(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6001490
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】車室内前部構造
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20160923BHJP
B60R 21/213 20110101ALI20160923BHJP
【FI】
B60R13/02 C
B60R21/213
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-82268(P2013-82268)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-205371(P2014-205371A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】栗田 和明
(72)【発明者】
【氏名】浅野 光昭
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−031149(JP,A)
【文献】
特開2000−033847(JP,A)
【文献】
実開平01−080556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60R 21/213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前部に配置されたインストルメントパネルと、
フロントピラーの車室内側に配置され、前記フロントピラーとの間にエアバッグ用の収納空間を形成するフロントピラーガーニッシュと、
前記インストルメントパネルの車幅方向外側端部に形成され、前記インストルメントパネルの一般面よりも車室外側に配置され係合穴が形成された底部と、前記インストルメントパネルの一般面と前記底部との間に配置され前記インストルメントパネルの一般面から車幅方向外側に向けて車両下方側へ傾斜するガイド部と、を有する係合部と、
前記フロントピラーガーニッシュの下端部に形成され、前記ガイド部と対向するように配置された被ガイド部と、
前記被ガイド部から車両下方側へ突出され前記係合穴に挿入される係合凸部と、
を備え、
前記フロントピラーガーニッシュの下方には、前記ガイド部よりも車両上方側に車両前後方向に沿って、エアバッグの展開時に折れの起点となる横低剛性部が形成されている、車室内前部構造。
【請求項2】
前記被ガイド部は、前記ガイド部の傾斜に沿って配置される被ガイド面を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の車室内前部構造。
【請求項3】
前記フロントピラーガーニッシュの車両後方側には、前記フロントピラーガーニッシュの延在方向に沿うと共に前記ガイド部にかけてエアバッグの展開時に折れの起点となる縦低剛性部が形成されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車室内前部構造。
【請求項4】
前記係合穴の車幅方向外側の壁面は、前記ガイド部と同一方向に傾斜している、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車室内前部構造。
【請求項5】
前記係合凸部の車両前後方向の両端面は、板厚方向の中央部が凸となる弧状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車室内前部構造。
【請求項6】
前記係合穴の壁面は、板厚方向の中央部が係合穴の内側に向かって凸となる弧状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車室内前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部保護エアバッグ装置の展開される車室内前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員保護補助装置としてのエアバッグ装置には種々の形態がある。近年、フロントピラーガーニッシュからルーフサイドレール部に沿ってエアバッグが収納され、側面衝突時やロールオーバー時に当該エアバッグをカーテン状に展開させて乗員の頭部を保護する頭部保護エアバッグ装置が搭載されるようになってきている(特許文献1参照)。
【0003】
このような頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグが大型化した場合に、フロントピラーガーニッシュの下側の開放が十分に行われないと、エアバッグの展開が不十分になってしまうことも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−033847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記背景を考慮し、車室内前部において、安定してエアバッグを展開させることが可能な車室内前部構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る車室内前部構造は、車室の前部に配置されたインストルメントパネルと、フロントピラーの車室内側に配置され、前記フロントピラーとの間にエアバッグ用の収納空間を形成するフロントピラーガーニッシュと、前記インストルメントパネルの車幅方向外側端部に形成され、前記インストルメントパネルの一般面よりも車室外側に配置され係合穴が形成された底部と、前記インストルメントパネルの一般面と前記底部との間に配置され前記インストルメントパネルの一般面から車幅方向外側に向けて車両下方側へ傾斜するガイド部と、を有する係合部と、前記フロントピラーガーニッシュの下端部に形成され、前記ガイド部と対向するように配置された被ガイド部と、前記被ガイド部から車両下方側へ突出され前記係合穴に挿入される係合凸部と、
前記フロントピラーガーニッシュの下方には、前記ガイド部よりも車両上方側に車両前後方向に沿って、エアバッグの展開時に折れの起点となる横低剛性部が形成されている。
【0007】
請求項1の発明に係る車室内前部構造では、インストルメントパネルの車幅方向外側端部に係合部が形成されており、この係合部が底部に形成された係合穴に、フロントピラーガーニッシュの係合凸部が挿入されている。インストルメントパネルの一般面と底部との間にはガイド部が形成されており、このガイド部と対向するように被ガイド部が配置されている。ガイド部は、インストルメントパネルの一般面から車幅方向外側に向けて車両下方側へ傾斜し、被ガイド部がこの傾斜したガイド部に対向配置されている。
【0008】
エアバッグの展開時に、収納空間に収納されたエアバッグからフロントピラーガーニッシュへ荷重が車幅方向内側へ向かって入力されると、被ガイド部はガイド部の傾斜に沿って車幅方向内側へ容易に移動することができる。また、係合凸部も被ガイド部と共に移動し係合穴から抜け出ることができる。これにより、エアバッグの展開時に、フロントピラーガーニッシュの下端部を安定して開放させることができる。
ま
た、フロントピラーガーニッシュの下方に横低剛性部が形成されており、横低剛性部は、エアバッグの展開時に折れの起点となるように、フロントピラーガーニッシュの他の部分よりも低剛性とされている。エアバッグの展開時には、エアバッグからの押圧力により横低剛性部を起点にフロントピラーガーニッシュの下方が折れ曲がる。これにより、フロントピラーガーニッシュの下端は車幅方向内側へ倒れ、係合凸部は係合穴から容易に抜け出すことができ、フロントピラーガーニッシュの下端部を、より安定して開放させることができる。
【0009】
請求項2の発明に係る車室内前部構造は、前記被ガイド部が、前記ガイド部の傾斜に沿って配置される被ガイド面を有している、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明に係る車室内前部構造によれば、被ガイド面がガイド部の傾斜に沿って配置されているので、フロントピラーガーニッシュの下端部とインストルメントパネルの係合部との間の突き合わせが容易になる。
【0013】
請求項3の発明に係る車室内前部構造は、前記フロントピラーガーニッシュの車両後方側には、前記フロントピラーガーニッシュの延在方向に沿うと共に前記ガイド部にかけてエアバッグの展開時に折れの起点となる縦低剛性部が形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明に係る車室内前部構造には、フロントピラーガーニッシュの車両後方側に縦低剛性部が形成されている。縦低剛性部は、エアバッグの展開時に折れの起点となるようにフロントピラーガーニッシュの他の部分よりも低剛性とされている。エアバッグの展開時には、エアバッグからの押圧力により縦低剛性部を起点にフロントピラーガーニッシュの車両後方側が折れ曲がる。これにより、フロントピラーガーニッシュの車両後方側を、フロントピラーガーニッシュのガイド部にかけて安定して開放させることができる。
【0015】
請求項4の発明に係る車室内前部構造は、前記係合穴の車幅方向外側の壁面が、前記ガイド部と同一方向に傾斜している、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明に係る車室内前部構造では、係合穴の車幅方向外側の壁面がガイド部と同一方向に傾斜しているので、係合凸部の車室内側への倒れる際の係合穴との引っ掛かりが生じにくく、係合凸部はガイド部と同方向傾斜しやすくなる。これにより、係合凸部は、ガイド部の傾斜に沿って係合穴から容易に抜け出ることができる。
【0017】
請求項5の発明に係る車室内前部構造は、前記係合凸部の車両前後方向の両端面は、板厚方向の中央部が凸となる弧状に形成されている、ことを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明に係る車室内前部構造では、係合凸部の車両前後方向の両端面と係合穴の壁面との間の接触面積が小さく、係合凸部の係合穴壁面への引っ掛かりを抑制することができる。
【0019】
請求項6の発明に係る車室内前部構造は、前記係合穴の壁面は、板厚方向の中央部が係合穴の内側に向かって凸となる弧状に形成されている、ことを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明に係る車室内前部構造では、係合穴の壁面と係合凸部との接触面積が小さく、係合凸部の係合穴壁面への引っ掛かりを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る請求項1の車室内前部構造によれば、車室内前部において、安定してエアバッグを展開させることができる。
【0022】
請求項2に記載の車室内前部構造によれば、フロントピラーガーニッシュの組付性を向上させることができる。
【0023】
請求項1に記載の車室内前部構造によれば、横低剛性部を起点とした折れ曲がりにより、より安定してエアバッグを展開させることができる。
【0024】
請求項3に記載の車室内前部構造によれば、縦低剛性部を起点とした折れ曲がりにより、より安定して、エアバッグを展開させることができる。
【0025】
請求項4に記載の車室内前部構造によれば、係合凸部がガイド部と同方向傾斜して係合穴からの抜け出しが容易になることにより、より安定して、エアバッグを展開させることができる。
【0026】
請求項5に記載の車室内前部構造によれば、係合凸部が係合穴から抜け出し易くするなることにより、より安定して、エアバッグを展開させることができる。
【0027】
請求項6に記載の車室内前部構造によれば、係合凸部が係合穴から抜け出し易くするなることにより、より安定して、エアバッグを展開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係る車室前部構造の車両側部一方側の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態のインストルメントパネルとフロントピラーガーニッシュの係合部分を車室内側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態のインストルメントパネルとフロントピラーガーニッシュの係合部分を被係合状態で車室外側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態のインストルメントパネルとフロントピラーガーニッシュの係合部分のA−A線の断面図であり、(A)は係合状態を示し、(B)はエアバッグ展開初期における動作状態を示している。
【
図5】本発明の実施形態のインストルメントパネルとフロントピラーガーニッシュの係合部分のA−A線の断面図であり、(A)はエアバッグ展開時における動作状態を示し、(B)はインストルメントパネルが開放された状態を示している。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係るインストルメントパネルとフロントピラーガーニッシュの係合部分の係合状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例に係る係合穴の形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本発明に係る車室内前部構造について説明する。なお、図中において示される矢印FRは車両前方側を示し、矢印UPは車両上方側を示し、矢印INは車幅方向内側を示し、矢印OUTは車幅方向外側を示している。
【0030】
図1には、本実施形態に係る車室内前部10が示されている。
図1に示されるように、車室内の前方には、車幅方向に沿ってインストルメントパネル20が配置されている。また、車幅方向の両側には、フロントピラー12、センターピラー14、ルーフサイドレール部16が配置されている。
【0031】
フロントピラー12の車室内側には、フロントピラーガーニッシュ30が配置されている。フロントピラー12とフロントピラーガーニッシュ30の間には、後述するエアバッグ18Bの前側を格納するフロントサイド収納空間13が形成されている。また、
図2にも示されるように、フロントピラーガーニッシュ30は、インストルメントパネル20の車幅方向外側端部に配置され、後述する係合部22と係合されている。ルーフサイドレール部16の車室内側には、ルーフヘッドライニング16Aが配置され、ルーフサイドレール部16とルーフヘッドライニング16Aの間には、ルーフサイド収納空間17が形成されている。
【0032】
上記のフロントサイド収納空間13、ルーフサイド収納空間17には、頭部保護エアバッグ装置18が設置されている。頭部保護エアバッグ装置18は、作動することによりガスを噴出する円柱形状のインフレータ18Aとエアバッグ18Bとを備えている。エアバッグ18Bは、インフレータ18Aのガス噴出部と接続されると共に折り畳まれて車両前後方向に長い長尺状とされている。エアバッグ18Bは、フロントピラー12、及びルーフサイドレール部16に沿って配置されている。エアバッグ18Bの車両前方側は、フロントサイド収納空間13に格納され、エアバッグ18Bのルーフサイドレール部16に沿った部分はルーフサイド収納空間17に収納されている。
【0033】
インフレータ18Aは、図示しない側面衝突センサによって側面衝突状態が検知された場合、または図示しないロールオーバーセンサによって車両のロールオーバー状態が検知された場合に、図示しないエアバッグ制御装置によって作動されるようになっている。インフレータ18Aの作動により、エアバッグ18Bは、フロントピラーガーニッシュ30及びルーフヘッドライニング16Aを押し開いて車室内へ展開する。エアバッグ18Bは、
図1の二点鎖線に示すようにカーテン状に展開し、着座する乗員の頭部を保護する。なお、インフレータ18Aは、センターピラー14の上方に配置されていてもよい。
【0034】
インストルメントパネル20の車幅方向両端には、
図3に示されるように、係合部22が形成されている。
図4(A)にも示されるように、係合部22は、インストルメントパネル20の車室内側の一般面20A(面一で車室内に表出している面)から斜め下方へ屈曲するガイド部24、及び、ガイド部24の車幅方向外側端から車幅方向外側へ屈曲する底部26を有している。ガイド部24は、前記一般面20Aから車室外側へ向かうと共に車幅方向外側へ延出され、車室内側に傾斜面24Aを形成している。また、底部26は、インストルメントパネル20の車室内側の一般面20Aよりも車室外側に段差をもって配置されている。底部26には、車両前後方向に長尺の係合穴28が形成されている。係合穴28は、長方形状とされ、車幅方向外側に配置される壁面28Aは、ガイド部24と同方向に傾斜している。
【0035】
フロントピラーガーニッシュ30の下端部31には、被ガイド部32が形成されている。被ガイド部32は、車幅方向外側へ向かって斜め下方へ傾斜しており、ガイド部24に沿って配置されている。被ガイド部32のガイド部24に沿った面(被ガイド面32A)は、傾斜面24Aに近接されている。
【0036】
被ガイド部32の下端には、係合凸部34が形成されている。係合凸部34は、被ガイド部32の下端から下方へ突出されている。係合凸部34の車両前後方向の両側端面34Bは、板厚方向の中央部が凸となる弧状とされている。係合凸部34の下端には、被ガイド部32と逆向きに屈曲された先端部34Cが形成されている。
【0037】
係合凸部34の車幅方向外側には、2本のリブ34Aが形成されている。リブ34Aは、車両上下方向に沿って形成され、車幅方向外側に凸となる弧状とされている。係合凸部34は係合穴28に挿入され、被ガイド面32Aは傾斜面24Aに近接されている。被ガイド面32Aよりも上側のフロントピラーガーニッシュ30の一般面30Aは、車室内に表出されている。
【0038】
フロントピラーガーニッシュ30の下端部31には、被ガイド部32よりも車両上下方向の上側に、車両前後方向に延びる横切欠溝36が形成されている。
図3に示されるように、横切欠溝36は、断面V字状の溝であり、フロントピラーガーニッシュ30の車室外側面に形成されている。横切欠溝36は、
図2に示されるように、フロントピラーガーニッシュ30の車両前後方向の全幅に亘って形成されている。
【0039】
また、フロントピラーガーニッシュ30には、車両前後方向の後方側にフロントピラーガーニッシュ30の長手方向に沿って縦切欠溝38が形成されている。
図3に示されるように、縦切欠溝38は、断面V字状の溝であり、フロントピラーガーニッシュ30の車室外側面に形成されている。縦切欠溝38は、横切欠溝36と交差し、下端が被ガイド部32に達する位置まで形成されている。
【0040】
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0041】
車両の側面衝突時またはロールオーバー時には、側面衝突センサまたはロールオーバーセンサによってその状態が検知され、エアバッグ制御装置に信号が入力され、インフレータ18Aが作動する。そして、インフレータ18Aからエアバッグ18Bへガスが噴出され、エアバッグ18Bは、フロントピラーガーニッシュ30及びルーフヘッドライニング16Aを押し開いて車室内へ展開する。
【0042】
上記のエアバッグ展開時には、フロントピラーガーニッシュ30が、フロントサイド収納空間13内から車室側へ押され、縦切欠溝38を起点として折れ曲がり、車両後方側が開放される。また、フロントピラーガーニッシュ30の下端部31は、横切欠溝36を起点として折れ曲がる。そして下端部31は、
図4(B)に示されるように、被ガイド部32の上端32Bを傾斜面24Aと接触させつつ車両幅方向内側へ移動する。その後、
図5(A)に示されるように、フロントピラーガーニッシュ30の下端部31は、さらに車両幅方向内側へ移動し、係合凸部34が係合穴28から抜け出るように移動する。そして、
図5(B)に示されるように、係合凸部34が係合穴28から完全に抜け出し、フロントピラーガーニッシュ30の下端部31と係合部22との係合が解除され、フロントサイド収納空間13の下端が開放される。
【0043】
本実施形態によれば、傾斜面24Aは、一般面20Aから車幅方向外側に向かいつつ底部26へ向かって傾斜しているので、被ガイド部32は傾斜面24Aに沿ってスムーズに移動することができる。また、係合穴28の壁面28Aは、ガイド部24と同方向に傾斜しているので、係合凸部34と壁面28Aとの引っ掛かりが生じにくくなる。したがって、係合凸部34の車幅方向内側への傾きが許容され、係合凸部34は容易に係合穴28から抜け出ることができる。これにより、フロントピラーガーニッシュ30の下端部31を安定して開放させることができ、フロントサイド収納空間13内のエアバッグ18Bを、車室内に良好に展開させることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、縦切欠溝38がフロントピラーガーニッシュ30の下端部31まで形成されているので、フロントピラーガーニッシュ30の車両後方側を下方まで確実に開放させることができる。また、横切欠溝36がフロントピラーガーニッシュ30の下端部31に形成されているので、横切欠溝36を起点とした折れ曲がりにより、係合凸部34を車室側へ傾斜させて、係合凸部34の係合穴28からの抜け出しを容易にすることができる。また、縦切欠溝38及び横切欠溝36は、フロントピラーガーニッシュ30のフロントサイド収納空間13側に形成されているので、車室内からの見栄えを損ねることがない。
【0045】
また、本実施形態では、係合凸部34の車両前後方向の両側端面34Bを弧状としたので、両側端面34Bと係合穴28の内壁との接触面積が小さくなり、係合凸部34の内壁への引っ掛かりが抑制される。したがって、係合凸部34を係合穴28から抜け出やすくすることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、横切欠溝36をフロントピラーガーニッシュ30の車両前後方向の一端から他端まで全幅に亘って形成したが、必ずしも全幅に亘って形成する必要はない。横切欠溝は、車両前後方向に沿って不連続に形成されていてもよいし、車両前後端に至らない長さのものであってよい。
【0047】
なお、本実施形態では、被ガイド部32をガイド部24に沿って傾斜させたが、被ガイド部32は必ずしもこのように傾斜させる必要はない。例えば、
図6に示すように、上端32Bで傾斜面24Aと近接し、傾斜面24Aと対向する中間部32Cは、上端32Bから車幅方向外側へ延出された後下側へ屈曲される屈曲形状とすることもできる。本実施形態のように、被ガイド部32をガイド部24に沿って傾斜させることにより、インストルメントパネル20とフロントピラーガーニッシュ30との間の突き合わせが容易になり、車室内からの見栄えをよくすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、係合凸部34の車両前後方向の両側端面34Bを弧状としたが(
図3参照)、
図7に示すように、係合穴28の内壁28Bについて、板厚方向の中央部が係合穴28の内側に向かって凸となる弧状にしてもよい。このように、係合凸部34の端面34B及び係合穴28の内壁28Bの少なくとも一方を弧状にすることにより、係合凸部34と内壁28Bとの接触面積が小さくなり、係合凸部34の内壁28Bへの引っ掛かりも抑制される。したがって、係合凸部34を係合穴28から抜け出しやすくすることができる。
【0049】
以上、本実施形態に係る車室内前部10の一例について説明したが、本発明の車室内前部構造は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 車室内前部
12 フロントピラー
13 フロントサイド収納空間(収納空間)
18B エアバッグ
20 インストルメントパネル
20A 一般面
22 係合部
24 ガイド部
24A 傾斜面
26 底部
28 係合穴
28A 壁面
30 フロントピラーガーニッシュ
31 下端部
32 被ガイド部
32A 被ガイド面
34 係合凸部
34B 端面
36 横切欠溝(横低剛性部)
38 縦切欠溝(縦低剛性部)