(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の第1形態を説明する。
【0009】
(実施の第1形態)
図1乃至
図4は、発明の実施の第1形態を示す。
図1において、符号1は超音波観察装置を示し、この超音波観察装置1は、概略的には、被検体内に対して超音波ビームを電子的に走査することによって、被検体内の所定の部位の超音波断層像(Bモード画像)を得るための装置である。
【0010】
この超音波観察装置1は、被検体内において超音波ビームの走査を行う、いわゆる超音波内視鏡の形態を有している。なお、超音波観察装置1の形態は超音波内視鏡に限られるものではなく、内視鏡の管路を介して被検体内に導入される超音波プローブと称される形態であってもよいし、被検体外から被検体内に向かって超音波ビームの走査を行う形態であってもよい。
【0011】
超音波観察装置1は、超音波内視鏡2と、超音波観察制御装置3と、モニタ4を備えて主要に構成されている。
【0012】
超音波内視鏡2は、体内に挿入される細長の挿入部10と、挿入部10の基端に連設された操作部20と、操作部20の側部から延出するユニバーサルコード30を有して構成されている。
【0013】
ユニバーサルコード30の基端部には、光源装置(図示せず)に接続されるコネクタ31が設けられている。コネクタ31からは、カメラコントロールユニット(図示せず)にコネクタ32aを介して接続されるケーブル32と、超音波観察制御装置3にコネクタ33aを介して着脱自在に接続される超音波ケーブル33とが延出されている。そして、超音波内視鏡2には、コネクタ33aを介して超音波観察制御装置3が接続され、更に、超音波観察制御装置3を介してモニタ4が接続されている。
【0014】
超音波内視鏡2の挿入部10は、先端側から順に、先端硬性部11と、先端硬性部11の後端に位置する湾曲部12と、湾曲部12の後端に位置して操作部20に至る細径かつ長尺で可撓性を有する可撓性管部13とが連設されて主要に構成されている。
【0015】
また、挿入部10の先端硬性部11には、超音波を送受信するための詳しくは後述する超音波送受信部14の他に、図示しないが、光学像を撮像するための撮像装置及び照明装置、及び処置具を突出させるための処置具挿通口17(
図2参照)等が設けられている。
【0016】
超音波内視鏡2の操作部20には、湾曲部12の湾曲を操作するためのアングル操作ノブ15が設けられている。また、操作部20には、先端硬性部11に設けられた流体送出部からの流体の送出動作の制御を行うための送気・送水ボタン16、処置具挿通口17からの吸引動作の制御を行うための吸引ボタン18等のスイッチが設けられている。
【0017】
超音波内視鏡2のユニバーサルコード30は、光源装置から発せられた光が、このユニバーサルコード30、操作部20及び挿入部10に挿通された光ファイバケーブルを伝わって、先端硬性部11の照明装置から出射される。なお、超音波内視鏡2は、先端硬性部11に配設された照明装置にLED等の光源装置が設けられる構成であってもよい。そして、カメラコントロールユニットは、先端硬性部11に設けられた撮像装置によって撮像された画像を、モニタ4に出力する装置に構成されている。
【0018】
また、超音波観察制御装置3は、超音波送受信部14による超音波の送受信動作の制御、及び超音波断層像の生成を行い、超音波断層像をモニタ4に出力する装置である。なお、超音波観察装置1は、超音波観察制御装置3及びモニタ4を具備しない構成であってもよい。
【0019】
次に、超音波観察装置1の超音波送受信部14が配設された部位の構成について説明する。超音波送受信部14は、ハウジング41に収容され保持されており、ハウジング41を介して挿入部10の先端硬性部11に固定されている。
【0020】
ハウジング41には、開口部42が形成されており、超音波送受信部14は、この開口部42の超音波送受面43内の所定の領域である超音波送受領域43aにおいて超音波を送受信するように構成されている。
【0021】
この超音波送受領域43aの外側の基端側領域は、超音波非送受領域43bとなっている。すなわち、ハウジング41の開口部42の基端側の外周部42aは、後述する電気音響変換部45を構成する超音波振動子群48の超音波振動子の振動する方向の角度に対して干渉する傾斜形状に延出されている。このため、開口部42の外周部42aと重なり合う超音波送受面43の部位(超音波非送受領域43b)では超音波の送受信が行われず、送信された超音波ビームはハウジング41内で反射される領域となっている。
【0022】
超音波送受面43は、超音波送受信部14の表面の一部である。超音波送受面43の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、
図2に示すように、超音波送受信部14は、外側に向かって凸形状の曲面からなる超音波送受面43を有して構成されている。
【0023】
図3は、超音波送受面43の超音波送受領域43a、超音波非送受領域43bをわかりやすくするために、超音波送受面43上に配設される詳しくは後述する音響レンズ部44を取り外した状態を示している。
【0024】
尚、以下において、超音波送受面43の法線に沿う方向について、超音波送受面43が面する方向を外側と称し、超音波送受面43が面する方向とは反対側の方向を内側と称する。
【0025】
具体的には、超音波送受面43は、略円筒面状の形状を有している。そして、超音波送受面43は、略円筒面状の超音波送受面43内における、周方向に所定の角度の範囲の領域で、超音波非送受領域43bは、開口部42の外周端面から超音波送受領域43aに連続する領域である。
【0026】
超音波送受信部14は、超音波送受領域43a内において超音波送受面43の法線に沿う方向(径方向)に超音波ビームを送受信可能であり、かつ超音波送受面43の周方向に超音波ビームの走査が可能なように構成されている。また、超音波非送受領域43bでは、送信された超音波ビームはハウジング41内で反射される。すなわち、本実施形態の超音波送受信部14は、略円弧状に超音波ビームの走査を行う構成を有している。このような超音波ビームの走査形式は、一般に電子コンベックス走査と称される。なお、超音波送受面43の形状は、異なる曲率を有する複数の曲面により構成されるものであってもよいし、1つ又は複数の平面により構成されるものであってもよい。また、超音波送受信部14による超音波ビームの走査形式は本実施形態に限られるものではない。
【0027】
そして、超音波送受信部14は、電気音響変換部45、バッキング材46及び音響整合層47を有して構成されている。
【0028】
電気音響変換部45は、電気信号と超音波とを相互に変換する構成を有している。電気音響変換部45の構成は、電気信号と超音波とを相互に変換可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば圧電セラミクス等の圧電素子や電歪素子、又はマイクロマシン技術による超音波トランスデューサ(MUT;Micromachined Ultrasonic Transducer)等が適用され得る。
【0029】
本実施形態では一例として、電気音響変換部45は、超音波送受面43よりも内側において、超音波送受面43に沿って略円弧状に配列された複数の圧電素子(超音波振動子)からなる超音波振動子群48によって構成されている。
【0030】
超音波振動子群48を構成する各超音波振動子は、それぞれ超音波送受面43の法線方向(径方向)に振動するように配設されている。また、超音波振動子群48を構成する各超音波振動子は、超音波送受面43よりも内側で超音波送受面43と略同じ範囲に配設されている。
【0031】
これら超音波振動子群48を構成する全ての超音波振動子は、それぞれ、配線基板49と電気配線50で接続され、配線基板49を介して駆動配線がケーブルユニット51にまとめられて超音波ケーブル33内を挿通されてコネクタ33aに接続されている。従って、超音波振動子群48を構成する全ての超音波振動子が、超音波ビームを送受信可能になっている。
【0032】
而して、
図4に示すように、超音波振動子群48は、超音波送受面43の超音波送受領域43aの裏側に位置して超音波ビームの送信波がハウジング41の開口部42から射出する第1の超音波振動子群48aと、超音波送受面43の超音波非送受領域43bの裏側に位置して超音波ビームの送信波がハウジング41内で反射される第2の超音波振動子群48bとにより構成されている。
【0033】
上述の如く超音波振動子群48からなる電気音響変換部45の内側には、バッキング材46が配設されている。バッキング材46は、電気音響変換部45から内側に向かって放射される超音波、及び内側から電気音響変換部45に向かう超音波を吸収する部材である。このため、本実施形態において、電気音響変換部45による超音波の送受信は、超音波送受面43の法線方向外側に向かってのみ行われる。
【0034】
音響整合層47は、電気音響変換部45の外側に配設された略板状の部材であり、電気音響変換部45が送受する超音波を透過する。音響整合層47は、電気音響変換部45と、後述する音響レンズ部44との音響インピーダンスの差を小さくするためのものである。なお、音響整合層47は、異なる密度を有する複数の層が積層される構成であってもよい。
【0035】
音響整合層47は、少なくとも電気音響変換部45の外側全体を覆うように配設されている。音響整合層47は、本実施形態の超音波送受信部14の最も外側に配設される部材である。すなわち、超音波送受信部14の超音波送受面43は、音響整合層47の外側の主面である。また、超音波送受領域43aは、音響整合層47の外側の面内において、電気音響変換部45が送受信する超音波が通過する領域である。
【0036】
以上のような構成を有する超音波送受信部14の超音波送受面43上には、音響レンズ部44が配設されている。音響レンズ部44は、超音波送受信部14が送信する超音波ビームを収束させるためのものである。
【0037】
音響レンズ部44を構成する材料は特に限定されるものではなく、被検体との音響インピーダンスマッチングに適した密度や耐薬品性等を考慮して決められる。本実施形態では、被検体が人体等の生体であることから、音響レンズ部44は、一例としてシリコーン樹脂によって構成されている。
【0038】
なお、音響レンズ部44の断面形状は、音響レンズ部44を構成する材料の密度、超音波送受信部14が送信する超音波の波長、超音波送受面43の幅、及び収束させる距離等に応じて定められるものであり、特に限定されるものではない。
【0039】
音響レンズ部44は、超音波送受面43の法線方向外側から見た場合に、少なくとも超音波送受領域43aの全体を覆う外形を有する。本実施形態では一例として、超音波送受面43の法線方向外側から見た場合に、音響レンズ部44は、超音波送受領域43aの周囲に延出しており、かつ、超音波送受面43は、音響レンズ部44の周囲に延出している。なお、本実施の形態においては、超音波送受面43の法線方向外側から見た場合に、音響レンズ部44の先端側は、超音波送受領域43aと略一致して形成されている。音響レンズ部44は、音響整合層47の外表面である超音波送受面43上に、例えばシリコーン系の接着剤により固定されている。
【0040】
以上に説明した構成を有する超音波送受信部14、音響レンズ部44等は、ハウジング41の凹部52に収容され保持されて、該ハウジング41は、先端硬性部11に固定されている。そして、ハウジング41の凹部52に収容された配線基板49からの駆動配線は、ケーブルユニット51にまとめられてハウジング41を貫通し凹部52内に開口する孔53、及び先端硬性部11を貫通し湾曲部12と孔53とを連通する孔54の内部に挿通され超音波ケーブル33内を挿通されてコネクタ33aに接続されている。
【0041】
このように、本発明の実施の第1形態によれば、超音波振動子群48を構成する全ての超音波振動子を、それぞれ、配線基板49と電気配線50で接続して、全ての超音波振動子が超音波の送受信ができるように構成した。このため、たとえ、ハウジング41の開口部42の外周部42aの形状(傾き、突出量)や影響等により超音波がハウジング41内で反射する第2の超音波振動子群48bが生じたとしても、超音波が開口部42から射出できる第1の超音波振動子群48aを適切に確保できる。従って、ハウジング41の開口部42の外周部42aの形状(傾き、突出量)や影響等を考慮した緻密な位置合わせや嵌合部の形成等が必要なく、容易に、精度良く超音波送受信部14を形成することができ、超音波内視鏡の小型化、高分解能化、高機能化も容易に図ることが可能となる。
【0042】
尚、本実施の第1形態では、ハウジング41内で反射する第2の超音波振動子群48bが、ハウジング41の開口部42の基端側に位置される例で説明したが、ハウジング41の開口部42の先端側に位置されるものであっても良く、或いは、先端側と基端側の両側に位置されるものであっても良い。
【0043】
(実施の第2形態)
次に、
図5乃至
図7は実施の第2形態を示す。尚、この実施の第2形態は、前記実施の第1形態の超音波内視鏡の超音波送受信部のハウジングの外周部に保護部が設けられ、この保護部により第2の超音波振動子群が設定される構成であることが前記第1形態とは異なり、他の構成は同一であるので同一の構成には同じ符号を記し、説明は省略する。
【0044】
本実施の第2形態による超音波送受信部60が配設された部位の構成について説明する。超音波送受信部60は、ハウジング61に収容され保持されており、ハウジング61を介して先端硬性部11に固定されている。
【0045】
ハウジング61には、開口部62が形成されており、超音波送受信部60は、この開口部62の超音波送受面63内の所定の領域である超音波送受領域63aにおいて超音波を送受信するように構成されている。
【0046】
この超音波送受領域63aの外側の先端側領域、及び、基端側領域は、後述するように超音波非送受領域63bとなっている。すなわち、超音波送受領域63aの外側の先端側領域、及び、基端側領域は、後述するように、それぞれ保護部64で覆われている。このため、保護部64と重なり合う超音波送受面63の部位(超音波非送受領域63b)では超音波の送受信が行われず、送信された超音波ビームはハウジング61内で反射される領域となっている。
【0047】
超音波送受面63は、超音波送受部60の表面の一部である。超音波送受面63の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、前記第1形態と同様、
図5に示すように、超音波送受信部60は、外側に向かって凸形状の曲面からなる超音波送受面63を有して構成されている。
【0048】
図6は、超音波送受面63の超音波送受領域63a、超音波非送受領域63bをわかりやすくするために、超音波送受面63上に配設される詳しくは後述する音響レンズ部65及び保護部64を取り外した状態を示している。
【0049】
尚、以下において、超音波送受面63の法線に沿う方向について、超音波送受面63が面する方向を外側と称し、超音波送受面63が面する方向とは反対側の方向を内側と称する。
【0050】
具体的には、超音波送受面63は、略円筒面状の形状を有している。そして、超音波送受領域63aは、略円筒面状の超音波送受面63内における、周方向に所定の角度の範囲の領域である。超音波送受領域63aは、超音波送受面63よりも小さく、超音波送受面63の中央に形成され、超音波送受領域63aの両端側には超音波非送受領域63bが形成されている。
【0051】
超音波送受信部60は、超音波送受領域63a内において超音波送受面63の法線に沿う方向(径方向)に超音波ビームを送信可能であり、かつ超音波送受面63の周方向に超音波ビームの走査が可能なように構成された、前記第1形態と同様の電子コンベックス走査が行われるものである。なお、超音波送受面63の形状は、異なる曲率を有する複数の曲面により構成されるものであってもよいし、1つ又は複数の平面により構成されるものであってもよい。また、超音波送受信部60による超音波ビームの走査形式は本実施形態に限られるものではない。
【0052】
そして、超音波送受信部60は、電気音響変換部66、バッキング材67及び音響整合層68を有して構成されている。
【0053】
電気音響変換部66は、前記第1形態と同様のもので、超音波送受面63よりも内側において、超音波送受面63に沿って略円弧状に配列された複数の圧電素子(超音波振動子)からなる超音波振動子群69によって構成されている。
【0054】
超音波振動子群69を構成する各超音波振動子は、それぞれ超音波送受面63の法線方向(径方向)に振動するように配設されている。また、超音波振動子群69を構成する各超音波振動子は、超音波送受面63よりも内側で超音波送受面63と略同じ範囲に配設されている。
【0055】
これら超音波振動子群69を構成する全ての超音波振動子は、それぞれ、配線基板49と電気配線50で接続され、配線基板49を介して駆動配線がケーブルユニット51にまとめられて超音波ケーブル33内を挿通されてコネクタ33aに接続されている。従って、超音波振動子群69を構成する全ての超音波振動子が、超音波ビームを送受信可能になっている。
【0056】
而して、超音波振動子群69は、超音波送受面63の超音波送受領域63aの裏側に位置して超音波ビームの送信波がハウジング61の開口部62から射出する第1の超音波振動子群69aと、超音波送受面63の保護部64で覆われた超音波非送受領域63bの裏側に位置して超音波ビームの送信波がハウジング61内で反射される第2の超音波振動子群69bとにより構成されている。
【0057】
上述の如く超音波振動子群69からなる電気音響変換部66の内側には、バッキング材67が配設されている。このバッキング材67は、前記第1形態と同様のものであるため、説明は省略する。また、電気音響変換部66を覆うように設ける音響整合層68も、前記第1形態と同様のものであるため、説明は省略する。
【0058】
以上のような構成を有する超音波送受信部60の超音波送受面63上には、前記第1形態と同様の超音波ビームを収束させる音響レンズ部65が配設されており、音響整合層68の両端部は、音響レンズ部65の両端部よりも外周方向に延出されている。
【0059】
音響レンズ部65は、音響整合層68の外表面である超音波送受面63上に、第1の接着剤により固定されている。第1の接着剤の種類は特に限定されるものではないが、例えばシリコーン系の接着剤が用いられる。
【0060】
音響整合層68の両端部の外側の面上には、一対の保護部64が配設されている。また、この一対の保護部64は、音響レンズ部65の両端部に接し、かつ超音波送受面63の法線方向外側から見た場合に、音響整合層68の端部よりも外側に向かって延出している。すなわち、保護部64は、超音波送受面63の音響レンズ部65によって覆われていない領域である外周部を覆い、かつ超音波送受面63よりも外周方向に延出するように配設されている。
【0061】
保護部64は、音響整合層68の外周部及び音響レンズ部65の端部の双方に第2の接着剤により接着されている。ここで、音響整合層68と音響レンズ部65との間の第1の接着剤による単位面積あたりの接着強度よりも、音響整合層68と保護部64との間の第2の接着剤による単位面積あたりの接着強度の方が高くなるように、保護部64を構成する材料及び第2の接着剤の種類が選ばれている。
【0062】
本実施形態においては、一例として、音響レンズ部65はシリコーン樹脂からなり、音響整合層68と音響レンズ部65とを接着する第1の接着剤はシリコーン系の接着剤が用いられている。そこで、保護部64を、例えばポリイミド、ポリアミド又はポリサルフォン等のいわゆるエンジニアリングプラスチックにより構成し、第2の接着剤を、エポキシ系の接着剤とすれば、音響整合層68と保護部64との間の第2の接着剤による単位面積あたりの接着強度の方が、音響レンズ部65と音響整合層68との間の第1の接着剤による単位面積あたりの接着強度よりも高くなる。
【0063】
また、音響レンズ部65の、保護部64と接着される端部の表面は、化学処理によって、第2の接着剤との親和性が高められている。ここで、音響レンズ部65と第2の接着剤との接着の親和性を高める化学処理の方法は特に限定されるものではないが、例えばプラズマ処理、イオンビーム処理又は酸による処理等の周知の技術が適用され得る。
【0064】
音響レンズ部65を構成するシリコーン樹脂は、一般的に接着剤との親和性が低く接着強度が比較的低い部材であるが、音響レンズ部65と第2の接着剤との接着の親和性を高める処理を行うことによって、音響レンズ部65と保護部64との接着の強度を高めることができ、音響レンズ部65と保護部64との剥離を防止することができる。
【0065】
以上に説明した構成を有する超音波送受信部60、音響レンズ部65及び保護部64等は、ハウジング61の凹部71に収容され保持されて、該ハウジング61は、先端硬性部11に固定されている。そして、ハウジング61の凹部71に収容された配線基板49からの駆動配線は、ケーブルユニット51にまとめられてハウジング61を貫通し凹部71内に開口する孔72、及び先端硬性部11を貫通し湾曲部12と孔72とを連通する孔73の内部に挿通され超音波ケーブル33内を挿通されてコネクタ33aに接続されている。
【0066】
以上のように、本実施の第2形態による超音波内視鏡2では、超音波送受面63において超音波を送受信する超音波送受信部60と、超音波送受面63が露出するように超音波送受信部60を保持するハウジング61と、超音波送受領域63aを覆うように超音波送受面63上に接着された音響レンズ部65とを有している。そして、超音波送受面63の音響レンズ部65により覆われていない外周部を覆い、超音波送受面63よりも外周方向に延出するように配設され、音響レンズ部65、超音波送受面63の外周部及びハウジング61に接着された保護部64をさらに有して構成されている。この際、保護部64は、超音波送受面63の外周部から、ハウジング61の凹部71にかけて接着剤により接着される。
【0067】
このような構成を有する本実施形態の超音波内視鏡2においては、音響整合層68及びハウジング61の境界部分の外側に、双方に接着される保護部材64が配設されていることから、ハウジング61内へ液体が浸入するための経路が長くなり、振動子の防水性がより向上する。
【0068】
また、例えば音響レンズ部65が、想定を超える過大な外力が加えられ音響整合層68及び保護部64との接着剤によるレンズ保持力が低下した場合においても、ハウジング61の内部の水密性は、保護部64と、音響整合層68及びハウジング61との接着によって保たれるため、ハウジング61内への液体の浸入を防止することができる。
【0069】
また、保護部64と、音響整合層68及びハウジング61と間の第2の接着剤による単位面積あたりの接着強度は、音響レンズ部65と音響整合層68との第1の接着剤による単位面積あたりの接着強度よりも、高い。このため、仮に音響レンズ部65が、音響整合層68から剥離してしまうような想定外の過大な外力が加えられたとしても、保護部64が音響整合層68及びハウジング61から剥離を抑制することができる。
【0070】
また、本実施の第2形態における第2形態による超音波内視鏡2では、超音波送受面63の超音波送受領域63aは、先端側の保護部64(の基端面)と基端側の保護部64(の先端面)との間に設定される。このため、当初より、電気音響変換部66において超音波送受領域63aを形成し、これを、上述の一対の保護部64により設定される超音波送受領域63aと重なるように組み立てるには、一対の保護部64の形状(傾き、突出量)や影響等を考慮した緻密な位置合わせや嵌合部の形成等が必要となる。しかし、本発明の実施の第2形態によれば、超音波振動子群69を構成する全ての超音波振動子を、それぞれ、配線基板49と電気配線50で接続して、全ての超音波振動子が超音波の送受信ができるように構成したので、たとえ、一対の保護部64の形状(傾き、突出量)や影響等により超音波がハウジング61内で反射する第2の超音波振動子群69bが生じたとしても、超音波が開口部62から射出できる第1の超音波振動子群69aを適切に確保できる。従って、一対の保護部64の形状(傾き、突出量)や影響等を考慮した緻密な位置合わせや嵌合部の形成等が必要なく、容易に、精度良く超音波送受信部60を形成することができ、超音波内視鏡の小型化、高分解能化、高機能化も容易に図ることが可能となる。
【0071】
(実施の第3形態)
次に、
図8は本発明の実施の第3形態による超音波観察制御装置の機能ブロック図である。尚、本実施の第3形態は、前記第1の超音波観察制御装置が前記第1形態による超音波内視鏡の超音波送受信部からの信号を受け、第1超音波振動子群を選定して第1超音波振動子群のみ駆動するようにしたものである。他の構成、作用は前記第1形態と同様であるので、同一の構成には同じ符号を記し、説明は省略する。
【0072】
すなわち、
図8に示すように、超音波観測制御部3は、送受信制御部101、Bモード画像演算部102、記憶部103、相関演算部104、及び超音波観測スイッチ105を備えて主要に構成される。なお、送受信制御部101、Bモード画像演算部102、及び相関演算部104の超音波観測制御部3への実装は、ハードウェア的なものであってもよいしソフトウェア的なものであってもよい。
【0073】
送受信制御部101は、超音波内視鏡2の超音波送受信部14による超音波ビームの送受信を制御する。すなわち、送受信制御部101によって、走査平面上についての位置の制御、及び走査平面上におけるBモード画像を得るための超音波ビームの走査が制御される。
【0074】
具体的には、超音波送受信部14の超音波送受面43内の超音波送受領域43aでは、電気音響変換部45を構成する超音波振動子群48の第1の超音波振動子群48aからの超音波ビームがハウジング41の開口部42から射出され受信されて適切な超音波画像を得ることができる。一方で、超音波送受面43内の超音波非送受領域43bでは、超音波振動子群48の第2の超音波振動子群48bから送信された超音波ビームはハウジング41内で反射され、超音波画像が得られない状況となる。
【0075】
そして、送受信制御部101がこの状況を検出すると、適切な超音波画像を得られている部位に配設されている超音波振動子群を第1の超音波振動子群48aと判定し、それ以外の超音波振動子群を第2の超音波振動子群48bと判定して第1超音波振動子群のみ駆動するように制御する。
【0076】
これにより、超音波画像を得るのに必要最小限の超音波振動子群、すなわち、第1の超音波振動子群48aのみの駆動が行われ、駆動電力、発生熱量等でロスの少ない画像観察を行うことができるように制御される。尚、送受信制御部101は、超音波送受領域43aに対応する全ての第1の超音波振動子群48aを駆動することなく、その中の一部を駆動するものであっても良い。
【0077】
Bモード画像演算部102は、超音波内視鏡2の超音波送受信部14による超音波ビームの走査の結果から、走査平面上におけるBモード画像を生成する。例えば走査平面上に処置具(図示せず)が存在している場合には、Bモード画像中に処置具のエコーパターンが現れる。
【0078】
記憶部103は、処置具の形状に応じて定められた所定の見本画像を記憶している。具体的には、見本画像は、走査平面と処置具の中心軸とが一致している場合におけるBモード画像中の処置具の理想的なエコーパターンの形状及び大きさを示す画像である。
【0079】
例えば、処置具が穿刺針であれば、見本画像は、穿刺針の中心軸が走査平面と一致した場合における、穿刺針の先端部のエコーパターンの形状及び大きさを表す画像となる。この見本画像は、処置具の種類や形状に応じて予め作成されるものである。
【0080】
相関演算部104は、Bモード画像と見本画像との相関値Rを演算する。具体的には、相関演算部104は、Bモード画像に対して、見本画像をテンプレートとしたパターンマッチングと称される画像処理を行い、Bモード画像中のエコーパターンと見本画像との類似度を算出する。Bモード画像中のエコーパターンと見本画像との類似度が高いほど、相関値Rは高くなる。パターンマッチングは周知の技術であるため、詳細な説明は省略するものとする。
【0081】
超音波観測スイッチ105は、使用者がBモード画像による観測の開始及び終了の指示を入力するための入力装置である。本実施形態では、一例として超音波観測スイッチ105は超音波観測制御部3に設けられているが、超音波観測スイッチ105は、超音波内視鏡2の操作部20に設けられる構成であってもよいし、フットスイッチのように超音波観測制御部3や超音波内視鏡2から分離して設けられる形態であってもよい。
【0082】
このように、本実施の第3形態の超音波観察装置1では、超音波観測制御部3により、前記第1形態、及び、第2形態による超音波内視鏡の効果に加え、駆動電力、発生熱量等でロスの少ない画像観察を行うことが可能となる。
【0083】
本出願は、2014年8月18日に日本国に出願された特願2014−166002号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。