特許第6000868号(P6000868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000868
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】長尺ボルト交差連結金具
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20160923BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20160923BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   E04B5/58 S
   F16B7/04 301M
   F16B1/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-18024(P2013-18024)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-148828(P2014-148828A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591021958
【氏名又は名称】株式会社アカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100173668
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 吉之助
(72)【発明者】
【氏名】橋本 信
(72)【発明者】
【氏名】松島 俊久
(72)【発明者】
【氏名】山田 安彦
(72)【発明者】
【氏名】川島 隆朗
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 清寿
(72)【発明者】
【氏名】澤尻 隆一
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−324426(JP,A)
【文献】 特開2011−163544(JP,A)
【文献】 特開2012−012887(JP,A)
【文献】 特開2013−164152(JP,A)
【文献】 実開昭56−170380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差状態の2本の長尺ボルトの交差部分を連結する構成の長尺ボルト交差連結金具において、
板材を断面J字状に折曲げて、長辺部、短辺部、該長辺部と短辺部とを接続する折曲部とを形成して成る第1J字部材と、
板材を断面J字状に折曲げて、長辺部、短辺部、該長辺部と短辺部とを接続する折曲部とを形成して成る第2J字部材と、を有すると共に、
前記第1J字部材と第2J字部材とが、各々のJ字の短辺部が外向きとなると共に各々の長辺部の一部同士を積層させた状態で回動可能に接続されており、
更に、前記第1J字部材の短辺部と該短辺部と間隔を設けて積層する長辺部の各々には、ボルトを貫通挿通可能な透孔が穿設され、
且つ、前記第2J字部材の短辺部と該短辺部と間隔を設けて積層する長辺部の各々には、ボルトを貫通挿通可能な透孔が穿設されており、
前記第1J字部材の長辺部と短辺部との間で且つ折曲部の内側に前記2本の長尺ボルトの一方を引掛け挿通した後、前記長辺部と短辺部の透孔にボルトを貫通挿通してナット締めすることにより引掛け挿通した一方の長尺ボルトの脱落を防止する構成であり、
前記第2J字部材の長辺部と短辺部との間で且つ折曲部の内側に前記2本の長尺ボルトの他方を引掛け挿通した後、前記長辺部と短辺部の透孔にボルトを貫通挿通してナット締めすることにより引掛け挿通した他方の長尺ボルトの脱落を防止する構成であること、
を特徴とする長尺ボルト交差連結金具。
【請求項2】
前記ボルト挿通用の透孔乃至は該透孔の近傍に、該透孔に挿通するボルトの供回り防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の長尺ボルト交差連結金具。
【請求項3】
前記供回り防止手段が、ボルト頭の側面に当接する凸部を設けた構成であることを特徴とする請求項2に記載の長尺ボルト交差連結金具。
【請求項4】
前記供回り防止手段が、前記短辺部又は長辺部の一部をボルト頭の側面に当接するように折り曲げた構成であることを特徴とする請求項2に記載の長尺ボルト交差連結金具。
【請求項5】
前記第1J字部材の長辺部と第2J字部材の長辺部との積層が、J字の内側面同士が互いに対面するように積層させた構成であること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の長尺ボルト交差連結金具。
【請求項6】
天井スラブ・デッキプレートの如き天板部より垂設された複数本の吊りボルトの隣接する2本の吊りボルト同士間である1つのスパン間に対して少なくとも2本の長尺ボルトを交差状態に架渡し、この交差状態の2本の長尺ボルトの交差部分を請求項1〜5のいずれかに記載の長尺ボルト交差連結金具を用いて連結する構成であることを特徴とする長尺ボルト交差連結金具。
【請求項7】
天井スラブ・デッキプレートの如き天板部より垂設された吊りボルトに対して長尺ボルトを交差状態に配設し、この交差状態の2本のボルトの交差部分を請求項1〜5のいずれかに記載の長尺ボルト交差連結金具を用いて連結する構成であることを特徴とする長尺ボルト交差連結金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長尺ボルト交差連結金具に関し、詳しくは天井スラブ・デッキプレートの如き天板部より垂設された複数本の吊りボルト同士間に長尺ボルトを交差状態に架渡して連結することにより吊り状態を補強する構成に用いる長尺ボルト交差連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井スラブ・デッキプレートの如き天板部より垂設された複数本の吊りボルトの隣接する2本の吊りボルト同士間である1つのスパン間に対して長尺ボルトを架渡し、この架渡した長尺ボルトによって隣接する吊りボルト同士を連結して吊りボルトによる吊り状態を補強する構成が知られている。
【0003】
上記した吊り状態の補強構成において、1つのスパン間に架渡される2本の長尺ボルトの交差部を連結することにより前記吊り状態の強度を更に高めるための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
特許文献1の技術は、2本の長尺ボルトを各々抱持する2つの半割抱持部材を半割抱持部の開放部分が向い合うように且つ交差状態に対向させた状態でボルト・ナットにより緊締することによって前記2本の長尺ボルトを交差状態で連結する構成である。
【0005】
特許文献2,3の技術は、連結金具に形成された2組の凹部の各々に2本の長尺ボルトを嵌入することにより2本の長尺ボルトの交差部を連結する構成である。
【0006】
特許文献4の技術は、2本の長尺を各々挿通する2つの挿通部を交差状態に接続した連結金具により2本の長尺ボルトの交差部を連結する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−324426号公報(図8及び図9
【特許文献2】特許4457154号公報
【特許文献3】特許4741946号公報
【特許文献4】特開2009−215716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術は、2つの半割抱持部材を接続する1本のボルト・ナットの緊締が緩んでしまうと半割抱持部から長尺ボルトが脱落し易くなるという問題点を有している。
【0009】
特許文献2,3の技術は、凹部に嵌入した長尺ボルトに対して嵌入方向と逆方向に応力が掛かった場合に長尺ボルトが凹部から脱落してしまう場合があるという問題点を有している。更に、特許文献3の技術においては、歪みを許容する弾性部材で形成されているため、吊り状態の更なる補強については不充分であるという問題点を有している。
【0010】
特許文献4の技術は、2本の長尺ボルトの各々を2つの挿通部に対して予め端部から挿通する必要があり、現場での作業性が劣るという問題点を有している。
【0011】
そこで本発明の課題は、2本の交差状態の長尺ボルトの交差部を確実に連結することができ、しかも作業性の良好な長尺ボルト交差連結金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0013】
1.交差状態の2本の長尺ボルトの交差部分を連結する構成の長尺ボルト交差連結金具において、
板材を断面J字状に折曲げて、長辺部、短辺部、該長辺部と短辺部とを接続する折曲部とを形成して成る第1J字部材と、
板材を断面J字状に折曲げて、長辺部、短辺部、該長辺部と短辺部とを接続する折曲部とを形成して成る第2J字部材と、を有すると共に、
前記第1J字部材と第2J字部材とが、各々のJ字の短辺部が外向きとなると共に各々の長辺部の一部同士を積層させた状態で回動可能に接続されており、
更に、前記第1J字部材の短辺部と該短辺部と間隔を設けて積層する長辺部の各々には、ボルトを貫通挿通可能な透孔が穿設され、
且つ、前記第2J字部材の短辺部と該短辺部と間隔を設けて積層する長辺部の各々には、ボルトを貫通挿通可能な透孔が穿設されており、
前記第1J字部材の長辺部と短辺部との間で且つ折曲部の内側に前記2本の長尺ボルトの一方を引掛け挿通した後、前記長辺部と短辺部の透孔にボルトを貫通挿通してナット締めすることにより引掛け挿通した一方の長尺ボルトの脱落を防止する構成であり、
前記第2J字部材の長辺部と短辺部との間で且つ折曲部の内側に前記2本の長尺ボルトの他方を引掛け挿通した後、前記長辺部と短辺部の透孔にボルトを貫通挿通してナット締めすることにより引掛け挿通した他方の長尺ボルトの脱落を防止する構成であること、
を特徴とする長尺ボルト交差連結金具。
【0014】
2.前記ボルト挿通用の透孔乃至は該透孔の近傍に、該透孔に挿通するボルトの供回り防止手段が設けられていることを特徴とする上記1に記載の長尺ボルト交差連結金具。
【0015】
3.前記供回り防止手段が、ボルト頭の側面に当接する凸部を設けた構成であることを特徴とする上記2に記載の長尺ボルト交差連結金具。
【0016】
4.前記供回り防止手段が、前記短辺部又は長辺部の一部をボルト頭の側面に当接するように折り曲げた構成であることを特徴とする上記2に記載の長尺ボルト交差連結金具。
【0017】
5.前記第1J字部材の長辺部と第2J字部材の長辺部との積層が、J字の内側面同士が互いに対面するように積層させた構成であること、
を特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の長尺ボルト交差連結金具。
【0018】
6.天井スラブ・デッキプレートの如き天板部より垂設された複数本の吊りボルトの隣接する2本の吊りボルト同士間である1つのスパン間に対して少なくとも2本の長尺ボルトを交差状態に架渡し、この交差状態の2本の長尺ボルトの交差部分を上記1〜5のいずれかに記載の長尺ボルト交差連結金具を用いて連結する構成であることを特徴とする長尺ボルト交差連結金具。
【0019】
7.天井スラブ・デッキプレートの如き天板部より垂設された吊りボルトに対して長尺ボルトを交差状態に配設し、この交差状態の2本のボルトの交差部分を上記1〜5のいずれかに記載の長尺ボルト交差連結金具を用いて連結する構成であることを特徴とする長尺ボルト交差連結金具。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に示す発明によれば、2本の交差状態の長尺ボルトの交差部を確実に連結することができ、しかも作業性の良好な長尺ボルト交差連結金具を提供することができる。
【0021】
特に、2本の長尺ボルトの各々を、第1J字部材と第2J字部材の各々の長辺部と短辺部との間で且つ折曲部の内側に引掛け挿通した後、長辺部と短辺部をボルトを貫通挿通してナット締めする構成により、引掛け挿通した長尺ボルトが脱落することがない。
【0022】
請求項2に示す発明によれば、2本の長尺ボルトを各々引掛け挿通した第1J字部材と第2J字部材の夫々に挿通したボルトへのナット螺合作業時に、ナット螺合に伴うボルトの供回りが生じることなくナットを螺合することができるので、現場での取付作業時の作業性が向上する。
【0023】
請求項3又は4に示す発明によれば、ボルト供回り手段を極めて簡易な構成により低コストで得ることができる。
【0024】
請求項5に示す発明によれば、交差部における2本の長尺ボルト同士の間隔を無くした状態での連結が可能となる。尚、J字の長辺部の外側面同士が当接するように積層させた場合には、長辺部2枚分の厚み分だけ交差部における2本の長尺ボルト同士の間隔が開くことになる。
【0025】
請求項6に示す発明によれば、2本の長尺ボルトの交差部を確実に連結することができるので、吊りボルトによる吊り状態を更に補強することができ、しかも、取付作業時の作業性が良好である。
【0026】
請求項7に示す発明によれば、吊りボルトとこの吊りボルトに交差する長尺ボルトとの交差部を連結することができ、しかも、取付作業時の作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る長尺ボルト交差連結金具の一実施例を用いた吊り状態の一例を示す概略斜視図
図2図1に示す交差部の要部拡大正面図
図3】本発明に係る長尺ボルト交差連結金具の一実施例を示す7面図(正面図、背面図、平面図、底面図、左側面図、右側面図、A−A線断面図)
図4図3に示す長尺ボルト交差連結金具の組立て順序の一例を示す概略説明図
図5図3に示す長尺ボルト交差連結金具の施工順序の一例を示す概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、添付の図面に従って本発明を実施例に基づき説明する。
【0029】
本発明に係る長尺ボルト交差連結金具(以下、単に交差連結金具と言うこともある。)は、天井スラブ・デッキプレートの如き天板部より垂設された複数本の吊りボルトの隣接する2本の吊りボルト同士間である1つのスパン間に対して長尺ボルトを架渡し、この架渡した長尺ボルトによって隣接する吊りボルト同士を連結して吊りボルトによる吊り状態を補強する構成の吊りボルト補強金具に用いるものであり、1つの面方向のスパン間に交差状態に架渡される2本の長尺ボルトの交差部を連結する構成である。
【0030】
図1に示す吊り状態の実施例では、天板部(図示は省略)から垂設される複数本の吊りボルトは符号2AB・2AD・2BC・2CDで示す4本の態様となっている。
また、図1に示すように吊りボルト2が4本の場合には、隣接する2本の吊りボルト2・2同士間であるスパンは4つとなり、スパンA・B・C・Dで示すこととする。
具体的には、吊りボルト2ABと2ADとの間であるスパン間をスパンAとして示し、吊りボルト2ABと2BCとの間であるスパン間をスパンBとして示し、吊りボルト2BCと2CDとの間であるスパン間をスパンCとして示し、吊りボルト2ADと2CDとの間であるスパン間はスパンDとして示す。
更に、隣接する2本の吊りボルト2・2同士間である1つのスパン間に交差状態に架渡される2本の長尺ボルトは符号3として示し、より詳細には、吊りボルト2AB・2AD間であるスパンA間に架渡される2本の長尺ボルトは符号3A・3Bとして示す。
【0031】
図1に示す実施例では、4本の吊りボルト2AB・2AD・2BC・2CDの各々に対して、その上方部分と下方部分の2箇所に吊りボルト連結金具9を取付固定することにより計8つの吊りボルト連結金具9を取付け、4つのスパンA・B・C・Dに各2本ずつの計8本の長尺ボルト3を架渡す構成となっている。4つのスパンA・B・C・Dの各々に交差状態に架渡された各2本ずつの長尺ボルト3は、その各スパン間において交差部分を本発明の交差連結具1により連結する構成となっている。尚、吊りボルト連結金具9としては、図1に示すように積層状態の2枚のL字状板材によって吊りボルト2を挟着固定すると共に、長尺ボルト3の端部を取付固定する構成のものの他、吊りボルト用筋交い取付金具として公知公用の構成のものを特別の制限なく用いることができる。
【0032】
以上の構成によって、4本の吊りボルト2AB・2AD・2BC・2CDによる吊り状態の補強が可能となっている。吊り状態が補強された4本の吊りボルト2AB・2AD・2BC・2CDにより、例えば、エアコン等の機器類ACを安定した状態で確実に吊下げることが可能となる。
【0033】
次に、図2図5に基づき交差連結金具1の詳細について説明する。
尚、図2に示す連結金具1の詳細説明に際しては、図1に示す吊り状態の構成の吊りボルト2ABと吊りボルト2AD間であるスパンAに架渡された長尺ボルト3Aと長尺ボルト3Bとの交差部を連結する構成の交差連結金具1に基づくものとする。尚また、図5についても図2と同様位置に取付固定される連結金具1に基づくものとする。
【0034】
本発明の交差連結金具1は、
板材を断面J字状に折曲げて、長辺部4A、短辺部4B、該長辺部4Aと短辺部4Bとを接続する折曲部4Cとを形成して成る第1J字部材4と、
板材を断面J字状に折曲げて、長辺部5A、短辺部5B、該長辺部5Aと短辺部5Bとを接続する折曲部5Cとを形成して成る第2J字部材5と、を有すると共に、
前記第1J字部材4と第2J字部材5とが、各々のJ字の短辺部4B・5Bが外向きとなると共に各々の長辺部4A・4Bの一部同士を積層させた状態で回動可能に接続されており、
更に、前記第1J字部材4の短辺部4Bと該短辺部4Bと間隔を設けて積層する長辺部4Aの各々には、ボルト7Aを貫通挿通可能な透孔41A・41Bが穿設され、
且つ、前記第2J字部材5の短辺部5Bと該短辺部5Bと間隔を設けて積層する長辺部5Aの各々には、ボルト7Bを貫通挿通可能な透孔51A・51Bが穿設されており、
前記第1J字部材4の長辺部4Aと短辺部4Bとの間で且つ折曲部4Cの内側に前記2本の長尺ボルト3の一方(本実施例では3A)を引掛け挿通した後(図5の(2)参照)、前記長辺部4Aと短辺部4Bの透孔41A・41Bにボルト7Aを貫通挿通し(図5の(5)参照)、該ボルト7Aに対してナット8A締めすることにより引掛け挿通した一方の長尺ボルト3Aの脱落を防止する構成であり、
前記第2J字部材5の長辺部5Aと短辺部5Bとの間で且つ折曲部5Cの内側に前記2本の長尺ボルト3の他方(本実施例では3B)を引掛け挿通した後(図5の(4)参照)、前記長辺部5Aと短辺部5Bの透孔51A・51Bにボルト7Bを貫通挿通し(図5の(5)参照)、該ボルト7Bに対してナット8B締めすること(図5の(6)参照)により引掛け挿通した他方の長尺ボルト3Bの脱落を防止する構成であること、
を具体的構成とするものである。
【0035】
上記構成を有する本発明の交差連結金具1は、2本の長尺ボルト3A・3Bの各々を、第1J字部材4と第2J字部材5の各々の長辺部4A・5Aと短辺部4B・5Bとの間で且つ折曲部4C・5Cの内側に引掛け挿通した後、長辺部4A・5Aと短辺部4B・5Bをボルト7A・7Bを貫通挿通してナット8A・8B締めする構成により、引掛け挿通した長尺ボルト3A・3Bが脱落することがない。従って、2本の長尺ボルト3A・3Bの交差部を確実に連結することができるので、吊りボルト2による吊り状態を更に補強することができる。しかも、取付作業時の作業性が良好である。
【0036】
また、本発明の交差連結金具1は、第1J字部材4と第2J字部材5とが長辺部4A・4Bの一部同士を積層させた状態で回動可能に接続した構成により、2本の長尺ボルト3A・3Bの交差部が様々な交差角度であっても対応することができる。第1J字部材4と第2J字部材5とを接続する回動接続部6は、本実施例では長辺部4Aに形成された透孔42と長辺部5Aに形成された透孔52とに貫通するカシメ手段により回動可能に接続する構成をしているが、本発明はかかる構成に限定されず、ボルト・ナットを用いた構成とすることもできる。
【0037】
更に、本発明の交差連結金具1は本実施例に示すように、ボルト挿通用の透孔41B・51Aに挿通するボルト7A・7Bの供回り防止手段43・53が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、2本の長尺ボルト3A・3Bを各々引掛け挿通した第1J字部材4と第2J字部材5の夫々に挿通したボルト7A・7Bへのナット8A・8B螺合作業時に、ナット8A・8B螺合に伴うボルト7A・7Bの供回りが生じることなくナット8A・8Bを螺合することができるので、現場での取付作業時の作業性が向上する。
【0038】
ボルト供回り手段43・53としては、この種の支持金具のボルト供回り防止手段として公知公用の構成を特別の制限なく採ることができる。本実施例では、第2J字部材5の長辺部5Aにボルト頭の側面に当接する凸部を設けた構成や、第1J字部材4の短辺部4Aの一部をボルト頭の側面に当接するように折り曲げた構成を採っているが、本発明はこれらの態様に限らず、第2J字部材5の長辺部5Aの一部をボルト頭の側面に当接するように折曲形成したり、第1J字部材4の短辺部4Bにボルト頭の側面に当接する凸部を設けた構成とすることもできる。
【0039】
尚、本実施例では、第1J字部材4では短辺部4B側からボルト7Aを挿通する構成としたので前記ボルト供回り防止手段43を短辺部4Bに設けたが、長辺部4A側からボルト7Aを挿通する構成とした場合には、ボルト供回り防止手段は長辺部4A側に形成されることになる。第2J字部材5についても同様に、本実施例では、長辺部5A側からボルト7Bを相通する構成としたので前記ボルト供回り防止手段53を長辺部5Aに設けたが、短辺部5B側からボルト7Bを挿通する構成とした場合には、ボルト供回り防止手段は短辺部5Bに形成されることになる。
【0040】
更にまた、本発明の交差連結金具1は、本実施例に示すように、第1J字部材4の長辺部4Aと第2J字部材5の長辺部5Aとの積層が、J字の内側面同士が互いに対面するように積層させた構成であることが好ましい。かかる構成によれば、交差部における2本の長尺ボルト3A・3B同士の間隔を無くした状態、即ち、2本の長尺ボルト3A・3B同士を交差部において当接した状態での連結が可能となる。尚、J字の長辺部4A・5Aの外側面同士が当接するように積層させた場合には、長辺部4A・5Aの2枚分の厚み分だけ交差部における2本の長尺ボルト3A・3B同士の間隔が開くことになるが、交差部において2本の長尺ボルト3A・3Bを確実に連結することができる。
【0041】
以上、本発明の長尺ボルト交差連結金具について実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において、例えば、下記するような構成を採ることができる。
【0042】
図1に示す上記実施例では、2本の吊りボルト同士間である1つのスパン間に交差状態に架渡した2本の長尺ボルトの交差部分を連結する構成について説明したが、2本の長尺ボルト同士の連結ではなく、吊りボルトと長尺ボルトとの交差部分を連結する構成に用いることもできる。即ち、図1に示す吊りボルト連結金具9に代えて長尺ボルト交差連結金具1を用いる構成も本発明の範囲内である。
【0043】
尚、本発明の長尺ボルト交差連結金具は、上記実施例の1つのスパン間の2本の長尺ボルトの交差部分に用いる構成、吊りボルトと長尺ボルトの交差部分に用いる構成の他、単に2本の長尺ボルトの交差部分を連結する構成に用いることができる。
【0044】
尚また、本発明において「長尺ボルト」、「吊りボルト」は全螺子ボルトに限らず、端部等の一部に螺子が切られているボルト又は丸棒や、螺子部の無い丸棒、その他の吊下げ杆や斜め補強杆の如き長尺杆を含むものである。
【符号の説明】
【0045】
1 長尺ボルト交差連結金具
2 吊りボルト
3 長尺ボルト
4 第1J字部材
4A 長辺部
4B 短辺部
4C 折曲部
41A 透孔(ボルト挿通用)
41B 透孔(ボルト挿通用)
42 透孔(回動接続部挿通用)
43 ボルト供回り防止手段
5 第2J字部材
5A 長辺部
5B 短辺部
5C 折曲部
51A 透孔(ボルト挿通用)
51B 透孔(ボルト挿通用)
52 透孔(回動接続部挿通用)
53 ボルト供回り防止手段
6 回動接続部
7A ボルト
7B ボルト
8A ナット
8B ナット
9 吊りボルト連結金具
AC エアコン等の機器類
図1
図2
図3
図4
図5