特許第6000802号(P6000802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000802
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】広角レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20160923BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B13/18
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-235227(P2012-235227)
(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-85559(P2014-85559A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 忠史
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−036622(JP,A)
【文献】 特開平10−111454(JP,A)
【文献】 特開2006−284620(JP,A)
【文献】 特開2009−092798(JP,A)
【文献】 特開平04−267212(JP,A)
【文献】 特開2009−063877(JP,A)
【文献】 特開2011−017918(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/115107(WO,A1)
【文献】 特開2011−150196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚のプラスチックレンズからなる広角レンズにおいて、
前記広角レンズには、プラスチックレンズの非球面同士が接合された第1接合レンズが含まれており、
前記広角レンズは、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群と、負のパワーを持つ第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、正のパワーを有する第4レンズ群とからなる4群6枚のレンズ構成を有し、
前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の間には絞りが配置され、
前記第4レンズ群は、前記第1接合レンズであり、
前記第3レンズ群は、2枚のプラスチックレンズの球面同士を接合してなる第2接合レンズであり、接合面以外の少なくとも一方側は非球面であり、
前記第1接合レンズと前記第2接合レンズとでは、接合されたプラスチックレンズの屈折率の大小関係が前記絞りを挟んで対称であり、
前記第2接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率と、前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、且つ、前記第2接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率と、前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、
前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは異なることを特徴とする広角レンズ。
【請求項2】
6枚のプラスチックレンズからなる広角レンズにおいて、
前記広角レンズには、プラスチックレンズの非球面同士が接合された第1接合レンズが含まれており、
前記広角レンズは、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群と、負のパワーを持つ第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、正のパワーを有する第4レンズ群と、正のパワーを有する第5レンズ群とからなる5群6枚のレンズ構成を有し、
前記第4レンズ群と前記第5レンズ群の間には絞りが配置され、
前記第5レンズ群が前記第1接合レンズであり、
前記第3レンズ群は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面であるプラスチックレンズであり、前記第4レンズ群は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面であるプラスチックレンズであり、
2枚のプラスチックレンズの球面同士が接合された前記第1接合レンズと、前記第3レンズ群の前記プラスチックレンズおよび前記第4レンズ群の前記プラスチックレンズとでは、前記プラスチックレンズの屈折率の大小関係が前記絞りを挟んで対称であり、
前記第3レンズ群のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、且つ、前記第4レンズ群のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、
前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは異なることを特徴とする広角レンズ。
【請求項3】
前記第1接合レンズと前記第2接合レンズとでは、接合されたプラスチックレンズの材質の配置が前記絞りを挟んで対称であることを特徴とする請求項に記載の広角レンズ。
【請求項4】
前記6枚のプラスチックレンズのうち、最も物体側に位置するプラスチックレンズの像側の面が非球面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の広角レンズ。
【請求項5】
前記6枚のプラスチックレンズは各々、物体側および像側のうちの少なくとも一方側が非球面であることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の広角レンズ。
【請求項6】
画角が130°以上であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の広角レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックレンズを用いた広角レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の監視用途や車載用途で使用されるレンズには、広角および高解像度が要求されている。かかる広角レンズにおいて、高解像度を得るには倍率色収差を補正する必要があるため、複数枚のレンズを組み合わせて広角レンズを構成することにより、倍率色収差補正をしている。例えば、図8に示すように、4群5枚のレンズ構成で画角を広げたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図8に示す広角レンズは、物体側(被写体側/前側)から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群11と、負のパワーを持つ第2レンズ群12と、正のパワーを有する第3レンズ群13と、正のパワーを有する第4レンズ群14とを有しており、第3レンズ群13と第4レンズ群14との間に絞り91を有している。なお、第4レンズ群14の後側(像側/被写体側とは反対側)には赤外線フィルタ92が配置されている。ここで、第1レンズ群11は、負のパワーをもつガラスレンズ81からなり、かかるレンズ81は、物体側の面および像側の面が球面になっている球面レンズである。第2レンズ群12は、負のパワーをもつプラスチックレンズ82からなり、両面が非球面である。第3レンズ群13は、正のパワーをもつプラスチックレンズ83からなり、両面が非球面である。第4レンズ群14は、負のパワーをもつプラスチックレンズ84と正のパワーをもつプラスチックレンズ85との接合レンズからなり、プラスチックレンズ84、85はいずれも両面が非球面である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−63877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、広角レンズの低コスト化を図りながら解像度をさらに高めようとしても、図8に示す構成では、倍率色収差を十分に補正できない。より具体的には、図9(a)に示す広角レンズのデフォーカスMTF(Modulation Transfer Function)特性、および図9(b)に示す広角レンズのスポットダイアグラムからわかるように、2Mピクセル等に対応できるような高解像度を得ることができない。なお、図9(a)において、実線L91は、レンズ中心部におけるOTF(Optical Transfer Function)係数を示し、点線L92は、レンズ周辺部の放射方向におけるOTF係数を示し、一点鎖線L93は、レンズ周辺部の同心円方向におけるOTF係数を示している。また、図9(b)には、赤色光、緑色光および青色光における集光状態をまとめて表してある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、低コスト化を図りながら解像度を向上させることのできる広角レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る広角レンズは、6枚のプラスチックレンズからなる広角レンズにおいて、前記広角レンズには、プラスチックレンズの非球面同士が接合された第1接合レンズが含まれており、前記広角レンズは、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群と、負のパワーを持つ第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、正のパワーを有する第4レンズ群とからなる4群6枚のレンズ構成を有し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の間には絞りが配置され、前記第4レンズ群は、前記第1接合レンズであり、前記第3レンズ群は、2枚のプラスチックレンズの球面同士を接合してなる第2接合レンズであり、接合面以外の少なくとも一方側は非球面であり、前記第1接合レンズと前記第2接合レンズとでは、接合されたプラスチックレンズの屈折率の大小関係が前記絞りを挟んで対称であり、前記第2接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率と、前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、且つ、前記第2接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率と、前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは異なることを特徴とする。
【0008】
本発明では、レンズの枚数を6枚とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率
色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第1接合レンズを用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高めてある。また、6枚のレンズをいずれもプラスチックレンズとして低コスト化を図ってある。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる。
【0009】
本発明において、前記6枚のプラスチックレンズには、さらに、物体側および像側のうちの少なくとも一方が非球面のプラスチックレンズ同士が接合された第2接合レンズが含まれ、前記第1接合レンズと前記第2接合レンズは、絞りを挟む両側に配置されており、接合されたプラスチックレンズの屈折率の大小関係が絞りを挟んで対称である。かかる構成によれば、倍率色収差の補正を2組の接合レンズで分担することができるので、倍率色収差をより確実に補正することができる。また、2組の接合レンズの間に絞りが配置されているので、非点収差を効率よく補正することができる。
【0010】
本発明において、前記第1接合レンズと前記第2接合レンズとでは、接合されたプラスチックレンズの材質の配置が前記絞りを挟んで対称であることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る広角レンズは、6枚のプラスチックレンズからなる広角レンズにおいて、前記広角レンズには、プラスチックレンズの非球面同士が接合された第1接合レンズが含まれており、前記広角レンズは、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群と、負のパワーを持つ第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、正のパワーを有する第4レンズ群と、正のパワーを有する第5レンズ群とからなる5群6枚のレンズ構成を有し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群の間には絞りが配置され、前記第5レンズ群が前記第1接合レンズであり、前記第3レンズ群は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面であるプラスチックレンズであり、前記第4レンズ群は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面であるプラスチックレンズであり、2枚のプラスチックレンズの球面同士が接合された前記第1接合レンズと、前記第3レンズ群の前記プラスチックレンズおよび前記第4レンズ群の前記プラスチックレンズとでは、前記プラスチックレンズの屈折率の大小関係が前記絞りを挟んで対称であり、前記第3レンズ群のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、且つ、前記第4レンズ群のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは等しく、前記第1接合レンズにおける像側のプラスチックレンズの屈折率と前記第1接合レンズにおける物体側のプラスチックレンズの屈折率とは異なることを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記6枚のプラスチックレンズのうち、最も物体側に位置するプラスチックレンズの像側の面が非球面であることが好ましい。かかる構成によれば、最も物体側に位置するレンズによっても収差の補正を行うことができる。
【0014】
本発明において、前記6枚のプラスチックレンズは各々、物体側および像側のうちの少なくとも一方側が非球面であることが好ましい。かかる構成によれば、倍率色収差の補正を確実に行うことができる。
【0015】
本発明は、画角が130°以上である場合に適用すると効果的である。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、レンズの枚数を6枚とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第1接合レンズを用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高めてある。また、絞りを挟む両側に配置されたプラスチックレンズの屈折率の大小関係が絞りを挟んで対称である。さらに、6枚のレンズをいずれもプラスチックレンズとして低コスト化を図ってある。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係る広角レンズの説明図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る広角レンズの特性を示す説明図である。
図3】本発明の実施の形態2に係る広角レンズの説明図である。
図4】本発明の実施の形態3に係る広角レンズの説明図である。
図5】本発明の実施の形態4に係る広角レンズの説明図である。
図6】本発明の実施の形態5に係る広角レンズの説明図である。
図7】本発明の実施の形態6に係る広角レンズの説明図である。
図8】従来の広角レンズの説明図である。
図9】従来の広角レンズの特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明を適用した広角レンズを説明する。なお、以下の説明においては、特別な指示がない限り、その単位はmmである。また、以下の説明においては、図8を参照して説明した構成との対応が分かりやすいように、対応する部分には同一の符号を付してある。さらに、以下の説明においては、物体側および像側のうちの少なくとも一方側が非球面であれば、他方側が球面であるか非球面であるかにかかわらず、「非球面レンズ」として説明する。また、面番号には、連続した番号にかっこを付して示してある。
【0019】
[実施の形態1]
(レンズユニットの構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る広角レンズの説明図であり、図1(a)、(b)は、レンズユニットの断面図、および面番号の説明図である。なお、図1(b)では、面番号の後ろに付した「*」は、「*」が付された面が非球面であることを示す。
【0020】
図1に示すように、本形態のレンズユニットは、画角が190°の広角レンズ20と、広角レンズ20を内側に保持する樹脂製のホルダ90とを有している。本形態において、広角レンズ20は、4群のレンズ群を備えている。より具体的には、広角レンズ20は、物体側(被写体側/前側)から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群11と、負のパワーを持つ第2レンズ群12と、正のパワーを有する第3レンズ群13と、正のパワーを有する第4レンズ群14とを有しており、第3レンズ群13と第4レンズ群14との間に絞り91を有している。また、レンズユニット1は、第4レンズ群14より後側(像側/被写体側とは反対側)に赤外線フィルタ92を有している。また、第2レンズ群12と第3レンズ群13との間には遮光シート93が配置されている。
【0021】
ここで、広角レンズ20は計6枚のレンズを有しており、4群6枚のレンズ構成を有している。また、広角レンズ20は6枚のプラスチックレンズを有している。より具体的には、第1レンズ群11は、負のパワーをもつプラスチックレンズ21からなり、第2レンズ群12は、負のパワーをもつプラスチックレンズ22からなる。第3レンズ群13は、正のパワーをもつプラスチックレンズ23と正のパワーをもつプラスチックレンズ24との接合レンズからなり、第4レンズ群14は、正のパワーをもつプラスチックレンズ25と負のパワーをもつプラスチックレンズ26との接合レンズからなる。かかる2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)は、絞り91を挟む両側に配置されている。
【0022】
かかる構成の広角レンズ20における各レンズデータおよび非球面係数は、表1および表2に示す通りである。表1には、各面の半径(Radius)、厚さ(Thickness)、屈折率(Nd)、アッベ数(Abbe数/νd)、単レンズとしての焦点距離、接合レンズとしての焦点距離が示されている。なお、表2に示す非球面係数は、下記の非球面関数
X=(1/R)Y2/〔1+√{1−(K+1)(1/R)22}〕
+AY4+BY6+CY8
における各係数K、A、B、Cに相当する。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
表1および表2から分かるように、本形態の広角レンズ20において、第2面(2)、第3面(3)、第4面(4)、第5面(5)、第7面(7)、第9面(9)、第10面(10)、および第11面(11)の計8面が非球面である。
【0026】
すなわち、レンズ21(第1レンズ群11)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。レンズ22(第2レンズ群12)は、物体側の面および像側の面が非球面である。
【0027】
第3レンズ群13において、プラスチックレンズ23は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面である。プラスチックレンズ24は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。このため、第3レンズ群13は、プラスチックレンズ23の像側の球面とプラスチックレンズ24の物体側の球面とが接合された接合レンズ(第2接合レンズ)である。
【0028】
第4レンズ群14において、プラスチックレンズ25は、物体側の面および像側の面が非球面である。プラスチックレンズ26は、物体側の面および像側の面が非球面である。このため、第4レンズ群14は、プラスチックレンズ25の像側の非球面とプラスチックレンズ26の物体側の非球面とが接合された接合レンズ(第1接合レンズ)である。
【0029】
ここで、第3レンズ群13(第2接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ23には屈折率が1.63552のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ24には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。これに対して、第4レンズ群14(第1接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ26には屈折率が1.63552のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ25には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。このため、2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)では、接合されたプラスチックレンズの屈折率の大小関係が絞り91を挟んで対称である。かかる構成を実現するにあたって、本形態では、第3レンズ群13において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ23と、第4レンズ群14において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ26とには同一のレンズ材料が用いられ、第3レンズ群13において絞り91側に位置するプラスチックレンズ24と、第4レンズ群14において絞り91側に位置するプラスチックレンズ25とには同一のレンズ材料が用いられている。このため、2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)では、接合されたプラスチックレンズの材質の配置が絞り91を挟んで対称である。
【0030】
(広角レンズ20の解像特性、および本形態の主な効果)
図2(a)は、本発明の実施の形態1に係る広角レンズ20の特性を示す説明図である。図2(b)は、本発明の実施の形態1に係る広角レンズ20のスポットダイアグラムを示す説明図である。なお、図2(a)において、実線L91は、レンズ中心部におけるOTF(Optical Transfer Function)係数を示し、点線L92は、レンズ周辺部の放射方向におけるOTF係数を示し、一点鎖線L93は、レンズ周辺部の同心円方向におけるOTF係数を示している。また、図2(b)には、赤色光、緑色光および青色光における集光状態をまとめて示してある。
【0031】
以上説明したように、本形態の広角レンズ20では、レンズの枚数を6枚以上とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第4レンズ群14(第1接合レンズ)を用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高めてある。また、最も物体側に位置する第1レンズ群11(レンズ21)の像側の面も非球面であるため、かかる第1レンズ群11によっても収差の補正を行うことができる。しかも、6枚のプラスチックレンズのいずれもが非球面レンズであるため、倍率色収差の補正を確実に行うことができる。それ故、図2(a)と図9(a)とを比較すれば分かるように、本形態によれば、デフォーカスMTF特性において、特にレンズ周辺部の放射方向におけるOTF係数を著しく向上することができる。従って、図2(b)と図9(b)とを比較すれば分かるように、いずれの色光においても良好に集光することができるので、2Mピクセル等の解像度にも十分対応することができる。また、6枚のレンズをいずれもプラスチックレンズとして低コスト化を図ってある。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる。
【0032】
また、6枚以上のプラスチックレンズには、非球面のプラスチックレンズ同士が接合された第3レンズ群13(第2接合レンズ)が含まれ、第4レンズ群14(第1接合レンズ)と第3レンズ群13(第2接合レンズ)とは、絞り91を挟む両側に配置されている。このため、倍率色収差の補正を2組の接合レンズで分担することができるので、倍率色収差をより確実に補正することができる。また、2組の接合レンズの間に絞りが配置されているので、非点収差を効率よく補正することができる。
【0033】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係る広角レンズの説明図である。実施の形態1では、第3レンズ群13が、正のパワーをもつプラスチックレンズと正のパワーをもつプラスチックレンズとの接合レンズからなっていたが、本形態では、以下に説明するように、第3レンズ群13が、負のパワーをもつプラスチックレンズと正のパワーをもつプラスチックレンズとの接合レンズからなっている。
【0034】
図3に示すように、本形態の広角レンズ30も、実施の形態1と同様、4群6枚のレンズ構成を有しており、画角が190°である。より具体的には、広角レンズ30は、物体側(被写体側/前側)から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群11と、負のパワーを持つ第2レンズ群12と、正のパワーを有する第3レンズ群13と、正のパワーを有する第4レンズ群14とを有しており、第3レンズ群13と第4レンズ群14との間に絞り91を有している。
【0035】
ここで、広角レンズ30は計6枚のプラスチックレンズを有している。より具体的には、第1レンズ群11は、負のパワーをもつプラスチックレンズ31からなり、第2レンズ群12は、負のパワーをもつプラスチックレンズ32からなる。第3レンズ群13は、負のパワーをもつプラスチックレンズ33と正のパワーをもつプラスチックレンズ34との接合レンズからなり、第4レンズ群14は、負のパワーをもつプラスチックレンズ35と正のパワーをもつプラスチックレンズ36との接合レンズからなる。かかる2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)は、絞り91を挟む両側に配置されている。
【0036】
かかる構成の広角レンズ30における各レンズデータおよび非球面係数は、表3および表4に示す通りである。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
表3および表4から分かるように、本形態の広角レンズ30において、第2面(2)、第3面(3)、第4面(4)、第5面(5)、第7面(7)、第9面(9)、第10面(10)、および第11面(11)の計8面が非球面である。
【0040】
すなわち、レンズ31(第1レンズ群11)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。レンズ32(第2レンズ群12)は、物体側の面および像側の面が非球面である。
【0041】
第3レンズ群13において、プラスチックレンズ33は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面である。プラスチックレンズ34は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。このため、第3レンズ群13は、プラスチックレンズ33の像側の球面とプラスチックレンズ34の物体側の球面とが接合された接合レンズ(第2接合レンズ)である。
【0042】
第4レンズ群14において、プラスチックレンズ35は、物体側の面および像側の面が非球面である。プラスチックレンズ36は、物体側の面および像側の面が非球面である。このため、第4レンズ群14は、プラスチックレンズ35の像側の非球面とプラスチックレンズ36の物体側の非球面とが接合された接合レンズ(第1接合レンズ)である。
【0043】
ここで、第3レンズ群13(第2接合レンズ)において、すなわち、絞り91に対して物体側に配置された第3レンズ群13(第2接合レンズ)では、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ33の屈折率が絞り91側に位置するプラスチックレンズ34の屈折率より小であり、絞り91に対して像側に配置された第4レンズ群14(第1接合レンズ)でも、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ36の屈折率が絞り91側に位置するプラスチックレンズ35の屈折率より小である。かかる構成を実現するにあたって、本形態では、第3レンズ群13において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ33と、第4レンズ群14において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ36とには同一のレンズ材料が用いられ、第3レンズ群13において絞り91側に位置するプラスチックレンズ34と、第4レンズ群14において絞り91側に位置するプラスチックレンズ35とには同一のレンズ材料が用いられている。このため、2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)では、接合されたプラスチックレンズの材質の配置が絞り91を挟んで対称である。
【0044】
かかる構成の広角レンズ30においても、実施の形態1と同様、レンズの枚数を6枚以上とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第4レンズ群14(第1接合レンズ)を用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高める等、実施の形態1と同様な構成を有している。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0045】
[実施の形態3]
図4は、本発明の実施の形態3に係る広角レンズの説明図である。実施の形態1、2では、4群6枚のレンズ構成であったが、本形態では、5群6枚のレンズ構成である。
【0046】
図4に示すように、本形態の広角レンズ40は、実施の形態1と違って、5群6枚のレンズ構成を有しているが、画角は、実施の形態1と同様、190°である。かかる広角レンズ40は、物体側(被写体側/前側)から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群11と、負のパワーを持つ第2レンズ群12と、正のパワーを有する第3レンズ群13と、正のパワーを有する第4レンズ群14と、正のパワーを有する第5レンズ群15とを有しており、第4レンズ群14と第5レンズ群15との間に絞り91を有している。
【0047】
ここで、広角レンズ40は計6枚のプラスチックレンズを有している。より具体的には、第1レンズ群11は、負のパワーをもつプラスチックレンズ41からなり、第2レンズ群12は、負のパワーをもつプラスチックレンズ42からなる。
【0048】
第3レンズ群13は、正のパワーをもつプラスチックレンズ43からなり、第4レンズ群14は、正のパワーをもつプラスチックレンズ44からなる。ここで、第3レンズ群13(プラスチックレンズ43)と第4レンズ群14(プラスチックレンズ44)との間には隙間が空いている。
【0049】
第5レンズ群15は、正のパワーをもつプラスチックレンズ45と負のパワーをもつプラスチックレンズ46との接合レンズからなる。
【0050】
かかる構成の広角レンズ40における各レンズデータおよび非球面係数は、表5および表6に示す通りである。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
表5および表6から分かるように、本形態の広角レンズ40において、第2面(2)、第3面(3)、第4面(4)、第5面(5)、第8面(8)、第10面(10)、第11面(11)、および第12面(12)の計8面が非球面である。
【0054】
すなわち、レンズ41(第1レンズ群11)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。レンズ42(第2レンズ群12)は、物体側の面および像側の面が非球面である。
【0055】
プラスチックレンズ43(第3レンズ群13)は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面である。プラスチックレンズ44(第4レンズ群14)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。
【0056】
第5レンズ群15において、プラスチックレンズ45は、物体側の面および像側の面が非球面である。プラスチックレンズ46は、物体側の面および像側の面が非球面である。このため、第5レンズ群15は、プラスチックレンズ45の像側の非球面とプラスチックレンズ46の物体側の非球面とが接合された接合レンズ(第1接合レンズ)である。
【0057】
ここで、第3レンズ群13および第4レンズ群14において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ43には屈折率が1.63552のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ44には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。これに対して、第5レンズ群15(第1接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ46には屈折率が1.63552のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ45には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。このため、第3レンズ群13、第4レンズ群14および第5レンズ群15では、プラスチックレンズの屈折率の大小関係が絞り91を挟んで対称である。
【0058】
かかる構成の広角レンズ40においても、実施の形態1と同様、レンズの枚数を6枚以上とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第5レンズ群15(第1接合レンズ)を用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高める等、実施の形態1と同様な構成を有している。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる等、実施の形態1と略同様な効果を奏する。
【0059】
[実施の形態4]
図5は、本発明の実施の形態4に係る広角レンズの説明図である。実施の形態1、2では、4群6枚のレンズ構成であったが、本形態では、実施の形態3と同様、5群6枚のレンズ構成である。
【0060】
図5に示すように、本形態の広角レンズ50は、実施の形態1と違って、5群6枚のレンズ構成を有しているが、画角は、実施の形態1と同様、190°である。より具体的には、広角レンズ50は、物体側(被写体側/前側)から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群11と、負のパワーを持つ第2レンズ群12と、負のパワーを有する第3レンズ群13と、正のパワーを有する第4レンズ群14と、正のパワーを有する第5レンズ群15とを有しており、第4レンズ群14と第5レンズ群15との間に絞り91を有している。
【0061】
ここで、広角レンズ40は計6枚のプラスチックレンズを有している。より具体的には、第1レンズ群11は、負のパワーをもつプラスチックレンズ51からなり、第2レンズ群12は、負のパワーをもつプラスチックレンズ52からなる。
【0062】
第3レンズ群13は、負のパワーをもつプラスチックレンズ53からなり、第4レンズ群14は、正のパワーをもつプラスチックレンズ54からなる。ここで、第3レンズ群13(プラスチックレンズ53)と第4レンズ群14(プラスチックレンズ54)との間には隙間が空いている。
【0063】
第5レンズ群15は、負のパワーをもつプラスチックレンズ55と正のパワーをもつプラスチックレンズ56との接合レンズからなる。
【0064】
かかる構成の広角レンズ50における各レンズデータおよび非球面係数は、表7および表8に示す通りである。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
表7および表8から分かるように、本形態の広角レンズ50において、第2面(2)、第3面(3)、第4面(4)、第5面(5)、第8面(8)、第10面(10)、第11面(11)、および第12面(12)の計8面が非球面である。
【0068】
すなわち、レンズ51(第1レンズ群11)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。レンズ52(第2レンズ群12)は、物体側の面および像側の面が非球面である。
【0069】
プラスチックレンズ53(第3レンズ群13)は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面である。プラスチックレンズ54(第4レンズ群14)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。
【0070】
第5レンズ群15において、プラスチックレンズ55は、物体側の面および像側の面が非球面である。プラスチックレンズ56は、物体側の面および像側の面が非球面である。このため、第5レンズ群15は、プラスチックレンズ55の像側の非球面とプラスチックレンズ56の物体側の非球面とが接合された接合レンズ(第1接合レンズ)である。
【0071】
ここで、第3レンズ群13および第4レンズ群14において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ53には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ54には屈折率が1.58305のレンズ材料が用いられている。これに対して、第5レンズ群15(第1接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ56には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ55には屈折率が1.63281のレンズ材料が用いられている。このため、第3レンズ群13、第4レンズ群14および第5レンズ群15では、プラスチックレンズの屈折率の大小関係が絞り91を挟んで対称である。
【0072】
かかる構成の広角レンズ50においても、実施の形態1と同様、レンズの枚数を6枚以上とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第5レンズ群15(第1接合レンズ)を用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高める等、実施の形態1と同様な構成を有している。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる等、実施の形態1と略同様な効果を奏する。
【0073】
[実施の形態5]
図6は、本発明の実施の形態5に係る広角レンズの説明図である。実施の形態1〜4では、画角が190°であったが、本形態では、以下に説明するように、画角が150°である。
【0074】
図6に示すように、本形態の広角レンズ60も、実施の形態1と同様、4群6枚のレンズ構成を有している。より具体的には、広角レンズ60は、物体側(被写体側/前側)から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群11と、負のパワーを持つ第2レンズ群12と、正のパワーを有する第3レンズ群13と、正のパワーを有する第4レンズ群14とを有しており、第3レンズ群13と第4レンズ群14との間に絞り91を有している。
【0075】
ここで、広角レンズ60は計6枚のプラスチックレンズを有している。より具体的には、第1レンズ群11は、負のパワーをもつプラスチックレンズ61からなり、第2レンズ群12は、負のパワーをもつプラスチックレンズ62からなる。第3レンズ群13は、正のパワーをもつプラスチックレンズ63と正のパワーをもつプラスチックレンズ64との接合レンズからなり、第4レンズ群14は、正のパワーをもつプラスチックレンズ65と負のパワーをもつプラスチックレンズ66との接合レンズからなる。かかる2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)は、絞り91を挟む両側に配置されている。
【0076】
かかる構成の広角レンズ60における各レンズデータおよび非球面係数は、表9および表10に示す通りである。
【0077】
【表9】
【0078】
【表10】
【0079】
表9および表10から分かるように、本形態の広角レンズ60において、第2面(2)、第3面(3)、第4面(4)、第5面(5)、第7面(7)、第9面(9)、第10面(10)、および第11面(11)の計8面が非球面である。
【0080】
すなわち、レンズ61(第1レンズ群11)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。レンズ62(第2レンズ群12)は、物体側の面および像側の面が非球面である。
【0081】
第3レンズ群13において、プラスチックレンズ63は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面である。プラスチックレンズ64は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。このため、第3レンズ群13は、プラスチックレンズ63の像側の球面とプラスチックレンズ64の物体側の球面とが接合された接合レンズ(第2接合レンズ)である。
【0082】
第4レンズ群14において、プラスチックレンズ65は、物体側の面および像側の面が非球面である。プラスチックレンズ66は、物体側の面および像側の面が非球面である。このため、第4レンズ群14は、プラスチックレンズ65の像側の非球面とプラスチックレンズ66の物体側の非球面とが接合された接合レンズ(第1接合レンズ)である。
【0083】
ここで、第3レンズ群13(第2接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ63には屈折率が1.63551のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ64には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。これに対して、第4レンズ群14(第1接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ66には屈折率が1.63551のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ65には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。このため、2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)では、接合されたプラスチックレンズの屈折率の大小関係が絞り91を挟んで対称である。かかる構成を実現するにあたって、本形態では、第3レンズ群13において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ63と、第4レンズ群14において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ66とには同一のレンズ材料が用いられ、第3レンズ群13において絞り91側に位置するプラスチックレンズ64と、第4レンズ群14において絞り91側に位置するプラスチックレンズ65とには同一のレンズ材料が用いられている。このため、2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)では、接合されたプラスチックレンズの材質の配置が絞り91を挟んで対称である。
【0084】
かかる構成の広角レンズ60においても、実施の形態1と同様、レンズの枚数を6枚以上とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第4レンズ群14(第1接合レンズ)を用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高める等、実施の形態1と同様な構成を有している。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0085】
[実施の形態6]
図7は、本発明の実施の形態6に係る広角レンズの説明図である。実施の形態1〜4では、画角が190°であり、実施の形態5では画角が150°であったが、本形態では、以下に説明するように、画角が130°である。
【0086】
図7に示すように、本形態の広角レンズ70も、実施の形態1と同様、4群6枚のレンズ構成を有している。より具体的には、広角レンズ70は、物体側(被写体側/前側)から順に、負のパワーを持つ第1レンズ群11と、負のパワーを持つ第2レンズ群12と、正のパワーを有する第3レンズ群13と、正のパワーを有する第4レンズ群14とを有しており、第3レンズ群13と第4レンズ群14との間に絞り91を有している。
【0087】
ここで、広角レンズ70は計6枚のプラスチックレンズを有している。より具体的には、第1レンズ群11は、負のパワーをもつプラスチックレンズ71からなり、第2レンズ群12は、負のパワーをもつプラスチックレンズ72からなる。第3レンズ群13は、正のパワーをもつプラスチックレンズ73と正のパワーをもつプラスチックレンズ74との接合レンズからなり、第4レンズ群14は、正のパワーをもつプラスチックレンズ75と負のパワーをもつプラスチックレンズ76との接合レンズからなる。かかる2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)は、絞り91を挟む両側に配置されている。
【0088】
かかる構成の広角レンズ70における各レンズデータおよび非球面係数は、表11および表12に示す通りである。
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
表11および表12から分かるように、本形態の広角レンズ70において、第2面(2)、第3面(3)、第4面(4)、第5面(5)、第7面(7)、第9面(9)、第10面(10)、および第11面(11)の計8面が非球面である。
【0092】
すなわち、レンズ71(第1レンズ群11)は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。レンズ72(第2レンズ群12)は、物体側の面および像側の面が非球面である。
【0093】
第3レンズ群13において、プラスチックレンズ73は、物体側の面が非球面であり、像側の面が球面である。プラスチックレンズ74は、物体側の面が球面であり、像側の面が非球面である。このため、第3レンズ群13は、プラスチックレンズ73の像側の球面とプラスチックレンズ74の物体側の球面とが接合された接合レンズ(第2接合レンズ)である。
【0094】
第4レンズ群14において、プラスチックレンズ75は、物体側の面および像側の面が非球面である。プラスチックレンズ76は、物体側の面および像側の面が非球面である。このため、第4レンズ群14は、プラスチックレンズ75の像側の非球面とプラスチックレンズ76の物体側の非球面とが接合された接合レンズ(第1接合レンズ)である。
【0095】
ここで、第3レンズ群13(第2接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ73には屈折率が1.63551のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ74には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。これに対して、第4レンズ群14(第1接合レンズ)において、絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ76には屈折率が1.63551のレンズ材料が用いられ、絞り91側に位置するプラスチックレンズ75には屈折率が1.53157のレンズ材料が用いられている。このため、2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)では、接合されたプラスチックレンズの屈折率の大小関係が絞り91を挟んで対称である。かかる構成を実現するにあたって、本形態では、第3レンズ群13において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ73と、第4レンズ群14において絞り91側とは反対側に位置するプラスチックレンズ76とには同一のレンズ材料が用いられ、第3レンズ群13において絞り91側に位置するプラスチックレンズ74と、第4レンズ群14において絞り91側に位置するプラスチックレンズ75とには同一のレンズ材料が用いられている。このため、2組の接合レンズ(第3レンズ群13および第4レンズ群14)では、接合されたプラスチックレンズの材質の配置が絞り91を挟んで対称である。
【0096】
かかる構成の広角レンズ70においても、実施の形態1と同様、レンズの枚数を6枚以上とすることにより、非球面レンズの数を増やして倍率色収差を補正するとともに、非球面同士が接合された第4レンズ群14(第1接合レンズ)を用いることにより、倍率色収差を補正して解像度を高める等、実施の形態1と同様な構成を有している。このため、低コスト化、および解像度の向上の双方を図ることができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0097】
参考形態]
上記実施の形態において、実施の形態1で第3レンズ群13として用いた第2接合レンズでは球面同士を接合したが、非球面同士で接合した構成を採用してもよい
【符号の説明】
【0098】
20、30、40、50、60、70 広角レンズ
11 第1レンズ群
12 第2レンズ群
13 第3レンズ群
14 第4レンズ群
15 第5レンズ群
91 絞り
図1
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図2
図9