【実施例】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0030】
[情報生成システムの構成]
図1は、本実施例に係る待ち時間表示システムの概略構成である。待ち時間表示システムは、赤信号により停車してから青信号になるまでの時間(「信号待ち時間Tw」とも呼ぶ。)の統計情報を表示するシステムであって、
図1に示すように、車両Veの経路案内を行うナビゲーション装置100と、サーバ装置200と、ネットワーク300とを有する。
【0031】
ナビゲーション装置100は、信号待ちによる車両Veの停車時に、サーバ装置200から配信される信号待ち時間Twの統計情報等を表示する。サーバ装置200は、信号待ちのときに信号待ち時間Twを計測するナビゲーション装置100などの車載機器から送信される信号待ち時間Twを受信し、信号待ち時間Twの統計情報の生成及び配信を行う。
【0032】
以下、ナビゲーション装置100及びサーバ装置200の構成について説明する。
【0033】
(1)ナビゲーション装置の構成
図2は、ナビゲーション装置100の概略構成を示す。ナビゲーション装置100は、例えば据置型のナビゲーション装置や経路案内を行う携帯型端末であって、
図2に示すように、自立測位装置10、カメラ14、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0034】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0035】
カメラ14は、車両の前方に向けられた状態で固定され、所定の間隔ごとに車両前方を撮影した画像を生成する。カメラ14は、生成した画像をシステムコントローラ20に供給する。
【0036】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0037】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ROM23などに記憶された制御プログラムを実行することで、ナビゲーション装置100全体の制御を行う。
【0038】
例えば、システムコントローラ20は、車両Veが信号待ちにより停止した場合に、カメラ14が生成した画像に基づき、信号機の信号表示を認識する。そして、システムコントローラ20は、信号機が赤信号の場合に、車両Veが停車してから青信号になるまでの信号待ち時間Twを計測する。また、この場合、システムコントローラ20は、信号待ちの対象となる信号機での信号待ち時間Twの統計情報等を、後述する表示ユニット40に表示させる。
【0039】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0040】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0041】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0042】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。地図データは、道路に相当するリンクと、道路の接続部分(交差点)に相当するノードとにより表された道路データや、各施設に関する施設情報などを含む。さらに、データ記憶ユニット36は、システムコントローラ20の制御の下、サーバ装置200から受信した信号待ち時間Twの統計情報(「統計情報Is」とも呼ぶ。)を、地図データとして記憶する。ここで、上述の統計情報Isは、各信号機を特定するための情報であるノードID及びリンクIDと関連付けられた情報であって、信号待ち時間Twの平均値、中央値、最大値、最小値などの統計量と、当該統計量の算出に用いたサンプル数とを含む。統計情報Isについては、
図5を参照して後述する。
【0043】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。また、通信装置38は、システムコントローラ20が算出した信号待ち時間Twを含む情報(「信号待ち関連情報Ia」とも呼ぶ。)を、ネットワーク300を介してサーバ装置200へ送信する。信号待ち関連情報Iaについては
図4を参照して後述する。
【0044】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0045】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0046】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式の場合、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0047】
なお、システムコントローラ20及び通信装置38は、本発明における「統計情報取得手段」及び「送信手段」として機能し、システムコントローラ20は本発明における「表示制御手段」、「停車判定手段」、及び「計時手段」として機能する。また、システムコントローラ20と表示ユニット40又は音声出力ユニット50とは本発明における「通知手段」として機能する。そして、表示ユニット40は、本発明における「表示手段」として機能する。
【0048】
(2)サーバ装置の構成
図3は、サーバ装置200の概略構成を示す。
図3に示すように、サーバ装置200は、通信部202と、記憶部203と、制御部204とを有する。通信部202、記憶部203、及び制御部204は、バスライン201を介して相互に接続されている。
【0049】
通信部202は、制御部204の制御に基づき、各種データの送信及び受信を行う。本実施例では、通信装置202は、ネットワーク300を介し、ナビゲーション装置100などの車両の案内を行う端末装置から信号待ち関連情報Iaを受信する。また、通信装置202は、制御部204の制御に基づき、統計情報Isをナビゲーション装置100に送信する。
【0050】
制御部204は、CPUやROM及びRAMなどのメモリを有し、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、サーバ装置200の全般的な制御を行う。例えば、制御部204は、各端末装置から受信した信号待ち関連情報Iaに基づき、ノードID及びリンクIDの組ごとに、信号待ち時間Twの平均値、中央値などの要約統計量や、最小値、最大値などの順序統計量などの各統計量を算出する。
【0051】
記憶部203は、例えば、HDDなどにより構成される。記憶部203は、各端末装置から受信した信号待ち関連情報Iaのデータベース(「信号待ち時間DB」とも呼ぶ。)を記憶する。また、記憶部203は、制御部204が算出した信号待ち時間Twの統計量を、各信号機に対応するノードID及びリンクIDごとに関連付けて、統計情報Isとして記憶する。
【0052】
そして、通信部202及び制御部204は、本発明における「受信手段」及び「統計情報送信手段」として機能し、制御部204は、本発明における「統計情報生成手段」として機能する。
【0053】
[信号待ち関連情報及び統計情報]
次に、ナビゲーション装置100がサーバ装置200に送信する信号待ち関連情報Ia及びサーバ装置200が生成する統計情報Isについて説明する。
【0054】
図4は、ナビゲーション装置100がサーバ装置200に送信する信号待ち関連情報Iaのデータ構造の一例を示す。
図4に示すように、信号待ち関連情報Iaは、ナビゲーション装置100が信号待ちによる停車時に計測した信号待ち時間Twと、信号待ちをした信号機を特定するためのノードID及びリンクIDと、信号待ち関連情報Iaを計測した日時を示す計測日時とを含む。ここで、信号待ち関連情報Iaに含まれるノードIDは、計測対象の信号機が設置されたノードの識別情報である。また、リンクIDは、車両Veが信号待ちをしていた道路に対応するリンクの識別情報である。ナビゲーション装置100は、車両Veの信号待ちによる停車時に、GPS受信機18による現在地と、角速度センサ12が検出した方位とに基づき、地図データを参照し、対象の信号機が存在するノードIDと、当該ノードに接続し、車両Veが停車中の道路に対応するリンクIDとを特定する。
【0055】
図5(A)、(B)は、所定のノードID及びリンクIDに関連付けられた統計情報Isの例を示す。サーバ装置200の制御部204は、
図5(A)、(B)に示す統計情報Isを、ノードID及びリンクIDの組ごとに生成し、記憶部203に記憶させる。
【0056】
図5(A)に示すように、制御部204は、ノードID及びリンクIDの組ごとに、信号待ち時間Twの統計量及びサンプル数を、統計情報Isとして算出する。ここでは、制御部204は、信号待ち時間Twの統計量として、信号待ち時間Twの最小時間、平均時間、中央時間、及び最大時間を算出している。
【0057】
また、好適には、制御部204は、
図5(B)に示すように、ノードID及びリンクIDの組ごとに、秒単位での各信号待ち時間Twに対して該当するサンプル数のグラフを生成する。このように、制御部204は、ナビゲーション装置100に送信する統計情報Isに
図5(B)に示すグラフを加えることで、ナビゲーション装置100が統計情報Isを表示した際に、信号待ちをしている信号機の信号待ち時間Twの過去の計測データの分布をユーザに容易に視認させることができる。
【0058】
[制御方法]
次に、ナビゲーション装置100及びサーバ装置200が実行する処理についてそれぞれ説明する。
【0059】
(1)ナビゲーション装置の処理
まず、
図6を参照し、ナビゲーション装置100が実行する処理について具体的に説明する。
【0060】
図6は、本実施例において、ナビゲーション装置100のシステムコントローラ20が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。システムコントローラ20は、
図6に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0061】
まず、システムコントローラ20は、統計情報Isの受信タイミングであるか否か判定する(ステップS101)。この場合、ナビゲーション装置100は、ユーザから所定の入力があった場合に、統計情報Isの受信タイミングであると判断してもよく、前回の統計情報Isの受信時から所定時間経過した場合に、統計情報Isの受信タイミングであると判断してもよい。なお、システムコントローラ20は、サーバ装置200が統計情報Isを定期的に自動配信する場合には、当該配信のタイミングを統計情報Isの受信タイミングとする。
【0062】
そして、統計情報Isの受信タイミングの場合(ステップS101;Yes)、システムコントローラ20は、統計情報Isをサーバ装置200から受信する(ステップS102)。このとき、ナビゲーション装置100は、全ての信号機に対応するノードID及びリンクIDの組に関連付けられた統計情報Isをサーバ装置200から受信してもよく、走行中のエリア及びその近傍に存在する信号機に対応するノードID及びリンクIDに関連付けられた統計情報Isをサーバ装置200から受信してもよい。一方、統計情報Isの受信タイミングでない場合(ステップS101;No)、システムコントローラ20は、ステップS103へ処理を進める。
【0063】
次に、システムコントローラ20は、車両Veが停止したか否か判定する(ステップS103)。例えば、システムコントローラ20は、距離センサ13が出力する車速パルスやGPS受信機18のGPS測位データ等から車速を得て、車両Veの車速が0になったか否かを判定する。
【0064】
そして、システムコントローラ20は、車両Veが停止したと判断した場合(ステップS103;Yes)、赤信号を認識したか否か判定する(ステップS104)。この場合、システムコントローラ20は、例えばカメラ14から供給される画像に基づき、赤信号が灯火した信号機の有無を認識する。なお、信号機の灯火状態を画像処理により認識する方法は、例えば、国際公開WO2011/074087等に記載されている。
【0065】
そして、車両が停止していない場合(ステップS103;No)、又は、赤信号を認識できなかった場合(ステップS104;No)、システムコントローラ20は、信号待ちよる停車をしていないと判断し、ステップS111へ処理を進める。
【0066】
一方、車両の停車時に赤信号を認識した場合(ステップS104;Yes)、システムコントローラ20は、信号待ち時間Twの計測を開始すると共に、計測中の信号待ち時間Twの暫定値及び統計情報Isを表示する(ステップS105)。ここで、システムコントローラ20は、まず、GPS受信機18により検出した現在地と、角速度センサ12から得た進行方向の方位とに基づき、地図データを参照し、対象の信号機を特定するためのノードID及びリンクIDを特定する。そして、システムコントローラ20は、サーバ装置200から受信した各ノードID及びリンクIDに関連付けられた統計情報Isから、特定したノードID及びリンクIDに関連付けられた統計情報Isを抽出する。そして、この場合、システムコントローラ20は、例えば
図5(A)に示すテーブル又は/及び
図5(B)に示すグラフを表示ユニット40に表示させる。また、システムコントローラ20は、統計情報Isに加えて、計測開始からの経過時間である信号待ち時間Twの暫定値を表示ユニット40に表示させる。ステップS105での具体的な表示画面例については、
図8(A)を参照して後述する。
【0067】
次に、システムコントローラ20は、青信号を認識したか否か判定する(ステップS106)。具体的には、システムコントローラ20は、カメラ14から供給される画像に表示された信号機が、赤信号の点灯状態から青信号の点灯状態に遷移するのを監視する。
【0068】
そして、青信号を認識しない場合(ステップS106;No)、システムコントローラ20は、距離センサ13が出力する車速パルスに基づき、車両Veが発進したか否か判定する(ステップS107)。そして、そして、車両Veが発進したと判断した場合(ステップS107;Yes)、システムコントローラ20は、信号待ち時間Twの計測を中止すると共に、統計情報Isや計測中の信号待ち時間Twの表示を解除する(ステップS108)。このように、システムコントローラ20は、青信号を認識する前に車両Veが発進した場合には、信号表示が遮蔽されて見えなくなった可能性等を勘案し、信号待ち時間Twの計測を中止する。また、このとき、システムコントローラ20は、発進後には不要な情報である統計情報Isの表示を解除する。一方、車両Veが発進しない場合(ステップS107;No)、システムコントローラ20は、引き続き、ステップS106で対象の信号機が赤信号の点灯状態から青信号の点灯状態に遷移するのを監視する。
【0069】
一方、青信号を認識した場合(ステップS106;Yes)、システムコントローラ20は、ステップS105で開始した信号待ち時間Twの計測を終了し、当該信号待ち時間Twを表示ユニット40に表示させる(ステップS109)。これにより、システムコントローラ20は、今回計測した信号待ち時間Twを好適にユーザに認識させることができる。ステップS109での具体的な表示画面例については、
図8(B)を参照して後述する。
【0070】
そして、システムコントローラ20は、計測した信号待ち時間Twと、ステップS105で特定したノードID及びリンクIDと、計測した日時情報とを含む信号待ち関連情報Iaを生成し、データ記憶ユニット36に記憶する(ステップS110)。
【0071】
次に、ステップS111において、システムコントローラ20は、信号待ち関連情報Iaの送信タイミングであるか否か判定する(ステップS111)。例えば、システムコントローラ20は、ステップS109の実行後である場合に、信号待ち関連情報Iaの送信タイミングであると判断してもよく、前回送信時から所定時間経過している場合に、信号待ち関連情報Iaの送信タイミングであると判断してもよい。
【0072】
そして、信号待ち関連情報Iaの送信タイミングである場合(ステップS111;Yes)、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36に記憶された未送信の信号待ち関連情報Iaをサーバ装置200へ送信する(ステップS112)。一方、信号待ち関連情報Iaの送信タイミングではない場合(ステップS111;No)、システムコントローラ20は、フローチャートの処理を終了する。
【0073】
(2)サーバ装置の処理
次に、サーバ装置200が実行する処理について説明する。
【0074】
図7は、本実施例において、サーバ装置200の制御部204が実行する処理を示すフローチャートの一例である。制御部204は、
図7に示すフローチャートの処理を、信号待ち関連情報Iaを受信するごとに繰り返し実行する。
【0075】
まず、制御部204は、
図6のステップS112でナビゲーション装置100が送信した信号待ち関連情報Iaを、通信部202を介して受信し、信号待ち時間DBに記憶する(ステップS201)。
【0076】
次に、制御部204は、統計情報Isの生成タイミングであるか否か判定する(ステップS202)。ここで、制御部204、例えば、1以上の所定個数の信号待ち関連情報Iaを受信するごとに、統計情報Isを算出すべきと判断してもよく、前回の統計情報Isの生成時から所定時間経過したときに、統計情報Isを生成すべきと判断してもよい。そして、制御部204は、統計情報Isの生成タイミングではないと判断した場合(ステップS202;No)、ステップS204へ処理を進める。
【0077】
そして、制御部204は、統計情報Isの生成タイミングであると判断した場合(ステップS202;Yes)、信号待ち時間DBを参照し、ノードID及びリンクIDの組ごとに、
図5(A)に示す各統計量の演算や
図5(B)に示すグラフの生成を行い、記憶部203に記憶する(ステップS203)。この場合、制御部204は、信号待ち時間DBに記録された全ての信号待ち関連情報Iaを用いて統計情報Isを生成してもよく、日時情報が示す日時が所定の期間(例えば現在から1年前までの期間)に含まれる信号待ち関連情報Iaを用いて統計情報Isを生成してもよい。
【0078】
次に、制御部204は、統計情報Isの送信タイミングであるか否か判定する(ステップS204)。例えば、制御部204は、ナビゲーション装置100から統計情報Isの送信要求があった場合に、統計情報Isの送信タイミングであると判断してもよく、前回送信時から所定時間経過した場合に、統計情報Isの送信タイミングであると判断してもよい。そして、統計情報Isの送信タイミングである場合(ステップS204;Yes)、制御部204は、ナビゲーション装置100等に統計情報Isを送信する(ステップS205)。一方、統計情報Isの送信タイミングではない場合(ステップS204;No)、制御部204は、フローチャートの処理を終了する。
【0079】
[表示画面例]
次に、
図6のステップS105及びステップS109で表示するナビゲーション装置100の表示画面例について説明する。
【0080】
(1)赤信号点灯時の表示
図8(A)は、ステップS105でのナビゲーション装置100の表示画面例を示す。ここでは、一例として、ナビゲーション装置100は、カメラ14が撮影した実写画像に対して、案内ルート47などの運転補助情報を重畳表示させている。
図8(A)に示すように、車両Veは、赤信号46Rが灯火している信号機46の前で信号待ちをしている。
【0081】
この場合、システムコントローラ20は、サーバ装置200から受信した統計情報Isのうち、信号機46に対応するノードID及びリンクIDに関連付けられた統計情報Isを表示している。
図8(A)では、システムコントローラ20は、統計情報Isとして平均時間、最大時間及びサンプル数を表示させている。また、システムコントローラ20は、統計情報Isに加えて、計測中の信号待ち時間Twの暫定値(ここでは20秒)を、第1表示ウィンドウ56内に表示させている。このように、システムコントローラ20は、現在の待ち時間と、過去の待ち時間の平均値や最大値等とを好適に比較表示する。なお、システムコントローラ20は、ユーザの入力等に応じて、
図5(A)に示す最小時間及び中央時間や、
図5(B)に示すグラフをさらに表示画面上に表示させてもよい。
【0082】
さらに、
図8(A)では、システムコントローラ20は、消灯状態から点灯状態に切り替わるセル58が並べられた第2表示ウィンドウ57を画面上に表示させている。ここで、システムコントローラ20は、信号待ち時間Twの計測開始時には全てのセル58を消灯状態にし、計測開始から所定秒(ここでは5秒)経過するごとに、左上のセル58から1つずつ点灯させる。ここでは、信号待ち時間Twの計測開始時から20秒が経過しているため、左上に配置された4つのセル58が点灯状態となっている。
【0083】
ここで、システムコントローラ20は、好適には、第2表示ウィンドウ57に表示されるセル58の数を、統計情報Isの最大時間(ここでは69秒)に基づき設定する。
図8では、セル58を点灯させる間隔が5秒であることから、少なくとも69秒間の時間経過を表現できるように、システムコントローラ20は、セル58を14個表示している。なお、上述の例に代えて、システムコントローラ20は、セル58の表示個数を固定する場合には、統計情報Isが示す最大時間まで時間の遷移を表現できるように、セル58を点灯させる間隔を適宜変更してもよい。このように、第2表示ウィンドウ57によっても、信号待ち時間Twの暫定値を好適にユーザに認識させることができる。
【0084】
なお、システムコントローラ20は、第2表示ウィンドウ57に表示されるセル58の点灯時の色を、点灯する順番に応じて変更してもよい。例えば、システムコントローラ20は、統計情報Isが示す平均時間(ここでは29秒)前に点灯するセル58の点灯色よりも、当該平均時間後に点灯するセル58の点灯色を目立つ色にしてもよい。
【0085】
このように、システムコントローラ20は、信号機46における信号待ち時間Twの平均時間や最大時間と、現在の待ち時間とを好適に比較表示することで、ユーザに対して残りの待ち時間のおよその見当をつけさせることができ、信号待ちによる苛立ちを低減させることができる。また、システムコントローラ20は、統計情報Isとしてサンプル数も表示することで、信号機46が設置された交差点での交通量の目安をユーザに好適に認識させることができる。
【0086】
(2)青信号点灯時の表示
図8(B)は、ステップS109でのナビゲーション装置100の表示画面例を示す。
図8(B)は、
図8(A)の状態から青信号の点灯を認識した後のナビゲーション装置100の表示画面例に相当する。従って、この場合、信号機46の青信号46Bが点灯状態となっている。
【0087】
この場合、システムコントローラ20は、信号待ち時間Twの計測を終了し、計測した信号待ち時間Tw(ここでは35秒)を第1表示ウィンドウ56に表示する。これにより、ユーザは、停車してから青信号46Bが点灯するまでの時間を知ることができる。また、システムコントローラ20は、この場合、統計情報Isを引き続き表示することで、今回計測した信号待ち時間Twを、過去の平均時間又は最大時間等と容易に比較させることができる。そして、システムコントローラ20は、例えば、車両Veの発進時又は青信号46Bが点灯してから所定時間経過後に、統計情報Is、第1表示ウィンドウ56、第2表示ウィンドウ57の表示を消去する。
【0088】
[変形例]
以下、実施例の各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0089】
(変形例1)
サーバ装置200は、ノードID及びリンクIDの組ごとに、信号待ち時間Twの平均値などの統計量を算出した。これに加え、サーバ装置200は、さらに信号待ち関連情報Iaの日時情報に基づき、時間帯別又は/及び曜日別に各統計量を算出してもよい。
【0090】
この場合、サーバ装置200の制御部204は、
図7のステップS203において、ノードID及びリンクIDの組ごとに、かつ、時間帯ごと又は/及び曜日ごとに、信号待ち時間DBから信号待ち時間Twを抽出し、
図5(A)、(B)に示すような統計情報Isを生成する。この場合、システムコントローラ20は、時間帯ごとに統計情報Isを生成する場合には、例えば午前0時から6時間又は3時間ごとに区切った時間帯ごとに統計情報Isを生成する。また、システムコントローラ20は、曜日ごとに統計情報Isを生成する場合には、例えば平日と休日とに区切って統計情報Isをそれぞれ生成する。そして、サーバ装置200は、生成した統計情報Isをナビゲーション装置100へ送信する。
【0091】
そして、ナビゲーション装置100は、
図6のステップS105で統計情報Isを表示する際、現在の日時が該当する時間帯又は/及び曜日に対応する統計情報Isを表示する。このようにすることで、ナビゲーション装置100は、現在の状況により適した信号待ち時間Twの統計情報Isをユーザに認識させることができる。
【0092】
(変形例2)
図8(A)では、ナビゲーション装置100は、第1表示ウィンドウ56に、信号待ち時間Twの暫定値(即ち、計測開始時からの経過時間)を表示した。これに代えて、ナビゲーション装置100は、第1表示ウィンドウ56に、統計情報Isの平均時間や最大時間等から上述の経過時間を減算した時間を表示させてもよい。
【0093】
例えば、この場合、ナビゲーション装置100は、第1表示ウィンドウ56に、「平均まであとX秒」と表示し、上述の「X」には統計情報Isの平均時間から信号待ち時間Twの暫定値を減算した値を設定する。
【0094】
この態様により、ユーザは、統計情報Isと、第1表示ウィンドウ56に表示された信号待ち時間Twの暫定値とを比較することなく、残りの待ち時間の目安を把握することができる。
【0095】
(変形例3)
ナビゲーション装置100は、信号待ち時間Twを計測してサーバ装置200に信号待ち関連情報Iaを送信する機能と、サーバ装置200から受信した統計情報Isを表示する機能とを有していた。これに代えて、ナビゲーション装置100は、信号待ち時間Twの計測機能を有さずに、統計情報Isの表示機能のみを有してもよい。この場合であっても、ナビゲーション装置100は、信号待ちによる停車時に、サーバ装置200から受信した統計情報Isを好適に表示することができる。
【0096】
(変形例4)
ナビゲーション装置100は、ユーザが指定した信号機に対応する統計情報Isを表示してもよい。この場合、ナビゲーション装置100は、例えば、地図上に各信号機の位置を表示し、ユーザがタッチパネル操作などにより指定した任意の信号機に対応する統計情報Isを表示する。
【0097】
(変形例5)
ナビゲーション装置100は、同一の信号機において連続して信号待ちをしたことに起因して、連続して同一のノードID及びリンクIDを有する信号待ち関連情報Iaを生成した場合、当該信号待ち関連情報Iaのうち2番目以降に生成された信号待ち関連情報Iaに、その旨の情報(「連続待ちフラグ情報Fc」とも呼ぶ。)を付加してもよい。
【0098】
この場合、サーバ装置200は、各ノードID及びリンクIDに対して、信号待ち関連情報Iaのサンプル数と共に、上述の連続待ちフラグ情報Fcを含む信号待ち関連情報Iaのサンプル数(「連続待ちサンプル数Nc」とも呼ぶ。)を、統計情報Isとして算出する。そして、当該統計情報Isを受信したナビゲーション装置100は、連続待ちサンプル数Ncを、統計情報Isとして車両Veの信号待ちによる停車時にサンプル数と共に表示する。
【0099】
このとき、サーバ装置200は、サンプル数及び連続待ちサンプル数Ncをカウントする際、同一車両による連続待ちにより連続して生成された信号待ち関連情報Iaを1つのサンプルとしてカウントするとよい。これにより、サンプル数に対する連続待ちサンプル数Ncの割合は、信号機を通過した車両の台数に対する信号の連続待ちをした車両の台数の割合と等しくなる。なお、この場合、ナビゲーション装置100は、サンプル数に対する連続待ちサンプル数Ncの割合を統計情報Isとしてサーバ装置200から受信し、他の統計情報Isと共に信号待ちによる停車時に表示してもよい。
【0100】
また、好適には、ナビゲーション装置100は、サンプル数に対する連続待ちサンプル数Ncが所定割合以上となるノードID及びリンクIDの組に対応する信号機(「連続待ち多発信号機Tc」とも呼ぶ。)を通過することが予想される場合、その旨を警告してもよい。例えば、ナビゲーション装置100は、車両の進行方向上又は案内ルート上において、連続待ち多発信号機Tcが所定距離以内に近づいた場合、連続待ち多発信号機Tcの存在を通知する。これにより、ユーザは、例えば、予め連続待ち多発信号機Tcを通過しないように迂回した走行ルートを選択することが可能となる。また、ユーザは、連続待ち多発信号機Tcを通ることになった場合であっても、信号待ちをすることに対する心構えができる。
【0101】
(変形例6)
変形例5において、ナビゲーション装置100は、連続待ちフラグ情報Fcを付加する信号待ち関連情報Iaに対して、1回の信号待ちで通過できなかった原因を示す情報(「連続待ち原因情報Ic」とも呼ぶ。)をさらに付加してもよい。
【0102】
例えば、ナビゲーション装置100は、通信装置38が受信したVICS情報に基づき、信号待ちの対象となる交差点付近に、事故、工事、故障車の発生などの交通障害情報、又は、通行止めや車線規制などの交通規制情報の該当地点がある場合には、その旨を連続待ち原因情報Icとして信号待ち関連情報Iaに付加する。なお、ナビゲーション装置100は、連続して信号待ちをした際、カメラ14が撮影した画像に基づき、前方車両が右折のウィンカーを付けていると判断した場合には、前の車両の右折待ちに起因した信号待ちである旨を連続待ち原因情報Icとして信号待ち関連情報Iaに含めてもよい。
【0103】
そして、サーバ装置200は、統計情報Isの生成時に、連続待ちサンプル数Ncの情報に加えて連続待ち原因情報Icを統計情報Isに付加する。そして、サーバ装置200は、連続待ち原因情報Icを含む統計情報Isをナビゲーション装置100に送信する。
【0104】
ナビゲーション装置100は、走行予定のルート上に、連続待ち原因情報Icを含む統計情報Isに対応する信号機が存在する場合、VICS情報等に基づき、当該信号機の近傍で連続待ち原因情報Icが示す事故等の事象が発生しているか否か判断する。そして、ナビゲーション装置100は、対象の信号機の近傍で連続待ち原因情報Icが示す事故等の事象が発生している場合、当該信号機において連続して信号待ちをする可能性が高い旨をユーザに通知する。
【0105】
このように、ナビゲーション装置100は、連続待ち原因情報Ic及びVICS情報等に基づき、過去に他の車両が連続して信号待ちをした状況と近似した状況である場合に、対象の信号機において連続して信号待ちをする可能性が高い旨を通知する。これにより、ナビゲーション装置100は、連続して信号待ちをする蓋然性が高い交差点の通過を回避させることができる。
【0106】
(変形例7)
赤信号が点灯した状態のまま進行可能な方向を指す矢印信号が点灯する矢印付き信号機で車両Veが停車した場合、ナビゲーション装置100は、信号待ちによる停車時から車両Veが進行することが予想される方向を指す矢印信号の点灯時までの時間を信号待ち時間Twとして計測してもよい。
【0107】
この場合、ナビゲーション装置100は、カメラ14が撮影した画像に基づき、車両Veの停車時に矢印付き信号機の存在を認識し、かつ、車両Veのウィンカーの情報又は案内ルートに基づき、車両Veがいずれの方向に進行するかを認識する。そして、車両Veが信号機の矢印信号が示す方向に進む場合には、当該矢印信号が消灯していることを確認した場合に、信号待ち時間Twの計測を開始し、当該矢印信号の点灯時に信号待ち時間Twの計測を終了する。そして、ナビゲーション装置100は、当該矢印信号が示す方向を識別する情報を、信号待ち関連情報Iaに含めてサーバ装置200に送信する。この場合、サーバ装置200は、ノードID及びリンクIDの組ごとに加え、矢印信号が示す方向ごとに統計情報Isを生成し、ナビゲーション装置100へ送信する。そして、ナビゲーション装置100は、上述の矢印付き信号機での信号待ちによる停車時に、信号待ちをしている信号機に対応するノードID及びリンクIDと、ウィンカー情報等とに基づき、進行方向に対応する統計情報Isを抽出して画面上に表示する。
【0108】
これにより、ナビゲーション装置100は、矢印付き信号機での信号待ちによる停車時であっても、進行方向に的確に対応した統計情報Isを表示させることができる。
【0109】
(変形例8)
ナビゲーション装置100は、信号待ちによる停車時に統計情報Isを表示する際、統計情報Isが示す平均時間等よりも短く青信号に切り替わる可能性がある旨の注意喚起の出力を行ってもよい。例えば、この場合、ナビゲーション装置100は、「表示中の待ち時間はあくまで統計情報です。目の前の信号はすぐに青に変わる可能性があります。ご注意ください」と音声案内を行う。これにより、ナビゲーション装置100は、運転者がよそ見や携帯端末の操作などを行うのを好適に抑制することができる。
【0110】
また、これに代えて、又はこれに加えて、ナビゲーション装置100は、カメラ14が撮影した画像に基づき、青信号が灯火したのを確認した場合、青信号が点灯した旨をユーザに通知してもよい。これにより、運転者の不注意により車両Veの発進が遅れるのを確実に抑制することができる。
【0111】
(変形例9)
図6のフローチャートでは、ナビゲーション装置100は、ステップS102で統計情報Isをサーバ装置200から受信するのに代えて、ステップS104で赤信号を認識したときに、ステップS105で表示する統計情報Isをサーバ装置200から受信してもよい。
【0112】
(変形例10)
図8(b)では、ナビゲーション装置100は、青信号の認識時に計測結果となる信号待ち時間Twを表示した。これに代えて、又はこれに加えて、ナビゲーション装置100は、音声により、計測した信号待ち時間Twをユーザに通知してもよい。
【0113】
(変形例11)
ナビゲーション装置100などの端末装置は、信号待ちをした信号機に対応するノードID及びリンクIDを特定して信号待ち関連情報Iaに含めた。これに代えて、端末装置は、停車時にGPSが検出した緯度経度情報及び角速度センサなどの方位センサが検出した方位情報を信号待ち関連情報Iaに含めてもよい。この場合であっても、サーバ装置200は、受信した緯度経度情報及び方位情報に基づき、対応するノードID及びリンクIDを特定し、信号待ち関連情報Iaが含む信号待ち時間Twなどの情報を信号待ち情報DBに好適に登録することができる。