(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えばアルミニウム等の非磁性体材料からなる2つのパイプ状形材を電磁成形によりかしめ締結すると、内側の部材にも外側の部材と同様に誘導電流が生じるために、外側の部材と内側の部材とが共に縮径方向に変形する。よって、十分なかしめ力が得られず、構造体の強度部材同士を連結する連結部材として十分な強度を得られない虞がある。
【0006】
また、近年デザイン性の要求が高くなり、連結部材によって連結される被連結部材の間に他の部材が配置されることが多くなっている。このような場合には、連結部材は被連結部材の間に配置される部材と干渉しないような形状とする必要がある。上述のように、連結部材を構成する部材をプレス加工により成形すると、要求されている形状に成形することが困難となることがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、構造体の設計の自由度を高めると共に、精度よく製造でき且つ強度の高い構造体の連結部材
の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、
板材の一方向に関する一端側の一部を
前記一方向に延びる筒状に形成することにより、前記板材の前記一方向の一端側に設けられて前記一方向全長に亘って延びるスリットを有する筒状部、及び前記板材の前記一方向に関する他端側に設けられた板状部が一体成形されたブラケット部材
を形成し、
非磁性体からなる筒状の本体部材の両端部の少なくとも一方の内側に前記ブラケット部材の前記筒状部
を挿入
し、前記筒状部と前記本体部材と
を電磁縮管によりかしめ締結
する。
【0009】
この構造体の連結部材
の製造方法では、板材から筒状部及び板状部が一体成形されたブラケット部材を成形するので、筒状部及び板状部の大きさや形状を様々に設定することができる。よって、構造体の設計の自由度を高めることができる。また、本体部材とブラケット部材とを電磁縮管によりかしめ締結しているので、ブラケット部材を一定位置で固定したままで両者を締結固定でき、且つ、溶接により締結する場合のように熱歪みも生じないので、精度よく連結部材を製造することができる。さらに、一方向に延びる筒状部に一方向全長に亘って延びるスリットが形成されているので、本体部材内に筒状部を挿入して筒状部と本体部材とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、筒状部においては誘導電流がスリットで途切れる。よって、外側に配置された非磁性体の本体部材が縮管する一方で、内側に位置するブラケット部材の筒状部は縮管がほとんど生じないので、十分なかしめ力で両者を締結することができる。これにより、連結部材の強度を高めることができる。
【0010】
また、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、前記筒状部に内側に突出する凹みが形成されていてもよい。
【0011】
この構造体の連結部材
の製造方法では、筒状部と本体部材とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、外側に配置されており縮管する本体部材が、内側に配置された筒状部の凹みに入り込む。したがって、締結後に筒状部と本体部材とがずれ動くのを防ぐことができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、前記ブラケット部材における前記筒状部と前記板状部との板厚が異なっていてもよい。
【0013】
この構造体の連結部材
の製造方法では、筒状部と板状部との板厚を別々に設定することで、様々な構造体に対応して強度を変化させることができる。
【0014】
別の観点によると、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、板材の表面に1または複数の補強リブ部材を接合してブラケット部材
を形成し、
非磁性体からなる筒状の本体部材の両端部の少なくとも一方の内側に
、前記ブラケット部材の前記補強リブ部材が接合された部分
を、前記補強リブ部材の延伸方向が前記本体部材の延伸方向に沿うように、挿入
し、前記ブラケット部材の前記本体部材内に挿入された部分と前記本体部材と
を電磁縮管によりかしめ締結
する。
【0015】
この構造体の連結部材
の製造方法では、板材に補強リブ部材を接合してブラケット部材を成形するので、ブラケット部材の大きさや形状を様々に設定することができる。よって、構造体の設計の自由度を高めることができる。また、本体部材とブラケット部材とを電磁縮管によりかしめ締結しているので、ブラケット部材を一定位置で固定したままで両者を締結固定でき、且つ、溶接により締結する場合のように熱歪みも生じないので、精度よく連結部材を製造することができる。さらに、ブラケット部材における本体部材内に挿入される部分は補強リブ部材が接合されており高い剛性を有するので、ブラケット部材と本体部材とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、ブラケット部材表面に誘導電流が生じてもほとんど変形が生じず、外側に配置された非磁性体の本体部材のみが縮管する。よって、十分なかしめ力でブラケット部材と本体部材とを締結することができる。これにより、連結部材の強度を高めることができる。また、縮管する本体部材は、縮管前と同一形状で変形するのではなく、ブラケット部材の補強リブ部材が接合された部分の形状に沿って凹凸を有する断面形状に変形するので、ブラケット部材と本体部材との回転方向の強度(回転方向の耐荷重)を強くすることができる。さらに、補強リブ部材によりブラケット部材の曲げ荷重を大幅に高めることができる。
【0016】
また、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法では、前記補強リブ部材
を、押出成形により形成
してもよい。
【0017】
この構造体の連結部材
の製造方法では、多数の補強リブ部材を連続的に形成できる。また、部分的に押出方向に凹凸を設けることができるので、ブラケット部材と本体部材とがより抜けにくくなる。
【0018】
さらに、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法では、前記補強リブ部材
を、押出断面に中空部分を有するように
押出成形してもよい。
【0019】
この構造体の連結部材
の製造方法では、補強リブ部材を軽量化できる。
【0020】
加えて、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法では、前記板材
を、前記補強リブ部材が接合される部分の一部に前記補強リブ部材の延伸方向と交わる方向に延びる折曲線が形成されるように曲げ加工
し、前記補強リブ部材
を、曲げ加工された前記板材の形状に沿う形状で形成
してもよい。
【0021】
この構造体の連結部材
の製造方法では、ブラケット部材に曲げ部を形成することができる。よって、被連結部材の間に干渉物があった場合でも、干渉物を避けて連結部材を配置することができる。これにより、構造体の設計の自由度をさらに高めることができる。
【0022】
また、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、前記板材と前記補強リブ部材と
を、接着、溶融溶接法または摩擦撹拌接合法により接合
してもよい。
【0023】
この構造体の連結部材
の製造方法では、板材と補強リブ部材とを容易に接合することができる。
【0024】
加えて、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、前記ブラケット部材が磁性体からなっていてもよい。
【0025】
この構造体の連結部材
の製造方法では、ブラケット部材と本体部材とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、ブラケット部材に誘導電流が生じてもほとんど変形しない。よって、両者を締結するかしめ力をさらに高めることができる。
【0026】
また、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、前記本体部材が曲げ加工されていてもよい。
【0027】
さらに、本発明にかかる構造体の連結部材
の製造方法は、前記本体部材の少なくとも一部が扁平加工されていてもよい。
【0028】
これらの構造体の連結部材
の製造方法では、本体部材に曲げ加工や扁平加工を施すことで、被連結部材の間に干渉物があった場合でも、干渉物を避けて連結部材を配置することができる。よって、構造体の設計の自由度をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
構造体の設計の自由度を高めると共に、精度よく製造でき且つ強度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の構造体の連結部材が適用される自動車の車体前部構造を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態にかかる連結部材を示す正面図である。
【
図3】
図2のブラケット部材の本体部材に接合される前の状態を示す正面図である。
【
図4A】
図3のブラケット部材を成形する前のブランク材の斜視図である。
【
図4B】
図4Aのブランク材からブラケット部材を成形した後の斜視図である。
【
図5A】
図2に示す連結部材の製造工程を工程順に示す図であり、本体部材の両端にブラケット部材の筒状部を挿入する様子を示す図である。
【
図5B】
図2に示す連結部材の製造工程を工程順に示す図であり、筒状部と本体部材とを締結する様子を示す図である。
【
図5C】
図2に示す連結部材の製造工程を工程順に示す図であり、完成した連結部材を示す図である。
【
図6A】第1実施形態の第1の変形例のブランク材の斜視図である。
【
図6B】
図6Aのブランク材のVIb−VIb線に沿う断面図である。
【
図6C】
図6Aに示すブランク材から成形されたブラケット部材の斜視図である。
【
図7A】第1実施形態の第2の変形例のブランク材の斜視図である。
【
図7B】
図7Aのブランク材のVIIb−VIIb線に沿う断面図である。
【
図7C】
図7Aに示すブランク材から成形されたブラケット部材の斜視図である。
【
図8A】第1実施形態の第3の変形例を説明するための図である。
【
図8C】第1実施形態の第4の変形例にかかる連結部材の上面図である。
【
図9A】第1実施形態の第5の変形例のブランク材の斜視図である。
【
図9B】
図9Aに示すブランク材から成形されたブラケット部材の斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態にかかる連結部材の斜視図である。
【
図12】
図10のブランク材と補強リブ部材との接合を説明するための図である。
【
図14A】第2実施形態の変形例にかかるブラケット部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本実施形態においては、本発明の構造体の連結部材1を自動車の車体前部構造90に適用する場合について説明する。なお、以下の説明において、自動車の前進方向を「前方」、後退方向を「後方」、水平且つ前後方向と直交する方向を「左右方向」とする。
【0032】
図1に示すように、自動車の車体前部に位置するエンジンルームを構成する車体前部構造90は、車体前部の左右両側に設けられたフロントサイドフレーム91と、左右のフロントサイドフレーム(
図1の紙面奥側のフロントサイドフレームは図示せず)91の前端部に架け渡されたフロントバンパビーム93と、左右のフロントサイドフレーム91の外側にそれぞれ設けられたアッパサイドフレーム94とを備えている。
【0033】
フロントサイドフレーム91は、車体前後方向に延びる部材であり、その後端が車室の下方において車体前後方向に延びるフロントフロアフレーム95に連結されている。アッパサイドフレーム94は、車室のドア開口部の前端を構成するフロントピラー96から車体前方向に向かって延びる部材である。本実施形態の連結部材1は、フロントサイドフレーム91とアッパサイドフレーム94とを連結している。
【0034】
<第1実施形態>
次に、
図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態にかかる連結部材1の構成について説明する。連結部材1は、円筒状の本体部材10と、本体部材10の両端にそれぞれ接合されたブラケット部材20とで構成されている。本体部材10の両端には縮管部11が設けられており、後で詳述するように、本体部材10とブラケット部材20とは電磁縮管によりかしめ締結されている。本実施形態においては、本体部材10はアルミニウム合金材からなり、ブラケット部材20は軟鋼からなる。すなわち、本体部材10は非磁性体であり、ブラケット部材20は磁性体である。ブラケット部材20には、被連結部材(本実施形態においては、フロントサイドフレーム91またはアッパサイドフレーム94)に取り付けるためのボルトを挿通するボルト孔24が形成されている。本実施形態においては、各ブラケット部材20に4つのボルト孔24が形成されている。
【0035】
ここで、
図3、4をさらに参照しつつ、ブラケット部材20について詳細に説明する。ブラケット部材20は、筒状部21と板状部22とからなる。筒状部21は、円筒状の本体部材10の内側に挿入される部分である。筒状部21は、その一端部において板状部22に連設されている。板状部22は、被連結部材に取り付けられる部分であり、上述のボルト孔24が形成されている。
【0036】
ブラケット部材20は、板状のブランク材1020に曲げ加工を施すことによって形成されており、筒状部21と板状部22とは一体成形される。ブランク材1020は、
図4Aに示すように、一方向(紙面の右下方から左上方に向かう方向)一端側に位置する狭幅部1021(右下部分)と、他端側に位置しており狭幅部1021に比べて幅(一方向と直交する方向の長さ)が広い広幅部1022(左上部分)とからなる。狭幅部1021は、ブラケット部材20の完成時に筒状部21となる部分である。広幅部1022は、ブラケット部材20の完成時に板状部22となる部分であり、板状部22のボルト孔24となる孔1024が形成されている。本実施形態においては、ブランク材1020は均一厚さの板部材である。
【0037】
図4Aに示すようなブランク材1020に対して、例えば、狭幅部1021の幅方向中心部分を一方向に延びる棒状の治具に押し当てる等により、狭幅部1021を一方向に延びる円筒状に成形する折り曲げ加工を施し、
図4Bに示すようなブラケット部材20を形成する。狭幅部1021の幅方向両端は、筒状に成形された際に僅かな隙間を隔てて離隔する。すなわち、ブラケット部材20の筒状部21には、一方向に延びるスリット23が全長に亘って形成されている。
【0038】
次に、
図5A、5B、5Cを参照しつつ、本体部材10にブラケット部材20を電磁縮管によりかしめ締結し、連結部材1を製造する手順について説明する。まず、
図5Aに示すように、本体部材10の両端に、ブラケット部材20の筒状部21をそれぞれ挿入する。
【0039】
そして、
図5Bに示すように、筒状部21と本体部材10とが重なり合っている部分の外側に、電磁成形器7を配置する。電磁成形器7は、図示しない電源に接続されたコイル7aと、コイル7aの内側に設けられておりコイル7aから発生される磁束を集中させる磁束集中器7bとで構成されている。すなわち、磁束集中器7bが本体部材10における筒状部21と重なり合っている部分の外周面に対向している。
【0040】
コイル7aに電源から瞬間大電流が流れると、コイル7aから発生した磁束が磁束集中器7bの本体部材10における筒状部21との重なり部分の外周面との対向面に集中する。このとき、非磁性体である本体部材10に誘導電流が発生し、この誘導電流と電磁場との相互作用によって、本体部材10における筒状部21との重なり部分の外周面と磁束集中器7bとの間隔を拡げるような力、すなわち、本体部材10と筒状部21との重なり部分において本体部材10を縮管するような力(電磁力)が本体部材10に作用する。
【0041】
一方、ブラケット部材20は磁性体であるので、筒状部21にはほとんど誘導電流が発生しない。加えて、筒状部21においては、スリット23により誘導電流が途切れる。したがって、筒状部21を縮管するような力は筒状部21にはほとんど作用しない。すなわち、外側に配置された本体部材10が縮管する一方で、内側に位置するブラケット部材20の筒状部21は縮管がほとんど生じない。よって、本体部材10と筒状部21との重なり部分が本体部材10の電磁縮管によりかしめ締結される。このとき、ブラケット部材20の筒状部21は内側金型の役割をなし、外側から縮管成形される本体部材10と良好にかしめられる。
【0042】
なお、電磁成形は、
図5Bに示すように、本体部材10の両端に挿入されたブラケット部材20の板状部22を治具8にそれぞれ接触させて、ブラケット部材20を一定位置に固定した状態で行う。
【0043】
上述のように、本体部材10の両端に挿入されたブラケット部材20の筒状部21と本体部材10とを電磁縮管によりかしめ締結することで、
図5Cに示すような連結部材1が完成する。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態にかかる連結部材1によれば、ブラケット部材20は、板状のブランク材1020の一方向に関する一端側の一部を一方向に延びる筒状に形成することにより、ブランク材1020の一方向の一端側に設けられて一方向全長に亘って延びるスリット23を有する筒状部21、及びブランク材1020の一方向に関する他端側に設けられた板状部22が一体成形されている。そして、アルミニウム合金材からなる筒状の本体部材10内にブラケット部材20の筒状部21が挿入されており、本体部材10と筒状部21とが電磁縮管によりかしめ締結されている。
したがって、ブランク材1020から筒状部21及び板状部22が一体成形されたブラケット部材20を成形するので、筒状部21及び板状部22の大きさや形状を様々に設定することができる。よって、この連結部材1が適用される構造体の設計の自由度を高めることができる。また、本体部材10とブラケット部材20とを電磁縮管によりかしめ締結しているので、ブラケット部材20を一定位置で固定したままで両者を締結固定でき、且つ、溶接により締結する場合のように熱歪みも生じないので、精度よく連結部材1を製造することができる。さらに、一方向に延びる筒状部21に一方向全長に亘って延びるスリット23が形成されているので、本体部材10内に筒状部21を挿入して本体部材10と筒状部21とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、筒状部21においては誘導電流がスリット23で途切れる。よって、外側に配置された非磁性体の本体部材10が縮管する一方で、内側に位置するブラケット部材20の筒状部21は縮管がほとんど生じないので、十分なかしめ力で両者を締結することができる。これにより、連結部材1の強度を高めることができる。
【0045】
また、本実施形態の連結部材1では、ブラケット部材20は軟鋼からなる磁性体である。したがって、ブラケット部材20の筒状部21と本体部材10とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、筒状部21には誘導電流がほとんど生じず縮管しない。よって、両者を締結するかしめ力をさらに高めることができる。
【0046】
さらに、本実施形態の連結部材1では、非磁性体からなる本体部材10の内側にブラケット部材20の筒状部21を配置し、本体部材10の外側に配置されたコイル7aに電流を流して本体部材10を縮管させることで両者を締結しているので、本体部材10とブラケット部材20との締結部分が大型化することがない。すなわち仮に、非磁性体からなる本体部材10の外側にブラケット部材20の筒状部21を配置する場合には、本体部材10を電磁成形により拡管させる必要があり、本体部材10の内側にコイルを配置しなければならない。また。電磁成形のコイルはコイル径が小さいと十分な拡管力が得られないので、小型化することができない。したがって、本体部材10とブラケット部材20との締結部分が大型化する。
【0047】
(第1実施形態の変形例)
次に、上述の第1実施形態の第1及び第2の変形例について、
図6A、6B、6C、7A、7B、7Cを参照しつつ説明する。第1及び第2の変形例にかかる連結部材は、いずれも上述の第1実施形態のブラケット部材20に相当するブラケット部材120の形状のみが第1実施形態と異なっている。その他の構成については、第1実施形態とほぼ同様であるので、同一の符号を付けて説明を省略する。
【0048】
図6A、6Bに示すように、第1の変形例にかかるブラケット部材120を成形するブランク材1120には、狭幅部1121に幅方向に延びており幅方向全長に亘って形成された凹溝1125が形成されている。このようなブランク材1120に曲げ加工を施して、筒状部121及び板状部122を一体成形することで、
図6Cに示すようなブラケット部材120が完成する。このとき、ブランク材1120に形成された凹溝1125により、筒状部121において内側に突出する凹みであるビード125が、筒状部121の周方向全周に亘って形成される。
【0049】
また、
図7A、
図7Bに示すように、第2の変形例にかかるブラケット部材220を成形するブランク材1220には、狭幅部1221に平面視で円形形状の凹部1225が複数(本変形例においては4つ)形成されている。このようなブランク材1220に曲げ加工を施して、筒状部221及び板状部222を一体成形することで、
図7Cに示すようなブラケット部材220が完成する。このとき、ブランク材1220に形成された凹部1225は、筒状部221において内側に突出する凹みであるディンプル225となる。
【0050】
なお、上述の第1及び第2の変形例にかかるブラケット部材120、220においてビード125やディンプル225となる凹溝1125や凹部1225は、プレス成形や圧延成形により設けることができ、ボルト孔124、224となる孔1124、1224と同時に形成することもできる。
【0051】
上述の第1及び第2の変形例によると、筒状部121(221)と本体部材10とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、外側に配置されており縮管する本体部材10が、内側に配置された筒状部121(221)のビード125やディンプル225に入り込む。したがって、締結後に筒状部121(221)と本体部材10とがずれ動くのを防ぐことができる。すなわち、第1の変形例においては、筒状部121の周方向全周に亘って形成されたビード125により、筒状部121が本体部材10から抜けるのを防ぐことができる。第2の変形性においては、ディンプル225により、筒状部221が本体部材10から抜けたり、筒状部221が本体部材10内で回転したりするのを防ぐことができる。
【0052】
続いて、上述の第1実施形態の第3及び第4の変形例について、
図8A、8B、8Cを参照しつつ説明する。第3及び第4の変形例にかかる連結部材は、いずれも上述の第1実施形態の本体部材10に相当する本体部材310の形状のみが第1実施形態と異なっている。その他の構成については、第1実施形態とほぼ同様であるので、同一の符号を付けて説明を省略する。
【0053】
図8A、8Bに示すように、第3の変形例にかかる本体部材310には曲げ加工が施されている。すなわち本体部材310は、略中央部分に曲げ部312が設けられた筒状部材である。このように本体部材310を曲げることで、
図8Aに示すように、本連結部材301により互いに連結される被連結部材2、3の間に干渉物4がある場合でも、連結部材301を配置することができる。なお、本変形例においては、曲げ部312は1か所のみに設けているが、干渉物4の大きさや形状に応じて複数個所に曲げ部312を設けてもよい。
【0054】
また、
図8Cに示すように、第4の変形例にかかる本体部材410には中央部分に扁平加工が施されている。すなわち本体部材410は、中央部分に扁平部412が設けられた筒状部材である。このように本体部材410を扁平にすることで、上述の第3の変形例と同様に、被連結部材2、3の間の干渉物4を避けることができる。扁平部412の大きさや設ける位置は、干渉物4の大きさや形状に応じて適宜設定可能であり、例えば、本体部材410の全体に扁平加工が施されていてもよい。
【0055】
さらに、上述の第1実施形態の第5の変形例について、
図9A、9Bを参照しつつ説明する。第5の変形例にかかる連結部材は、上述の第1実施形態のブラケット部材20に相当するブラケット部材520の形状のみが第1実施形態と異なっている。その他の構成については、第1実施形態とほぼ同様であるので、同一の符号を付けて説明を省略する。
【0056】
図9A、9Bに示すように、第5の変形例にかかるブラケット部材520を成形するブランク材1520は、いわゆるテーラードブランクであり、狭幅部1521の板厚が広幅部1522の板厚よりも薄くなっている。すなわち、上述のようなブランク材1520から成形されるブラケット部材520においては、筒状部521の板厚が板状部522の板厚よりも薄くなっている。このように、筒状部521と板状部522との板厚を別々に設定することで、様々な構造体に対応して強度を変化させることができる。なお、本変形例においては、筒状部521の板厚が板状部522の板厚よりも薄くなっている場合について説明したが、筒状部521の板厚を板状部522の板厚よりも厚くしてもよい。
【0057】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態にかかる連結部材601の構成について説明する。第2実施形態の連結部材601は、ブラケット部材620の構成のみが上述の第1実施形態の連結部材1と異なっている。その他の構成については、第1実施形態とほぼ同様であるので、同一の符号を付けて説明を省略する。
【0058】
図10、11に示すように、本実施形態のブラケット部材620は、板状のブランク材625と、ブランク材625の一方の表面に接合された補強リブ部材626とで構成されている。ブランク材625は、第1実施形態のブランク材1020と同様に、一方向(
図10の左下方から右上方に向かう方向)一端側に位置する狭幅部621と、他端側に位置しており狭幅部621に比べて幅(一方向と直交する方向の長さ)が広い広幅部622とからなる。広幅部622には、ボルト孔24が形成されている。
【0059】
補強リブ部材626は、ブランク材625の幅方向略中央部分において、一方向(ブランク材625の狭幅部621と広幅部622との配列方向)に沿って延びるように配置されている。補強リブ部材626の長さは、ブランク材625の一方向に沿う長さよりも短い。補強リブ部材626の一端は、ブランク材625の一方向に関して狭幅部621が形成されている側の端と一致しており、他端はブランク材625の広幅部622に位置している。なお、補強リブ部材626の一端は、ブランク材625の一方向に関して狭幅部621が形成されている端と一致していなくてもよく、ブランク材625の狭幅部621に位置していればよい。
【0060】
本実施形態においては、ブランク材625と補強リブ部材626とが金属材である場合は摩擦攪拌接合法により接合することができる。この場合、
図12に示すようにブランク材625の一方の面(図中下方の面)に補強リブ部材626を当接させた状態で、ブランク材625の他方の面(図中上方の面)側から円筒状の回転ツール901を回転させながら押し当て、その先端に設けられたプローブ902をブランク材625と補強リブ部材626とに差し込む。このとき、回転ツール901のプローブ902とブランク材625及び補強リブ部材626との間に生じる摩擦熱により、ブランク材625と補強リブ部材626との当接部分が塑性流動し、その後冷却固化することでブランク材625と補強リブ部材626とが接合される。
【0061】
図10に戻って、ブラケット部材620は、ブランク材625における補強リブ部材626が接合された狭幅部621が円筒状の本体部材10の両端にそれぞれ挿入されている。本実施形態においては、本体部材10内に挿入された補強リブ部材626の延伸方向は、本体部材10の延伸方向と平行となっている。補強リブ部材626の延伸方向は、本体部材10の延伸方向に沿っていればよく、本体部材10の延伸方向と完全に平行な位置からわずかにずれていてもよい。第1実施形態と同様に、本体部材10の両端には縮管部11が設けられており、本体部材10とブラケット部材620とは電磁縮管によりかしめ締結されている。
【0062】
ここで、縮管部11における連結部材601の断面図である
図13に示すように、ブラケット部材620の本体部材10内に挿入されている部分の挿入方向に直交する断面はT字形状を有している(
図13では上下逆さまのT字となっている)。縮管された本体部材10は、内側に配置されたブラケット部材620の形状に沿って凹凸変形し、部分的に内側に張り出した形状となる。
【0063】
以上に述べたように、本実施形態にかかる連結部材601によれば、ブラケット部材620は、板状のブランク材625の表面に補強リブ部材626を接合して形成されている。そして、補強リブ部材626の延伸方向が筒状の本体部材10の延伸方向と略平行となるように、本体部材10内にブラケット部材620の補強リブ部材626が接合された部分が挿入されており、ブラケット部材620の本体部材10内に挿入された部分と本体部材10とが電磁縮管によりかしめ締結されている。
したがって、第1実施形態と同様に、本体部材10とブラケット部材620とを電磁縮管によりかしめ締結しているので、精度よく連結部材601を製造することができる。また、板状のブランク材625に補強リブ部材626を接合してブラケット部材620を成形するので、ブラケット部材620の大きさや形状を様々に設定することができる。よって、この連結部材601が適用される構造体の設計の自由度を高めることができる。さらに、ブラケット部材620における本体部材10内に挿入される部分は補強リブ部材626が接合されており高い剛性を有するので、ブラケット部材620と本体部材10とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、ブラケット部材620表面に誘導電流が生じてもほとんど変形が生じず、外側に配置された非磁性体の本体部材10のみが縮管する。よって、十分なかしめ力でブラケット部材620と本体部材10とを締結することができる。これにより、連結部材601の強度を高めることができる。また、縮管する本体部材10は、縮管前と同一形状で変形するのではなく、ブラケット部材620の補強リブ部材626が接合された部分の形状に沿って凹凸を有する形状に変形するので、ブラケット部材620と本体部材10との回転方向の強度(回転方向の耐荷重)を強くすることができる。さらに、補強リブ部材626によりブラケット部材620の曲げ荷重を大幅に高めることができる。
【0064】
さらに、本実施形態の連結部材601では、ブランク材625と補強リブ部材626とを摩擦攪拌接合法により接合することで、溶融溶接法より被接合部材に対する熱ひずみの影響が少なくすることができ、ブラケット部材620を精度よく作製できる。
【0065】
(第2実施形態の変形例)
次に、上述の第2実施形態の変形例について、
図14A、14B、15を参照しつつ説明する。本変形例にかかる連結部材は、第2実施形態のブラケット部材620に相当するブラケット部材720の形状のみが第2実施形態と異なっている。その他の構成については、第2実施形態とほぼ同様であるので、同一の符号を付けて説明を省略する。
【0066】
図14Aに示すように、本変形例にかかるブラケット部材720のブランク材725には、狭幅部721と広幅部722と境界部に、ブランク材725の表面に平行であり且つ一方向(ブランク材725の狭幅部721と広幅部722との配列方向であり、補強リブ部材726の延伸方向)と直交する方向に延びる折曲線725aが形成されるように曲げ加工が施されている。また、ブランク材725に接合される補強リブ部材726は、曲げ加工されたブランク材725の形状に沿う形状で形成されている。すなわち、
図14Bに示すように、ブラケット部材720は、一方向と直交する方向からの側面視で鈍角をなす形状を有している。
【0067】
さらに、補強リブ部材726は後述するように押出成形により中空状に形成されている。より詳細には、補強リブ部材726の延伸方向に沿う側面におけるブランク材725の狭幅部721に接合される部分と広幅部722に接合される部分とには、それぞれ中空部分727が形成されている。また、狭幅部721に接合される部分の表面には、補強リブ部材726の延伸方向と直交する方向に延びる凹部728が形成されている。これにより、ブラケット部材720と本体部材10とを電磁縮管によりかしめ締結する際に、外側に配置されており縮管する本体部材10が、内側に配置されたブラケット部材720の補強リブ部材726に形成された凹部728に入り込む。したがって、締結後にブラケット部材720と本体部材10とがずれ動くのを防ぐことができる。
【0068】
ここで、補強リブ部材726の製造方法について説明する。補強リブ部材726を製造する際には、まず
図15に示すように、押出成形により押出方向に延びる折曲線が形成された板状の成形物1726を形成する。このとき同時に押出断面に2つの中空部分1727が形成されるよう成形される。また、成形物1726の表面に押出方向に延びる凹部1728も同時に形成されるようにする。この成形物1726を押出方向と直交する方向に沿って切断することで、多数の補強リブ部材726が連続的に製造される。
【0069】
本変形例においては、ブラケット部材720に曲げ部を形成することができる。よって、被連結部材の間に干渉物があった場合でも、干渉物を避けて連結部材を配置することができる。よって、構造体の設計の自由度をさらに高めることができる。また、補強リブ部材726を押出成形により押出後に所定の幅で切断することで、多数の補強リブ部材726を連続的に形成でき、押出方向に沿って凹凸を有する形状のブラケット部材を簡単に作成することができる。さらに、補強リブ部材726は中空状に形成することで、連結部材を軽量化することができる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0071】
第1及び第2実施形態の本体部材10及び第1実施形態のブラケット部材20の筒状部21は円筒形状であることに限定されず、例えば断面が楕円形状や四角形状を有する筒形状であってもよい。
【0072】
第1及び第2実施形態においては、本体部材10の両端部にブラケット部材20、620が取り付けられる場合について説明しているが、これには限定されない。すなわち、ブラケット部材20、620は、本体部材10の両端部の少なくとも一方に取り付けられていればよい。
【0073】
ブラケット部材20、620を構成する材料は軟鋼には限定されず、溶接が難しい高張力鋼を用いてもよい。また、ブラケット部材20、620の材料として非磁性体を採用することもできる。したがって、例えば導電率の低い高強度アルミニウム(2000系、7000系)や絶縁性の高い樹脂をブラケット部材20、620の材料として用いてもよい。
【0074】
第2実施形態においては、ブラケット部材620のブランク材625と補強リブ部材626とを摩擦攪拌接合法により接合する場合について説明したが、ブランク材625と補強リブ部材626との接合方法はこれに限定されるものではない。すなわち例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接、MIG溶接(metal inert gas welding)等の溶融溶接法で接合してもよく、またボルトで接合してもよく、これらを組み合わせてもよい。更にブランク材625と補強リブ部材626がCFRP(carbon-fiber-reinforced plastic)等の樹脂である場合は接着により接合してもよい。
【0075】
第2実施形態において、ブランク材625の一方の表面に1つの補強リブ部材626が接合されている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、例えばブランク材625の一方の表面に2つ以上の補強リブ部材が接合されていてもよい。また、ブランク材625の両方の表面にそれぞれ補強リブ部材が接合されていてもよい。