特許第6000723号(P6000723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000723
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】研磨用キャリア
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/28 20120101AFI20160923BHJP
   H01L 41/18 20060101ALI20160923BHJP
   H01L 41/337 20130101ALI20160923BHJP
【FI】
   B24B37/04 U
   H01L41/18 101A
   H01L41/337
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-169798(P2012-169798)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-28411(P2014-28411A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104722
【氏名又は名称】京セラクリスタルデバイス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安達 美好
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−161560(JP,A)
【文献】 特開2005−125445(JP,A)
【文献】 実開昭57−013150(JP,U)
【文献】 特開2009−178780(JP,A)
【文献】 特開2003−291061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/28
H01L 21/304
H01L 41/18
H01L 41/337
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハがはめ合う複数の素子収納用孔が設けられた円形状の薄板と、
前記薄板の周縁に設けられた歯とを備え、
前記素子収納用孔が、前記ウエハがはめ合う長方形状を有しており、
前記素子収納用孔は、前記素子収納用孔の2つの短辺の中心が前記薄板の半径を通るように配置されており、
前記ウエハは、前記ウエハが前記素子収納用孔にはめ合わされたときに、前記ウエハの2つの短辺の中心が前記薄板の半径を通るように配置されており、
前記素子収納用孔が、部分的に前記薄板の縁から中心に向けて2列に配置されており、
隣接する前記素子収納用孔の間に、前記素子収納用孔より小さい孔が形成されている
ことを特徴とする研磨用キャリア。
【請求項2】
前記素子収納用孔の四隅が、前記素子収納用孔の外側の方向へ広がる空隙領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨用キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスに用いられる圧電基板を研磨する際に用いられる研磨用キャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧電デバイスに用いられる圧電基板は、例えば水晶が用いられている。この圧電基板は、ATカットのウエハの主面に電極を設けて厚みすべり振動モードで用いられる。このような圧電基板は、周波数安定性で優れているため広く用いられている。この圧電基板は、アズグロウンの結晶体を水晶の結晶軸に沿って機械加工され(以下、「ランバート」という。)、次にランバートを平板状に切断してウエハを形成する。このウエハを研磨機で研磨することにより圧電基板が出来上がる。また、厚みすべり振動の周波数は、おおむねウエハの厚み寸法で決まる。
【0003】
図5に示すように、水晶の結晶軸は、それぞれと直行するX軸、Y軸、Z軸を有している。また、ウエハは、水晶の結晶軸におけるX軸に平行で水晶の結晶軸におけるZ軸から所望の角度(以下、「カット角」という。)に切断されることにより所望の周波数温度特性を得ている。また、ウエハは、水晶の結晶軸におけるX軸方向が長辺方向となるように切り出されている。
【0004】
研磨機は、円盤中心が円形状に貫通した上定盤と、上定盤と同一の形状を有した下定盤と、下定盤の外周より大きく形成されたインターナルギアと、下定盤の内径より小さく形成されたセンターギアとを有している。また、研磨用キャリアは、複数の素子収納用孔が設けられた円形状の薄板と、薄板の周縁に設けられた歯とを備えている。また、研磨機は、上定盤と下定盤との間に研磨用キャリアを挟み込み、液状の研磨剤を加えながら上定盤と下定盤とを相反する方向に回転させるとともに、下定盤の回転が研磨用キャリアの周縁に設けられた歯に伝わることにより研磨用キャリアも自転をしながら下定盤の円周面に沿った形で公転する(特許文献1参照)。また、複数の素子収納用孔は、多角形状を有しており、複数の素子収納用孔には、平板状に切断されたウエハが収納される。このような、研磨機によるウエハの研磨は、液状の研磨剤を加えながら上定盤と下定盤とを相反する方向に回転させるとともに、下定盤の回転が研磨用キャリアの周縁に設けられた歯に伝わることにより研磨用キャリアも自転をしながら下定盤の円周面に沿った形で公転することとなる。よって、ウエハは、所望の厚さに研磨される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−080453号公報
【0006】
【特許文献2】特開平6−278015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一枚のウエハにおいて、研磨用キャリアの中心に近い側のウエハの端部と研磨用キャリアの縁に近い側のウエハの端部とでは研磨される量が異なっていた。また、研磨用キャリアの複数の素子収納用孔形状が多角形であるため、ウエハは、研磨される面を上定盤と下定盤の方向に向けて、素子収納用孔形状に沿ってさまざまな方向を向いた状態で収納される。そのため、例えばウエハの2つの長辺の中心が研磨用キャリアの薄板の半径を通る方向を向いた状態に収納された場合、研磨用キャリアの中心に近い側のウエハの端部と研磨用キャリアの縁に近い側のウエハの端部とでは研磨される量に違いがあるため、ウエハの側面視においてウエハの短辺方向の両端部の厚みに差が出てしまう。そのため、ウエハの短辺方向の厚みが斜めに研磨されることになり、ウエハのカット角が変化して所望の周波数温度特性のバラツキを生じさせる要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の研磨用キャリアは、ウエハがはめ合う複数の素子収納用孔が設けられた円形状の薄板と、薄板の周縁に設けられた歯とを備え、素子収納用孔が、前記ウエハがはめ合う長方形状を有しており、素子収納用孔は、素子収納用孔の2つの短辺の中心が薄板の半径を通るように配置されており、ウエハは、ウエハが素子収納用孔にはめ合わされたときに、ウエハの2つの短辺の中心が薄板の半径を通るように配置されており、素子収納用孔が、部分的に薄板の縁から中心に向けて2列に配置されており、隣接する素子収納用孔の間に、素子収納用孔より小さい孔が形成されている。
【0010】
また、本発明の研磨用キャリアは、素子収納用孔の四隅に、素子収納用孔の外側の方向へ広がる空隙領域が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の研磨用キャリアは、複数の素子収納用孔の形状が長方形状を有しており、複数の素子収納用孔の2つの短辺の中心が、薄板の半径を通るように配置されている。これにより、ウエハは、ウエハの2つの短辺の中心が、薄板の半径を通る方向を向いた状態で素子収納用孔に収納されることとなる。また、ウエハは、研磨用キャリアの中心に近い側の端部と研磨用キャリアの縁に近い側の端部とでは研磨される量に違いがあるため、ウエハの側面においてウエハの長辺方向の両端部の厚みに差が出て、厚みが斜めに研磨される。つまり、ウエハは、周波数温度特性に影響をおよぼす短辺方向の厚みが斜めに研磨されない。よって、ウエハのカット角が変化することが低減され、所望の周波数温度特性のバラツキも低減される。
【0012】
また、本発明の研磨用キャリアは、隣接する素子収納用孔の間に、素子収納用孔より小さい孔が形成されることにより、上定盤および下定盤に接する面積が減る。したがって、研磨用キャリアは、研磨用キャリアにかかる摩擦が低減され、自転および公転がしやすくなる。よって、研磨用キャリアは、平坦かつ歪の無い状態を維持しやすくなり、ウエハの研磨バラツキが低減される。
【0013】
また、本発明の研磨用キャリアは、素子収納用孔の四隅に、素子収納用孔の外側の方向へ広がる空隙領域が形成されていることにより、研磨されるウエハの角部が素子収納用孔の外周壁面に当たることがなくなる。よって、ウエハの角部が損傷する危険性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の第1の実施形態における研磨用キャリアを示す平面図であり、(b)は(a)の素子収納用孔にウエハが収納された状態を示す概念図である。
図2】研磨機の一部を示す概念図である。
図3】本発明の第2の実施形態における研磨用キャリアを示す平面図である。
図4】(a)は本発明の第3の実施形態における研磨用キャリアを示す平面図であり、(b)は(a)のA部の拡大図である。
図5】水晶の結晶軸を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、同一要素には同一の符号を付し重複する説明を省略する。また、構成を明確にするために誇張して図示している。
【0016】
(第1の実施形態)
図1(a)に示されているように、本発明の実施形態における研磨用キャリア100は、複数の素子収納用孔20が設けられた円形状の薄板10と、薄板10の周縁に設けられた歯11とを備えて構成されている。また、図1(b)に示されているように、複数の素子収納用孔20は、長方形状を有しており、複数の素子収納用孔20の2つの短辺の中心が薄板10の半径Rを通るように配置されている。また、図2に示されているように、研磨機は、円盤中心が円形状に抜かれた上定盤40と、上定盤40と同一の形状を有した下定盤50と、下定盤50の外周より大きく形成されたインターナルギア60と、下定盤50の内径より小さく形成されたセンターギア70とを有している。また、研磨機によるウエハ30の研磨は、下定盤50に研磨用キャリア100を載せ、研磨用キャリア100に設けられた複数の素子収納用孔20にウエハ30を収納した状態で、上定盤40を下定盤50に載せられた研磨用キャリア100に覆いかぶせるように配置され、液状の研磨剤80を上定盤40と下定盤50の間に加えながら回転させることにより行う。
【0017】
薄板10は、例えば炭素鋼(SK材)などの金属製円形状の平板よりなり、ウエハ30を所望の周波数に研磨する厚さに形成されている。なお、薄板10の主面は、ウエハ30を所望の周波数に研磨するために平坦かつ歪の無い状態に形成されている。また、薄板10は、薄板10の周縁に歯11が設けられている。
【0018】
薄板10の周縁に設けられた歯11は、インターナルギア60とセンターギア70に噛み合うことにより、薄膜10を自転させるとともに公転させられている。
【0019】
複数の素子収納用孔20は、例えば薄板10をプレス加工することにより貫通孔が設けられており、ウエハ30の形状とはめ合う長方形状に形成されている。また、素子収納用孔20は、薄板10の中心より放射状に設けられており、複数の素子収納用孔20の2つの短辺の中心が薄板10の半径Rを通るように配置されている。なお、複数の素子収納用孔20は、部分的に薄板10の縁から中心に向けて2列に配置されている。また、素子収納用孔20の角部は、それぞれ面取り加工が施されている。
【0020】
ウエハ30は、例えば水晶よりなり、ランバートを平板状に切断することにより得られる。また、厚みすべり振動の周波数は、おおむねウエハ30の厚み寸法で決まる。またウエハ30は、所望のカット角に切断されることにより所望の周波数温度特性を得ている。また、ウエハ30は、水晶の結晶軸におけるX軸方向が長辺方向となるように切り出されている。
【0021】
本発明の実施形態における研磨用キャリア100における複数の素子収納用孔20は、ウエハ30の形状とはめ合う長方形状を有しており、複数の素子収納用孔20の2つの短辺の中心が、薄板10の半径Rを通るように配置されている。そのため、ウエハ30は、ウエハ30の2つの短辺の中心が、薄板10の半径Rを通る方向を向いた状態に収納されることとなり、ウエハ30の長辺方向の厚みが斜め状態に研磨されるが、周波数温度特性に影響をおよぼすウエハ30の短辺方向の厚みは斜め状態に研磨されない。よって、ウエハ30のカット角が変化することが低減され、所望の周波数温度特性のバラツキも低減される。
【0022】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における研磨用キャリア100について図3を参照して説明する。本発明の第2の実施形態における研磨用キャリア100において、第1の実施形態における研磨用キャリア100と異なる構成は、隣接する素子収納用孔20の間に、素子収納用孔20より小さい孔22が形成されていることである。その他の構成については、第1の実施形態における研磨用キャリア100と同様である。
【0023】
孔22は、例えば薄板10を円形状に貫通しており、隣接する素子収納用孔20の間に位置している。また、孔22は、上定盤40と下定盤50との摩擦を軽減するため孔22の角部を面取り加工している。また、例えば孔22は、隣接する素子収納用孔20の間に位置し、さらに薄板10の縁から中心に向けて2列に配置されている。
【0024】
本発明の実施形態に示された研磨用キャリア100において、隣接する素子収納用孔20の間に、素子収納用孔20より小さい孔22が形成されていることにより、薄板10が、上定盤40と下定盤50とに接する面積が減ることになる。したがって、薄板10にかかる摩擦が低減され、薄板10の自転および公転がしやすくなる。よって、薄板10は、余分な力がかからず平坦かつ歪の無い状態を維持しやすくなり、ウエハ30の研磨によるバラツキが低減されるとともに、周波数特性のバラツキも低減される。
【0025】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態における研磨用キャリア100について図4(a)および図4(b)を参照して説明する。本発明の第1の実施形態および第2の実施形態における研磨用キャリア100において、第1の実施形態および第2の実施形態における研磨用キャリア100と異なる構成は、複数の素子収納用孔20の四隅が角でなく、素子収納用孔20の外側の方向へ広がる空隙領域21が形成されていることである。その他の構成については、第1の実施形態および第2の実施形態における研磨用キャリア100と同様である。
【0026】
空隙領域21は、複数の素子収納用孔20の四隅の角が、素子収納用孔の外側の方向へ円形状に貫通されており、摩擦を軽減するため空隙領域21の角部を面取り加工している。また、例えば、平面視において素子収納用孔20の対角線の交点側を内側とすると、空隙領域21は、長辺と短辺が交差する角の外側の方向へ広がる位置に設けられている。
【0027】
本発明の実施形態に示された研磨用キャリア100において、素子収納用孔20の形状が、ウエハ30の形状とはめ合う長方形状を有しておりかつ、素子収納用孔20の四隅が角でなく素子収納用孔20の外側の方向へ広がる空隙領域21が形成されていれば、ウエハ30を研磨する際にウエハ30の角部が素子収納用孔20の外周壁面に当たることがなくなり、ウエハ30の角部が損傷する危険性が低減される。
【0028】
また、隣接する素子収納用孔20の間に、素子収納用孔20より小さい孔22が形成されることにより、薄板10が上定盤40および下定盤50に接する面積が減ることになる。したがって、薄板10自体にかかる摩擦が低減され、薄板10の自転および公転がしやすくなる。よって、薄板10は、平坦かつ歪の無い状態を維持しやすくなり、ウエハ30の研磨によるバラツキが低減されるとともに、周波数特性のバラツキも低減される。
【0029】
なお、本発明はこれに限定されず、適宜変更可能である。
【0030】
例えば、第1の実施形態の変形例として、研磨用キャリア100における複数の素子収納用孔20の位置は、薄板10の中心より縁に向かってらせん状に配置されていてもよい。また、例えば、研磨用キャリア100における複数の素子収納用孔20の位置は、薄板10の中心より放射状に設けられかつ、薄板10の縁から中心に向けて1列に配置されていてもよい。
【0031】
また、例えば、第2の実施形態の変形例として、素子収納用孔20より小さい孔22の位置は、隣接する素子収納用孔20の間に位置しかつ、薄板10の縁から中心に向けて1列に配置されていてもよい。また、例えば、素子収納用孔20より小さい孔22は、三角形状、四角形状、多角形状であってもよい。また、例えば、素子収納用孔20より小さい孔22は、網の目のように形成されていてもよい。
【0032】
また、例えば、第3の実施形態の変形例として、素子収納用孔20の外側の方向へ広がる空隙領域21は、三角形状、四角形状、多角形状であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 研磨用キャリア
10 薄板
11 歯
20 素子収納用孔
21 空隙領域
22 孔
30 ウエハ
40 上定盤
50 下定盤
60 インターナルギア
70 センターギア
80 研磨剤
図1
図2
図3
図4
図5