(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。また、型閉じを行う際の可動プラテンの移動方向を前方とし、型開きを行う際の可動プラテンの移動方向を後方として説明する。また、フレームに対して垂直な方向を上下方向として説明する。前後方向、上下方向、および左右方向は互いに垂直な方向である。尚、本実施形態の射出成形機は、横型であるが、竪型であってもよい。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による射出成形機の型閉じ完了時の状態を示す図である。
図2は、本発明の第1実施形態による射出成形機の型開き完了時の状態を示す図である。
図2において、一点鎖線はロッド19を介して連結される吸着部材18および可動プラテン13がフレーム11に対して傾いた状態を誇張して示し、実線は吸着部材18および可動プラテン13がフレーム11に対して垂直な状態を示す。
【0011】
射出成形機は、金型装置30の型閉じ、型締め、型開きを行う型締装置10、および制御部60(
図2参照)等を備える。金型装置30は、例えば固定金型32および可動金型33で構成される。
【0012】
型締装置10は、フレーム11、第1固定部材としての固定プラテン12、第1可動部材としての可動プラテン13、第2固定部材(および型締用部材)としてのリヤプラテン15、第2可動部材としての吸着部材18、型開閉駆動部としてのリニアモータ21、および型締力発生部24等を有する。
【0013】
固定プラテン12は、フレーム11上に進退自在に載置される。固定プラテン12の金型取付面に固定金型32が取り付けられる。
【0014】
可動プラテン13は、フレーム11上に敷設されるガイド(例えばガイドレール)17に沿って移動自在なガイドブロック14に固定される。これにより、可動プラテン13は、フレーム11に対して進退自在とされる。可動プラテン13の金型取付面に可動金型33が取り付けられる。
【0015】
リヤプラテン15は、複数本(例えば4本)のタイバー16を介して固定プラテン12と連結される。リヤプラテン15は、可動プラテン13と吸着部材18との間に配設され、フレーム11に固定される。
【0016】
吸着部材18は、連結部材としてのロッド19を介して可動プラテン13と連結され、可動プラテン13と共に移動する。可動プラテン13と吸着部材18との間に配設されるリヤプラテン15には、ロッド19を挿通させる挿通孔が形成される。
【0017】
吸着部材18は、フレーム11上に敷設されるガイド17に沿って移動自在なスライドベース20に固定される。これにより、吸着部材18は、リヤプラテン15よりも後方において移動自在とされる。
【0018】
リニアモータ21は、ロッド19を介して連結される可動プラテン13および吸着部材18をフレーム11に対して移動させる。リニアモータ21は例えば吸着部材18とフレーム11との間に配設され、リニアモータ21による推進力は吸着部材18を介して可動プラテン13に伝達される。
【0019】
尚、リニアモータ21は可動プラテン13とフレーム11との間に配設されてもよく、リニアモータ21による推進力は可動プラテン13を介して吸着部材18に伝達されてもよい。
【0020】
リニアモータ21は、固定子22および可動子23を含む。固定子22はフレーム11に形成され、可動子23はスライドベース20に形成される。可動子23のコイルに所定の電流が供給されると、コイルを流れる電流によって形成される磁場と、固定子22の永久磁石によって形成される磁場との相互作用で、可動子23が進退させられる。その結果、フレーム11に対して吸着部材18および可動プラテン13が進退させられ、型閉じ、および型開きが行われる。尚、コイルと永久磁石の配置は逆でもよく、また、永久磁石の代わりに別のコイルが用いられてもよい。
【0021】
尚、型開閉駆動部として、リニアモータ21の代わりに、回転モータおよび回転モータの回転運動を直線運動に変換するボールねじの組合せ、または油圧シリンダ等が用いられてもよい。
【0022】
型締力発生部24は、リヤプラテン15および吸着部材18で構成され、電磁石25による吸着力で型締力を発生させる。リヤプラテン15の吸着面の所定の部分、例えばロッド19の周りには電磁石25のコイルを収容する溝が形成され、溝の内側に電磁石25のコアが形成される。吸着部26は、吸着部材18の吸着面の所定の部分、例えばロッド19を包囲し、且つ電磁石25と対向する部分に形成される。電磁石25のコイルに電流を供給すると、電磁石25と吸着部26との間に吸着力が生じ、型締力が生じる。
【0023】
尚、本実施形態の電磁石25は、リヤプラテン15とは別に形成されるが、リヤプラテン15の一部として形成されてもよい。また、本実施形態の吸着部26は、吸着部材18とは別に形成されるが、吸着部材18の一部として形成されてもよい。また、電磁石25と吸着部26の配置は逆であってもよい。つまり、吸着部材18側に電磁石25が形成され、リヤプラテン15側に吸着部26が形成されてもよい。また、リヤプラテン側と吸着部材側の両側に電磁石が形成されてもよい。
【0024】
次に、
図1および
図2を参照して、上記構成の型締装置10の動作について説明する。
図2に示す型開き完了の状態でリニアモータ21を駆動して、可動プラテン13を前進させると、
図1に示すように可動金型33と固定金型32とが接触し、型閉じが完了する。型閉じ完了の時点で、リヤプラテン15と吸着部材18との間、即ち電磁石25と吸着部26との間には、所定のギャップδが形成される。尚、型閉じに必要とされる力は、型締力と比較されて十分に小さくされる。
【0025】
型閉じ完了後、電磁石25を駆動して、所定のギャップδをおいて対向する電磁石25と吸着部26との間に吸着力を生じさせる。この吸着力によって、可動プラテン13と固定プラテン12との間に型締力が生じる。型締力は、型締力に対応するタイバー16の伸びを検出する歪みセンサ58、59で検出される。
【0026】
型締め状態の固定金型32と可動金型33との間にキャビティ空間が形成される。キャビティ空間に液状の成形材料(例えば溶融樹脂)を充填し、充填された成形材料が固化されて成形品となる。
【0027】
その後、リニアモータ21を駆動して、可動プラテン13を後退させると、可動金型33が後退して型開きが行われる。型開き後、可動金型33から成形品が突き出される。
【0028】
図3は、本発明の第1実施形態による固定プラテンを後方から見た図である。
固定プラテン12は、
図1〜
図3に示すように、固定金型32が取り付けられる固定プラテン本体部12aと、固定プラテン本体部12aを支持する固定プラテン支持部12bとを有する。固定プラテン支持部12bは、フレーム11上に進退自在に載置され、フレーム11と固定プラテン本体部12aとの間に隙間を形成する。
【0029】
固定プラテン支持部12bは、固定プラテン本体部12aの側面を支持する。固定プラテン支持部12bは、固定プラテン本体部12aを挟んで左右両側に設けられてよい。尚、固定プラテン支持部12bは、固定プラテン本体部12aにおける金型取付面(後端面)とは反対側の面(前端面)を支持してもよい。
【0030】
固定プラテン支持部12bは、固定プラテン本体部12aの上下方向中央部を支持する。固定プラテン本体部12aの上下方向中央部と、固定プラテン本体部12aにおける複数本のタイバー16の取付位置の中心位置とはフレーム11から略同じ距離にある。固定プラテン本体部12aが型締力や熱応力によって反る場合に、反りが上下対称に生じ、フレーム11に対する固定プラテン本体部12aの傾きが抑制できる。
【0031】
固定プラテン本体部12aは、フレーム11との間に隙間を有し、上下方向中央部のみで固定プラテン支持部12bと接続される。そのため、固定金型32から固定プラテン本体部12aに供給された熱は、主に固定プラテン本体部12aの上下方向中央部から流出する。よって、固定プラテン本体部12aの温度分布が上下対称になり、固定プラテン本体部12aの反りが抑制できる。
【0032】
固定プラテン本体部12aは、フレーム11との間に隙間を有し、上下両方向に熱変形できる。よって、固定プラテン本体部12aの温度変化で、フレーム11に対する固定プラテン本体部12aの中心位置が上下にずれにくい。
【0033】
固定プラテン支持部12bには、固定プラテン支持部12bの温度を調節する固定プラテン温調部42が設けられてよい。固定プラテン支持部12bの温度変化に応じて固定プラテン支持部12bが上下方向に伸縮し、フレーム11に対する固定プラテン本体部12aの中心位置が調節できる。
【0034】
固定プラテン温調部42は、例えばヒータ等の加熱源、または水冷ジャケット等の冷却源で構成される。固定プラテン温調部42は、加熱源と冷却源の両方の役割を果たしてもよい。
【0035】
固定プラテン温調部42は、例えば固定プラテン支持部12bに取り付けられる。尚、固定プラテン温調部42は、固定プラテン支持部12bに形成される流路に熱媒(加熱媒体または冷却媒体)を送るものでもよい。
【0036】
尚、本実施形態の固定プラテン支持部12bは固定プラテン本体部12aの上下方向中央部と接続されるが、接続位置は多種多様であってよく、例えば固定プラテン支持部12bは固定プラテン本体部12aの下部と接続されてもよい。このような場合、固定プラテン温調部42は、固定プラテン本体部12aの温度を調節して、フレーム11に対する固定プラテン本体部12aの中心位置を調節してもよい。
【0037】
図4は、本発明の第1実施形態による可動プラテンを後方から見た図である。
可動プラテン13は、
図1、
図2、
図4に示すように、可動金型33が取り付けられる可動プラテン本体部13aと、可動プラテン本体部13aを支持する可動プラテン支持部13bとを有する。可動プラテン支持部13bは、ガイドブロック14に固定され、ガイドブロック14やフレーム11と可動プラテン本体部13aとの間に隙間を形成する。
【0038】
可動プラテン支持部13bは、可動プラテン本体部13aの側面を支持する。可動プラテン支持部13bは、可動プラテン本体部13aを挟んで左右両側に設けられてよい。尚、可動プラテン支持部13bは、可動プラテン本体部13aにおける金型取付面(前端面)とは反対側の面(後端面)を支持してもよい。
【0039】
可動プラテン支持部13bは、可動プラテン本体部13aの上下方向中央部を支持する。可動プラテン本体部13aの上下方向中央部と、可動プラテン本体部13aにおけるロッド19の取付位置の中心位置とはフレーム11から略同じ距離にある。可動プラテン本体部13aが型締力や熱応力によって反る場合に、反りが上下対称に生じ、フレーム11に対する可動プラテン本体部13aの傾きが抑制できる。
【0040】
可動プラテン本体部13aは、フレーム11との間に隙間を有し、上下方向中央部のみで可動プラテン支持部13bと接続される。そのため、可動金型33から可動プラテン本体部13aに供給された熱は、主に可動プラテン本体部13aの上下方向中央部から流出する。よって、可動プラテン本体部13aの温度分布が上下対称になり、可動プラテン本体部13aの反りが抑制できる。
【0041】
可動プラテン本体部13aは、フレーム11との間に隙間を有し、上下両方向に熱変形できる。よって、可動プラテン本体部13aの温度変化で、フレーム11に対する可動プラテン本体部13aの中心位置が上下にずれにくい。
【0042】
可動プラテン支持部13bには、可動プラテン支持部13bの温度を調節する可動プラテン温調部43が設けられてよい。可動プラテン支持部13bの温度変化に応じて可動プラテン支持部13bが上下方向に伸縮し、フレーム11に対する可動プラテン本体部13aの中心位置が調節できる。
【0043】
可動プラテン温調部43は、例えばヒータ等の加熱源、または水冷ジャケット等の冷却源で構成される。可動プラテン温調部43は、加熱源と冷却源の両方の役割を果たしてもよい。
【0044】
可動プラテン温調部43は、例えば可動プラテン支持部13bに取り付けられる。尚、可動プラテン温調部43は、可動プラテン13に形成される流路に熱媒(加熱媒体または冷却媒体)を送るものでもよい。
【0045】
尚、本実施形態の可動プラテン支持部13bは可動プラテン本体部13aの上下方向中央部と接続されるが、接続位置は多種多様であってよく、例えば可動プラテン支持部13bは可動プラテン本体部13aの下部と接続されてもよい。このような場合、可動プラテン温調部43は、可動プラテン本体部13aの温度を調節して、フレーム11に対する可動プラテン本体部13aの中心位置を調節してもよい。
【0046】
図5は、本発明の第1実施形態によるリヤプラテンを前方から見た図である。
リヤプラテン15は、
図1、
図2、
図5に示すように、電磁石25が形成されるリヤプラテン本体部15aと、リヤプラテン本体部15aを支持するリヤプラテン支持部15bとを有する。リヤプラテン支持部15bは、フレーム11に固定され、フレーム11とリヤプラテン本体部15aとの間に隙間を形成する。
【0047】
リヤプラテン支持部15bは、リヤプラテン本体部15aの側面を支持する。リヤプラテン支持部15bは、リヤプラテン本体部15aを挟んで左右両側に設けられてよい。尚、リヤプラテン支持部15bは、リヤプラテン本体部15aにおける吸着面(後端面)とは反対側の面(前端面)を支持してもよい。
【0048】
リヤプラテン支持部15bは、リヤプラテン本体部15aの上下方向中央部を支持する。リヤプラテン本体部15aの上下方向中央部と、リヤプラテン本体部15aにおける複数本のタイバー16の取付位置の中心位置とはフレーム11から略同じ距離にある。リヤプラテン本体部15aが型締力や熱応力によって反る場合に、反りが上下対称に生じ、フレーム11に対するリヤプラテン本体部15aの傾きが抑制できる。
【0049】
リヤプラテン本体部15aは、フレーム11との間に隙間を有し、上下方向中央部のみでリヤプラテン支持部15bと接続される。そのため、電磁石25のジュール熱は、主にリヤプラテン本体部15aの上下方向中央部から流出する。よって、リヤプラテン本体部15aの温度分布が上下対称になり、リヤプラテン本体部15aの反りが抑制できる。
【0050】
リヤプラテン本体部15aは、フレーム11との間に隙間を有し、上下両方向に熱変形できる。よって、リヤプラテン本体部15aの温度変化で、フレーム11に対するリヤプラテン本体部15aの中心位置が上下にずれにくい。
【0051】
リヤプラテン支持部15bには、リヤプラテン支持部15bの温度を調節するリヤプラテン温調部45が設けられてよい。リヤプラテン支持部15bの温度変化に応じてリヤプラテン支持部15bが上下方向に伸縮し、フレーム11に対するリヤプラテン本体部15aの中心位置が調節できる
。
リヤプラテン温調部45は、例えばヒータ等の加熱源、または水冷ジャケット等の冷却源で構成される。リヤプラテン温調部45は、加熱源と冷却源の両方の役割を果たしてもよい。
【0052】
リヤプラテン温調部45は、例えばリヤプラテン支持部15bに取り付けられる。尚、リヤプラテン温調部45は、リヤプラテン支持部15bに形成される流路に熱媒(加熱媒体または冷却媒体)を送るものでもよい。
【0053】
尚、本実施形態のリヤプラテン支持部15bはリヤプラテン本体部15aの上下方向中央部と接続されるが、接続位置は多種多様であってよく、例えばリヤプラテン支持部15bはリヤプラテン本体部15aの下部と接続されてもよい。このような場合、リヤプラテン温調部45は、リヤプラテン本体部15aの温度を調節して、フレーム11に対するリヤプラテン本体部15aの中心位置を調節してもよい。
【0054】
図6は、本発明の第1実施形態による吸着部材18を後方から見た図である。
吸着部材18は、
図1、
図2、
図6に示すように、吸着部26が形成される吸着部材本体部18aと、吸着部材本体部18aを支持する吸着部材支持部18bとを有する。吸着部材支持部18bは、スライドベース20に固定され、スライドベース20やフレーム11と吸着部材本体部18aとの間に隙間を形成する。
【0055】
吸着部材支持部18bは、吸着部材本体部18aにおける吸着面(前端面)とは反対側の面(後端面)を支持する。吸着部材支持部18bは、吸着部材本体部18aの中心位置を挟んで左右対称に設けられてよい。尚、吸着部材支持部18bは、吸着部材本体部18aの側面を支持してもよい。
【0056】
吸着部材支持部18bは、吸着部材本体部18aの上下方向中央部を支持する。吸着部材本体部18aの上下方向中
央部と、吸着部材本体部18aにおけるロッド19の取付位置の中心位置とはフレーム11から略同じ距離にある。吸着部材本体部18aが型締力や熱応力によって反る場合に、反りが上下対称に生じ、フレーム11に対する吸着部材本体部18aの傾きが抑制できる。
【0057】
吸着部材本体部18aは、フレーム11との間に隙間を有し、吸着部材本体部18aの上下方向中央部のみで吸着部材支持部18bと接続される。そのため、吸着部材本体部18aに生じる渦電流のジュール熱は、主に吸着部材本体部18aの上下方向中央部から流出する。よって、吸着部材本体部18aの温度分布が上下対称になり、吸着部材本体部18aの反りが抑制できる。
【0058】
吸着部材本体部18aは、フレーム11との間に隙間を有し、上下両方向に熱変形できる。よって、吸着部材本体部18aの温度変化で、フレーム11に対する吸着部材本体部18aの中心位置が上下にずれにくい。
【0059】
吸着部材支持部18bには、吸着部材支持部18bの温度を調節する吸着部材温調部48が設けられてよい。吸着部材支持部18bの温度変化に応じて吸着部材支持部18bが上下方向に伸縮し、フレーム11に対する吸着部材本体部18aの中心位置が調節できる。
【0060】
吸着部材温調部48は、例えばヒータ等の加熱源、または水冷ジャケット等の冷却源で構成される。吸着部材温調部48は、加熱源と冷却源の両方の役割を果たしてもよい。
【0061】
吸着部材温調部48は、例えば吸着部材支持部18bに取り付けられる。尚、吸着部材温調部48は、吸着部材18に形成される流路に熱媒(加熱媒体または冷却媒体)を送るものでもよい。
【0062】
尚、本実施形態の吸着部材支持部18bは吸着部材本体部18aの上下方向中央部と接続されるが、接続位置は多種多様であってよく、例えば吸着部材支持部18bは吸着部材本体部18aの下部と接続されてもよい。このような場合、吸着部材温調部48は、吸着部材本体部18aの温度を調節して、フレーム11に対する吸着部材本体部18aの中心位置を調節してもよい。
【0063】
ところで、可動金型33は金型温調機で所定の温度に保たれ、可動金型33から可動プラテン13に熱が供給される。可動プラテン13の温度が吸着部材18の温度よりも高く、可動プラテン13の伸びが吸着部材18の伸びよりも大きいと、
図2に一点鎖線で示すように可動プラテン13や吸着部材18がフレーム11に対して傾く。
【0064】
そこで、射出成形機は、
図2に示すように、フレーム11に対する吸着部材18の姿勢の変化を検出する検出部50、および検出部50の検出結果に基づいて可動プラテン温調部43等を制御する制御部60を備える。制御部60は、マイクロコンピュータ等で構成され、メモリ等に格納されるプログラムをCPUで実行することにより各種機能を実現する。
【0065】
検出部50は、例えば電磁石25によって形成される磁場を検出する磁気センサ51、52を含む。
図2に一点鎖線で示すように吸着部材18がフレーム11に対して傾くと、型閉じ完了時に吸着部材18とリヤプラテン15との間に形成されるギャップが不均一になる。ギャップの狭い部分は型締め時に磁束密度が高く、ギャップの広い部分は型締め時に磁束密度が低い。吸着部材本体部18aの上部に取り付けられる磁気センサ51の検出値と、吸着部
材本体部18aの下部に取り付けられる磁気センサ52の検出値とに基づいて、フレーム11に対する吸着部材18の姿勢の変化が検出できる。磁気センサ51、52は、吸着部
材本体部18aにおけるロッド19の取付位置の中心位置を中心に対称に配置されてよい。
【0066】
尚、本実施形態の磁気センサの取付位置は、吸着部材本体部18aであるが、リヤプラテン本体部15aでもよい。また、本実施形態の磁気センサの数は、複数であるが、1つでもよい。1つの磁気センサの検出値と基準値とに基づいて、フレーム11に対する吸着部材18の姿勢の変化が検出できる。
【0067】
検出部50は、吸着部材18に取り付けられる歪みセンサ53、54を含んでもよい。
図2に一点鎖線で示すように吸着部材18がフレーム11に対して傾くと、吸着部材本体部18aの吸着面が伸び、吸着部材本体部18aの吸着面とは反対側の面が縮む。吸着部材本体部18aの上部に取り付けられる歪みセンサ53の検出値と、吸着部材本体部18aの下部に取り付けられる歪みセンサ54の検出値とに基づいて、フレーム11に対する吸着部材18の姿勢の変化が検出できる。歪みセンサ53、54は、吸着部
材本体部18aにおけるロッド19の取付位置の中心位置を中心に対称に配置されてよい。
【0068】
尚、本実施形態の歪みセンサの取付位置は、吸着部材本体部18aであるが、吸着部材支持部18bでもよく、また、吸着部材18と連結される部材、例えばロッド19、可動プラテン13等でもよい。フレーム11に対して吸着部材18が傾くとき、吸着部材18と連結される部材が歪む。また、本実施形態の歪みセンサの数は、複数であるが、1つでもよい。1つの歪みセンサの検出値と基準値とに基づいて、フレーム11に対する吸着部材18の姿勢の変化が検出できる。また、1つの歪みセンサによって検出される歪みが伸びか縮みかで、吸着部材18の傾く方向が検出できる。
【0069】
制御部60は、検出部50の検出結果に基づいて可動プラテン温調部43等を制御する。例えば
図2に一点鎖線で示すように吸着部材18がフレーム11に対して傾くとき、可動プラテン温調部43が可動プラテン支持部13bを冷却する。可動プラテン支持部13bが縮み、可動プラテン本体部13aの中心位置が下方に変位して吸着部材本体部18aの中心位置と同じ高さになり、
図2に実線で示すようにロッド19を介して連結される可動プラテン13や吸着部材18がフレーム11に対して垂直になる。
【0070】
可動プラテン支持部13bは、可動プラテン本体部13aの材料(例えば鉄)よりも熱膨張係数の高い材料(例えば銅やアルミニウム)で形成されてよい。可動プラテン支持部13bの温度調節による伸縮量が大きく、制御が容易である。
【0071】
尚、制御部60は、検出部50の検出結果に基づいて吸着部材温調部48を制御してもよい。例えば
図2に一点鎖線で示すように吸着部材18がフレーム11に対して傾くとき、吸着部材温調部48が吸着部材支持部18bを加熱する。吸着部材支持部18bが伸び、吸着部材本体部18aの中心位置が上方に変位して可動プラテン本体部13aの中心位置と同じ高さになり、ロッド19を介して連結される可動プラテン13や吸着部材18がフレーム11に対して垂直になる。
【0072】
吸着部材支持部18bは、吸着部材本体部18aの材料(例えば鉄)よりも熱膨張係数の高い材料(例えば銅やアルミニウム)で形成されてよい。吸着部材
支持部18bの温度調節による伸縮量が大きく、制御が容易である。
【0073】
[第1実施形態の変形例]
図7は、本発明の第1実施形態の変形例による射出成形機の型開き完了時の状態を示す図である。
図7において、一点鎖線は複数本のタイバー116を介して連結されるリヤプラテン115および固定プラテン112がフレーム111に対して傾いた状態を誇張して示し、実線はリヤプラテン115および固定プラテン112がフレーム111に対して垂直な状態を示す。
【0074】
射出成形機は、金型装置130の型閉じ、型締め、型開きを行う型締装置110、および制御部160等を備える。金型装置130は、例えば固定金型132および可動金型133で構成される。
【0075】
型締装置110は、フレーム111、第1固定部材としての固定プラテン112、第1可動部材としての可動プラテン113、第2固定部材(および型締用部材)としてのリヤプラテン115、第2可動部材としての吸着部材118、型開閉駆動部としてのリニアモータ121、型締力発生部124等を有する。
【0076】
リニアモータ121は、ロッド119を介して連結される可動プラテン113および吸着部材118をフレーム111に対して移動させる。リニアモータ121は、固定子122および可動子123を含む。固定子122は例えばフレーム111に形成され、可動子123は例えばスライドベース120に形成される。
【0077】
型締力発生部124は、リヤプラテン115および吸着部材118で構成される。例えば、リヤプラテン115側には電磁石125が形成され、吸着部材118側には吸着部126が形成される。電磁石125のコイルに電流を供給すると、電磁石125と吸着部126との間に吸着力が生じ、型締力が生じる。
【0078】
ところで、タイバー116を介して連結されるリヤプラテン115および固定プラテン112はフレーム111に熱的に接続され、フレーム111に熱を奪われる。フレーム111に近い下側のタイバー116がフレーム111から遠い上側のタイバー116よりも低温になり短くなると、
図7に一点鎖線で示すように、リヤプラテン115および固定プラテン112がフレーム111に対して傾く。
【0079】
そこで、射出成形機は、
図7に示すように、フレーム111に対するリヤプラテン115の姿勢の変化を検出する検出部150、および検出部150の検出結果に基づいてタイバー温調部146等を制御する制御部160を備える。制御部160は、マイクロコンピュータ等で構成され、メモリ等に格納されるプログラムをCPUで実行することにより各種機能を実現する。
【0080】
検出部150は、例えば電磁石125によって形成される磁場を検出する磁気センサ151、152を含む。
図7に一点鎖線で示すようにリヤプラテン115がフレーム111に対して傾くと、型閉じ完了時にリヤプラテン115と吸着部材118との間に形成されるギャップが不均一になる。ギャップの狭い部分は型締め時に磁束密度が高く、ギャップの広い部分は型締め時に磁束密度が低い。リヤプラテン本体部115aの上部に取り付けられる磁気センサ151の検出値と、リヤプラテン本体部115aの下部に取り付けられる磁気センサ152の検出値とに基づいて、フレーム111に対するリヤプラテン115の姿勢の変化が検出できる。磁気センサ151、152は、リヤプラテン本体部115aにおける複数本のタイバー116の取付位置の中心位置を中心に対称に配置されてよい。
【0081】
尚、本実施形態の磁気センサの取付位置は、リヤプラテン本体部115aであるが、吸着部材本体部118aでもよい。また、本実施形態の磁気センサの数は、複数であるが、1つでもよい。1つの磁気センサの検出値と基準値とに基づいて、フレーム111に対するリヤプラテン115の姿勢の変化が検出できる。
【0082】
検出部150は、リヤプラテン115に取り付けられる歪みセンサ153、154を含んでもよい。
図7に一点鎖線で示すようにリヤプラテン115がフレーム111に対して傾くと、リヤプラテン本体部115aの吸着面が縮み、リヤプラテン本体部115aの吸着面とは反対側の面が伸びる。リヤプラテン本体部115aの上部に取り付けられる歪みセンサ153の検出値と、リヤプラテン本体部115aの下部に取り付けられる歪みセンサ154の検出値とに基づいて、フレーム111に対するリヤプラテン115の姿勢の変化が検出できる。歪みセンサ153、154は、リヤプラテン本体部115aにおける複数本のタイバー116の取付位置の中心位置を中心に対称に配置されてよい。
【0083】
尚、本実施形態の歪みセンサの取付位置は、リヤプラテン本体部115aであるが、リヤプラテン支持部115bでもよく、また、リヤプラテン115と連結される部材、例えばタイバー116、固定プラテン112等でもよい。フレーム111に対してリヤプラテン115が傾くとき、リヤプラテン115と連結される部材が歪む。従って、型締力に対応するタイバー116の伸びを検出する歪みセンサで検出部150が構成されてもよい。例えば、下側のタイバー116に取り付けられる歪みセンサ158の検出値と、上側のタイバー116に取り付けられる歪みセンサ159の検出値とに基づいて、フレーム111に対するリヤプラテン115の姿勢の変化が検出できる。また、本実施形態の歪みセンサの数は、複数であるが、1つでもよい。1つの歪みセンサの検出値と基準値とに基づいて、フレーム111に対するリヤプラテン115の姿勢の変化が検出できる。また、1つの歪みセンサによって検出される歪みが伸びか縮みかで、リヤプラテン115の傾く方向が検出できる。
【0084】
制御部160は、検出部150の検出結果に基づいてタイバー温調部146を制御する。タイバー温調部146は、複数本のタイバー116の温度を個別に調節するものであって、ヒータ等の加熱源、水冷ジャケット等の冷却源で構成され、加熱源と冷却源の両方の役割を果たしてもよい。タイバー温調部146は、各タイバー116に取り付けられるが、各タイバー116に形成される流路に熱媒(加熱媒体または冷却媒体)を送るものでもよい。
【0085】
例えば
図7に一点鎖線で示すようにリヤプラテン115がフレーム111に対して傾くとき、下側のタイバー温調部146が下側のタイバー116を加熱する。下側のタイバー116の長さが伸び、上側のタイバー116の長さと同じになり、
図7に実線で示すように複数本のタイバー116を介して連結されるリヤプラテン115や固定プラテン112がフレーム111に対して垂直になる。
【0086】
尚、
図7に一点鎖線で示すようにリヤプラテン115がフレーム111に対して傾くとき、上側のタイバー温調部146が上側のタイバー116を冷却してもよい。上側のタイバー116の長さが縮み、下側のタイバー116の長さと同じになり、複数本のタイバー116を介して連結されるリヤプラテン115や固定プラテン112がフレーム111に対して垂直になる。
【0087】
各タイバー116は長手方向に複数のブロックに分割されてもよく、タイバー温調部146が取り付けられるブロックはそれ以外のブロックの材料(例えば鉄)よりも熱膨張係数の高い材料(例えば銅やアルミニウム)で形成されてよい。タイバー116の温度調節による伸縮量が大きく、制御が容易である。
【0088】
[第2実施形態]
上記第1実施形態の型締装置はリニアモータや電磁石を有する。これに対し、本実施形態の型締装置は型締モータやトグル機構を有する点で相違する。
【0089】
図8は、本発明の第2実施形態による射出成形機の型閉じ完了時の状態を示す図である。
図9は、本発明の第2実施形態による射出成形機の型開き完了時の状態を示す図である。
図9において、一点鎖線は複数本のタイバー216を介して連結される固定プラテン212およびリヤプラテン215がフレーム211に対して傾いた状態を誇張して示し、実線は固定プラテン212およびリヤプラテン215がフレーム211に対して垂直な状態を示す。
【0090】
射出成形機は、金型装置230の型閉じ、型締め、型開きを行う型締装置210、および制御部260等を備える。金型装置230は、例えば固定金型232および可動金型233で構成される。
【0091】
型締装置210は、例えば、フレーム211、固定部材としての固定プラテン212、可動部材としての可動プラテン213、型締用部材としてのリヤプラテン215、タイバー216、トグル機構220、および型締モータ221等を有する。
【0092】
固定プラテン212は、フレーム211上に固定されてよい。固定プラテン212の金型取付面に固定金型232が取り付けられる。
【0093】
固定プラテン212は、第1実施形態の固定プラテン12と同様に、固定金型232が取り付けられる固定プラテン本体部212aと、固定プラテン本体部212aを支持する固定プラテン支持部212bとを有する。固定プラテン支持部212bには、固定プラテン支持部212bの温度を調節する固定プラテン温調部242が設けられる。
【0094】
可動プラテン213は、フレーム211に敷設されるガイド217に沿って移動自在なガイドブロック214に固定される。これにより、可動プラテン213はフレーム211に対して進退自在とされる。可動プラテン213の金型取付面に可動金型233が取り付けられる。
【0095】
可動プラテン213は、第1実施形態の可動プラテン13と同様に、可動金型233が取り付けられる可動プラテン本体部213aと、可動プラテン本体部213aを支持する可動プラテン支持部21
3bとを有する。可動プラテン支持部21
3bには、可動プラテン支持部21
3bの温度を調節する可動プラテン温調部243が設けられる。
【0096】
リヤプラテン215は、可動プラテン213の後方に配設され、複数本のタイバー216を介して固定プラテン212と連結される。型締め時のタイバー216の伸びを許容するため、リヤプラテン215は、フレーム211上に進退自在に載置される。
【0097】
リヤプラテン215は、第1実施形態のリヤプラテン15と同様に、トグル機構220を支持するリヤプラテン本体部215aと、リヤプラテン本体部215aを支持するリヤプラテン支持部215bとを有する。リヤプラテン支持部215bには、リヤプラテン支持部215bの温度を調節するリヤプラテン温調部245が設けられる。
【0098】
トグル機構220は、可動プラテン213とリヤプラテン215との間に配設される。トグル機構220は、例えば、フレーム211に対して進退自在なクロスヘッド220a、クロスヘッド220aに入力される推進力を可動プラテン213に伝達する複数のリンクとで構成される。
【0099】
型締モータ221は、回転運動を直線運動に変換する運動変換部としてのボールねじ機構を含み、駆動軸222を進退させることで、クロスヘッド220aを進退させ、トグル機構220を作動させる。
【0100】
次に、
図8および
図9を参照して、上記構成の型締装置210の動作について説明する。
【0101】
図9に示す型開き完了の状態で型締モータ221を駆動して、クロスヘッド220aを前進させ、トグル機構220を作動させると、可動プラテン213が前進させられ、可動金型233と固定金型232とが接触し、型閉じが完了する。
【0102】
型閉じ完了後、型締モータ221を駆動して、型締モータ221による推進力にトグル倍率を乗じた型締力を発生させる。型締力は、型締力に対応するタイバー216の伸びを検出する歪みセンサ258、259で検出される。
【0103】
型締め状態の固定金型232と可動金型233との間にキャビティ空間が形成される。キャビティ空間に液状の成形材料(例えば溶融樹脂)を充填し、充填された成形材料が固化されて成形品となる。
【0104】
その後、型締モータ221を駆動して、クロスヘッド220aを後退させ、トグル機構220を作動させると、可動プラテン213が後退させられ、型開きが行われる。型開き完了後、可動金型233から成形品が突き出される。
【0105】
ところで、固定金型232は金型温調機で所定の温度に保たれ、固定金型232から固定プラテン212に熱が供給される。固定プラテン212の温度がリヤプラテン215の温度よりも高く、固定プラテン212の伸びがリヤプラテン215の伸びよりも大きいと、
図9に一点鎖線で示すように固定プラテン212やリヤプラテン215がフレーム211に対して傾く。
【0106】
そこで、射出成形機は、
図9に示すように、フレーム211に対する固定プラテン212の姿勢の変化を検出する検出部250、および検出部250の検出結果に基づいて固定プラテン温調部242等を制御する制御部260を備える。制御部260は、マイクロコンピュータ等で構成され、メモリ等に格納されるプログラムをCPUで実行することにより各種機能を実現する。
【0107】
検出部250は、例えば固定プラテン212に取り付けられる歪みセンサ253、254を含む。
図9に一点鎖線で示すように固定プラテン212がフレーム211に対して傾くと、固定プラテン本体部212aの金型取付面が縮み、固定プラテン本体部212aの金型取付面とは反対側の面が伸びる。固定プラテン本体部212aの上部に取り付けられる歪みセンサ253の検出値と、固定プラテン本体部212aの下部に取り付けられる歪みセンサ254の検出値とに基づいて、フレーム211に対する固定プラテン212の姿勢の変化が検出できる。歪みセンサ253、254は、固定プラテン本体部212aにおける複数本のタイバー216の取付位置の中心位置を中心に対称に配置されてよい。
【0108】
尚、本実施形態の歪みセンサの取付位置は、固定プラテン本体部212aであるが、固定プラテン支持部212bでもよく、また、固定プラテン212と連結される部材、例えばタイバー216、リヤプラテン215等でもよい。フレーム211に対して固定プラテン212が傾くとき、固定プラテン212と連結される部材が歪む。従って、型締力に対応するタイバー216の伸びを検出する歪みセンサで検出部250が構成されてもよい。例えば、下側のタイバー216に取り付けられる歪みセンサ258の検出値と、上側のタイバー216に取り付けられる歪みセンサ259の検出値とに基づいて、フレーム211に対する固定プラテン212の姿勢の変化が検出できる。また、本実施形態の歪みセンサの数は、複数であるが、1つでもよい。1つの歪みセンサの検出値と基準値とに基づいて、フレーム211に対する固定プラテン212の姿勢の変化が検出できる。また、1つの歪みセンサによって検出される歪みが伸びか縮みかで、固定プラテン212の傾く方向が検出できる。
【0109】
制御部260は、検出部250の検出結果に基づいて固定プラテン温調部242等を制御する。例えば
図9に一点鎖線で示すように固定プラテン212がフレーム211に対して傾くとき、固定プラテン温調部242が固定プラテン支持部212bを冷却する。固定プラテン支持部212bが縮み、固定プラテン本体部212aの中心位置が下方に変位してリヤプラテン本体部215aの中心位置と同じ高さになり、
図9に実線で示すように複数本のタイバー216を介して連結される固定プラテン212やリヤプラテン215がフレーム211に対して垂直になる。
【0110】
固定プラテン支持部212bは、固定プラテン本体部212aの材料(例えば鉄)よりも熱膨張係数の高い材料(例えば銅やアルミニウム)で形成されてよい。固定プラテン支持部212bの温度調節による伸縮量が大きく、制御が容易である。
【0111】
尚、制御部260は、検出部250の検出結果に基づいてリヤプラテン温調部245を制御してもよい。例えば
図9に一点鎖線で示すように固定プラテン212がフレーム211に対して傾くとき、リヤプラテン温調部245がリヤプラテン支持部215bを加熱する。リヤプラテン支持部215bが伸び、リヤプラテン本体部215aの中心位置が上方に変位して固定プラテン本体部212aの中心位置と同じ高さになり、複数本のタイバー216を介して連結される固定プラテン212やリヤプラテン215がフレーム211に対して垂直になる。
【0112】
リヤプラテン支持部215bは、リヤプラテン本体部215aの材料(例えば鉄)よりも熱膨張係数の高い材料(例えば銅やアルミニウム)で形成されてよい。リヤプラテン支持部215bの温度調節による伸縮量が大きく、制御が容易である。
【0113】
[第2実施形態の変形例]
図10は、本発明の第2実施形態の変形例による射出成形機の型開き完了時の状態を示す図である。
図10において、一点鎖線は複数本のタイバー316を介して連結される固定プラテン312およびリヤプラテン315がフレーム311に対して傾いた状態を誇張して示し、実線は固定プラテン312およびリヤプラテン315がフレーム311に対して垂直な状態を示す。
【0114】
射出成形機は、金型装置330の型閉じ、型締め、型開きを行う型締装置310、および制御部360等を備える。金型装置330は、例えば固定金型332および可動金型333で構成される。
【0115】
型締装置310は、例えば、フレーム311、固定部材としての固定プラテン312、可動部材としての可動プラテン313、型締用部材としてのリヤプラテン315、タイバー316、トグル機構320、および型締モータ321等を有する。
【0116】
ところで、タイバー316を介して連結される固定プラテン312およびリヤプラテン315はフレーム311に熱的に接続され、フレーム311に熱を奪われる。フレーム311に近い下側のタイバー316がフレーム311から遠い上側のタイバー316よりも低温になり短くなると、
図10に一点鎖線で示すように、固定プラテン312およびリヤプラテン315がフレーム311に対して傾く。
【0117】
そこで、射出成形機は、
図10に示すように、フレーム311に対する固定プラテン312の姿勢の変化を検出する検出部350、および検出部350の検出結果に基づいてタイバー温調部346等を制御する制御部360を備える。
【0118】
検出部350は、例えば固定プラテン312に取り付けられる歪みセンサ353、354を含む。
図10に一点鎖線で示すように固定プラテン312がフレーム311に対して傾くと、固定プラテン本体部312aの金型取付面が伸び、固定プラテン本体部312aの金型取付面とは反対側の面が縮む。固定プラテン本体部312aの上部に取り付けられる歪みセンサ353の検出値と、固定プラテン本体部312aの下部に取り付けられる歪みセンサ354の検出値とに基づいて、フレーム311に対する固定プラテン312の姿勢の変化が検出できる。歪みセンサ353、354は、固定プラテン本体部312aにおける複数本のタイバー316の取付位置の中心位置を中心に対称に配置されてよい。
【0119】
尚、本実施形態の歪みセンサの取付位置は、固定プラテン本体部312aであるが、固定プラテン支持部312bでもよく、固定プラテン312とタイバー316を介して連結されるリヤプラテン315でもよい。フレーム311に対して固定プラテン312が傾くとき、リヤプラテン315が歪む。また、本実施形態の歪みセンサの数は、複数であるが、1つでもよい。1つの歪みセンサの検出値と基準値とに基づいて、フレーム311に対する固定プラテン312の姿勢の変化が検出できる。また、1つの歪みセンサによって検出される歪みが伸びか縮みかで、固定プラテン312の傾く方向が検出できる。
【0120】
制御部360は、検出部350の検出結果に基づいてタイバー温調部346を制御する。タイバー温調部346は、複数本のタイバー316の温度を個別に調節するものであって、ヒータ等の加熱源、水冷ジャケット等の冷却源で構成され、加熱源と冷却源の両方の役割を果たしてもよい。タイバー温調部346は、各タイバー316に取り付けられるが、各タイバー316に形成される流路に熱媒(加熱媒体または冷却媒体)を送るものでもよい。
【0121】
例えば
図10に一点鎖線で示すように固定プラテン312がフレーム311に対して傾くとき、下側のタイバー温調部346が下側のタイバー316を加熱する。下側のタイバー316の長さが伸び、上側のタイバー316の長さと同じになり、
図10に実線で示すように複数本のタイバー316を介して連結される固定プラテン312やリヤプラテン315がフレーム311に対して垂直になる。
【0122】
尚、
図10に一点鎖線で示すように固定プラテン312がフレーム311に対して傾くとき、上側のタイバー温調部346が上側のタイバー316を冷却してもよい。上側のタイバー316の長さが縮み、下側のタイバー316の長さと同じになり、複数本のタイバー316を介して連結される固定プラテン312やリヤプラテン315がフレーム311に対して垂直になる。
【0123】
各タイバー316は長手方向に複数のブロックに分割されてもよく、タイバー温調部346が取り付けられるブロックはそれ以外のブロックの材料(例えば鉄)よりも熱膨張係数の高い材料(例えば銅やアルミニウム)で形成されてよい。タイバー316の温度調節による伸縮量が大きく、制御が容易である。
【0124】
以上、射出成形機の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内で、種々の変形、改良が可能である。
【0125】
例えば、上記実施形態の射出成形機は横型であるが、竪型でもよい。竪型の場合、型締装置は、可動プラテンとしての上プラテンと、タイバーを介して上プラテンと連結され上プラテンと共に移動する昇降プラテンと、上プラテンと昇降プラテンとの間に配設される固定プラテンとしての下プラテンとを有する。