特許第6000966号(P6000966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニバーサル ディスプレイ コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許6000966-リン光物質 図000092
  • 特許6000966-リン光物質 図000093
  • 特許6000966-リン光物質 図000094
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000966
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】リン光物質
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20160923BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160923BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   C07F15/00 ECSP
   H05B33/14 B
   C09K11/06 660
   C09K11/06 690
【請求項の数】20
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2013-538762(P2013-538762)
(86)(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公表番号】特表2013-543864(P2013-543864A)
(43)【公表日】2013年12月9日
(86)【国際出願番号】US2011057518
(87)【国際公開番号】WO2012064499
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】12/944,437
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】バート・アレイン
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド・クウォン
【審査官】 石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−506361(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第100516079(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0105870(KR,A)
【文献】 特開2009−137941(JP,A)
【文献】 特開2009−185017(JP,A)
【文献】 特開2009−173630(JP,A)
【文献】 特開2009−209142(JP,A)
【文献】 特開2009−275030(JP,A)
【文献】 国際公開第02/044189(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1696137(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0114708(KR,A)
【文献】 特表2008−525366(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/033550(WO,A1)
【文献】 Chemistry Letters,2005年,Vol.34, No.10,p.1378-1379
【文献】 Synthetic Metals,2005年,Vol.155,p.539-548
【文献】 Inorganica Chimica Acta,2006年,Vol.359,p.441-450
【文献】 Synthetic Metals,2008年,Vol.158,p.120-124
【文献】 Angewandte Chemie, International Edition,2007年,Vol.46,p.1149-1151
【文献】 Molecular Crystals and Liquid Crystals,2009年,Vol.509,p.292-299
【文献】 Organometallics,2006年,Vol.25,p.4514-4519
【文献】 Inorganic Chemistry,2005年,Vol.44,p.5677-5685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C09K 11/06
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式のいずれかを有する化合物。
【化1】
(式中、
は、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択され;
それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択され;
少なくとも2つのR置換基が、アルコキシであり;かつ、
式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。)
【請求項2】
及びRのうち少なくとも1つが、カルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐した分岐アルキル部分を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRの少なくとも1つがイソブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
下記式:
【化2】
(式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。)
のいずれかで表される化合物であって、式II及びIII中のフェニルキノリン及びフェニルイソキノリン配位子が以下のものからなる群から選択される化合物。
【化3】
【化4】
【請求項6】
以下のものからなる群から選択される化合物。
【化5】
【請求項7】
650nm〜700nmのピーク波長をもつ発光スペクトルを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
有機発光デバイスを含み、さらには、
アノード;
カソード;
前記アノードと前記カソードの間に配置された有機層を含み、前記有機層が下記式:
【化6】
(式中、
は、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択され;
それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択され;
少なくとも2つのR置換基が、アルコキシであり;かつ、
式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。)
のいずれかを有する化合物を含む、第一のデバイス。
【請求項9】
及びRのうちの少なくとも一つが、カルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐した分岐アルキル部分を含む、請求項8に記載の第一のデバイス。
【請求項10】
及びRのうちの少なくとも一つがイソブチルである、請求項8に記載の第一のデバイス。
【請求項11】
が水素である、請求項8に記載の第一のデバイス。
【請求項12】
有機発光デバイスを含み、さらには、
アノード;
カソード;
前記アノードと前記カソードの間に配置された有機層を含み、前記有機層が下記式:
【化7】
(式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。)
のいずれかで表され、式II及びIII中のフェニルキノリン及びフェニルイソキノリン配位子が以下のものからなる群から選択される化合物を含む、第一のデバイス。
【化8】
【化9】
【請求項13】
有機発光デバイスを含み、さらには、
アノード;
カソード;
前記アノードと前記カソードの間に配置された有機層を含み、前記有機層が以下のものからなる群から選択される化合物を含む、第一のデバイス。
【化10】
【請求項14】
前記有機層が発光層であり、式II又は式IIIを有する化合物が発光ドーパントである、請求項8に記載の第一のデバイス。
【請求項15】
前記有機層がさらにホストを含む、請求項14に記載の第一のデバイス。
【請求項16】
前記ホストが金属8−ヒドロキシキノラートである、請求項15に記載の第一のデバイス。
【請求項17】
前記ホストが、
【化11】
である、請求項15に記載の第一のデバイス。
【請求項18】
消費者製品である、請求項8に記載の第一のデバイス。
【請求項19】
有機発光デバイスである、請求項8に記載の第一のデバイス。
【請求項20】
前記化合物が、650nm〜700nmのピーク波長をもつ発光スペクトルを有する、請求項8に記載の第一のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2010年11月11日に出願した米国出願第12/944,437号に対する優先権を主張し、その開示を、その全体を参照により本明細書に明示して援用する。
【0002】
特許請求の範囲に記載した発明は、共同の大学・企業研究契約に関わる1つ以上の以下の団体:ミシガン大学評議員会、プリンストン大学、サザン・カリフォルニア大学、及びユニバーサル・ディスプレイ・コーポレーションにより、1つ以上の団体によって、1つ以上の団体のために、及び/又は1つ以上の団体と関係して行われた。上記契約は、特許請求の範囲に記載された発明がなされた日及びそれ以前に発効しており、特許請求の範囲に記載された発明は、前記契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。
【0003】
本発明は有機発光デバイス(OLED)に関する。より詳細には、本発明は、キノリン又はイソキノリン部分とフェニル部分とを有し(例えば、(iso)pq配位子)、さらに電子供与性基で置換されている配位子を含むリン光物質に関する。これらの物質は、向上した特性を有するデバイスをもたらしうる。
【背景技術】
【0004】
有機物質を用いるオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの理由によりますます望ましいものとなってきている。そのようなデバイスを作るために用いられる多くの物質はかなり安価であり、そのため有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対してコスト上の優位性について潜在力をもっている。加えて、有機物質固有の特性、例えばそれらの柔軟性は、それらを柔軟な基材上への製作などの特定用途に非常に適したものにしうる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例には、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光検出器が含まれる。OLEDについては、有機物質は、従来の物質に対して性能上優位性をもちうる。例えば、有機発光層が発光する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調節することができる。
【0005】
OLEDは、そのデバイスを横切って電圧を印加した場合に光を発する薄い有機膜(有機フィルム)を用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及びバックライトなどの用途で用いるためのますます興味ある技術となってきている。いくつかのOLEDの物質と構成が、米国特許第5,844,363号明細書、同6,303,238号明細書、及び同5,707,745号明細書に記載されており、これらの明細書はその全体を参照により本明細書に援用する。
【0006】
燐光発光分子の一つの用途はフルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイのための工業規格は、「飽和」色といわれる特定の色を発光するように適合された画素(ピクセル)を要求している。特に、これらの規格は、飽和の赤、緑、及び青の画素を必要としている。色はCIE座標を用いて測定でき、CIE座標は当分野で周知である。
【0007】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)と表されるトリス(2-フェニルピリジン)イリジウムであり、これは以下の構造を有する。
【化1】
【0008】
この式及び本明細書の後の図で、窒素から金属(ここではIr)への供与結合は直線で表す。
【0009】
本明細書で用いるように、「有機」の用語は、有機オプトエレクトロニクスデバイスを製作するために用いることができるポリマー物質並びに小分子有機物質を包含する。「小分子(small molecule)」とは、ポリマーではない任意の有機物質をいい、「小分子」は、実際は非常に大きくてもよい。小分子はいくつかの状況では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、分子を「小分子」の群から排除しない。小分子は、例えばポリマー主鎖上のペンダント基として、あるいは主鎖の一部として、ポリマー中に組み込まれてもよい。小分子は、コア残基上に作り上げられた一連の化学的殻からなるデンドリマーのコア残基として働くこともできる。デンドリマーのコア残基は、蛍光性又は燐光性小分子発光体であることができる。デンドリマーは「小分子」であることができ、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは小分子であると考えられる。
【0010】
本明細書で用いるように「トップ」は、基材から最も遠くを意味する一方で、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。第一の層が第二の層の「上に配置される」と記載した場合は、第一の層は基材から、より遠くに配置される。第一の層が第二の層と「接触している」と特定されていない限り、第一の層と第二の層との間に別な層があってよい。例えば、カソードとアノードとの間に様々な有機層があったとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載できる。
【0011】
本明細書で用いるように、「溶液処理(加工)可能」とは、溶液もしくは懸濁液の形態で、液体媒体中に溶解され、分散され、又は液体媒体中で輸送され、及び/又は液体媒体から堆積されうることを意味する。
【0012】
配位子が発光物質の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合は、その配位子は「光活性」ということができる。配位子が発光物質の光活性特性に寄与していないと考えられる場合は、配位子は「補助」ということができるが、補助配位子は光活性配位子の特性を変えうる。
【0013】
本明細書で用いるように、かつ当業者によって一般に理解されているように、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)のエネルギー準位は、その第一のエネルギー準位が真空のエネルギー準位により近い場合には、第二のHOMO又はLUMOよりも「大きい」あるいは「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつIPに対応する(より小さな負のIP)。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつ電子親和力(EA)に対応する(より小さな負のEA)。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、物質のLUMOエネルギー準位はその同じ物質のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりも、そのような図のトップのより近くに現れる。
【0014】
本明細書で用いるように、また当業者によって一般に理解されるように、第一の仕事関数は、その第一の仕事関数がより高い絶対値を有する場合には、第二の仕事関数よりも「大きい」あるいは「高い」。仕事関数は通常、真空準位に対して負の値として測定されるので、このことは「より高い」仕事関数は、より負であることを意味する。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、「より高い」仕事関数は真空準位から下向きの方向へさらに離れて図示される。したがって、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に従う。
【0015】
OLEDについてのさらなる詳細及び上述した定義は、米国特許第7,279,704号明細書に見ることができ、その全体を参照により本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998
【非特許文献2】Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
[本発明のまとめ]
下記式:
【化2】
を有する化合物を提供する。
【0019】
Mは40より大きな原子量を有する金属である。Lは補助配位子である。mは金属Mの酸化状態である。好ましくは、MはIrである。nは少なくとも1である。Aは、縮合した炭素環又は縮合したヘテロ環である。R及びRのそれぞれは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。少なくとも2つのR置換基が、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、及びアリールアミノからなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、Lはモノアニオン性二座配位子である。さらに好ましくは、Lは、
【化3】
であり、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。さらに好ましくは、R及びRのうち少なくとも1つが、そのカルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐した分岐アルキル部分を含む。一つの側面では、R及びRの少なくとも1つがイソブチルである。別の側面では、Rは水素である。
【0021】
一つの側面では、上記化合物は以下のものからなる群から選択される式を有する。
【化4】
【化5】
【0022】
別の側面では、この(iso)pq配位子は以下のものからなる群から選択される。
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
具体的化合物も提供する。特に上記化合物は化合物1〜化合物7からなる群から選択される。
【0026】
一つの側面では、上記化合物は、約650nm〜約700nmのピーク波長を有する発光スペクトルを有する。
【0027】
有機発光デバイスを含む第一のデバイスも提供する。この有機発光デバイスは、さらに、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含む。この有機層は下記式:
【化9】
を有する化合物を含む。
【0028】
Mは40より大きな原子量を有する金属である。好ましくはMはIrである。Lは補助配位子である。mは金属Mの酸化状態である。Aは縮合した炭素環又は縮合したヘテロ環である。R及びRのそれぞれは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。少なくとも2つのR置換基が、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、及びアリールアミノからなる群から選択される。
【0029】
本発明の化合物を含むデバイスの具体例を提供する。一つの側面では、第一のデバイスに用いられる化合物は、化合物1〜化合物7からなる群から選択される。
【0030】
式Iについて上で論じた様々な具体的側面は、第一のデバイスに用いられた場合に式Iを有する化合物にも適用できる。特に、上で論じた式Iを有する化合物のM、L、R、R、R、R、R、及び(iso)pq配位子部分の具体的側面は、第一のデバイスに用いられる式Iを有する化合物にも適用できる。
【0031】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、式Iを有する化合物は発光ドーパントである。別の側面では、有機層はさらにホストを含む。
【0032】
好ましくは、ホストは金属8−ヒドロキシキノラートである。より詳細には、ホストは、
【化10】
である。
【0033】
一つの側面では、第一のデバイスは消費者製品である。別の側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。
【0034】
一つの側面では、上記デバイスは、約650nmから約700nmのピーク波長をもつ発光スペクトルを有する化合物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は有機発光デバイスを示す。
図2図2は、別個の電子輸送層をもたない倒置型有機発光デバイスを示す。
図3図3は、キノリン又はイソキノリン−フェニル配位子を含みそれがさらに電子供与性基で置換されている、例示のリン光物質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[詳細な説明]
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され且つそれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流された場合、有機層(1又は複数)にアノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子はそれぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。励起子が発光機構によって緩和するときに光が発せられる。いくつかの場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在化されうる。非放射機構、例えば、熱緩和も起こりうるが、通常は好ましくないと考えられる。
【0037】
初期のOLEDは、一重項状態から光を発する(「蛍光」)発光性分子を用いており、例えば、米国特許第4,769,292号明細書(この全体を参照により援用する)に記載されているとおりである。蛍光発光は、一般に、10ナノ秒よりも短いタイムフレームで起こる。
【0038】
より最近、三重項状態から光を発する(「燐光」)発光物質を有するOLEDが実証されている。Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998 (“Baldo-I”);
及び、Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999) (“Baldo-II”)、これらを参照により全体を援用する。燐光は、米国特許第7,279,704号明細書の第5〜6欄に、より詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0039】
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含みうる。カソード160は、第一導電層162および第二導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性及び機能、並びに例示物質は、米国特許第7,279,704号明細書の第6〜10欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0040】
これらの層のそれぞれについてのより多くの例が得られる。例えば、可撓性且つ透明な基材−アノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号明細書に開示されており、参照により全体を援用する。p型ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比で、F−TCNQでドープしたm−MTDATAであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。発光物質及びホスト物質の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示されており、その全体を参照により援用する。n型ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。米国特許第5,703,436号明細書及び同5,707,745号明細書(これらはその全体を参照により援用する)は、上に重ねられた透明な電気導電性のスパッタリングによって堆積されたITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含めたカソードの例を開示している。阻止層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号公報に、より詳細に記載されており、その全体を参照により援用する。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号公報に提供されており、その全体を参照により援用する。保護層の記載は米国特許出願公開第2004/0174116号公報にみられ、その全体を参照により援用する。
【0041】
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積させることによって製造できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の物質を、デバイス200の対応する層に使用できる。図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
【0042】
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様なその他の構造と関連して使用できることが理解される。記載されている具体的な物質および構造は事実上例示であり、その他の物質および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは様々なやり方で上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省くことができる。具体的に記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の物質を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の物質を含むものとして様々な層を記載しているが、物質の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、または、より一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してもよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、あるいは正孔注入層として説明されうる。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして説明できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば図1および2に関連して記載したように様々な有機物質の複数の層をさらに含むことができる。
【0043】
具体的には説明していない構造および物質、例えばFriendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体を参照により援用する)に開示されているようなポリマー物質で構成されるOLED(PLED)、も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用できる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているように積み重ねられてもよい。OLEDの構造は、図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含みうる。
【0044】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および米国特許第6,087,196号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての蒸着、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および米国特許第6,468,819号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される物質は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分枝した又は分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個又はそれより多い炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する物質は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有しうるが、これは、非対称物質はより小さな再結晶化傾向を有しうるからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
【0045】
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニター、医療モニター、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明な(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、劇場またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0046】
本明細書に記載した物質及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有しうる。例えば、その他のオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、有機太陽電池及び有機光検出器は、これらの物質及び構造を用いることができる。より一般には、有機デバイス、例えば、有機トランジスタは、これらの物質及び構造を用いることができる。
【0047】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、及びヘテロアリールの用語は、当分野で公知であり、米国特許第7,279,704号明細書の第31〜32欄で定義されており、これを参照により援用する。
【0048】
Ir(3−Meppy)を基本構造として用いた、発光性配位子及び補助配位子の両方の上の様々なアルキル置換パターンがこれまでに研究され、Ir(2−フェニルキノリン)及びIr(1−フェニルイソキノリン)型のリン光材料の加工処理性(蒸発温度、蒸発安定性、溶解性など)及びそれらのリン光材料及びPHOLEDのデバイス特性に関する構造−特性相関が確立されている。アルキル置換は特に重要であり、なぜなら、それらは、蒸発温度、溶解性、エネルギーレベル、デバイス効率、及び発光スペクトルの狭さに関する幅広い範囲の調節可能性を提供するからである。さらに、それらは、化学的に安定、かつ適切に適用した場合にはデバイス作動中に安定である。発光性配位子上の強い電子供与性又は電子求引性置換基は、さらに、その錯体の発光エネルギーをさらに調節することさえできる。非常に深い赤色発光をもつリン光発光体を作り出すための努力において、発光性配位子上の様々な電子供与性基が研究され、その赤方遷移(レッドシフト)効果の程度が決定されている。
【0049】
本明細書で提供する化合物は、650nmから700nmの範囲に非常に深い赤色発光を示す。非常に深い赤色発光は、650nmから700nmの間に発光波長を必要とする特定のディスプレイ用途のために有用である。特に、これらの化合物は、OLEDディスプレイ、又は非常に深い赤色発光を必要とするその他のディスプレイにおいて特に有用でありうる。
【0050】
本明細書で開示する化合物は、キノリン又はイソキノリン部分とフェニル部分とを有する配位子、例えば(iso)pq配位子を含む。この(iso)pq配位子は赤色発光をもたらす。この(iso)pq配位子のフェニル部分は電子求引性基でさらに置換されており、電子求引性基にはアルコキシ、アリールオキシ、及びアミノ基が含まれる。理論に束縛されることなく、電子求引性基での(iso)pq配位子の置換は、さらなる赤色遷移を、したがって非常に深い赤色発光を引き起こす。
【0051】
下記式:
【化11】
を有する化合物を提供する。
【0052】
Mは40より大きな原子量を有する金属である。Lは補助配位子である。mは金属Mの酸化状態である。好ましくは、MはIrである。nは少なくとも1である。Aは、縮合した炭素環又は縮合したヘテロ環である。「縮合した」とは、Aが、化合物中のフェニルピリジン部分のピリジン環と縮合している炭素環又はヘテロ環であることを意味する。Aはさらに置換されていてもよい。ピリジン環にAを縮合させることは、上で論じたように、(iso)pq配位子をもたらす。R及びRのそれぞれは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。少なくとも2つのR置換基が、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、及びアリールアミノからなる群から選択される。
【0053】
好ましくは、Lはモノアニオン性二座配位子である。さらに好ましくは、Lは、
【化12】
であり、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。さらに好ましくは、R及びRのうち少なくとも1つが、そのカルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐した分岐アルキル部分を含む。そのα位とは、官能基に結合している最初の炭素をいう。一つの側面では、R及びRの少なくとも1つがイソブチルである。別の側面では、Rは水素である。
【0054】
一つの側面では、上記化合物は以下のものからなる群から選択される式を有する。
【化13】
【0055】
別の側面では、この(iso)pq配位子は以下のものからなる群から選択される。
【化14】
【0056】
【化15】
【0057】
【化16】
【0058】
具体的化合物も提供する。特に上記化合物は以下のものからなる群から選択される。
【0059】
【化17】
【0060】
一つの側面では、上記化合物は、約650nm〜約700nmのピーク波長を有する発光スペクトルを有する。
【0061】
有機発光デバイスを含む第一のデバイスも提供する。この有機発光デバイスは、さらに、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含む。この有機層は下記式:
【化18】
を有する化合物を含む。
【0062】
Mは40より大きな原子量を有する金属である。好ましくはMはIrである。Lは補助配位子である。mは金属Mの酸化状態である。上で論じた通り、Aは縮合した炭素環又は縮合したヘテロ環である。R及びRのそれぞれは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。それぞれのR置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。少なくとも2つのR置換基が、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、及びアリールアミノからなる群から選択される。
【0063】
好ましくは、Lはモノアニオン性二座配位子である。さらに好ましくは、Lは、
【化19】
であり、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。より好ましくは、R及びRのうち少なくとも1つが、カルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐している分岐アルキル部分を含む。一つの側面では、R及びRのうち少なくとも1つがイソブチルである。別の側面では、Rは水素である。
【0064】
一つの側面では、上記化合物は以下のものからなる群から選択される式を有する。
【0065】
【化20】
【化21】
【0066】
別の側面では、上記の(iso)pq配位子は以下のものからなる群から選択される。
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】
本発明の化合物を含むデバイスの具体例を提供する。一つの側面では、上記化合物は、化合物1〜化合物7からなる群から選択される。
【0071】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、式Iを有する化合物は発光ドーパントである。別の側面では、有機層はさらにホストを含む。好ましくは、ホストは、金属8−ヒドロキシキノラートである。さらに好ましくは、ホストは、
【化25】
である。
【0072】
一つの側面では、上記第一のデバイスは消費者製品である。別の側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。
【0073】
一つの側面では、上記デバイスは、約650nmから約700nmのピーク波長を有する発光スペクトルをもつ化合物を含む。
【0074】
加えて、いくつかの別の態様がある。しかしそれらの態様は、好ましさでは劣る。
【0075】
式M(L(L′を有する化合物を提供する。Mは40よりも大きな原子量を有する金属である。mは少なくとも1である。m+nは金属Mの酸化状態である。iは1〜mの値を有する指数である。jは1〜nの値を有する指数である。各Lは独立に下記式:
【化26】
を有する。
【0076】
A及びBはそれぞれ独立に、5又は6員の芳香族又はヘテロ芳香族環である。A−Bは環A上の窒素原子と環B上のsp混成炭素原子とによって金属に配位した芳香族又はヘテロ芳香族の環の結合した対を表す。R及びRのそれぞれは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換基を表すことができる。各R置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。各R置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択され、かつ少なくとも1つのR置換基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、及びアリールアミノからなる群から選択される。各L′は独立に下記式:
【化27】
を有する。
【0077】
,R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。R及びRのうち少なくとも一つは、カルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐した分岐アルキル部分を含む。好ましくは、R及びRのうちの少なくとも一つはイソブチルである。好ましくは、Rは水素である。
【0078】
一つの側面では、上記化合物は下記式:
【化28】
を有する。mはその金属の酸化状態である。m−nは少なくとも1である。
【0079】
別の側面では、金属MはIrである。
【0080】
なお別の側面では、上記化合物は以下のものからなる群から選択される式を有する。
【化29】
【0081】
一つの側面では、A−Bで表される芳香族又はヘテロ芳香族環の結合対は、以下のものからなる群から選択される。
【0082】
【化30】
【0083】
【化31】
【0084】
【化32】
【0085】
【化33】
【0086】
そのような化合物の具体的な非限定的な例には、以下のものからなる群から選択される化合物が含まれる。
【0087】
【化34】
【0088】
【化35】
【0089】
さらに、有機発光デバイスを含む第一のデバイスを提供する。その有機発光デバイスは、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含む。その有機層は式M(L(L′を有する化合物を含む。Mは40よりも大きな原子量を有する原子量を有する金属である。好ましくは、金属MはIrである。mは少なくとも1である。nは少なくとも1である。m+nは金属Mの酸化状態である。iは1〜mの値を有する指数である。jは1〜nの値を有する指数である。各Lは独立に下記式:
【化36】
を有する。
【0090】
A及びBはそれぞれ独立に、5又は6員の芳香族又はヘテロ芳香族環である。A−Bは、環A上の窒素原子と環B上のsp混成炭素原子を介して金属に配位した芳香族又はヘテロ芳香族環の結合対を表す。R及びRのそれぞれは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換基を表すことができる。各Ra置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。各R置換基は独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。Rb置換基のうちの少なくとも一つは、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノ、及びアリールアミノからなる群から選択される。各L′は独立に、下記式:
【化37】
を有する。
【0091】
、R、及びRはそれぞれ独立に、水素、重水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基からなる群から選択される。R及びRのうちの少なくとも一つは、カルボニル基のα位より遠い位置で分岐した分岐アルキル部分を含む。好ましくは、R及びRのうちの少なくとも一つはイソブチルである。好ましくは、Rは水素である。式M(L(L′を有する化合物について上で論じたさまざまな具体的側面は、第一のデバイスにおいて用いた場合の式M(L(L′を有する化合物にも適用できる。特に、式M(L(L′を有する化合物について上で論じた、M、L、L′、m、m、j、L、A、B、A−B、R、R、R、R、及びRの具体的側面は、第一のデバイスに用いた場合の式M(L(L′を有する化合物にも適用できる。
【0092】
第一のデバイスに用いるための化合物の具体例を提供する。一つの側面では、その化合物は化合物1〜化合物11からなる群から選択される。
【0093】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、式Iを有する化合物は発光ドーパントである。別の側面では、上記有機層はさらにホストを含む。好ましくは、ホストは、金属8−ヒドロキシキノラートである。より好ましくは、ホストは、
【化38】
である。
【0094】
一つの側面では、上記デバイスは消費者製品である。別の側面では、上記デバイスは有機発光デバイスである。
【0095】
[その他の物質との組み合わせ]
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書に記載した物質は、そのデバイス中に存在するその他の広範囲にわたる物質と組み合わせて用いることができる。例えば、本明細書に開示した発光ドーパントは、存在してもよい広い範囲のホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及びその他の層と組み合わせて用いることができる。以下に記載乃至言及した物質は、本明細書に記載した化合物と組み合わせて有用でありうる物質の非限定例であり、当業者は組み合わせて有用でありうるその他の物質を特定するために文献を容易に参考にすることができる。
【0096】
〔HIL/HTL〕
【0097】
本発明に用いられる正孔注入/輸送物質は特に限定されず、その化合物が通常、正孔注入/輸送物質として用いられる限り任意の化合物を用いることができる。この物質の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:
フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フルオロ炭化水素を含むポリマー;導電性ドーパントを伴うポリマー;導電性ポリマー、例えば、PEDOT/PSS;ホスホン酸及びシラン誘導体などの化合物から誘導される自己組織化モノマー;金属酸化物誘導体、例えば、MoO;p型半導体有機化合物、例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル;金属錯体、及び架橋性化合物。
【0098】
HIL又はHTLに用いられる芳香族アミン誘導体の例には以下の構造のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化39】
【化40】
【0099】
Ar〜Arのそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物からなる群、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;及び、前記の芳香族炭化水素環式基及び前記の芳香族ヘテロ環式基から選択された同じ種類又は異なる種類の基である2〜10の環状構造単位からなり、互いに直接又は少なくとも1つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環式基を介して結合された基、から選択される。式中、各Arは、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0100】
一つの側面では、Ar〜Arは以下のものからなる群から独立に選択される。
【化41】
【0101】
kは1〜20の整数であり;X〜XはCH又はNであり;Arは上で定義したものと同じ基を有する。
【0102】
HIL又はHTLに用いる金属錯体の例には以下の一般式のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化42】
【0103】
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(Y−Y)は二座配位子であり、Y及びYは独立に、C、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0104】
一つの側面では、(Y−Y)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0105】
別の側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0106】
別の側面では、Mは、Ir、Pt、Os、及びZnから選択される。
【0107】
さらなる側面では、この金属錯体は、溶液中でFc/Fcカップルに対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0108】
〔ホスト〕
【0109】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光物質として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、その金属錯体をドーパント物質として用いるホスト物質を含んでいてもよい。ホスト物質の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。後に示す表はさまざまな色を発光するデバイスに対して好ましいホスト物質を分類しているが、上記の三重項の基準を満たす限り、任意のドーパントとともに用いることができる。
【0110】
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式を有することが好ましい。
【化43】
【0111】
Mは金属であり;(Y−Y)は二座配位子であって、Y及びYは独立にC、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0112】
一つの側面では、金属錯体は、
【化44】
である。
【0113】
(O−N)は二座配位子であり、金属をO及びN原子に配位させている。
【0114】
別の側面では、MはIr及びPtから選択される。
【0115】
さらなる側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0116】
ホストとして用いられる有機化合物の例は、以下のものからなる群から選択される:芳香族炭化水素環状化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環状化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;並びに、前記の芳香族炭化水素環状基及び前記の芳香族ヘテロ環状基から選択される同じか又は異なる種類の基であり、且つ酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環状基のうちの少なくとも1つを介して又は直接、互いに結合されている2〜10の環状構造単位からなる群。ここで各基は、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0117】
一つの側面では、ホスト化合物はその分子内に以下の基のうちの少なくとも1つを含む:
【化45】
【0118】
〜Rは独立に、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0119】
kは0〜20の整数である。
【0120】
〜XはCH又はNから選択される。Z及びZはNR、O、又はSから選択される。
【0121】
〔HBL〕
【0122】
正孔阻止層(HBL)は、発光層を離れる正孔及び/又は励起子の数を減らすために用いることができる。デバイスにおけるそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的に高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を閉じ込めるために用いることもできる。
【0123】
一つの側面では、HBLに用いられる化合物は、上述したホストとして用いられるものと同じ分子を含む。
【0124】
別の側面では、HBLに用いられる化合物は、その分子中に以下の基のうち少なくとも1つを含む:
【化46】
【0125】
kは0〜20の整数であり;Lは補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
【0126】
〔ETL〕
【0127】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送できる物質を含むことができる。電子輸送層はその本来的性質(非ドープ)であるか、あるいはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を高めるために用いることができる。ETL物質の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常用いられる限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0128】
一つの側面では、ETLに用いる化合物は、その分子内に以下の基のうち少なくとも1つを含む。
【化47】
【0129】
は、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0130】
Ar〜Arは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0131】
kは0〜20の整数である。
【0132】
〜XはCH又はNから選択される。
【0133】
別の側面では、ETLに用いられる金属錯体には以下の一般式のものが含まれるがこれらには限定されない。
【化48】
【0134】
(O−N)又は(N−N)は二座配位子であり、金属をO,N、又はN,N原子に配位させ;Lは補助配位子であり;mは、1からその金属に結合できる配位子の最大数までの整数値である。
【0135】
OLEDデバイスの各層に用いられる任意の上述した化合物においては、その水素原子は部分的に又は完全に重水素化されていることができる。
【0136】
本明細書に開示した物質に加えて、及び/又はそれと組み合わせて、多くの正孔注入物質、正孔輸送物質、ホスト物質、ドーパント物質、励起子/正孔阻止層物質、電子輸送及び電子注入物質をOLEDに用いてもよい。本明細書に開示した物質と組み合わせてOLEDに用いてもよい物質の非限定的な例を以下の表2に列挙している。表2には、非限定的な物質群、各群についての錯体の非限定的な例、及びその物質を開示している参考文献を挙げている。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
【表8】
【0145】
【表9】
【0146】
【表10】
【0147】
【表11】
【0148】
【表12】
【0149】
【表13】
【0150】
【表14】
【0151】
【表15】
【0152】
【表16】
【0153】
【表17】
【0154】
【表18】
【0155】
【表19】
【0156】
【表20】
【0157】
【表21】
【0158】
【表22】
【実施例】
【0159】
化合物例
いくつかの化合物を以下のとおり合成した。
【0160】
例1.化合物1の合成
【化49】
【0161】
ステップ1
500mL丸底フラスコに、2−クロロキノリン(9.0 g, 54.4 mmol)、3,5−ジメトキシフェニルボロン酸(9.2 g, 59.8 mmol)、Pd(PPh(1.8 g, 1.5 mmol)、KCO(22.4 g, 163 mmol)、1,2−ジメトキシエタン(150 mL)及び水(150 mL)を仕込んだ。その反応混合物を窒素下で18時間加熱し還流させた。その反応混合物を次に常温まで冷やし、有機相を水相から分離した。水相を酢酸エチルで洗い、全ての有機成分を一緒にし、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。次に溶媒を減圧下で除去し、生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液としてヘキサン中10%酢酸エチル)を使用して精製した。得られた物質を真空蒸留によってさらに精製して、12.2g(95%収率)の生成物を無色オイルとして得た。
【0162】
【化50】
【0163】
ステップ2
ステップ1からの配位子(16.54 g, 71 mmol)、2−エトキシエタノール(250 mL)、及び水(50 mL)を1Lの三ツ口丸底フラスコに仕込んだ。窒素ガスをその反応混合物を通して45分間バブリングさせた。IrCl・3HO(5.0 g, 15 mmol)を次に添加し、その反応混合物を窒素下で17時間加熱し還流させた。反応混合物を常温まで冷やした。溶媒の約半分をロータリーエバポレーターで除去し、200mLのエトキシエタノールを反応混合物に添加した。イリジウムダイマーは単離せず、反応混合物はそのまま次のステップに用いた。
【0164】
【化51】
【0165】
ステップ3
2,8−ジメチルノナン−4,6−ジオン(28 g, 152 mmol)及びNaCO(16 g, 152 mmol)を、ステップ2からのジクロロ架橋イリジウムダイマー溶液に添加した。その反応混合物を室温で48時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をジクロロメタンに溶かした。その溶液を1インチ(2.54cm)のシリカゲルの詰め物を通して塩類を除去した。溶媒を除去して、粗生成物を、移動相としてジクロロメタン及びヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製して、8.0gの生成物(73.5%収率)を得た。
【0166】
実施例2.化合物2の合成
【化52】
【0167】
ステップ1
2−クロロキノリン(10.0 g, 61.3 mmol)、3−メトキシフェニルボロン酸(9.2 g, 67.5 mmol)、Pd(PPh(1.8 g, 1.5 mmol)、KCO(22.4 g, 163 mmol)、1,2−ジメトキシエタン(150 mL)、及び水(150 mL)を500mLの丸底フラスコに仕込んだ。その反応混合物を窒素下で18時間、加熱し還流させた。次にその反応混合物を常温まで冷やし、有機相を水相から分離した。その水相を酢酸エチルで洗い、全ての有機成分を一緒にし、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。次に溶媒を減圧下で除去し、生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液としてヘキサン中10%酢酸エチル)を使用して精製した。得られた物質を真空蒸留によってさらに精製して13.0g(90%収率)の生成物を無色オイルとして得た。
【0168】
【化53】
【0169】
ステップ2
ステップ1からの配位子(10.0 g, 42.5 mmol)、2−エトキシエタノール(200 mL)、及び水(40 mL)を1Lの三ツ口丸底フラスコに仕込んだ。窒素をその反応混合物を通して45分間バブリングさせた。IrCl・3HO(4.0 g, 10.6 mmol)を次に添加し、反応混合物を窒素下で17時間、加熱し還流させた。反応混合物を常温まで冷やした。溶媒の約半分をロータリーエバポレーターで除去し、200mLのエトキシエタノールをその反応混合物に添加した。イリジウムダイマーは単離せず、その反応混合物を次のステップでそのまま用いた。
【0170】
【化54】
【0171】
ステップ3
2,8−ジメチルノナン−4,6−ジオン(20 g, 108 mmol)及びNaCO(11.23 g, 106 mmol)を、ステップ2からのジクロロ架橋イリジウムダイマー溶液に添加した。その反応混合物を室温で48時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をジクロロメタンに溶かした。その溶液を1インチ(2.54cm)のシリカゲルの詰め物を通して塩類を除去した。溶媒を除去し、粗生成物を、移動相としてジクロロメタン及びヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製し、5.0g(52%収率)の生成物を得た。
【0172】
デバイス例
全てのデバイス例は高真空(<10−7Torr)熱蒸着によって作製した。アノード電極は1200Åのイリジウム錫酸化物(ITO)である。カソードは、10ÅのLiFとそれに続く1000ÅのAlからなる。全てのデバイスは、作製後直ちに窒素グローブボックス(<1ppmのHO及びO)中で、エポキシ樹脂でシールしたガラス蓋で密封し、吸湿剤をパッケージの内側に組み込んだ。
【0173】
デバイス例の有機積層体は、順に、ITO表面から、100Åの正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)として300Åの4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、発光層(EML)として9%の化合物1−2でドープした300Åのホスト(CBP又は化合物D)、及びETLとして400ÅのAlq(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)からなる。
【0174】
本明細書で用いるとおり、以下の化合物は以下の構造を有する。
【0175】
【化55】
【0176】
OLEDの発光層のための特定の発光ドーパントを提供する。これらの化合物は、特に良好な特性を有するデバイスをもたらしうる。そのデバイス構造は表2に示しており、対応するデバイスデータは表3に示している。
【0177】
【表23】
【0178】
【表24】
【0179】
特に、デバイス例1及び2は、比較例1及び比較例2よりも顕著に赤方遷移した(>40nm)。このことは、アルキル基と比較して2つの強い電子供与性アルコキシ基を有することが、HOMO−LUMOギャップの著しい低下を引き起こし、可視スペクトルの深い赤色部分に低いエネルギーの発光をもたらしたことを示唆している。
【0180】
本明細書に記載した様々な態様は例示の目的であり、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した多くの物質及び構造は、本発明の精神から離れることなく、その他の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体的な例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、それは当業者には明らかである。本発明が何故機能するのかについての様々な理論は限定することを意図していないことが理解される。
図1
図2
図3