(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1乃至
図6を用いて本発明の実施形態について説明を行う。
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態の空気調和機の室内機1の断面の概略図を示す。
室内機1は壁掛け型や天井埋め込み型など種々の形態があるが、本実施形態では天井埋め込み型の室内機について説明する。
【0009】
室内機1は、ケーシング本体11と、ケーシング本体11下面を覆う化粧パネル12を備えている。このケーシング本体11内には、室内熱交換器105と、ドレンパン38と、チャンバ37と、送風機39と、エアフィルタ40と、塵埃除去手段50が設けられている。また室内機1の運転を制御するための制御器100(
図5参照)が設けられている。この制御器100には、使用者が空気調和機を操作するためのリモコン106が接続されている。
【0010】
ケーシング本体11は下部が開口した略直方体形状をしており、ケーシング本体11の内面は、断熱材17で覆われている。また、ケーシング本体11は、設置される室内の天井Aの開口に挿通した状態で設置され、天井裏の天井面から吊り下げ支持されるようになっている。
【0011】
化粧パネル12は、平面視で略矩形の板状に形成されており、ケーシング本体11の下方を覆うように設けられる。ケーシング本体11に取り付けられた化粧パネル12は、室内機1が室内の天井Aへ据付けられた状態において、室内側に露出するようになっている。
【0012】
化粧パネル12には、中央部に矩形状の吸込口22が設けられており、吸込口22には、複数のスリット状の通気口29aが形成された吸込グリル29が嵌め込まれている。吸込口22の周囲には、四方を取り囲むよう細長い矩形状の吹出口23が設けられている。各吹出口23には、風向調整板23aが設けられており、この風向調整板23aは、回動して風向(吹出方向)を調整するように構成されている。
【0013】
ケーシング本体11内の化粧パネル12上方には、シール部材19を挟んでチャンバ37が設けられている。チャンバ37は、吸込口22から吸込まれた空気を導通する吸込室37aと、吹出口から吹出す空気を導通する吹出室37bを備えている。
【0014】
チャンバ37の吸込室37a上部には、ドレンパン38が配置されており、ドレンパン38は室内熱交換器105を支持している。
室内熱交換器105は、プレートフィンチューブ型熱交換器として形成されている。室内熱交換器105は、平面視でロ字状に形成され、室内機1内の中央部に位置する送風機39を囲むように配置されている。室内熱交換器105では、送風機39によって送られる室内空気と室内熱交換器105内を流通する冷媒との間で熱交換が行われる。
【0015】
ドレンパン38は、室内熱交換器105の下側に平面視で環状に設けられており、室内熱交換器105において空気中の水分が凝縮して生じるドレン水を受けるように形成されている。ドレンパン38には、ドレン水を排水するための図示しないドレンポンプが設けられている。ドレンパン38は、ドレンポンプを設置した箇所にドレン水が集まるように勾配がつけられている。
【0016】
送風機39は、ファンモータ39aと羽根車39bとで構成されている。送風機39の下方には、吸込口22に連通するようにベルマウス25が設けられており、ケーシング本体11の中央付近に配置されている。ファンモータ39aは、ケーシング本体11の天板に固定されている。羽根車39bは、いわゆるターボファンであり、吸込口22からベルマウス25を介して、回転軸方向に吸込んだ空気を回転半径方向へ吹出すものであり、ファンモータ39aの回転軸に連結されている。
【0017】
吸込口22とベルマウス25の間には、室内空気中に含まれる塵埃を捕捉するためのエアフィルタ40が設けられている。エアフィルタ40は、略矩形状の樹脂製のフレーム41に繊維シートが接着されて構成されている。
【0018】
エアフィルタ40には、エアフィルタ40の下面側で集塵された塵埃を除去するための塵埃除去手段50が設けられている。
塵埃除去手段50は、塵埃を除去する回転ブラシ51と、塵埃貯留容器60と、エアフィルタ40を上方から押えつける押え手段70を有している。
【0019】
エアフィルタ40及び塵埃除去手段50は、略ロ字状の枠体200によって支持されている。枠体200は、チャンバ37の吸込室37aに配置されている。
【0020】
図2に、枠体200とエアフィルタ40と塵埃除去手段50の押え手段70の上面斜視図を示す。
枠体200の中央には、吸込口22から吸込まれた空気をエアフィルタ40へ送るために、フレーム41の外枠と略同一の形状の吸込孔が設けられている。
【0021】
塵埃除去手段50は、エアフィルタ40の吸込み側に当接する回転ブラシ51と、回転ブラシ51を回転させるブラシ駆動モータ103を備えており、回転ブラシ51の下方に塵埃貯留容器60と、エアフィルタ40を挟んで回転ブラシ51の上方に位置する押さえ手段70を備えている。
回転ブラシ51は、ブラシ駆動モータ103に連結された棒状のシャフト部51aと、シャフト部51a周囲に設けられた複数の植毛からなるブラシ部51bとで構成されている(
図3参照)。
回転ブラシ51は、エアフィルタ40の下方に左右方向に懸架されるように設けられている。
【0022】
押さえ手段70は、エアフィルタ40を左右へ横断する平板状の部材であり、回転ブラシ51に略平行に設けられており、エアフィルタ40を上面から回転ブラシ51に押し当てるようになっている。
【0023】
さらに、枠体200及び塵埃除去手段50の左右両端には、移動手段80が設けられており、塵埃除去手段50をエアフィルタ40の前後方向へ往復移動させる機能を有する。
【0024】
図3に、枠体200とエアフィルタ40と塵埃除去手段50と移動手段80の上面図を示す。
なお、
図3ではエアフィルタ40を破線で示し、押え手段70は図示していない。
【0025】
移動手段80は、塵埃除去手段50の左右夫々に設けられるピニオンギア82L、82Rを有しており、このピニオンギア82L、82Rは連動シャフト81により連動可能に接続され、塵埃除去手段50に軸支されている。さらに、エアフィルタ40の左右両辺には、ラックギア83L、83Rが設けられており、ピニオンギア82L、82Rにかみ合わされている。さらに、連動シャフト81の左のピニオンギア82L側には、連動シャフト81を回転駆動させるための移動用モータ85が設けられている。なお、この移動用モータ85の回転軸は、連動シャフト81を回転駆動させるために、連動シャフト81に直接連結されても良く、連動シャフト81に固定されたギアを別途設けて、ギアを介して駆動されるようにしても良い。
【0026】
上記のように移動手段80が構成されており、移動用モータ85が駆動すると、連動シャフト81、及び、ピニオンギア82L、82Rが回転駆動し、ラックギア83L、83Rに沿って移動する。これにより、塵埃除去手段50全体がエアフィルタ40の前後方向へ移動する。
【0027】
エアフィルタ40の左右に設けられたラックギア83L、83Rの前側部には、初期位置センサ101L、101Rが設けられており、エアフィルタ40の後側部には反転用センサ102が設けられている。
これら、初期位置センサ101L、101R及び反転用センサ102は、制御器100に接続されており(
図5参照)、塵埃除去手段50が、初期位置または反転位置にあるかを検知する。これらセンサ類には、リミットスイッチや赤外線センサなど種々の位置センサを用いて良いが、本実施形態においては、磁気センサを用いる。このように、初期位置センサ及び反転用センサに磁気センサを用いることで、各センサの検出部に細かな塵埃が体積した場合においても誤検知することがなく、位置検出センサとしての機能を失うことがない。
【0028】
図4にエアフィルタ40と塵埃除去手段50の縦断面図を示す。
図4に示すように、塵埃収集口60aの断面形状は、回転ブラシ51の下方を囲むように逆八字状の口部を有して形成されている。
塵埃貯留容器60の内部には、回転ブラシ51に付着した塵埃を除去するための櫛部62が設けられている。この櫛部62はブラシ部51bの下方に当接して設けられており、回転ブラシ51の回転に伴いブラシ部51bを梳くようになっている。
【0029】
押さえ手段70は上述の幅寸法Lを有することで、冷房運転又は暖房運転中のように送風機39による送風がなされている場合において、塵埃除去手段50の回転ブラシ51への通風を一部遮断する手段として機能する。
【0030】
押さえ手段70は、塵埃貯留容器60の前後方向長さ寸法と略同一の前後方向長さ寸法を有しており、エアフィルタ40を挟んで回転ブラシ51の直上に平行に配されている。また、押さえ手段70の下面には、前後方向の中央部(
図4での回転ブラシ51の回転軸直上)から後方端部にかけてエアフィルタ40と接触する接触部70aが下方に突出して設けられている。この接触部70aがエアフィルタ40に当接することで、エアフィルタ40を回転ブラシ51に押し当てることができる。
また、前後方向中央(回転ブラシ51の回転軸直上)から前方側の他端にかけては、エアフィルタ40と押さえ手段70との間に隙間ができるため、送風機39の送風による塵埃除去手段50回りの空気の流れにより、負圧が生じるようになっている。
【0031】
さらに、エアフィルタ40のフレーム41の前端部下面には、回転ブラシ51に平行な、半円筒状の凹部41aが、エアフィルタ40の左右両端に亘り設けられている。この凹部41aの曲率半径は、塵埃ブラシ51の外周半径よりも大きいことが好ましい。塵埃除去手段が前方側の待機状態位置にあるとき、凹部41aと回転ブラシ51は前後方向位置が一致しており、ブラシ部51bの植毛が曲がらないようになっている。
【0032】
また、凹部41aの上方側は、押え手段70に対して突出した凸部41bとなっており、塵埃除去手段が前方側の待機状態位置にあるとき、押え手段70を上方へ押し上げるようになっている。
押え手段70の後端部は、塵埃除去手段50に対して、ヒンジ等により前端部が上下に可動可能に固定されており、塵埃除去手段50が、待機状態位置にあるとき、押え手段70の前端部がフレーム41の凸部41bにより持ち上げられるようになっている。
【0033】
このように待機状態において、回転ブラシ51がエアフィルタ40に接触しないことで、回転ブラシ51表面のブラシ部51bの植毛が折れ曲がった状態で待機することがない。これにより、植毛の変形を防止でき、良好な塵埃除去運転を維持することができる。
また、待機状態位置において、押え手段70がフレーム41により持ち上げられることで、凸部41bを下方へ押し出すことが無く、フレーム41を変形させることが無い。
【0034】
上述した構成を有する室内機1の運転状況について説明する。
冷房運転又は暖房運転が行われると、送風機39のファンモータ39aが駆動し羽根車39bが回転する。そして、吸込口22から塵埃を含む室内空気が吸込まれ、エアフィルタ40の下面から上面へと通り抜ける。このとき、室内空気に含まれる塵埃がエアフィルタ40下面に付着する。室内空気は、ベルマウス25と羽根車39bを介して室内熱交換器105に送られる。室内熱交換器105で熱交換された後、室内空気は室内パネル12の吹出し口23を介して室内に吹出される。
【0035】
上述のように送風機39により送風が行われている冷房運転又は暖房運転中において、定期的にエアフィルタ40の塵埃除去運転が行われる。
【0036】
塵埃除去運転について
図5及び
図6を用いて説明する。
図5に室内機1の制御器100のブロック図を示す。制御器100は室内機1の暖房運転及び冷房運転と、フィルタ清掃運転の運転制御を行うものである。
制御器100には、操作部であるリモコン106と、初期位置センサ101L、101R及び反転センサ102と、ブラシ駆動モータ103及び移動用モータ85と、送風機39のファンモータ39aと、計時手段であるタイマ107が接続されている。
【0037】
制御器100によるフィルタ清掃運転の動作について
図6を用いて説明する。
【0038】
タイマ107により、暖房又は冷房運転中に送風機39のファンモータ39aが所定時間駆動したことが検知されると、移動手段80の移動用モータ85が駆動され、塵埃除去運転が開始される。
【0039】
塵埃除去運転が開始すると、待機状態位置から塵埃除去手段50が後方側へ移動し、押え手段70は凸部41bからずれてエアフィルタ40を回転ブラシ51に押し当てるように機能する(
図6(a))。そして、塵埃除去手段50がエアフィルタ40の前方端部から移動したことが、初期位置センサ101L、101Rによって検知される。
【0040】
制御器100の指令により塵埃除去運転が開始されると、移動用モータ85と、ブラシ駆動モータ103が回転される。これにより、移動手段80によって塵埃除去手段50がエアフィルタ40の後方へ向かって往移動(
図6(b))し、エアフィルタ40下面に当接した回転ブラシ51がエアフィルタ40下面を転がるように回転する。これにより、エアフィルタ40下面に付着した塵埃は回転ブラシ51のブラシ部51bに絡めとられる。
ブラシ部51bに絡めとられた塵埃は、櫛部62によって取除かれ、塵埃貯留容器60内へ落下し貯留される。
この時、押さえ手段70の前方側とエアフィルタ40の隙間の負圧によって、回転ブラシ51の中心付近に付着した塵埃が、外周付近に吸い寄せられ櫛部62によって塵埃貯留容器60に回収される。又はエアフィルタ40下面に付着する。
【0041】
塵埃除去手段50がエアフィルタ40の後方端部に到達すると、反転用センサ102により検知され、制御器100の指令により回転ブラシ51の回転及び移動手段80は一旦停止する。
【0042】
その後、制御器100の指令により、移動用モータ85が反対方向に回転し、移動手段80によって塵埃除去手段50がエアフィルタ40の前方へ向かって復移動(
図6(d))する。さらに、ブラシ駆動モータ103が逆回転し、回転ブラシ51がエアフィルタ40下面を転がるように回転する。
そして、エアフィルタ40の下面に付着した塵埃をブラシ部51bに絡めとり、塵埃貯留容器60内へ貯留する。
【0043】
復移動後(
図6(e))、塵埃除去手段50と塵埃貯留容器60及び押さえ手段70が前方端部へ戻り、押え手段70は凸部41aに押し上げられ、塵埃除去手段50は待機状態位置へ移動する。そして、初期位置センサ101L、101Rに検知され、制御器100の指令により移動用モータ85が停止され、移動手段80が停止する。その後、回転ブラシ51は一定時間回転し続け、ブラシ部51bに付着した塵埃を除去する。
【0044】
以上のような塵埃除去運転は、冷房又は暖房運転中に所定時間毎に行われる。
また、冷房又は暖房中でない場合に、使用者がリモコン106を操作することで、塵埃除去運転を行うことも出来る。この場合、室内熱交換器での熱交換は行われず、送風機39のファンモータ39aを駆動し、上記
図6(a)乃至(e)を用いて説明した動作により塵埃除去運転が行われる。
【0045】
上述のように、本実施形態のような塵埃除去運転において、塵埃除去手段50がエアフィルタ40の前側部から後側部へ往移動すると、送風機39の送風により、エアフィルタ40と押え手段70前側部の隙間に負圧が生じ、回転ブラシ51に付着した塵埃が離脱し易くなり、効率よく櫛部62に塵埃が梳き取られる。復移動において、エアフィルタ40に付着した塵埃を効率よく回転ブラシ51により除去することができる。これにより、回転ブラシ51に塵埃が堆積することなく、回転ブラシ51の塵埃を捕捉する性能を低下させずにエアフィルタ40の塵埃詰りを防止し、送風効率の低下しない室内機1を提供することができる。
【0046】
制御部100は、初期位置センサ101L、101R及び反転用センサ102により塵埃除去手段50が移動した回数をカウントしており、この清掃手段が移動した回数をもとにして、塵埃貯留容器60に堆積した塵埃の量を推定し、制御器100や、操作部106への表示等を行なう。
【0047】
さらに、塵埃除去手段50の上部に押さえ手段70を設けることで、送風機39の運転中であっても塵埃除去手段50をさけて風が流れるので、送風の影響を受けることなくエアフィルタ40に付着した塵埃を効率よく除去することができる。また、塵埃除去手段60がエアフィルタ40を押圧し、押さえ手段70へ押しあてられる。ことにより、回転ブラシ51がエアフィルタ40に確実に接触し、エアフィルタ40に付着した塵埃を確実に掻き落とすことができる。また、塵埃除去手段50をエアフィルタ40に強く押圧した場合でも、押さえ手段70により反対側から押圧することでエアフィルタ40の樹脂性の枠から繊維シートが剥離するのを防ぐことができる。
【0048】
上述のように、長時間の連続運転を行い、塵埃の付着量が大量となった空気調和機において、送風機39による送風が行われている冷房、暖房運転中においても、塵埃除去運転を行うことができ、エアフィルタ40の塵埃詰りによる空気調和機の性能低下を抑えることができる。
【0049】
また、塵埃除去運転によりエアフィルタ40から除去され塵埃貯留容器60からこぼれ落ちた塵埃は、送風機39の送風により吸上げられ、室内へ落下することがなく、次に行われる塵埃除去運転にて除去される。
【0050】
これにより、送風機39が送風を行っている状態において、塵埃除去手段50の後方側は接触部70aによって送風が遮断され、押さえ手段70の前方側は隙間により送風が遮断されず通風され、塵埃除去手段50の回転ブラシ51の中央から押さえ手段70の隙間に面する部分には送風され、中央から接触部70aに面する部分には送風されない。
これにより、エアフィルタ40に付着した塵埃を回転ブラシ51のブラシ部51bによって確実に且つ効率良く除去することができる。
【0051】
また、待機状態において回転ブラシ51がエアフィルタ40に接触しないことで、回転ブラシ51表面のブラシ部51bの植毛が折れ曲がって待機することがなく、植毛の変形を防止でき、良好な塵埃除去運転を維持することができる。
【0052】
上記空気調和機の室内機は4方向天井カセット式に係らず、送風機による送風を行いつつエアフィルタの塵埃除去運転が可能な種々の形態に応用してよい。例えば、壁掛け型の室内機においては、エアフィルタ40と塵埃除去手段50と押さえ手段70を水平方向に対して傾ける、又は、90°回転して設置しても良い。この場合、塵埃貯留容器60と塵埃収集口60aは塵埃を回収できる範囲で種々の形態を用いて良い。また、櫛部62は回転ブラシ51の塵埃を除去し易い形態や配置を用いて良い。
【0053】
本発明は、上記実施形態に限定されない。さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。