(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000629
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】エアフォイル鋳造に用いられる複合インサートを有するセラミックコア
(51)【国際特許分類】
B22C 9/10 20060101AFI20160923BHJP
B22C 9/22 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
B22C9/10 F
B22C9/22 C
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-106508(P2012-106508)
(22)【出願日】2012年5月8日
(65)【公開番号】特開2012-254479(P2012-254479A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】13/068413
(32)【優先日】2011年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505243272
【氏名又は名称】ハウメット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Howmet Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100066728
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100141841
【弁理士】
【氏名又は名称】久徳 高寛
(74)【代理人】
【識別番号】100119596
【弁理士】
【氏名又は名称】長塚 俊也
(74)【代理人】
【識別番号】100100099
【弁理士】
【氏名又は名称】宮野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100114
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 伸泰
(72)【発明者】
【氏名】ボイド ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】ダレン ロジャース
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジェイ.モランフィー
【審査官】
藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−504945(JP,A)
【文献】
特開2006−007325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 5/00−9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の冷却用内部通路を有するエアフォイルの鋳造に用いられる複数壁セラミックコアであって、前記セラミックコアが、内部形状が複雑なために1回のモールディング工程で一体物として形成されることができない消失性コアインサートを含む複数壁セラミックコアを製造する方法であって、
少なくとも一つの第1消失性コアインサートを予備成形するステップ、
予備成形された少なくとも一つの前記第1消失性コアインサートに隣接する位置にて、少なくとも一つの第2消失性コアインサートをオーバーモールディングすることにより、前記第1消失性コアインサートと前記第2消失性コアインサートとが融着され、接着剤無しで一体化されることでバリの無い複合消失性コアインサートを形成するステップであって、前記複合消失性コアインサートが、後で除去されたときに、コア内に前記冷却用内部通路表面を形成することができる特徴であって、その一部が異なる平面に存在する特徴を含む複合消失性コアインサートを形成するステップ、
形成された複合消失性コアインサートをコアモールディング用ダイキャビティに配置するステップ、
流体セラミック材料を前記ダイキャビティに導入して、複合消失性コアインサートを取り込んだセラミックコア本体を形成するステップであって、前記融着された部位が流体セラミック材料で隠れるようにセラミックコア本体を形成するステップ、及び
セラミックコア本体をダイキャビティから取り除くステップを含み、
冷却用内部通路表面を有する、バリの無いセラミックコアを形成する、方法。
【請求項2】
少なくとも2つの第1消失性コアインサートを個々に予備成形し、次に、予備成形された少なくとも2つの前記第1消失性コアインサート間にて、少なくとも一つの第2消失性コアインサートをオーバーモールディングすることにより、前記第1消失性コアインサートと前記第2消失性コアインサートとが融着され、接着剤無しで一体化されることでバリの無い複合消失性コアインサートを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の消失性コアインサートの一つは、複合消失性コアインサートが除去されるとセラミックコアにクロスオーバ通路を形成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
クロスオーバ通路はセラミックコアの前縁及び/又は後縁の近傍に形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の消失性コアインサートの一つは、複合消失性コアインサートが除去されるとセラミックコアに一体の圧力側スキンコアを形成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の消失性コアインサートの一つは、複合消失性コアインサートが除去されるとセラミックコアに吸引側コア表面を形成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の消失性コアインサートの一つは、複合消失性コアインサートが除去されるとセラミックコアに後縁面を形成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの予備成形された第1消失性コアインサートは、ワックス及びプラスチック材料からなる群より選択される材料を、第1消失性コアインサート成形用モールドに注入することによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの第2消失性コアインサートは、ワックス及びプラスチック材料からなる群より選択される材料を、前記少なくとも一つの予備成形された第1消失性コアインサートが入れられた複合消失性コアインサート成形用モールドに注入することによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複合消失性コアインサートをセラミックコア本体から除去することにより、複数壁セラミックコアを生成することを更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数壁を有するエアフォイル鋳造品、例えば複数の鋳造壁及び空気冷却効果向上のための複数通路を有するエアフォイル鋳造品の鋳造に用いられる複合セラミックコア、並びに複数壁セラミックコアを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアフォイルの内部冷却効果を向上させることにより、エンジンの信用を高めて、十分なエアフォイル使用寿命をもたらすことができる複雑な空気冷却用チャンネルを含んだ先進的な複数壁・薄壁タービンエアフォイル(例えばタービンブレード又はベーン)は、ガスタービンエンジンの製造者の多くに評価されている。しかしながら、先進的な高信頼性エアフォイルエンジンの冷却機構は複雑で、複数の薄い壁を必要とし、その冷却構造(cooling features)は非平面的である。これらの先進的冷却機構(advanced cooling schemes)を画定するセラミックコアは、これまで、セラミック化合物をスチールツールの中に強制挿入することによって形成されていたが、コアが複雑であるため、ツールの設計/製作の能力によって制限される。複雑な先進的冷却機構のツール構成では、焼成後に複数のセラミックコアピースの組立てが必要となる場合が多い。この組立ては、専門的な技能を必要とし、組み立てられたコア要素間に不整合があると寸法変動が生じるし、焼成されたコアは脆いため、取扱い時に破損し易くスクラップ率が高い。それゆえ、先進的冷却機構は、組立てを考慮に入れる必要がある。
【0003】
コアの形状によっては、作用面が共通平面にない構成を画定するのに複数の消失性コアインサート(fugitive core inserts)の形成を必要とするものがある。この構成として、(1)複数のスキンコアセグメント、(2)後縁構造体(trailing edge features)(例えば、ペデスタル及び出口)、(3)前縁構造体(leading edge features)(例えば、クロスオーバ)及び(4)エアフォイルの長さ全体に亘って屈曲する構造体、が挙げられる。複数の消失性インサートを形成し、形成されたインサートをコアダイの中で組み立てることは、コアアッセンブリの場合と同様の問題が生じる。インサートをコアダイの中に装入したとき、個々のインサートの寸法ばらつき又はコアダイでの位置特定精度の悪さにより、インサート間の密着が確実に得られる訳ではない。その後、セラミックコア材料をモールディングすると、2つの消失性インサートセグメントの結合部に、ばり(flash)が生じることがある。ばりの発生は、セラミックコアモールディングに共通しており、ばりの除去は標準の処理工程の一部として行われるが、消失性インサートの周囲又は間に生じるばりは、目に見えない内部キャビティの中にあるか、又は複雑な外観の一部として存在するので、検査で見つけたり除去することが困難である。焼成されたセラミックコアにこのようなばりが残っていると、鋳造されたブレード又はベーンにおける空気流れが変化する。
【0004】
米国特許第5295530号及び第5545003号は、複数壁・薄壁を有し、複雑な空気冷却チャンネルを具える先進型タービンブレード又はベーン構造を開示している。
【0005】
米国特許第5295530号では、複数壁コアアッセンブリは、第1の薄肉壁セラミックコアをワックス又はプラスチックでコーティングすることによって作られる。第2の同様なセラミックコアは、仮の位置決めピンを用いてコーティングされた第1のセラミックコアの上に配置される。セラミックコアを通るドリル孔が開設される。位置決めロッドは各々のドリル孔の中へ挿入される。次に、第2のコアはワックス又はプラスチックでコーティングされる。この順序は、必要に応じて繰り返して行われ、複数壁セラミックコアアッセンブリが構築される。
【0006】
このコアアッセンブリの製造手順はかなり複雑であり、複数の連結ロッドを使用し、コアの中に連結ロッドを収容するドリル孔を設ける必要があるため、時間も費用もかかる。さらに、このコアアッセンブリの場合、寸法精度や繰返し使用性(repeatability)が低下し、ひいてはかかるコアアッセンブリを用いて製造されるエアフォイル鋳造品の寸法精度も低下する。
【0007】
米国特許第第6626230号は、消失性材料(例えば、ワックス)の複数の薄壁模型要素を一体物(one piece)として成形するか、又は個々の要素を形成した後接着剤で接合したものを、一体物コアをモールディングするためのセラミックコアダイの中に配置して、模型アッセンブリを形成するものである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、先進型の複数壁・薄壁タービンエアフォイル(例えば、タービンブレード又はベーン鋳造物)の鋳造に用いられる複数壁セラミックコアを製造する方法を提供するものである。
【0009】
本発明は、複数壁セラミックコアを製造する方法の一実施例において、複合コアインサートを一連のステップで形成するもので、少なくとも一つの消失性コアインサートを予備成形するステップと、予備成形された消失性コアインサートに隣接して一体接続されるその位置にて(in-situ adjacent and integrally connected to)、少なくとも一つの消失性コアインサートを形成するステップとを有している。複合コアインサートは、後で選択的に除去されるときに、コア内に内側表面を形成するための特徴を含んでいる。
【0010】
複合コアインサートをコアモールディング用ダイキャビティに配置し、流体セラミック材料をダイキャビティに入れることにより、複合コアインサートの周りにコア本体が形成される。コア本体はダイキャビティから取り除かれた後に焼成(firing)されるが、その際、複合コアインサートをコア本体から選択的に除去すると、焼成された複数壁セラミックコアが生成され、該セラミックコアの上に、鋳造されるエアフォイルの消失性模型が形成されることができる。この消失性模型は、ロストワックス法により、セラミックシェルモールドの中でインベストメント鋳造される。
【0011】
本発明の更なる例示的実施例において、消失性コアインサートの一つは、複合コアインサートが除去されると、セラミックコアの前縁及び/又は後縁の近傍にクロスオーバ通路(cross-over passage)を形成する。
【0012】
また、本発明の更なる例示的実施例において、コアインサートの一つは、複合コアインサートが除去されると、セラミックコアに、圧力側(pressure-side)及び/又は吸引側(suction-side)スキンコアセグメント面を形成する。
【0013】
また、本発明の更なる例示的実施例において、コアインサートの一つは、複合コアインサートが除去されると、セラミックコアに後縁面(ペデスタル及び/又は出口)を形成する。
【0014】
本発明の実施で有利な点として、コアインサート部品が手作業で組み立てられたときに部品間に生じる遊合(loose fit)がないこと、後工程のコアモールディング中にインサート部品のコアダイ内への誤配置が減少すること、接着剤その他の異種材料を使用しなくてもよいこと(それらは、後工程のコアモールディング中の温度及び圧力で破損が起こったり、消失性インサートの除去が困難になる等の悪影響を及ぼすことになる)、コアのばり発生がないこと(ばりは、消失性インサートを一体的に接合するときに発生する)が挙げられ、結果として、内側の壁及び構造の位置制御精度が向上するため、内部構造の検査や修理は必要でなくなる。複合コアの内壁は、一旦コアが形成されてしまうと、容易に検査したり修理することはできなくなるが、本発明では、コアインサートの配置精度が良いし、コア接合部がなく、コアにばりが発生することもないので、内壁を有する複合コアの製造を容易に行なうことができる。
【0015】
本発明の他の有利点は、以下の詳細な説明及び図面から、より簡単に明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、タービンブレード又はベーンに先進型冷却機構を鋳造するのに必要なセラミックコアの部分斜視図である。
【0017】
【
図1B】
図1Bは、
図1Aのコアを形成するのに必要な一体型消失性コアインサートの仮想図であって、1回の注入工程では形成されることができない一体型消失性コアインサートの断面図である。
【0018】
【
図1C】
図1Cは、
図1Bの消失性コアインサートの作製について、2つの別個のインサートピースを手作業で組み立てる方法を示しており、この方法ではコアの中に隠れた内部構造に接近することができず、薄いばりを取り除くことができないため、
図1Aに示される先進型冷却機構には不適当である。
【0019】
【
図1D】
図1Dは、予備成形された
図1Cに示す消失性コアインサートを、本発明の例示的実施例に基づいて作製するためのコアインサートダイを示す図である。
【0020】
【
図1E】
図1Eは、本発明の例示的実施例に基づく複合コアインサートを形成するための第2の複合コアダイを示す図であって、該複合ダイの中に、
図1Dのダイの中で形成された消失性コアインサートの予備成形体が収容され、該予備成形体の上に第2の消失性コアインサートが成形されて複合コアインサートが形成される。
【0021】
【
図1F】
図1Fは、コアダイの中で形成されてコアダイの中にある複合消失性コアインサートを示す図であって、該消失性コアインサートの周りにセラミックコアが形成される。
【0022】
【
図2】
図2は、本発明の他の例示的実施例に基づく複合コアインサートの断面図であって、3つのコアインサートが融合(fused)されている。
【0023】
【
図3】
図3は、本発明の更なる他の例示的実施例に基づくセラミックコアの断面図であって、3つのコアインサートが融合された複合コアインサートを有している。
【0024】
【
図4】
図4は、本発明の更なる他の例示的実施例に基づくセラミックコアの断面図であって、2つのコアインサートが融合された複合コアインサートを有している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
航空機エンジンのエアフォイル冷却機構、とりわけ高圧のタービンブレード又はベーン(以下、エアフォイルと称する)の効果を最大化するためには、これら部品の内部通路がエアフォイル壁を補強する必要があり、また、内部の冷却用空気を精密に分離して、その圧力が、ブレード又はベーンにおいて最も必要とされる領域に向けられるように制御される必要がある。コアインサートが互いに融合された消失性複合コアインサートを用いて本発明を実施することにより、単一又は多平面ツールでは引き出されることができない複雑なエアフォイルコア形状の製造が可能となる。本発明は、さらにより複雑なエアフォイルコア形状の製作が可能であり、個々の消失性コアピースの場合のようなパーティングライン又はウィットネスラインは形成されず、単一の消失性複合コアインサートとして、注入用コアダイへの挿入が可能となる。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例を記載する前に、以下のとおり説明する。
図1Aは、タービンブレード又はベーンにおいて、先進型冷却機構に必要な冷却通路機構を形成するのに用いられるセラミックコアCCの一部分を示している。このコアCCは、固体部SSを含んでおり、該固体部は、
図1Aでは見えない位置で相互連結され、溶融金属又は合金がコアCCの周りで鋳造されて凝固して、次に、コアが選択的に除去されたとき、冷却通路を形成する。この種の冷却機構では、鋳造用セラミックコアを、複数個のセラミックコアピースを組み立てることによって形成するのは極めて困難であるか、又は不可能である。
【0027】
図1Bは、
図1AのセラミックコアCCを形成するのに必要な一体型消失性コアインサート断面の仮想図である。但し、消失性コアインサートは、ツールを引き出す平面(tooling pull planes)が塞がれてしまうため、1回の注入工程で一体のコアインサートとして形成されることはできない。
【0028】
図1Bの消失性コアインサートは、2つの別個のピースとして形成され、
図1Cに示されるように組み立てられるが、この方法では、例えば、小さな消失性(例えば、ワックス)インサートピース(ピース1及び2)を組み立てることが困難であること、2つの消失性インサートを接合して、高強度高精度の接合部を形成することは困難であること、2つの消失性インサートピース間の接合部にばりが形成される傾向にあること、などの欠点を有している。
図1Aに示される先進型冷却機構では、このコアの中にある内部特徴を外から見ることができず、また接近することができないため、このばりを除去することはできない。
【0029】
図1D乃至
図1Fを参照して、上記欠点を解消できる本発明の実施例を例示を目的として説明するが、
図1AのセラミックコアCCの形成に限定されるものではない。
【0030】
図1Dは、第1のダイ合せ用ダイ部(die mating die section)1aと第2のダイ合せ用ダイ部1bとを有するコアインサートダイD1を示しており、該コアインサートダイには、本発明の例示的方法のステップに基づいて、
図1Eに示される消失性コアインサート予備成形体1を作製するための成形用キャビティMC1が形成される。溶融ワックス、溶融プラスチックその他材料等の消失性流体材料は、成形用キャビティMC1の中に注入又は導入され、ワックスが凝固して、ダイD1から除去されると、消失性コアインサートの予備成形体1が形成される。
【0031】
図1Eは、第2の複合コアダイD2を示している。ダイD2は、第1のダイ合せ用ダイ部2aと第2のダイ合せ用ダイ部2bとを有し、該コアインサートダイには、
図1Fに示される本発明の例示的実施例に基づいて消失性複合インサートPPを作製するための成形用キャビティMC2が形成される。特に、成形用キャビティMC2は、
図1Dに示される消失性コアインサート1の予備成形体を収容できるよう構成された領域R2と、初期状態は空の領域であって、複合消失性インサートPPの残部を成形できるように構成され、この目的のために溶融ワックス等の流体消失性模型材料を収容するための領域R2’とを含んでおり、接合部J1で、残りの消失性コアインサート2を消失性インサート1の予備成形体の上に形成又はオーバーモールドして、
図1Fの複合消失性コアインサートが形成される。残りの消失性インサート2の形成は、ダイD2の中で予備成形された消失性インサート1上の位置にてオーバーモールディング(over-molding)することによって行われ、オーバーモールディングされた消失性材料がダイ1の消失性インサートmc1に対してタイトシールを形成するので、接合部でばりを発生することなく、接合部J1に高強度、高均一性(consistent)及び高精度の接合が達成される。
【0032】
図1Fは、溶融ワックスが凝固し、ダイD2から取り除いた後の複合消失性コアインサートPPを示している。消失性コアインサートPPは、予備成形されたインサート1と、接合部J1で前記予備成形されたインサートの上にオーバーモールドされて形成されたインサート2とを含み、一体の複合消失性インサートPPが形成される。
【0033】
ダイD2で形成された複合消失性インサートPPは、モールディングキャビティM3を形成するダイ3a及び3bを有する最終セラミックコアダイD3の中に配置される。例えば溶融熱可塑性又はワックスバインダー等の流体セラミックコア材料には、アルミナ、シリカ、ジルコニア又は他の適当なセラミック又はそれらの混合物のコアセラミック粒子が含まれており、該流体セラミックコア材料がインサートPPの中及び周りのモールディングキャビティM3の中に注入又は導入され、単一ピースのグリーン(未焼成)セラミックコアCCが形成される。グリーンコアCCはダイD3から取り除かれた後、消失性インサートPPは、公知の熱的又は他の手段により、グリーンコアCCから選択的に取り除かれる。グリーンコアCCは、次に、高温で焼成されて、
図1Aに示されるセラミックコアCCが形成される。焼成されたセラミックコアは、以下の実施例2でより詳細に記載するように、タービンブレード又はベーンを鋳造するためのセラミックモールドを製造するのに用いられる。
【0034】
図2、3及び4は、限定するものではなく更なる例示のための図であって、複合消失性インサートが上記利点をもたらす本発明の3つの異なる追加実施例を模式的に示している。
【実施例2】
【0035】
図2において、予備成形された消失性コアインサート1’は、コアの後縁及び2列のクロスオーバ通路を形成し、現場形成される消失性コアインサート2’は、コアツールでは形成されることができないスキンコアセグメントを形成し、予備成形された消失性コアインサート3’は、前縁通路を形成する。
【0036】
消失性コアインサートの予備成形体1’及び3’は、それらを形成するツールをより簡素化できるように、別々に形成される。例えば、インサート1’の予備成形体は、適切に構成されたモールドキャビティを有するコアインサートモールドの中で形成されることができる。溶融ワックス又は溶融プラスチック等の消失性材料は、例えばインサート型の中に注入され、インサート1’が形成される。同様に、インサート3’の予備成形体は、該インサート用に適切に構成されたモールドキャビティを有する他のコアインサートモールドの中で形成されることができる。溶融したワックス又はプラスチック材料等の消失性材料は、そのインサート型の中に注入され、インサート3’が形成される。
【0037】
予備成形されたインサート1’と予備成形されたインサート3’は、複合インサートモールドの中に、インサート2’を形成するための中間モールドキャビティの対向面を形成するように配置され、該複合インサートモールドの中で、インサート2’が、予備成形されたインサート1’及び3’の間に形成される。溶融ワックス又はプラスチック材料等の消失性材料は、中間モールドキャビティの中に注入され、溶融ワックス又はプラスチックが凝固すると、インサート2’は、予備成形されたインサート1’及び3’の間に形成され、予備成形されたインサート1’及び3’と一体に繋がり、それらが一緒に融合することにより、インサート1’と2’との間に一体の連結部又は接合部J2’が形成され、インサート2’と37との間に連結部又は接合部J1’が形成される。典型的には、溶融ワックス又はプラスチック材料がオーバーモールディングされるが、それは、最初に予備成形された消失性インサート1’及び3’がダイの中に装填され、次に、消失性材料がキャビティの中に注入されて、インサート1’と3’との間に充満し、一緒に接合されることにより、単一の複合消失性インサート10’が形成されるからである。この方法は、接着剤が不要であり、インサートの除去に悪影響を及ぼすことなく、正確な取付けが可能であり、コアモールディング時にコアにばりが発生することもない。
【0038】
ガスタービンエンジンエアフォイル(ブレード又はベーン)等の超合金エアフォイルを鋳造するためのセラミックコアの製造において、一体化されたインサート1’、2’及び3’によって形成された複合コアインサートは、鋳造されるエアフォイルと相補的形状をなし、典型的には、凹面及び凸面並びに前縁及び後縁を有する一般的なエアフォイル断面形状を有するものであることは、当該分野の専門家であれば認識されるであろう。
【0039】
予備成形されたインサート1’、予備成形されたインサート3’、
前記インサート1’及び
3’の間に形成される(in-situ formed)インサート
2’が一体に接続されて構成される複合消失性コアインサートは、
図2に概略的に示されるコアダイキャビティM3’の中に配置される。2つのコアダイの引出し(pull)を図示しており、セラミックコアの後縁部及び主本体リブを形成するのに用いられる。流体セラミック材料は、例えば、熱可塑性又はワックスバインダーであって、アルミナ、シリカ、ジルコニア又は他の適当なセラミック又はそれらの混合物が含まれており、該流体セラミック材料がコアダイキャビティの中に導入され、ダイキャビティの中で、流体セラミック材料が凝固し、ゲル化及び/又は硬化した後、複合コアインサートが一体化されたセラミックコア本体が形成される。本発明におけるセラミックコアの形成は、セラミック材料の注入に限定されるものではなく、注湯(poured)によるコアモールディング、スリップキャスト成形トランスファーモールディング又は他のコア形成技術を用いて行うこともできる。
【0040】
セラミックコア材料は、シリカ基、アルミナ基、ジルコン基、ジルコニア基のセラミック材料又は当業者に既知の適当なコアセラミック材料及びそれらの混合物を含むことができる。具体的なセラミックコア材料は本発明の一部を構成するものではなく、適当なコア材料は、米国特許第5394932号に記載されている。コア材料は、その周りに形成されるエアフォイル鋳造物から化学的に浸出可能(leachable)であるものが選択される。
【0041】
その後、内部に複合コアインサートがあるグリーン(未焼成)セラミックコアをコアモールドダイキャビティから取り除き、焼成(焼結)して、溶融金属又は合金の鋳造に使用するのに適したものにする。消失性複合コアインサート10は、焼成工程前又は焼成工程中にコアから選択的に除去されることができる。典型的には、焼成されたセラミックコアは、公知のロストワックスインベストメント鋳造ステップが施され、コアに鋳造されるべきエアフォイルの消失性模型に、コアに存在する模型材料充填通路を形成し、コア/模型をセラミックシェルモールドの中でインベストメント鋳造し、模型除去作業により鋳造されるべきエアフォイルの消失性模型を選択的に除去するものである。これにより、セラミックシェルモールドが残り、焼成され、次に、溶融金属又は合金が鋳造される。例えば、セラミックコアは、公知の「ロストワックス」法に基づいて、セラミックモールドの中でインベストメント鋳造が行われ、セラミックスラリーの中に繰り返して浸漬し、余分のスラリーを除去し、シェルモールドがコア/模型アッセンブリの上に所定厚さに蓄積されるまで粗粒セラミックスタッコでスタッコイングを行なう。シェルモールドは、次に、鋳造時のモールド強度を高めるために高温で焼成される。模型は、熱的又は化学的な溶解技術によって選択的に除去され、内部にコアアッセンブリを有するシェルモールドが残る。溶融超合金は、次に、公知の鋳造技術を用いて、内部にセラミックコアを有するシェルモールドの中に導入される。溶融超合金は、モールド内のコア周囲で一方向に凝固することによって、柱状結晶粒又は単結晶のエアフォイル鋳造品が形成される。或いはまた、溶融超合金は、凝固して等軸結晶粒のエアフォイル鋳造を形成することもできる。鋳型は、機械的打撃を加えることで凝固した鋳造物から取り外された後、公知の一又は複数の化学的浸出又は機械的グリットブラストが施される。コア20は、化学的浸出又は公知の他のコア除去技術を用いて、凝固したエアフォイル鋳造物から選択的に除去される。
【実施例3】
【0042】
図3は、本発明の実施例に基づくセラミックコア20''を示しており、その内部構造は検査したり補修することはできない。この実施例において、コアインサート1''及び3''が予備成形され、次に、予備成形されたコアインサートと、それらコアインサートの間に形成されるコアインサート2''とが、結合部又は接合部J1''及びJ2''で融合されるので、コアにばりを生ずることなく、複合消失性コアインサート10''が形成される。複合コアインサートは、次に、コアダイキャビティの中に配置され、上述したように、複合コアインサートの周囲にコア本体が成形される。コアインサート2''及び3''は、図示のように、細長い部分が異なる平面に存在する。
【実施例4】
【0043】
図4は、本発明の実施例に基づいた2つのコアインサートを有するセラミックコア20'''を示しており、前記2つのコアインサートは、予備成形されたコアインサート1'''と、後で形成されるコアインサート2'''であり、前記インサート1'''及び2'''は、上述したようにインサート2'''の成形中に、結合部又は接合部J1'''にて融合されるので、コアにばりを生じることはなく、インサート位置精度が向上する。
【0044】
本発明の実施において、上述した消失性コアインサートを用いることにより、単一又は多平面ツールでは引き出されることができない複雑なコア形状の製造が可能となる。本発明では、さらにより複雑なエアフォイルコア形状の製作が可能であり、個々の消失性ピースが手作業で組み立てられたときのようなパーティングライン又はウィットネスラインは形成されず、結合されて単一の複合消失性インサートとして、注入用コアダイへ挿入することが可能となる。
【0045】
更に、本発明は、作用面が共通平面にないコア構造に要求されるコア形状を作ることができる。この構造として、(1)複数のスキンコアセグメント、(2)後縁構造体(例えば、ペデスタル及び出口)、(3)前縁構造体(例えば、クロスオーバ)、及び(4)エアフォイルの長さ全体に亘って屈曲する構造体、が挙げられる。
【0046】
上記実施例では、1又は2の消失性インサートの予備成形体がオーバーモールディングされたが、複合消失性インサートの形成に本発明を実施する際、オーバーモールディングインサート予備成形体の数は任意である。
【0047】
当該分野の専門家であれば、添付の特許請求の範囲に記載される発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の実施例において様々な改良及び変更を加えることができることは、明らかであろう。