特許第6000807号(P6000807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6000807-スクリーン装置のスライドガイド枠部 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000807
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】スクリーン装置のスライドガイド枠部
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/92 20060101AFI20160923BHJP
【FI】
   E06B3/92
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-243837(P2012-243837)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-91980(P2014-91980A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390035976
【氏名又は名称】株式会社メタコ
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】岡地 康文
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 光晴
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3403652(JP,B2)
【文献】 国際公開第2009/150911(WO,A1)
【文献】 米国特許第8196638(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/92、9/52
F16G 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された、少なくとも一方がスライド移動可能な一対の中空なスクリーン取付枠部と、
これらのスクリーン取付枠部の間に展開自在に取り付けられたスクリーンと、
前記スクリーン取付枠部への取付側ではない前記スクリーンの両端部付近のそれぞれに配設されたスライドガイド枠部と、
を備え、
各スライドガイド枠部は、屈曲性を有し、少なくとも一端が自由端とされてスライド移動可能な前記スクリーン取付枠部の内部に収納および引き出し可能とされる一方、スライド移動可能な前記スクリーン取付枠部のスライド移動にともなって前記スクリーン取付枠部から引き出されたとき、前記スライドガイド枠部の引き出された部分は直線性を保持するスクリーン装置における前記スライドガイド枠部であって、
前記2つのスライドガイド枠部のいずれか一方または両方は、対向配置された一対の側壁部と、両側壁部をそれぞれの略中央部から一端部にかけて相互に繋ぐ架橋部とを有する剛性ユニットの複数が、隣り合う2つにおいて回動自在に連結されて形成され、
前記側壁部では、前記略中央部から前記一端部にかけての略半部に、前記剛性ユニットの幅方向に窪んだ窪み部が形成され、前記略中央部から他端部にかけての略半部に、前記剛性ユニットの幅方向に貫通する貫通穴が形成され、かつ前記略中央部の内側に、前記貫通穴に隣接して突起が設けられ、
前記窪み部では、その略中央部に、外側に向かって突出する軸部が設けられ、かつ前記窪み部の前記略中央部から前記側壁部の前記一端部にかけて、前記剛性ユニットの高さ方向に切り欠かれた切欠部が形成され、
隣り合う2つの前記剛性ユニットは、一方の剛性ユニットの前記軸部が他方の剛性ユニットの前記貫通穴に内側から挿入されて連結され、前記突起が、前記切欠部が有する一端と他端のそれぞれに接触するまでの範囲内で、一方の剛性ユニットが、他方の剛性ユニットに対し回動自在とされている
ことを特徴とするスクリーン装置のスライドガイド枠部。
【請求項2】
前記軸部では、前記側壁部の前記一端部側に、前記剛性ユニットの幅方向の内側に向かって傾斜する面取り部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置のスライドガイド枠部。
【請求項3】
前記スクリーン装置では、前記2つのスクリーン取付枠部の内、一方のスクリーン取付枠部が固定され、この固定されたスクリーン取付枠部の内部に、コイルバネが内蔵されたローラーパイプが回転自在に収納され、このローラーパイプに前記スクリーンの一端が取り付けられ、前記ローラーパイプは、前記コイルバネに発生する弾性力によって回転し、その外周に前記スクリーンを巻き取ることを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン装置のスライドガイド枠部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン、ブラインド、網戸、さらに間仕切りなどとして用いることのできる多用途のスクリーン装置に配設されるスライドガイド枠部に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテン、ブラインドなどの遮光および調光手段や網戸、間仕切りなどとして使用する際の設置の制約を解消し、スムーズで安定した開閉操作を実現する装置として、本出願人は、スクリーン装置を提供している(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載したスクリーン装置では、対向配置された、少なくとも一方がスライド移動可能な一対のスクリーン取付枠部の間に、スクリーンが、展開自在に取り付けられている。また、スクリーン取付枠部への取付側ではないスクリーンの両端部付近に、スライドガイド枠部が一対配設されている。これら2つのスライドガイド枠部は、屈曲性を有し、少なくとも一端が自由端とされてスライド移動可能なスクリーン取付枠部の内部に収納および引き出し可能とされている。一方、スライド移動可能なスクリーン取付枠部のスライド移動にともなってスクリーン取付枠部から引き出されたスライドガイド枠部の部分は直線性を保持する。このようなスライドガイド枠部によって、設置の制約の解消とスムーズで安定した開閉操作を実現している。
【0004】
スライドガイド枠部は、複数の剛性ユニットが、隣り合う2つにおいて連結されて形成されている。剛性ユニットは、対向配置された一対の側壁部と、両側壁部を相互に繋ぐ架橋部とを有している。側壁部には、長さ方向の一端部に外側に突出する突起が配設され、他端部に突起が挿入可能な貫通穴が形成されている。また、側壁部には、突起に隣接して貫通穴と反対側に位置し、外側に突出する小突起が配設され、かつ貫通穴に隣接して突起側に略三日月状の長孔が形成されている。このような剛性ユニットが、隣り合う2つにおいて、突起を貫通穴に側壁部の内側から挿入して連結され、かつ小突起を長孔に差し込むことによって回動自在となり、スライドガイド枠部を形成する。スライドガイド枠部は、剛性ユニットが隣り合う2つにおいて回動自在とされているため、屈曲性を有し、また、小突起が長孔の長さ方向の一端に接触し、剛性ユニットの回動が規制されることによって直線性を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3403652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおりのスライドガイド枠部が配設されたスクリーン装置は、設置の制約の解消とスムーズで安定した開閉操作を実現するものであるので、汎用されてきている。その一方、たとえば、スクリーン装置を全開したときの開口面積の増大と、スクリーンがネットやレースなどから形成される場合、全閉したときの通風性の向上とが要望されている。これらの要望は、スクリーン取付枠部の見付、すなわち、幅方向の寸法を縮小することによって応えることができる。
【0007】
しかしながら、スライド移動可能なスクリーン取付枠部では、その内部に2つのスライドガイド枠部が収納されるため、スライド移動可能なスクリーン取付枠部の見付を小さくするためには、スライドガイド枠部の見付を縮小することが是非とも必要となる。だが、スライドガイド枠部の見付を縮小すると、現行の剛性ユニットから形成されるスライドガイド枠部では、剛性ユニットの連結強度が低減してしまう。それというのも、スライドガイド枠部の見付の縮小の実現のためには、剛性ユニットの高さ方向の寸法を小さくする必要があるが、剛性ユニットの側壁部では、略三日月状の長孔が形成されるため、側壁部の強度が不足するからである。また、側壁部の強度を保持しようとすると、長孔の長さを短くする必要があるが、長孔の長さの短縮のともない小突起の大きさが小さくなり、小突起の強度を十分に確保することができなくなるからである。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、剛性ユニットの連結強度を十分に確保しつつ、スライド移動可能なスクリーン取付枠部の見付の縮小を実現することができるスクリーン装置のスライドガイド枠部を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のスクリーン装置のスライドガイド枠部は、対向配置された、少なくとも一方がスライド移動可能な一対の中空なスクリーン取付枠部と、スクリーン取付枠部の間に展開自在に取り付けられたスクリーンと、スクリーン取付枠部への取付側ではないスクリーンの両端部付近のそれぞれに設けられたスライドガイド枠部とを備え、各スライドガイド枠部は、屈曲性を有し、少なくとも一端が自由端とされてスライド移動可能なスクリーン取付枠部の内部に収納および引き出し可能とされる一方、スライド移動可能なスクリーン取付枠部のスライド移動にともなってスクリーン取付枠部から引き出されたとき、スライドガイド枠部の引き出された部分は直線性を保持するスクリーン装置におけるスライドガイド枠部であって、2つのスライドガイド枠部のいずれか一方または両方は、対向配置された一対の側壁部と、両側壁部をそれぞれの略中央部から一端部にかけて相互に繋ぐ架橋部とを有する剛性ユニットの複数が、隣り合う2つにおいて回動自在に連結されて形成され、側壁部では、略中央部から一端部にかけての略半部に、剛性ユニットの幅方向に窪んだ窪み部が形成され、略中央部から他端部にかけての略半部に、剛性ユニットの幅方向に貫通する貫通穴が形成され、かつ略中央部の内側に、貫通穴に隣接して突起が設けられ、窪み部では、その略中央部に、外側に向かって突出する軸部が設けられ、かつ窪み部の略中央部から側壁部の一端部にかけて、剛性ユニットの高さ方向に切り欠かれた切欠部が形成され、隣り合う2つの剛性ユニットは、一方の剛性ユニットの軸部が他方の剛性ユニットの貫通穴に内側から挿入されて連結され、突起が、切欠部が有する一端と他端のそれぞれに接触するまでの範囲内で、一方の剛性ユニットが、他方の剛性ユニットに対し回動自在とされていることを特徴としている。
【0010】
このスクリーン装置のスライド枠部においては、軸部では、側壁部の一端部側に、剛性ユニットの幅方向の内側に向かって傾斜する面取り部が形成されていることが好ましい。
【0011】
また、このスクリーン装置のスライドガイド枠部においては、スクリーン装置では、2つのスクリーン取付枠部の内、一方のスクリーン取付枠部が固定され、固定されたスクリーン取付枠部の内部に、コイルバネが内蔵されたローラーパイプが回転自在に収納され、ローラーパイプにスクリーンの一端が取り付けられ、ローラーパイプは、コイルバネに発生する弾性力によって回転し、外周にスクリーンを巻き取ることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスクリーン装置のスライドガイド枠部によれば、剛性ユニットの連結強度を十分に確保しつつ、スライド移動可能なスクリーン取付枠部の見付の縮小を実現することができる
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のスクリーン装置のスライドガイド枠部の一実施形態と、このスライドガイド枠部を備えたスクリーン装置を示した一部切欠正面図である。
図2】(a)(b)は、それぞれ、図1に示したスライドガイド枠部を形成する剛性ユニットと、スライドガイド枠部の一部を示した斜視図である。
図3】(a)(b)(c)(d)(e)は、それぞれ、図2(a)に示した剛性ユニットの正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明のスクリーン装置のスライドガイド枠部の一実施形態と、このスライドガイド枠部を備えたスクリーン装置を示した一部切欠正面図である。
【0015】
スクリーン装置1は、横方向に開閉するスクリーン2としてネット2aを備えている。スクリーン2は、織物、編物などの布地から形成されたものであり、遮光性を有するものや防虫網として使用可能なものなど、必要とされる特性に応じて適宜選択されるものである。本実施形態では、防虫網として適用されるネット2aが採用されている。また、ネット2aを含め、スクリーン2の形状には特に制限はなく、プリーツなどを必要に応じて付けることが可能である。
【0016】
スクリーン装置1の右側には、中空なスクリーン取付枠部3が配置されている。スクリーン取付枠部3は、たとえば、建物において矩形状に形成された開口部の縦方向に延びる右側の額縁などに固定される。スクリーン取付枠部3は、ローラーパイプ4を内蔵し、収納している。ローラーパイプ4にスクリーン2の一端が取り付けられている。
【0017】
ローラーパイプ4は、略円筒状の中空な本体4aと、本体4aがその下端部において接続されている軸受5とを備えている。本体4aの内部には回転軸6が設けられている。回転軸6は、軸受5からローラーパイプ4の高さ方向の途中まで延びている。また、本体4aにはコイルバネ7が内蔵され、コイルバネ7は、回転軸6の周りに配設されている。コイルバネ7には、ねじられたときに弾性力が蓄積され、蓄積された弾性力が開放されるとき、本体4aが回転軸6を中心として自動的に回転する。このとき、ローラーパイプ4に一端が取り付けられたスクリーン2は、本体4aの外周に巻き取られる。一方、巻き取られたスクリーン2を、スクリーン装置1を閉める方向に引き出すと、ローラーパイプ4の本体4aは、上記と反対方向に回転し、コイルバネ7がねじられ、弾性力が蓄積される。
【0018】
スクリーン2の他端は、固定されたスクリーン取付枠部3に対して、スクリーン2を開閉する横方向にスライド移動可能とされたスクリーン取付枠部8に取り付けられている。スクリーン取付枠部8は、矩形断面を有する角筒状の中空な本体8aを有し、本体8aは、スクリーン装置1の縦方向に延びている。スライド移動可能なスクリーン取付枠部8は、たとえば、建物の開口部の縦方向に延びる左側の額縁などに取り付けられる戸当り枠9とスクリーン取付枠部3との間を横方向にスライド移動する。スクリーン2は、スクリーン取付枠部8のそのようなスライド移動によって開閉可能となっている。
【0019】
また、スクリーン装置1では、スクリーン取付枠部8のスライド移動がスムーズに実現されるように、スクリーン取付枠部8のガイドとして、たとえば、床面などに下レール10が設けられ、また、建物の開口部の横方向に延びる上側の額縁などには上レール11が設けられている。下レール10は、たとえば、細長い棒状の形状を有するものとして形成することができる。上レール11は、たとえば、断面コ字型の形状を有する枠として形成することができる。この場合、上レール11は、スクリーン取付枠部3、8およびスクリーン2の上端部を、スクリーン装置1の表裏両側から覆い隠すことができ、スクリーン装置1の見栄えの向上にも寄与する。
【0020】
スクリーン2を開閉する際には、操作者は、スクリーン取付枠部8に手を携えてスクリーン取付枠部8を横方向にスライドさせることができる。このとき、スクリーン取付枠部8は、下レール10によって内側よりガイドされ、かつ上レール11によって外側よりガイドされ、スムーズに建物の開口部を横方向にスライド移動する。スクリーン取付枠部8には、その正面部に、また、必要に応じて背面部にも取っ手を設けることができ、操作者による開閉操作を容易とすることができる。
【0021】
また、スクリーン装置1では、スクリーン2の上端付近に上スライドガイド枠部12が設けられ、スクリーン2の下端付近に下スライドガイド枠部13が設けられている。上スライドガイド枠部12と下スライドガイド枠部13はともに、スライド移動可能なスクリーン取付枠部8をスクリーン取付枠部3に対して平行に配置し、かつこの平行な位置関係をスクリーン取付枠部8がスライド移動する際にも安定に保持させるものである。スクリーン2の開閉は、上スライドガイド枠部12と下スライドガイド枠部13によって確実に行われる。
【0022】
スクリーン装置1では、下スライドガイド枠部13には、現行型のスライドガイド枠部が採用され、上スライドガイド枠部12に新型のスライドガイド枠部が採用されている。
【0023】
すなわち、下スライドガイド枠部13は、現行型の剛性ユニットである第1剛性ユニット14の複数が、隣り合う2つにおいて回動自在に連結されて形成されている。第1剛性ユニット14は、対向配置された一対の側壁部15と、側壁部15の上端部寄りの位置でかつ略中央部から左端部にかけて両側壁部15を相互に繋ぐ架橋部(図示なし)とを有している。側壁部15には、左端部に、側方に突出する突起16が配設され、右端部に、突起16が挿入可能な、第1剛性ユニット14の幅方向に貫通する貫通穴17が形成されている。第1剛性ユニット14の複数は、隣り合う2つにおいて突起16を貫通穴17に側壁部15の裏面側から挿入することによって連結され、下スライドガイド枠部13を形成する。このように、突起16の貫通穴17への挿入により第1剛性ユニット14が連結されているので、第1剛性ユニット14は、隣り合う2つにおいて互いに回動自在である。この第1剛性ユニット14の回動によって、下スライドガイド枠部16は、屈曲性を有するものとして実現されている。
【0024】
また、第1剛性ユニット14では、突起16の左側において側壁部15から外方に突出する小突起18が配設されている。また、貫通穴17の左側には略三日月状の長孔19が、側壁部15を第1剛性ユニット14の幅方向に貫通して形成されている。長孔19は、小突起18の受け入れを可能としており、第1剛性ユニット14の連結の際に、長孔19の内部に小突起18が差し込まれる。このように、小突起18が長孔19に差し込まれるので、隣り合う2つの第1剛性ユニット14では、小突起18が長孔19の一端に接触するとき、第1剛性ユニット14の回動が制止される。このため、下スライドガイド枠部13は、直線性を保持することができる。
【0025】
上スライドガイド枠部12には、新型の剛性ユニットである第2剛性ユニット20の複数が、隣り合う2つにおいて回動自在に連結されて形成されている。
【0026】
図2(a)(b)は、それぞれ、図1に示したスライドガイド枠部を形成する剛性ユニットと、スライドガイド枠部の一部を示した斜視図である。また、図3(a)(b)(c)(d)(e)は、それぞれ、図2(a)に示した剛性ユニットの正面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図である。
【0027】
上スライドガイド枠部12は、左右に対向配置された一対の側壁部21と、両側壁部21をそれぞれの略中央部から左側の一端部にかけて相互に繋ぐ架橋部22とを有する第2剛性ユニット20の複数が、隣り合う2つにおいて回動自在に連結されて形成されている。剛性ユニット20の側壁部21および架橋部22はともに、略平板状の部材である。
【0028】
側壁部21では、略中央部から左側の一端部にかけての略半部21aに、第2剛性ユニット20の幅方向w(図3(e)を参照)に窪んだ窪み部23が形成されている。窪み部23の左端および右端は、ともに正面視で円弧状に形成されている。また、側壁部21では、略中央部から右側の他端部にかけての略半部21bに、第2剛性ユニット20の幅方向wに貫通する貫通穴24が形成されている。略半部21bの右側の一端は、正面視で半円状に形成されている。また、側壁部21では、略中央部の内側に、貫通穴24に隣接して突起25が設けられている。突起25では、図2(a)に示したように、上面25aが、第2剛性ユニット20の長さ方向l(図3(a)を参照)に平行に延びる平面であり、下面25bは、上面25aに対し、傾斜する傾斜面である。下面25bの上面25aに対する傾斜度は、たとえば、30°程度とすることができる。
【0029】
窪み部23では、その略中央部に、外側に向かって突出する軸部26が設けられている。軸部26では、側壁部21の左側の一端部側に、第2剛性ユニット20の幅方向wの内側に向かって傾斜する面取り部27が形成されている。また、窪み部23では、その略中央部から側壁部21の左側の一端部にかけて、第2剛性ユニット20の高さ方向h(図3(e)を参照)に切り欠かれた切欠部28が形成されている。切欠部28は、略半部21aの下面から略半部21aの高さの半分まで円弧状に切り欠かれて形成されており、第2剛性ユニット20の長さ方向lに平行な一端28aと、第2剛性ユニット20の高さ方向hに平行な他端28bを有している。
【0030】
隣り合う2つの第2剛性ユニット20は、一方の第2剛性ユニット20の軸部26が他方の第2剛性ユニット20の貫通穴24に内側から挿入されて連結される。軸部26には面取り部27が形成されているので、軸部26の貫通穴24への挿入が容易であり、第2剛性ユニット20の連結が容易に実現される。このように連結される隣り合う2つの第2剛性ユニット20では、突起25の上面25aが、切欠部28の一端28aと他端28bのそれぞれに接触するまでの範囲内(約60°)で、一方の第2剛性ユニット20が、他方の第2剛性ユニット20に対し回動自在とされている。このため、第2剛性ユニット20の複数が、隣り合う2つにおいて回動自在に連結されて形成される上スライドガイド枠部12は、屈曲性を有する。また、第2剛性ユニット20の側壁部21に設けられた突起25の上面25aが、側壁部21の窪み部23に形成された切欠部28の一端28aに接触するとき、上スライドガイド枠部12は直線性を保持する。
【0031】
したがって、新型の剛性ユニットである第2剛性ユニット20の複数から形成される上スライドガイド枠部12では、図1に示したように、現行型の剛性ユニットである第1剛性ユニット14から形成される下スライドガイド枠部13に比べ、見付が縮小されている。すなわち、第2剛性ユニット20では、高さ方向hの寸法が縮小されている。第2剛性ユニット20では、回動限界は、突起25と切欠部28によって決まるため、第1剛性ユニット14に必要とされていた小突起18および長孔19が省略されている。長孔19の省略により側壁部21の強度を保持することができ、しかも、小突起18の強度を確保するための考慮が不要となる。軸部26による連結強度は十分に高く、上スライドガイド枠部12における第2剛性ユニット20の連結強度は十分に確保される。
【0032】
このような上スライドガイド枠部12を形成する第2剛性ユニット20は、現行型の第1剛性ユニット14と同様に、樹脂、金属などの成形性の良好な材料から形成することができる。第2剛性ユニット20が、樹脂や金属から形成される場合、側壁部21の略半部21bは、弾性により外側に押し広げることが可能であり、しかも、元の状態に自発的に復元可能である。このため、第2剛性ユニット20の連結がより容易となる。
【0033】
図1に示したスクリーン装置1では、上スライドガイド枠部12は、下方への屈曲が可能とされ、下スライドガイド枠部13は、上方への屈曲が可能とされている。また、上スライドガイド枠部12と下スライドガイド枠部13はともに、右端が固定端とされ、スクリーン取付枠部3側に固定されている。一方、左端は自由端29とされ、スクリーン取付枠部8の本体8aの内部に配置されており、上スライドガイド枠部12および下スライドガイド枠部13は、スクリーン取付枠部8の本体8aの内部に収納および引き出し可能とされている。スクリーン取付枠部8の本体8aの内部は、上スライドガイド枠部12を収納する第1収納部30と、下スライドガイド枠部13を収納する第2収納部31の2つに区分されている。たとえば、本体8aの内部に本体8aの内側に突出するリブなどを本体8aの高さ方向に設けることによって、第1収納部30と第2収納部31を本体8aの内部に区画して形成することができる。第1収納部30は、スクリーン取付枠部8におけるスクリーン2の取付側に近い部分に配置され、第2収納部31は、スクリーン2の取付側から遠い部分に配置されている。したがって、上スライドガイド枠部12および下スライドガイド枠部13は、スクリーン取付枠部8の本体8aの内部に収納されるとき、各自由端29が接触することはない。上スライドガイド枠部12および下スライドガイド枠部13はともに、スクリーン取付枠部8の本体8aの内部にスムーズに収納される。また、本体8aの内部から引き出されるとき、上スライドガイド枠部12および下スライドガイド枠部13は互いに干渉し合うことはない。
【0034】
各自由端29では、上スライドガイド枠部12と下スライドガイド枠部13は互いに、紐、ワイヤーなどの線材から適宜選択される張力部材32によって連結されている。上スライドガイド枠部12と下スライドガイド枠部13は、張力部材32による連結によって、スクリーン取付枠部8のスライド移動にともなう本体8aの内外への移動量がほぼ等しくなる。このため、スライド移動可能なスクリーン取付枠部8の固定されたスクリーン取付枠部3に対する平行移動をより確実にする。張力部材32は、スクリーン取付枠部8の本体8aの内部でループを形成しており、スクリーン取付枠部8の上下両側に設けられた方向転換部材33に掛け回され、折り返されている。方向転換部材33は、張力部材32の掛け回しが可能な鼓状の曲面を有するプーリーなどを含むものとして構成することができる。
【0035】
また、スクリーン取付枠部8の本体8aの内部では、上スライドガイド枠部12および下スライドガイド枠部13が進退する上下両端部に、上スライドガイド枠部12および下スライドガイド枠部13の屈曲をガイドするガイド面34を内側に有するガイドブロック35が設けられている。上側のガイドブロック35では、ガイド面34は、右側端から下端にかけて凹状に湾曲し、下側のガイドブロック35では、ガイド面34は、右側端から上端にかけて凹状に湾曲している。また、下側のガイドブロック35には、張力部材32を折り返す方向転換部材33が取り付けられている。一方、上側の方向転換部材33は、上側のガイドブロック35の左側に隣接して配置されている。
【0036】
上スライド枠部12および下スライドガイド枠部13は、スライド移動可能なスクリーン取付枠部8の横方向のスライド移動にともなってスクリーン取付枠部8の本体8aの内部に収納され、また、引き出される。スクリーン取付枠部8から引き出された部分は、上記のとおりの第1剛性ユニット14および第2剛性ユニット20によって直線性を保持する。
【0037】
なお、下スライドガイド枠部13は、スクリーン取付枠部8の下方から本体8aの内部に収納され、収納方向が重力と反対向きとなるので、自由端29に錘36を備えている。錘36は、その自重を下スライドガイド枠部13における下から立ち上がった部分に作用させ、下スライドガイド枠部13がスクリーン取付枠部8から引き出されるときは、下スライドガイド枠部13を適度に押し出す。また、下スライドガイド枠部13がスクリーン取付枠部8の本体8aの内部に収納されるときは、下スライドガイド枠部13の進入を適度に抑制する。このため、下スライドガイド枠部13のスクリーン取付枠部8の本体8aの内部への収納および引き出しが、スムーズかつ安定に実現される。
【0038】
また、スクリーン装置1では、戸当り枠9にラッチ37が配設されている。ラッチ37は、スクリーン取付枠部8側に突出し、下方に曲折された係合部38を有している。また、ラッチ37は、付設されたバネ39の弾性力が作用し、上下動可能とされている。ラッチ37と対向するスクリーン取付枠部8の対向面部には、係合部38と係合する開口(図示なし)を有するハンガー(図示なし)が設けられている。
【0039】
スクリーン2を閉める際に、スクリーン取付枠部8を戸当り枠9までスライドさせると、ハンガーの開口にラッチ37の係合部38が入り込み、その先端が、開口の縁部においてハンガーに引っ掛かり、係合する。この係合によって、スクリーン取付枠部8は、ローラーパイプ4に内蔵されたコイルバネ7の弾性力に抗して移動が制止され、スクリーン装置1は、閉じた状態を安定に保持することができる。
【0040】
このようなスクリーン装置1では、上記のとおり、上スライドガイド枠部12に、見付が縮小した新型のスライドガイド枠部が採用されている。このため、下スライドガイド枠部13に現行型のスライドガイド枠部が採用されていても、上スライドガイド枠部12および下スライドガイド枠部13が収納されるスライド移動可能なスクリーン取付枠部8の見付を縮小することができる。したがって、スクリーン装置1を全開したときの開口面積の増大と、スクリーン2がネットやレースなどから形成される場合、全閉したときの通風性の向上とが簡便に実現される。
【0041】
以上、本発明について実施形態に沿って説明したが、本発明は、実施形態によって制限されるものではない。新型のスライドガイド枠部を形成する剛性ユニットの形状や大きさなどの細部については様々な態様が可能である。また、新型のスライドガイド枠部の採用は、上スライドガイド枠部のみでなく、下スライドガイド枠部にも等しく適用可能である。また、スクリーンは、ローラーパイプへの巻き取る収納方式のものに限られることはなく、たとえば、プリーツ加工が施され、一対のスクリーン取付枠部の間に収縮して収納されるものなどを採用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 スクリーン装置
2 スクリーン
3 固定されたスクリーン取付枠部
4 ローラーパイプ
7 コイルバネ
8 スライド移動可能なスクリーン取付枠部
12 上スライドガイド枠部
13 下スライドガイド枠部
20 第2剛性ユニット(新型)
21 側壁部
21a 略半部
21b 略半部
22 架橋部
23 窪み部
24 貫通穴
25 突起
26 軸部
27 面取り部
28 切欠部
28a 一端
28b 他端

図2
図3
図1