(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコーン粘着グリースに六方晶ボロンナイトライド粉末を添加したグリースは、配合される式:((CH
3)
3SiO
1/2)で表されるシロキサン単位と式:(SiO
4/2)で表されるシロキサン単位のみからなるシリコーンレジンがその構造上、発生した振動を吸収する性能が弱く、ブレーキ鳴きを低減することが難しかった。
【0007】
また、シリコーン油に炭酸カルシウムを配合したグリースは、ディスクブレーキにおいて発生した振動エネルギーを炭酸カルシウムのへき開で吸収させることを目的としているが、炭酸カルシウムのへき開にも限界があるため、特に長期的なブレーキ鳴き防止には依然改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、振動減衰性能が高い防振性シリコーン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明の目的は、
(A)ジオルガノポリシロキサンと、
(B)平均単位式:
(R
13SiO
1/2)
a(R
12SiO
2/2)
b(R
1SiO
3/2)
c
(式中、R
1は、それぞれ同一または異なる、置換または非置換の一価炭化水素基、水酸基、またはアルコキシ基であり、a、b、およびcは、0≦a、0≦b、0<c、a+b+c=1の関係を満たす数である)で表されるオルガノポリシロキサンと、
(C)比重3.0以上の無機微粒子と
を含む防振性シリコーン組成物によって達成される。
【0010】
(A)成分の前記ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、(B)成分の前記オルガノシロキサンを20〜200質量部、および(C)成分の前記無機微粒子を20〜400質量部の含有量で含むことが好ましい。
【0011】
(A)成分の前記ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、1,000〜5,000,000mm
2/sであることが好ましい。
【0012】
本発明の防振性シリコーン組成物は、さらに、(D)平均単位式:
(R
23SiO
1/2)
d(SiO
4/2)
e
(式中R
2は、それぞれ同一または異なる、置換または非置換の一価炭化水素基、水酸基、またはアルコキシ基であり、d、およびeは、d>0、e>0、d+e=1の関係を満たす数である)で表されるオルガノポリシロキサンを含むことができる。
【0013】
前記(D)成分は、平均単位式:
(R
23SiO
1/2)
d(SiO
4/2)
e
(式中R
2は、それぞれ同一または異なる、置換または非置換の一価炭化水素基、d、およびeは、d>0、e>0、d+e=1の関係を満たす数である)で表される、オルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を有するジオルガノポリシロキサンとの縮合反応混合物であることが好ましい。
【0014】
(C)成分の前記無機微粒子は、フッ化カルシウム、アルミナ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、およびチタン酸ストロンチウムからなる群から選択される一つまたは二つ以上の組み合わせからなることが好ましい。
【0015】
本発明の防振性シリコーン組成物は、振動発生機器の異音発生抑止用であってもよい。
【0016】
本発明の防振性シリコーン組成物は、自動車のディスクブレーキの鳴き音防止用であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の防振性シリコーン組成物は、長期にわたり優れた振動減衰性能を発揮し、振動を発生する機器の振動抑止や異音発生抑止に好適に使用される。例えば、ディスクブレーキなどの車両のブレーキ装置に適用した場合、優れた異音発生抑止を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に使用する(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、本発明組成物のマトリックス成分であり、後述する(B)成分および(C)成分を分散させるための媒体である。ジオルガノポリシロキサン中、ケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、およびプロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、およびブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、およびトリル基等のアリール基;ならびに3,3,3,−トリフロロプロピル基等の置換または非置換の一価炭化水素基が例示される。また、少量の水酸基、ならびにメトキシ基、およびエトキシ基等のアルコキシ基を含んでもよい。これらのケイ素原子に結合する基は同一でも異なってもよい。中でも、粘度変化の温度依存性が小さく、本発明組成物の保存安定性が良好であることから、アルキル基であることが望ましく、特にメチル基であることが好ましい。また、その分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、および環状が例示される。このような(A)成分の具体的な例としては、トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基封鎖メチルオクチルポリシロキサン、シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、およびトリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0020】
上記の一価炭化水素基上の水素原子は、1以上の置換基によって置換されていてもよく、当該置換基は、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)、水酸基、アミド基、エステル基、カルボキシル基、およびイソシアネート基からなる群から選択される。
【0021】
また、(A)成分は25℃で液状であり、25℃における動粘度が1,000〜5,000,000mm
2/sの範囲であることが好ましく、10,000〜1,000,000mm
2/sの範囲であることがさらに好ましい。25℃における動粘度が上記下限未満であると、後述する(B)成分や(C)成分を分散状態で保持することができなくなり、減衰性能が発現しにくくなる。一方、25℃における動粘度が上記上限を超えると取り扱い作業性が低下して、(B)成分や(C)成分を分散させることが困難になる。動粘度はウベローデ管を使用することで測定することができる。
【0022】
(B)成分のオルガノポリシロキサンは、後述する(C)成分とともに本発明組成物に防振特性を付与するための成分であり、平均単位式:(R
13SiO
1/2)
a(R
12SiO
2/2)
b(R
1SiO
3/2)
cで表される。式中、R
1は、同一または異なる、置換または非置換の一価炭化水素基であり、a、b、およびcは、0≦a、0≦b、0<c、a+b+c=1の関係を満たす数である。a、b、およびcは、好ましくは0.60≦c/(a+b+c)≦1.00であり、より好ましくは0.95≦c/(a+b+c)≦1.00であり、最も好ましくはa=0、b=0、c=1、すなわち(B)成分がシロキサン単位(R
1SiO
3/2)のみからなるシルセスキオキサンであることが好ましい。好ましいR
1としては、メチル基、エチル基、およびプロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、およびブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、およびトリル基等のアリール基;ならびに3,3,3,−トリフロロプロピル基等の置換または非置換の一価炭化水素基が例示され、少量の水酸基、メトキシ基、およびエトキシ基等のアルコキシ基、ならびに塩素原子などのハロゲン原子等を含んでもよい。これらの中でも、粘度変化の温度依存性が小さく、本発明組成物の保存安定性が良好であることから、アルキル基であることが望ましく、特に少なくとも50%以上がメチル基であることが好ましい。
【0023】
(B)成分は、25℃で液状であっても固体状であってもよい。(B)成分が固体状である場合は各種粉砕機で粉末状として使用することが好ましい。粉末状の(B)成分の平均粒子径は0.1〜100μmの範囲が好ましく、10〜40μmの範囲がより好ましい。平均粒子径はレーザー光回折法を用いた質量メジアン径として測定できる。またその形状としては、特に限定されないが、球状、偏平上、および不定形状が例示される。
【0024】
(B)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、2,000〜7,000の範囲内であることがより好ましく、4,000〜6,000の範囲であることがさらに好ましい。また、(B)成分は、トリアルコキシオルガノシランの加水分解物のようにゲル状に高度に架橋した樹脂の粉砕物と同様に、トルエンなどの溶剤に不溶で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いた分子量が測定できないものであってもよい。なお、(B)成分の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができ、試料濃度1質量%のトルエン溶液を用い、RI検出器を用いて、較正曲線用ポリマーとして標準ポリスチレンを使用するという標準的な方法で、ポリスチレン換算の分子量として測定できる。
【0025】
(B)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して20〜200質量部が好ましい。これは、(B)成分の配合量が20質量部未満であると、本発明の組成物の振動減衰性能が低下する傾向にあり、200質量部を超えると作業性が低下したり、ちょう度が小さくなって塗布しにくくなるからである。
【0026】
(C)成分の比重3.0以上の無機微粒子は振動を吸収し、振動減衰性能を向上させる成分である。また、その性状は通常、常温で固体粉末であるが、粉末状のまま使用されてもよく、(A)成分等のジオルガノシロキサンと予め混合したマスターバッチの形態にしてから配合されてもよい。(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して20質量部〜300質量部が好ましい。(C)成分の配合量が20質量部未満であると、本発明の組成物の振動減衰性能が低下する傾向にあり、300質量部を超えると作業性が低下したり、ちょう度が小さくなって塗布しにくくなるからである。
【0027】
好ましい(C)成分としては、フッ化カルシウム、アルミナ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、およびチタン酸ストロンチウムが例示される。(C)成分の形状は、特に限定されず、球状、麟片状、および不定形形状などであってもよい。(C)成分の平均粒子径は、特に限定されないが、取り扱い作業性や保存安定性の点から、0.1〜100μmの範囲が好ましく、10〜40μmの範囲がより好ましい。平均粒子径はレーザー光回折法を用いた質量メジアン径として測定できる。
【0028】
本発明組成物は上記(A)〜(C)成分を少なくとも含むものであるが、これらの成分に加えて、(D)平均単位式:(R
23SiO
1/2)
d(SiO
4/2)
eで表されるオルガノポリシロキサンを含むことができる。式中、R
2としては上記R
1と同様な基が例示され、最も好ましくはメチル基である。式中d、およびeはd>0、e>0、d+e=1の関係を満たす数であり、0.5≦d/e≦1.0であることが好ましく、0.6≦d/e≦0.9であることがより好ましい。
【0029】
また、(D)成分は、シロキサン単位式:(R
23SiO
1/2)
d(SiO
4/2)
eで表されるオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を有するジオルガノポリシロキサンとの縮合反応混合物であることがより好ましい。この場合、シロキサン単位式:(R
23SiO
1/2)
d(SiO
4/2)
eで表されるオルガノポリシロキサンは、分子中にケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を0.2〜5.0質量%含むことが好ましい。ケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を有するジオルガノポリシロキサンとしては、(A)成分と同様のジオルガノポリシロキサンが例示されるが、分子中に平均で1個以上のケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を有することが好ましい。水酸基およびアルコキシ基以外のケイ素原子に結合する基としては、(A)成分と同じ基であることが好ましく、中でもメチル基であることが好ましい。
【0030】
平均単位式:(R
23SiO
1/2)
d(SiO
4/2)
eで表されるオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を有するジオルガノポリシロキサンを混合、または、これらを部分縮合する際、それぞれの質量比が2:8〜8:2の範囲内であることが好ましく、3:7〜7:3の範囲内であることがより好ましい。部分縮合の方法としては、例えば、これらの成分を加熱する方法、これらの成分を水酸化カリウム、および水酸化バリウム等の塩基;アンモニア水;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等のアミン類;テトラブチルチタネート、およびテトライソブチルチタネート等のチタン化合物;オクチル錫ジアセテート等の錫化合物;あるいはヘキサメチルジシラザン等の触媒の存在下で縮合反応させる方法が挙げられる。
【0031】
また(D)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、2,000〜7,000の範囲内であることがより好ましく、4,000〜6,000の範囲であることがさらに好ましい。また、(D)成分は、トルエンなどの溶剤に不溶で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いた分子量が測定できないものであってもよい。なお、(D)成分の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができ、試料濃度1質量%のトルエン溶液を用い、RI検出器を用いて、較正曲線用ポリマーとして標準ポリスチレンを使用するという標準的な方法でポリスチレン換算の分子量として測定できる。
【0032】
(D)成分を配合することにより本発明組成物の流動性を調整することができるので、高温、高圧下での使用や垂直面への適用など使用用途に応じて適宜(D)成分を配合することができる。好ましい(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して20〜200質量部が好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。
【0033】
本発明の防振性シリコーン組成物の混和ちょう度は、200以上300以下が好ましい。混和ちょう度が200未満であると、組成物を塗布しにくくなり、混和ちょう度が300より大きいと、組成物が軟らかくなりすぎて漏出する可能性がある。
【0034】
また、本発明の防振性シリコーン組成物では、添加剤として、酸化防止剤、極圧剤、油性剤、防錆剤、腐食防止剤、金属不活性剤、染料、色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、および紫外線吸収剤等といった種々の添加剤を、使用される用途に応じて使用することもできる。
【0035】
本発明の防振性シリコーン組成物組成物を製造する方法は、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、(A)〜(C)成分およびその他の添加剤を混合することにより得ることができる。
【0036】
さらに、上記操作後に必要に応じて濾過、減圧、加圧、加熱、冷却、および不活性ガス置換等を単独、あるいは複合して行ってもよい。
【0037】
本発明の防振性シリコーン組成物は振動減衰性能に優れ、その振動減衰性能が長期間にわたり高水準に維持されるという特徴を有する。このことから、振動の伝播を除去するなどの目的で振動減衰性能が必要とされる部位のコンパウンドとして好適に使用される。例えば、自動車のディスクブレーキの音鳴き防止コンパウンドとして好適に使用できる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、表中の数値は質量部を表し、動粘度は25℃における測定値である。防振特性は以下に示すように、実機の鳴き現象の代替となる方法で減衰比を測定することにより評価した。
【0039】
(防振性シリコーン組成物の防振性評価)
防振性シリコーン組成物の防振性評価の方法を、
図1及び2を参照して説明する。JIS K−2246に規定された試験片4(材質:SPCC−SB、サイズ:厚さ1.2mm×縦60mm×横80mm、2ヶ所に直径3mmの孔を有する)を2枚用意し、1枚の片面に、100μmのスペーサ−を用いて、防振性シリコーン組成物5をアプリケーターで塗布する。その後もう一枚の試験片を載せて、測定用試験片を作製した。
図1に示すとおり、この測定用試験片を万力1で固定し、高さ155cmから1/2インチのSUJ−2鋼球2を上記測定用試験片に対して垂直方向に自由落下させ、振動ピックアップ3を介して、時間軸波形を得た。さらに得られた時間軸波形を小野測器(株)製のFFT解析ソフトDS−0221を用いてヒルベルト変換を行い、約5kHz減衰比を求めた。
図2に示すとおり、振動ピックアップ3は、測定用試験片上面の固定しない端から10mm、孔のない端から15mmの位置に取り付けた。また、鋼球の測定用試験片上での落下点2aは、測定用試験片上面で固定しない端から35mm、孔のある端から10mmの位置とした。なお、測定は25℃で行った。
【0040】
(混和ちょう度の評価)
混和ちょう度(60回)は、JIS K2220 7.に規定された方法で測定した1/2スケールでの測定結果である。
【0041】
[調製例1]
(シリコーンベースの調製)
3Lのセパラブルフラスコに、((CH
3)
3SiO
1/2)
0.72(SiO
4/2)
1.0で表されるオルガノポリシロキサンの70質量%キシレン溶液47質量部と、分子鎖両末端にケイ素原子結合水酸基を有し、粘度2200mPa・sのジメチルポリシロキサン15質量部とをキシレン38質量部に均一に混合した系に、アンモニア水を添加した。この系を40℃に保温しながら6時間撹拌した後、系内に窒素ガスを流しながら140℃で2時間加熱撹拌してアンモニアと水を除去した。その後、系内に窒素ガスを流したまま140℃で2時間加熱混合し、減圧下でキシレンを留去して、シリコーンベースを得た。
【0042】
(実施例1〜4)
ミキサーに、表1に示す(A)成分:ジメチルポリシロキサンおよび/またはシリコーンベース、ならびに(B)成分と(C)成分を投入し均一になるまで充分撹拌した後、3本ロールミルを用いてミル仕上げし、さらに混合・攪拌・脱泡を行い、防振性シリコーン組成物を得た。それぞれ得られた防振性シリコーン組成物の減衰比、および混和ちょう度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0043】
(比較例1)
ミキサーに、表1に示すジメチルポリシロキサン、分岐状オルガノポリシロキサンB、シリカおよび六方晶窒化ホウ素を投入し均一になるまで充分撹拌した後、3本ロールミルを用いてミル仕上げし、さらに混合・攪拌・脱泡を行い、シリコーン組成物を得た。得られたシリコーン組成物の減衰比、および混和ちょう度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0044】
(比較例2)
ミキサーに、表1に示すジメチルポリシロキサン、フッ化カルシウムおよび硫酸バリウムを投入し、均一になるまで充分撹拌した後、3本ロールミルを用いてミル仕上げし、さらに混合・攪拌・脱泡を行い、シリコーン組成物を得た。実施例2から分岐状オルガノポリシロキサンを除き、その分ジメチルポリシロキサンを加えた以外は実施例2と同様にして、シリコーン組成物を得た。得られたシリコーン組成物の減衰比、および混和ちょう度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0045】
(比較例3)
ミキサーに、表1に示すジメチルポリシロキサンと硫酸バリウムを投入し、均一になるまで充分撹拌した後、3本ロールミルを用いてミル仕上げし、さらに混合・攪拌・脱泡を行い、シリコーン組成物を得た。得られたシリコーン組成物の減衰比、および混和ちょう度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0046】
(比較例4)
ミキサーに、表1に示すジメチルポリシロキサンと分岐状オルガノポリシロキサンAを投入し均一になるまで充分撹拌した後、3本ロールミルを用いてミル仕上げし、さらに混合・攪拌・脱泡を行い、シリコーン組成物を得た。得られたシリコーン組成物の減衰比、および混和ちょう度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0047】
(比較例5)
ミキサーに、表1に示すジメチルポリシロキサン、分岐状オルガノポリシロキサンAと六方晶窒化ホウ素を投入し均一になるまで充分撹拌した後、3本ロールミルを用いてミル仕上げし、さらに混合・攪拌・脱泡を行い、シリコーン組成物を得た。得られたシリコーン組成物の減衰比、および混和ちょう度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0048】
(比較例6)
ミキサーに、表1に示すジメチルポリシロキサン、分岐状オルガノポリシロキサンAと炭酸カルシウムを投入し均一になるまで充分撹拌した後、3本ロールミルを用いてミル仕上げし、さらに混合・攪拌・脱泡を行い、シリコーン組成物を得た。得られたシリコーン組成物の減衰比、および混和ちょう度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
市販されているディスクパッドグリースの一つである、(株)和光ケミカル製「ブレーキプロテクター ディスクパッドグリース V−160」の減衰比を、前記防振性評価により測定したところ、0.25%であった。また、混和ちょう度(60回)は280であった。
【0051】
市販されているディスクパッドグリースの一つである、日本バーズ(株)製「ディスクブレーキグリース(カッチン音防止剤)」の減衰比を、前記防振性評価により測定したところ、0.26%であった。また、混和ちょう度(60回)は280であった。
【0052】
表1に示した各成分は、
(A)成分:ジメチルポリシロキサン(いずれも、東レ・ダウコーニング(株)製)
SH−200 Fluid 12,500CS(25℃の動粘度:12,500mm
2/s)
SH−200 Fluid 30,000CS(25℃の動粘度:30,000mm
2/s)
SH−200 Fluid 300,000CS(25℃の動粘度:300,000mm
2/s)
(B)成分
分岐状オルガノポリシロキサンA:レーザー回折散乱式粒度分布測定によるメジアン径が3μmで軟化点を有さない(CH
3)SiO
3/2で表されるシロキサン単位からなる不定形シリコーンレジン粉末。ケイ素原子結合水酸基を5質量%含有する。比重1.33。
分岐状オルガノポリシロキサンB:((CH
3)
3SiO
1/2)
0.72(SiO
4/2)
1.0で表されるシリコーンレジン粉末。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の質量平均分子量 4,600。ケイ素原子結合水酸基を約2質量%含有する。
(C)成分
フッ化カルシウム:森田化学工業(株)製、比重:3.2
硫酸バリウム:堺化学工業(株)製、BMH−100、比重:4.5
酸化亜鉛:東京化精(株)製、酸化亜鉛2級、比重:5.6
酸化マグネシウム:タテホ化学工業(株)製、タテホマグ#500、比重:3.6
シリカ:日本アエロジル工業(株)製、アエロジルR−972、比重:2.0
六方晶窒化ホウ素:電気化学工業(株)製、デンカビーエヌ HGP、比重:2.3
炭酸カルシウム:太陽化学工業(株)製、SL−101、比重:2.6
シリコーンベース:上記調製例1で調製した部分加水分解縮合物
をそれぞれ示す。