【文献】
Organic Sulfer Derivatives. I. Addition of Mercaptoacetic Acid to Long-chain Monounsaturated Compounds,Journal of the American Chemical Society,1957年,79,362-365
【文献】
Sulfuretted ethers from olefinic fatty acids,Journal of the Oil Technologists' Association of India (Mumbai, India),1984年,15(2),55-8
【文献】
Separation by thin-layer chromatography of the mercaptoacetic acid addition products of long-chain monounsaturated compounds,Journal of Chromatography,1966年,24(2),433-5
【文献】
Determination of Trisaturated Glycerides in Fats with Mercaptoacetic Acid,Analytical Chemistry,1960年,32,844-847
【文献】
The Reaction of Mercaptoacetic Acid with Methyl Linoleate and Linoleic Acid,The Journal of the American Oil Chemists' Society,1958年,35,225-230
【文献】
Synthesis and biological properties of hydroxythioether fatty acids related to leukotrienes: antagonists and agonists of slow-reacting substance of anaphylaxis (SRS-A),European Journal of Medicinal Chemistry,1993年,28(1),3-12
【文献】
The Kinetics of Thiyl Radical-Induced Reactions of Monounsaturated Fatty Acid Esters,Journal of the American Chemical Society,2002年,124(43),12816-12823
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記植物油が、単独でまたは混合物として、キャノーラ油、サフラワー油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ヘーゼルナッツ油、ココナツ油、オリーブ油、ヤシ油、ぶどう種子油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油から選択される、請求項5に記載の方法。
前記脂肪酸およびその誘導体が、単独でまたは混合物として、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、リシノール酸、ベルノル酸;脂肪酸のエステル;脂肪酸のアミド化によって得られる脂肪アミドおよび脂肪酸のチオエステル化から誘導される脂肪チオエステル;キャノーラ油、サフラワー油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ヘーゼルナッツ油、ココナツ油、オリーブ油、ヤシ油、ぶどう種子油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油から選択される植物油から得られる脂肪酸から選択される、請求項2または8に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、
少なくとも2つの不飽和を含む植物油およびその誘導体;
少なくとも1つの不飽和を含む脂肪酸およびその誘導体;
その混合物
から選択される天然脂肪性物質を、式(I)のチオール誘導体
G
n-L
1-L
2-SH(I)
(式中、
同じかまたは異なるGは-OH;-NR
1H;-C(O)OH;
【0023】
;-C(O)Hを表し、
nは1または2であり、
R
1は、水素原子;置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0025】
から選択される少なくとも1つの基で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
10、好ましくはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはメチル、エチルであり、
L
1は-CH
2基または直接結合であり、
L
2は、
置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-C(O)H、
【0027】
-NHR
2(R
2は、水素原子;置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0029】
から選択される少なくとも1つの基で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
10、好ましくはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはメチル、エチルである)から選択される少なくとも1つの基で置換されている、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択で含む直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、
C
3〜C
8炭素環または複素環、特に脂環式基、アリール基、好ましくはフェニル、ヘテロアリール基、好ましくはピリジンである)
と、
熱開始剤もしくはレドックス開始剤の存在下、0℃から天然脂肪性物質の完全分解温度の間の温度で、または
紫外線の作用下で、または
光開始剤の存在下、紫外線の作用下で
反応させることを含む、官能化脂肪性物質を調製する方法に関する。
【0030】
本発明によれば、植物油およびその誘導体は2〜20個の不飽和を含む。
【0031】
その植物油は、粗製または精製天然植物油、および遺伝子改変植物または培養物から誘導された植物油から選択することができる。
【0032】
本発明によれば、植物油は、単独でまたは混合物として、キャノーラ油、サフラワー油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ヘーゼルナッツ油、ココナツ油、オリーブ油、ヤシ油、ぶどう種子油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油から選択される。
【0033】
植物油の誘導体は、植物油、特に本発明による植物油のエステル化またはエステル交換によって得られる脂肪エステル;植物油、特に本発明による植物油のアミド化またはアミド交換によって得られる脂肪アミドおよび部分エポキシ化植物油、特に本発明によるものから選択される。
【0034】
部分エポキシ化植物油は、その不飽和の一部がエポキシ化されており、その少なくとも2つの不飽和が反応しておらず、好ましくは不飽和の20〜80%、より好ましくは30〜50%がエポキシ化されている植物油を意味する。
【0035】
一般に、エステル化(エステル交換)およびアミド化(アミド交換)は植物油の構成要素のトリグリセリドの末端官能基上で起こる反応を意味し、エポキシ化は植物油の不飽和上で起こる反応を意味する。
【0036】
本発明によれば、脂肪酸およびその誘導体は1〜6個の不飽和を含む。
【0037】
本発明によれば、脂肪酸は、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、リシノール酸、ベルノル酸から選択される。脂肪酸は本発明による植物油から得ることもできる。
【0038】
脂肪酸の誘導体は特に、脂肪酸のエステル、例えばオレイン酸メチル、脂肪酸のアミド化によって得られる脂肪アミドおよび脂肪酸、特に本発明による脂肪酸のチオエステル化により誘導される脂肪チオエステルから選択される。
【0039】
好ましくは、本発明は、同じかまたは異なるGが-NR
1H;-C(O)OH;
【0041】
;-C(O)H(R
1は上記の定義通りである)を表す方法に関する。
【0042】
やはり好ましくは、本発明は、同じかまたは異なるGが-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0045】
やはり好ましくは、本発明は、同じかまたは異なるGが-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0049】
好ましくは、本発明は、L
2が、フェニルあるいは直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキル鎖、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルを表す方法に関する。
【0050】
本発明によれば、本発明は、式(I)のチオール誘導体が、システアミン(2-アミノエタンチオール)、チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、β-メルカプトエタノール、メルカプトコハク酸(チオリンゴ酸)、3-メルカプトプロピオン酸、1-チオールグリセロール(3-メルカプト-1,2-プロパンジオール)、システイン、3-メルカプト-1-プロパノール、4-メルカプト-1-ブタノール、4-メルカプトフェノール、4-アミノチオフェノール、6-メルカプトヘキサン酸、3-メルカプト安息香酸、チオサリチル酸、2-メルカプト-ベンジルアルコール、4-メルカプトフェニル酢酸、8-メルカプトオクタン酸、9-メルカプト-1-ノナノール、12-メルカプトドデカン酸、3-メルカプトブタナール、3-メルカプトヘキサナールから選択される方法に関する。
【0051】
好ましくは、本発明は、式(I)のチオール誘導体が、システアミン(2-アミノエタンチオール)、チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、メルカプトコハク酸(チオリンゴ酸)、3-メルカプトプロピオン酸、1-チオールグリセロール(3-メルカプト-1,2-プロパンジオール)、システイン、4-メルカプトフェノール、4-アミノチオフェノール、6-メルカプトヘキサン酸、3-メルカプト安息香酸、チオサリチル酸、2-メルカプト-ベンジルアルコール、4-メルカプトフェニル酢酸、8-メルカプトオクタン酸、12-メルカプトドデカン酸、3-メルカプトブタナール、3-メルカプトヘキサナールから選択される方法に関する。
【0052】
好ましくは、本発明は、式(I)のチオール誘導体が、システアミン(2-アミノエタンチオール)、チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、メルカプトコハク酸(チオリンゴ酸)、3-メルカプトプロピオン酸、システイン、4-アミノチオフェノール、6-メルカプトヘキサン酸、3-メルカプト安息香酸、チオサリチル酸、2-メルカプト-ベンジルアルコール、4-メルカプトフェニル酢酸、8-メルカプトオクタン酸、12-メルカプトドデカン酸、3-メルカプトブタナール、3-メルカプトヘキサナールから選択される方法に関する。
【0055】
本発明によれば、本方法は、熱開始剤化合物またはレドックス開始剤の存在下、0℃から天然脂肪性物質の完全分解温度の間の温度で実施することができる。
【0056】
天然脂肪性物質の完全分解温度とは、前記脂肪性物質の不飽和のすべてが水素化された時点およびそれ以降の温度を意味する。前記温度はその脂肪性物質に依存し、それは公知であるかまたは測定することができる。
【0057】
好ましくは、その温度は周囲温度から天然脂肪性物質の完全分解温度であり、それは好ましくは周囲温度〜250℃、より好ましくは40℃〜150℃である。
【0058】
熱開始剤は、熱分解によりラジカルを発生する任意の種類の開始剤を意味する。以下のもの、すなわち:アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、tert-アミルペルオキシピバレート、ボラン、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートを特に挙げることができる。
【0059】
レドックス開始剤は、酸化還元反応によりラジカルの発生をもたらす任意の種類の開始剤を意味する。特に、tert-ブチルペルベンゾエート/エリソルビン酸系、過酸化ベンゾイル/アミン、H
2O
2/Fe
2+(フェントン試薬(Femton reagent))を挙げることができる。
【0060】
開始剤の選択は、その方法が実施される温度に依存し、これは反応条件にしたがって決定することができる。
【0061】
これらに限定されないが85℃の温度でのAIBNの使用または50℃の温度でのtert-アミルペルオキシピバレートの使用を特に挙げることができる。
【0062】
本発明によれば、本方法は、任意選択で光化学開始剤(光開始剤)の存在下、紫外線下で実施することができる。
【0063】
光化学開始剤または光開始剤は、紫外線の作用下でラジカルを発生する任意の種類の開始剤を意味する。例として、ベンジルを挙げることができる。
【0064】
開始剤の選択は使用する紫外線の波長に依存し、これは反応条件にしたがって決定することができる。
【0065】
一般に、紫外線の波長は200〜800nm、好ましくは250〜500nmである。
【0066】
好ましくは、本発明の方法は紫外線の作用下、または光開始剤の存在下での紫外線の作用下で実行する。
【0067】
有利には、本発明の方法は紫外線の作用下で実行する。
【0068】
本発明の方法は、溶媒を用いても用いないでも実行することができる。溶媒は、溶解性、特に開始剤の溶解性の問題が生じる可能性のある系において使用する。
【0069】
紫外線下で実行される方法の場合、本発明の方法を溶媒の存在下で実行することができるが、その溶媒は紫外線透過性のものでなければならない。
【0070】
本方法において、熱開始剤の温度でかつその存在下で使用できる溶媒は特に、単独でまたは混合物として、テトラヒドロフラン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジオキサン、クロロホルム、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、水、コハク酸型の低公害型溶剤(green solvent)から選択される。
【0071】
本方法で、紫外線下で使用できる溶媒は特に、メタノール、エタノールから選択される。
【0072】
本発明の方法では、以下の特徴、すなわち:
Gは-OH;-NR
1H;-C(O)OH;
【0074】
;-C(O)Hを表し、好ましくはGは-NR
1H;-C(O)OH;
【0076】
;-C(O)Hであり、
L
1は-CH
2基;直接結合であり、
L
2は、
置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-C(O)H、
【0078】
-NHR
2(R
2は、水素原子;置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0080】
から選択される少なくとも1つの基で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
10、好ましくはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはメチル、エチルである)
から選択される少なくとも1つの基で置換されている、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択で含む直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、
C
3〜C
8炭素環または複素環、特に脂環式基、アリール基、好ましくはフェニル、ヘテロアリール基、好ましくはピリジンである;
0℃から天然脂肪性物質の完全分解温度の間、好ましくは周囲温度から天然脂肪性物質の完全分解温度の間、より好ましくは周囲温度〜250℃、さらに好ましくは40℃〜150℃の温度および熱またはレドックス開始剤;
紫外線の使用;
紫外線および光化学開始剤の使用
という特徴を全体的にまたは部分的に組み合わせることができる。
【0081】
有利には、本発明は、Gが-OHおよびNHR
1から選択される方法に関し、ここで、R
1は本発明により、好ましくはR
1はHを表す。この方法は紫外線下で実施する。
【0082】
好ましくは、本発明は、GはNHR
1を表す方法に関し、ここで、R
1は本発明により、好ましくはR
1はHを表す。この方法は紫外線下で実施する。
【0083】
やはり有利には、本発明は、Gが-OH、-C(O)OHから選択される方法に関し、この方法は、0℃から天然脂肪性物質の完全分解温度の間、好ましくは周囲温度から天然脂肪性物質の完全分解温度の間、より好ましくは周囲温度〜250℃、さらに好ましくは40℃〜150℃の温度で実施する。
【0084】
好ましくは、本発明は、Gは-C(O)OHを表す方法に関し、この方法は、0℃から天然脂肪性物質の完全分解温度の間、好ましくは周囲温度から天然脂肪性物質の完全分解温度の間、より好ましくは周囲温度〜250℃、さらに好ましくは40℃〜150℃の温度で実施する。
【0085】
本発明の方法は、複数の長い精製工程を必要としない利点を有する。例えば、高純度の官能化脂肪性物質を得るのに、液/液抽出または低温、減圧下での蒸留による簡単な精製で十分である。
【0086】
本発明の方法は、有利なことに、天然脂肪性物質の高い割合の、具体的には25〜100%、好ましくは50〜100%の転換率および官能化率を可能にする。
【0087】
本発明による方法の他の利点は、例えば油の特性に対して、したがって使用される官能性チオールの不飽和レベルまたは量に対して作用させることによって、天然脂肪性物質の平均官能化率の制御がもたらされることである。したがって、本発明の方法を、続いて製造して得られる生成物の使用に適応させることができる。特に、植物由来の油の多様性により、油を、所望の官能化に関連して選択できるようにする。油の各種類について、平均不飽和数は公知である。Table 1(表2)は、本発明の方法で使用できる油の例およびその不飽和数を示す。
【0089】
脂肪酸は2つの値で定義される。1つ目は鎖を形成する合計炭素数であり、2つ目はこの鎖中に存在する二重結合の数である。
16:0=パルミチン酸、18:0=ステアリン酸、20:0=アラキジン酸、22:0=ベヘン酸、18:1=オレイン酸、18:2=リノール酸、18:3=リノレン酸、18:1(12OH)=リシノール酸、22:1=エルカ酸。
【0090】
本発明は、本発明の方法で得ることができる官能化脂肪性物質にも関する。
【0091】
本発明は、式(IIa)、(IIb)または(IIc)の官能化脂肪性物質:
【0093】
(式中、
同じかまたは異なるGは-OH;-NR
1H;-C(O)OH;
【0095】
;-C(O)Hを表し、nは1または2であり、
R
1は、水素原子;置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0097】
から選択される少なくとも1つの基で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
10アルキル基であり、好ましくはR
1は水素原子であり、
L
1は- CH
2基;直接結合であり、
L
2は、
置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-C(O)H、
【0099】
、-NHR
2(R
2は水素原子;置換されていない、または-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0101】
から選択される少なくとも1つの基で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
10、好ましくはC
1〜C
5アルキル基、好ましくはメチル、エチルである)から選択される少なくとも1つの基で置換されている、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択で含む直鎖状または分岐状C
1〜C
20アルキル、好ましくはC
1〜C
12、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル;
C
3〜C
8炭素環または複素環、特に脂環式基、アリール基、好ましくはフェニル、ヘテロアリール基、好ましくはピリジンであり、
R
3は、
ヒドロキシル基(OH)、
-OX型のアルコキシ基(Xは、-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0103】
から選択される少なくとも1つの基で任意選択で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキル、好ましくはメチル、エチル、エチレングリコール、グリセロールから選択される)、
アミン基-NY'Y''(同じかまたは異なっているY'およびY''は、水素原子、-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0105】
、好ましくはメチル、エチル、エタノールアミン、ジエタノールアミン;またはエチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミンから選択される少なくとも1つの基で任意選択で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキルである)、
SZ型のチオ基(Zは、-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0107】
、好ましくはシステアミン(2-アミノエタンチオール)、チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、β-メルカプトエタノール、メルカプトコハク酸(チオリンゴ酸)、3-メルカプトプロピオン酸、1-チオールグリセロール(3-メルカプト-1,2-プロパンジオール)、システイン、4-アミノチオフェノール、6-メルカプトヘキサン酸、3-メルカプト安息香酸、チオサリチル酸、4-メルカプトフェニル酢酸、8-メルカプトオクタン酸、9-メルカプト-1-ノナノール、12-メルカプトドデカン酸、3-メルカプトブタナール、3-メルカプトヘキサナールから選択される少なくとも1つの基で任意選択で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキルから選択される)
であり、
R
4は、
酸素原子;
窒素原子
であり、
R
5は、
-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0109】
から選択される少なくとも1つの基で任意選択で置換されている直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、プロパノールであり、
lは1〜10の整数であり、
mは1〜3の整数であり、
pは0〜10の整数である)
にも関する。
【0110】
好ましくは、本発明は、同じかまたは異なるGが-NR
1H;-C(O)OH;
【0112】
;-C(O)Hを表し、R
1は上記の定義通りである式(IIa)、(IIb)または(IIc)の官能化脂肪性物質に関する。
【0113】
好ましくは、本発明は、同じかまたは異なるGが-OH、-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0115】
を表す式(IIa)、(IIb)または(IIc)の官能化脂肪性物質に関する。
【0116】
より好ましくは、本発明は、同じかまたは異なるGが-C(O)OH、-NH
2、-C(O)H、
【0118】
を表す式(IIa)、(IIb)または(IIc)の官能化脂肪性物質に関する。
【0119】
好ましくは、本発明は、nが1である式(IIa)、(IIb)または(IIc)の官能化脂肪性物質に関する。
【0120】
好ましくは、本発明は、L
2が、フェニルまたは直鎖状または分岐状C
1〜C
20、好ましくはC
1〜C
12アルキル鎖、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルを表す式(IIa)、(IIb)または(IIc)の官能化脂肪性物質に関する。
【0121】
好ましくは、本発明は、式(A)および/または(B)の化合物
【0123】
(式中、mは1〜18、特に1〜12の範囲の整数である)
【0125】
(式中、RはC
3H
6、C
4H
8、C
5H
10またはC
6H
12を表す)
を除く、本発明による式(IIa)の化合物に関する。
【0126】
好ましくは、本発明は、式(C)の化合物:
【0128】
(式中、mは1〜18、特に1〜12の整数であり、
nは2〜11の整数であり、
pは1〜10の整数であり、
qは1〜18、特に1〜13の整数である)
を除く、本発明による式(IIa)の化合物に関する。
【0129】
好ましくは、本発明は、nが1であり、Gが-OHを表し、L
1が直接結合または-CH
2-基を表し、L
2がC
1〜C
18、好ましくはC
1〜C
12アルキルを表し、R
3が式-OXのアルコキシ基(Xは末端位で-OH基で置換されたC
1〜C
18、好ましくはC
1〜C
12アルキル基である)を表し、lが1〜10の範囲の整数であり、pが1〜10の範囲の整数であり、mが1であるものを除く、本発明による式(IIa)の化合物に関する。
【0130】
好ましくは、本発明は、R
3が式-OXのアルコキシ基(Xは末端位で-OH基で置換されているC
1〜C
18、特にC
1〜C
12アルキル基を表す)を表すものを除く、本発明による式(IIa)の化合物に関する。
【0131】
好ましくは、本発明は、式(D)、(E)、(F)および/または(G)の化合物
【0133】
(式中、mは1〜18、特に1〜12の整数である);
【0135】
(式中、RはC
3H
6、C
4H
8、C
5H
10、C
6H
12を表す);
【0137】
を除く、本発明による式(IIb)の化合物に関する。
【0138】
好ましくは、本発明は、式(H)の化合物
【0140】
(式中、mは1〜18、特に1〜12の整数であり、
nは2〜11の整数であり、
pは1〜10の整数であり、
qは1〜18、特に1〜13の整数である)
を除く、本発明による式(IIb)の化合物に関する。
【0141】
好ましくは、本発明は、nが1であり、mが1であり、Gが-OHを表し、L
1が接結合または-CH
2-基であり、L
2がC
1〜C
18、特にC
1〜C
12アルキルであり、lが1〜10の整数であり、pが1〜10の整数であり、R
5がアルキルであり、R
4が酸素である化合物を除く、本発明による式(IIb)の化合物に関する。
【0142】
本発明の方法を用いて得ることができる官能化脂肪性物質または本発明の官能化脂肪性物質は反応性G基を含む。したがって、これは、重縮合によりポリマーを調製するために有利に用いることができる。
【0143】
本発明の他の対象は、
(a1)本発明の方法で官能化脂肪性物質を調製する工程、
(a2)工程(a1)で得られた官能化脂肪性物質と、イソシアネート、アルコール、カルボン酸、アミン、カルバメート、アルデヒド、エポキシから選択される少なくとも二官能性の少なくとも1つの分子との重縮合
を含む、ポリマーを調製する方法(a)に関する。
【0144】
例として、以下の組合せを挙げることができる:
【0146】
本発明の他の対象は、
(b1)本発明の方法を用いて官能化脂肪性物質を調製する工程、
(b2)本発明の方法で、G官能基が工程(b1)で調製された脂肪性物質のものと異なる、異なった第2の官能化脂肪性物質を調製する工程、次いで
(b3)2つの官能化脂肪性物質間の重縮合
を含む、ポリマーを調製する方法(b)に関する。
【0147】
例として、以下の組合せを挙げることができる:
【0149】
本発明は、ポリマーの調製のための、本発明の方法を用いて得ることができる官能化脂肪性物質または本発明の官能化脂肪性物質の使用にも関する。
【0150】
本発明によれば、ポリエステル;ポリアミド;ポリカルバメートまたはポリイソシアネート、特にポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネートから選択されるポリマーを調製することができる。
【0151】
有利には、本発明により得ることができる官能化脂肪性物質または本発明の官能化脂肪性物質の使用によって、重縮合により得られるポリマーに柔軟性を付与させることができる。
【0152】
有利には、本発明により得ることができる官能化脂肪性物質または本発明の官能化脂肪性物質の使用によって、そうしたポリマーの製造に通常使用される化合物と比べて、ポリマーの調製の際のVOC(揮発性有機化合物)の低減、さらにはその完全除去が可能になる。
【0153】
図1は市販のポリオール(Desmophen(登録商標)1150)のTGA曲線(5℃/min、10℃/minおよび20℃/min)を示す。
【0154】
図2は本発明の方法で得られたポリオールのTGA曲線(5℃/min、10℃/minおよび20℃/min)を示す。
【0155】
ここで、非限定的な例の助けを得て本発明を説明することとする。
【実施例1】
【0156】
光化学的経路による菜種油からのポリオール型の官能化脂肪性物質の合成
10mL石英管に、菜種油(2g、2.3.10
-3mol、すなわち約8.6.10
-3mol不飽和)およびβ-メルカプトエタノール(2.2g、2.8.10
-2mol)を添加する。反応媒体を、250〜450nmフィルターを備え15000mW/cm
2の強度で発光する水銀ランプからの紫外線下に置く。反応の間全体を通して強力な撹拌を続行する。5時間曝露させた後、反応媒体を酢酸エチルで希釈し、過剰β-メルカプトエタノールを塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄する。次いで有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、ロータリーエバポレーターで真空下、40℃で濃縮する。得られるポリオールは、粘性のあるオレンジ色の液体の形態である。
【0157】
ポリオールの
1H NMRスペクトルにおいて、5.40ppm(C
H=C
H)および2.00ppm(C
H2-CH=)でシグナルが存在しないことは、菜種油の二重結合が反応していることを示している。これらの消失は、メルカプトエタノールの付加に特徴的なシグナルの出現、特に硫黄の不斉α炭素(C
H-S)に属するプロトンに特徴的な2.5ppmでの多重線、1.53ppm(C
H2-CH-S)および1.40ppm(C
H2-CH
2-CH-S)での多重線の出現を伴う。トリグリセリドの構造に特徴的な5.25ppm(C
H-OCO)、4.26および4.16ppm(C
H2-OCO)、2.29ppm(C
H2-CO)、1.60ppm(C
H2-CH
2-CO)、1.26ppm(CH
2-C
H2-CH
2)、0.87ppm(C
H3-CH
2)でのシグナルが示されている。
【0158】
ポリオールのFTIRスペクトル(フーリエ変換赤外スペクトル)は、菜種油の二重結合の消失を確認させるものである。3008cm
-1(伸長CH sp2)での吸収バンドの消失および721cm
-1(cis CC変形)でのバンドの減少は菜種油の二重結合の消費を確認するものである。後者のバンドは、同じ波長数値を中心にしたCH
2吸収バンドの揺らぎの存在のため、完全には消失しない。その後にバンドの消失が続く964cm
-1での出現にも留意すべきである(トランスCC変形)。3400cm
-1での広幅バンドの出現はOH官能基の配置を確認するものである。CS結合の生成およびSH結合の消失は、600〜700cm
-1および2500〜2600cm
-1で見込まれる吸収バンドの強度が低過ぎるため、FT-IR法では見ることができない。
【0159】
脂肪性物質がアルコール基を担持するチオールで官能化されている場合、アルコール分析によりヒドロキシル指数の判定が可能である。使用する方法は、ポリオールの単位重量当たりの酸官能基数(サンプルのmg KOH/gで表して)へのアクセスを提供する。約0.5gのサンプルを正確に計量し、冷却器を備えた50mLフラスコ中で、ピリジン/無水酢酸混合物(容積で88:12)を含む10mLのアセチル化溶液と混合する。100℃で2時間反応させた後、反応媒体を周囲温度に冷却し、100mLの氷水で加水分解する。強力な撹拌下で20mLのトルエンを加え、溶液を、着色指示薬として作用するフェノールフタレインのKOH水溶液(0.5mol/L)で滴定する。3つのブランクを実行し、以下の式により:
【0160】
【数1】
【0161】
ヒドロキシル価が得られる。
【0162】
ヒドロキシル価の正確な価を計算するために、カルボン酸官能基の分析を実施する。ヒドロキシル価は酸塩基分析をもとにしており、酸官能基の存在はこの価の過小評価を意味する。この分析を、それ自体を塩酸溶液で較正したエタノールカリ液(potash solution)を用いて実施する。
I
a=2.5mg KOH/g
I
OH=187mg KOH/g
【0163】
二重結合の転換率は98.5%に達し、官能性は約f=3.94である。
【0164】
本発明の方法は紫外線下で実施すると、植物油の高い官能化率および二重結合の高い転換率を有する官能化脂肪性物質が得られる。
【実施例2】
【0165】
実施例1で得られたポリオールからのポリウレタンの合成
実施例1で合成されたポリオールを、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)の存在下でメチレンジフェニル4,4'-ジイソシアネート(MDI)と混合する。添加量を以下のTable 2(表5)に示す。混合物を2時間120℃にする。
【0166】
【表5】
【0167】
反応は定量的であり、収率は100%である。
【0168】
本発明の官能化脂肪性物質または本発明の方法で得ることができる脂肪性物質はポリマー、特にポリウレタンの合成を可能にする。
【実施例3】
【0169】
菜種油からの熱的経路によるポリオール型の官能化脂肪性物質の合成
水冷却器を備えた二口50mLフラスコに、菜種油(2g、2.3.10
-3mol)、メルカプトエタノール(3.6g、4.6.10
-2mol)、ジオキサン(0.7g、7,5.10
-3mol)およびtert-アミルペルオキシピバレート(0.25g、1.10
-3mol)を添加する。反応媒体を50℃にし、この温度で24時間保持する。合成後、生成物を蒸留減圧下(10
-2バール)、低温(50℃)で精製する。得られるポリオールは粘性のあるオレンジ色の液体である。
【0170】
ポリオールの
1H NMRスペクトルにおいて5.40ppm(C
H=C
H)および2.00ppm(C
H2-CH=)でシグナルが存在しないことは、オレイン酸の二重結合が反応していることを示している。これらの消失は、メルカプトエタノールの付加に特徴的なシグナルの出現、特に硫黄の不斉α炭素(C
H-S)に属するプロトンに特徴的な2.5ppmでの多重線、1.53ppm(C
H2-CH-S)および1.40ppm(C
H2-CH
2-CH-S)での多重線の出現を伴う。トリグリセリドの構造に特徴的な5.25ppm(C
H-OCO)、4.26および4.16ppm(C
H2-OCO)、2.29ppm(C
H2-CO)、1.60ppm(C
H2-CH
2-CO)、1.26ppm(C
H2-CH
2-CH
2)、0.87ppm(C
H3-CH
2)でのシグナルが示されている。
【0171】
3008cm
-1(伸長CH sp2)での吸収バンドの消失および721cm
-1(cis CC変形)でのバンドの減少は二重結合の消費を確認するものである。3400cm
-1での広幅バンドの出現はOH官能基の配置を確認するものである。
I
a=2.5mg KOH/g
I
OH=182mg KOH/g
【0172】
二重結合の転換率は96%に達し、官能性は約f=3.84である。
【0173】
本発明の方法は50℃で実施すると、出発植物油の高い官能化率および二重結合の高い転換率を有する官能化脂肪性物質が得られる。
【実施例4】
【0174】
オレイン酸からの光化学的経路による脂肪ジオール型官能化脂肪性物質の合成
エステル化反応を、ディーンスターク型装置を備えた100mL二口フラスコで実施する。エチレングリコール(4.4g、0.071mol)、オレイン酸(4g、0.014mol)、アセトン(8g)およびメタンスルホン酸(0.16g、1.6.10
-3mol)を添加したら、反応媒体を6時間85℃にし、溶媒を定常的に加える。合成後、溶媒を蒸留により除去し、次いで生成物を、酢酸エチル/塩化ナトリウム飽和水溶液系を用いて液液抽出により精製する。有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、次いでロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。生成物は粘性のある褐色液体の形態で得られる。
【0175】
10mL石英管に、予め合成したオレイン酸エステル(2.5g、7.6.10
-3mol)およびβ-メルカプトエタノール(1.8g、2.3.10
-2mol)を添加する。反応媒体を、250〜450nmフィルターを備え15000mW/cm
2の強度で発光する水銀ランプからの紫外線下に置く。反応の間を通して強力な撹拌を維持する。2時間曝露させた後、反応媒体を酢酸エチルで希釈し、過剰β-メルカプトエタノールを塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄する。次いで有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、ロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。ジオールは、粘性のある褐色液体の形態で得られる。
【0176】
実施する分析はポリオールの合成の場合と同じである。
【0177】
ジオールの
1H NMRスペクトルは4.20ppm(C
H2-OCO)、3.84ppm(C
H2-OH)でシグナルを示し、これはエステル化が実際に起こっていることを示している。5.40ppm(C
H=C
H)および2.00ppm(C
H2-CH=)でシグナルが存在しないことは、オレイン酸の二重結合が反応していることを示している。これらの消失は、メルカプトエタノールの付加に特徴的なシグナルの出現、特に硫黄の不斉α炭素(C
H-S)に属するプロトンに特徴的な2.5ppmでの多重線、1.51ppm(C
H2-CH-S)および1.38ppm(C
H2-CH
2-CH-S)での多重線の出現を伴う。脂肪酸の構造に特徴的な2.29ppm(C
H2-CO)、1.60ppm(C
H2-CH
2-CO)、1.26ppm(CH
2-C
H2-CH
2)、0.87ppm(C
H3-CH
2)でのシグナルが示されている。
I
a=29mg KOH/g
I
OH=259mg KOH/g
【0178】
酸官能基のエステルへの転換率は85%に達し、二重結合の転換率は99%に達し、官能性は約f=1.85である。
【0179】
本発明の方法は紫外線下で実施すると、出発脂肪酸の高い官能化率および二重結合の高い転換率を有する官能化脂肪性物質が得られる。
【実施例5】
【0180】
菜種油からの光化学的経路によるジオール型官能化脂肪性物質の合成
ディーンスターク装置を備えた50mL二口フラスコに、菜種油のメチルエステル(1.5g、5.0.10
-3mol)およびエタノールアミン(0.4g、6.3.10
-3mol)を添加する。反応媒体を100℃にし、撹拌下で15時間保持する。反応媒体を冷却し、次いで酢酸エチルに可溶化し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄する。次いで有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、ロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。生成物は、オレンジ色の固体の形態で得られる。
【0181】
10mL石英管に、予め合成した脂肪アミド(1g、3.1.10
-3mol)およびメルカプトエタノール(2.6g、3.4.10
-2mol)を添加し、軽く加熱しながら、混合物を均一化する。反応媒体を、250〜450nmフィルターを備え15000mW/cm
2の強度で発光する水銀ランプからの紫外線下に置く。反応の全期間を通して強い撹拌を維持する。5時間曝露させた後、反応媒体を酢酸エチルで希釈し、過剰メルカプトエタノールを水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄する。次いで有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、ロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。脂肪ジオールは、オレンジ色の固体の形態で得られる。
【0182】
アミド(C
H2-NHCO)のαプロトンに特徴的な3.43ppmでのシグナルは、アミド化が実際起こっていることを示している。最終生成物の
1H NMRスペクトルにおいて5.40ppm(C
H=C
H)および2.00ppm(C
H2-CH=)でシグナルが存在しないことは、二重結合が反応していることを示している。これらの消失は、メルカプトエタノールの付加に特徴的なシグナルの出現、特に硫黄の不斉α炭素(C
H-S)に属するプロトンに特徴的な2.58ppmでの多重線、ならびに1.52ppm(C
H2-CH-S)および1.40ppm(C
H2-CH
2-CH-S)での多重線の出現を伴う。生成される脂肪アミドの構造に特徴的な2.21ppm(C
H2-CO)、1.63ppm(C
H2-CH
2-CO)、1.26ppm(CH
2-C
H2-CH
2)、0.88ppm(C
H3-CH
2)でのシグナルが示されている。
I
OH=268mg KOH/g
【0183】
エステル官能基のアミドへの転換率は100%に達し、二重結合の転換率は95%に達し、官能性は約f=1.95である。
【0184】
本発明の方法は紫外線下で実施すると、出発植物油または脂肪酸の高い官能化率および二重結合の高い転換率を有する官能化脂肪性物質が得られる。
【実施例6】
【0185】
オレイン酸メチルからの光化学的経路による脂肪族ジアミン型官能化脂肪性物質の合成
アミド化を、ディーンスターク装置を備えた100mL二口フラスコ中で実施する。オレイン酸メチル(1.0g、3.4.10
-3mol)、1,3-ジアミノプロパン(0.6g、8.1.10
-3mol)を撹拌下、100℃で48時間保持する。反応媒体を冷却し、次いで酢酸エチルに可溶化し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄する。次いで有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、ロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。生成物は、淡黄色固体の形態で得られる。
【0186】
10mL石英管に、予め合成した脂肪アミド(1g、3.1.10
-3mol)、エタノール(3.7g)およびシステアミン(1.2g、1.1.10
-2mol)を添加する。反応媒体を、250〜450nmフィルターを備え15000mW/cm
2の強度で発光する水銀ランプからの紫外線下に置く。反応の全期間を通して強い撹拌を維持する。5時間曝露させた後、反応媒体を酢酸エチルで希釈し、過剰システアミンを水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、次いでロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。脂肪族ジアミンは、オレンジ色の固体の形態で得られる。
【0187】
上記した
1H NMRおよびFTIR分析に加えて、アミン分析は、アミン基を担持するチオールによる脂肪性物質の官能化の立証を可能にする。
【0188】
3.30ppm(C
H2-NHCO)、2.85ppm(C
H2-NH
2)でのシグナルの
1H NMRジアミンスペクトルの存在および出発メチルエステル(C
H3-OCO)に特徴的な3.66ppmでのシグナルの消失は、アミド化が起こっていることを示している。5.40ppm(C
H=C
H)および2.00ppm(C
H2-CH=)でシグナルが存在しないことは、出発メチルエステルの二重結合が反応していることを示している。これらの消失は、システアミンの付加に特徴的なシグナルの出現、特に硫黄の不斉α炭素(C
H-S)に属するプロトンに特徴的な2.57ppmでの多重線、1.53ppm(C
H2-CH-S)および1.39ppm(C
H2-CH
2-CH-S)での多重線の出現を伴う。2.20ppm(C
H2-CONH)、1.60ppm(C
H2-CH
2-CO)、1.26ppm(CH
2-C
H2-CH
2)、0.87ppm(C
H3-CH
2)でのシグナルは脂肪酸の構造の特徴を示している。
【0189】
アミン官能基の分析は酸塩基分析にもとづく。サンプルを、HClで酸性化した蒸留水に可溶化する。塩酸(1mol/L)を加えて溶液のpHを1まで低下させる。次いで溶液を水酸化ナトリウム溶液(0.5mol/L)で分析する。分析をpH計でフォローし、2当量の容積が検出される。次いでアミン価は以下の式:
【0190】
【数2】
【0191】
I
NH2=4.2.10
-3mol/g
で与えられる。
【0192】
エステル官能基のアミドへの転換率は95%に達し、二重結合の転換率は80%に達し、官能性は約f=1.8である。
【0193】
本発明の方法は紫外線下で実施すると、出発脂肪酸の高い官能化率および二重結合の高い転換率を有する官能化脂肪性物質が得られる。
【実施例7】
【0194】
菜種油からの熱的経路によるポリ酸型の官能化脂肪性物質の合成
冷却器を備えた100mL二口フラスコに、菜種油(2g、2.3.10
-3mol、すなわち約9.3.10
-3mol不飽和)、チオグリコール酸(1.1g、1.1.10
-2mol)および酢酸エチル(1.4g、1.6.10
-2mol)中に可溶化されたAIBN(0.2g、1.3.10
-3mol)を添加する。反応媒体を40℃にし、強力な撹拌下で48時間保持する。反応媒体を酢酸エチルで希釈し、過剰の酸を塩化ナトリウム水溶液で洗浄水のpHが中性になるまで3回洗浄する。次いで有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、ロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。ポリ酸は、粘性のあるオレンジ色の液体の形態で得られる。最終生成物の
1H NMRスペクトルにおいて5.40ppm(C
H=C
H)および2.00ppm(C
H2-CH=)でシグナルが存在しないことは、菜種油の二重結が反応していることを示している。これらの消失は、チオグリコール酸の付加に特徴的なシグナルの出現、特に硫黄の不斉α炭素(C
H-S)に属するプロトンに特徴的な2.76ppmでの多重線の出現、3.22ppm(C
H2-S)での一重線、1.53ppm(C
H2-CH-S)および1.39ppm(C
H2-CH
2-CH-S)での多重線の出現を伴う。トリグリセリドの構造に特徴的な5.27ppm(C
H-OCO)、4.25および4.16ppm(C
H2-OCO)、2.31ppm(C
H2-CO)、1.59ppm(C
H2-CH
2-CO)、1.26ppm(CH
2-C
H2-CH
2)、0.87ppm(C
H3-CH
2)でのシグナルが示されている。
I
a=145mg KOH/g
【0195】
二重結合の転換率は80%に達し、官能性は約f=3.2である。
【0196】
本発明の方法は40℃で実施すると、出発植物油の高い官能化率および二重結合の高い転換率を有する官能化脂肪性物質が得られる。
【実施例8】
【0197】
菜種油からの熱的経路による<<二酸型>>の官能化脂肪性物質の合成
冷却器を備えた100mL二口フラスコに、菜種油の鹸化生成物(1g、3.5.10
-3mol、すなわち約4.6.10
-3mol不飽和)、チオグリコール酸(1.0g、1,1.10
-2mol)および酢酸エチル(0.7g、7.9.10
-3mol)中に可溶化されたAIBN(0.1g、0.7.10
-3mol)を添加する。反応媒体を40℃にし、強力な撹拌下で48時間保持する。反応媒体を酢酸エチルで希釈し、過剰の酸を、塩化ナトリウム水溶液で洗浄水のpHが中性になるまで3回洗浄する。次いで有機相を硫酸マグネシウム型の乾燥剤で脱水し、ロータリーエバポレーター中、真空下、40℃で濃縮する。二酸は、粘性のあるオレンジ色の液体の形態で得られる。
【0198】
最終生成物の
1H NMRスペクトルにおいて5.40ppm(C
H=C
H)および2.00ppm(C
H2-CH=)でシグナルが存在しないことは、菜種油の二重結合が反応していることを示している。これらの消失は、チオグリコール酸の付加に特徴的なシグナルの出現、特に硫黄の不斉α炭素(C
H-S)に属するプロトンに特徴的な2.76ppmでの多重線の出現、ならびに3.22ppm(C
H2-S)での一重線、1.53ppm(C
H2-CH-S)および1.39ppm(C
H2-CH
2-CH-S)での多重線の出現を伴う。脂肪酸の構造に特徴的な2.31ppm(C
H2-CO)、1.59ppm(C
H2-CH
2-CO)、1.26ppm(CH
2-C
H2-CH
2)、0.87ppm(C
H3-CH
2)でのシグナルが示されている。
I
a=192mg KOH/g
【0199】
二重結合の転換率は86%に達し、官能性は約f=2.14である。
【0200】
本発明の方法は40℃で実施すると、出発植物油の高い官能化率および二重結合の高い転換率を有する官能化脂肪性物質が得られる。
【実施例9】
【0201】
実施例7および8によって得られたポリ酸からのエポキシ樹脂の合成
官能化された脂肪酸ならびに実施例7および8で官能化された菜種油を、イミダゾールの存在下で、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)と混合する。添加量をTable 3(表6)に示す。混合物を24時間105℃にする。得られる物質は柔軟性があり、光沢のある外観をしている。
【0202】
【表6】
【0203】
反応は定量的であり、収率は100%である。
【0204】
本発明の官能化脂肪性物質または本発明の方法で得ることができる脂肪性物質は、エポキシ樹脂の合成を可能にする。
【実施例10】
【0205】
市販のポリオール、および植物油を官能化することによって得られたポリオールのTGA曲線(5℃/min、10℃/minおよび20℃/min)
本発明の方法を用いて合成したポリオールおよび市販のポリオールの耐熱性を、白金皿、アルミカップを備えたTGA-Q50装置、TA Instrumentsを用いてTGA(熱的重量分析)により、一定の窒素ストリーム下、20℃〜500℃の温度勾配で分析した。各ポリオールを3つの加熱速度:5℃/min、10℃/min、20℃/minで試験した。
【0206】
図1は、市販のポリオール(Desmophen(登録商標)1150)のTGA曲線(5℃/min、10℃/minおよび20℃/min)を示す。
【0207】
図2は、本発明の方法で得たポリオールのTGA曲線(5℃/min、10℃/minおよび20℃/min)を示す。
【0208】
得られた結果は、本発明により官能化された脂肪性物質が市販のポリオールのものより高い分解温度を有することを示している。したがって、本発明のポリオールは、放出されるVOCの量を限定することができる他のポリマーの合成において使用される。