特許第6000650号(P6000650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

特許6000650擬似感圧接着剤組成物及び感圧接着シート
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000650
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】擬似感圧接着剤組成物及び感圧接着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20160923BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20160923BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20160923BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20160923BHJP
   B42D 15/02 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   C09J201/00
   C09J11/08
   C09J11/04
   C09J7/02 Z
   B42D15/02 501B
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-119343(P2012-119343)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-245273(P2013-245273A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 淳
(72)【発明者】
【氏名】甲 こころ
(72)【発明者】
【氏名】林 大嗣
(72)【発明者】
【氏名】仁尾 務
(72)【発明者】
【氏名】東 一裕
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−000879(JP,A)
【文献】 特開2001−192626(JP,A)
【文献】 特開2005−298551(JP,A)
【文献】 特開2003−145916(JP,A)
【文献】 特開平08−197837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B42D15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤基剤、充填剤、及びポリマーを含み、前記ポリマーは、25℃で5質量%の水溶液のpHが9〜12であるポリアリルアミンである、擬似感圧接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリアリルアミンは、重量平均分子量が1000〜6000である、請求項に記載の擬似感圧接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリアリルアミンの含有量は、質量比で前記接着剤基剤1に対して0.020〜0.20である、請求項1または2に記載の擬似感圧接着剤組成物。
【請求項4】
前記充填剤は、吸油量100〜300(ml/100g)のシリカである、請求項1からのいずれか1項に記載の擬似感圧接着剤組成物。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の擬似感圧接着剤組成物を含む層が形成された、感圧接着シート。
【請求項6】
擬似感圧接着剤組成物を含む層が形成された感圧接着シートの前記擬似感圧接着剤組成物を含む層に、色材及び非水系溶剤を含む非水系インクを用いてインクジェット方式で印刷を行う、印刷方法であって、
前記擬似感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、充填剤、及びポリマーを含み、前記ポリマーは、ポリアリルアミン及び/または重量平均分子量が10万未満であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドである、印刷方法。
【請求項7】
色材及び非水系溶剤を含む非水系インク用の感圧接着シートであって、
擬似感圧接着剤組成物を含む層が形成され、
前記擬似感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、充填剤、及びポリアリルアミンを含む、感圧接着シート。
【請求項8】
色材及び非水系溶剤を含む非水系インク用の感圧接着シートであって、
擬似感圧接着剤組成物を含む層が形成され、
前記擬似感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、充填剤、及び重量平均分子量が10万未満であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを含む、感圧接着シート。
【請求項9】
前記擬似感圧接着剤組成物は、ポリアリルアミンをさらに含む、請求項8に記載の感圧接着シート。
【請求項10】
前記ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの含有量は、質量比で前記接着剤基剤1に対して0.010〜0.20である、請求項8または9に記載の感圧接着シート。
【請求項11】
前記充填剤は、吸油量100〜300(ml/100g)のシリカである、請求項7から10のいずれか1項に記載の感圧接着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似感圧接着剤組成物、感圧接着シート及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧着ハガキは、通常のハガキに比べ、情報の記録面が広いため情報量を多くすることができ、また、情報の記録面を圧着するため機密性を確保することができる。さらに、ハガキであるため封書よりも郵送料等の輸送料を安くできる。そのため、個人情報などが記録された機密性の高い情報や、ダイレクトメールなどに圧着ハガキは使用されている。
【0003】
圧着ハガキとしては、擬似感圧接着剤組成物が塗工された感圧接着シートが用いられる。この感圧接着シートは、擬似感圧接着剤組成物の塗工面に印刷を行って、塗工面を内側にして折り畳み、加圧接着して使用され、その後、接着面を剥離することで印刷面を確認することができる。
【0004】
従来、天然ゴムラテックス、その変性体、合成ゴムラテックス、合成樹脂等を配合した擬似感圧接着剤組成物は、オフセット印刷機や電子写真方式のプリンターで印刷される感圧接着シートに使用されている。近年、インクジェット方式の印刷機が普及し、擬似感圧接着剤組成物が塗工された感圧接着シートに対して、インクジェット方式による印刷も適用できることが望まれる。記録体の耐水性が優れる、ノズル目詰まりが生じにくいといった特徴を有するので、インクジェット方式では不揮発性溶剤を主体とする非水系インクを用いることが望ましい。
【0005】
しかしながら、感圧接着シートへの印刷においてインクの定着性が不十分であると、剥離後に、印刷面に接着していた対向面にインクが転写されるという問題がある。また、擬似感圧接着剤組成物中の接着剤基剤とポリマーとが反応して凝集物を生成すると、組成物安定性が低下し、シート基材への組成物の塗工性が低下する問題がある。
【0006】
特許文献1では、インクジェットプリンタで親展面に印字しても優れたインク発色性を示し、耐水性が良好である圧着紙で、親展面を圧着した後に剥離しても親展面の印字が対向面に転移することのないインクジェット用圧着紙として、高pH域で電荷が零乃至負に変化するカチオン性ポリマーと、正電荷を保持しているカチオン性ポリマーとを含む接着剤組成物が塗被されたインクジェット用圧着紙が提案されている。特許文献1の実施例5及び8では、N−ヒドロキシプロピルポリエチレンイミンとポリアリルアミン塩酸塩との組み合わせの接着剤組成物が用いられている。
【0007】
特許文献2には、インクジェット記録用圧着紙に対するインクジェット染料の吸収性及び乾燥性、定着性、非転写性を高めるために、特定の物性値を有する微粒子充填剤とカチオン性樹脂とを含有する疑似接着剤の層が形成されている圧着紙が提案されている。
【0008】
特許文献2では、水溶性インクを対象としており、疑似接着剤層がカチオン性樹脂を含有することで、カチオン性樹脂が電気的にインク分子を捕捉し、インク分子を疑似接着剤層に固定する作用を利用して、インクジェットインクの定着を向上させることが提案されている。
【0009】
特許文献3には、アニオン性のインクジェット染料を利用した水溶性インクを対象として、疑似接着剤との凝集が起こらず、かつアニオン性のインクジェット染料を確実に定着させるために、疑似接着用紙における疑似接着剤に弱カチオン性のポリアミド系樹脂を用いることが提案されている。
【0010】
特許文献1から3では、水性インクを対象として、接着剤組成物中のカチオン性樹脂とインクとの相互作用を利用して、定着性を向上させることが提案されている。接着剤組成物中の樹脂との電気的な相互作用が水性インクに比べて少ない非水系インクを使用する場合では、さらなる改善が望まれる。
【0011】
さらに、特許文献1では、接着剤組成物にポリアリルアミン塩酸塩が含まれると、天然ゴムラテックス中に含まれる苛性ソーダ等の塩基性物質と中和反応してラテックスゴムが析出される問題がある。このような凝集物は、接着剤組成物の安定性を低下させ、結果として、シート基材への接着剤組成物の塗工性を低下させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−879号公報
【特許文献2】特開平11−334201号公報
【特許文献3】特開平9−71758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明の一目的としては、擬似感圧接着剤組成物の優れた安定性を得ることであり、また、擬似感圧接着剤組成物を塗工した感圧接着シートにおいて印刷画像の接着対向面への転写を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面としては、接着剤基剤、充填剤、及びポリマーを含み、前記ポリマーは、ポリアリルアミン及び/または重量平均分子量が10万未満であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドである、擬似感圧接着剤組成物を提供する。
【0015】
本発明の他の一側面としては、上記擬似感圧接着剤組成物を含む層が形成された、感圧接着シートを提供する。
【0016】
本発明のさらに他の一側面としては、上記感圧接着シートの擬似感圧接着剤組成物を含む層に、色材及び非水系溶剤を含む非水系インクを用いてインクジェット方式で印刷を行う、印刷方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、擬似感圧接着剤組成物の優れた安定性を得ることができ、また、擬似感圧接着剤組成物を塗工した感圧接着シートにおいて印刷画像の接着対向面への転写を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態による擬似感圧接着剤組成物としては、接着剤基剤、充填剤、及びポリマーを含み、ポリマーは、ポリアリルアミン及び/または重量平均分子量が10万未満であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(以下、DADMACと称することがある。)である。これによれば、擬似感圧接着剤組成物の優れた安定性を得ることができ、また、擬似感圧接着剤組成物を塗工した感圧接着シートにおいて印刷画像の接着対向面への転写を防止することができる。
【0019】
従来の感圧接着シートに使用される擬似感圧接着剤組成物では、天然ラテックスゴムとともにカチオン性樹脂を配合すると、組成物がゲル化してシートに塗工できないことがある。これに対し、本実施形態による擬似感圧接着性組成物では、上記したポリマーを用いることで、天然ゴムラテックス等の接着剤基剤のゲル化を防止することができ、また、インクの感圧接着シートへの定着性をより高めることができる。
【0020】
インクの感圧接着シートへの定着性が高いことで、感圧接着シートに印刷を行って、加圧接着し、その後に剥離した際に、印刷部分と接着していた対向面へのインクの転写を防止することができる。特に、擬似感圧接着剤組成物との電気的相互作用が水性インクに比べて少ない非水系インクを使用する場合でも、上記したポリマーによれば、インクを感圧接着シートに強固に定着させることができる。
【0021】
また、上記したポリマーを併用しても接着剤基剤及び充填剤の作用を十分に得ることができる。接着剤基剤の作用としては、擬似感圧接着剤組成物を塗工した感圧接着シートの接着性を高めることができる。充填剤の作用としては、擬似感圧接着剤組成物を塗工した感圧接着シートの剥離性を高めるとともに、画像濃度を高めることができる。
【0022】
ポリマーとしては、ポリアリルアミン及び重量平均分子量が10万未満であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを単独で、または組み合わせて用いることができる。
【0023】
ポリアリルアミンとしては、下記式で表される化合物である。
【0024】
【化1】
【0025】
上記式において、nは正の整数である。
【0026】
ポリマーがポリアリルアミンである場合、擬似感圧接着剤組成物のpHが、25℃で9〜12であることが好ましく、より好ましくは10〜11である。これによって、ポリアリルアミンと接着剤基剤とをともに用いた場合に、接着剤基剤の種類によらず、組成物中に凝集物が生成することを防止することができ、優れた組成物安定性を得ることができる。また、組成物安定性を保ちながら、質量比で接着剤基剤1に対し0.020以上のポリアリルアミンを含むことができ、擬似感圧接着剤組成物を塗工した感圧接着シートにおいて印刷画像の接着対向面への転写をより防止することができる。
【0027】
ポリアリルアミンの含有量は、質量比で接着剤基剤1に対し0.020以上であることが好ましく、より好ましくは0.022以上であり、さらに好ましくは0.024以上である。ポリアリルアミンがこの範囲で含まれることで、感圧接着シートに対するインクの定着性が向上して、印刷画像が接着対向面に転写することをより防止することができる。
【0028】
また、ポリアリルアミンの含有量は、粘度上昇を防止し、また、凝集物の発生を防止する観点から、質量比で接着剤基剤1に対し0.20以下であり、より好ましくは0.10以下であり、さらに好ましくは0.080以下である。
【0029】
ポリアリルアミンは、25℃で5質量%の水溶液のpHが9〜12であることが好ましく、より好ましくは10〜11である。これによって、接着剤基剤と混合した場合に、凝集物の生成を防止して、より良好な組成物安定性を得ることができる。
【0030】
ポリアリルアミンは、重量平均分子量が1000〜6000であることが好ましく、より好ましくは1600〜5000である。ポリアリルアミンの重量平均分子量が低いことで、擬似感圧接着剤組成物の粘度上昇を防止して、良好な組成物安定性を得ることができ、また、ポリアリルアミンの溶解性が高まり、擬似感圧接着剤組成物の調整時間を短縮することができる。また、ポリアリルアミンの重量平均分子量が1000以上であることで、塗工層の強度を高めることができる。
【0031】
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとしては、重量平均分子量が10万未満であり、より好ましくは5万以下であり、さらに好ましくは1万以下である。重量平均分子量が10万未満であることで、凝集物の生成を防止して、より良好な組成物安定性を得ることができる。
【0032】
一方、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの重量平均分子量は、非転写性を確保する観点から、1000以上であることが好ましい。
【0033】
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの含有量は、質量比で接着剤基剤1に対し0.010以上であることが好ましく、より好ましくは0.015以上であり、さらに好ましくは0.018以上である。ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドがこの範囲で含まれることで、感圧接着シートに対するインクの定着性が向上して、印刷画像が接着対向面に転写することをより防止することができる。
【0034】
また、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドは、粘度上昇を防止し、また、凝集物の発生を防止する観点から、質量比で接着剤基剤1に対し0.20以下であり、より好ましくは0.11以下であり、さらに好ましくは0.080以下である。
【0035】
ポリマーとしてポリアリルアミン及び重量平均分子量が10万未満のDADMACを組み合わせて用いる場合、その合計量としては、質量比で接着剤基剤1に対し0.010〜0.20であることが好ましく、より好ましくは0.010〜0.10であることが好ましく、より好ましくは0.020〜0.080である。また、この場合、ポリアリルアミンとDADMACは、適宜質量比を調整して組み合わせることができる。
【0036】
接着剤基剤としては、通常では接着せず、加圧によって接着可能になるものであればよく、天然ゴム、合成ゴム及び合成樹脂等のいずれであってもよく、好ましくは天然ゴムである。
【0037】
天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムを主成分とする天然ゴムラテックス、グラフト化ラテックス、酸性ラテックス、解重合ラテックス、加硫ラテックス等の天然ゴムを変性した変性ゴムを主成分とする変性ラテックスを挙げることができ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。好ましくは、天然ゴムラテックスである。
【0038】
充填剤は、接着剤基剤の接着性を減少させて剥離性を付与する作用がある。充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス粉末、スターチ(小麦でんぷん)、シラスバルーン、ゼオライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、活性白土等を挙げることができ、これらは単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。
【0039】
好ましくはシリカであり、より好ましくは吸油量100〜300(ml/100g)のシリカであり、さらに好ましくは吸油量130〜250(ml/100g)のシリカである。ここで、吸油量は、JIS顔料試験方法(JIS5101)に従って求めることができる。このようなシリカを用いることで、適度な接着性を得るとともに、感圧接着シート上で非水系インクの溶剤を吸収して、インクドットの広がりを防止して、画像濃度を向上させることができる。
【0040】
充填剤の平均粒子径としては、1.0〜20μmであることが好ましく、より好ましくは4.0〜15μmである。
【0041】
充填剤の含有量は、質量比で接着剤基剤1に対し0.5〜3.0であり、好ましくは0.5〜2.0である。これによって、適切な剥離強度が得られる。充填剤が適量で配合されることで、感圧接着シートを適度に接着させて剥離することができ、また、インクの感圧接着シート内部への浸透を防止し、画像濃度の低下を防止することができる。一方、充填剤が過剰に配合されると、接着性が低下することがあるため好ましくない。
【0042】
擬似感圧接着剤組成物は、水系溶媒であることが好ましく、より好ましくは溶媒は水である。水としては、蒸留水やイオン交換水等の不純物の少ない純水を用いることが好ましい。
【0043】
擬似感圧接着剤組成物は、固形分量が5.0〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。
【0044】
擬似感圧接着剤組成物中に充填剤等を安定に分散させるために、高分子分散剤や界面活性剤に代表される公知の分散剤を使用することが好ましい。
【0045】
高分子分散剤としては、たとえば市販品として、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000)、ジョンソンポリマー株式会社製のジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、62、63、71、501)、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドンK−30、K−90等が挙げられる。
【0046】
界面活性剤としては、たとえば、花王株式会社製デモールシリーズ(デモールN、RN、NL、RNL、T−45、EP)などのアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲンA−60、A−90、A−500、B−40、L−40、420)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの分散剤は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0047】
分散剤の含有量は、上記充填剤等を十分に溶剤中に分散可能な量であれば足り、適宜設定することができる。
【0048】
擬似感圧接着剤組成物には、さらに、上記したポリマー以外のその他のポリマーとして水溶性高分子を添加してもよい。水溶性高分子は、増粘剤として作用する。水溶性高分子は、その機能を発揮するとともに本発明の効果を損なわないように、組成物全体に対し0.1〜10質量%であることが好ましい。水溶性高分子としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子を用いることができる。
【0049】
天然高分子としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガントガム、コーンスターチ、コンニャクマンナン、寒天等の植物系天然高分子;プルラン、キサンタンガム、デキストリン等の微生物系天然高分子;ゼラチン、カゼイン、にかわ等の動物系天然高分子を用いることができる。
【0050】
半合成高分子としては、例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系半合成高分子;ヒドロキシエチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、シクロデキストリン等のデンプン系半合成高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸系半合成高分子;ヒアルロン酸ナトリウム等を用いることができる。
【0051】
合成高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリクロトン酸、ポリイタコン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−イタコン酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−スルホン酸系モノマー共重合体、アクリル酸−ビニルピロリドン共重合体、無水マレイン酸−アルキルビニルエーテル共重合体等の不飽和カルボン酸系合成高分子;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリN−ビニルアセトアミド等のビニル系合成高分子;ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリウレタン等を用いることができる。
これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
擬似感圧接着剤組成物には、さらに、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を配合してもよい。水溶性有機溶剤は、その機能を発揮するとともに本発明の効果を損なわないように、組成物全体に対し1.0〜20質量%であることが好ましい。
【0053】
水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、などのグリコール類、グリセリン、グリセリン、アセチン類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体、トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオグリコール、スルホランなどを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
擬似感圧接着剤組成物には、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を含ませることができる。具体的には、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(界面活性剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を含ませることができる。
【0055】
本実施形態による擬似感圧接着剤組成物としては、例えば接着剤基剤、充填剤及びポリマーを含む全成分を一括または分割して投入して分散させることにより調製できる。接着剤基剤及びポリマーは、エマルション形態のものを使用してもよい。
【0056】
擬似感圧接着剤組成物の粘度としては、特に制限されず、23℃において10〜150mPa・sの範囲で調整することができ、より好ましくは10〜100mPa・sであり、一層好ましくは10〜90mPa・sである。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
【0057】
本発明の一実施形態による感圧接着シートとしては、上記した擬似感圧接着剤組成物によって形成された層を有する、感圧接着シートである。これによれば、印刷画像の接着対向面への転写を防止することができる。
【0058】
感圧接着シートの製造方法としては、シート基材に、上記した擬似感圧接着剤組成物を塗工し、その後に乾燥することで製造することができる。
感圧接着シートを折り畳んで、または2枚の感圧接着シートを貼り合わせて、接着するために、感圧接着シートの対向する面の一方面または両面に、擬似感圧接着剤組成物を塗工することができる。また、感圧接着シートをZ型に折り畳んで接着する場合には、折り畳んだ状態で対向する面の一方面または両面に擬似感圧接着剤組成物を塗工すればよい。
【0059】
塗工方法としては、例えば、刷毛、ローラー、バーコーター、ブレードコーター、ダイコーター、ロールコーター等を使用して、シート基材の表面全面に塗工してもよく、または、インクジェット印刷およびグラビア印刷等の印刷方法によって塗工してもよい。
乾燥方法としては、擬似感圧接着剤組成物中の水及び揮発成分が除去されればよく、温度及び湿度を調整して、任意の時間で乾燥を行うことができる。
【0060】
擬似感圧接着剤組成物は、組成物中の固形分量が1.0〜15g/mとなるようにシート基材に塗布することが好ましく、より好ましくは1.0〜10g/mである。
【0061】
感圧接着シートのシート基材は、特に制限されず、普通紙、上質紙、マット紙等の従来の材料の中から適宜選択することができる。例えば、本実施形態による感圧接着シートを圧着ハガキとして用いるために、ハガキに適したシート基材を用いることができる。
【0062】
本発明の一実施形態による印刷方法としては、上記した感圧接着シートの擬似感圧接着剤組成物を含む層に、色材及び非水系溶剤を含む非水系インクを用いてインクジェット方式で印刷を行う印刷方法である。これによれば、印刷画像の接着対向面への転写を防止することができる。
【0063】
本実施形態によるインクジェット方式は、インクジェットプリンタを用いて行うことができる。インクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェットプリンタを用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
【0064】
感圧接着シートの印刷領域としては、擬似感圧接着剤組成物を含む層の全面または一部分であってもよく、複数個所であってもよい。
【0065】
感圧接着シートの接着方法としては、感圧接着シートの塗工面に印刷を行ってから、塗工面を内側にして折り畳み、折り畳んだ感圧接着シートの片側または両側から任意に圧力を加えて、接着させることができる。その後、感圧接着シートの接着面を剥離することで、印刷面を確認することができる。
【0066】
本実施形態による感圧接着シートによれば、接着面の剥離強度が、接着後24時間で、T型剥離試験(JISK6854)による剥離強度が40〜100(gf/25mm)であり、良好な接着性を得ることができる。
【0067】
非水系インクとしては、色材及び非水系溶剤を含み、適宜その他添加剤を含むことができる。色材としては、顔料、染料またはこれらの組み合わせを用いることができる。非水系インクは、水を実質的に含まないインクであり、好ましくは、水分量が5質量%以下のインクである。
【0068】
顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
【0069】
顔料の平均粒径は、分散性と保存安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500により測定された値である。
【0070】
インク中の顔料の含有量は、通常0.01〜20重量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から3〜15重量%であることが好ましい。
【0071】
顔料を使用する場合には顔料分散剤を配合することができる。配合される顔料分散剤は、特に限定されず、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであればよい。たとえば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が好適に使用され、そのうち、高分子分散剤の使用が好ましい。これらは単独で用いられるほか、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0072】
インク中の顔料分散剤の配合量は、適宜設定できるが、顔料分散性の観点から、重量比で、顔料1部に対し0.05〜1.0部程度であることが好ましく、0.1〜0.7部であることがより好ましい。インク総量に対しては、顔料分散剤は、0.5〜10重量%程度含まれていることが好ましく、1〜5重量%であることが一層好ましい。
【0073】
染料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、アジン系等の油溶性染料を用いることができる。これらの染料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
【0074】
非水系溶剤とは、非極性有機溶剤および極性有機溶剤であって、50%留出点が150℃以上の溶剤をいう。50%留出点は、JIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定される、重量で50%の溶剤が揮発したときの温度を意味する。
【0075】
たとえば、非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、たとえば、日本石油(株)製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」、Exxon社製「Isopar(アイソパー)G、Isopar H、Isopar L、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D130、Exxsol D140」等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日本石油(株)製「日石クリーンソルG」(アルキルベンゼン)、Exxon社製「ソルベッソ200」等を好ましく挙げることができる。
【0076】
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤、およびこれらの混合溶剤を用いることができる。たとえば、炭素数8〜20の高級脂肪酸と炭素数1〜24のアルコールとのエステルであるエステル系溶剤、炭素数8〜24の高級アルコール、および炭素数8〜20の高級脂肪酸からなる群から選ばれた1種以上を好ましく使用できる。
【0077】
極性有機溶剤としてより具体的には、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノールなどのアルコール系溶剤;ノナン酸、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸系溶剤;ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、が好ましく挙げられる。
【0078】
以上の各成分に加え、インクには、必要に応じて、各種添加剤を含ませることができる。具体的には、消泡剤、表面張力低下剤等として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤をインクに含有させることができる。
【0079】
非水系インクは、例えばビーズミル等の分散機に全成分を一括または分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより調製することができる。例えば、予め非水系溶剤の一部と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
【0080】
非水系インクの粘度は、インクジェット印刷方式に用いるために、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが最も適している。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の説明において、「%」は「質量%」である。
【0082】
(擬似感圧接着剤組成物の調整)
表1及び表2に、各実施例及び比較例の擬似感圧接着剤組成物の処方を示す。表1及び表2に示す各成分をそれぞれの割合で混合して、各擬似感圧接着剤組成物を調整した。
【0083】
得られた組成物の25℃でのpHを、株式会社堀場製作所製「コンパクトpHメーターB−212」を用いて測定した。また、天然ゴムラテックス1に対するシリカの質量比、及び天然ゴムラテックス1に対するポリマー成分(ここで、ポリマー成分は、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、DADMAC及びポリアミド・エピクロルヒドリンである)の質量比を求めた。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
表1及び表2に示す成分は次の通りである。
シリカA:吸油量250(ml/100g)、「ゲルタイプシリカBS−510J」、エボニックデグサジャパン株式会社製
シリカB:吸油量130(ml/100g)、「沈降タイプシリカP−527」、水澤化学工業株式会社製
天然ゴムラテックス:「サイビノールE」、固形分54%、サイデン化学株式会社製
ポリアリルアミンA:固形分15%の水溶液、pH10〜11、重量平均分子量(Mw)1600、「PAA−01」、ニットーボーメディカル株式会社製
ポリアリルアミンB:固形分20%の水溶液、pH10〜11、重量平均分子量(Mw)3000、「PAA−03」、ニットーボーメディカル株式会社製
ポリアリルアミンC:固形分20%の水溶液、pH10〜11、重量平均分子量(Mw)5000、「PAA−05」、ニットーボーメディカル株式会社製
ポリアリルアミン塩酸塩A:固形分40%の水溶液、pH2〜3、重量平均分子量(Mw)3000、「PAA−HCL−03」、ニットーボーメディカル株式会社製
ポリアリルアミン塩酸塩B:固形分40%の水溶液、pH2〜3、重量平均分子量(Mw)5000、「PAA−HCL−05」、ニットーボーメディカル株式会社製
DADMAC(A):ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、固形分35%、pH6.0、重量平均分子量(Mw)10万未満、「ユニセンスFPA101L」、センカ株式会社製
DADMAC(B):ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、固形分18%、pH7.0、重量平均分子量(Mw)50万以上、「ユニセンスFPA1002L」、センカ株式会社製
ポリアミド・エピクロルヒドリン:固形分25%、pH3.5、「WS−4020」、星光PMC株式会社製
ポリビニルアルコール:「JMR−10M」、日本酢ビ・ポバール株式会社製
分散剤:固形分量25%、「デモールEP」、花王株式会社製
スターチ:小麦でんぷん、和光純薬工業株式会社製
上記ポリマー成分のpHは、25℃で、5質量%の水溶液のものを株式会社堀場製作所製「コンパクトpHメーターB−212」を用いて測定した。
【0087】
(評価)
次に、各実施例及び比較例の擬似感圧接着剤組成物について、組成物安定性、非転写性、接着力及び画像濃度を評価した。評価結果を表1及び表2に併せて示す。
【0088】
<感圧接着シートの作製>
バーコーターを用いて、210cm×297cmの普通紙(理想科学工業株式会社製「理想用紙IJ」、秤量60g/m)の片面全面に、各実施例及び比較例の擬似感圧接着剤組成物を塗工し、温度23℃、湿度50%下で室温乾燥し24時間で調湿し、感圧接着シートを作製した。組成物の塗工量が乾燥重量で6g/mとなるように塗工した。
【0089】
<組成物安定性>
各実施例及び比較例の擬似感圧接着剤組成物について、調整後24時間後に、組成物中に凝集物があるか否かを目視で観察するとともに、粘度を測定し、以下の基準で評価した。評価基準A及びBでは組成物をシートへ塗工することが可能であったが、評価基準Cでは組成物をシートに塗工することができなかった。
【0090】
インク粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける粘度であり、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製レオメータAR−G2(コーン角度2°、直径40mm)で測定した。
【0091】
A:組成物中に凝集物なし。組成物の粘度が23℃で95mPas未満である
B:組成物中に凝集物なし。組成物の粘度が23℃で95mPa・s以上である。
C:組成物が凝集あり。
【0092】
<非転写性>
上記した各実施例及び比較例の擬似感圧接着剤組成物が塗布された感圧接着シートの塗工面に印刷を行った。印刷は、インクジェットプリンタ「ORHPIS X9050」(理想科学工業株式会社製)にインクジェットインク「RISO XインクFシリーズ」(理想科学工業株式会社製)を装填し、感圧接着シートの塗工面に2cm×2cmの黒ベタ画像を解像度300×300dpi、吐出量18plで印刷し、印刷物を得た。
【0093】
印刷直後に、メールシーラー(トッパンフォームズ株式会社製「PRESSLE multi II」)を用いて、得られた印刷物を塗工面を内側にし印刷部分が印刷をしていない部分に対向するように折り畳み、ロールギャップ16で加圧接着し、温度23℃、湿度50%の環境下で24時間放置した。
【0094】
その後、感圧接着シートを剥離し、印刷部分の対向面の画像濃度、及び印刷をしていない塗工面の画像濃度をX−Rite社製「i1i0(アイワン・アイオー)」を用いて数値化した。印刷部分の対向面の画像濃度と印刷をしていない塗工面の画像濃度との差(ΔO.D.値)から、以下の基準で非転写性を評価した。
A:ΔO.D.値が0.06未満
B:ΔO.D.値が0.06以上
【0095】
<接着性>
上記した各実施例及び比較例の擬似感圧接着剤組成物を塗工した感圧接着シートを幅25mm、長さ100mmに裁断した。メールシーラー(トッパンフォームズ株式会社製「PRESSLE multi II」)を用いて、感圧接着シートを塗工面を向かい合わせて折り畳み、ロールギャップ16で加圧接着した。24時間後、T型剥離試験(JISK6854)を行い、測定値から以下の基準で評価した。評価基準B−1では、剥離強度が高く、感圧接着シートの剥離が困難であった。評価基準B−2では、剥離強度が低く、感圧接着シートの圧着が不十分であった。
A:40〜100(gf/25mm)
B−1:100〜300(gf/25mm)
B−2:40(gf/25mm)未満
【0096】
<画像濃度>
上記非転写性の評価と同様に印刷物を得た。得られた印刷物の印刷部分の画像濃度(O.D.値)をX−Rite社製「i1i0(アイワン・アイオー)」を用いて測定し、以下の基準で評価した。
A:O.D.が0.70以上
B:O.D.が0.60以上、0.70未満
C:O.D.が0.60未満
D:測定不可能(インクがシートに吸収されず画像濃度を測定できなかった。)
【0097】
表1及び表2に示すとおり、各実施例では、組成物安定性、接着性、非転写性及び画像濃度がいずれも良好であった。
【0098】
比較例1では、シリカが含まれず、剥離強度が高く剥離性が低下し、また、インクの吸収性が低下して非転写性が低下して画像濃度は測定できなかった。比較例2では、ラテックスが含まれず、剥離強度が不十分であり感圧接着シートを接着できなかった。比較例3では、ポリアリルアミン及び重量平均分子量が10万未満のDADMACが含まれず、インクの非転写性が低下した。比較例4、5及び7では、ポリアリルアミン塩酸塩またはポリアミド・エピクロルヒドリンを含み、組成物安定性が低下して、塗工ができなかった。比較例6では、DADMACの重量平均分子量が10万以上であり、組成物安定性が低下して、塗工ができなかった。