特許第6000934号(P6000934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000934
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】プレススルーパッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/34 20060101AFI20160923BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20160923BHJP
   B65D 83/04 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   B65D75/34
   B65D65/40 D
   B65D83/04 D
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-253974(P2013-253974)
(22)【出願日】2013年12月9日
(62)【分割の表示】特願2011-58764(P2011-58764)の分割
【原出願日】2011年3月17日
(65)【公開番号】特開2014-43281(P2014-43281A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】511069932
【氏名又は名称】昭北ラミネート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】森野 映介
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−253949(JP,A)
【文献】 特開2003−291254(JP,A)
【文献】 実開昭62−031054(JP,U)
【文献】 特開2008−174302(JP,A)
【文献】 特開2012−192960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/32 −75/36
B65D 83/04
B65D 65/40
B32B 15/08
B32B 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材であるアルミニウム箔と、前記アルミニウム箔の一方の面である光沢面に設けられた白濁色印刷層と、前記白濁色印刷層の表面の一部に設けられた情報印刷層と、前記白濁色印刷層及び前記情報印刷層を覆う透明な耐熱コート層と、前記アルミニウム箔の他方の面を覆うヒートシール層とを備えた包装シートと、
錠剤やカプセル剤が収容される収容部が形成された容器シートとを設け
前記包装シートを前記容器シートの平面部に貼りつけることによって前記容器シートの前記収容部の開口を閉鎖するプレススルーパッケージの製造方法であって、
前記白濁色印刷層は、10〜15質量%の酸化チタン顔料が均一に拡散され、外からの入射光の一部を吸収するとともに、前記アルミニウム箔の前記光沢面に到達した光の反射光の一部を透過し、
前記耐熱コート層は、合成樹脂である主剤に、前記耐熱コート層の樹脂層の厚みよりも大きな粒径の粉末であるマット剤が添加されて成り、
前記アルミニウム箔の前記光沢面側は、前記耐熱コート層が形成された状態で、前記耐熱コート層側から入射した入射光の一部が前記白濁色印刷層を通過して前記アルミニウム箔へ到達し、その反射光の一部が前記耐熱コート層を透過可能であるとともに、前記マット剤により前記入射光及び前記反射光が散乱するものであり、
前記包装シートを前記容器シートの平面部に貼りつける際に、前記ヒートシール層を前記容器シートの前記開口が形成された側に対面させて前記平面部に重ね合わせ、前記耐熱コート側の面を加熱することによって、前記包装シートを前記容器シートに熱接着して、前記包装シートにより前記収容部の前記開口を閉鎖することを特徴とするプレススルーパッケージの製造方法
【請求項2】
前記白濁色印刷層は、白色インキが10〜15質量%配合され、白色顔料を2.1〜3.2質量%含む塗工樹脂を、0.8〜2.6g/mの塗工量で塗工して形成する請求項1記載のプレススルーパッケージ。
【請求項3】
前記白濁色印刷層は、主剤の樹脂が塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂、又はエポキシ樹脂のものを用いて形成する請求項2記載のプレススルーパッケージの製造方法
【請求項4】
前記マット剤は、シリカ又はバリウムであり、前記耐熱コートの主剤に対して、2〜5質量%の割合で配合されている請求項2記載のプレススルーパッケージの製造方法
【請求項5】
前記アルミニウム箔は、前記一方の面が光沢面、前記他方の面が艶消面になっているものを用いる請求項2記載のプレススルーパッケージの製造方法
【請求項6】
前記情報印刷層は、バーコードを含む情報が印刷されている請求項4記載のプレススルーパッケージの製造方法。
【請求項7】
前記耐熱コート層の前記樹脂層の厚みが1.6〜2μmであり、前記マット剤は粒径が2〜3μmの粉末であり、前記マット剤の一部が前記耐熱コート層の前記樹脂層から突出した状態に塗工する請求項4記載のプレススルーパッケージの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一面が開口した収容部が形成された容器シートに、アルミニウム箔等の包装シート熱接着、錠剤やカプセル等が入れられた収容部包装シートにより閉鎖するプレススルーパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤等の包装体であるプレススルーパッケージ(press through package、以下、省略する場合はPTPと称す。)は、図3に示すPTP10のように、樹脂製の容器シート12に形成された収容部12a内に、小形の錠剤14等を入れ、包装シート16を容器シート12の平面部12bに貼りつけることによって、収容部12aの開口を閉鎖する包装形態である。この形態の包装体は、従来から、薬用の錠剤やカプセル等を包装する用途に広く用いられている。包装シート12には、必要に応じて錠剤等の商品名や識別番号等の文字、バーコード又は装飾用の絵柄等の各種情報が印刷され、それらの各種情報を表示する機能も有する。
【0003】
包装シート16の基材には、例えばアルミニウム箔が使用される。アルミニウム箔を用いた包装シート16は、開封するとき、収容部12a内の錠剤14を収容部12aの外側から包装シート16内面側へ強く押し付け、包装シート16を突き破って取り出すタイプのPTP10に適している。包装シート16を容器シート12に貼りつける場合、例えば、包装シート16の一方の面に設けたヒートシール層を容器シート12の平面部12bに重ね合わせて当接させ、包装シート16の他方の面に設けた耐熱コート層の側から加熱し、ヒートシール層を平面部12bに溶着している。
【0004】
従来、アルミニウム箔を基材とするPTP用の包装シートとして、特許文献1に開示されているように、アルミニウム箔の一方の面を覆う白着色層と、白着色層の表面にバーコード部を表したインキ層と、白着色層とインキ層とを覆うオーバープリント層と、アルミニウム箔の他方の面に印刷された裏面印刷層と、アルミニウム箔の他方の面及び裏面印刷層の表面を覆う熱接着層とを備えた包装用シートがある。この包装用シートは、オーバープリント層側の面が加熱されることによって熱接着層が相手方の収容シートに熱接着され、収容シートのポケット部の開口を閉鎖する。白着色層に印刷されたバーコード部は、オーバープリント層の側から確認することができ、バーコードリーダ等によって読み取られる。白着色層は、所定量の白色顔料を含み、バーコードリーダがバーコード部の内容を読み取りやすいように、バーコード部とのコントラストをはっきりさせる働きをする。
【0005】
また、特許文献2に開示されているように、顔料又は染料を含む樹脂層であってアルミニウム箔の一方の面を覆うコーティング層と、コーティング層の表面に位置する第1の印刷層と、コーティング層と第1印刷層とを覆う熱接着層と、アルミニウム箔の他方の面に印刷された第2の印刷層と、アルミニウム箔の他方の面及び第2の印刷層の表面を覆うオーバーコート層とを備えた包装材料がある。この包装材料は、オーバーコート層側の面が加熱されることによって熱接着層が相手方の収納体に熱接着され、収納体のポケット部の開口を閉鎖する。コーティング層表面の第1の印刷層は、熱接着層の側から収納体を介して視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−174302号公報
【特許文献2】特開2007−253949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薬用の錠剤やカプセル等を包装するPTPの場合、従来大多数の包装用シートがアルミニウム基材の包装シートであり、アルミ地金のメタリックな色調が露出した外観を呈していた。このアルミ地金のメタリックな色調は、患者等に高品質感や既存商品を用いる安心感を与えるものであった。
【0008】
しかし、特許文献1の包装用シートの場合、アルミニウム箔を覆う白着色層の白色の色調が強すぎ、メタリックな色調がなくなってしまうという問題がある。また、特許文献2の包装材料のコーティング層はアルミニウム箔を補強するもので、印刷層の視認性を向上させるというものではない。
【0009】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、包装シートのメタリックな色調を損なうことなく、情報印刷層の視認性が良好なプレススルーパッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、基材であるアルミニウム箔と、前記アルミニウム箔の一方の面である光沢面に設けられた白濁色印刷層と、前記白濁色印刷層の表面の一部に設けられた情報印刷層と、前記白濁色印刷層及び前記情報印刷層を覆う透明な耐熱コート層と、前記アルミニウム箔の他方の面を覆うヒートシール層とを備えた包装シートと、錠剤やカプセル剤が収容される収容部が形成された容器シートとを設け、前記包装シートを前記容器シートの平面部に貼りつけることによって前記容器シートの前記収容部の開口を閉鎖するプレススルーパッケージの製造方法であって、前記白濁色印刷層は、10〜15質量%の酸化チタン顔料が均一に拡散され、外からの入射光の一部を吸収するとともに、前記アルミニウム箔の前記光沢面に到達した光の反射光の一部を透過し、前記耐熱コート層は、合成樹脂である主剤に、前記耐熱コート層の樹脂層の厚みよりも大きな粒径の粉末であるマット剤が添加されて成り、前記アルミニウム箔の前記光沢面側は、前記耐熱コート層が形成された状態で、前記耐熱コート層側から入射した入射光の一部が前記白濁色印刷層を通過して前記アルミニウム箔へ到達し、その反射光の一部が前記耐熱コート層を透過可能であるとともに、前記マット剤により前記入射光及び前記反射光が散乱するものであり、前記包装シートを前記容器シートの平面部に貼りつける際に、前記ヒートシール層を前記容器シートの前記開口が形成された側に対面させて前記平面部に重ね合わせ、前記耐熱コート側の面を加熱することによって、前記包装シートを前記容器シートに熱接着して、前記包装シートにより前記収容部の前記開口を閉鎖するプレススルーパッケージの製造方法である。
【0011】
前記白濁色印刷層は、白色インキが10〜15質量%配合され、白色顔料を2.1〜3.2質量%含む塗工樹脂を、0.8〜2.6g/mの塗工量で塗工して形成するものである。さらに、前記白濁色印刷層主剤の樹脂が塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂、又はエポキシ樹脂のものを用いて形成するものである。
【0012】
前記マット剤は、シリカ又はバリウムであり、前記耐熱コートの主剤に対して、2〜5質量%の割合で配合されていると良い。
【0013】
前記アルミニウム箔は、前記一方の面が光沢面、前記他方の面が艶消面になっているものを用いる。また、前記情報印刷層は、バーコードを含む情報が印刷されている。
【0014】
前記耐熱コート層の前記樹脂層の厚みが1.6〜2μmであり、前記マット剤は粒径が2〜3μmの粉末であり、前記マット剤の一部が前記耐熱コート層の前記樹脂層から突出した状態に塗工するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明のプレススルーパッケージの製造方法は、包装シートの白濁色印刷層によってアルミニウム箔の光沢面からのノイズ光となる正反射光や乱反射光が抑えられ、情報印刷層の情報が視認しやすい包装シートを製造し、包装シートに設けられた情報の視認性が良いプレススルーパッケージを提供することができる。しかも、白濁印刷層が外からの照射光を適度に吸収、反射させるので、アルミニウム箔のメタリックな色調が適度に現れ、患者等の使用者に安心感や高品質感を与えることができるプレススルーパッケージを提供することができる。特に、情報印刷層にバーコードを設けたプレススルーパッケージの場合、バーコードリーダにより、印刷された情報を正確に読み取ることができるプレススルーパッケージを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】プレススルーパッケージの包装シートの一実施形態を示す断面図である。
図2】この発明のプレススルーパッケージの包装シートの実施形態を示す断面図である。
図3】プレススルーパッケージの基本構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、PTPに用いられる包装シートの一実施形態について、図1に基づいて説明する。この包装シート20は、図3のPTP10における従来の包装用シート16に代えて使用される包装シートである。
【0018】
包装シート20は、図1に示すように、アルミニウム箔22が基材に用いられている。アルミニウム箔22は、容器シート12に収容された錠剤等の固形物14を取り出すときに破れやすいように、10〜30μm程度の厚さの硬質又は軟質のアルミニウム箔が使用されている。また、PTPに用いられるアルミニウム箔には、一方の面が光沢面(鏡面)で他方が艶消面(マット面)になっているタイプ、両面とも光沢面(鏡面)になっているタイプ、両面とも艶消面(マット面)になっているタイプの3タイプつがあるが、このアルミニウム箔22は、一方の面が光沢面、他方の面が艶消面になっている。
【0019】
アルミニウム箔22の光沢面側は、白濁色印刷層24で覆われている。この白濁色印刷層24は、印刷用の希釈剤であるメジウムと白色顔料を含むインキとを混合した液状の塗工樹脂を、アルミニウム箔22表面に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。メジウムは、例えば、主剤である塩化ビニル樹脂に分子架橋促進用のアミノ樹脂を配合した固形分を、適量のシンナー等の溶剤で希釈したものを用いる。メジウムの主剤に用いられる樹脂は、塩化ビニル樹脂に代えて塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂又はエポキシ樹脂を用いてもよく、後述する第一の情報印刷層26の主剤として用いられる樹脂と同様のものを選択することが望ましい。白色顔料を含むインキは、メジウムの固形分と同様の組成に白色顔料となる酸化チタン粉末等を配合した固形分を、適量のシンナー等の溶剤で希釈したものを用いる。白濁色印刷層24を形成する塗工樹脂は、白色顔料を2.1〜3.2質量%含むもので、通常は、メジウムが85〜90質量%、白色インキが15〜10質量%の割合で配合される。
【0020】
アルミニウム箔22表面に塗工樹脂を塗布する際は、上記の配合であれば、塗工量を0.8〜2.6g/m程度とし、乾燥条件を180〜210℃で5〜10secとするのが望ましい。塗布した塗工樹脂が乾燥すると、塗工樹脂に含まれるシンナー等の溶剤が揮発し、メジウム及びインキの固形分のみが残留し、10〜15質量%の酸化チタン顔料が略均一に拡散された白濁色印刷層24が形成される。
【0021】
白濁色印刷層24の表面には、商品名や識別番号等の文字、バーコード、装飾用の絵柄等が表された第一の情報印刷層26が設けられている。第一の情報印刷層26は、白濁色印刷層24と同様に、主剤が塩化ビニル樹脂で、例えば黒色顔料又は茶色顔料等が配合されたインキをグラビア塗工方式等により印刷し、乾燥させることによって形成される。
【0022】
白濁色印刷層24及び第一の情報印刷層26の表面は、耐熱コート層28で覆われている。耐熱コート層28は、包装シート16を容器シート12に熱接着する際に加熱されるので、例えば、190〜230℃のヒートシールバーにより、3kg/cmで2secの加圧を行っても、表面状態に変色、炭化、粘り等の変化が生じない等の条件を満たす耐熱性が求められる。従って、耐熱コート層28は、エポキシ樹脂、ニトロセルロース、又はアクリル系樹脂を主剤とする透明なコート剤を用いて形成されている。
【0023】
アルミニウム箔22の裏側の面は、ヒートシール層30で覆われている。ヒートシール層30は、図1及び図3に示すように、包装シート20が容器シート12の収容部12aを覆って平面部12bに熱接着される際、平面部12bに重ね合わせられて当接し溶着される層であり、容器シート12及びアルミニウム箔22に対して良好に接着可能な材料が選択される。良好な接着とは、140〜160℃のヒートシールバーを用いて2〜3kg/cm、1secの加圧を行って熱接着したとき、0.6〜1kg/m以上の剥離強度が得られることが好ましい。また例えば、容器シート12の材質がポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)であれば、ヒートシール層30は、容器シート12と同一の樹脂又は特定の樹脂を混合したものを主剤とする樹脂コート剤を使用することが好ましい。
【0024】
この実施形態のPTPの製造方法は、包装シート20を容器シート12の平面部12bに貼りつける際に、ヒートシール層30を容器シート12の開口が形成された側に対面させて平面部12bに重ね合わせ、耐熱コート層28側の面を加熱することによって、包装シート20を容器シート12に熱接着して、包装シート20により収容部12aの開口を閉鎖するプレススルーパッケージの製造方法である。なお、容器シート12及びヒートシール層30が透明なものであれば、アルミニウム箔22の裏側の面にも装飾用の絵柄等を表した第二の情報印刷層27を設け、PTP10の容器シート12の側から視認できるようにしても良い。
【0025】
以上説明したように、この実施形態のPTPは、包装シート20に、10〜15質量%の酸化チタンの顔料が略均一に拡散された白濁色印刷層24が形成され、アルミニウム箔22の表側の光沢面の反射が抑えられ、第一の情報印刷層26が視認しやすく、バーコードを設けた場合もバーコードリーダにより正確に読み取ることができる。しかも、白濁色印刷層24は、外からの入射光を適度に吸収するとともに、アルミニウム箔22へ到達した光の反射光もその一部が透過するので、アルミニウム箔22のメタリックな色調が適度に現れ、患者等の使用者に安心感や高品質感を与えることができる。
【0026】
また、包装シート20の白濁色印刷層24は、主剤として塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂又はエポキシ樹脂が使用され、主剤の分子の架橋促進用にアミノ樹脂が配合され、白色顔料として酸化チタンが使用されており、いずれも医薬用の包装材料として従来から広く使用され品質及び信頼性の面で実績のある材料なので、薬用の錠剤やカプセルを包装するPTP10として安心して用いることができる。
【0027】
次に、この発明のPTPの実施形態について、図2に基づいて説明する。ここで、上記実施形態の包装シート20と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この発明の実施形態の包装シート32は、上記実施形態の包装シート20の耐熱コート層28に代えて、表面34aに微細な凹凸のある耐熱コート層34が設けられたものである。その他の構成及びPTPの製造方法は上記包装シート20と同様である。
【0028】
耐熱コート層34は、上記実施形態の耐熱コート層28の構成に、上記実施形態の耐熱コート層28に相当する樹脂層29の部分の厚み(例えば、1.6〜2μm)よりも大きな粒径(例えば、2〜3μm)の粉末であるマット剤が添加されたものである。マット剤は、シリカやバリウム等が好適で、主剤であるエポキシ樹脂、ニトロセルロース、又はアクリル系樹脂に対して、2〜5質量%程度の割合で配合するのが好ましい。
【0029】
耐熱コート層34は、マット剤の一部が樹脂層29から突出することによって表面34aに微細な凹凸を形成し、それによって入射光を及び反射光を散乱させ、第一の情報印刷層26の視認性を向上させる。ただし、マット剤の効果が強すぎると、第一の情報印刷層26の顔料自体の色調が再現されにくくなるので、白濁色印刷層24によって第一の情報印刷層26の視認性を向上させ、より視認性を向上させるために、少量のマット剤を添加した耐熱コート層34を設けるものである。
【符号の説明】
【0030】
10 プレススルーパッケージ(PTP)
12 容器シート
12a 収容部
12b 平面部
20,32 包装用シート
22 アルミニウム箔
24 白濁色印刷層
26 第一の情報印刷層
27 第二の情報印刷層
28,34 耐熱コート層
29 樹脂層
30 ヒートシール層
図1
図2
図3