出部17および氷放出部18から前記受容部40に落下した飲料や氷が、該受容部40の上面を伝って氷回収部20へ移動可能に構成されている。
【0019】
氷回収部20は、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)に示すように、上方に開口したバケット形態の箱状部材であって、前後開口幅が前記受容部40の右端前後幅より大きく、かつ該受容部40から下方へ凹ませることで、多くの氷ICを一時的に収容することが可能となっている(図4)。この氷回収部20は、防錆性に優れると共に熱伝導率が高いステンレスまたはアルミニウム等を材質とし、絞り加工やプレス加工により一体的に形成されたものである。そして、氷回収部20の底壁部21には、排出管(排出部)50が連結された排出口22が設けられており、該氷回収部20内に回収された飲料や水、該氷回収部20内に回収された氷が融解して生じた氷解水が、該排出口22を介して排出管50へ排出されるようになっている。なお一例として、氷回収部20のサイズは、左右幅が200〜250mm程度、前後長が350〜450mm程度、深さが150〜250mm程度となっている。
【0020】
また、氷回収部20の底壁部21の下面には、図2図4に示すように、該氷回収部20内に一時的に貯留された氷ICとの間で熱交換を行なうことで冷却されるコールドプレート(熱交換部)25が、該底壁部21に密着した状態で設けられている。このコールドプレート25は、熱伝導率が高いアルミニウムや銅等から形成されている。コールドプレート25内には、蛇行形成された管路26が形成されている。管路26の入口部27には、飲料貯留部(図示せず)側に連結された第1供給管29が接続され、該管路26の出口部28には、前述した第1飲料放出部15側に連結された第2供給管30が接続されている。従って、第1供給管29を介して管路26内へ流入した飲料は、氷回収部20内に貯留された氷ICとの熱交換により冷却されたコールドプレート25内を通過する際に適宜冷やされ、冷えた状態で第2供給管30を介して第1飲料放出部15へ供給されるように構成されている。なお、前述した排出管50は、コールドプレート25に形成された貫通孔を介して下方へ延出している。
【0021】
また、図2図4に示すように、氷回収部20には、前記受容部40より低い位置に、該氷回収部20の上部開口を覆うカバー部材35が設けられている。このカバー部材35は、ステンレスやアルミニウム等の金属製または合成樹脂製のプレート状の成形部材であり、氷回収部20の上部開口20Aの内縁に整合する外縁形状に形成されている。そしてカバー部材35は、氷回収部20の縦壁部23の内面に該氷回収部20の内方へ突設された複数の支持部24(図4参照)に、上方から載せた状態で保持されるようになっている。
【0022】
カバー部材35は、図2図4に示すように、氷の通過が可能な開口サイズの開口部36が、複数(実施例では6個)形成されている。従って、受容部40から落下した氷ICや飲料、該カバー部材35上に廃棄された氷ICは、各開口部36の何れかを介して氷回収部20内へ落下し、該カバー部材35の上面に氷ICが留まることが防止されるよう構成されている。
【0023】
また、カバー部材35には、図2図4に示すように、各開口部36の下方へ延出する庇状部37が設けられている。各庇状部37は、各開口部36の開口周縁における後開口縁(一端)36Aから前方に向かうにつれて対応の開口部36の下方を下方傾斜するように延在している。そして各庇状部37は、対応の開口部36の開口領域と略同じ形状に形成されており、該庇状部37の延出端(前端)37Aは該開口部36の開口周縁における前側開口縁(他端)36Bの真下まで延在している。また、各庇状部37の延出端37Aは、カバー部材35の下面から氷ICの通過を許容する間隔で下方に離間している。従って、開口部36を介して落下した氷は、庇状部37の上面に落下した後、該庇状部37の上面を滑落して氷回収部20内へ落下する。そして各庇状部37は、開口部36の下方において後方から前方に下方傾斜しているから、ディスペンサ装置Dの前側上方からカバー部材35を見下ろした際には、開口部36の奥下方に該庇状部37が見えるようになり、開口部36を介して氷回収部20内が見えないように構成されている。なお、各庇状部37は、対応の開口部36の前側開口縁36Bの真下より前下方に延出端37Aが位置するように形成してもよい。
【0024】
受容部40は、図1および図2に示すように、底板部41と、この底板部41の前縁、左縁および後縁の三方に亘って延在すると共に上方へ突出した外周縁部42とからなる。この受容部40は、ステンレスまたはアルミニウム等の金属または合成樹脂から一体に形成されたトレー状の部材である。底板部41は、第1飲料放出部15の下方に位置する左側が最も高さ位置が高く、右方に位置する氷回収部20に向けて緩やかに下方傾斜するように形成されている。従って受容部40は、底板部41に落下して受容された飲料や氷を、該底板部41の上面に沿って右方へ移動させて氷回収部20に配設したカバー部材35の上面へ落下するよう構成されている。
【0025】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例のディスペンサ装置Dの作用について説明する。実施例のディスペンサ装置Dは、該装置Dの電源を投入することにより製氷部12が作動して製氷を開始し、該製氷部12で生成された氷は、シュート13を介して本体部10内の貯氷庫11へ落下放出されて該貯氷庫11内に一時的に貯留される。
【0026】
そして、第1飲料放出部15においてコールド飲料の注出操作が行なわれた場合には、選択された所定の飲料が第1容器セット部16にセットした飲料容器C内へ注出されると共に、貯氷庫11から搬送された氷が該飲料容器C内へ放出される。また、第2飲料放出部17において水または炭酸水の注出操作が行なわれた場合には、所定の水または飲料原液が、第2容器セット部19における該第2飲料放出部17の下方にセットした飲料容器(図示せず)内へ放出される。更に、氷放出部18において氷の放出操作が行なわれた場合には、貯氷庫11から搬送された氷が、第2容器セット部19における該氷放出部18の下方にセットした飲料容器(図示せず)内へ放出される。
【0027】
そして、第1飲料放出部15において、第1容器セット部16上に零れた飲料および氷ICは、該第1容器セット部16の隙間から受容部40の底板部41上に落下して該受容部40に受容された後、該底板部41上を伝って右方へ移動してカバー部材35上に落下し、該カバー部材35の開口部36を介して氷回収部20内へ収容される(図4参照)。第2飲料放出部17において、第2容器セット部19上に零れた水または炭酸水は、該第2容器セット部19の隙間からカバー部材35の上面に直接落下し、該カバー部材35の開口部36を介して氷回収部20内へ回収される。更に、氷放出部18において、第2容器セット部19上に零れた氷ICは、該第2容器セット部19の隙間から受容部40の底板部41上に落下して該受容部40に受容された後、該底板部41上を伝って右方へ移動してカバー部材35上に落下し、該カバー部材35の開口部36を介して氷回収部20内へ収容される(図4参照)。
【0028】
氷回収部20内に回収された飲料や水は、該氷回収部20内に収容された氷ICに適宜接触した後に、排出口22を介して排出管50へそのまま排出される。一方、氷回収部20内に回収された氷ICは、排出口22の開口サイズより大きい塊となったものは、該氷回収部20内に一時的に収容される。従って、氷回収部20の底壁部21に設けられたコールドプレート25は、氷回収部20内に貯留された氷ICとの熱交換により冷却され、管路26内を流通する飲料が冷やされるようになる。また、コールドプレート25との熱交換により、氷回収部20内に収容された氷ICの融解が促進され、該氷ICが融解することで生じた氷解水は、排出口22を介して排出管50へ排出されるようになる。なお、氷回収部20内に回収された飲料や水が該氷回収部20内に収容された氷ICに接触することで、該氷ICの融解が促進される。
【0029】
従って、実施例のディスペンサ装置Dによれば、第1飲料放出部15から第1容器セット部16へ零れた氷ICが、該第1容器セット部16上に留まることなく、受容部40に受容された後に氷回収部20へ迅速に回収されるから、第1容器セット部16の上部を清潔な状態に保つことができる。また、第1容器セット部16上に汚れた氷が留まらないから、視覚的な美観が損なわれることもない。
【0030】
また、氷回収部20の底壁部21に、管路26が形成されたコールドプレート25が設けられているから、該氷回収部20に一時的に収容された氷ICと該コールドプレート25との熱交換により氷ICの融解が促進され、該氷回収部20内に氷ICが長時間に亘って留まることが防止され、氷ICが多量に廃棄されても順次融解させて排出口22を介して排出することができる。更に、受容部40に受容された飲料や水が、氷回収部20内へ落下して該氷回収部20内に収容されている氷ICに接触することで、これら水や飲料によっても氷ICの融解を促進することができる。そして、排出管50がコールドプレート25を貫通して形成されていて、氷解水を該排出管50を介して迅速に排出することができるから、コールドプレート25からの熱が氷解水に奪われずに氷ICに移動するようになり、該氷ICの融解が促進される。更に、氷回収部20に収容した氷ICが融解して発生した氷解水により、該氷回収部20に回収された飲料が薄められるから、飲料内に含有していた糖分が排出管50の内面に付着することによるシュガーセメントの生成を抑制することができると共に、氷解水により該排出管50内が適宜洗浄される。
【0031】
また、氷回収部20に一時的に貯留された氷ICによりコールドプレート25が冷却されることで、第1飲料放出部15へ供給される前の飲料が該コールドプレート25の管路26を通過する際に冷やされるから、該飲料を冷やすクーラーの電力消費量が低減されてディスペンサ装置Dの運転に係るランニングコストを抑えることができる。
【0032】
更に、氷回収部20の上部開口20Aにカバー部材35を配設すると共に、該カバー部材35に形成した開口部36の下方に庇状部37を設けたことで、該氷回収部20内に収容された氷ICがカバー部材35により覆われて見えないから、視覚的な美観が損なわれることを防止し得る。
【0033】
(変更例)
(1)コールドプレート25は、氷回収部20における底壁部21だけでなく、該氷回収部20の縦壁部23に接触する形状のものを使用してもよい。この場合には、氷回収部20に一時的に貯留された氷との熱交換率が高められ、該氷を効率的に融解することができる。
(2)氷回収部20は、コールドプレート25が設けられる部分をステンレスまたはアルミニウム等の熱伝導率が高い材質で形成し、該コールドプレート25が設けられていない部分は、合成樹脂等で形成するようにしてもよい。
(3)氷回収部20は、コールドプレート25を一体的に形成したものであってもよい。また、氷回収部20の底壁部21や縦壁部23の一部をコールドプレート25で構成して、該氷回収部20に貯留された氷ICが該コールドプレート25に直接接触するよう構成してもよい。
(4)氷回収部20の底壁部21や縦壁部23に、パイプ状の管路を直接接触するように配設して、該管路内に水や飲料原液を通過させるよう構成してもよい。
(5)氷回収部20は、該氷回収部20を形成する底壁部21や縦壁部23内に管路26を形成して、該管路26内に水または飲料原液を通過させるようにしてもよい。
(6)コールドプレート25に形成された管路26は、製氷用や飲用の水を供給するための給水部に接続された給水管(図示せず)を入口部27に連結すると共に、前述した第2飲料放出部17や氷放出部18側または製氷部12側に接続された供給管(図示せず)を出口部28に連結するようにして、水を管路26を通過させることで冷やすようにしてもよい。また、複数の管路26を形成して、水および飲料の両方を同時に冷やすように構成してもよい。
(7)カバー部材35は、例えば後方に向かうにつれて下方へ傾斜するように氷回収部20に設置するようにしてもよい。このようにカバー部材35に傾斜を付与した場合には、該カバー部材35上に落下した氷を、該カバー部材35上を移動させて何れかの開口部36へ迅速に落下させることができる。
(8)氷回収部20の配設位置は、第1飲料放出部15の下方や氷放出部18の下方等であってもよい。
(9)氷回収部20および受容部40は、一体に形成したものであってもよい。
(10)前記カバー部材35は、第1飲料放出部15におけるノズル15Aおよび氷放出部15Bの下方に配設された前記第1容器セット部16や、氷放出部18の下方から第2飲料放出部17の下方に亘って配設された第2容器セット部19に代えて使用することも可能である。すなわち、第1容器セット部16に代えて配設されたカバー部材35は、氷受け部としての受容部40の左側上方に配設され、第1飲料放出部15のノズル15Aから零れた飲料および氷放出部15Bから零れた氷を、開口部36を介して受容部40へ適切に落下させ得る。また、カバー部材35は、各開口部36の下方に庇状部37が設けられているので、受容部40における第1飲料放出部15の下方に落下した炭酸水や氷が見えないように覆うから、視覚的な美観が損なわれることを防止し得る。また、第2容器セット部19に代えて配設されたカバー部材35は、氷受け部としての受容部40の右側上方に配設され、第2飲料放出部17から零れた炭酸料や氷を、開口部36を介して受容部40へ適切に落下させ得る。また、カバー部材35は、各開口部36の下方に庇状部37が設けられているので、受容部40における第2飲料放出部17の下方に落下した飲料や氷が見えないように覆うから、視覚的な美観が損なわれることを防止し得る。
【符号の説明】
【0034】
14 放出部,15 飲料放出部,20 氷回収部(氷受け部),21 底壁部,
25 コールドプレート(熱交換部),26 管路,35 カバー部材,36 開口部,
36A 一端(開口部36の),36B 他端(開口部36の),37 庇状部,
37A 延出端(庇状部の),40 受容部(氷受け部),41 底板部,
50 排出管(排出部),IC 氷
図1
図2
図3
図4