特許第6000721号(P6000721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000721
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】成形配線板用の電気接続具
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20160923BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20160923BHJP
【FI】
   H01R13/631
   H01R12/91
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-168273(P2012-168273)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-26909(P2014-26909A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115142
【氏名又は名称】ユニオンマシナリ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076093
【弁理士】
【氏名又は名称】藤吉 繁
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】柏木 仁
(72)【発明者】
【氏名】萩原 昭生
(72)【発明者】
【氏名】佐野 永
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武司
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−129453(JP,A)
【文献】 特開2011−060732(JP,A)
【文献】 特表2003−504824(JP,A)
【文献】 特許第4100357(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横方向の誤差を吸収するフローティング機構を介して電気的に接続された上下一対の接続用端子を有するフローティングコネクターと、中間部分において閉塞された外筒内に、その軸芯と平行に複数の接続用端子が位置せしめられている外部接続コネクターとからなり、外殻によって覆われた空間内に配置された成形配線板の接続用端子に、前記フローティングコネクターの下部の接続用端子を嵌合させると共に、外殻にあけられた貫通孔を通って、下部部分が外殻内の空間に挿入された外部接続コネクターの接続用端子の下部嵌合部をフローティングコネクター上部の接続用端子に嵌合させることにより、フローティングコネクターと外部接続コネクターを介して外殻によって覆われた空間内に配置された成形配線板と該空間外に配置された機器とを電気的に接続出来る様にしたことを特徴とする成形配線板用の電気接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は成形配線板用の電気接続具、詳しくは、外殻に覆われた空間内に配置された成形配線板と該空間外に配置されている各種電気機器とを電気的に接続する為に用いる電気接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の変速機やエンジンあるいは各種産業機械など、外殻によって覆われた空間内に配置された電気制御部においては、組立性の改善による原価低減化を図る為、従来のハーネスに代えて、所望の回路が形成された金属配線をプラスチックモールドへ固定した成形配線板を用いることが多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】なし
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合、成形配線板には、外部の電気機器との間での電気信号の授受の為、外部接続用のコネクターが接続されているのが普通であるが、自動車の変速機などの外殻によって覆われた空間内においては、成形配線板は鋳造部品などの適当な構造物に固定されており、該空間を覆う外殻などに取付けられている外部接続用のコネクターとの間で取付け誤差が生じることは避けられず、取付け誤差が生じても成形配線板と外部接続用コネクターの電気的接続が安定的に保持される様に何らかの対策を必要としていた。
【0006】
本発明者は、自動車の変速機内などの外殻によって覆われた空間内に成形配線板を設置する場合の上記問題点を解決せんとして鋭意研究を行った結果、該空間内に設置された成形配線板と外部の電気機器との接続の際に、取付け誤差が生じたとしても、高い信頼性で接続を維持出来、取付け作業も容易な電気接続具を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
縦横方向の誤差を吸収するフローティング機構を介して電気的に接続された上下一対の接続用端子を有するフローティングコネクターと、中間部分において閉塞された外筒内に、その軸芯と平行に複数の接続用端子が位置せしめられている外部接続コネクターとからなり、外殻によって覆われた空間内に配置された成形配線板の接続用端子に、前記フローティングコネクターの下部の接続用端子を嵌合させると共に、外殻にあけられた貫通孔を通って、下部部分が外殻内の空間に挿入された外部接続コネクターの接続用端子の下部嵌合部をフローティングコネクター上部の接続用端子に嵌合させることにより、フローティングコネクターと外部接続コネクターを介して外殻によって覆われた空間内に配置された成形配線板と該空間外に配置された機器とを電気的に接続出来る様にして、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
自動車の変速機や各種産業機械などの外殻によって覆われた空間内の鋳造部品などの内部構造物に固定された成形配線板の接続用端子にはフローティングコネクターの下部の接続用端子が嵌合されており、フローティングコネクターの上部の接続用端子は空間を覆う外殻から挿入された外部接続コネクターに接続されているので、成形配線板はこのフローティングコネクターを介して外部接続コネクターに電気的に接続されていることになる。そして、フローティングコネクターには縦横方向の誤差を吸収する作用があるので、成形配線板が固定されている内部構造物と外部接続コネクターとの間で相対的な位置のズレ、つまり取付け誤差が生じたとしても、そのズレはフローティングコネクターが吸収し、成形配線板と外部接続コネクターとの電気的接続は常に安定的に保持される。従って、外部接続コネクターに接続される外部の機器との間での電気的接続も常に安定的に保持される。
この際、フローティングコネクターの上部の接続用端子とこれに嵌合される外部接続コネクターの接続用端子の下部嵌合部の寸法を共通化しておけば、外部接続コネクターを必要に応じて垂直タイプ、水平タイプどちらにすることも簡単に出来、多彩なバリエーション展開が可能となる。
【0009】
この様に、この発明に係る成形配線板用の電気接続具を用いた場合、成形配線板と外部接続コネクターの相対的位置にズレが生じるおそれのある自動車の変速機やエンジン内などにも成形配線板を簡単に設置することが可能となり、組立性にすぐれた成形配線板の利用範囲をより一層拡大させることが可能で、原価コストの低減化に寄与し得る効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明に係る成形配線板用の電気接続具の実施例1の断面図。
図2】配線板本体5にフローティングコネクター9が嵌合されている状態の斜視図。
図3】この発明の構成要素の一つであるフローティングコネクター9の斜視図。
図4】同じく、その正面図。
図5】同じく、その側面図。
図6】フローティングコネクター9にこの発明の構成要素の一つである外部接続コネクター12を嵌合した状態の斜視図。
図7図6に示した状態の縦断面図。
図8】同じく、他の方向から見たその縦断面図。
図9】この発明の構成要素の一つである外部接続コネクターの縦断面図。
図10】同じく、他の方向から見たその縦断面図。
図11】水平タイプの外部接続コネクターを用いた状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基板にコネクターを実装する際に生じる縦横方向の誤差(ズレ)を吸収するフローティング機構をもったフローティングコネクターと外部接続コネクターとを介して、外殻によって覆われた空間内の成形配線板と空間外に配置された機器とを電気的に接続する様にしたことに最大の特徴が存する。
【実施例1】
【0012】
図1は、この発明に係る成形配線板用の電気接続具の実施例1の断面図である。
図1において、1は自動車の変速機やエンジンあるいは各種産業機械などの内部に形成されている空間を表し、この空間1は外殻2に覆われており、その内部には鋳造部品などからなる内部構造物3が位置している。
【0013】
又、4は成形配線板であり、この実施例における成形配線板4は、所望の回路が形成された金属配線が固定されている配線板本体5を、周縁が垂直に立ち上がった箱形をなした絶縁性を有する合成樹脂製のケース11に収容し、該ケース11の上面を合成樹脂製の蓋材6で覆ったものである。そして、この配線板本体5に形成されている回路の端末には、上方に向かって接続用端子7が植設されており、蓋材6のこの接触用端子7の植設箇所に対応する部分は刳り抜かれて、貫通孔8が形成されており、蓋材6の上方から接続用端子7に直接アクセス出来る様になっている。
【0014】
そして、この接続用端子7にはこの発明に係る電気接続具の構成要素の一つであるフロ
ーティングコネクター9の下部の接続用端子18が嵌合されており、図2に示す様に、フローティングコネクター9のロケーター10は、配線板本体5に固定されている。なお、フローティングコネクター9とは、縦横方向の誤差を吸収する機構、つまりフローティング機構を搭載したコネクターのことであり、図3図4図5図6に示す通り、この実施例に係るフローティングコネクター9は、インシュレーター16及びその下部に位置したロケーター10とから構成されており、ロケーター10には接続用端子18及び縦横方向のズレを吸収するフローティング機構19が設けられており、インシュレーター16にはフローティング機構19を介して接続用端子18と電気的に接続された接続用端子21が設けられているが、これらは既存のフローティングコネクターと基本的に同じである。
なお、図4及び図5中20は外部接続コネクター12に固定する為、インシュレーター16の上端に形成されたペグである。
更に、図中21はこの発明に係る電気接続具のもう一つの構成要素である外部接続コネクターであり、図9図10に示す様に、中間部分において閉塞された外筒14内に、その軸芯と平行に複数の接続用端子13が位置せしめられており、この接続用端子13の上部は外筒14内の上部空間に露出しており、上部嵌合部23と、その下部は外筒14内の下部空間に露出しており、下部嵌合部22となっている。
そして図7及び図8に示す様に、フローティングコネクター9の上部に形成されている接続用端子21には、外部接続コネクター12の接続用端子13の下部嵌合部22が嵌合されている。なお、この外部接続コネクター12には、接続用端子13の上部嵌合部23が垂直に植設されている図6図9図10に示す様な垂直タイプと接続用端子13の上部嵌合部23が水平方向を向く様に屈曲せしめられている図11に示す様な水平タイプとが存在するが、フローティングコネクター9に接続する外部接続コネクター12はどちらのタイプでも良い。
【0015】
又、外部接続コネクター12には接続用端子13を囲う様に外筒14が設けられているが、この外筒14の基部15は蓋材6の貫通孔8の周縁にぴったりと嵌り込み、貫通孔8を通ってケース11内に金属粉などの異物(コンタミネーション)が侵入することを防いでいる。
【0016】
この実施例は、上記の通りの構成を有するものであり、自動車の変速機や各種産業機械などの外殻によって覆われた空間1内の鋳造部品などの内部構造物3に固定された成形配線板4の接続用端子7にはフローティングコネクター9の下部の接続用端子18が嵌合されており、このフローティングコネクター9の上部の接続用端子21は空間1を覆う外殻2から挿入された外部接続コネクター12の接続用端子13の下部嵌合部22嵌合されているので、成形配線板4はこのフローティングコネクター9を介して外部接続コネクター12に電気的に接続されていることになる。そして、フローティングコネクター9には縦横方向の誤差を吸収する作用があるので、成形配線板4が固定されている内部構造物3と外部接続コネクター12とに間で相対的な位置のズレ、つまり取付け誤差が生じたとしても、そのズレはフローティングコネクター9が吸収し、成形配線板4と外部接続コネクター12との電気的接続は常に安定的に保持される。従って、外部接続コネクター12の上部嵌合部23に接続される外部の機器との間での電気的接続も常に安定的に保持される
この際、フローティングコネクター9の上部の接続用端子21とこれに嵌合される外部接続コネクター12の接続用端子13下部嵌合部22の寸法を共通化しておけば、外部接続コネクター12を必要に応じて垂直タイプ、水平タイプどちらにすることも簡単に出来、多彩なバリエーション展開が可能となる。
【0017】
更に、成形配線板4は、ケース11内に収容されており、外部接続コネクター12には外筒14が設けられているので、自動車の変速機の内部など油が流れている環境下においても、成形配線板4は油の流れている部分とは適度な距離が保たれ、金属粉などの異物の混入による短絡等の問題が発生する危険も少ない。
【0018】
この様に、この発明に係る成形配線板用の電気接続具を用いた場合、成形配線板と外部接続コネクターの相対的位置にズレが生じるおそれのある自動車の変速機やエンジン内などにも、ハーネスに代わり、組立性にすぐれた成形配線板を簡単に設置することが可能となり、その利用範囲を拡大させ、原価コストの低減化に寄与し得る効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
自動車の変速機やエンジン内だけでなく、各種産業機器など広範囲にわたる電気的接続
に用いることができる。
【符号の説明】
【0020】
1.空間
2.外殻
3.内部構造物
4.成形配線板
5.配線板本体
6.蓋材
7.接続用端子
8.貫通孔
9.フローティングコネクター
10.ロケーター
11.ケース
12.外部接続コネクター
13.接続用端子
14.外筒
15.基部
16.インシュレーター
18.接続用端子
19.フローティング機構
20.ペグ
21.接続用端子
22.下部嵌合部
23.上部嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11