(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1細長部材が第1ワイヤであり、前記第1ワイヤの初期テンションを調節可能なワイヤテンション調節機構を設けた請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のマニピュレータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術においては、湾曲部を構成する湾曲駒それぞれに対し、アングルボルトやアングルナットを配置しなければならなく、構成が複雑となり、小型化することが難しい、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマニピュレータは、体腔内に挿入可能な挿入部と、前記挿入部先端に配設された任意の方向に動かすことが可能な可動部と、前記挿入部の基端側に設けられる駆動部と、前記駆動部と接続され、前記挿入部の中に配置され、前記駆動部の動作に基づいて変位する第1細長部材と、前記第1細長部材と異なり、末端が前記可動部に接続された第2細長部材と、前記第1細長部材の変位に伴い、前記第2細長部材の変位を促すと共に、前記第1細長部材の第1変位量に対して、前記第2細長部材の第2変位量を小さくする減速機構と、を有する。
【0007】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記挿入部が軟性である。
【0008】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記第2細長部材の長さが前記第1細長部材の長さより短い。
【0009】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記第2細長部材の太さが前記第1細長部材の太さより細い。
【0010】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記第2細長部材が収納される可動部の管径は、前記第1細長部材が収納される前記挿入部の管径より小さく、前記挿入部と前記可動部との間の前記挿入部先端に設けられた遷移部に、前記減速機構が配される。
【0011】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記第2細長部材が収納される可動部が、前記第1細長部材が収納される挿入部から着脱可能である。
【0012】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記第1細長部材が第1ワイヤであり、前記第1ワイヤの初期テンションを調節可能なワイヤテンション調節機構を設けた。
【0013】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記第2細長部材が第2ワイヤであり、前記第2ワイヤの初期テンションを調節可能なワイヤテンション調節機構を設けた。
【0014】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記減速機構がプーリである。
【0015】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記減速機構がラック及びピニオンである。
【0016】
また、本発明に係るマニピュレータは、前記第2細長部材が剛体のリンクである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るマニピュレータは、互いに独立した第1細長部材と第2細長部材を設けて、その間で挿入部に減速機構を設けるようにした構成であり、このような本発明に係るマニピュレータによれば、可動部を小型化したり、内部の構成を単純化したりすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係るマニピュレータ100が適用された内視鏡10の概略の構成を示す図である。
【0020】
図1に示すように、内視鏡10は、細長い挿入部12と、この挿入部12の基端部側に配設された操作部14とを備えている。挿入部12は、先端硬質部22と湾曲部24と遷移部25と軟性部26とを先端側から基端側に向かって順に備えている。
【0021】
また、
図1に示すように、操作部14は、操作部本体42と、挿入部12の基端部に設けられた折れ止め44とを備えている。折れ止め44は操作部本体42の下側に配設され、挿入部12の軟性部26に大きな力が加えられたときにその軟性部26が屈曲することを防止する。
【0022】
操作部本体42は、ケース52と、このケース52から湾曲操作ノブ(ハンドル)72の一部が外側に突出するように配設された湾曲操作部と、観察光学系や照明光学系などを操作するための複数のスイッチ56とを備えている。ケース52には、術者に把持される把持部62や鉗子チャンネルの基端側開口部64が形成されている。
【0023】
図2は本実施形態に係るマニピュレータ100の先端側の拡大図である。
図2に示すように、湾曲部24には、略リング状の複数の湾曲コマ34が湾曲部24の軸方向に沿って並設されている。隣接する湾曲コマ34同士は互いに対して回動することが可能とされている。また、先端硬質部22と隣接する湾曲コマ34も回動することができるようになっている。
【0024】
湾曲部24の最も先端の先端硬質部22には、患部を切除する処置具39などが適宜配設されるようになっている。
【0025】
また、
図2、
図3に示すように先端硬質部22には、1対の第2ワイヤ36の先端がそれぞれ固定されている。湾曲部24と軟性部26との間に設けられている遷移部25の中には、減速機構としてプーリ30が設けられている。プーリ30は、第1径部31(半径r1)と、この第1径部31より径が小さい第2径部32(半径r2)とからなっている。プーリ30の第1径部31には第1細長部材である第1ワイヤ35がループ状に巻き掛けられ、第2径部32には第2細長部材である第2ワイヤ36がループ状に巻き掛けられる。なお、軟性部26の経路には、ワイヤの経路長を一定に保つためのコイルシース105が配置されている。
【0026】
第1ワイヤ35は、操作部14における湾曲操作ノブ72の操作に基づいて動く駆動部110のプーリに接続されており、駆動部110の動きにより例えば、図中の矢印の方向に変位する。なお、駆動部110は、モータ等のアクチュエータによって動かされてもよい。これに応じて、プーリ30が回動することで、第2ワイヤ36も変位する。これにより、本実施形態のマニピュレータ100の可動部である湾曲部24が駆動される。ここで、本実施形態においては、減速機構として用いるプーリ30は、第1ワイヤ35の第1変位量に対して、第2ワイヤ36の第2変位量を減速比分(r2/r1)小さくするようになっている。
【0027】
一般に、湾曲部24を駆動するためにワイヤを牽引する時、牽引によってワイヤが伸びてしまうが、特開平7−134253号公報は、ワイヤを用いていないことから、ワイヤを使う際の伸びの問題を抜本的に解決するものではない。これに対し、本発明の本減速機構においては、牽引によって伸びてしまう第一ワイヤ35の伸び量も本減速機構(プーリ30)によってr2/r1に軽減され、軟性部26におけるワイヤの伸びの影響を軽減でき、湾曲部駆動時の精度が向上する。
【0028】
このように、本実施形態に係るマニピュレータ100は、互いに独立した第1ワイヤ35と第2ワイヤ36を設けて、その間に減速機構としてプーリ30を設けるようにした構成であり、本実施形態に係るマニピュレータ100によれば、湾曲部24の駆動力伝達手段としてワイヤを用いた上で、湾曲部24の駆動精度を向上させることができる。また、湾曲部24の小型化も実現できる。
【0029】
軟性内視鏡のように、駆動力を伝達する軟性部が長く、駆動力が出力されて可動する湾曲部が短い場合には、軟性部伝達系でのワイヤの伸びの影響が、湾曲部駆動の正確な制御に影響を及ぼしやすい。そのため、本実施形態に係るマニピュレータ100においては、第2ワイヤ36の長さが第1ワイヤ35の長さより短いことが好ましい。第1ワイヤ35と第2ワイヤ36が同じバネ係数だったとしても、長さが長いほうが、より伸び量が大きくなるため、減速後の第2ワイヤ36が短い方が、ワイヤの伸びの影響が軽減できる。これにより、先端側の可動部に求められる、細かい動きに対応することが可能となるからである。
【0030】
また、挿入部12先端の湾曲部は軟性部に比べて高屈曲するため、湾曲部を駆動する第2のワイヤ36は摩擦(例えば湾曲コマ34との摩擦)の影響が大きく、駆動するためには大きな力が必要である。そこで、減速機構を用いることで、駆動部110により第1ワイヤ35に与えられる力よりも大きな力を第2ワイヤ36に与えることができ、駆動部110のアクチュエータを小型化できるというメリットもある。
【0031】
また、本実施形態に係るマニピュレータ100においては、第2ワイヤ36の太さより第1ワイヤ35の太さのほうが太いことが好ましい。これは、第2ワイヤ36よりも長い距離用いられる第1ワイヤ35のほうが全長として伸びやすいため、ワイヤ径を太くすることにより、ワイヤの伸びへの影響を低減し伝達特性を向上させることができるからである。また、第2ワイヤ36が細い方が、先端側の可動部を微小化できると共に、高屈曲させることができるからである。
【0032】
かりに、マニピュレータを小型化するために、基端側の操作部から、先端側の可動部までの全長にわたって、細いワイヤを使ったとすると、可動部の動作には、ワイヤの伸びの影響が現れてしまい、問題となるが、上記のように、第1ワイヤ35の太さを太く、第2ワイヤ36の太さを細くしておくことは、このようなワイヤの伸び対策としても有効である。
【0033】
図4はワイヤの伸びの比較を説明する図である。なお、
図4は、太いワイヤと、細いワイヤとを併用するメリットを、ワイヤの伸びの観点からのみ検証するためのものであり、単純化のために、プーリなどの減速機構については省略してある。また、図において、ワイヤの左端は壁などに固定されているものとする。
【0034】
図4において、上段の例では、基端側の操作部から、先端側の可動部までの全長L0にわたって、細いワイヤを使った場合を示している。一方、下段の例では、基端側の操作部から、省略したプーリまでの間の距離L1には太いワイヤを、プーリから先端側の可動部までの間の距離L2には細いワイヤを使った場合を示している。
【0035】
ここで、太いワイヤのバネ定数をk1、細いワイヤのバネ定数をk2とし、Fの力でワイヤを右端から引っぱるとすると、上段の例における伸びΔlaは、
Δla=F/(k
2/L
0)
により求めることができる。また、下段の例における伸びΔlbは、
Δlb=F/(k
1/L
1)+F/(k
2/L
2)
により求めることができる。
【0036】
参考として、L
0=1、L
1=0.8、L
2=0.2、k
1=10、k
2=5、F=5を代入すると、Δla=1、Δlb=0.6となり、太いワイヤと、細いワイヤとを併用した方が、細いワイヤを全長にわたって用いることに比べ、ワイヤの伸びが減少し、可動部の動作における、ワイヤの伸びの影響を抑制できることがわかる。
【0037】
また、第2ワイヤ36が収納される可動部の管径d2(本実施形態では湾曲部24の湾曲コマ34の管径)は、第1ワイヤ35が収納される挿入部12の管径d1(本実施形態では軟性部26で用いられる管の管径)より小さく、前記挿入部12と前記可動部との間に設けられた遷移部25に、プーリ30などの減速機構を配することが好ましい。これは、可動部の管径が小さい方が、先端側における狭い手術空間により適応しやすいからである。
【0038】
図5は他の実施形態に係るマニピュレータ100の先端側の拡大図である。
【0039】
プーリ30は、軟性部26の遠位端でかつ湾曲部24の近位端に配置されている。プーリ30は、第1径部31と、この第1径部31より径が小さい第2径部32とからなっている。プーリ30の第1径部31には第1ワイヤ35が巻き掛けられ、第2径部32には第2ワイヤ36が巻き掛けられる。第2ワイヤ36は、第2ワイヤテンション調節機構130によって初期テンションが調節されている。第1ワイヤ35は、第1ワイヤテンション調節機構120によって初期テンションが調節されている。第1ワイヤテンション調節機構は、操作部本体の中にあり駆動部110に近接して配置されている。第2ワイヤテンション調節機構130は、遷移部25に設けられている。一般に湾曲部24は、軟性部26よりも高屈曲するため、湾曲部24を通るワイヤは、軟性部26を通るワイヤよりも摩擦(例えば湾曲コマ34との摩擦)の影響を受けやすい。かりに一本のワイヤで軟性部26を経由して湾曲部24を駆動すると、一本のワイヤの経路上でかかる摩擦力が異なり、ワイヤのテンションにばらつきが生じ、ワイヤの駆動制御が困難である。そこで、本減速機構を用いてワイヤのループを2つに分け、それぞれのワイヤループに個別にテンション調節機構を配置することで、第1ワイヤ35にかかる摩擦力に応じたテンションと、第2ワイヤ36にかかる摩擦力に応じたテンションを個別に調整することができ、より高精度な駆動を実現できる。
【0040】
次に、他の実施形態について説明する。先の実施形態においては、第2ワイヤ36によって駆動される可動部が、湾曲部24であったが、本実施形態においては、第2ワイヤ36によって駆動される可動部がアームとなる。
【0041】
図6は他の実施形態に係るマニピュレータ100の先端側の拡大図である。この実施形態では、先端硬質部22には、アーム80が取り付けられている。
【0042】
アーム80は、不図示の操作棹の操作により回動する関節部82と、関節部82に取り付けられた把持部86と、関節部82間や関節部82と把持部86とを接続する長尺の筒状部83とを備える。
【0043】
本実施形態では、第2ワイヤ36が例えば、関節部82に固定される。そして、第1径部31と、第2径部32とからなるプーリ30が設けられ、このプーリ30の第1径部31には第1ワイヤ35が巻き掛けられ、第2径部32には第2ワイヤ36が巻き掛けられる。
【0044】
第1ワイヤ35は、不図示の操作棹に基づいて、例えば、図中の矢印の方向に変位する。これに応じて、プーリ30が回動することで、第2ワイヤ36も変位する。これにより、本実施形態のマニピュレータ100の可動部である関節部82が駆動される。本実施形態においても、プーリ30は、第1ワイヤ35の第1変位量に対して、第2ワイヤ36の第2変位量を小さくするようになっている。
【0045】
このような実施形態に係るマニピュレータ100によれば、アーム80を小型化したり、アーム80の内部の構成を単純化したりすることが可能となる。
【0046】
次に、他の実施形態について説明する。最初の実施形態においては、第2ワイヤ36によって駆動される可動部が、湾曲部24であったが、本実施形態においては、第2ワイヤ36によって駆動される可動部が処置具39となる。
【0047】
図7は他の実施形態に係るマニピュレータ100の先端側の拡大図である。この実施形態では、先端硬質部22には、処置具39が取り付けられている。
【0048】
本実施形態では、第2ワイヤ36が例えば、処置具39に固定される。そして、第1径部31と、第2径部32とからなるプーリ30が設けられ、このプーリ30の第1径部31には第1ワイヤ35が巻き掛けられ、第2径部32には第2ワイヤ36が巻き掛けられる。
【0049】
第1ワイヤ35は、不図示の操作棹に基づいて、例えば、図中の矢印の方向に変位する。これに応じて、プーリ30が回動することで、第2ワイヤ36も変位する。これにより、本実施形態のマニピュレータ100の可動部である処置具39が駆動される。本実施形態においても、プーリ30は、第1ワイヤ35の第1変位量に対して、第2ワイヤ36の第2変位量を小さくするようになっている。
【0050】
このような実施形態に係るマニピュレータ100によれば、先端部を小型化したり、先端部の内部の構成を単純化したりすることが可能となる。
【0051】
次に、他の実施形態について説明する。
図8は他の実施形態に係るマニピュレータ100が適用された内視鏡10の概略の構成を示す図である。
【0052】
最初の実施形態においては、第2ワイヤ36が収納されるである湾曲部24は本体と着脱することができないようになっていた。これに対して、本実施形態では、第2ワイヤ36が収納される可動部(本実施形態では湾曲部24)が、第1ワイヤ35が収納される挿入部12(本実施形態では軟性部26)から着脱可能であるようになっている。
【0053】
このような、実施形態によれば、例えば、湾曲部24などの可動部の分離が可能となることで、先端側が交換可能となり、先端側の洗浄の必要がなくなる。また、術式によって、先端側の形態変更が可能となる、というメリットもある。
【0054】
第2ワイヤ36が収納される可動部(本実施形態では湾曲部24)が、第1ワイヤ35が収納される挿入部12(本実施形態では軟性部26)から着脱することができるようにするための機構例について
図9に基づいて説明する。
図9は挿入部12と可動部の結合例を説明する図である。
【0055】
挿入部12である軟性部26の中には、第1ギア91とこの第1ギア91と同軸で回転する第1プーリ93とを有する。第1プーリ93には、操作部14における湾曲操作ノブ72の操作に基づいて変位する第1ワイヤ35が巻き掛けられている。
【0056】
可動部である湾曲部24の中には、第2ギア92とこの第2ギア92と同軸で回転する第2プーリ94とを有する。第2プーリ94には、その変位により可動部を駆動する第2ワイヤ36が巻き掛けられている。
【0057】
第1ギア91の径は、第2ギア32の径より大径とされる。また、第1プーリ93の径は、第2プーリ94の径はより大径とされている。
【0058】
挿入部12(本実施形態では軟性部26)と可動部(本実施形態では湾曲部24)とを結合することで、第1ギア91と第2ギア32と噛み合うことで、第1ワイヤ35から第2ワイヤ36に、駆動力を伝達することができるようになる。
【0059】
次に、他の実施形態について説明する。これまで説明した実施形態においては減速機構として、プーリを用いる例について説明したが、本発明で用い得る減速機構はこれに限らない。以下、本発明で利用し得る減速機構の例について説明する。
【0060】
図10は他の実施形態に係るマニピュレータ100に用いられる減速機構の例を示す図である。
第1ラック73及び第2ラック74は対向するようにして設けられる。第1ラック73及び第2ラック74のそれぞれには、操作部14における湾曲操作ノブ72の操作に基づいて変位する第1ワイヤ35が固定される。
【0061】
第1ラック73及び第2ラック74に噛み合うピニオン75を設ける。ピニオン75には、プーリ76が同軸となるように取り付けられており、このプーリ76に、可動部を駆動する第2ワイヤ36が巻き掛けられている。
【0062】
以上のような減速機構によっても、第1ワイヤ35の第1変位量に対して、第2ワイヤ36の第2変位量を小さくすることができ、本発明の目的を達成することができる。加えて、軟性部26における第1ワイヤ35の伸びの影響を軽減できる。
【0063】
図11は他の実施形態に係るマニピュレータ100に用いられる減速機構の例を示す図である。本例では、第1ワイヤ35が回転変位し、この回転変位を第2ワイヤ36に伝達し、例えば、処置具39を回転させる場合について説明する。
【0064】
第1ワイヤ35の回転変位を、第2ワイヤ36に伝達すると共に減速させる機構として、本実施形態では、遊星ギア78を採用している。
【0065】
遊星ギア78に基づく減速機構によっても、第1ワイヤ35の第1変位量に対して、第2ワイヤ36の第2変位量を小さくすることができ、本発明の目的を達成することができる。加えて、軟性部26における第1ワイヤ35の伸びの影響を軽減できる。
【0066】
図12は他の実施形態に係るマニピュレータ100に用いられる減速機構の例を示す図である。
第1ワイヤ35は半径r1の第1径部31にまきつけられており、駆動部110から牽引される。第1径部31は、第1ワイヤ35の変位により軸芯140を中心に揺動する。第一径部31には、軸芯140から距離r2の位置にピン150を介してリンク36aの一端が接続されており、リンク36aの他端は軸芯160を中心に揺動する関節170に接続されている。r1>r2の減速機構となっており、湾曲部24をリンクで駆動するような本機構においても、軟性部26における第1ワイヤ35の伸びの影響を軽減できる。
【0067】
なお、上記各実施形態では、操作部14が挿入部12と一体の構造を例に取って説明したが、これに限らず、別体で、遠隔操作するいわゆるマスタスレーブマニピュレータシステムに適用される場合でも良い。
【0068】
例えば、
図13に示すような、操作者Opが操作するマスタマニピュレータ2と、例えば
図6に示す内視鏡装置10が設けられたスレーブマニピュレータ6とを備える、マスタスレーブマニピュレータシステムである。
【0069】
マスタマニピュレータ2は、操作者Opが操作入力を行うマスタアーム3と、内視鏡装置10を用いて撮影した映像等を表示する表示部4と、マスタアーム3の動作に基づいて、スレーブマニピュレータ6を動作させるための操作指令を生成する制御部5と、制御モードを切替えるためのフットスイッチ9を備える。
【0070】
本実施形態において、マスタアーム3は、内視鏡装置10に取り付けられたアーム80を含むスレーブマニピュレータ6の各部を動作させるための操作部である。また、詳細は図示しないが、マスタマニピュレータ2は、操作者Opの右手と左手とのそれぞれに対応する一対のマスタアーム3を有している。マスタアーム3は、多関節構造を有しており、一方はアーム80の関節部82を動作させるためのもので、他方は湾曲部24を動作させるものである。マスタアーム3において操作者Op側に位置する端部には、アーム80の把持部86を動作させるための把持操作部(不図示)が設けられている。
【0071】
表示部4は、内視鏡装置10に取り付けられた観察光学系や照明光学系などによって撮影された処置対象部位の映像が表示される装置である。表示部4には、処置対象部位とともに、アーム80及び把持部86も表示される。
【0072】
スレーブマニピュレータ6は、患者Pが載置される載置台7と、載置台7の近傍に配置された多関節ロボット8と、多関節ロボット8に取り付けられた内視鏡装置10とを有する。多関節ロボット8および内視鏡装置10は、マスタマニピュレータ2から発せられた操作指令に従って、詳細は図示しないが、スレーブマニピュレータ6に設けられた駆動部110Aによって動作する。
【0073】
介助者(不図示)は、
図13に示すように、載置台7上に患者Pを寝かせ、消毒、麻酔などの適切な処理を行う。
【0074】
操作者Opは、介助者に指示して患者Pの口から体腔内に挿入部12を導入させる。操作者Opは、表示部4で画像を確認しつつ、マスタアーム3を操作して挿入部12の湾曲部24を適宜湾曲させたり、アーム80や把持部86を動作させる。
【0075】
以上のようなマスタスレーブマニピュレータシステムに適用しても上述した各実施例に係る効果を奏することができる。
【0076】
なお、上記実施形態で、ワイヤをプーリにループ状に掛け回している場合があるが、これに限らず、端部をプーリに固定して掛け回しても良い。
【0077】
また、細長部材としては、ワイヤやリンクに限らず、例えば
図11に示す実施形態の場合においては、フレキシブルシャフトであっても良い。