特許第6000760号(P6000760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000760
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】排紙装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/34 20060101AFI20160923BHJP
【FI】
   B65H31/34
【請求項の数】1
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-191107(P2012-191107)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-47019(P2014-47019A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】下田 智彦
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−091747(JP,U)
【文献】 特開2008−026393(JP,A)
【文献】 特開平10−218383(JP,A)
【文献】 特開2009−001354(JP,A)
【文献】 特開2006−124157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00−31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出された用紙を積載する紙受台と、
前記紙受台に向けて排出された用紙の幅方向位置を規制する一対のサイドフェンスと、
を備え、
前記サイドフェンスの用紙積載側である内側には、用紙落下時に用紙幅方向端を当接させることで用紙幅方向位置を揃えるリブ状の突起部が上下方向に沿って形成され
前記突起部は、用紙排出方向上流側のサイドフェンス部分に少なくとも1本形成され、
用紙排出方向下流側のサイドフェンス部分の内側には、前記突起部と面一の平面が形成されていることを特徴とする排紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出された排紙の積載位置を排紙の搬送方向に対して前後方向にオフセットさせることで、排紙を区分けして積載させる排紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットプリンタ、孔版印刷装置、レーザプリンタなどの印刷装置や、複写機などを用いて用紙上に画像を形成できる画像形成装置では、大量の用紙に対して印刷や複写などを行っている。この種の排紙装置の一例として、大量の用紙を整然と揃えて積載することができる排紙装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された排紙装置では、ここでの図示を省略するが、用紙排出方向に間隔を離して互いに対向する突き当てガイド板と止めガイド板とによる一対のガイド板と、排出された用紙の位置を用紙幅方向から規制する一対のサイドフェンスと、を備えて大量の用紙を整然と積載することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−109808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、環境の違いによって排出する用紙の状態が変化すると、排出後の用紙の落下挙動が安定せず、このため、排紙する際に用紙に損傷が生じることや、排紙の積載状態が乱れて整列性が悪化することなどが懸念される。
【0006】
具体的には、高温多湿環境(例えば温度30℃で湿度70%以下)の下で、坪量が小さく、かつ小サイズの用紙(例えば、坪量が60g/m未満のB5サイズの用紙)では、落下時のサイドフェンスとの接触抵抗が大きくかつ左右(用紙幅方向両側)のバランスを均等に保つことが困難なため、用紙がサイドフェンスに寄りかかり、用紙に損傷が生じる不具合や、積層状態が乱れて用紙の整列性が良くないという不具合が生じ易い。
【0007】
また、低温低湿環境(例えば温度10℃で湿度40%以下)の下で、坪量が小さく、かつ小サイズの用紙(例えば、坪量が60g/m未満のB5サイズの用紙)では、落下時のサイドフェンスとの接触抵抗が大きいことに加え、落下用紙とサイドフェンスとの接触面積が大きいため、若干の排出用紙の帯電(例えば10kV程度)により片側のサイドフェンスに引き寄せられてしまい、この結果、用紙がサイドフェンスに寄りかかり、用紙に損傷が生じる不具合や、積層状態が乱れて整列性が良くないという不具合が生じ易い。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、環境に影響されることなく良好な排紙性能が得られる排紙装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る排紙装置の第1の特徴は、排出された用紙を積載する紙受台と、前記紙受台に向けて排出された用紙の幅方向位置を規制する一対のサイドフェンスと、を備え、前記サイドフェンスの用紙積載側である内側には、用紙落下時に用紙幅方向端を当接させることで用紙幅方向位置を揃えるリブ状の突起部が上下方向に沿って形成されていることにある。
【0010】
本発明に係る排紙装置の第2の特徴は、前記突起部は、用紙排出方向上流側のサイドフェンス部分に少なくとも1本形成され、用紙排出方向下流側のサイドフェンス部分の内側には、前記突起部と面一の平面が形成されていることにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る排紙装置の第1の特徴によれば、用紙落下時に用紙幅方向端が突起部に当接して用紙の幅方向位置が揃えられるので、湿度などの環境に影響されることなく良好な排紙性能が得られる。また、用紙落下時に用紙幅方向端がサイドフェンスの平面に当接して揃えられる場合に比べ、用紙落下速度が速いので、次の排紙を早い段階で送り出すことができ、単位時間あたりの排出枚数を多くすることができる。
【0012】
本発明に係る排紙装置の第2の特徴によれば、用紙排出方向上流側のサイドフェンス部分では、用紙排出方向下流側のサイドフェンス部分に比べ、用紙落下速度が速いので、用紙後端側の幅方向位置の揃えを安定して行うことができる。また、用紙排出方向下流側のサイドフェンス部分の内側には、突起部と面一の平面が形成されているので、用紙先端側の用紙幅方向端が該平面に当接することにより、単位時間あたりの排出枚数を維持しつつ用紙先端側が回転変位すること(用紙先端側が排出方向からずれた方向を向くこと)を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の排紙装置の要部を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の排紙装置の要部を示す側面断面図である。
図3図3(a)は、本発明の一実施形態の排紙装置で、用紙幅方向規制板に用紙が接触していることを説明する部分平面図であり、図3(b)は、図3(a)の部分拡大図である。
図4図4(a)および(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の排紙装置を構成するオフセットガイド板移動機構部の動作毎の斜視図である。
図5図5(a)および(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の排紙装置を構成するオフセットガイド板移動機構部で、オフセットガイド板が待機位置に位置していることを説明する側面図、および、オフセットガイド板がオフセット位置に位置していることを説明する側面図である。
図6】本発明の一実施形態の排紙装置を構成するエンドフェンス板移動機構部の斜視図である。
図7図7(a)および(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の排紙装置を構成するエンドフェンス板移動機構部の構成を示す背面図である。
図8】本発明の一実施形態の排紙装置の制御部を説明するブロック図である。
図9図9(a)〜(j)は本発明の一実施形態の排紙装置の動作を説明する模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図面は模式的なものであり、寸法比などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法比などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための例示であって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0016】
また、以下の説明では、用紙としてどのサイズの用紙であっても適用可能である。また、以下の実施の形態では、例えば孔版印刷やインクジェットで印刷するが、他の手法で印刷してもよく、本発明では印刷形式は特に限定されない。
【0017】
また、以下の説明では、原則として、「左」「右」とは、図1に示すように、用紙が排出されてくる側から見て(すなわち用紙排出方向とは逆方向から見て)左あるいは右であることを意味し、「前」「後」とは、用紙排出方向に対して前あるいは後であることを意味する。
【0018】
図1および図2は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)に係る排紙装置の要部(用紙区分け装置)を示す斜視図および側面断面図である。本実施形態に係る排紙装置8は、インクジェットプリンタ、孔版印刷装置、レーザプリンタなどの印刷装置や、複写機などを用いて用紙P上に画像を形成できる画像形成装置(図示せず)に適用可能であり、本実施形態では画像形成装置の用紙排出部側に設置されている。
【0019】
排紙装置8を構成する用紙区分け装置1は、画像形成装置(図示せず)から排出された用紙(排紙)Pをこの用紙Pの搬送方向に沿って順次排出する排出部10と、排出部10から順次排出された用紙Pを紙受台21上に向って落下させて積載すると共にこの紙受台21を用紙Pの積載量に応じて上下方向に昇降させる紙受台昇降機構部20と、紙受台21上に積載された用紙Pの幅方向を規制する左右一対の用紙幅方向規制板(サイドフェンス)31,32と、用紙幅方向規制板31、32を用紙サイズに応じて用紙Pの搬送方向と直交する方向に移動させる用紙幅方向規制板移動機構部30とを備えている。更に、用紙区分け装置1は、オフセットガイド板移動機構部50およびエンドフェンス板移動機構部80を備えている。
【0020】
オフセットガイド板移動機構部50は、オフセットガイド板52(ガイドフェンス)と後述する第1用紙突き当て部材53(図4)とを一体的に用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ前方下方又は後方上方に移動させるようになっている。この構成により、用紙Pの搬送方向の上流側で紙受台21の上面21eよりも上方に第1ブラケット51を介して垂設されたオフセットガイド板52により、用紙区分け時に紙受台21上に積載される用紙Pの搬送方向の後端部側をオフセットさせることが可能になっている。
【0021】
エンドフェンス板移動機構部80は、エンドフェンス板82と後述する第2用紙突き当て部材97(図6)とを一体的に用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ前方又は後方に移動させ、且つ、第2用紙突き当て部材97を後述する上動用駆動手段93(図6)を用いて上動させるようになっている。そして、エンドフェンス板82がオフセット位置に到達した場合、第2用紙突き当て部材97を自重によって重力方向に下動させるようになっている。この構成により、用紙Pの搬送方向の下流側でオフセットガイド板52と間隔を離して対向して紙受台21の上面21eよりも上方に第2ブラケット81を介して垂設されたエンドフェンス板82により用紙区分け時に紙受台21上に積載される用紙Pの搬送方向の前端側(先端側)をオフセットさせることが可能になっている。
【0022】
また、排紙装置1は、これらの構成要素を制御する制御部100を備えている。この制御部100の設置位置は特に限定せず、画像形成装置の制御部と一体的に設けられていてもよいし、排紙装置8全体を制御する制御部と一体的に設けられていてもよい。更には、用紙区分け装置1内の適宜な位置に設置することも可能である。
【0023】
ここで、紙受台21は、略水平な姿勢で上下方向に昇降しているために、この紙受台21上に積載される用紙Pは、用紙Pの幅方向の左右を規制する左右一対の用紙幅方向規制板31,32と、用紙Pの搬送方向の上流側に設置されて用紙Pの搬送方向の後端部を規制するオフセットガイド板52と、用紙Pの搬送方向の下流側に設置されて用紙Pの搬送方向の前端部を規制するエンドフェンス板82とによる合計4枚の板で周囲を囲まれた状態で用紙区分け処理を行うように構成されており、各板31,32,52,82は紙受台21に対して分離して取り付けられている。以下、用紙区分け装置1内の各部について順を追って具体的に説明する。
【0024】
(排出部)
排出部10は、用紙区分け装置1の後側板2の上方部位に取り付けられている。この排出部10では、画像形成装置から排出された用紙Pを搬送する2組の上下左右一対の用紙搬送ローラ組11,11と、排紙位置近傍の排紙ローラ12とが用紙ガイド板13に沿って設置されている。
【0025】
また、用紙ガイド板13の左右側には、金属材からなり前後の側面が三角状に形成された左右一対の第1の用紙腰付けウイング部材5L,5Rと、金属材からなり前後の側面が台形状に形成された左右一対の第2の用紙腰付けウイング部材6L,6Rとが、用紙排出方向と直交する用紙幅方向に沿って内側から外側に向ってそれぞれ左右対称に設置されている。
【0026】
これらの第1の用紙腰付けウイング部材5L,5R及び第2の用紙腰付けウイング部材6L,6Rは、左右に形成した各傾斜面がそれぞれ連接するように形成されて、不図示の駆動機構によりそれぞれ別々に上下動可能になっており、用紙Pの種類による剛性に応じて各用紙腰付けウイング部材の傾斜面の上下方向の高さを左右対称に変えることで、用紙Pへの腰付け量を可変設定できるようになっている。従って、種々の用紙に対し、排出する上で好ましい腰付け量を用紙Pに与えて排出できる構成になっている。
【0027】
なお、本実施形態では、用紙Pの排紙位置を正確に確保するために排出部10を用紙区分け装置1側に設置したが、これに限ることなく、排出部10と略同じ構成部材を画像形成装置側に設置して、画像形成装置から用紙Pを順次排紙する構成でも良い。
【0028】
(紙受台昇降機構部)
紙受台昇降機構部20には、用紙区分け装置1の後側板2とこの後側板2と間隔を離して対向した前側板3との間に、紙受台21が略水平に配置されていると共に、紙受台21の右側面(図示せず)の側に紙受台21を昇降させる駆動機構が設置されている。
【0029】
上記した紙受台21は、用紙Pの搬送方向の下流側に位置する前面21aと、用紙Pの搬送方向の上流側に位置する後面21bと、左側面21cと、左側面に平行な右側面とに囲まれて平面視矩形状に形成されている。
【0030】
また、紙受台21は、左側面21cと右側面との間の略中央部位に用紙排出方向に平行で平坦な上面21eを形成する底中央部材21pと、左側面21c、右側面から上記略中央部位に向けて延びるように配列され、用紙Pに対して適正な形状に腰付けするための傾斜面21f,21gを上面側にそれぞれ有する楔状の底腰付け部材21q、21rと、を有する。底腰付け部材21q、21rの上面は、左側面21c、右側面に向って高さが徐々に高くなるように傾斜している。
【0031】
そして、紙受台21の上面21e及び左右の傾斜面21f,21g上にA3サイズ,A4サイズなどのいずれか1種類の用紙Pが4000枚程度大量に積載可能になっているので、紙受台21の昇降量は400mm〜500mm程度に設定されている。
【0032】
また、紙受台21の右側面の側に、一対のブラケット22,23が前後方向に間隔を離して前後対称に垂直に取り付けらており、且つ、一対のブラケット22,23間の上下に補強用の連結棒24、(24…図示せず)が横架されている。
【0033】
また、後方のブラケット23にステッピングモータ25が取り付けられており、このステッピングモータ25の回転を不図示のギア列を介してシャフト26の一端に取り付けた一方のギア(27…図示せず)に伝達していると共に、このシャフト26が一対のブラケット22,23間で上下の連結棒24、(24)間に横架されており、更に、シャフト26の他端に他方のギア27が取り付けられている。
【0034】
更に、一方のギア(27)及び他方のギア27は、一対のブラケット22,23の側方に垂設された一対のラック(28…図示せず),28に噛合している。
【0035】
そして、ステッピングモータ25を作動して、ラック(28),28に沿ってギア(27),27を正転又は逆転させると、一対のブラケット22,23と一体に紙受台21が上下方向に昇降動するようになっている。
【0036】
また、図2に示したように、用紙区分け装置1の後側板2と、この後側板2と間隔を離して対向した前側板3には、用紙高さ位置検出用光センサ29を構成する発光部29aと受光部29bとを対向させて取り付けられている。この用紙高さ位置検出用光センサ29は、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面21eの高さ位置、又は、紙受台21の上面21e上に積載された用紙Pのうちで最上層の用紙Pの高さ位置を検出している。
【0037】
そして、排出部10(又は画像形成装置)から順次排紙される用紙Pが紙受台21上に落下するときに、用紙Pが排紙される排紙位置と、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面21e、又は、紙受台21の上面21e上に積載された最上層の用紙Pとの間に設定される用紙落下高さHが略一定になるように、制御部100は、用紙高さ位置検出用光センサ29からの検出結果によりステッピングモータ25を介して紙受台21を用紙Pの積載量に応じて所定の用紙高さ位置に至るように昇降させている。これにより、排出部10(又は画像形成装置)から排出された用紙Pの用紙落下高さHは一定であり、用紙が正常な姿勢を保って紙受台21上に積載され易くされている。
【0038】
なお、一対のラック(28…図示せず),28の下方部位には、紙受台21上に用紙Pが満載されて紙受台21が最下降位置に至ったことを検出するための用紙満載検出用光センサ(図示せず)が設置されている。
【0039】
(用紙幅方向規制板および用紙幅方向規制板移動機構部)
図1図3に示すように、排紙装置8には、左右一対の用紙幅方向規制板31,32が紙受台21内の左右で間隔を離して互いに対向して垂直に配置されていると共に、用紙幅方向規制板31,32の各上方に、用紙Pの幅に応じて左右一対の用紙幅方向規制板31、32を左右に移動させる用紙幅方向規制板移動機構部30が設置されている。
【0040】
用紙幅方向規制板31、32は対称形状とされているので、以下、用紙幅方向規制板の構成として、適宜に用紙幅方向規制板31を説明しつつ用紙幅方向規制板32を詳細に説明し、用紙幅方向規制板31の詳細説明を省略する。
【0041】
用紙幅方向規制板32は、枠部35備えている。この枠部35には、上下方向に延びて枠上部と枠下部とに連続する複数本の連続部32a〜dが配置されており、隣り合う連続部の各間には、窓Wが形成されている。そして、各連続部32a〜dの下端からは延出し部Fが下方に延び出している。延出し部Fの用紙排出方向の幅、および、延出し部F同士の間隔は、隣り合う底腰付け部材21rの間を通過可能なように設定されており、各延出し部Fが枠部35から下方に突出していて櫛歯状になっている。
【0042】
そして、用紙幅方向規制板32には、連続部32a〜dおよび延出し部Fのうち用紙積載側である内側に、上下方向に沿って突出するリブが形成されている。本実施形態では、このリブとして、用紙受入口側に近い用紙幅方向規制板部分(用紙排出方向上流側の用紙幅方向規制板部分)にリブLa、Lbが所定間隔を隔てて並んで合計2本並設されており、用紙受入口側とは遠い用紙幅方向規制板部分(用紙排出方向下流側の用紙幅方向規制板部分)の内側では、リブは形成されずにリブLa、Lbと面一の平面Sが形成されている。ここで、所定間隔とは、窓Wを隔てた間隔のことであり、リブLa、Lbは、何れも、用紙幅方向規制板32の用紙排出方向中央位置よりも用紙受入口側に位置している。また、「上下方向に沿って」とは、用紙幅方向端PEがリブLa、Lbに当接しつつ用紙Pが落下する上で支障がない程度に、上下方向に対しやや傾斜しているものも含む概念である。
【0043】
図3(b)に示すように、リブLa、Lbは、何れも、用紙排出方向Uに平行な用紙幅方向端PEに対して緩やかな角度をなして接する形状にされている。具体的には、リブLa、Lbの頭頂部Ltから用紙受入口側のリブ端Lkまでを形成するリブ縁Leは、用紙排出方向Uに対して緩やかな角度θをなしている。ここで緩やかな角度とは、用紙が排出される際にリブLa、Lbへの衝突が緩和され、用紙へのダメージを回避して用紙の動作を安定させることが可能な角度である。
【0044】
また、延出し部Fの下部には、上下動可能でかつ用紙幅方向規制板32の用紙幅方向外側へ回動可能な下端部材Bが吊り下げられている。
【0045】
一方、用紙幅方向規制板移動機構部30は、用紙区分け装置1の上方を覆う天板(図示せず)に取り付けられている。即ち、不図示の天板に第1モータブラケット33を介して第1モータ34が正逆転可能に取り付けられている。
【0046】
そして、第1モータ34の回転が第1ギア列(図示せず)を介して右側の第1タイミングプーリ36に伝達されている。更に、右側の第1タイミングプーリ36と、第1タイミングプーリ36とは間隔を離して対向して左側の用紙幅方向規制板31の上方に取り付けられた左側の第2タイミングプーリ37と、の間に第1タイミングベルト38が掛け渡されている。左右の第2,第1タイミングプーリ37,36間には、第1タイミングベルト38を挟んだ前後に2本の第1,第2ガイドシャフト39,40が掛け渡されている。
【0047】
また、左右一対の用紙幅方向規制板31,32の各上方部位に第1,第2連結部材41,42が連結されている。第1,第2連結部材41,42は2本の第1,第2ガイドシャフト39,40にそれぞれ嵌合していると共に、第1連結部材41は第1タイミングベルト38の後側に連結され、第2連結部材42は第1タイミングベルト38の前側に連結されている。
【0048】
上記により、第1モータ34を作動させて、第1タイミングベルト38が正転すれば左右一対の用紙幅方向規制板31,32が互いに内側(又は外側)に移動し、一方、第1タイミングベルト38が逆転すれば左右一対の用紙幅方向規制板31,32が互いに外側(又は内側)に移動するので、左右一対の用紙幅方向規制板31,32は用紙サイズに応じて用紙Pの幅方向を規制できるようになっている。
【0049】
(オフセットガイド板移動機構部)
オフセットガイド板移動機構部50は、本実施形態の要部を構成するものであり、排出部10(又は画像形成装置)から順次排紙された用紙Pが落下できるように排出部10(又は画像形成装置の排出部)の直下で後側板2にユニット化して取り付けられている。
【0050】
以下、オフセットガイド板移動機構部50について、図3図5を用いて具体的に説明する。
【0051】
図4に拡大して示したオフセットガイド板移動機構部50において、この機構部50の基台となる第1ブラケット51は、後側板2(図1図2)に垂直に取り付けるために左右に間隔を離した左右一対の前面板部51a,51bと、左右一対の前面板部51a,51bに連接して後方に向った左右の側面板部51c,51dと、左右の側面板部51c,51d間を連接した後面板部51eとが板金材を用いて折り曲げ形成されている。
【0052】
また、第1ブラケット51の左右の側面板部51c,51dと後面板部51eとにより凹状にくぼませた内部の上方部位にオフセットガイド板52が配置されている。
【0053】
このオフセットガイド板52は、幅狭い天面板部52aと、用紙区分け時に紙受台21上に積載した用紙Pの後端部を規制して後端部側をオフセットさせる垂直な前面板部52bと、前面板部52bの左側に連接した左側面板部52cとを有する。
【0054】
また、オフセットガイド板52の前面板部52bの下方中央部位に切欠部52b1が凹状に切り欠かれている。
【0055】
そして、この切欠部52b1内には、板金材を用いて折り曲げ形成した第1用紙突き当て部材53が上下方向に移動可能に保持されており、この第1用紙突き当て部材53は紙受台21の後面21bの近傍に自重によって重力方向に垂れ下がるか、又は、紙受台21上に積載された最上層の用紙Pに当接可能なように自重によって重力方向に垂れ下がるようになっている。
【0056】
第1用紙突き当て部材53は、用紙Pの後端部が前面板部52bの前面に揃えられるようになっていると共に、下端部位の左右および中央でそれぞれ円弧状突出部53aが下方に向って突出しており、円弧状突出部53aが紙受台21に積載された最上層の用紙P上にソフトに接触して、オフセットガイド板52と共に次に積載される用紙Pの後端部を規制できるようになっている。
【0057】
これにより、後述する用紙区分け時に、紙受台21に積載された最上層の用紙Pに第1用紙突き当て部材53が当接したときに、オフセットガイド板52と紙受台21に積載された最上層の用紙Pとの間に隙間が発生することなく、第1用紙突き当て部材53により次に積載される用紙Pの後端部を規制できると共に、用紙Pの表面を傷つけることがない。
【0058】
また、第1ブラケット51の前面板部51aの下部と、側面板部51cのサイド外側に設けられた動作補助部49との間には、後述するように引張バネ65が掛けられている。
【0059】
また、オフセットガイド板52の下方には、モータブラケット55の下面に正逆転可能な駆動用モータが取り付けられており、このオフセットガイド板駆動用モータ56によってオフセットガイド板52に移動力を付与するようになっている。更に、図4図5に示すように、第1ブラケット51の左側面板部51cの内側と、オフセットガイド板52の左側面板部52cの外側とが、後述する上下2本のリンク部材68,69及び連結板72により連結されている。
【0060】
そして、オフセットガイド板駆動用モータ56の駆動力により、オフセットガイド板52が第1用紙突き当て部材53と一体的になって前後方向と上下方向とに移動可能になっている。
【0061】
より具体的に図5を用いて説明すると、モータブラケット55に取り付けたオフセット板駆動用モータ56の軸にはウォーム57が固着され、このウォーム57がモータブラケット55の側面55bに取り付けられた軸(図示せず)を介して軸支したウォームホイール59に噛合し、更に、ウォームホイール59は側面55bに取り付けられた軸60を介して軸支したギア61と噛合し、更に、ギア61は軸62を中心にして回転するギア63と噛合し、このギア63にギア63uが噛合している。
【0062】
一方、第1ブラケット51の左側面板部51c(図4)には、2本の回動軸66,67が上下に間隔を離して固着されている。また、2本の回動軸66,67には、逆L字状に形成した上下2本のリンク部材68,69が回動可能に軸支されている。
【0063】
そして、上下2本のリンク部材68,69の各一端部は、オフセットガイド板52の左側面板部52cの上下の各コーナ部位に軸70,71を介して連結され、且つ、上下2本のリンク部材68,69の各他端部は、両リンク部材68,69を上下同じ姿勢で連結するための連結板72と共に軸73,74に連結されている。
【0064】
上記の構成により、オフセット板駆動用モータ56を作動して、ウォーム57を回転させると、オフセットガイド板52に各一端側の軸70,71を介して連結している上下2本のリンク部材68,69も回動軸66,67を中心にして時計方向又は反時計方向に回動すると共に、連結板72の作用により上下2本のリンク部材68,69が同じ姿勢を保ちながら同時に回動する。
【0065】
これにより、オフセットガイド板52は、前後方向に例えば30mm程度移動可能になり、且つ、上下方向に例えば10mm程度移動可能になる。
【0066】
従って、後述する用紙区分け時に紙受台21に積載される用紙Pの後端部側の積載位置を用紙排出方向に所定量だけオフセットさせるときに、用紙Pのオフセット量は、オフセットガイド板52の前後方向の移動量と等価で例えば±30mmに設定されている。
【0067】
また、オフセットガイド板52の上下方向の移動量は、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1突き当て部材53の許容下動量と等価で例えば10mmになっている。
【0068】
即ち、上記したオフセットガイド板移動機構部50において、オフセットガイド板52と第1用紙突き当て部材53は、用紙Pの搬送方向の長さに関係なく、オフセット量に応じて用紙Pの後端部を規制しているために、オフセットガイド板52と第1用紙突き当て部材53とを一体的に用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ前方下方又は後方上方に移動させることで、オフセットガイド板移動機構部50に対してコストダウンを図ることができる。
【0069】
(エンドフェンス板移動機構部)
図1及び図2に戻り、エンドフェンス板移動機構部80も、本実施形態の排紙装置8の要部を構成するものであり、紙受台21の前面21a側にユニット化して取り付けられている。
【0070】
このエンドフェンス板移動機構部80では、板金材を用いて形成した第2ブラケット81にエンドフェンス板82が前述したオフセットガイド板52に対して用紙Pの搬送方向の長さだけ間隔を離して対向するように垂直に固着されていると共に、第2ブラケット81と一体にエンドフェンス板82が用紙Pの搬送方向の長さに応じて前後に移動可能になっている。
【0071】
ここで、エンドフェンス板82は前後方向に移動可能なっているが、オフセットガイド板52とは異なって上下方向には移動しない。この理由は、後述する用紙区分け時に、紙受台21が用紙積載量に応じて下降するために、エンドフェンス板82は紙受台21の上面21eよりも上方で一定の高さを保っている。
【0072】
ここで、第2ブラケット81と一体にエンドフェンス板82を移動させる移動機構は、用紙区分け装置1の上方を覆う天板(図示せず)に取り付けられている。即ち、不図示の天板に第2モータブラケット83を介して第2モータ84が正逆転可能に取り付けられている。
【0073】
そして、第2モータ84の回転が第2ギア列(図示せず)を介して前側の第3タイミングプーリ86に伝達されていると共に、前側の第3タイミングプーリ86と間隔を離して対向して後側板2の上方に取り付けられた後側の第4タイミングプーリ87との間に第2タイミングベルト88が掛け渡されている。
【0074】
また、前後の第3,第4タイミングプーリ86,87間には、第2タイミングベルト88を挟んだ左右に2本の第3,第4ガイドシャフト89,90が掛け渡されている。
【0075】
また、第2ブラケット81の天面板部81aには第3連結部材91、91(図1)が連結されており、第3連結部材91、91は2本の第3,第4ガイドシャフト89,90にそれぞれ嵌合している。
【0076】
上記により、第2モータ84を作動させて、第2タイミングベルト88が正転すれば第2ブラケット81とエンドフェンス板82とが一体に後方側(又は前方側)に移動し、一方、第2タイミングベルト88が逆転すれば第2ブラケット81とエンドフェンス板82とが一体に前方側(又は後方側)に移動するようになっている。
【0077】
そして、第2ブラケット81と一体にエンドフェンス板82は、用紙Pの搬送方向の長さに応じて移動できると共に、後述する用紙区分け時に紙受台21に積載される用紙Pの前端部側の積載位置を用紙排出方向に所定のオフセット量だけオフセットできるようになっている。
【0078】
以下、エンドフェンス板移動機構部80について、図6を用いて具体的に説明する。図6に拡大して示したエンドフェンス板移動機構部80において、この機構部80の基台となる第2ブラケット81は、第3連結部材91(図1)に連結される天面板部81aと、天面板部81aに連接して垂直な前面板部81bと、左側面板部81cとが板金材を用いて折り曲げ形成されている。
【0079】
第2ブラケット81の前面板部81bの後面側には、エンドフェンス板82が一体的に垂直に固着されて、このエンドフェンス板82はオフセットガイド板52(図1図2)と間隔を離して対向している。
【0080】
第2ブラケット81の前面板部81bの前面側には、第2用紙突き当て部材97を上動させるための上動用駆動手段となる電磁ソレノイド93が可動鉄心93aを下方に向けて取り付けられている。
【0081】
電磁ソレノイド93の可動鉄心93aと、第2ブラケット81の前側に設けたレバー95とは、連結ピン94で回動可能に連結されている。
【0082】
また、第2ブラケット81の前側には、板金材を用いて折り曲げ形成した第2用紙突き当て部材97が上下動可能に設けられている。そして、レバー95の左部と第2用紙突き当て部材97の上部とが連結ピン96で回動自在に連結されている。
【0083】
上記のようにエンドフェンス板移動機構部80を構成したときに、図7(a)に示したように、電磁ソレノイド93がオフ状態の場合には、電磁ソレノイド93の可動鉄心93a及びレバー95並びに第2用紙突き当て部材97による合計の自重で、レバー95が回動軸94を中心にして反時計方向に回動するので、レバー95に連結した第2用紙突き当て部材97が自重により下方に移動して、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面21e、又は、紙受台21上に積載された最上層の用紙Pに当接可能になっている。
【0084】
ここで、第2用紙突き当て部材97は、用紙Pの前端部がエンドフェンス板82(図6)の後面に揃えられるようになっていると共に、第2用紙突き当て部材97の下端部位には、前側に向けて折り曲げ加工された用紙押さえ部97pが形成されており、用紙押さえ部97pが用紙P上にソフトに接触して、エンドフェンス板82と共に次に積載される用紙Pの前端部を規制できるようになっている。
【0085】
これにより、後述する用紙区分け時に、第2用紙突き当て部材97が紙受台21に積載された最上層の用紙Pに当接したときに、エンドフェンス板82と紙受台21に積載された最上層の用紙Pとの間に隙間が発生することなく、第2用紙突き当て部材97により次に積載される用紙Pの前端部を規制できると共に、用紙Pの表面を傷つけることがない。
【0086】
一方、図7(b)に示したように、電磁ソレノイド93がオン状態の場合には、電磁ソレノイド93の可動鉄心93aが上方に向かって引き込まれてレバー95が回動軸94を中心にして時計方向に回動するので、レバー95に連結した第2用紙突き当て部材97が上方に移動して、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面21e、又は、紙受台21上に積載された最上層の用紙Pから離間できる。第2用紙突き当て部材97の上下方向の移動量は、第1用紙突き当て部材53と同様に、例えば10mm程度である。
【0087】
即ち、エンドフェンス板82と第2用紙突き当て部材97とは、用紙Pの搬送方向の長さとオフセット量とに応じて用紙Pの前端部を規制しているために、エンドフェンス板82と第2用紙突き当て部材97とを一体的に第2モータ84の駆動力により用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ前方又は後方に移動させ、且つ、第2用紙突き当て部材97を自重によって重力方向に下動させる一方、第2用紙突き当て部材97を上動用駆動手段となる電磁ソレノイド93を用いて上動させている。
【0088】
なお、本実施形態では、第2用紙突き当て部材97を上動させる上動用駆動手段として電磁ソレノイド93を用いているが、第2用紙突き当て部材97を下動させたときに用紙P上にソフトに接触できる限り、これに限定されることなく、例えば、積層型圧電素子やモータなどを用いても良い。
【0089】
(制御部)
制御部100は、図8に示すように、演算処理や判断処理するCPU100aと、用紙区分け装置1の動作プログラムなどを格納したROM100bと、用紙区分け装置1内で変更可能な各種の情報などを一時的に記憶するRAM100cとを内部に有している。
【0090】
また、制御部100は、排出部10と、紙受台昇降機構部20と、用紙幅方向規制板移動機構部30と、オフセットガイド板移動機構部50と、エンドフェンス板移動機構部80とをそれぞれ制御している。
【0091】
(排紙の区分け動作)
以下、排紙装置8を用いて排出部10(又は画像形成装置)から順次排紙される用紙Pを紙受台21上で区分けする動作について、図9(a)〜(j)を用いて動作順に説明する。
【0092】
なお、図9中において、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面21eの高さ位置、又は、紙受台21上に積載された最上層の用紙Pの高さ位置を検出するために、後側板2と前側板3とに取り付けた光透過型の用紙高さ位置検出センサ29は、図示の都合上、図9(a),(f)のみ図示し、その他の図は用紙高さ位置を一点鎖線で図示して用紙高さ位置検出センサ29の図示を省略している。
【0093】
本実施形態では、多数枚の用紙Pを区分けする場合に、紙受台21の上面21e上に積載される用紙Pの搬送方向長さは同じであるとする。
【0094】
また、排出部10(又は画像形成装置)から順次排紙される用紙Pを紙受台21上に用紙区分けごとに積載する所定の積載枚数は、各用紙区分けごとに一定に設定する場合と、ジョブによって各用紙区分けごとに可変設定する場合とがある。
【0095】
更に、排出部10(又は画像形成装置)から順次排紙される用紙Pを、用紙区分けごとに紙受台上21での用紙積載位置を用紙の搬送方向に対して前後交互にオフセットさせて複数回に亘って区分けする際に、第1の用紙積載位置と、第2の用紙積載位置とが設定されて、第1の用紙積載位置と第2の用紙積載位置とを交互繰り返している。
【0096】
ここで、上記した第1の用紙積載位置は、紙受台21に対してオフセットガイド板52と、このオフセットガイド板52に対して用紙Pの搬送方向の長さだけ隔てて対向したエンドフェンス板82とが用紙排出方向の上流側に待機している待機位置と同じ位置である。
【0097】
一方、上記した第2の用紙積載位置は、紙受台21に対してオフセットガイド板52とエンドフェンス板82とが第1の用紙積載位置よりも用紙排出方向の下流側に向ってそれぞれ所定量だけオフセットした位置である。
【0098】
そして、複数回の用紙区分け動作のうちで、奇数回目の用紙区分け動作は第1の用紙積載位置で行い、一方、偶数回目の用紙区分け動作は第2の用紙積載位置で行うようになっている。
【0099】
まず、図9(a)は、紙受台21上に用紙Pが積載される前でこの紙受台21が待機位置(第1の用紙積載位置)で待機している状態を示している。
【0100】
ここでは、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面21eを後側板2と前側板3とに取り付けた光透過型の用紙高さ位置検出センサ29で検出することにより、排出部10(又は画像形成装置)から排紙される用紙Pの排紙位置から紙受台21の上面21eまでの用紙落下高さHが略一定になる位置に紙受台21が待機している。
【0101】
また、後側板2側に設けたオフセットガイド板52は、紙受台21の上面21eよりも上方に配置され且つ紙受台21の後面21bから僅かに離れて後側板2に略沿って1回目の用紙区分けを待機し、落下する用紙Pの後端部を規制可能になっていると共に、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53は、自重により紙受台21側に向って垂下している。従って、第1用紙突き当て部材53は、オフセットガイド板52と共に用紙Pの搬送方向の後端部を規制可能になっている。
【0102】
また、前側板3側に設けたエンドフェンス板82は、紙受台21の上面21eの上方よりも上方に配置され且つこの上面21eに積載される用紙Pの搬送方向の長さに対応した位置で1回目の用紙区分けを待機して、落下する用紙Pの前端部を規制可能になっている。そして、エンドフェンス板82の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材97は、図7(a)で説明したように電磁ソレノイド93をオフ状態にしているために自重により紙受台21側に向って垂下してこの紙受台21の上面21e上にソフトに接触している。従って、第2用紙突き当て部材97は、エンドフェンス板82と共に用紙Pの搬送方向の前端部を規制可能になっている。
【0103】
次に、図9(b)は、用紙Pを排紙して、用紙区分け時の奇数回目の一例として1回目の用紙区分けを行う状態を示している。
【0104】
ここでは、オフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53と、エンドフェンス板82及び第2用紙突き当て部材97とは、共に図9(a)に示した状態と同じ状態を保っている。
【0105】
従って、1回目の用紙区分け時には、後側板2に略沿っているオフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53と、用紙Pの搬送方向の長さに対応した位置に待機しているエンドフェンス板82及び第2用紙突き当て部材97との間に1回目の用紙積載位置(第1の用紙積載位置)が設定されている。
【0106】
そして、排出部10(又は画像形成装置)から順次排紙された用紙Pは、オフセットガイド板52とエンドフェンス板82との間を落下して紙受台21の上面21e上に順次積載されて、ここで積載された用紙Pの前端部がエンドフェンス板82の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材97に当接して用紙Pの先端位置が規制される。
【0107】
また、用紙Pが積載されるたびに紙受台21の上面21e上に積載された最上層の用紙Pの高さ位置を用紙高さ位置検出センサ29で検出しているので、用紙Pの排紙位置と最上層の用紙Pとの間に設定される用紙落下高さHが略一定になるようにステッピングモータ25(図1)を介して紙受台21を下降させている。この紙受台21の下降に伴ってエンドフェンス板82の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材97は紙受台21の上面21eから離間する。
【0108】
この後、紙受台21の上面21e上に用紙Pが所定の積載枚数だけ積載された段階で、紙受台21が下降を停止して、1回目の用紙区分け動作が終了する。
【0109】
次に、図9(c)は、1回目の用紙区分け動作が終了した後に、用紙区分け時の偶数回目の一例となる2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、エンドフェンス板82の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材97を、前回に第1の用紙積載位置で用紙区分けした用紙Pの前端部に当接させたまま、オフセットガイド板52を斜め右下方に移動させた状態を示している。
【0110】
そして、第2用紙突き当て部材97を、1回目に積載された用紙Pの前端部に当接させておくことにより、1回目に用紙区分けした用紙Pに対して前方への移動を規制している。また、1回目の用紙区分け動作が終了した段階で、紙受台21は、1回目の用紙区分けを終了した位置で停止したままである。
【0111】
一方、オフセットガイド板52は、先に図5を用いて説明したように斜め右下方(前方下方)に移動させられて2回目の用紙区分けを行うためのオフセット位置に到達する。
【0112】
上記により、オフセットガイド板52は、後側板2よりも前方に突出している共に、オフセットガイド板52の下端位置は図9(b)に示した位置よりも下方に移動して1回目に用紙区分けした最上層の用紙Pに接近して停止する。
【0113】
ここで、2回目の用紙区分けを行うためにオフセットガイド板52を用紙Pの搬送方向に沿った右方(+側)に移動させるオフセット量は、例えば+30mmに設定されている。
【0114】
また、斜め右下方に移動したオフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53は、前回に第1の用紙積載位置で用紙区分けした用紙Pの後端部よりも右方にずれた位置で最上層の用紙P上に自重によりソフトに接触するが、最上層の用紙Pの前端部が第2用紙突き当て部材97により前方への移動が規制されているために、最上層の用紙P上に第1用紙突き当て部材53がソフトに接触しても最上層の用紙Pは位置ずれすることはない。
【0115】
次に、図9(d)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、第2用紙突き当て部材97を一時的に上動させた状態を示している。ここでも、紙受台21が1回目の用紙区分けを終了した位置で停止したままである。また、オフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53は、共に図9(c)に示した状態と同じ状態を保っている。
【0116】
一方、エンドフェンス板82は、図9(c)に示した位置に停止したままであるが、このエンドフェンス板82の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材97は、図7(b)で説明したように電磁ソレノイド93をオン状態にして、紙受台21上に積層された最上層の用紙Pに対して離間するように一時的に上動している。
【0117】
次に、図9(e)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、第2用紙突き当て部材97を一時的に上動させたまま、エンドフェンス板82を前方(紙面右方)に移動させた後に、二点鎖線で示したように第2用紙突き当て部材97を下動させる状態を示している。ここでも、紙受台21が1回目の用紙区分けを終了した位置で停止したままである。また、オフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53は、共に図9(c)及び図9(d)に示した状態と同じ状態を保っている。
【0118】
一方、エンドフェンス板82は、第2用紙突き当て部材97を上動させたまま、先に図1を用いて説明したエンドフェンス板移動機構部80により前方(紙面右方)に移動させられて、2回目の用紙区分けを行うためのオフセット位置に到達する。
【0119】
ここで、エンドフェンス板82のオフセット量は、図9(c)で説明したオフセットガイド板52のオフセット量と略同じであり、エンドフェンス板82と第2用紙突き当て部材97とを一体的に右側(+側)に例えば+30mmのオフセット量だけ移動させている。
【0120】
更に、エンドフェンス板82が2回目の用紙区分けを行うためのオフセット位置に到達した後に、第2用紙突き当て部材97は、電磁ソレノイド93(図7(a))がオフ状態にされるのでオフセット位置で自重により紙受台21側に垂下している。
【0121】
ここで、第2用紙突き当て部材97は、1回目に積載した用紙Pの前端部よりも右方に離れ、且つ、この最上層の用紙Pよりも下方で紙受台21上に当接することなく垂れ下がっている。
【0122】
次に、図9(f)は、用紙Pを再び排紙して、用紙区分け時の偶数回目の一例として2回目の用紙区分けを行う状態を示している。ここでは、オフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53と、エンドフェンス板82及び第2用紙突き当て部材97は、共に図9(e)に示した右方へオフセットした状態と同じ状態を保っている。
【0123】
従って、2回目の用紙区分け時には、後側板2から前方(紙面右方)に突出してオフセットしたオフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53と、前方にオフセットしたエンドフェンス板82及び第2用紙突き当て部材97との間に2回目の用紙積載位置(第2の用紙積載位置)が設定されている。
【0124】
そして、排出部10(又は画像形成装置)から再び順次排紙された用紙Pは、右方にオフセット済みのオフセットガイド板52と、前方(紙面右方)にオフセット済みのエンドフェンス板82との間を落下して1回目の用紙区分けされた用紙P上に順次積載されていく。ここで、用紙Pが積載されるたびに紙受台21上に積載された最上層の用紙Pの高さ位置を用紙高さ位置検出センサ29で検出しているので、用紙Pの排紙位置と最上層の用紙Pとの間に設定される用紙落下高さHが略一定になるようにステッピングモータ25(図1)を介して紙受台21を下降させている。
【0125】
この後、1回目の用紙積載位置に対して前方(紙面右方)にオフセットした用紙Pが所定の積載枚数だけ積載された段階で、紙受台21が下降を停止して、2回目の用紙区分け動作が終了する。
【0126】
次に、図9(g)〜図9(j)は、用紙区分け時の奇数回目の他例として3回目の用紙区分け動作を行う状態を図示しており、この3回目の用紙区分け動作は、1回目の用紙区分け動作と略同様な動作を繰り返して行うだけであるので、ここでは簡略に説明する。
【0127】
図9(g)に示すように、1回目の用紙区分け動作が終了した場合とは異なって、2回目の用紙区分け動作が終了した後には、第2用紙突き当て部材97を一時的に上動させている。
【0128】
この後、図9(h)に示すように、オフセットガイド板52のオフセット量を例えば後方(紙面左方)に−30mmに設定して、第1用紙突き当て部材53と一体にオフセットガイド板52を斜め左上方に−30mm移動させて1回目の用紙区分けと同じ位置に戻すと共に、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53を1回目の用紙区分けと同じ位置(第1の用紙積載位置)で自重により紙受台21側に垂下させている。
【0129】
一方、エンドフェンス板82は、第2用紙突き当て部材97を上動させたまま、オフセットガイド板52の後方移動(紙面左方への移動)と略同時に、第2用紙突き当て部材97と一体に例えば−30mm紙面左方に移動させて、1回目の用紙区分けと同じ位置(第1の用紙積載位置)に戻している。
【0130】
この後、図9(i)に示すように、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53は、2回目に積載した最上層の用紙P上に接触していないので、第2用紙突き当て部材97を下動させて自重により2回目に積載した最上層の用紙P上にソフトに接触させ、更にこの後、図9(j)に示すように、3回目の用紙区分け動作を1回目と略同様に行っている。
【0131】
なお、用紙区分け時の偶数回目の他例として4回目の用紙区分け動作を行う場合には、2回目の用紙区分け動作と略同様に行えば良いので、ここでの図示を省略する。
【0132】
以下、複数回の用紙区分け動作を繰り返して行うときに、オフセットガイド板52及びエンドフェンス板82を、用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ前方又は後方に交互に移動させることで、紙受台21上に区分けして積載された用紙Pの積載位置は用紙排出方向に対して前後交互にオフセットされる。
【0133】
(作用、効果)
以下、本実施形態に係る排紙装置8の作用、効果について説明する。排紙装置8の排出部10から排出された用紙Pは、図3に示すように、用紙排出方向Uに沿った用紙幅方向端PEで用紙幅方向規制板32(31)のリブLa、Lbに当接する。この結果、用紙Pは、排出方向へ移動しつつ落下する過程で、リブLa、Lbによって姿勢が矯正され、用紙幅方向位置が正確に揃った状態で積載されていく。従って、排紙装置8では、湿度等の環境に影響されることなく良好な排紙性能が得られる。
【0134】
また、用紙落下時に用紙幅方向端PEが用紙幅方向規制板31、32の平面Sに当接して揃えられる場合に比べ、リブLa、Lbに当接して揃えられる場合のほうが用紙落下速度が速い。よって、用紙先端側に比べて用紙後端側の落下速度が速い。従って、安定して用紙後端側で用紙幅方向端PEを揃えることができることに加え、次の排紙を早い段階で送り出すことができるので単位時間あたりの排出枚数を多くすることができる。
【0135】
また、用紙排出方向下流側のサイドフェンス部分の内側には、リブLa、Lbと面一の平面Sが形成されているので、用紙先端側の用紙幅方向端PEが平面Sに当接することにより、単位時間あたりの排出枚数を維持しつつ用紙先端側が回転変位すること(用紙先端側が排出方向からずれた方向を向くこと)を確実に防止することができる。
【0136】
また、図3(b)に示すように、リブLa、Lbは、何れも、用紙幅方向端PEに対して緩やかな角度をなして接する形状にされている。具体的には、リブLa、Lbの頭頂部Ltから用紙受入口側のリブ端Lkまでを形成するリブ縁Leは、用紙排出方向Uに対して緩やかな角度θをなしている。従って、用紙PがリブLa、Lbに衝突して移動が妨げられることは回避されている。ここで緩やかな角度とは、用紙が排出される際にリブLa、Lbへの衝突が緩和され、用紙へのダメージを回避して用紙の動作を安定させることが可能な角度である。
【0137】
また、排出部10は、用紙に腰を付けて排出することができ、種々の用紙に対し、排出する上で好ましい腰付け量を用紙Pに与えて排出することができる。従って、リブLa、Lbの本数、形状、位置などに応じて、好ましい腰付け量にして用紙を排出することができる。
【0138】
なお、本実施形態では、用紙幅方向規制板31、32の内側に形成されるリブとして、用紙受入口側に近い部位にリブLa、Lbが順に並んだ例で説明したが、リブは、用紙受入口側に近いサイドフェンス部分に少なくとも1本形成されていることにより、リブによって姿勢が矯正され、用紙幅方向位置が正確に揃った状態で積載されていく効果は奏される。
【符号の説明】
【0139】
8 排紙装置
21 紙受台(排紙台)
31 用紙幅方向規制板(サイドフェンス)
32 用紙幅方向規制板(サイドフェンス)
La リブ(突起部)
Lb リブ(突起部)
PE 用紙幅方向端
S 平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9