【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明は、放射性物質の運搬及び/または貯蔵用の容器の内部キャビティに収容される、着脱可能な貯蔵装置を提案する。この貯蔵装置は、互いに移動可能であり、貯蔵装置の長手方向軸に沿って配置される、複数の基礎構造を含み、これらの基礎構造全てが、放射性物質を収容する複数の隣接する収容部を規定し、各基礎構造が、少なくとも一つの収容部を、少なくとも部分的に区切る。
【0015】
本発明によれば、貯蔵装置は、これらの基礎構造の展開手段を含み、この展開手段は、上述した長手方向軸を通る任意の平面による断面で見た場合に該軸に対して傾斜する線分形状を有する少なくとも一つの支持面を介した、該基礎構造における形状の協働により、貯蔵装置の長手方向軸に平行な第一の方向におけるこれらの駆動手段の移動が、貯蔵装置の長手方向軸に対して半径方向外側に向かう移動を基礎構造もたらすように動く、駆動手段を含む。
【0016】
この展開手段は、貯蔵装置を容器の内部キャビティに入れる際、または入れた後に、貯蔵装置の基礎構造の少なくとも一つ、好ましくは各基礎構造を、貯蔵装置の長手方向軸から遠ざけることを可能とし、従って、上述した基礎構造と容器の内部キャビティの壁との間のクリアランスが低減される。
【0017】
このクリアランスの低減は、貯蔵装置と、貯蔵装置が収容される容器との間の、熱交換の改善を可能とし、従って、貯蔵装置に収容された任意の燃料集合体から放たれる熱の排出が最適化される。
【0018】
また、駆動手段の長手方向の移動から、貯蔵装置の基礎構造の半径方向への移動の変換は、駆動手段の制御を、以降の説明で明らかになるように、実質的に容易にする。
【0019】
上述した支持面は、駆動手段上に、及び/または基礎構造上に形成されてもよい。
【0020】
展開手段は、貯蔵装置の該基礎構造の外部側面の少なくとも一部と、容器のキャビティの側壁との間の接触を可能とし、上述したクリアランスを最適に低減するように、構成されることが好ましい。
【0021】
駆動手段は、該第一の方向とは反対の第二の方向における駆動手段の移動が、該基礎構造の半径方向内部に向かう移動をもたらすように、貯蔵装置の該基礎構造の上述した長手方向の端部と協働することが有利である。
【0022】
従って、駆動手段は、特に、貯蔵装置の容器の外への取り出しを容易にするために、該基礎構造を容器のキャビティの壁から遠ざけることにより、基礎構造を貯蔵装置の長手方向軸に近づけることができる。
【0023】
この場合、展開手段は、該基礎構造を半径方向外部に付勢する弾性手段を有し、駆動手段は、該基礎構造の半径方向外部に向かう移動に抗することが有利である。
【0024】
従って、長手方向軸に平行な上述した第一の方向における駆動手段の移動は、該基礎構造を、弾性手段の圧力の下、半径方向外部に向かって移動することができ、第一の方向とは反対の第二の方向における駆動手段の移動は、該基礎構造を、弾性手段に抗して、半径方向内部に向かう移動をもたらす。
【0025】
上述した支持面は、平らなまたは傾斜する形状、または、円錐台の扇形の形状を有することが好ましい。
【0026】
駆動手段及び該基礎構造は、駆動手段と該基礎構造との間の形状の協働を最適化し、特に、これらの駆動手段とこの基礎構造との間の相対的な移動を容易にするように、対向する二つのそれぞれ対となる形状の支持面を有することが好ましい。
【0027】
駆動手段及び該基礎構造が二つのそれぞれ対となる形状の支持面を有する、本発明の好ましい実施形態では、駆動手段の支持面は、傾斜形状であり、該基礎構造は、少なくとも一つの円錐台の扇形の形状の支持面を有している。
【0028】
バリエーションとして、駆動手段は、貯蔵装置の長手方向軸の周りに分散された、複数の独立した支持面を有してもよく、これらは、例えば、平らな形状、または円錐台の扇形の形状であり、それぞれが貯蔵装置の基礎構造の対応する支持面に適合し、対となる形状である。
【0029】
上述した支持面は、通常、該基礎構造の長手方向の端部上に形成され、または、該基礎構造の長手方向の端部に対向して配置されることが好ましい。言い換えれば、駆動手段が支持面を有する場合、支持面は該基礎構造の長手方向の端部に対向して配置されることが好ましく、基礎構造が支持面を有する場合、支持面は基礎構造の該長手方向の端部上に形成されることが好ましい。
【0030】
駆動手段は、貯蔵装置の基礎構造の軸方向の保持のための、該支持面が形成される第一の部品を含むことが好ましい。
【0031】
軸方向の保持のための第一の部品は、該放射性物質の経路用の開口部を含み、周囲に該支持面が形成される、第一のエンドプレートから形成されることが有利である。
【0032】
この第一のエンドプレートは、貯蔵装置の基礎構造の第一の長手方向の端部と対向して配置される。
【0033】
開口部の形状は、貯蔵装置における放射性物質の積み下ろしを最も容易にするために、基礎構造に規定される収容部の各入り口部分の形状と同等であることが好ましい。
【0034】
バリエーションとして、軸方向の保持のための第一の部品は、リング形状を取ってもよく、または、中央が中空の任意の他の同等構造を取ってもよく、貯蔵装置が挿入される容器の内部キャビティの形状に適した形状を取ってもよい。
【0035】
駆動手段は、貯蔵装置の基礎構造の軸方向の保持のための第二の部品を含み、第二の部品は、少なくとも一つの長手方向ロッドにより、軸方向の保持のための第一の部品に結合され、貯蔵装置の基礎構造が、軸方向の保持のための第一の部品と軸方向の保持のための第二の部品との間に挿入されるように配置されることが有利である。
【0036】
従って、軸方向の保持のための第二の部品は、貯蔵装置の基礎構造の上述した第一の長手方向の端部とは反対側の第二の長手方向の端部に対向して配置される。
【0037】
長手方向ロッドは、貯蔵装置の基礎構造の軸方向の保持のための二つの部品の連結手段の一例であり、特に、容器外での貯蔵装置の取扱中に、基礎構造が互いに確実に取り付けられるような、これらの部品の基礎構造の保持を可能とする。従って、軸方向の保持のための二つの部品とロッドにより形成されるアセンブリは、基礎構造の保持構造を構成する。
【0038】
軸方向の保持のための第二の部品は、上述した軸方向の保持のための第一の部品の形状と同様の形状を有することが好ましい。
【0039】
従って、軸方向の保持のための第二の部品は、上述した第一のエンドプレートと同様の第二のエンドプレートの形状を有してもよく、必要であれば代わりに開口部のないプレートであってもよい。
【0040】
さらに、通常、駆動手段は、貯蔵装置の該基礎構造の第二の端部と協働するように、例えば、軸方向の保持のための第一の部品の支持面と同様の、軸方向の保持のための第二の部品に形成される支持面を有することが有利である。
【0041】
従って、駆動手段によりもたらされる、貯蔵装置の該基礎構造の半径方向への移動は、この基礎構造の両端で同時にもたらされ得る。このことは、この基礎構造と容器の内部キャビティとの間のクリアランスを、さらに低減可能である。
【0042】
バリエーションとして、貯蔵装置は、容器の内部キャビティの底部に取り付けられる少なくとも一つの長手方向ロッドに取り付けられる、軸方向の保持のための部品を一つだけ含んでもよい。この場合、軸方向の保持のための部品は、容器外での貯蔵装置の取扱中における取り付け基礎構造の互いに確実な保持を可能としない。
【0043】
通常、少なくとも一つの上述した長手方向ロッドは、その端部の少なくとも一方に、上述した長手方向軸の方向において、軸方向の保持のための部品を互いに向かって移動させることが可能な、または、構造が該当する場合、軸方向の保持のための部品一つを容器の底部に向かって移動させることが可能な、制御用ナットを有することが好ましい。
【0044】
このようなナットのネジ締めまたはネジ緩めは、長手方向ロッドに対して、従って、構造が該当する場合、軸方向の保持のための第二の部品に対して、または、容器の底部に対して、軸方向の保持のための第一の部品の軸方向の移動を生じ、このことが、この部品により支持される駆動手段の基礎構造に対する軸方向の移動をもたらし、ナットは駆動手段の制御手段を形成する。
【0045】
上述したナットは、駆動手段の制御手段の、本発明に照らして利用可能な他の多数のタイプの制御手段の中の一例であることに留意されたい。
【0046】
また、貯蔵装置の各基礎構造は、該基礎構造内でガイドされる、上述したタイプの適合する長手方向ロッドにより貫通されることが有利である。
【0047】
従って、貯蔵装置が容器外で扱われる場合に、長手方向ロッドは、基礎構造の半径方向における保持をも可能とする。
【0048】
通常、本発明の範囲を逸脱することなく、駆動手段の他の構造が可能である。
【0049】
また、本発明は、内部キャビティを区切る容器と、該内部キャビティに収容される上述したタイプの貯蔵装置とを含む、放射性物質の運搬及び/または貯蔵用のコンテナにも関する。
【0050】
非限定的な例として示される以下の説明を添付図面を参照して読むことで、本発明はより良く理解され、その詳細、利点及び特徴が明らかになる。