(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の製氷機の一実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1に示したように、製氷機10は、ハウジング11の下部に設けた貯氷庫12の上側に設けた製氷機構20と、製氷機構20により製造した氷片を下側の貯氷庫12に案内する案内通路30とを備えている。案内通路30は、製氷機構20により製造した氷片を横方向に案内する横通路30Aと、この横通路30Aと貯氷庫12とを連通接続して横通路30Aより案内された氷片を貯氷庫12に鉛直方向に落下させる鉛直通路30Bとから構成される。
図2に示したように、案内通路30には、鉛直通路30B内にて通路方向に延在したその上部が揺動自在に軸支されて、鉛直通路30Bの一方の周壁内面との間を通過する氷片が貯氷庫12が満氷であるために放出されずに積み上がると、その下端側が積み上がる氷片の荷重により鉛直通路30Bの一方の周壁35aと対向する他方の周壁35cに向けて揺動する検知板50と、検知板50の揺動姿勢に基づいて貯氷庫が満氷状態であることを検知するリードスイッチ(貯氷センサ)36とを備えている。
【0019】
図9に示したように、この製氷機10においては、検知板50は下端側に向かうにつれて鉛直通路30Bの一方の周壁35aに向けて傾斜した姿勢で揺動自在に軸支され、検知板50の下端部を氷片の氷質に応じて鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向または離れる方向に傾けたものである。具体的には、この製氷機10において、製氷機構20にて氷質が固い角氷よりなる氷片(以後、チップアイスとも記載する)を製造する機種では、検知板50の下端部52を揺動の中心線と平行な鉛直平面を超えることなく鉛直通路30Bの一方の周壁35aから離れる方向に傾けた。
【0020】
これに対し、製氷機構20にて氷質が柔らかい薄片状の氷よりなる氷片(以後、フレークアイスとも記載する)を製造する機種では、検知板50の下端が鉛直通路30Bの一方の周壁35aの内面との間に氷片の大きさより大きな間隔を設けた状態で検知板50の下端部52を鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向に傾けた。以下に、この製氷機10について詳述する。
【0021】
製氷機10は、ハウジング11の下部に貯氷庫12と、ハウジング11の上部の機械室にて貯氷庫12の上側に製氷機構20と案内通路30とを備えている。
【0022】
製氷機構20は周知のオーガ式製氷機構であるので詳細な図示は省略して説明する。製氷機構20は、円筒形の冷凍ケーシングを備えており、冷凍ケーシングの外周には冷凍装置の蒸発管が巻回されている。冷凍ケーシングは圧縮機から圧送されて凝縮器により液化された冷媒が蒸発管で蒸発することで冷却され、冷凍ケーシングの内周面を流下する製氷水が漸次凍結して氷となる。冷凍ケーシング内には外周に螺旋刃を備えたオーガが冷凍ケーシングと同軸的に支持されている。オーガの外周の螺旋刃は冷凍ケーシングの内周面に僅かな隙間を設けて配置されている。オーガの下部は冷凍ケーシングの内周面下部に設けた軸受により回転可能に支持され、オーガの上部は冷凍ケーシングの内周面上部に固定した筒状の押圧頭を介して軸受により回転可能に支持されている。オーガの下端部は駆動モータ21に連結され、駆動モータ21によって冷凍ケーシング内を回転する。押圧頭は円筒形本体部の外周面に周方向に離間して放射状に突出した複数の固定刃部が設けられており、円筒形本体部の外周面と冷凍ケーシングの内周面との間に固定刃部により周方向に区画された複数の氷圧縮通路が形成されている。また、オーガの上側の軸部にはオーガとともに一体的に回転するヘッド部22が設けられており、ヘッド部22は氷圧縮通路の上側を回転する刃部により氷圧縮通路から上側に押し出された柱状の氷を所定寸法毎に折るものである。
【0023】
製氷機構20においては、冷凍ケーシングの内周面を流下する製氷水が漸次凍結して氷となり、回転するオーガの螺旋刃により削り取られた水分を含んだ氷は回転するオーガにより上方に移送される。移送された氷は押圧頭の氷圧縮通路を通過するときに水分が絞られた圧縮された柱状の氷に成形され、氷圧縮通路から上側に押し出された柱状の氷はヘッド部22の刃部により所定寸法毎に折られて氷片となる。
【0024】
この製氷機構20においては、押圧頭の固定刃部の数を多くして(例えば8つ)氷圧縮通路を狭くするとともにカッタの刃部を少なくした(例えば2つ)ときには、氷質が固い角氷よりなる氷片(チップアイス)が製造され、押圧頭の固定刃部の数を少なくして(例えば4つ)氷圧縮通路を広くするとともにカッタの刃部を多くした(例えば8つ)には、氷質が柔らかい薄片状の氷よりなる氷片(以後、フレークアイスとも記載する)が製造される。このように、本願の製氷機10は、製氷機構20の一部構成を変更した複数の機種があり、例えば、チップアイスまたはフレークアイスのような氷質の異なる氷片を製造するものである。
【0025】
図2に示すように、製氷機構20により製造した氷片を貯氷庫12に案内する案内通路30は、製氷機構20の上部に固定されたスパウト31と、スパウト31と貯氷庫12とを連通接続するシュート35とから構成される。
【0026】
図2〜
図5に示すように、スパウト31は上方が開口するととともに下方が閉塞した横方向に延在する有底筒状部材よりなる。スパウト31の周壁は、製氷機構20のヘッド部22を囲む半円形の円弧壁31aと、円弧壁31aの両開放端からシュート35側(
図2に示す右側)に延在する一対の側壁31b,31bと、これら一対の側壁31b,31bの端部を連結する連結壁31cとから構成される。また、スパウト31の底壁は、製氷機構20の上側からシュート35側に向けて略水平に延在する水平底壁31dと、水平底壁31dのシュート35側端縁からシュート35側に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜底壁31eとを備えている。スパウト31の水平底壁31dには貫通孔31fが形成されており、この貫通孔31fから挿通した製氷機構20のヘッド部22がスパウト31内に配置されている。スパウト31の傾斜底壁31eのシュート35側の端縁には下方に垂下する垂直壁31gが形成され、この垂直壁31gはこれと対向する連結壁31cの下部とこれらを繋ぐ側壁31b,31bの下部とによりシュート35に連通接続される筒状の放出部31hを形成している。
【0027】
このスパウト31では、円弧壁31aと、側壁31b,31bの図に示す左側部と、底壁の水平底壁31dと、傾斜底壁31eとから画成される領域を製氷機構20により製造された氷片を横方向に案内する案内通路30の横通路30Aとしている。また、側壁31b,31bの図に示す右側部と、連結壁31cと、垂直壁31gとから画成される領域を横通路30Aから案内された氷片を鉛直方向に案内する案内通路30の鉛直通路30Bの一部30B1としている。
【0028】
スパウト31の両側壁31b,31bの内面には、連結壁31cと垂直壁31gとの間に内側に向けて突出して軸支手段を構成する支軸32,32が設けられており、これら支軸32,32は後述する検知板50を揺動自在に軸支するものである。スパウト31の両側壁31b,31bの内面には、支軸32,32の下側に内側に向けて突出する円弧形のガード33,33が設けられている。これらガード33,33は後述する貯氷庫12からシュート35を上昇した空気に含まれる埃が支軸32,32に付着するのを防ぐためのものである。ガード33,33の上面は内側に向かうにつれて下方に傾斜しており、ガード33,33の上面に付着した水滴や埃等が落下しやすくなっている。
【0029】
スパウト31の傾斜底壁31eは支軸32,32に軸支された検知板50の揺動の軸心に向けて下方に傾斜するように設定されており、傾斜底壁31eを滑り落ちる氷片は検知板50の揺動軸心付近に衝突するように設定されている。また、スパウト31の傾斜底壁31eの上面には側壁31b,31b側から横通路30Aの通路方向と直交する方向の中心に向けて突出する案内突部34,34が突設されている。案内突部34、34は横通路30Aの氷片が案内される方向に進むにしたがって互いに近づくように傾斜している。スパウト31の傾斜底壁31eを滑り落ちる氷片はこれら案内突部34,34により横通路30Aの通路方向と直交する方向の中心に集められながら放出部31hに向けて滑り落ちていく。
【0030】
スパウト31の
図2に示す右部の放出部31hにはシュート35が連通接続されている。シュート35は鉛直方向に延びる四角筒形状をしており、上端部がスパウト31の放出部31hに連通接続され、下端部が貯氷庫12の上部に連通接続されている。シュート35の
図2に示す左側の側壁35a内面の下部には、
図6に示したように、上下方向に延びる凹溝が幅方向に連続する凹凸部35bが形成されている。この凹凸部35bは、後述する検知板50とシュート35の図に示す左側の側壁(鉛直通路30Bの一方の周壁)35aとの間に氷片が積み上がったときに、氷片がシュート35の側壁35aの内面に貼り付くのを防ぐためのものである。このシュート35の内部空間30B2は上述したスパウト31の鉛直通路の一部30B1とともに鉛直通路30Bを構成するものである。シュート35の
図2に示す左側の側壁35aは検知板50との間に氷片を通過させる経路を形成する鉛直通路Bの一方の周壁35aである。また、同様に、スパウト31の連結壁31cとシュート35の
図2に示す右側の側壁35cは鉛直通路30Bの一方の周壁35aに対向する他方の周壁31c,35cである。
【0031】
スパウト31の連結壁31cの外面上部にはリードスイッチ(貯氷センサ)36が設けられている。リードスイッチ36は、後述する検知板50の揺動姿勢に基づいて、貯氷庫12内が満氷状態にあることを検知するものである。リードスイッチ36は磁石等の磁界を形成するものが近接した状態にあるときにオン状態となり、離間した状態にあるときにオフ状態となる。
【0032】
図2、
図3及び
図5に示すように、スパウト31の上部開口31iにはこれを覆う蓋体37が設けられている。スパウト31の上部開口31iはリードスイッチ36により満氷状態を検知できなかったときに、スパウト31内に飽和状態を超えるように蓄積された氷片を放出させてスパウト31の周壁の破損を防止する機能を有している。蓋体37は
図2、4に示す右端部(一端部)がスパウト31に水平軸線回りに回動可能に軸支され、
図2、4に示す左端部(他端部)が板バネ38により下側に付勢されている。蓋体37は異常時に早く開放されるように弱い力(約20N)の板バネ38により付勢されている。また、蓋体37には
図5に示す左部に磁石39が設けられ、スパウト31における磁石39に対向する位置にはリードスイッチ40が設けられている。なお、リードスイッチ40には図示しない制御手段が接続されており、蓋体37が閉じられた状態、すなわち磁石39がリードスイッチ40に近接しているときには、リードスイッチ40は制御手段にオン信号を出力する。制御手段はリードスイッチ40からオン信号が入力されているときには、製氷機構20を運転させる。これに対し、氷片が飽和状態となることで蓋体37が開けられたときには、磁石39はリードスイッチ40から離間し、リードスイッチ40は制御手段にオフ信号を出力する。制御手段はリードスイッチ40からのオフ信号の入力により蓋体37から氷片があふれる状態と判断して製氷機構20の運転を停止させる。
【0033】
スパウト31の上部開口31iの周縁に設けたフランジ部31jの上面にはパッキン41が設けられている。パッキン41はスパウト31の上部開口31iの周縁のフランジ部31jの上面と蓋体37の周縁部の下側に延びる縦フランジ37aの下端との間をシールして、スパウト31内を密閉する機能を有している。パッキン41はポリエチレンの発泡体よりなり、タイプAのデューロメータによる硬さが5〜10のものを用いている。ポリエチレンの発泡体のような小さな力で弾性変形するパッキン41を用いたことにより、異常時でも早く開放されるように弱い力(約20N)の板バネ38により蓋体37を下側に付勢しても、パッキン41は十分に弾性変形してスパウト31の上部開口31iの周縁上面と蓋体37の周縁部下端とを十分にシールできる。また、蓋体37の周縁部の縦フランジ37aの内周面とスパウト31の外周面との間にパッキン41を設けたときには、蓋体37を開閉するたびに蓋体37がパッキン41を巻き込んで十分にシールできないおそれがある。パッキン41をスパウト31の上部開口31iの周縁のフランジ部31jの上面と蓋体37の周縁部の下側に延びる縦フランジ37aの下端とで上下方向から狭持したので、パッキン41の巻き込みを防ぐことができるとともに、蓋体37を閉めた後でもスパウト31と蓋体37との間にパッキン41が正常にシールできているか確認できる。
【0034】
図2に示したように、鉛直通路30Bには検知板50が揺動自在に支持されている。検知板50はその揺動姿勢により貯氷庫12内が満氷状態にあることをリードスイッチ36により検出させるためのものである。
図7に示したように、検知板50は下端部を除く本体部51と、下端部を構成するフラップ部52とから構成される。検知板50の本体部51は横通路30Aから鉛直通路30Bへの氷片の案内方向と直交する方向を幅方向として鉛直通路30Bの通路方向(上下方向)に延在している。本体部51は横通路30Aの傾斜底壁31eを滑り落ちる氷片を受ける受承板部51aと、受承板部51aの幅方向の両縁から横通路30A側に延出する側壁部51b,51bとを備え、横通路30A側に開いたコ字形をしている。本体部51の両側壁部51b,51bの外面上部には下側が開口する逆U字形をした軸支手段を構成する軸受部53,53が突設されており、これら軸受部53,53はこれに対向するスパウト31の両側壁31b,31bに突設した支軸32,32に上側から係合している。支軸32,32に軸支された検知板50はその重心位置により下端側に向かうにつれて鉛直通路30Bの一方の周壁35aに向けて傾斜した姿勢となる。
【0035】
本体部51の受承板部51aの上端中央部にはリードスイッチ36が取り付けられた高さ位置まで上側に延びる取付板部51cが突設されている。取付板部51cには磁石(被検知部)54が取り付けられており、磁石54は検知板50の揺動によりリードスイッチ36に近接または離間し、リードスイッチ36をオンまたはオフさせるものである。取付板部51cは軸受部53,53より上側の位置となっている。
図8に示したように、取付板部51cは、受承板部51aの上端から長手方向に延びる延長線と比して3.6°氷片が通過する経路側に向けて折り曲げられている。検知板50に外部から力を加えられてない自由状態にあるときには、取付板部51cはスパウト31の連結壁31c(鉛直通路30Bの他方の周壁31c)内面に当接しており、磁石54はスパウト31のリードスイッチ36に最も近接した位置となっている。
【0036】
本体部51の両側壁部51b,51bの横通路30A側となる端縁には外側に延出したフランジ部51d,51dが形成されている。このフランジ部51d,51dは横通路30Aを構成するスパウト31の傾斜底壁31eを滑り落ちる氷片及びこれとともに流れる水が軸支手段を構成する検知板50の軸受部53,53とスパウト31の支軸32,32に当たるのを防ぐ機能を有している。
【0037】
図9に示したように、本体部51の両側壁部51b,51bの下端部にはフラップ部52を取り付けるための上下に並んだ係合突部51e、51fが外側に突出して設けられている。本体部51の受承板部51aは受承面の裏面に検知板50の重量を軽くして検知精度を高めるための縦長の凹部51gが形成されている。凹部51gは縦長に形成されているので結露した水滴や埃が残りにくくなっている。
【0038】
フラップ部52は、検知板50の下端部を氷片の氷質に応じて氷片が通過する側に近づく方向または離れる方向に傾けるためのものである。フラップ部52は本体部51の受承板部51aと略連続して鉛直通路30Bの通路方向に延在する受承板部52aと、受承板部52aの幅方向の両縁から氷片が通過する側に向けて延出する側壁部52b,52bとを備え、氷片が通過する側に開いたコ字形をしている。フラップ部52の受承板部52aの下端はシュート35の下端部まで延出している。側壁部52b,52bは下側に向かうにつれて延出幅が小さく形成されている。側壁部52b,52bには本体部51の両側壁部51b,51bに形成した上下の係合突部51e,51fに係合する上下に並んだ係合孔部52cと係合切欠部52dとが形成されている。係合孔部52cは
図8に示す左右方向に並ぶ2つの丸孔が連結した形状をしており、本体部51の側壁部51b,51bの上側の係合突部51eに着脱可能に係合されるものである。係合切欠部52dは本体部51の側壁部51b,51bの下側の係合突部51fに係合されるものである。
【0039】
製氷機構20により製造した氷片がチップアイスであるときには、本体部51の係合突部51eをフラップ部52の係合孔部52cの
図8に示す右側の丸孔部52c1に係合させるとともに本体部51の下側の係合突部51fをフラップ部52の下側の係合切欠部52dに係合させる。フラップ部52の受承板部52aは本体部51の受承板部51aに対して鉛直通路30Bの一方の周壁35aから離れる方向、すなわち氷片が通過経路側から3°離れた方向に傾けられ、フラップ部52の受承板部51aの下端とシュート35の氷片が通過する側の側壁(図に示す左側の周壁)35aとの間が34mmとなる。なお、フラップ部52は検知板50の揺動の中心線と平行な鉛直平面を超えることなく氷片が通過する側から離れた方向に傾けられている。なお、チップアイス用に設定したフラップ部52を以後の説明ではフラップ部52Aと表記して説明する。
【0040】
製氷機構20により製造した氷片がフレークアイスであるときには、本体部51の係合突部51eをフラップ部52の係合孔部52cの図に示す左側の丸孔部52c2に係合させるとともに本体部51の下側の係合突部51fをフラップ部52の下側の係合切欠部52dに係合させる。フラップ部52の受承板部52aは本体部51の受承板部51aに対して鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向、すなわち氷片が通過する側に5°傾けられ、フラップ部52の受承板部51aの下端とシュート35の氷片が通過する側の側壁(図に示す左側の周壁)35aとの間が15mmとなる。なお、フレークアイスの大きさは12mm程度であるので、検知板50の下端側を鉛直通路30Bの他方の周壁35cに向けて揺動させることなくフラップ部52の受承板部52aの下端から氷片を落下させることができる。なお、フレークアイス用に設定したフラップ部52を以後の説明ではフラップ部52Bと表記して説明する。
【0041】
上記のように構成した製氷機10の作動について説明する。製氷機構20により氷片が製造されると、氷片は案内通路30の横通路30Aから鉛直通路30Bを通って貯氷庫12に落下して蓄積される。具体的には、氷片はスパウト31の水平底壁31dから傾斜底壁31eに押し出されてこれを滑り落ちる。スパウト31の傾斜底壁31eを滑り落ちた氷片は検知板50の本体部51の受承板部51aに当たり、受承板部51aの受承面に沿ってシュート35内を落下する。このとき、受承板部51aの受承面を滑り落ちる氷片は両側壁部51b,51bによって受承面の反対側に回り込むことがなく落下する。
【0042】
貯氷庫12内の氷片がシュート35の下端まで積み上がってないときには、
図10(a)、(b)の実線で示したように、検知板50は下端側がシュート35の一方の周壁35aに向けて傾斜した姿勢で軸支され、上端部の取付板部51cに取り付けた磁石54はリードスイッチ36に近接し、リードスイッチ36はオン状態となっている。このリードスイッチ36のオン信号が図示しない制御手段に出力され、制御手段により製氷機構20の運転が継続される。
【0043】
貯氷庫12内の氷片がシュート35の下端まで積み重なり、氷片がシュート35から貯氷庫12に放出できなくなると、検知板50の本体部51の受承板部51aを滑り落ちる氷片はシュート35の一方の周壁35aとの間で積み上がる。検知板50とシュート35の一方の周壁35aとの間に氷片が積み上がると、
図10(a)、(b)の2点鎖線で示したように、検知板50は積み上がる氷片に押されて下端側を鉛直通路30Bの他方の周壁35cに向けて揺動して起立した姿勢となる。検知板50の上端部の磁石54はリードスイッチ36から離間し、リードスイッチ36はオフとなる。このリードスイッチ36のオフ信号が所定時間(例えば5秒)以上継続して図示しない制御手段に出力されると、貯氷庫12内の氷片が満たされたと判断されて、制御手段により製氷機構20の運転が停止される。
【0044】
また、貯氷庫12内から氷片が取り出されて、シュート35内に積み上がっていた氷片が貯氷庫12内に落下すると、検知板50はその軸支した位置と重心位置との関係により、検知板50は自重によって再び下端側がシュート35の一方の周壁35aに向けて傾斜した姿勢に戻る。これにより、検知板50の上端部の取付板部51cに取り付けた磁石54はリードスイッチ36に近接する位置に戻り、リードスイッチ36は再びオン状態となる。このリードスイッチ36のオン信号が図示しない制御手段に出力され、制御手段により製氷機構20の運転が再開される。なお、検知板50の下端部とシュート35の他方の周壁35cとの間に検知板50をシュート35の一方の周壁に向けて付勢するバネ材を介装したときには、検知板50を確実に元の姿勢に戻すことができる。
【0045】
上記のように構成した製氷機10においては、検知板50は下端側に向かうにつれて鉛直通路30Bの一方の周壁35a(シュート35の一方の周壁35a)に向けて傾斜した姿勢で揺動自在に軸支され、検知板50の下端部を製氷機構20で製造された氷片の氷質に応じて鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向または離れる方向に傾けている。
【0046】
具体的には、製氷機構20によりチップアイス(氷片の氷質が固い角氷)を製造する製氷機であるときには、
図9(a)及び
図10(a)に示すように、検知板50の下端部を構成するフラップ部52Aを揺動の中心線と平行な鉛直平面を超えることなく鉛直通路30Bの一方の周壁35aから離れる方向に本体部51の受承板部51aから3°傾けるようにした。このようにしたときには、検知板50の本体部51の受承板部51aを滑り落ちるチップアイスは、検知板50の下端部のフラップ部52Aから離れるように落下し、検知板50は下端側が鉛直通路30Bの他方の周壁35cに向けて不必要に揺動しない。また、チップアイスは積み上がっても自重により崩れやすいことから、貯氷庫12内にチップアイスが鉛直通路30Bの下端まで積み重なり、横通路30Aから落下するチップアイスが鉛直通路30Bの一方の周壁35aと検知板50との間に積み上がるときには、チップアイスは検知板50の下端側を鉛直通路30Bの他方の周壁35cに向けて揺動させるように崩れながら積み重なる。検知板50は積み上がるチップアイスの重さにより下端側が鉛直通路の他方の周壁35cに向けて揺動する。なお、検知板50の下端部のフラップ部52Aは揺動の中心線と平行な鉛直平面を超えないようにしているので、フラップ部52Aにより崩れる氷片を受けることができる。このように、検知板50の下端部のフラップ部52Aを揺動の中心線と平行な鉛直平面を超えることなく鉛直通路30Bの一方の周壁35aから離れる方向に傾けたことで、検知板50を滑り落ちるチップアイスにより検知板50を不必要に揺動させないようにでき、チップアイスが鉛直通路30Bに積み上がるときに検知板50を揺動させて、貯氷庫12の満氷を確実に検知できる。
【0047】
また、製氷機構20によりフレークアイス(氷片の氷質が柔らかい薄片状の氷)を製造する製氷機であるときには、
図9(b)及び
図10(b)に示すように、検知板50の下端部を構成するフラップ部52Bの下端が鉛直通路30Bの一方の周壁35aの内面との間にフレークアイスの大きさより大きな隙間(この実施形態では15mm)を設けた状態で検知板50の下端部のフラップ部52Bを鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向に本体部51の受承板部51aから5°傾けた。このようにしたときには、検知板50の下端とこれに対向する鉛直通路30Bの一方の周壁35aとの間はフレークアイスの大きさより大きな間隔が設けられているので、検知板50は受承板部51a,52aを滑り落ちるフレークアイスによって検知板50の下端側が鉛直通路30Bの他方の周壁35cに向けて不必要に揺動しない。
【0048】
また、フレークアイスは積み上がったときに水分が多い性質のために自重により崩れにくい。貯氷庫12内にフレークアイスが鉛直通路30Bの下端まで積み上がり、フレークアイスが鉛直通路30Bの一方の周壁35aと検知板50との間に積み上がるときには、フレークアイスが検知板50の下端部の鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向に傾けたフラップ部52Aの上側に積み上がっていき、検知板50は積み上がるフレークアイスの重さにより下端側を鉛直通路30Bの他方の周壁35cに向けて揺動する。また、貯氷庫12内からフレークアイスが取り出された後には、鉛直通路30Bの一方の周壁35aと検知板50との間にフレークアイスが残るおそれがあるが、周壁35aとフラップ部52Bの下端にあるフレークアイスは早く溶け、検知板50の受承面にあるフレークアイスがまとまって落下するようになる。このように、検知板50の下端部を構成するフラップ部52Bの下端が鉛直通路30Bの一方の周壁35aの内面との間に氷片の大きさより大きな隙間を設けた状態で検知板50の下端部のフラップ部52Bを鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向に傾けたことで、検知板50を滑り落ちるフレークアイスにより検知板50を不必要に揺動させないようにでき、フレークアイスが鉛直通路30Bに積み上がるときに検知板50を揺動させて、貯氷庫12の満氷を確実に検知できる。
【0049】
このように、製氷機10においては、製氷機構20により製造する氷片の氷質に応じて検知板50の下端部を鉛直通路30Bの一方の周壁35aに近づく方向または離れる方向に傾けるようにしたので、氷片の氷質の異なる機種の製氷機に対応した検知板50を用いることで貯氷庫12の満氷を確実に検知できるようになった。
【0050】
この実施形態においては、検知板50は、本体部51と角度調整可能に傾けるフラップ部52とを着脱可能に固定したものである。このようにしたときには、検知板50をチップアイス用の製氷機、フレークアイス用の製氷機の両方に共通部品として用いることが可能となる。また、各製氷機10の製氷機構20の部品を変更することで、チップアイスとフレークアイスとを互いに変更したときにも、検知板50のフラップ部52の傾きを調整するだけで検知板の部品交換が不要となる。しかし、検知板50は本体部51とフラップ部52とを一体として成形したものであってもよい。すなわち、本体部51とフラップ部52Aとの構成を一体的に成形した検知板50をチップアイス用の製氷機に用い、本体部51とフラップ部52Bとの構成を一体的に成形した検知板50をフレークアイス用の製氷機に用いてもよい。
【0051】
また、
図11に示したように、検知板50の下端部には、さらに鉛直通路30Bの一方の周壁35aとの間隔、角度を調整する調整板55を設けてもよい。このようにしたときにも様々な氷質に対応した貯氷を検出することができる。さらに、検知板50の上端部には重量及び重心位置を変更することを目的とした重りを取り付けてもよい。このようにしたときには、例えば鉛直通路30Bの一方の周壁35aと検知板50の下端との間隔を調整することができ、また、検知板50に働いているモーメントを増減させることができる。
【0052】
また、上記のように構成した製氷機10においては、検知板50は鉛直通路30Bに案内された氷片を受けて落下させる受承板部51aの上端がスパウト31の連結壁(鉛直通路30Bの他方の周壁)31cに当接する位置にて下端側に向かうにつれて鉛直通路30Bの一方の周壁35aに向けて傾斜した姿勢で軸支され、受承板部51aの上端からリードスイッチ36が取り付けられた高さ位置まで上側に突出して設けた取付板部51cに磁石54を取り付け、取付板部51cを受承板部51aの上端から上側に延びる延長線より氷片が通過する経路側に折り曲げて鉛直通路30Bの他方の周壁31cの内面に沿って当接させた。これにより、検知板50に外力が加えられてない傾斜姿勢にあるときに、取付板部51cの磁石54がリードスイッチ36に近づくようになり、リードスイッチ36による検知精度を高くすることができる。また、貯氷を検知するための磁石54は氷片が通過する経路より上側に配置されているので、磁石54がリードスイッチ36から離れる方向に検知板50が揺動した後で、通過する氷片が磁石54を再びリードスイッチ36に近づく方向に検知板50押しつけることがない。
【0053】
検知板50は、受承板部51aを垂直に起立した状態から、先端側が氷が通過する経路側、すなわち鉛直通路30Bの一方の周壁30c側に6.16°傾斜したときに、軸支された位置の鉛直下に重心位置が来るバランスのとれた位置となっている。検知板50の取付板部51cは、受承板部51aの上端から上側に延びる延長線より氷片が通過する経路側に3.6°折り曲げていて、受承板部51aが鉛直通路30Bの他方の周壁31cに当接した状態では、検知板50の受承板部51aは垂直に起立した状態から3.6°傾斜して支持されている。製氷機10を図に示す右側が下側となるように傾けて接地したときに、検知板51は3.6°傾斜して支持された角度からさらに2.56°まで傾斜させても重心位置が軸支された位置から図に示す左側とならず、取付板部51cの磁石54がリードスイッチ36から近接した位置から離間しない。よって、この製氷機10では、上記のように検知板50をさらに2.56°傾斜させても磁石54がリードスイッチ36から離間しないことから、本機10の最大設置許容角度である図に示す右側が下側となるように0.78°傾けて設置したときでも、十分に満氷の検知をさせることができる。
【0054】
また、上記のように構成した製氷機10においては、検知板50の本体部51の側壁部51b,51bの横通路30A側の端縁には外側に延出したフランジ部51d,51dを備えたので、横通路30Aから鉛直通路30Bに案内される氷片及びこれに付着する水分がフランジ部51d,51dによって軸支手段を構成するスパウト31の支軸32,32及び検知板50の軸受部53,53とに当たるのを防ぐことができる。これにより、軸支手段32,32,53,53に氷片及びこれに付着する水分に含まれるスケール成分が付着しないようになり、検知板50の円滑な揺動が阻害されないようになる。また、軸支手段32,32,53,53に氷片が衝突することに起因した破損を防ぐことができる。
【0055】
また、上記のように構成した製氷機10においては、検知板50の側壁部51b,51bの外面に対向するスパウト31の両側壁31b,31bの
図3に示す右下部(鉛直通路30Bの周壁31b,31b)には軸支手段32,32,53,53の下側に埃の付着を防止するガード33,33を突出して設けた。これにより、貯氷庫12から鉛直通路30Bを上昇する空気に含まれる埃がガード33,33によって軸支手段32,32,53,53に付着するのを防ぐことができ、検知板50の円滑な揺動が阻害されないようになる。また、ガード33,33は軸支手段32,32,53,53を下側から囲む円弧形状をし、この円弧形状の上面が下方に傾斜している。これにより、鉛直通路30B内の結露水がガード33,33の上面に落下しても、結露水をガード33,33の上面に留まることなく落下させることができる。なお、ガード33,33をスパウト31の両側壁31b,31bの
図3に示す右下部に突設したが、検知板50の本体部51の両側壁部51b,51bの外面にて軸受部53,53の下側に突設してもよい。また、軸支手段として、スパウト31の支軸32,32に検知板50の軸受部53,53を係合させたが、検知板50の軸受部53,53が設けられた位置に支軸を設け、スパウト31の支軸32,32が設けられた位置に軸受部(この場合には例えばU字形である)を設け、検知板50の支軸をスパウト31の軸受に係合させてもよい。
【0056】
また、上記のように構成した製氷機においては、シュート35の側壁(鉛直通路30Bの一方の周壁)35aの内面には氷片の貼り付きを防ぐ凹凸部35bを設けた。貯氷庫12の氷片が鉛直通路30Bの下端まで積み重なることにより、横通路30Aから落下する氷片がシュート35の側壁35a内面と検知板50との間に積み上がったときに、氷片は凹凸部35bによって接触面積が減ることでシュート35の側壁35a内面に貼り付きにくくなる。これにより、貯氷庫12内の氷片を取り出してその量が減少したときに、シュート35内に積み上がった氷片はシュート35の周壁35aの内面に貼り付いて残ることなく貯氷庫12に落下し、検知板50の下端側はシュート35の他方の側壁35cから一方の周壁35aに向けて戻り、リードスイッチ36により元の姿勢に戻った検知板50の揺動姿勢により貯氷庫12内の満氷状態の正確な検知をすることができる。
【0057】
また、凹凸部35bは上下方向に延びる凹溝を幅方向に連続して形成したものであるので、シュート35内に積み上がった氷片が凹溝に沿って落下しやすくなる。また、氷片に付着する水分は凹溝に沿って流下して残りにくくなり、水分に含まれるスケール成分が析出しにくくなる。凹凸部35bはシュート35の一方の周壁35aの内面の下部にだけ形成されているので、氷片が積み上がるシュート35の一方の周壁35aの下部の氷片の貼り付きを防ぐことを可能としつつ、シュート35の一方の周壁35aの内面の上部に製氷機構20から氷片とともに流れ落ちる水分に含まれる多く含まれるスケール成分が析出して固着するのを防ぐことができる。
【0058】
また、上記のように構成した製氷機10においては、案内通路30の一部を構成するスパウト31内の上部には内部に氷片が飽和状態を超えるように蓄積したときに氷片を放出してスパウト31が破損するのを防ぐ上部開口31iと、上部開口31iを覆う蓋体37を備えている。蓋体37がスパウト31の上部開口31iから押し出される氷により開放されるように、蓋体37は弱い力(約20N)の板バネ38により閉じられている。また、上部開口31iからスパウト31内に埃などが進入しないように十分にシールする必要がある。そのために、スパウト31の上部開口31i周縁と蓋体37との間にはタイプAのデューロメータによる硬さが5〜10のパッキン41を介装した。これにより、パッキン41は弱い力の板バネ38で閉じた蓋体37に押圧されても十分に弾性変形し、スパウト31の上部開口31iと蓋体37との間をシールすることができた。なお、タイプAのデューロメータによる硬さが5〜10のパッキンとして、ポリエチレン発泡体が最適である。
【0059】
また、パッキン41はスパウト31上部開口31i周縁上面と蓋体37とで上下から狭持するのが好ましい。スパウト31の上部開口31iの外周面と蓋体37に設けた縦フランジ37aの内周面との間にパッキン41を介装したときには、蓋体37の開閉をしたときに、蓋体37がパッキン41を巻き込んで全周を十分にシールすることができないおそれがある。これに対し、パッキン41をスパウト31の上部開口31iの周縁のフランジ部31jの上面と蓋体37の縦フランジ37aの下端とで上下から狭持したときには、蓋体37がパッキン41を巻き込むおそれもなく、上部開口31i周縁と蓋体37との間の全周をパッキン41によりシールされていることの確認をして蓋体37を閉じることができる。
【0060】
また、蓋体37にはスパウト31の傾斜底壁31eの上側に凹部37bが形成されている。この凹部37bはスパウト31内の氷片が飽和状態となっても、検知板50の上端部の磁石54がリードスイッチ36に近接する位置に押しつけられないように、鉛直通路30Bの上部に氷片が積み上がらないようにすることを目的としたものである。
【0061】
上記の実施形態においては、貯氷センサとして磁石の近接または離間によりオンまたはオフ作動するリードスイッチを用いたが、検知板の揺動姿勢を検出する光学式のセンサ焼き開式のリミットスイッチ等であってもよい。
【0062】
上記の実施形態においては、案内通路をスパウトとシュートにより形成したが、スパウトとシュートとを一体的に形成したものであってもよい。