特許第6000772号(P6000772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000772
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】巻取りスプール
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/14 20060101AFI20160923BHJP
   B65H 75/22 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   B65H75/14
   B65H75/22
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-201148(P2012-201148)
(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公開番号】特開2014-55053(P2014-55053A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将理
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−46784(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/035999(WO,A1)
【文献】 実公昭38−9901(JP,Y1)
【文献】 特開2004−323191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H75/00−75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状、線状、又は、チェーン状の長尺物が外周に巻付けられる芯部と、
前記芯部の両端部からそれぞれ前記芯部の外周方向に延出する一対の側板とを備えた巻取りスプールであって、
当該巻取りスプールは、複数のパーツを組付けることで構成され、
前記各パーツは、それぞれ少なくとも2つの係止部と、自身に組付けられる前記パーツの前記係止部に係止される被係止部とを備えており、
互いに組付けられるパーツ間の着脱方向から見て、一方のパーツの係止部及び他方のパーツの係止部が近接位置、又は、同じ位置にあり、かつ、
互いに組付けられるパーツのうち一方のパーツの係止部及び他方のパーツの係止部は、互いに組付けられるパーツ間の着脱方向において異なる位置でそれぞれ対応する被係止部と係止されていることを特徴とする巻取りスプール。
【請求項2】
互いに組付けられる前記パーツのうち一方には位置決め甲部が設けられるとともに、他方には当該パーツの組付け状態において前記位置決め甲部と略嵌合する位置決め乙部が設けられ、
前記位置決め甲部と前記位置決め乙部とが略嵌合することで、当該パーツの組付け方向に対して交差する方向における相対変位が防止され、
前記係止部及び前記被係止部は、前記位置決め甲部及び前記位置決め乙部、又は、その近傍部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の巻取りスプール。
【請求項3】
前記芯部の外周面は、断面略正円状、又は、点対称の略正多角形状をなし、
前記複数の係止部は、互いに、前記芯部の中心軸を中心とする回転対称位置に設けられるとともに、
前記被係止部は、前記芯部の中心軸を中心として、前記係止部の回転対称位置に設けられ、
前記パーツは、1つの前記側板と、当該側板に対し一体的に設けられ、前記芯部のうち当該芯部の軸線方向における半分とを備え、
同形状をなす一対の前記パーツを組合わせることで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻取りスプール。
【請求項4】
前記芯部の外周面は、断面非対称形状をなし、
1つの前記側板を備える同形状のパーツを2つと、前記芯部を備えるパーツとを組み合わせることで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻取りスプール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状、線状、チェーン状等の長尺物を巻取るための巻取りスプールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状、線状、チェーン状等の長尺物を運搬したり、保管したり、支持したりする場合、円筒状の芯部と、芯部の両端部に設けられた円盤状の側板とを備える巻取りスプールを用いることが知られている。つまり、巻取りスプールの芯部に長尺物を巻付けることで、芯部に巻き付けられた長尺物よりも芯部の外周側に突出する側板によって長尺物の保護を図りつつ、長尺物を効率的に運搬・保管等することができるようになっている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−150465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されている巻取りスプールには、芯部の両端部にキャップが取付けられており、芯部と各キャップとの間に側板を挟み込むことによって、各側板の脱落が防止されるようになっている。しかしながら、キャップは、先端部に爪部を有する一対の係止片を、芯部の内周面に形成された段差部に係止させることのみで芯部に取付けられている。従って、巻取りスプールが高速回転したり、巻取りスプールに対して強い衝撃が加えられたりした場合に、キャップ及び側板が芯部から外れてしまうことが懸念される。また、キャップを芯部に取付けた状態であっても、芯部に対して側板が相対的に回転してしまうことが懸念され、長尺物の巻取りに際して長尺物と側板とが擦れて長尺物に悪影響を及ぼしたり、側板と芯部とが擦れて側板や芯部が削られたりするといった不具合を招くおそれがある。
【0005】
本発明は上記問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、芯部と側板との取付状態の安定化を図ることのできる巻取りスプールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.帯状、線状、又は、チェーン状の長尺物が外周に巻付けられる芯部と、
前記芯部の両端部からそれぞれ前記芯部の外周方向に延出する一対の側板とを備えた巻取りスプールであって、
当該巻取りスプールは、複数のパーツを組付けることで構成され、
前記各パーツは、それぞれ少なくとも2つの係止部と、自身に組付けられる前記パーツの前記係止部に係止される被係止部とを備えており、
互いに組付けられるパーツ間の着脱方向から見て、一方のパーツの係止部及び他方のパーツの係止部が近接位置、又は、同じ位置にあり、かつ、
互いに組付けられるパーツのうち一方のパーツの係止部及び他方のパーツの係止部は、互いに組付けられるパーツ間の着脱方向において異なる位置でそれぞれ対応する被係止部と係止されていることを特徴とする巻取りスプール。
【0008】
手段1によれば、互いに組付けられるパーツのうち一方だけが他方の被係止部に係止される係止部を備えるのではなく、両方のパーツが、他方の被係止部に係止される係止部を備えている。このため、一方のパーツの係止部の係止状態が一瞬解除されたとしても、他方のパーツの係止部の係止状態が安定していれば、パーツ同士が外れるような相対変位が防止されてパーツの組付け状態を維持することができる。特に、両パーツの係止部を、パーツの組付け状態において、互いに近接配置するとともに、近接配置された両パーツの係止部に対して一度に係止状態が解除されるような応力が作用しないように配置する場合、一方のパーツの係止部の係止状態が一瞬解除されたとしても、パーツ間の着脱方向においてかかる係止部が対応する被係止部に対して相対変位してしまうといった事態を防止することができる。従って、前記一方のパーツの係止部についても直に元通りの係止状態に戻ることが可能となる。結果として、パーツ間の組付け状態の安定化(芯部と側板との取付状態の安定化)を図ることができる。
【0009】
また、巻取りスプールを構成する全てのパーツが上記のようにがっちりと組付けられるため、芯部に対して側板が相対的に回転してしまうといった事態を防止することができる。従って、長尺物の巻取り時等に際して、長尺物と側板とが擦れて長尺物に悪影響を及ぼしたり、側板と芯部とが擦れて側板や芯部が削られたりするといった不具合を回避することができる。
【0010】
また、互いに組付けられるパーツ間の着脱方向から見て(着脱方向に対して直交する方向において、一方のパーツの係止部及び他方のパーツの係止部が近接位置、又は、同じ位置にある。このため、組付けられて同じ位置にある係止部のうち一方の係止状態が一瞬解除されたとしても、他方の係止状態が解除されていなければ、当該一方の係止部の係止状態が解除された部位において、パーツ同士が外れる方に相対変位してしまうといった事態をより確実に防止することができる。また、互いに組付けられるパーツのうち一方のパーツの係止部及び他方のパーツの係止部は、互いに組付けられるパーツ間の着脱方向において異なる位置でそれぞれ対応する被係止部と係止されている。このため、一方のパーツの係止部及び他方のパーツの係止部が一度に係止状態を解除されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0011】
手段2.互いに組付けられる前記パーツのうち一方には位置決め甲部が設けられるとともに、他方には当該パーツの組付け状態において前記位置決め甲部と略嵌合する位置決め乙部が設けられ、
前記位置決め甲部と前記位置決め乙部とが略嵌合することで、当該パーツの組付け方向に対して交差する方向における相対変位が防止され、
前記係止部及び前記被係止部は、前記位置決め甲部及び前記位置決め乙部、又は、その近傍部位に形成されていることを特徴とする手段1に記載の巻取りスプール。
【0012】
手段2によれば、位置決め甲部及び位置決め乙部があることで、長尺物の巻取り等に際して係止部及び被係止部にかかる負担を軽減させることができる。従って、長尺物の巻取り時等における係止部及び被係止部の保護を図りつつ、係止部の係止状態の安定化を図ることができる。特に、係止部及び被係止部は、位置決め甲部及び位置決め乙部、又は、その近傍部位に形成されていることから、例えば、両者が比較的大きく離間している場合に比べ、位置決め甲部及び位置決め乙部による位置決め効果が係止部及び被係止部に対してより確実に奏されるとともに、係止部が係止状態とされることによる位置決め効果が位置決め甲部及び位置決め乙部に対してより確実に奏されることとなる。従って、係止部及び被係止部の(芯部の軸線方向に対して交差する方向における)位置ずれや、位置決め甲部及び位置決め乙部自体の(芯部の軸線方向における)位置ずれをより確実に防止することができ、芯部と側板との取付状態の安定化をより一層図ることができる。
【0013】
手段3.前記芯部の外周面は、断面略正円状、又は、点対称の略正多角形状をなし、
前記複数の係止部は、互いに、前記芯部の中心軸を中心とする回転対称位置に設けられるとともに、
前記被係止部は、前記芯部の中心軸を中心として、前記係止部の回転対称位置に設けられ、
前記パーツは、1つの前記側板と、当該側板に対し一体的に設けられ、前記芯部のうち当該芯部の軸線方向における半分とを備え、
同形状をなす一対(2つ)の前記パーツを組合わせることで構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の巻取りスプール。
【0014】
手段3によれば、1つの金型を用いて2つのパーツを成形することで、最終製品としての巻取りスプールを製造することができる。また、1回の組付け作業で(いわばワンタッチで)巻取りスプールを完成させることができる。従って、生産性の向上、製造コストの削減等を図ることができる。さらに、1つの側板と、芯部の半分とが一体成形された一対のパーツを組み合わせることで巻取りスプールが構成されるため、芯部に対して側板が相対的に回転してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0015】
尚、「断面略正円状」、「点対称の略正多角形状」とあるのは厳密な意味ではなく、例えば、長尺物の端部を係止する凹部を備える等、多少の凹凸を有していてもよい。
【0016】
手段4.前記芯部の外周面は、断面非対称形状(断面正円状、及び、正多角形状以外の形状)をなし、
1つの前記側板を備える同形状のパーツを2つと、前記芯部を備えるパーツとを組み合わせることで構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の巻取りスプール。
【0017】
手段4によれば、芯部を側板とをそれぞれ別パーツにすることによって、芯部の断面形状を比較的自由に(断面非対称形状に)設計することができる。また、一対の側板を構成するパーツは同形状であることから同一の金型によって成形することができる上、芯部のパーツへの組付け間違いも生じない。さらに、巻取りスプールを成形するための金型装置は複数(2つ)必要になるものの、芯部を成形するものと、側板を成形するものとで分けることによって、芯部を成形する金型を極力小さくすることができる。つまり、例えば、一つの側板及び芯部を備えるパーツと、一つの側板を備えるパーツとを組合わせたり、一つの側板及び芯部の半分を備えるパーツ(係止部位の形成位置等が異なる)を2つ組合わせたりすることでも巻取りスプールを製造することはできるが、2つの金型装置の両方ともが、側板を成形する大きさが必要になってしまい、両金型装置が比較的大型化する等の不具合を招くことが懸念される。この点、本手段のように、巻取りスプールを構成するパーツを側板のパーツと、芯部のパーツとに分けることによって、芯部のパーツ成形用の金型については小さくすることができることから、製造設備にかかるコストの抑制、設備の設置に必要なスペースの低減等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態における巻取りスプールの斜視図である。
図2】パーツの斜視図である。
図3図2におけるJ部の拡大図である。
図4図1のA−A線断面を含む斜視図である。
図5図1のB−B線断面を含む斜視図である。
図6】芯部の断面を含む斜視図である。
図7】第2実施形態における巻取りスプールの斜視図である。
図8図7におけるK部の拡大図である。
図9】側板パーツの外面側斜視図である。
図10】側板パーツの内面側斜視図である。
図11図10におけるL部の拡大図である。
図12】芯パーツの斜視図である。
図13】芯パーツの斜視図である。
図14図8のC−C線断面を含む斜視図である。
図15図8のD−D線断面を含む斜視図である。
図16】1つの側板パーツと芯パーツとを組付けた状態を示す斜視図である。
図17図16のE−E線断面を含む斜視図である。
図18】芯部に巻き取られた長尺物等を示す芯パーツ等の正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態について図面を参照して説明する。図1図2等に示すように、巻取りスプール1は、帯状、線状、又は、チェーン状の長尺物が外周に巻付けられる芯部2と、芯部2の両端部からそれぞれ芯部2の外周方向に延出する一対の側板3とを備えている。また、本実施形態の巻取りスプール1は、ポリプロピレンにより構成される同形状のパーツ5を2つ組み合わせることによって構成されている。
【0020】
より具体的に、パーツ5は、1つの側板3と、芯部2の軸線方向における半分(以下、「芯構成部6」と称する)とを備え、これらが一体成形されることによって構成されている。図2に示すように、側板3は、略車輪状をなしており、略円盤状のハブ11と、内周縁がハブ11の外周縁と同心円をなす円環状のリム12と、ハブ11の外周縁からリム12の内周縁にかけて放射状に延出するスポーク13とを備えている。図3に示すように、ハブ11の中心部には、巻取りスプール1に長尺物を巻き付ける際に、図示しないモータに連結された駆動軸が挿入される軸孔14が形成されている。
【0021】
図3に示すように、芯構成部6は、軸孔14を囲むようにしてハブ11から直交する方向に突出する略四角筒状の中筒部15と、中筒部15を囲むようにしてハブ11から直交する方向に突出する略円筒状のリール枠16と、中筒部15の外周面4隅と、リール枠16の内周面との間を連結する補強リブ17とを備えている。また、リール枠16の外周面側には、内周側に凹む始端留め部18が形成されている。当該始端留め部18には、長尺物の巻取りに際して長尺物の始端部が挿入される。これにより、長尺物の始端部が芯部2に対して係止され、巻取りスプール1を回転させることで長尺物を芯部2の外周に巻取ることができるようになっている。本実施形態では、4つの始端留め部18が芯構成部6の中心軸を中心とする回転対称な位置に設けられており、リール枠16は4回対称形状となっている。
【0022】
さらに、略四角筒状の中筒部15には、相対する一対の壁部に対し、それぞれ中筒部15の内周側に凹む嵌合凹部19が形成されている。嵌合凹部19が形成されることにより、中筒部15のうち嵌合凹部19に対応する部位の外面は、中筒部15を構成する壁部の厚み分だけ中筒部15の内周側に変位した位置に設けられている。
【0023】
また、芯構成部6には、四角筒状の中筒部15を構成する各壁部の先端縁からそれぞれ延出する係止部としての第1係止片21及び第2係止片22が設けられている。第1係止片21は、中筒部15を構成する壁部のうち、嵌合凹部19の形成された相対する一対の壁部に形成され、第2係止片22は、嵌合凹部19の形成されていない相対する一対の壁部に形成されている。第1係止片21は、中筒部15を構成する壁部のうち、嵌合凹部19が形成されることで中筒部15の内周側に凹んだ部位から真っ直ぐに延出する可撓部23と、可撓部23の先端部から中筒部15の外周側に突出する爪部24とを備えている。
【0024】
第2係止片22は、嵌合凹部19とほぼ同じ横幅で、中筒部15を構成する壁部のうち、嵌合凹部19に対して中筒部15の中心軸を中心とする回転対称な部位(嵌合凹部19を90度回転させた場合の部位)から真っ直ぐに延出する可撓部25と、可撓部25の先端部から中筒部15の内周側に突出する爪部26とを備えている。尚、本実施形態では、第1係止片21及び第2係止片22の横幅は同じであり、また、第1係止片21及び第2係止片22の爪部24、26は、第1係止片21及び第2係止片22(可撓部23、25)の横幅一杯に形成されている。
【0025】
さらに、中筒部15の付根側(側板3との連接部側)には、各係止片21、22の爪部24、25の形成範囲に対応して、中筒部15の外周方向に貫通する被係止部としての係止孔28が形成されている。そして、パーツ5を2つ用意し、芯構成部6同士を突き合わせるようにして、2つのパーツ5を向い合せる。このとき、一方のパーツ5を他方のパーツ5に対して90度回転させた姿勢とする。これにより、一方のパーツ5の第1係止片21と他方のパーツ5の第2係止片22とが対向し、一方のパーツ5の第2係止片22と他方のパーツ5の第1係止片21とが対向するように配置される。
【0026】
続いて、一対のパーツ5同士を押し付けることで、図4図6に示すように、一方のパーツ5の第1係止片21及び第2係止片22が、他方のパーツ5の係止孔28に係止される。このとき、他方のパーツ5の第1係止片21及び第2係止片22についても、一方のパーツ5の係止孔28に係止される。以上のようにして、一対のパーツ5が組付けられ、巻取りスプール1が完成する。
【0027】
また、パーツ5同士を組付けた状態とすることで、一方のパーツ5の第2係止片22が、他方のパーツ5の嵌合凹部19に挿通されて、第2係止片22の可撓部25が嵌合凹部19の内側に略嵌合する。これにより、パーツ5の組付け方向(着脱方向)に対して交差する方向におけるパーツ5間の相対変位を防止することができる。本実施形態では、第2係止片22の可撓部25が位置決め甲部を構成し、嵌合凹部19が位置決め乙部を構成している。
【0028】
尚、軸孔14に挿通される駆動軸(図示略)は、略円柱状の本体と、本体の外周面から突出し、円筒体の長手方向に延びる3本の突条部が、互いに円筒体の中心軸を中心とする回転対称位置に(120度ピッチで)設けられている。これに対し、軸孔14には、かかる突条部の挿通を許容するとともに、当該突条部と略係合して、駆動軸の回転に伴って巻取りスプール1を回転させるための回り止め凹部14aが形成されている。本来であれば、回り止め凹部14aは、駆動軸の突条部に対応して、120度ピッチで3つ形成されていればよいのではあるが、本実施形態では、同じ形状の2つのパーツ5を互いに向かい合わせ、90度回転させた姿勢で組付けることとしているため、30度ずれた位置にも回り止め凹部14aが(合計6つ)形成されている。
【0029】
以上詳述したように、第1実施形態によれば、互いに組付けられるパーツ5のうち一方だけが他方の係止孔28に係止される係止片21、22を備えるのではなく、両方のパーツ5が、他方の係止孔28に係止される係止片21、22を備えている。このため、一方のパーツ5の係止片21、22の係止状態が一瞬解除されたとしても、他方のパーツ5の係止片21、22の係止状態が安定していれば、パーツ5同士が外れるような相対変位が防止されてパーツ5の組付け状態を維持することができる。
【0030】
特に、本実施形態では、略四角筒状をなす中筒部15のうち相対する一対の壁部において一対の第1係止片21が設けられ、残りの相対する一対の壁部において一対の第2係止片22が設けられ、一対のパーツ5同士を向き合わせて相対的に90度回転させて組付けると、一方のパーツ5の第1係止片21の可撓部23外面が、他方のパーツ5の第2係止片22が延出している壁部内面に略当接するとともに、当該壁部に形成された係止孔28に一方のパーツ5の第1係止片21の爪部24が係止される。その一方で、他方のパーツ5の第2係止片22の可撓部25内面が、一方のパーツ5の第1係止片21が延出している壁部外面(嵌合凹部19)に略当接するとともに、当該壁部に形成された係止孔28に他方のパーツ5の第2係止片22の爪部26が係止される。つまり、パーツ5間の着脱の方向に対して直交する方向における同じ位置に一方の第1係止片21及び他方の第2係止片22が設けられている。これにより、一方のパーツ5の係止片21、22の係止状態が一瞬解除されたとしても、パーツ5間の着脱方向においてかかる係止片21、22が対応する係止孔28に対して相対変位してしまうといった事態をより確実に防止することができる。従って、前記一方のパーツ5の係止片21、22についても直に元通りの係止状態に戻ることが可能となる。さらには、一方のパーツ5の第1係止片21及び他方のパーツ5の第2係止片22は、パーツ5間の着脱の方向において異なる位置でそれぞれに対応する係止孔28と係止されていることから、(例えば、一方のパーツ5の第1係止片21及び他方のパーツ5の第2係止片22の爪部26同士が係止し合うような場合に比べ、)パーツ5間の着脱方向に対して直交する方向において同じ位置に配置された両パーツ5の係止片21、22の係止状態が一度に解除されてしまうといった事態を抑制することができる。結果として、パーツ5間の組付け状態の安定化を図ることができる。
【0031】
また、本実施形態の巻取りスプール1は、1つの側板3と芯部2の半分とが一体成形された同形状のパーツ5を2つ組み合わせることで構成されている。このため、1つの金型を用いて2つのパーツ5を成形することで、最終製品としての巻取りスプール1を製造することができる。さらに、1回の組付け作業で(いわばワンタッチで)巻取りスプール1を完成させることができる。従って、生産性の向上、製造コストの削減等を図ることができる。また、1つの側板3と、芯部2の半分とが一体成形された一対のパーツ5を組み合わせることで巻取りスプール1が構成されるため、芯部2に対して側板3が相対的に回転してしまうといった事態をより確実に防止することができる。従って、長尺物の巻取り時等に際して、長尺物と側板3とが擦れて長尺物に悪影響を及ぼしたり、側板3と芯部2とが擦れて側板3や芯部2が削られたりするといった不具合を回避することができる。
【0032】
加えて、中筒部15を構成する相対する一対の壁部に嵌合凹部19を形成し、パーツ5の組付け時に、相手側のパーツ5の第2係止片22の可撓部25が嵌合凹部19に嵌合するようになっている。これにより、パーツ5同士の抜け方向以外の方向における位置ずれを防止することができ、長尺物の巻取り等に際して係止片21、22及び係止孔28にかかる負担を軽減させることができる。従って、長尺物の巻取り時等における係止片21、22及び係止孔28の保護を図りつつ、係止片21、22の係止状態の安定化を図ることができる。特に、第2係止片22の爪部26を係止する係止孔28は、嵌合凹部19に設けられていることから、例えば、嵌合凹部19から離間したところに第2係止片22の爪部26が係止されるような場合に比べ、第2係止片22の可撓部25を嵌合凹部19に嵌合させることによる位置決め効果が第2係止片22及び係止孔28に対してより確実に奏されるとともに、第2係止片22が係止状態とされることによる位置決め効果が嵌合凹部19及び第2係止片22の可撓部25に対してより確実に奏されることとなる。従って、相乗的な位置決め効果がより効果的に奏されることとなり、パーツ5間の組付け状態の安定化をより一層図ることができる。
【0033】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について特徴部分を中心に図7図18を参照して説明する。図7図8に示すように、第2実施形態の巻取りスプール41は、上記第1実施形態の巻取りスプール1と同様にして、帯状、線状、又は、チェーン状の長尺物が外周に巻付けられる芯部42と、芯部42の両端部からそれぞれ芯部42の外周方向に延出する一対の側板43とを備えている。但し、第2実施形態では、巻取りスプール41は、側板43を具備する同形状の側板パーツ45(図9図10参照)を2つと、芯部42を具備する芯パーツ46(図12図13参照)とを組み合わせることによって構成されている。
【0034】
より具体的に、側板パーツ45は、図9図10に示すように略車輪状をなしており、略円盤状のハブ51と、内周縁がハブ51の外周縁と同心円をなす円環状のリム52と、ハブ51の外周縁からリム52の内周縁にかけて放射状に延出するスポーク53とを備えている。ハブ51の中心部には、巻取りスプール41に長尺物49を巻き付ける際に、図示しないモータに連結された駆動軸が挿入される軸孔54が形成されている。
【0035】
また、図11等に示すように、ハブ51の芯パーツ46側の面には、軸孔54を囲むようにしてハブ51から直交する方向に突出する位置決め甲部としての位置決めリブ55が設けられている。位置決めリブ55は、略正六角形状をなすようにして延在している。さらに、位置決めリブ55の外周面側には、そのうちの一辺を位置決めリブ55の内周側に凹ませるようにして形成された位置合わせ凹部56が形成されている。
【0036】
さらに、側板パーツ45には、位置決めリブ55のうち、位置合わせ凹部56が形成された辺部の右側に連接する辺部、及び、当該辺部に相対する辺部から突出する一対の係止部としての側板側係止片57が設けられている。側板側係止片57は、位置決めリブ55の突出方向先端部から延出する可撓部57aと、可撓部57aの先端部から位置決めリブ55の外周側に突出する爪部57bとを備えている。加えて、ハブ51には、位置決めリブ55のうち側板側係止片57が設けられた辺部の外面に隣接する範囲において被係止部としての係止孔59が形成されている。
【0037】
図12等に示すように、芯パーツ46は、前記側板パーツ45の位置決めリブ55よりも一回り大きな略正六角形状をなす中筒部61と、中筒部61を囲む略円筒状のリール枠62と、中筒部61の外周面と、リール枠62の内周面との間を連結する連結部63とを備えている。また、リール枠62の外周面側には、内周側に凹む始端留め部64が形成されている。図18に示すように、始端留め部64には、長尺物49の巻取りに際して長尺物49の始端部が挿入される。これにより、長尺物49の始端部が芯部42に対して係止され、巻取りスプール41を回転させることで長尺物49を芯部42の外周に巻取ることができるようになっている。
【0038】
本実施形態のリール枠62の外周形状は断面正円形状ではなく、始端留め部64を境にして、リール枠62の外周面の一方側が、他方側よりも長尺物49の厚み程度だけ内周側にずれて位置している。また、リール枠62の外周は、始端留め部64以外の部位に関しては、滑らかに連続している(リール枠62の外周面が略インボリュート曲線を描くようにして延在している)。これにより、長尺物49をリール枠62の周りに一周巻取った時点において、リール枠62の外周面の端縁と、既に巻き取られている長尺物49の外面との間にほとんど段差や隙間が形成されなくなる。結果として、長尺物49をきれいに巻き取ることができるようになっている。加えて、本実施形態では、中筒部61のうち始端留め部64に対応する部位において内周側に突出する始端凸部65が形成されており、その内側を始端留め部64と連通させることで、始端留め部64が中筒部61よりも芯パーツ46の中心部側にまで拡張されている。
【0039】
また、芯パーツ46には、芯パーツ46を軸線方向の一方側から正面視した場合(例えば、始端留め部64が上向きとなる姿勢で、芯パーツ46の外周面のうち始端留め部64の右側の方が左側よりも外周側に位置しているような向きで視認した場合)において、中筒部61を構成する6つの壁部のうち、始端凸部65が形成された壁部の左側に連接する壁部、及び、これに相対する壁部の手前側の辺部から手前側に突出する一対の係止部としての芯側第1係止片66が設けられている(図12参照)。さらに、芯パーツ46を軸線方向の一方側から正面視した状態から芯パーツ46を裏返し、芯パーツ46を軸線方向の他方側から正面視した場合において、中筒部61を構成する6つの壁部のうち、始端凸部65が形成された壁部の左側に連接する壁部、及び、これに相対する壁部の手前側の辺部から手前側に突出する一対の係止部としての芯側第2係止片67が設けられている(図13参照)。芯側第1係止片66、及び、芯側第2係止片67は、中筒部61を構成する壁部から芯部42の軸線方向に沿って延出する可撓部68と、可撓部68の先端部から中筒部61の内周側に突出する爪部69とを備えている。
【0040】
加えて、中筒部61を構成する壁部には、芯側第1係止片66及び芯側第2係止片67が延出形成された辺部とは反対側の辺部において、前記側板パーツ45の側板側係止片57の爪部57bが係止される被係止部としての係止凹部70が形成されている。
【0041】
そして、芯パーツ46の軸線方向の前記他方側と、側板パーツ45の位置決めリブ55が形成された内面とを対向させて、芯パーツ46の始端凸部65と、側板パーツ45の位置合わせ凹部56とを位置合わせすると、芯側第2係止片67と、側板側係止片57とが対向配置されることとなる。この状態から、芯側第2係止片67及び側板側係止片57を弾性変形させつつ、両者を押し付け合うと、図16図17に示すように、芯側第2係止片67が側板パーツ45の係止孔59に挿通されて、当該芯側第2係止片67の爪部69がハブ51の反対面側(側板43の側面)に係止され、側板側係止片57の爪部57bが芯パーツ46の係止凹部70に係止される。
【0042】
さらに、芯パーツ46の軸線方向の前記一方側についても、図14図15に示すように、芯パーツ46の芯側第1係止片66を側板パーツ45の係止孔59(の周縁部)に係止させ、側板パーツ45の側板側係止片57を芯パーツ46の係止凹部70に係止させる。以上のようにして、芯パーツ46と一対の側板パーツ45とが組付けられ、巻取りスプール41が完成する。
【0043】
また、芯パーツ46と側板パーツ45とが組付けられた状態では、芯パーツ46の中筒部61の内側に、側板パーツ45の位置決めリブ55が嵌合されるとともに、位置決めリブ55に形成された位置合わせ凹部56の内側に、中筒部61に形成された始端凸部65が嵌合される(図16等参照)。これにより、芯部42の軸線方向に対して交差する方向における、芯パーツ46と側板パーツ45との間の相対変位を防止することができる。尚、本実施形態では、側板パーツ45の位置決めリブ55が位置決め甲部を構成し、芯パーツ46の中筒部61が位置決め乙部を構成している。
【0044】
以上詳述したように、第2実施形態によれば、側板パーツ45において、芯パーツ46の係止凹部70に係止される側板側係止片57が設けられているだけではなく、芯パーツ46において、側板パーツ45の係止孔59に係止される芯側第1係止片66及び芯側第2係止片67が設けられている。このため、互いに組付けられた側板パーツ45及び芯パーツ46のうち一方のパーツの係止片の係止状態が一瞬解除されたとしても、他方のパーツの係止片の係止状態が安定していれば、パーツ同士が外れるような相対変位が防止されて側板パーツ45及び芯パーツ46の組付け状態を維持することができる。
【0045】
特に、側板パーツ45と芯パーツ46との組付け状態において、パーツ45、46間の着脱の方向に対して直交する方向における同じ位置に芯側第1係止片66及び芯側第2係止片67と、側板側係止片57とが設けられている。これにより、側板パーツ45及び芯パーツ46のうち一方のパーツの係止片の係止状態が一瞬解除されたとしても、パーツ45、46間の着脱方向においてかかる係止片が対応する係止孔59又は係止凹部70に対して相対変位してしまうといった事態をより確実に防止することができる。従って、前記一方のパーツの係止片についても直に元通りの係止状態に戻ることが可能となる。さらには、芯側第1係止片66及び芯側第2係止片67と、対応する側板側係止片57とは、パーツ45、46間の着脱の方向において異なる位置でそれぞれに対応する係止孔59、又は、係止凹部70と係止されていることから、(例えば、芯側第1係止片66及び芯側第2係止片67の爪部69と、側板側係止片57の爪部57bとが係止し合うような場合に比べ、)パーツ45、46間の着脱方向に対して直交する方向において同じ位置に配置された両パーツ45、46の係止片の係止状態が一度に解除されてしまうといった事態を抑制することができる。結果として、パーツ45、46間の組付け状態の安定化を図ることができる。
【0046】
また、巻取りスプール41を構成する全てのパーツ45、46が上記のようにがっちりと組付けられるため、芯部42に対して側板43が相対的に回転してしまうといった事態を防止することができる。従って、長尺物49の巻取り時等に際して、長尺物49と側板43とが擦れて長尺物49に悪影響を及ぼしたり、側板43と芯部42とが擦れて側板43や芯部42が削られたりするといった不具合を回避することができる。
【0047】
また、芯パーツ46と側板パーツ45との組付け状態において、芯パーツ46の略6角形筒状の中筒部61の内側に、側板パーツ45の略6角形筒状の位置決めリブ55が嵌合されるようになっている。これにより、芯パーツ46と側板パーツ45との組付け方向に対して交差する方向における芯パーツ46と側板パーツ45との間の相対変位をより確実に防止することができる。さらに、長尺物49の巻取り等に際して側板側係止片57、芯側第1係止片66、芯側第2係止片67、及び、係止孔59や係止凹部70の周縁部にかかる負担を軽減させることができる。従って、長尺物49の巻取り時等における側板側係止片57、芯側第1係止片66、及び、芯側第2係止片67等の保護を図りつつ、側板側係止片57、芯側第1係止片66、及び、芯側第2係止片67の係止状態の安定化を図ることができる。
【0048】
特に、側板側係止片57、及び、係止孔59は、位置決めリブ55又はその近傍部位に形成され、芯側第1係止片66、芯側第2係止片67、及び、係止凹部70は、中筒部61に形成されている。このため、例えば、両者が比較的大きく離間している場合に比べ、位置決めリブ55が中筒部61に内嵌されていることによる位置決め効果が、各係止片57、66、67に対してより確実に奏されるとともに、各係止片57、66、67が係止状態とされることによる位置決め効果が、位置決めリブ55及び中筒部61に対してより確実に奏されることとなる。従って、相乗的な位置決め効果がより効果的に奏されることとなり、パーツ45、46の組付け状態の安定化をより一層図ることができる。
【0049】
加えて、本実施形態では、芯パーツ46と側板パーツ45との組付け状態において、中筒部61と位置決めリブ55とが嵌合されるだけではなく、位置決めリブ55に形成された位置合わせ凹部56の内側に、中筒部61に形成された始端凸部65が嵌合されることとなる。これにより、位置決め効果がより一層奏されることとなる。さらに、始端凸部65及び位置合わせ凹部56は、側板パーツ45と芯パーツ46とを組付ける際の向きを合わせる目印にもなる。
【0050】
また、本実施形態では、1つの側板43を具備する側板パーツ45を2つと、芯部42を具備する芯パーツ46とを組み合わせることで巻取りスプール41が構成されている。このように、芯部42を側板43とをそれぞれ別パーツにすることによって、芯部42の断面形状を比較的自由に(断面非対称形状に)設計することができる。また、一対の側板43を構成する一対の側板パーツ45は同形状であることから同一の金型によって成形することができる上、芯パーツ46への組付け間違いも生じない。さらに、巻取りスプール41を成形するための金型装置は2つ必要になるものの、芯部42を成形するものと、側板43を成形するものとで分けることによって、芯部42を成形する金型を極力小さくすることができる。つまり、例えば、一つの側板43及び芯部42を備えるパーツと、一つの側板43を備えるパーツとを組合わせたり、一つの側板43及び芯部42の半分を備えるパーツ(係止部位の形成位置等が異なる)を2つ組合わせたりすることでも巻取りスプールを製造することはできるが、2つの金型装置の両方ともが、側板43を成形する大きさが必要になってしまい、両金型装置が比較的大型化する等の不具合を招くことが懸念される。この点、本実施形態のように、巻取りスプール41を構成するパーツを側板パーツ45と、芯パーツ46とに分けることによって、芯パーツ46成形用の金型については小さくすることができることから、製造設備にかかるコストの抑制、設備の設置に必要なスペースの低減等を図ることができる。
【0051】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0052】
(a)上記実施形態において側板3、43の形状や大きさは特に限定されるものではなく、例えば、略多角形状でもよい。尚、上記実施形態のように、側板3に開口部を形成することによって、軽量化や省資源化等を図ることができる。また、芯部2、42の断面形状についても特に限定されるものではなく、巻き付けられる長尺物に応じて適宜変更可能である。例えば、チェーン状の長尺物を巻付けるのであれば、始端留め部18を凹部として形成するのではなく、フック状に形成してもよい。但し、第1実施形態のように、2つの同じパーツ5を互いに組付けることで巻取りスプール1を構成する場合には、芯部2は断面点対称形状とすることが望ましい。
【0053】
(b)さらに、上記実施形態において係止部としての各係止片の数や形状や配置は特に限定されるものではない。例えば、上記第1実施形態において、第1係止片21及び第2係止片22のどちらか一方を省略したり、上記第2実施形態において、中筒部61や位置決めリブ55を断面略正8角形状等に構成したりすることとしてもよい。
【0054】
(c)上記実施形態では、巻取りスプール1、41はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…巻取りスプール、2…芯部、3…側板、5…パーツ、6…芯構成部、15…中筒部、16…リール枠、21…第1係止片、22…第2係止片、28…係止孔、41…巻取りスプール、42…芯部、43…側板、45…側板パーツ、46…芯パーツ、55…位置決めリブ、57…側板側係止片、59…係止孔、66…芯側第1係止片、67…芯側第2係止片、70…係止凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18