特許第6000957号(P6000957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000957
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】光学測定装置および校正方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20160923BHJP
【FI】
   G01N21/27 F
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-534726(P2013-534726)
(86)(22)【出願日】2012年9月19日
(86)【国際出願番号】JP2012073948
(87)【国際公開番号】WO2013042690
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/536,705
(32)【優先日】2011年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高岡 秀行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 遼佑
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−167773(JP,A)
【文献】 特開2008−089565(JP,A)
【文献】 特開2010−227256(JP,A)
【文献】 特表2009−537014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00,21/01
G01N 21/17−21/61
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に対して照明光を照射するとともに、前記試料で反射および/または散乱した前記照明光の戻り光を受光する測定プローブと、
前記測定プローブが受光した前記戻り光を検出する検出部と、
前記測定プローブによって前記試料と同じ屈折率を有する第1の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第1の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第1の検出強度と、前記測定プローブによって第2の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第2の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第2の検出強度との比の値を記録する記録部と、
前記測定プローブによって第の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第3の検出強度と前記比の値との積により、前記試料からの前記戻り光を補正する際に用いるバックグランド光のバックグランド強度を演算する演算部と、
を備えたことを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記測定プローブが前記試料に前記照明光を照射した際に、前記検出部が検出した前記試料からの前記戻り光の検出強度から前記バックグランド強度を減算することを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記検出部は、分光器を有し、
前記第1の検出強度、前記第2の検出強度および前記第3の検出強度は、前記分光器で分光された各波長に対して検出された値であることを特徴とする請求項2に記載の光学測定装置。
【請求項4】
前記第1の媒質は、水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記第2の媒質は、空気であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項6】
前記測定プローブは、当該光学測定装置の本体部に着脱自在であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項7】
前記試料は、生体組織であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項8】
前記試料の屈折率と前記第1の媒質の屈折率との差の絶対値は、0.1以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項9】
前記第1の検出強度は、光を吸収する光吸収部材が内面に施された容器に収容された前記第1の媒質に対して測定され、
前記第2の検出強度は、前記容器に収容された前記第2の媒質に対して測定されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項10】
試料に対して照明光を照射するとともに、前記試料で反射および/または散乱した前記照明光の戻り光を受光する測定プローブを備え、前記試料の光学測定を行う光学測定装置が実行する校正方法であって、
前記測定プローブによって前記試料と同じ屈折率を有する第1の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第1の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第1の検出強度と、前記測定プローブによって第2の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第2の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第2の検出強度との比の値と、前記測定プローブによって前記第の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第3の検出強度との積により、前記試料からの前記戻り光を補正する際に用いるバックグランド光のバックグランド強度を演算する演算ステップと、
前記試料からの前記戻り光の検出強度から前記バックグランド強度を減算する減算ステップと、
を含むことを特徴とする校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織に照明光を照射し、生体組織で反射および/または散乱した照明光の戻り光の測定値に基づいて、生体組織の性状を推定する光学測定装置および光学測定装置が実行する校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体組織に照明光を照射し、生体組織から反射または散乱された照明光の戻り光の測定値に基づいて、生体組織の性状を推定する光学測定装置が知られている。光学測定装置は、消化器等の臓器を観察する内視鏡と組み合わせて使用される。このような光学測定装置として、空間コヒーレンス長の短い低コヒーレンスの白色光を測定プローブの照明ファイバ先端から生体組織に照射し、複数の角度の散乱光の強度分布を複数の検出ファイバを用いて測定することによって、生体組織の性状を検出するLEBS(Low-Coherence Enhanced Backscattering Spectroscopy)を用いた光学測定装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0009759号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した生体組織からの照明光の戻り光の測定値には、測定プローブ内部で照明光が反射および/または散乱したバックグランド光(ノイズ)の成分、および測定プローブを生体組織に接触させて測定する際に、測定プローブの材質と生体組織との屈折率の違いにより、測定プローブと生体組織との境界面で照明光が反射したバックグランド光の成分も含まれる。このため、上述した光学測定装置は、校正用物質を測定プローブの先端に密着して、バックグランド光の成分に相当するバックグランド強度を測定し、このバックグラインド強度を用いてバックグランド光の成分を取り除く校正処理を行う。この校正用物質としては、生体組織の屈折率に近い水等の液体であることが求められる。
【0005】
しかしながら、上述した光学測定装置は、測定毎にバックグラインド強度を測定し、このバックグランド強度を用いて校正処理を行わなければならず、煩雑な作業がユーザの負担となっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容易に校正処理を行うことができる光学測定装置および校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる光学測定装置は、試料に対して照明光を照射するとともに、前記試料で反射および/または散乱した前記照明光の戻り光を受光する測定プローブと、前記測定プローブが受光した前記戻り光を検出する検出部と、前記測定プローブによって前記試料と同じ屈折率を有する第1の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第1の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第1の検出強度と、前記測定プローブによって第2の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第2の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第2の検出強度との比の値を記録する記録部と、前記測定プローブによって前記第2の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第2の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第3の検出強度と前記比の値との積により、前記試料からの前記戻り光を補正する際に用いるバックグランド光のバックグランド強度を演算する演算部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記演算部は、前記測定プローブが前記試料に前記照明光を照射した際に、前記検出部が検出した前記試料からの前記戻り光の検出強度から前記バックグランド強度を減算することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記検出部は、分光器を有し、前記第1の検出強度、前記第2の検出強度および前記第3の検出強度は、前記分光器で分光された各波長に対して検出された値であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記第1の媒質は、水であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記第2の媒質は、空気であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記測定プローブは、当該光学測定装置の本体部に着脱自在であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記試料は、生体組織であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記試料の屈折率と前記第1の媒質の屈折率との差の絶対値は、0.1以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる光学測定装置は、上記発明において、前記第1の検出強度は、光を吸収する光吸収部材が内面に施された容器に収容された前記第1の媒質に対して測定され、前記第2の検出強度は、前記容器に収容された前記第2の媒質に対して測定されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる校正方法は、試料に対して照明光を照射するとともに、前記試料で反射および/または散乱した前記照明光の戻り光を受光する測定プローブを備え、前記試料の光学測定を行う光学測定装置が実行する校正方法であって、前記測定プローブによって前記試料と同じ屈折率を有する第1の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第1の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第1の検出強度と、前記測定プローブによって第2の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第2の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第2の検出強度との比の値と、前記測定プローブによって前記第2の媒質に前記照明光を照射した際に検出される前記戻り光の強度であって、前記第2の媒質からの前記戻り光を含まない状態で検出される強度である第3の検出強度との積により、前記試料からの前記戻り光を補正する際に用いるバックグランド光のバックグランド強度を演算する演算ステップと、前記試料からの前記戻り光の検出強度から前記バックグランド強度を減算する減算ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、演算部が第3の検出強度と記録部が記録する第1の検出強度と第2の検出強度との比の値との積により、試料からの照明光の戻り光を補正する際に用いるバックグランド光のバックグランド強度を演算する。これにより、生体組織の測定時に、水や液体を用いたバックグラウンド光の測定を省略することができるので、測定に伴う校正処理の作業を容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置の測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
図3図3は、図1の矢視A方向からの正面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置を内視鏡システムで使用する際の状況を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置が校正処理として行う第1の測定処理を模式的に示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置が校正処理として行う第2の測定処理を模式的に示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置が試料の測定前に校正処理として行う第3の測定処理を模式的に示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置が行う試料の測定処理を模式的に示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置の測定プローブに入射する光の入射光強度と信号強度との関係を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態2にかかる光学測定装置の構成を示すブロック図である。
図11図11は、本発明の実施の形態3にかかる光学測定装置の構成を示すブロック図である。
図12図12は、本発明の実施の形態3にかかる光学測定装置の測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
図13図13は、本発明の実施の形態3にかかる光学測定装置が試料を測定した際の測定スペクトルとバックグランド光のスペクトルとの関係を示す図である。
図14図14は、本発明のその他の実施の形態にかかる光学測定装置が行う構成処理としての第3の測定処理を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明にかかる光学測定装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。また、図面は、模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0021】
図1に示す光学測定装置1は、散乱体である生体組織等の試料S1に対して光学測定を行って試料S1の性状(特性)を検出する本体部2と、本体部2に対して着脱自在であり、被検体内に挿入されるディスポーザブル型の測定プローブ3と、を備える。
【0022】
まず、本体部2について説明する。本体部2は、電源20と、光源部21と、コネクタ部22と、検出部23と、入力部24と、出力部25と、記録部26と、制御部27と、を備える。電源20は、本体部2の各部に電力を供給する。
【0023】
光源部21は、コネクタ部22を介して試料S1へ照射するインコヒーレント光の照明光を測定プローブ3へ出射する。光源部21は、白色LED(Light Emitting Diode)、キセノンランプ、タングステンランプおよびハロゲンランプのようなインコヒーレント光源と、複数のレンズとを用いて実現される。このようなレンズとしては、たとえば集光レンズやコリメートレンズ等を挙げることができる。光源部21は、所定の波長帯域に含まれる波長成分を有する照明光を出射する。
【0024】
コネクタ部22は、測定プローブ3が着脱自在に接続される。コネクタ部22は、光源部21が出射した照明光を測定プローブ3へ伝播するとともに、測定プローブ3から入射した光を検出部23へ伝播する。
【0025】
検出部23は、測定プローブ3から照射された照明光が試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光を検出し、この検出結果を制御部27へ出力する。具体的には、検出部23は、測定プローブ3から入射された散乱光のスペクトル成分および強度分布を検出し、この検出結果を制御部27へ出力する。検出部23は、分光測定器または受光センサ等を用いて実現される。
【0026】
入力部24は、本体部2の起動を指示する指示信号、本体部2による試料S1の測定の開始を指示する指示信号およびキャリブレーション処理を指示する指示信号等の入力を受け付けて制御部27へ出力する。入力部24は、プッシュ式のスイッチやタッチパネル等を用いて実現される。
【0027】
出力部25は、制御部27の制御のもと、本体部2における各種情報、たとえば試料S1の測定結果を出力する。出力部25は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等の表示ディスプレイおよびスピーカ等を用いて実現される。
【0028】
記録部26は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ等を用いて実現され、本体部2を動作させるための各種プログラムおよび光学測定処理に使用される各種データや各種パラ-メタ等を記録する。また、記録部26は、本体部2による試料S1の測定結果を記録する。さらに、記録部26は、バックグランド情報記録部261を有する。
【0029】
バックグランド情報記録部261は、測定プローブ3によって生体組織と同じ屈折率を有する第1の媒質に照明光を照射した際に検出部23によって検出される戻り光の強度であって、第1の媒質からの照明光の戻り光を含まない状態で検出される強度である第1の検出強度と、測定プローブ3によって第2の媒質に照明光を照射した際に検出部23によって検出される戻り光の強度であって、第2の媒質からの照明光の戻り光を含まない状態で検出される強度である第2の検出強度との比の値を記録する。ここで、第1の媒質とは、水、エタノールまたはシリコーンオイルである。また、第2の媒質は、空気である。さらに、比の値とは、第1の検出強度に対して第2の検出強度で除算した値である。
【0030】
制御部27は、本体部2の各部に対応する指示情報やデータの転送等を行うことによって、本体部2を統括的に制御する。制御部27は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。制御部27は、演算部271を有する。
【0031】
演算部271は、測定プローブ3によって第の媒質に照明光を照射した際に検出部23によって検出される戻り光の強度であって、第の媒質からの照明光の戻り光を含まない状態で検出される強度である第3の検出強度とバックグランド情報記録部261が記録する第1の検出強度と第2の検出強度との比の値との積により、試料S1からの照明光の戻り光を補正する際に用いるバックグランド光の強度を演算する。また、演算部271は、測定プローブ3が試料S1に照明光を照射した際に、検出部23が検出した試料S1からの照明光の戻り光の検出強度からバックグランド光のバックグランド強度(以下、「バックグランド強度」という)を減算する。
【0032】
つぎに、測定プローブ3について説明する。図2は、測定プローブ3の先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。図3は、図1の矢視A方向からの正面図である。
【0033】
図1図3に示す測定プローブ3は、照明ファイバ31と、検出ファイバ32、ファイバ保持部33と、ロッドレンズ34(光学素子)と、を備える。
【0034】
照明ファイバ31は、光ファイバを用いて実現され、コネクタ部22を介して光源部21から入射された照明光を、ロッドレンズ34を介して試料S1に照射する。
【0035】
検出ファイバ32は、光ファイバを用いて実現され、ロッドレンズ34を介して試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光を検出(受光)して検出部23へ伝播する。
【0036】
ファイバ保持部33は、照明ファイバ31および検出ファイバ32それぞれの先端を一直線状に並べて保持する。具体的には、ファイバ保持部33は、照明ファイバ31および検出ファイバ32の光軸が互いに平行になるように保持する。ファイバ保持部33は、ガラス、樹脂または金属等を用いて実現される。
【0037】
ロッドレンズ34は、ファイバ保持部33の先端に設けられる。ロッドレンズ34は、所定の透過性を有するガラスやプラスチック等を用いて実現され、照明ファイバ31および検出ファイバ32それぞれの先端と試料S1との距離が一定となるように円柱状をなす。
【0038】
以上のように構成された光学測定装置1は、図4に示すように、内視鏡システム100の内視鏡装置101(内視鏡スコープ)に設けられた処置具チャンネル101aを介して測定プローブ3が被検体内に挿入され、照明ファイバ31が試料S1に照明光を照射し、検出ファイバ32が試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光を検出して検出部23に伝播する。その後、演算部271は、検出部23が検出した検出結果とバックグランド情報記録部261が記録するバックグランド情報とに基づいて、試料S1の性状の特性値を演算する。
【0039】
つぎに、光学測定装置1の校正処理を含む演算処理について説明する。図5は、光学測定装置1が校正処理として行う第1の測定処理を模式的に示す図である。図6は、光学測定装置1が校正処理として行う第2の測定処理を模式的に示す図である。図7は、光学測定装置1が試料S1の測定前に校正処理として行う第3の測定処理を模式的に示す図である。図8は、光学測定装置1が行う試料S1の測定処理を模式的に示す図である。
【0040】
まず、第1の測定処理について説明する。図5に示すように、光学測定装置1は、試料S1に近い屈折率の第1の媒質W1が収容された容器110に測定プローブ3の先端を挿入する第1の測定処理を行う。ここで、生体の細胞の屈折率は、可視域の波長において略1.35〜1.38である(たとえば、Phys.Med.Biol.41,369 (1996)、またはOpt.Lett.31,2759 (2006)を参照)。第1の媒質W1は、散乱を起こさない透明物質である。具体的には、光学測定装置1が試料S1として生体組織を測定する場合、水が用いられる。ここで、水の屈折率は、略1.33である。なお、第1の媒質W1として、エタノール(屈折率略1.36)またはシリコーンオイル(屈折率略1.41)等を用いてもよい。
【0041】
容器110は、光を反射しない部材または光源部21が出射する光の波長を吸収する光吸収部材が内面に施されている。具体的には、容器110は、内面に黒塗りが施されている。また、容器110の挿入口110aの径は、測定プローブ3の径と略同じ大きさである。
【0042】
これにより、照明ファイバ31が照射した照明光は、容器110内で吸収され、検出ファイバ32に入射しない。さらに、容器110の外部から光が入射することもない。この結果、検出部23は、検出ファイバ32の内部で発生したバックグランド光を検出することができる。検出部23は、検出した信号強度a(第1の検出強度a)を記録部26のバックグランド情報記録部261に出力する。
【0043】
つぎに、第2の測定処理を説明する。図6に示すように、光学測定装置1は、第2の媒質W2が収容された容器111に測定プローブ3の先端を挿入する第2の測定処理を行う。第2の媒質W2は、空気である。なお、第2の媒質W2として、窒素等を用いてもよい。
【0044】
容器111は、光を反射しない部材または光源部21が出射する光の波長を吸収する吸収部材が内面に施されている。具体的には、容器111は、内面に黒塗りが施されている。また、容器111の挿入口111aの径は、測定プローブ3の径と略同じ大きさである。なお、容器111は、容器110と同様のものを用いてもよい。
【0045】
これにより、照明ファイバ31が照射した照明光は、容器111で吸収され、検出ファイバ32に入射しない。さらに、容器111の外部から光が入射することもない。この結果、検出部23は、検出ファイバ32の内部で発生したバックグランド光を検出することができる。検出部23は、検出した信号強度b(第2の検出強度b)を記録部26のバックグランド情報記録部261に出力する。また、光学測定装置1が行う第2の測定処理は、第1の測定処理を行ってから所定の時間内に行うことが望ましい。これにより、光源部21が出射する照明光の強度変動等がなく、同じ強度の光で第1の測定処理と第2の測定処理とをほぼ同じ条件で行うことができる。なお、光学測定装置1は、第1の測定処理と第2の測定処理とを1度測定しておけばよい。このため、光学測定装置1は、出荷時に第1の測定処理と第2の測定処理とを行えばよい。
【0046】
つぎに、第3の測定処理について説明する。図7に示すように、光学測定装置1は、試料S1の前に、第の媒質Wが収容された容器11に測定プローブ3の先端を挿入し、第の媒質Wを測定する第3の測定処理を実行する。この場合、検出部23は、検出した信号強度c(第3の検出強度c)を記録部26のバックグランド情報記録部261に出力する。なお、第3の測定処理を行う場合、第3の測定処理に比して光源部21の光量が変化していてもよい。
【0047】
つぎに、試料S1の測定処理について説明する。図8に示すように、光学測定装置1は、測定プローブ3の先端を試料S1に接触させて測定を行う。この場合、検出部23は、照明ファイバ31で照射された照明光であって、試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光の強度Iを検出する。戻り光の強度Iには、測定プローブ3内で発生したバックグランド強度Bが含まれる。このため、演算部271は、以下の式(1)によって、試料S1のみからの照明光の戻り光Sを演算する。
S=I−B ・・・(1)
なお、バックグランド強度Bは、検出部23が発生源となる電気的ノイズ等が含まれないものとする。
【0048】
ここで、バックグランド強度Bは、バックグランド情報記録部261で記録された第1の測定処理の信号強度aおよび第2の測定処理の信号強度bおよび第3の測定処理の信号強度cを用いて以下の式(2)によって表される。
B=(a/b)×c ・・・(2)
式(2)の関係式について、図9を用いて詳細に説明する。
【0049】
図9は、測定プローブ3に入射する光の入射光強度と信号強度との関係を示す図である。また、図9において、横軸iが測定プローブ3に入射する光の入射光強度を示し、縦軸Pが信号強度を示す。さらに、直線L1は、測定プローブ3を第1の媒質W1に接触させた際に測定される信号強度を示し、直線L2は、測定プローブ3を第2の媒質W2に接触させた際に測定される信号強度を示す。直線L1は、P=C1(i)、直線L2は、P=C2(i)で表されるものとする。
【0050】
図9に示すように、第1の測定処理および第2の測定処理それぞれにおいて測定プローブ3に入射する光の入射光強度i0とした場合、直線Lおよび直線Lより、以下の式(3)および式(4)が成り立つ。
P=C1(i0)=a ・・・(3)
P=C2(i0)=b ・・・(4)
【0051】
また、第3の測定処理において測定プローブ3に入射する光の入射光強度をixとした場合、以下の式(5)が成り立つ。
P=C2(ix)=c ・・・(5)
【0052】
また、試料S1と第1の媒質W1は、同じ屈折率を有するので、光の入射強度がixの場合の試料S1の測定処理におけるバックグランド強度Bは、
B=C1(ix) ・・・(6)
で表される。ここで、直線L2および直線L1は、C2(0)=0およびC1(0)=0を満たすので、式(6)は、
B=(C1(i0)/C2(i0))×C2(ix
=(a/b)×c ・・・(7)
となる。
【0053】
演算部271は、式(7)にしたがって、第1の測定処理で得られた第1の検出強度aと、第2の測定処理で得られた第2の検出強度bと、第3の測定処理で得られた第3の検出強度cとを用いて、バックグランド強度Bを演算する。
【0054】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、第3の検出強度とバックグランド情報記録部261が記録する第1の検出強度と第2の検出強度との比の値との積により、試料S1からの照明光の戻り光を補正する際に用いるバックグランド強度を演算する。これにより、生体組織の測定時に、水や液体を用いたバックグラウンド光の測定を省略することで、測定に伴う校正処理の作業を容易にすることができる。即ち、生体組織の反射・散乱測定において、測定プローブを生体組織に接触した状態でバックグラウンド光のバックグランド強度を容易に取得することができる。
【0055】
また、本発明の実施の形態1によれば、測定プローブ3が試料S1に照明光を照射した際に、演算部271が検出部23によって検出された試料S1からの照明光の戻り光の検出強度からバックグランド強度を減算するので、試料S1の正確な測定値を得ることができる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態1では、測定プローブに複数の検出ファイバを設けてもよい。この場合、本体部2に複数の検出ファイバそれぞれに対応する複数の検出部を設ければよい。
【0057】
また、本発明の実施の形態1では、測定プローブ3が本体部2に対して着脱自在であったが、測定プローブと本体部とを一体的に形成してもよい。
【0058】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、本体部に装着される測定プローブ毎に校正処理を実行する。このため、以下においては、本実施の形態2にかかる光学測定装置の構成を説明後、光学測定装置が実行する校正処理を含む演算処理について説明する。なお、上述した実施の形態1にかかる光学測定装置と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0059】
図10は、本発明の実施の形態2にかかる光学測定装置の構成を示すブロック図である。図10に示す光学測定装置10は、本体部4と、測定プローブ5と、を備える。
【0060】
まず、本体部4について説明する。本体部4は、電源20と、光源部21と、コネクタ部22と、検出部23と、入力部24と、出力部25と、記録部26と、制御部27と、読取部41と、を備える。
【0061】
読取部41は、後述する測定プローブ5の基端側に設けられた識別情報記録部51から測定プローブ5を識別する固有番号(ID情報)、バックグランド情報および測定可能な試料S1や適応部位を示す観察情報を含む識別情報を読み取って、この読み取った識別情報を記録部26へ出力する。読取部41は、ICリーダライタやバーコードリーダ等を用いて実現される。
【0062】
つぎに、測定プローブ5について説明する。測定プローブ5は、照明ファイバ31と、検出ファイバ32と、ファイバ保持部33と、ロッドレンズ34と、識別情報記録部51と、を備える。
【0063】
識別情報記録部51は、測定プローブ5を識別する固有番号(ID情報)、バックグランド情報および測定可能な試料S1や適応部位を示す観察情報を含む識別情報を記録する。識別情報記録部51は、ICチップやバーコード等を用いて実現される。バックグランド情報としては、あらかじめ実施されている第1の測定処理によって検出された第1の検出強度、および第2の測定処理によって検出された第2の検出強度それぞれの値とすることができる。あるいは、それらの比の値とすることができる。
【0064】
このように構成された光学測定装置10は、異なる測定プローブ5が本体部4に接続される毎に、演算部271が読取部41によって読み取られた測定プローブ5の識別情報に基づいて、上述した校正処理を行うことによって、バックグランド光を補正した試料S1の測定値を演算する。
【0065】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、試料S1の測定時にバックグランド光の測定を省略することができるので、試料S1の測定に伴う校正処理を容易に行うことができる。
【0066】
なお、本発明の実施の形態2では、測定プローブ5にバックグランド光に関するバックグランド情報を書き込んだシール部材を貼付し、ユーザが貼付されたシール部材のバックグランド情報を入力部24によって入力してもよい。
【0067】
また、本発明の実施の形態2では、測定プローブ5毎に第1の測定処理および第2の測定処理を行い、第1の検出強度aおよび第2の検出強度bをバックグランド情報記録部261に記録し、試料S1を測定する際に、入力部24を介して使用する測定プローブ5のバックグランド情報を使用するようにしてもよい。
【0068】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3は、測定対象物のスペクトルを測定することによって、測定対象物の性状を推定する。このため、以下においては、本実施の形態3にかかる光学測定装置の構成を説明後、光学測定装置が実行する校正処理を含む演算処理について説明する。なお、上述した実施の形態1にかかる光学測定装置と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0069】
図11は、本発明の実施の形態3にかかる光学測定装置の構成を示すブロック図である。図11に示す光学測定装置11は、散乱体である生体組織等の試料S1に対して光学測定を行って試料S1の性状を検出する本体部6と、本体部6に対して着脱自在であり、被検体内に挿入されるディスポーザブル型の測定プローブ7と、を備える。
【0070】
まず、本体部6について説明する。本体部6は、電源20と、光源部21と、コネクタ部22と、入力部24と、出力部25と、制御部27と、第1分光器61と、第2分光器62と、第3分光器63と、記録部64と、を備える。
【0071】
第1分光器61は、測定プローブ7から照射された照明光が試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光のスペクトルを検出し、この検出結果を制御部27へ出力する。
【0072】
第2分光器62は、第1分光器61と同一の構成によって実現され、測定プローブ7から照射された照明光が試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光のスペクトルを検出し、この検出結果を制御部27へ出力する。
【0073】
第3分光器63は、第1分光器61と同一の構成によって実現され、測定プローブ7から照射された照明光が試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光のスペクトルを検出し、この検出結果を制御部27へ出力する。
【0074】
記録部64は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ等を用いて実現され、本体部6を動作させるための各種プログラムおよび光学測定処理に使用される各種データや各種パラ-メタ等を記録する。また、記録部64は、本体部6による試料S1の測定結果を記録する。さらに、記録部64は、バックグランド情報記録部641を有する。
【0075】
バックグランド情報記録部641は、測定プローブ7によって生体組織と同じ屈折率を有する第1の媒質W1に照明光を照射した際に第1の媒質W1からの照明光の戻り光を含まない各波長に対して検出された第1のスペクトルa(λ)と、測定プローブ7によって第2の媒質W2に照明光を照射した際に第2の媒質W2からの照明光の戻り光を含まない各波長に対して検出された第2のスペクトルb(λ)のそれぞれの値、あるいはそれらの比の値を記録する。
【0076】
つぎに、測定プローブ7について説明する。図12は、測定プローブ7の先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
【0077】
図11および図12に示す測定プローブ7は、照明ファイバ31と、ファイバ保持部33と、ロッドレンズ34と、検出ファイバ71(第1受光チャンネルC1)と、第2検出ファイバ72(第2受光チャンネルC2)と、第3検出ファイバ73(第3受光チャンネルC3)と、を備える。
【0078】
第1検出ファイバ71は、光ファイバを用いて実現され、ロッドレンズ34を介して試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光を検出(受光)して第1分光器61へ伝播する。
【0079】
第2検出ファイバ72は、光ファイバを用いて実現され、ロッドレンズ34を介して試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光を検出して第2分光器62へ伝播する。
【0080】
第3検出ファイバ73は、光ファイバを用いて実現され、ロッドレンズ34を介して試料S1で反射および/または散乱した照明光の戻り光を検出して第3分光器63へ伝播する。
【0081】
以上のように構成された光学測定装置11の演算部271が実行する試料S1の演算処理について説明する。図13は、光学測定装置11が試料S1を測定した際の測定スペクトルとバックグランド光の測定スペクトルとの関係を示す図である。
【0082】
まず、光学測定装置11は、試料S1の測定前に、上述した第3の測定処理を行うことによって第3のスペクトルc(λ)を測定する。この場合、演算部271は、以下の式(8)によって第1検出ファイバ71、第2検出ファイバ72および第3検出ファイバ73それぞれのバックグランド光のスペクトルB(λ)を演算する。
B(λ)=((a(λ)/b(λ))×c(λ) ・・・(8)
【0083】
続いて、光学測定装置11は、試料S1のスペクトルI(λ)を測定する。この場合、演算部271は、以下の式(9)によって、試料S1のスペクトルI(λ)からバックグランド光のスペクトルB(λ)を減算することによって、試料S1のスペクトルS(λ)を算出する(図13を参照)。
S(λ)=I(λ)−B(λ)
=I(λ)−(a(λ)/b(λ))×c(λ) ・・・(9)
ここで、2番目の符号では、式(8)を代入した。
【0084】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、試料S1の測定時に、水や液体を用いたバックグランド光のスペクトルの測定を省略することができるので、測定に伴う校正処理を容易にすることができる。
【0085】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態では、第3の測定処理を処置具チャンネル(内視鏡鉗子口内部)で行ってもよい。具体的には、図14に示すように、内視鏡101の処置具チャンネル101aを、光を吸収する空間として使用することで、第の媒質Wを収容する容器11を設けず、第3の測定処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
1,10,11 光学測定装置
2,4,6 本体部
3,5,7 測定プローブ
20 電源
21 光源部
22 コネクタ部
23 検出部
24 入力部
25 出力部
26,64 記録部
27 制御部
31 照明ファイバ
32 検出ファイバ
33 ファイバ保持部
34 ロッドレンズ
41 読取部
51 識別情報記録部
61 第1分光器
62 第2分光器
63 第3分光器
71 第1検出ファイバ
72 第2検出ファイバ
73 第3検出ファイバ
261,641 バックグランド情報記録部
271 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14