特許第6000998号(P6000998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000998
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】飛散塩分捕獲装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20160923BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20160923BHJP
   G01N 17/00 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   G01N1/02 D
   G01N1/22 L
   G01N17/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-50615(P2014-50615)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-175648(P2015-175648A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】仁保 航一郎
(72)【発明者】
【氏名】福澄 博道
(72)【発明者】
【氏名】木本 厚徳
(72)【発明者】
【氏名】河内 清次
(72)【発明者】
【氏名】林 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 敬夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘洋
(72)【発明者】
【氏名】住谷 博之
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/118267(WO,A1)
【文献】 実開昭58−002690(JP,U)
【文献】 特開平09−230056(JP,A)
【文献】 特開2014−163906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中に飛散している塩分を捕獲可能である素材が設けられた区画と、遮蔽板が設けられた1以上の区画とが交互に並び、該区画の境界に折り畳み線が設けられた帯状の飛散塩分捕獲体と、該飛散塩分捕獲体をその一部が曝露するように保持する保持装置とを備え、
前記保持装置は、
前記飛散塩分捕獲体の一部を曝露させるための開口と、該開口の上側の第1の室と、該開口の下側の第2の室とが設けられ、前記第1の室に折り畳まれた状態の前記飛散塩分捕獲体の未使用部分を収納し、前記第2の室に折り畳まれた状態の前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分を収納する筐体と、
前記第1の室に配され、前記飛散塩分捕獲体の未使用部分を折り畳まれた状態から展開して前記開口の位置へ垂下させるように送り出すと共に、前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分を前記開口の位置から前記第2の室へ降下させる送出機構と
を備える飛散塩分捕獲装置。
【請求項2】
前記保持装置は、
前記送出機構を駆動させる駆動部と、
未使用の前記素材が所定時間毎に順次前記第1の室から前記開口の位置に移動し、使用済の前記素材が所定時間毎に順次前記開口の位置から前記第2の室へ降下するように、前記駆動部を制御する制御部と
を備える請求項1に記載の飛散塩分捕獲装置。
【請求項3】
前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分は、前記第2の室において、前記素材が設けられた区画間に前記遮蔽板が設けられた区画が介在するように積み重なった状態で折り畳まれる請求項1又は請求項2に記載の飛散塩分捕獲装置。
【請求項4】
前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分は、前記第2の室において、前記素材が設けられた区画間に前記遮蔽板が設けられた区画が複数介在するように積み重なった状態で折り畳まれる請求項3に記載の飛散塩分捕獲装置。
【請求項5】
前記筐体は、
前記第1の室に前記飛散塩分捕獲体を挿入するための第1の開閉蓋と、
前記第2の室から前記飛散塩分捕獲体を取り出すための第2の開閉蓋とを備える請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の飛散塩分捕獲装置。
【請求項6】
前記保持装置を収容し、前記飛散塩分捕獲体に導風する導風口が設けられた箱を備える請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の飛散塩分捕獲装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛散塩分量を測定するために大気中に飛散している塩分を捕獲する飛散塩分捕獲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電系統の絶縁碍子や鉄塔等の海塩粒子による塩害の予測を行うために、大気中に飛散している塩分(以下、単位体積あたりに含まれる塩分を気中塩分量、これに風速を乗じたものを飛散塩分量という)の量(飛散塩分量)を測定する必要があり、そのためには、大気中に飛散している塩分を捕獲する必要がある。JIS Z2382で規定されているドライガーゼ法は、窓が空いた木枠にガーゼをはめ込んで雨に濡れない風通しの良い場所に設置し、ガーゼに塩分を含んだ大気を通過させてガーゼに塩分を付着させ、その付着した塩分の量を測定するというものである。
【0003】
また、特許文献1に記載の外気導入装置では、外気を屋外構造物の内部に導入する外気導入部にテープ状の除塩フィルタを設け、この除塩フィルタで塩分を捕獲することで、外気中の塩分が屋外構造物の内部に入ることを防止している。ここで、特許文献1に記載の外気導入装置では、除塩フィルタの新規な面を外気導入部へ送り出し、塩分が付着した面を外気導入部から退避させる機構を設けることで、連続しての塩分の捕獲を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−85516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、百葉箱を鉄塔等の高所に設置してその中に上述のガーゼを設置することにより、高所での飛散塩分量を測定できる。この場合、ガーゼを所定期間毎に交換する必要があるが、交換作業の度に百葉箱を高所で上げたり下したりするのでは作業性が悪い。そのため、高所に設置した百葉箱の中で自動若しくは簡単な操作により、曝露位置において飛散塩分を捕獲するガーゼと未使用のガーゼとを交換できるようにすることが望ましい。ここで、使用済みのガーゼを巻き取った場合、使用期間の異なるガーゼが接触すること等により捕獲期間の異なる塩分が混ざり合って各期間の飛散塩分量を測定できなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、飛散塩分を捕獲する素材の交換を自動若しくは簡単な操作により実施できるようにすると共に、捕獲期間の異なる塩分が混ざり合わないように、使用済の素材を保管できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飛散塩分捕獲装置は、大気中に飛散している塩分を捕獲可能である素材が設けられた区画と、遮蔽板が設けられた1以上の区画とが交互に並び、該区画の境界に折り畳み線が設けられた帯状の飛散塩分捕獲体と、該飛散塩分捕獲体をその一部が曝露するように保持する保持装置とを備え、前記保持装置は、前記飛散塩分捕獲体の一部を曝露させるための開口と、該開口の上側の第1の室と、該開口の下側の第2の室とが設けられ、前記第1の室に折り畳まれた状態の前記飛散塩分捕獲体の未使用部分を収納し、前記第2の室に折り畳まれた状態の前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分を収納する筐体と、前記第1の室に配され、前記飛散塩分捕獲体の未使用部分を折り畳まれた状態から展開して前記開口の位置へ垂下させるように送り出すと共に、前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分を前記開口の位置から前記第2の室へ降下させる送出機構とを備える。
【0008】
前記飛散塩分捕獲装置において、前記保持装置は、前記送出機構を駆動させる駆動部と、未使用の前記素材が所定時間毎に順次前記第1の室から前記開口の位置に移動し、使用済の前記素材が所定時間毎に順次前記開口の位置から前記第2の室へ降下するように、前記駆動部を制御する制御部とを備えてもよい。
【0009】
前記飛散塩分捕獲装置において、前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分は、前記第2の室において、前記素材が設けられた区画間に前記遮蔽板が設けられた区画が介在するように積み重なった状態で折り畳まれてもよい。さらに、前記飛散塩分捕獲体の使用済み部分は、前記第2の室において、前記素材が設けられた区画間に前記遮蔽板が設けられた区画が複数介在するように積み重なった状態で折り畳まれてもよい。
【0010】
前記飛散塩分捕獲装置において、前記筐体は、前記第1の室に前記飛散塩分捕獲体を挿入するための第1の開閉蓋と、前記第2の室から前記飛散塩分捕獲体を取り出すための第2の開閉蓋とを備えてもよい。
【0011】
前記飛散塩分捕獲装置は、前記保持装置を収容し、前記飛散塩分捕獲体に導風する導風口が設けられた箱を備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飛散塩分を捕獲する素材の交換を自動若しくは簡単な操作により実施できると共に、捕獲期間の異なる塩分が混ざり合わないように、使用済の素材を保管できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る飛散塩分捕獲装置を示す斜視図である。
図2】飛散塩分捕獲体を示す正面図である。
図3】保持装置を示す縦断面図である。
図4】保持装置を示す正面図である。
図5】保持装置を示す斜視図である。
図6】保持装置の使用方法を説明するための縦断面図である。
図7】保持装置の使用方法を説明するための縦断面図である。
図8】飛散塩分捕獲体の使用済み部分の収納状態を示す縦断面図である。
図9】他の実施形態に係る保持装置を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。図1は、一実施形態に係る飛散塩分捕獲装置10を示す斜視図である。この図に示すように、飛散塩分捕獲装置10は、百葉箱1と、百葉箱1内に設置された保持装置100と、保持装置100が保持する飛散塩分捕獲体20(図2参照)とを備えている。百葉箱1は、直方体状の箱であり、四つの側面にガラリ2が設けられている。ガラリ2は、奥側へかけて上側に傾斜する整流板が縦に並んだ構成である。また、百葉箱1の上面には、飛散塩分捕獲体20を箱内に出し入れするための蓋3が設けられている。この蓋3の一辺がヒンジ(図示省略)を介して百葉箱1の上端の一辺に取り付けられており、蓋3のヒンジとは反対側の一辺と百葉箱1の上端の一辺とが蝶番9で着脱可能に固定されている。
【0015】
なお、百葉箱1の一の側面を前面といい、該一の側面と対向する面を後面という。また、百葉箱1の前面側を装置前側、百葉箱1の後面側を装置後側といい、百葉箱1の前後方向を装置前後方向という。また、装置前後方向と直交する横方向を装置左右方向という。
【0016】
図2は、飛散塩分捕獲体20を示す正面図である。この図に示すように、飛散塩分捕獲体20は、通気性を有し、飛散する塩分を捕獲可能である複数の矩形状(本実施形態では縦10cm×横10cmの正方形)のガーゼ22と、複数の矩形状(本実施形態では縦10cm×横10cmの正方形)のボール紙や樹脂板等の遮蔽板23と、一列に並んだ複数のガーゼ22と複数の遮蔽板23とを保持する梯子状の枠体であるガーゼホルダー24とを備えている。
【0017】
ガーゼホルダー24は、ナイロンやボール紙や樹脂板等で形成されている。この飛散塩分捕獲体20では、ガーゼ22の周縁部がガーゼホルダー24の開口24Aの周縁部に貼り付けられることで、各ガーゼ22がガーゼホルダー24の内側に張られている。また、遮蔽板23の周縁部がガーゼホルダー24の開口24Aの周縁部に貼り付けられることで、各遮蔽板23がガーゼホルダー24の内側を遮蔽している。
【0018】
ここで、飛散塩分捕獲体20では、ガーゼ22が2枚おきに並べられ、ガーゼ22間に2枚の遮蔽板23が並べられている。また、このガーゼホルダー24の4隅には、穴24Bが開けられている。さらに、ガーゼホルダー24のガーゼ22と遮蔽板23との間の枠部及び遮蔽板23間の枠部の幅方向中央には、折り畳み線24Cが設けられており、飛散塩分捕獲体20は、ガーゼ22と遮蔽板23とを重ね合せて折り畳むことができるようになっている。
【0019】
また、ガーゼ22には、当該ガーゼ22を識別するための表示である数字が記されている。この数字は使用する順序や使用する月等を特定するものである。即ち、使用する順序を特定する数字の場合は、ガーゼ22の設置数に応じて1,2,3,4,…となり、使用する月を特定する数字の場合は、例えば、4,5,6,7,…となる。
【0020】
図3は、保持装置100を示す縦断面図である。また、図4は、保持装置100を示す正面図であり、図5は、保持装置100を示す斜視図である。これらの図に示すように、保持装置100は、筐体110と、筐体110の上段部112に設けられ、飛散塩分捕獲体20の未使用部分を収納する上段収納部116と、飛散塩分捕獲体20の未使用部分を上段収納部116から下方の曝露位置へ送り出す送出機構120と、筐体110の下段部114に設けられ、飛散塩分捕獲体20の使用済み部分を収納する下段収納部118とを備えている。
【0021】
筐体110は、装置前後方向の長さ寸法が装置左右方向の長さ寸法よりも大きく、高さ寸法が装置前後方向の寸法よりも大きい直方体形状である。この筐体110の高さ方向の中間部には、装置前後方向に開口した矩形筒状の通気部111が形成されており、この通気部111の上側に上段部112が設けられ、通気部111の下側に下段部114が設けられている。
【0022】
上段部112の装置前側上部には、送出機構120が配され、上段部112の装置後側下部には、上段収納部116が設けられている。上段収納部116は、上段部112の下部を装置前側と後側とに仕切る仕切壁117と、筐体110の装置左右方向両側及び装置後側の側壁とが周壁であり、折り畳まれた状態の飛散塩分捕獲体20の未使用部分を収納する。
【0023】
送出機構120は、側面122Aが正多角形(本実施形態では正方形)、周面122Bが長方形の回転体122と、該回転体122の両側の側面122Aの中心から装置左右方向外側に延びる回転軸124と、回転体122を回転させるモータ126とを備えている。回転軸124は、回転体122と一体で設けられ、軸受(図示省略)を介して筐体110の左右の側板に回転可能に支持されている。また、一方の回転軸124は、筐体110の一方の側板を貫通しており、該回転軸124にモータ126が連結されている。
【0024】
回転体122の周面122Bの4隅には、柱状の突起123が設けられている。これらの突起123は、周面122B上に飛散塩分捕獲体20の一区画が載せられた状態で、該区画の4隅の穴24Bに嵌るように配されている。
【0025】
通気部111の上側の壁111Aにおける装置前側の端部には、飛散塩分捕獲体20が通過する開口111Bが形成されている。また、通気部111の下側の壁111Cにおける装置前側の端部にも、飛散塩分捕獲体20が通過する開口111Dが形成されている。
【0026】
下段部114の装置前側には、下段収納部118が配されている。この下段収納部118は、下段部114を装置前側と後側とに仕切る仕切壁119と、筐体110の装置左右方向両側及び装置前側の側壁とが周壁であり、折り畳まれた状態の飛散塩分捕獲体20の使用済み部分を収納する。
【0027】
筐体110の上部には、カバー130が着脱可能に設けられている(図5参照)。このカバー130を取り外した状態で、未使用の飛散塩分捕獲体20を上段収納部116に挿入し、飛散塩分捕獲体20の先頭の区画を回転体122に嵌める、即ち、該区画の4個の穴24Bに突起123を嵌めることができる。また、筐体110の側壁の下部には、カバー132が着脱可能に設けられている(図5参照)。このカバー132を取り外した状態で、使用済みの飛散塩分捕獲体20を下段収納部118から取り出すことができる。
【0028】
ここで、飛散塩分捕獲体20が通気部111を通して装置前後方向に露出するところ、ガーゼ22が通気部111の中に位置するように、モータ126による飛散塩分捕獲体20の送り出し量が調整される。これにより、ガーゼ22が通気部111において曝露される。
【0029】
ここで、モータ126は、タイマ機能付きのモータ制御装置140(図4参照)によって所定期間(例えば、1か月間)おきに駆動され、飛散塩分捕獲体20を上段収納部116から送り出して未使用のガーゼ22を通気部111の位置まで移動させると共に、使用済みのガーゼ22を通気部111から下段収納部118へ降下させる。以下、保持装置100の動作について説明する。
【0030】
図6及び図7並びに図3は、保持装置100の使用方法を説明するための立断面図である。まず、カバー130を筐体110の上部から取り外して(図5参照)、未使用の飛散塩分捕獲体20を上段収納部116に挿入すると共に、該飛散塩分捕獲体20の先頭の区画を送出機構120の回転体122に嵌める、即ち、該区画の4個の穴24Bに一の周面122Bの突起123を嵌める。
【0031】
次に、図6に示すように、モータ126を駆動させてガーゼ22を通気部111の位置まで移動させる。通気部111のガーゼ22は、通気部111を通して曝露され、飛散塩分を捕獲する。
【0032】
その後は、図3に示すように、所定期間経過後にモータ126が駆動されることで、順次、次の未使用のガーゼ22が、通気部111の位置まで移動され、使用済みのガーゼ22が、下段収納部118に折り畳まれた状態で収納される。ここで、筐体110の装置前側の壁が、飛散塩分捕獲体20が装置前側へ折れ曲がることを防止する規制部材として機能している。そして、最終的には、図7に示すように、全ての飛散塩分捕獲体20が、上段収納部116から送り出されて下段収納部118に折り畳まれた状態で収納される。この使用済みの飛散塩分捕獲体20を、カバー132を筐体110の側板から取り外して下段収納部118から抜き出す(図5参照)。
【0033】
ここで、図8に示すように、飛散塩分捕獲体20の使用済み部分は、下段収納部118において、ガーゼ22が設けられた区画間に遮蔽板23が設けられた区画が複数(本実施形態では2個)介在するように積み重なった状態で折り畳まれる。これによって、2枚の遮蔽板23で1枚のガーゼ22を挟むことにより、ガーゼ22の密封性を確保できると共に、各遮蔽板23が1枚のガーゼ22にのみ対面し、他のガーゼ22には対面しないことにより、1枚の遮蔽板23に複数のガーゼ22から塩分が移ることを防止できる。従って、ガーゼ22に付着した塩分の量と遮蔽板23に付着した塩分の量とを加算して各捕獲期間の飛散塩分量を計測することができ、飛散塩分量の計測の精度を向上できる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る飛散塩分捕獲装置10は、大気中に飛散している塩分を捕獲可能であるガーゼ22が設けられた区画と、遮蔽板23が設けられた1以上(本実施形態では2個)の区画とが交互に並び、該区画の境界に折り畳み線24Cが設けられた帯状の飛散塩分捕獲体20と、該飛散塩分捕獲体20をその一部が曝露するように保持する保持装置100とを備える。この保持装置100は、飛散塩分捕獲体20の一部を曝露させるための通気部111と、該通気部111の上側の上段部112と、通気部111の下側の下段部114とが設けられ、上段部112の上段収納部116内に折り畳まれた状態の飛散塩分捕獲体20の未使用部分を収納し、下段部114の下段収納部118内に折り畳まれた状態の飛散塩分捕獲体20の使用済み部分を収納する筐体110と、上段部112内に配され、飛散塩分捕獲体20の未使用部分を折り畳まれた状態から展開して通気部111の位置へ送り出すと共に、飛散塩分捕獲体20の使用済み部分を通気部111の位置から下段収納部118へ降下させる送出機構120とを備える。
【0035】
これによって、飛散塩分捕獲体20を上段収納部116に折り畳んだ状態で収納しておき、送出機構120により所定量ずつ飛散塩分捕獲体20を送り出すという簡単な操作により、未使用のガーゼ22を所定時間後に順次上段収納部116から通気部111の位置に移動させ、使用済みのガーゼ22を所定時間毎に順次通気部111の位置から下段収納部118へ降下させることができる。この際、下段収納部118において、遮蔽板23がガーゼ22間に介在することにより、使用期間の異なるガーゼ22が接触すること等により捕獲期間の異なる塩分が混ざり合うことを防止できる。従って、飛散塩分を捕獲するガーゼ22の交換を百葉箱1の中で簡単な操作により実施できると共に、捕獲期間の異なる塩分が混ざり合わないように、使用済のガーゼ22を保管できる。
【0036】
また、保持装置100は、送出機構120の回転体122を回転させるモータ126と、未使用のガーゼ22が所定時間毎に順次上段収納部116から通気部111の位置に移動し、使用済のガーゼ22が所定時間毎に順次通気部111の位置から下段収納部118へ降下するように、モータ126を制御するモータ制御装置140とを備える。これによって、飛散塩分を捕獲するガーゼ22の交換を百葉箱1の中において自動で実施できる。
【0037】
また、筐体110は、上段収納部116に未使用の飛散塩分捕獲体20を挿入するために筐体110の上部に着脱されるカバー130と、上段収納部116から使用済みの飛散塩分捕獲体20を下段収納部118から取り出すために筐体110の側板に着脱されるカバー132とを備える。これによって、未使用の飛散塩分捕獲体20を上段収納部116に収納したり、使用済みの飛散塩分捕獲体20を下段収納部118から回収したりすることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る飛散塩分捕獲装置10は、保持装置100を収容し、飛散塩分捕獲体20に導風する導風口が設けられた百葉箱1を備える。これによって、雨の影響を受けずに、風量に応じた量の飛散塩分をガーゼ22で捕獲できる。
【0039】
また、本実施形態に係る飛散塩分捕獲体20のガーゼ22には、各々を識別するための表示が記されている。この表示は、曝露位置に置かれて飛散塩分を捕獲するのに使用される月等である。よって、使用済のガーゼ22の管理を容易化できる。
【0040】
図9は、他の実施形態に係る保持装置200を示す縦断面図である。この図に示すように、保持装置200は、飛散塩分捕獲体30と、該飛散塩分捕獲体30の未使用部分を収納する上段収納部216と、飛散塩分捕獲体30の未使用部分を上段収納部216から通気部111へ送り出し、飛散塩分捕獲体30の使用済み部分を通気部111から下段収納部118へ降下させる送出機構220とを備える。
【0041】
飛散塩分捕獲体30は、上述の実施形態における穴24Bの無いガーゼホルダー34を備え、ガーゼホルダー34のガーゼ22のある区画とその後続の区画との境界には、ストッパ32が着脱可能に取り付けられている。この飛散塩分捕獲体30の未使用部分は、上段収納部216に、各区画が装置前後方向に重なり合うように折り畳まれた状態で収納されている。
【0042】
送出機構220は、上段収納部216を装置前後方向に移動させるボールネジ222と、該ボールネジ222を回転させるモータ226と、通気部111の上に配されたレバー224と、該レバー224を作動させるモータ(図示省略)とを備えている。モータ226が駆動されてボールネジ222が回転されると、上段収納部216上の飛散塩分捕獲体20の未使用部分が装置前後方向に移動される。
【0043】
レバー224は、装置左右方向に対して平行な軸の周りに回転可能に設けられており、通気部111に位置するガーゼ22の上のストッパ32に引っ掛ることにより、飛散塩分捕獲体30のガーゼ22の区画を通気部111で保持する。一方、レバー224は、図中時計回り方向に回転して、通気部111に位置するガーゼ22の上のストッパ32をガーゼホルダー34から外すことにより、飛散塩分捕獲体30のガーゼ22の区画を通気部111から下段収納部118へ降下させる。この際、次のガーゼ22の区画が通気部111の位置まで移動するように、モータ226が駆動されてボールネジ222が回転され、飛散塩分捕獲体30の未使用部分が装置前側へ送り出される。
【0044】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、上記実施形態では、突起123をガーゼホルダー24の穴24Bに嵌めて回転することにより飛散塩分捕獲体20の未使用部分を送り出す送出機構120と、ボールネジ222の回転により飛散塩分捕獲体20の未使用部分を送り出す送出機構220とを例に挙げたが、送出機構の構成はこれらに限られるものではない。
【0045】
また、上記実施形態では、飛散塩分捕獲体20の使用済み部分が、下段収納部118において、ガーゼ22の区画間に遮蔽板23の区画が複数介在するように積み重なった状態で折り畳まれるように構成したが、ガーゼ22の区画間の遮蔽板23の区画は1個でもよい。また、上記実施形態では、回転体122に突起123を設け、飛散塩分捕獲体20に突起123が嵌る穴24Bを設けたが、回転体122に穴を設け、該孔に嵌る突起を飛散塩分捕獲体20に設けてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、下段部114の装置前側の壁が、飛散塩分捕獲体20が装置前側へ折れ曲がることを防止する規制部材として機能するように構成したが、下段部114の装置前側の壁が下段収納部118から離れている場合には、別途、上記規制部材を設ければよい。さらに、上記実施形態では、保持装置100、200を百葉箱1の中に入れたが、保持装置100、200を雨の影響を受けない場所に設置する場合等には、百葉箱1を用いなくてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 百葉箱、2 ガラリ、3 蓋、9 蝶番、10 飛散塩分捕獲装置、20 飛散塩分捕獲体、22 ガーゼ、23 遮蔽板、24 ガーゼホルダー、24A 開口、24B 穴、24C 折り畳み線、30 飛散塩分捕獲体、32 ストッパ、34 ガーゼホルダー、100 保持装置、110 筐体、111 通気部、111A 壁、111B 開口、111C 壁、111D 開口、112 上段部、114 下段部、116 上段収納部、117 仕切壁、118 下段収納部、119 仕切壁、120 送出機構、122 回転体、122A 側面、122B 周面、123 突起、124 回転軸、126 モータ、130 カバー、132 カバー、140 モータ制御装置、200 保持装置、216 上段収納部、220 送出機構、222 ボールネジ、224 レバー、226 モータ
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9