特許第6000836号(P6000836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6000836汚水枡内に設置するバルブ式真空自動開閉装置
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  • 特許6000836-汚水枡内に設置するバルブ式真空自動開閉装置 図000002
  • 特許6000836-汚水枡内に設置するバルブ式真空自動開閉装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000836
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】汚水枡内に設置するバルブ式真空自動開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/00 20060101AFI20160923BHJP
   E03F 5/22 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   E03F7/00
   E03F5/22
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-269249(P2012-269249)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-114589(P2014-114589A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512113984
【氏名又は名称】越智 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】越智 俊之
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−151534(JP,A)
【文献】 特開平7−119200(JP,A)
【文献】 特表平10−507502(JP,A)
【文献】 実開昭57−33727(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00〜 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
老朽化した下水道管を新しい管に置き換える改築推進工事又は管の補修工事の際に、供用されている下水道管の仮排水を行ったり、仮排水のため止水が必要な下水道管を止水し、ドライな状態で施工を行うため、各家庭から排出される汚水を受けるため各家庭にそれぞれ設置された汚水枡を利用し、該汚水枡内から排出される汚水を、一時、工事区間より下流側に流すための工事であって、
各家庭の汚水枡(X)に設置され、汚水を吸引・排出させるための真空自動開閉装置において、
汚水枡(X)内のフロート(10)の取付け位置を、密閉容器(7)の下部に設け、該密閉容器(7)内にはメカニカルバルブ(8)を設け、前記フロート(10)の昇降により、該メカニカルバルブのプッシュボタン(9)を臨ませて設けたことを特徴とするバルブ式真空自動開閉装置。
【請求項2】
フロート(10)は、フロート収納筒(11)内に設けられ、該収納筒に、密閉容器(7)内に設けたメカニカルバルブ(8)のプッシュボタン(9)と接触可能に設けたことを特徴とする請求項1記載のバルブ式真空自動開閉装置。
【請求項3】
フロート収納筒(11)は、汚水枡(X)の底部に設けたことを特徴とする請求項2記載のバルブ式真空自動開閉装置。
【請求項4】
メカニカルバルブ(8)は、3ポート弁であり、ノーマルクローズ型であり、Pポートは真空ホースと連結し、Aポートは真空シリンダーホースと連結し、Rポートは大気ホースと連結しており、これら各ホースは、ホース収納パイプに挿入されていることを特徴とする請求項1または2記載のバルブ式真空自動開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汚水枡内に設置するバルブ式真空自動開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、市街地等の老朽化した下水道本管を、新管に置き換える間、各家庭の汚水枡の汚水を真空吸引して、汚水を下流側に排出するため、各家庭の汚水枡に1セットづつ自動開閉弁を設置する必要があり、それぞれ設けられている。(図1参照)
【0003】
この従来の装置(特願2012−105269号)は、本願出願人の発明であるが、メインバルブの開閉に必要な機能を達成するため、浮力を利用して密閉容器内の小型ボールバルブを開閉する構造となっており、図4図5にそれぞれ示すように、フロートで発生した浮力をチェーン・スプロケットを介して小型ボールバルブを開閉するものであり、該ボールバルブの開閉によりメインバルブを開閉するよう構成されている。
【0004】
この図4図5にそれぞれ示す従来の真空自動開閉装置は、密閉容器(7)・大気開放型ボールバルブ(8)・チェーン駆動型円盤(9)・スプリング(10)・チェーン(11)・密封保持用ゴム蛇腹(12)・フロート(13)・及び密封キャップ(14)の部品から構成されている。
【0005】
これに対して、この発明の改良部分は、部品点数及び汚水枡(X)内に設置する装置の占有面積を大幅に低減したものである。即ち,メカニカルバルブ(8)を採用することにより、従来例の小型の大気開放型ボールバルブ(8)、チェーン駆動型回転円盤(9)・スプリング(10)・密封キャップ(14)を削減することで可能になった。
【0006】
また、この発明のフロート(10)を密封容器(7)の下に配置することにより、フロートで発生した浮力を押し力に利用することにより、プッシュボタン(9)を少ないストローク量(10cm)で押し上げてポートの変換を可能にした。
【0007】
少ないストローク量でポート変換が可能になったため、フロートを密封容器(7)の下に配置することが可能になり、シンプルでコンパクトな構造となった。結果、コストも大幅に低減することが可能になったものである。
【0008】
従来例では、引き力でバルブを開閉していたため小型の大気開放型ボールバルブ(8)を完全に開閉するためには40〜50cmのストロークを要した。結果、浮力を最大限に活用するためには、汚水枡の最上位までフロートは移動する必要があり、大きな移動空間を確保することが必要条件であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、従来装置の汚水枡内に設置する装置(以下、ドライブ装置という)に改良を加え、最重要部位であるドライブ装置に、全く新規の構造を組み込むことにより機能を上げ、部品点数の低減、密封部位の低減を図り、しかも、大幅なコストダウンが可能な汚水枡内に設置するバルブ式真空自動開閉装置にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この発明は、汚水枡内から汚水を真空排出する新規なバルブを組み込んだ密閉容器を設置し、フロートに作用する浮力を利用してバルブを開閉し、供給されている真空圧をON・OFFして地上の真空シリンダに伝達してメインのボールバルブを開閉し汚水を真空排出することを可能としたバルブ式真空自動開閉装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、従来装置と同様の作動原理を有しているが、特に汚水枡内に設置する最重要部位であるドライブ装置に、全く新規を機構を組み込むことにより、部品点数の低減することが可能となった。
【0012】
また、占有面積の低減により密封を必要とする密封部位も大幅に低減でき、又、フロートによる浮力を従来方式の引き力でなく押し力として利用することにより、作動力を効果的に活用することが可能となった。
【0013】
即ち,密閉内のバルブの開閉に必要なストローク量が従来方式では45〜50cmが必要であったが、この考案によると、10cm位で対応が可能となった。
【0014】
従って、この考案により、部品点数の低減、密封部位の低減等により信頼性の向上が大幅にアップし、コンパクト化も可能となったことにより、少ないストロークでの確実あ作動を可能とし、かつ、大幅なコストダウンが実現できた等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明に使用する工事の一実施例を示す説明図である。
図2】この発明に使用する工事の一実施例を示す要部拡大断面図である。
図3】この発明の一実施例を示す一部欠截斜視図である。
図4】従来例を示す一部欠截斜視図である。
図5】従来例を示す一部欠截断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の好適な実施の形態として詳細に説明する。尚、この発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。
【実施例】
【0017】
先ず、この発明の一実施例を図面に基づいて詳述すると、この発明は、図3に示すように、地上装置部(A)と汚水枡(貯留槽)(X)内に設置されるフロート部と密閉容器(7)からなるドライブ装置(B)、及び地上装置部(A)と、汚水枡(X)内装置とを結び付ける装置部(C)に分かれて構成されている。
【0018】
地上装置部(A)は、真空駆動源に連結した吸引管(1)と、メインボールバルブ(2)及び該バルブ(2)を開閉するためのラック(3)を設け、該ラック(3)はバルブ(2)側にピニオン(4)を設け、該ピニオン(4)は単動型真空シリンダ(6)のシリンダロッド(6a)に結合されている。
【0019】
前記シリンダ(6)のために、シリンダロッド(6a)の先端側には、該ロッドを初期位置に戻すためのスプリング(5)が装着されている。
【0020】
また、地上装置部(A)と汚水枡(X)内との連結部品としては、吸引管(1)から分岐した吸引ホース(13)、大気連通ホース(15)及びシリンダロッド吸引ホース(14)を収納するホース収納パイプ(12)であり、該収納パイプ(12)内を経由して密閉容器(7)内にセットされているメカニカルバルブ(8)〔3ポート弁:ノーマルクローズ型〕の3つのポート(R、A、P)にそれぞれ締結されている。
【0021】
ドライブ装置(B)は、汚水枡(X)内に設置したメカニカルバルブ収納密閉容器(7)、メカニカルバルブ(8)、そして該バルブ(8)の先端に設けたプッシュボタン(9)と接触しているフロート(10)を収納したフロート収納筒(11)で構成されている。
【0022】
次に、この発明の作動順序を説明すると、最初に、メカニカルバルブ(8)である3ポート弁の作動について述べる。
【0023】
前記バルブ(8)は、ノーマルクローズ型でPポートは分岐した真空圧ホース(13)、Aポートはシリンダロッド吸引ホース(14)、Rポートは大気連通ホース(16)で連結されている。
【0024】
浮力の押し力が作用すると、PポートとAポートが繋がり、真空圧は単動型真空シリンダ(6)に作用し、メインボールバルブ(2)を開き、汚水を吸引する。浮力がなくなると初期の状態となりノーマルクローズとなる。尚、Pポートは大気開放のままである。
【0025】
次に、装置全体の作動順序を説明すると、メインボールバルブ(2)及びメカニカルバルブ(8)がノーマルクローズの状態では、汚水枡に流体(汚水)が流入されて来る。この時、吸引管(1)及び分岐した真空圧ホース(13)には真空圧が充満している。
【0026】
又、単動型真空シリンダ(6)のシリンダロッドは、スプリング(5)により初期位置に引っ張られ、メインボールバルブ(2)は閉じた状態である。
【0027】
汚水が汚水枡に溜まりフロート(10)に浮力が作用しだすとメカニカルバルブ(8)のプッシュボタン(9)を押し、ポートの切り替えが行われる。結果、PポートとAポートが繋がり真空圧が単動型真空シリンダ(6)に入りピニオン(4)がスプリング(5)に打ち勝って、ラック(3)を回転させてボールバルブ(2)を開く。
【0028】
吸引管(1)の真空圧は、吸引管(16)を経由して、汚水の排出を行う。両バルブが完全に開き汚水を完全に排出するとフロート(10)に作用している浮力がなくなり、メカニカルバルブ(8)はノーマルクローズとなる。
【0029】
このとき、シリンダロッド吸引ホース(14)の真空圧は、密閉容器内の大気連通ホース(15)により充満している密閉容器の大気と置換される。従って、単動型真空シリンダ(6)の内部も大気圧となりロッド側と圧力がバランスする。尚、シリンダロッド吸引ホース(14)には、単動型真空シリンダ(6)の近傍に真空空気調整バルブ(17)を設けている。
【0030】
これにより、スプリング(5)の力によりロッドのピニオン(4)は、ラック(3)を回転させメインバルブ(2)を「開」の状態から「閉」の状態に移行させる。
【0031】
この一連の動作のとき、大気圧と真空圧のバランスの差異により吸引ホース(13)より密封容器(7)に汚水が逆流することがあり、これを防止するために吸引ホース(13)のラインに逆流防止装置(18)を組み込んでいる。以上の繰り返しにより自動に開閉弁が作動し溜まった汚水を真空排出するものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この考案によると、汚水枡内に設置するバルブ式真空自動開閉装置の技術を確立し、これに基づいて大量に製造・販売することにより産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0033】
1 吸引管
2 メインボールバルブ
3 ラック
4 ピニオン
5 スプリング
6 単動型真空シリンダ
6a シリンダロッド
7 メカニカルバルブ収納密閉容器
8 メカニカルバルブ〔3ポート弁:ノーマルクローズ型〕
9 プッシュボタン
10 フロート
11 フロート収納筒
12 ホース収納パイプ
13 分岐した吸引ホース
14 シリンダロッド吸引ホース
15 大気連通ホース
16 吸引管
17 真空空気調整バルブ
18 逆流防止装置
A 地上装置部
B ドライブ装置
C 地上装置部(A)と、汚水枡(X)内装置とを結び付ける装置部
R,A,P ポート
X 汚水枡
図1
図2
図3
図4
図5