【実施例1】
【0017】
図1はこの発明に係る成形配線板ユニットの実施例1の斜視図、
図3は成形配線板ユニ
ットを各構成要素に分解して描いた分解斜視図である。
【0018】
図中1は、この発明に係る成形配線板ユニットの構成要素の一つである配線箱であり、アッパーカバー2及びロアーカバー3とからなり、上下面4及び側面5によって囲われた中空のボックス状を呈しており、その内部空間には板状をなしたインナーモールド6が上下に空隙が形成される様に間隔をあけて水平に収容されている。
そして、アッパーカバー2の天井面及びインナーモールド6の裏面には、所望の回路を形成する金属配線7,8が固定されている。
又、
図5に示す様に、金属配線7,8の側縁には、一対の固定用爪18,18が一体的に形成されており、これら固定用爪18,18をアッパーカバー2及びインナーモールド6に圧入することにより、この金属配線7,8はアッパーカバー2の天井面及びインナーモールド6の裏面に確実に固定されている。
【0019】
なお、この実施例においては、アッパーカバー2とロアーカバー3との間にインナーモールド6を介在させて、金属配線7,8を2層に分けて配設したが、インナーモールド6を設けずに、アッパーカバー2の天井面だけに金属配線7を配設したり、インナーモールド6を2個以上にして、金属配線を3層以上に配設しても良く、回路構成、用途、設置箇所などの要求に応じて適宜変更して良いことはもちろんである。
【0020】
又、金属配線7,8には、
図5に示す様に、その回路途中に屈曲した誤差吸収部19が形成されており、金属配線7,8に伸縮性を持たせることにより、金属配線7,8自体にフローティング機能を付与している。更に、金属配線7,8の端末あるいは途中には、外部の機器と接続する為の外部入出力の端子20が上向きに立設又は下向きに垂設されており、これら外部入出力用の端子20にはフローティングコネクター10、14又は24のロケーター側の端子が嵌合されている。
【0021】
なお、フローティングコネクターとは、縦横方向の誤差を吸収する機構、つまりフローティング機構を搭載した電気接続具のことであり、フローティングコネクター10はインシュレーター11の下部にロケーター12が位置した縦形のものであり、インシュレーター11の上部には外部接続用端子21を有する外部接続部29が取付けられており、その下部には縦横方向のズレを吸収するフローティング機構13が設けられている。なお、インシュレーター11及びロケーター12の構成は既存のフローティングコネクターのものと基本的に同じである。
一方、フローティングコネクター14は横形のものであり、横長の柱状を呈した外部接続部29を兼ねたインシュレーター15の長手方向一端にロケーター16が設けられものであり、インシュレーター15のロケーター16寄りにはフローティング機構13が設けられており、ロケーター16の上面には、金属配線7,8の外部入出力用の端子20を挿入してロケーター16内部に位置している端子に嵌合させる為の挿入孔17が形成されている。
又、図中24もフローティングコネクターであり、前述のフローティングコネクター10とは逆に、外部接続部29を兼ねたインシュレーター15の上部にロケーター12が位置した倒立タイプのものであり、
図2に示す様にロアーカバー3に形成された貫通孔22を通して下方から外部機器の端子を嵌合接続する様になっている。
又、これらフローティングコネクター10,14,24の外部接続部29はいずれも配線箱1の上下面4あるいは側面5から外部に露出しており、外部の接続コネクター(図示省略)と接続できる様になっている。
【0022】
なお、この実施例においては、縦形のフローティングコネクター10、横形のフローティングコネクター14、倒立形のフローティングコネクター24の3種のフローティングコネクターを用いたが、必ずしもこれらすべて用いる必要はなく、回路構成、用途、設置
箇所などに応じて適宜選択すれば良いことはもちろんである。
【0023】
この発明は上述の通りの構成を有するものであり、自動車のエンジンや変速機、あるいは各種産業機械など、外殻によって覆われた空間内の鋳造部品などの内部構造物に配線箱1を固定することにより、該空間内に位置せしめ、配線箱1の上下面4や側面5から外部に露出しているフローティングコネクター10,14,24の外部接続部29に外部の機器から延設されたコネクターを挿入して、両者の電気的接続を行うものである。つまり、配線箱1内の金属配線7,8の端子9はフローティングコネクター10,14,24を介して外部のコネクターと結合されるので、配線箱1が固定されている空間内の内部構造物と外部のコネクターが支持されている外殻との間で、取付け誤差が生じたとしても、そのズレはフローティングコネクター10のフローティング機構13が吸収し、両者の結合関係は確実に保持される。従って、外部のコネクター側にはズレ(誤差)を吸収する為の何らかの対策を別途施す必要はなく、外部のコネクターをそのままフローティングコネクター10の外側に露出している外部接続部29に嵌合させるだけで、簡単に結合作業を行うことが出来、組立作業に関するコストを低減化することが可能で、組立作業の信頼性も向上する。
又、金属配線7,8はアッパーカバー2の天井面やインナーモールド6の裏面に固定されているので、変速機など外殻によって覆われた空間内において、配線箱1内に油が侵入したとしても、油中に浮遊している金属粉などの金属異物(コンタミネーション)が金属配線7,8に沈殿付着することはほとんどなく、金属異物の付着により電気接続の安定化が阻害される恐れもない。
【0024】
更に、配線箱1内の金属配線7,8には屈曲した誤差吸収部19が形成されており、フローティング機能が付与されているので、これによっても取付誤差の許容範囲は拡大され、良好な組立性がもたらされ、組立作業が容易になり、組立不良発生の危険性も減らすことが出来る。
【0025】
しかも、外部のコネクターと接続されるフローティンコネクター10,14,24の外部接続部29を標準化することでバリエーション展開が容易となり、成形配線板の利用範囲をより一層拡大させることが可能となる。