特許第6000984号(P6000984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000984
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】プレコート鋼板の硬化処理方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/24 20060101AFI20160923BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20160923BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20160923BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20160923BHJP
   C09D 161/28 20060101ALI20160923BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20160923BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   B05D7/24 302V
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 302T
   B05D7/24 302S
   C09D167/00
   C09D133/00
   C09D175/04
   C09D161/28
   B32B15/08 G
   C23C26/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-554393(P2013-554393)
(86)(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公表番号】特表2014-511410(P2014-511410A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】KR2012001163
(87)【国際公開番号】WO2012111986
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年1月22日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0014768
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513126600
【氏名又は名称】ポステク アカデミー−インダストリー ファウンデイション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH ACADEMY−INDUSTRY FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン テク
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ホ ス
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−157595(JP,A)
【文献】 特開平05−148448(JP,A)
【文献】 特開昭48−043022(JP,A)
【文献】 特開昭53−085827(JP,A)
【文献】 特開昭55−082797(JP,A)
【文献】 特開2008−142701(JP,A)
【文献】 特開2010−150374(JP,A)
【文献】 特開2001−139878(JP,A)
【文献】 特開2001−009368(JP,A)
【文献】 特開平06−023319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D1/00〜B05D7/26
B32B1/00〜B32B43/00
C09D1/00〜C09D201/10
C23C26/00〜C23C26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレコート鋼板の硬化処理方法であって、
(a)鋼板の表面に、塗料組成物を塗布して塗膜を形成するステップ;
(b)前記塗膜を180℃乃至300℃に加熱して硬化させる1次硬化ステップ;
(c)前記1次硬化した塗膜が形成された鋼板を機械的加工して成形するステップ;および、
(d)前記成形ステップにおいて損傷を受けた塗膜の物性を回復するために、前記成形した鋼板を140℃乃至200℃に加熱する2次硬化ステップ;
を含み、
前記(b)ステップにおける1次硬化は、10秒乃至5分間行い、前記(d)ステップにおける2次硬化は、5乃至50分間行い、
前記塗料組成物は、ポリエステル、アルキド、アクリル樹脂およびこれを変性した樹脂からなる群より選択された1種以上のバインダ樹脂と、イソシアネート群より選択された1種以上と、メラミン群より選択された1種以上とを含む硬化剤を含み、
前記バインダ樹脂の水酸基価が、5乃至100mgKOH/gであり、
前記イソシアネート群は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびキシレンジイソシアネートからなる群より選択された1種以上又はその誘導体のブロック化物であり、
前記メラミン群は、重量比で、塗料組成物の全体樹脂含有量の10乃至50%であることを特徴とする、プレコート鋼板の硬化処理方法。
【請求項2】
前記バインダ樹脂の水平均分子量は、1,000乃至25,000であることを特徴とする、請求項に記載のプレコート鋼板の硬化処理方法。
【請求項3】
前記メラミン群は、アルキレート、イミノおよびカルボキシレートからなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項に記載のプレコート鋼板の硬化処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレコート鋼板用塗料組成物、およびこれを用いたプレコート鋼板の硬化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレコート鋼板(pre-coated metal、PCM)用塗料は、優れた耐候性(weather resistance)、耐食性、耐スクラッチ性、光沢(gloss)、強度(hardness)、および柔軟性(flexibility)が要求され、建築用外装材や家電製品などに多様に適用されている。しかし、プレコート鋼板は、高い強度と優れた柔軟性をいずれも満たすことができる仕様を提示しなければならない。塗料組成物の分野において、強度と柔軟性は、相反した性質である。高強度の塗膜は、耐スクラッチ性に優れているが、高い脆性に起因して耐チッピング性(chipping resistance)が低く、熱に極めて敏感である。それに対し、柔軟性の高い塗膜は、耐チッピング性に優れており、熱に比較的敏感ではないが、耐スクラッチ性に劣る。また、プレコート鋼板は、溶接工程によって塗膜に大きな損傷を与えることができる。
【0003】
最近、自動車メーカーでも、製造原価の節減、環境にやさしい工程の開発や工程の単純化のために、自動車用高成形性カラー鋼板の製造技術の開発が求められている。プレコート鋼板(PCM)を用いた完成車の組み立て方法は、既存の自動車塗装工程においては欠かせない、前処理および電着、中塗り、上塗り工程などの全ての湿式塗装工程が省略可能となるため、自動車産業では、環境親和および生産性の側面で画期的な技術である。
【0004】
しかし、曲面の成形時、鋼板と塗膜の成形物質の物性の相違によって塗膜にクラックが生じ、外観特性を低下させる問題点がある。これにより、プレコート鋼板(PCM)を用いた完成車の組み立て方法は、秀麗な外観および高光沢が求められる自動車産業には、未だ適用されていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、プレコート鋼板の成形過程において発生する外観特性の低下の問題を改善することができるプレコート鋼板用塗料組成物を提供することである。
【0006】
本発明の他の課題は、プレコート鋼板の成形過程において発生する外観特性の低下の問題を解決することができるプレコート鋼板の塗膜形成、機械的成形および成形後の熱処理を含む、硬化処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための本発明の一つのアスペクトは、プレコート鋼板用塗料組成物であって、ポリエステル、アルキド、アクリル樹脂、およびこれを変性した樹脂からなる群より選択された1種以上のバインダ樹脂と、イソシアネート群より選択された1種以上と、メラミン群より選択された1種以上を含む硬化剤を含み、鋼板に塗布され、1次硬化して機械的加工を行った後、2次硬化を通じて、前記機械的加工時に損傷を受けた塗膜の機械的又は化学的物性を回復することができることを特徴とする、プレコート鋼板用塗料組成物を提供する。
【0008】
上述した他の課題を解決するための本発明の別のアスペクトは、プレコート鋼板の硬化処理方法であって、(a)鋼板の表面に、塗料組成物を塗布して塗膜を形成するステップ;(b)前記塗膜を180℃乃至300℃に加熱して硬化させる1次硬化ステップ;(c)前記1次硬化した塗膜が形成された鋼板を機械的加工して成形するステップ;および、(d)前記成形ステップにおいて損傷を受けた塗膜の物性を回復するために、前記成形した鋼板を140℃乃至200℃に加熱する2次硬化ステップ;を含むことを特徴とする、プレコート鋼板の硬化処理方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記塗料組成物の塗膜が形成されたプレコート鋼板を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施例による塗料組成物を用いて表面処理をした鋼板は、柔軟性、耐スクラッチ性、色相具現力、および光沢度に優れており、建築用又は自動車用外板材などで多様に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例2による塗料組成物を使用した時、1次硬化、T-bending(1T)、2次硬化後の外観状態を撮影した写真である。
図2図2は、実施例2による塗料組成物を使用した時、1次硬化、T-bending(2T)、2次硬化後の外観状態を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、プレコート鋼板の成形ステップにおいて発生する塗膜の物性の低下、特に、クラック発生、変色のような外観特性の低下の問題を解決するために研究開発を行った結果、プレコート鋼板の塗膜を成形前に全部硬化させることなく、機械的加工に必要な塗膜の物性を与える1次硬化ステップと、機械加工後の熱処理を通じて2次的硬化を行う場合、成形ステップにおいて発生した塗膜の物性の低下を少なくとも部分的には回復することができるものを見出し、本発明に到達することができた。
【0013】
本発明に係るプレコート鋼板用塗料組成物は、ポリエステル、アルキド、アクリル樹脂、およびこれを変性した樹脂からなる群より選択された1種以上のバインダ樹脂と、イソシアネート群より選択された1種以上と、メラミン群より選択された1種以上を含む硬化剤を含み、鋼板に塗布され、1次硬化して機械的加工を行った後、2次硬化を通じて、前記機械的加工時に損傷を受けた塗膜の機械的又は化学的物性を回復することができることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るプレコート鋼板用塗料組成物は、上述したとおり、バインダ樹脂と硬化剤との間の配合比を調節することにより、プレコート鋼板に適用された時、架橋密度を、本発明に係るプレコート鋼板の加工ステップに合わせて調節されるようにしたことに特徴がある。
【0015】
一般に、塗膜の強度と柔軟性は、相反した性質である。高強度の塗膜は、耐スクラッチ性に優れているが、脆性が高いため、耐チッピング性(chipping resistance)に劣り、熱に極めて敏感である。これに対し、柔軟性の高い塗膜は、耐チッピング性に優れており、熱にも比較的敏感ではないが、耐スクラッチ性に劣る。このような強度と柔軟性は、塗膜を構成するバインダ樹脂と硬化剤の架橋密度に大きく依存するが、熱硬化性高分子は架橋密度が高いほど、ガラス遷移温度(glass transition temperature、T)と脆性-延性遷移温度(brittle-ductile transition temperature、T)との差が小さくなる。
【0016】
本発明者らは、上述のような架橋密度と塗膜特性との間の相関関係に鑑みて、まず、短い焼付硬化工程で塗膜加工に必要な所定の物性を付与した後、加工が終了した後には、更なる熱処理を通じて、加工工程により低下した外観特性の回復と共に、塗膜の強度および耐スクラッチ性も向上させることができるようにした。
【0017】
前記バインダ樹脂は、水酸基(hydroxyl group)を含有し、水酸基価は、5乃至100mgKOH/gが好ましいが、これは、水酸基価が5mgKOH/g未満である場合は、塗膜の硬化性が不足して、耐薬品性および耐溶剤性が低下し、逆に、水酸基価が100mgKOH/gを超過する場合は、2次硬化による外観の回復率が低くなるためである。2次硬化のためのより好ましい水酸基価の範囲は、5乃至50mgKOH/gである。
【0018】
前記バインダ樹脂は、前記水酸基価の範囲以内であれば、特にその種類に制限はないが、例えば、ポリエステル(polyester)樹脂、アルキド(alkyd)樹脂、又はアクリル(acryl)樹脂があり、これらを変性した樹脂であってもよい。このような樹脂は、単独で或いは並行して用いることができる。
【0019】
前記バインダ樹脂の水平均分子量は、1,000〜25,000範囲であることが好ましいが、これは、水平均分子量が1,000未満の場合、加工性が低下し、25、000を超過する場合は、高い粘度により固体含有量が低下して、好ましくないからである。
【0020】
前記硬化剤としては、イソシアネート化合物が単独で用いられたり、或いは他の化合物と並行して用いられてもよく、他の硬化剤としては、メラミン又はメラミン樹脂を用いることができ、最も好ましくは、イソシアネート化合物とメラミン化合物とを組み合わせて用いることである。
【0021】
また、前記イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびキシレンジイソシアネートからなる群より選択された1種以上又はその誘導体のブロック化物であってもよい。例えば、前記イソシアネート単量体(monomer)化合物又はそのビウレット(biuret)体、および、イソシアヌレート(isocyanurate)体等のようなイソシアネート誘導体のイソシアネート基の一部又は全部をブロック化剤でブロック化して製造することができる。また、前記ブロック化剤は、ε-カプロラクタム(caprolactam)、メチルエチルケトオキシム(methyl ethyl ketone oxime)、1,2-ピラゾール(pyrazole)、ジイソプロピルアミン(diisopropylamine)、又は3,5-ジメチルピラゾール(dimethylpyrazole)等を用いることができる。
【0022】
本発明においては、プレコート鋼板に使用可能な鋼板であれば、例えば、合金化亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板のように種類に関係なく用いることができ、合金化亜鉛メッキ鋼板が好ましい例である。
【0023】
また、本発明に係るプレコート塗料組成物は、熱処理を通じて硬化可能な熱硬化型塗料組成物であって、具体的には、1液型熱硬化塗料組成物であり得る。
【0024】
また、本発明の別の特徴は、上記の塗料組成物を塗布した後、成形のための塗膜の1次硬化ステップと、成形ステップと、成形後の外観回復および塗膜の機械的物性を向上させるための塗膜の2次硬化ステップとを含む、プレコート鋼板の加工方法にある。
【0025】
前記1次硬化ステップは、プレコート鋼板の加工性および機械的物性を満たすことを目的とする。さらに、2次硬化工程は、一次的に焼付硬化(bake hardening)した塗膜の再硬化工程を意味し、接着剤の硬化工程として同時に遂行することができ、強度と耐スクラッチ性の向上および外観物性を回復させることを目的とする。
【0026】
前記1次硬化ステップにおける加熱温度(鋼板の最高到達温度)は、180℃乃至300℃であることが好ましいが、これは、180℃未満の場合は、未硬化状態であって、若干の粘着特性を示す問題点があり、300℃を超過する場合、あまりにも速い硬化により塗膜の外観が低下する問題点があるからである。より好ましくは、1次硬化ステップにおける加熱温度は、180℃乃至250℃の範囲である。
【0027】
また、前記1次硬化ステップは、10秒乃至5分間で行われることが好ましいが、これは、10秒未満の場合は、塗膜の硬化が不充分であり、後続の成形工程を遂行することが困難となり、5分以内でも成形工程で要求される物性を備えることができるだけでなく、5分を超過する場合、あまりにも過剰な硬化により、2次硬化ステップでの物性の回復が不充分となることもあるからである。1次硬化ステップにおける熱処理時間(焼付硬化時間)は、より好ましくは10秒乃至3分であり、最も好ましくは、10秒乃至1分未満である。
【0028】
さらに、前記2次硬化ステップにおける加熱温度(鋼板の最高到達温度)は、140℃乃至200℃であることが好ましいが、これは、140℃未満の場合は、2次硬化が進まない問題点があり、200℃を超過する場合、塗膜の変性が発生し得る問題点があるからである。より好ましくは、2次硬化ステップにおける加熱温度は、150℃乃至180℃の範囲である。
【0029】
また、前記2次硬化ステップは、5分乃至50分の間に行われることが好ましいが、これは、5分未満の場合は、塗膜の2次硬化に要求される十分な架橋密度の増加ができず、50分を超過する場合は、塗膜が変性されて黄変が生じる恐れがあるからである。2次硬化ステップにおける熱処理時間(焼付硬化時間)は、より好ましくは10分乃至25分である。
【0030】
以下、本発明の実施例を通じて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範疇がそれにより限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
本発明の好ましい実施例では、鋼板として厚さ0.8mmの合金化亜鉛メッキ鋼板を用い、プレコート塗料組成物の塗膜を形成する前の前処理として、クロムフリー型(chrome free type)でアルカリ系と酸性系がいずれも可能であり、好ましくはアルカリ系を用いることができる。具体的には、立時化学のNC-COAT#3300を用いて、60〜80mg/m程度の範囲で塗膜を形成した。
【0032】
このように前処理が行なわれた鋼板の表面に塗布するプレコート塗料組成物に含まれるバインダ樹脂として、下記表1に示されたとおり、水平均分子量が10,000〜25,000で、水酸基価は6〜19mgKOH/gであるポリエステル樹脂を用いた。
【0033】
【表1】
【0034】
また、プレコート塗料組成物に含まれる硬化剤としては、下記表2に示されたような常用されているブロック化イソシアネート製品(Bayer社)とメラミン製品(Cytec社)を混合した硬化剤を用いており、用いられた各硬化剤の細部特性は、下記表2に示されたとおりである。
【0035】
【表2】
【0036】
前記バインダ樹脂と硬化剤を下記表3および4のように配合して、プレコート用クリアコート組成物を製造した。このとき、下記表3および4のように配合時に触媒を用いるが、下記表3および4の触媒1は、ジブチルチンジラウレートであり、触媒2は、パラトルエンスルホン酸である。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
上記表3および4のとおりに配合したプレコート塗料組成物を用いて合金化溶融メッキ鋼板の表面に塗布した後、鋼板の最高到達温度は232℃、1次硬化(焼付硬化)工程を行い、その結果、厚さ10±1μmの塗膜が形成された。
【0040】
1次焼付硬化したプレコート鋼板を、引張試験機を用いて8%の変形率で引っ張った後、塗膜の外観物性(光沢)を評価した。また、155℃で15分間、2次硬化工程を行い、塗膜の外観物性(光沢)の変化を評価した。
【0041】
また、塗膜の加工性および密着性をテストするために、ISO2409に提示された方法に従って塗膜面を切断した後、ISO1520に提示された方法で加工し、ISO2409に提示された方法により、粘着テープを用いて評価を行った。その結果、いずれも0に分類された。
【0042】
下記表5および表6は、各ステップ別に光沢試験を行った結果を示したものである。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
上記表5および表6から確認されるように、本発明の実施例1にかかる方法による場合、延伸後2次硬化を通じて、塗膜の外観特性である光沢が全般的に回復されることが分かる。
【0046】
特に、上記試片のうち、2次硬化後、20°glossが50以上の値に回復された試片(T8204、T8106、T8203、T8205、T8208、T8209、T8103)について、塗膜の外観特性の以外に塗膜の機械的および化学的特性を評価するために、鉛筆硬度(ISO 15184)および耐酸性試験を行っており、その結果は、下記表7に示されたとおりである。
【0047】
【表7】
【0048】
上記表5および表6のうち、2次硬化工程を通じて光沢の変化量が相対的に小さい試片は、上記表7の試片に比して1次硬化ステップにおいて硬化量が多く、2次硬化工程を行っても、延伸加工で低下された物性に及ぼす影響が相対的に少ないからである。したがって、本発明によると、塗料組成物の適切な配合と1次硬化ステップの工程変数の調節が要求されることが分かり、これを通じて、従来のプレコート鋼板では実現することができなかった、加工後の塗膜物性の具現ができるようになる。
【0049】
[実施例2]
本実施例では、下記表8のPPG Koreaの樹脂と、上記表1と表2の樹脂および硬化剤を、下記表9に示されたとおりに配合して塗料を製造した。
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
上記表9のように製造された塗料を白色のPCM鋼板に塗布した。そして、塗布された塗膜の硬化方法は、実施例1のT8208と同様に行った。
【0053】
塗膜の物性の評価は、黄変化とMEK rub試験法で行った。黄変化は、2次硬化前後の塗膜の黄変程度を色差を測定して比較したものであり、塗膜の硬化密度を測定するためのMEK rub試験は、2Kg荷重下で往復50回を行った後、塗膜の光沢を測定することにより、20°の光沢を基準にして比較し、その結果を下記表10に示した。
【0054】
【表10】
【0055】
上記表10から確認されるように、本発明の実施例2による塗料組成物を用い、2次硬化を通じて、1次硬化時と殆ど同等な水準の20°光沢が得られることがわかる。
【0056】
一方、樹脂HC-873とES-955が混合された場合、樹脂2の含有量が増加することに伴い、2次硬化に起因した黄変化により大きく抵抗しており、硬化密度も高くなることを確認することができる。もちろん、樹脂HC-872の場合、黄変化と硬化密度が互いに相反する性質を示した。上記表10のかような結果は、樹脂の間の相溶性、水酸基価と分子量、並びにそれらの分布及び硬化剤の種類に依存するため、最終的に要求される塗膜の物性に基づいて、樹脂と硬化剤の組み合わせおよび硬化方法を選択することにより、従来に比して優れた塗膜物性を具現することができることを意味する。
【0057】
また、本発明の実施例2の試片名RBSB2-5/5、RBSB-3/7とRBSB-3/7で塗装された鋼板についてT-bending試験を評価しており、その1Tおよび2Tの光学顕微鏡観測結果を図1および図2に示した。該図1から、1次硬化後加工による損傷が2次硬化から回復されることが確認でき、この中で、RBSB2-3/7が最も良好な回復率を示した。
図1
図2