(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6001569
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】ポンプトルク制限を実施する油圧制御システム
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20160923BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
F15B11/02 C
F15B11/02 F
E02F9/22 R
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-556785(P2013-556785)
(86)(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公表番号】特表2014-508253(P2014-508253A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】US2012026841
(87)【国際公開番号】WO2012118773
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】13/037,084
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラント ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ランダール アンダーソン
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−129105(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/082636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/02
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を加圧するように構成されたポンプ(52)と、
加圧流体を受け取るように構成された複数のアクチュエータ(20、26)と、
ポンプから複数のアクチュエータに加圧流体を計量供給するように構成された複数の弁機構(54、56)と、
複数のアクチュエータの所望の速度を示す信号を発生するように構成された少なくとも1つの操作者入力デバイス(98)と、
複数の弁および少なくとも1つの操作者入力デバイスと通信する制御装置(58)とを備える油圧制御システム(48)であって、制御装置(58)が、
ポンプトルク制限量を受信し、
最大ポンプ流量容量を決定し、
少なくとも1つの操作者入力デバイスからの信号に基づいて、複数の弁機構それぞれに関する所望の流量を決定し、
最大ポンプ流量容量に基づいて、所望の流量の第1の減少を行い、
ポンプトルク制限量に基づいて、所望の流量の第2の減少を行い、
第2の減少後の所望の流量を計量供給するように複数の弁機構に指令し、
さらに、複数のアクチュエータのサブセットが停滞状態であると判断し、
判断に基づいて、複数のアクチュエータのうちの残りのアクチュエータに、サブセットに関する流体の所望の流量を割り振りし直す、
ように構成される油圧制御システム(48)。
【請求項2】
制御装置が、ポンプトルク制限量に基づいてポンプ制限流量を決定し、ポンプ応答遅延のモデルに基づいてポンプ制限流量を補正するようにさらに構成され、
第2の減少が、補正後のポンプ制限流量に基づく
請求項1に記載の油圧制御システム。
【請求項3】
第2の減少が、第1の減少後の所望の流量の和に対する、補正後のポンプ制限流量の比に基づく請求項2に記載の油圧制御システム。
【請求項4】
制御装置が、サブセットの速度および圧力に基づいて複数のアクチュエータのサブセットが停滞状態であると判断を行うように構成される請求項1に記載の油圧制御システム。
【請求項5】
制御装置が、流体の割り振りし直された所望の流量を、第1の減少後および第2の減少前の所望の流量に制限するようにさらに構成される請求項1に記載の油圧制御システム。
【請求項6】
制御装置が、
補正後のポンプ制限流量と、割り振りし直された所望の流量との差を計算し、
複数のアクチュエータのうちの停滞していないすべてのアクチュエータに差を案分する
ようにさらに構成される請求項1に記載の油圧制御システム。
【請求項7】
制御装置が、複数のアクチュエータが重力補助されているかどうか、かつ加圧流体の再生された流れを受け取っているかどうか判断するようにさらに構成され、
制御装置が、複数のアクチュエータが重力補助されていないとき、かつ加圧流体の再生された流れを受け取っていないときにのみ第2の減少を行うように構成される
請求項1に記載の油圧制御システム。
【請求項8】
機械(10)を動作させる方法であって、
流体を加圧するステップと、
加圧に関連付けられるトルク制限量を受信するステップと、
加圧に関連付けられる最大流量容量を決定するステップと、
複数の油圧式アクチュエータに関する所望の速度を示す操作者入力を受信するステップと、
所望の速度に基づいて、複数の油圧式アクチュエータ(20、26)それぞれに関して、流体の所望の流量を決定するステップと、
最大流量容量に基づいて、所望の流量の第1の減少を行うステップと、
トルク制限量に基づいて、所望の流量の第2の減少を行うステップと、
第2の減少後に、複数の油圧式アクチュエータに加圧流体を計量供給するステップと、
さらに、複数のアクチュエータのサブセットが停滞状態であると判断し、
判断に基づいて、複数のアクチュエータのうちの残りのアクチュエータに、サブセットに関する流体の所望の流量を割り振りし直すステップと、
を含む方法。
【請求項9】
ポンプトルク制限量に基づいてポンプ制限流量を求めるステップと、
ポンプ応答モデルに基づいてポンプ制限流量を補正するステップと
をさらに含み、
第2の減少が、補正後のポンプ制限流量に基づく
請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、油圧制御システムに関し、より詳細には、ポンプトルク制限動作を実施する油圧制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ、掘削機、ドーザ、モータグレーダ、および他のタイプの重機などの機械は、様々な作業を達成するために機械の1つまたは複数のポンプから油圧流体を供給される複数のアクチュエータを使用する。これらのアクチュエータは、典型的には、とりわけ操作者インターフェースデバイスの作動位置に基づいて速度制御される。特に、操作者は、特定のインターフェースデバイスを特定の変位位置に移動させるとき、対応する油圧式アクチュエータが所望の方向に所定の速度で移動することを期待する。しかし、操作中、全体として供給ポンプを駆動するエンジンのトルク制限量(torque limit)および/または動力出力を供給ポンプが超えてしまうような速度での複数のアクチュエータの移動を操作者が要求する可能性があり得る。チェックされていない場合、エンジンを停滞させる、および/またはエンジンを非効率的に動作させるような速度を操作者が要求する可能性があり得る。
【0003】
機械の油圧システムの動作によって引き起こされるエンジン停滞の可能性を減少するための試みの一つは、2010年1月24日に公開されたBrickner他の(特許文献1)(’403公開)で開示されている。特に、(特許文献1)は、対応する複数のアクチュエータに複数の弁を通して加圧流体を供給するために、エンジンによって駆動される可変変位ポンプと、手動制御デバイスおよび弁と通信する制御装置とを有する油圧システムを記載する。制御装置は、手動制御デバイスから、各アクチュエータに関する所望の速度を受信し、エンジンから、ポンプトルク制限量を受信するように構成される。制御装置は、さらに、所望の速度に対応するアクチュエータに対する流量と、ポンプトルク制限量に基づく流れ制限量(flow limit)とを決定するように構成される。次いで、制御装置は、ポンプトルク流れ制限量を所望の流量の和で割った値である縮小比を計算し、次いで、対応する指令が各弁に向けられる前に、決定された流量それぞれにその比を適用するように構成される。縮小比は、指令される流量が、全体として、エンジンによって要求されるトルク制限量よりも大きいポンプトルクを要求しないことを保証する助けとなる。
【0004】
(特許文献1)のシステムは、エンジン停滞の可能性を減少する助けとなり得るが、最適ではないことがある。特に、(特許文献1)のシステムは、ポンプ流量容量、アクチュエータ停滞、流れ補正、または重力補助など、弁を通る流れおよびポンプトルクに影響を及ぼす他の因子を考慮に入れていないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0154403号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
開示する油圧制御システムは、上述した問題、および/または従来技術の他の問題の1つまたは複数を克服することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本開示は、油圧制御システムを対象とする。この油圧制御システムは、流体を加圧するように構成されたポンプと、加圧流体を受け取るように構成された複数のアクチュエータと、ポンプから複数のアクチュエータに加圧流体を計量供給するように構成された複数の弁機構とを含むことがある。また、この油圧制御システムは、複数のアクチュエータの所望の速度を示す信号を生成するように構成された少なくとも1つの操作者入力デバイスと、複数の弁および少なくとも1つの操作者入力デバイスと通信する制御装置とを有することもある。制御装置は、ポンプトルク制限量を受信し、最大ポンプ流量容量を決定し、少なくとも1つの操作者入力デバイスからの信号に基づいて複数の弁機構それぞれに関する所望の流量を決定するように構成することができる。また、制御装置は、最大ポンプ流量容量に基づいて所望の流量の第1の減少を行い、ポンプトルク制限量に基づいて所望の流量の第2の減少を行い、第2の減少後の所望の流量を計量供給するように複数の弁機構に指令するように構成することもできる。
【0008】
別の態様では、本開示は、機械を動作させる方法を対象とする。この方法は、流体を加圧するステップと、加圧に関連付けられるトルク制限量を受信するステップと、加圧に関連付けられる最大流量容量を決定するステップとを含むことがある。さらに、この方法は、複数の油圧式アクチュエータに関する所望の速度を示す操作者入力を受信するステップと、所望の速度に基づいて、複数の油圧式アクチュエータそれぞれに関する流体の所望の流量を決定するステップとを含むことがある。この方法は、さらに、最大流量容量に基づいて所望の流量の第1の減少を行うステップと、トルク制限量に基づいて所望の流量の第2の減少を行うステップと、第2の減少後に、複数の油圧式アクチュエータに加圧流体を計量供給するステップとを含むこともある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1の機械に関連付けて使用することができる開示する例示的な油圧制御システムの概略図である。
【
図3】
図2の油圧制御システムによって行われる例示的な開示する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、作業を達成するために協働する複数のシステムおよび構成要素を有する例示的な機械10を示す。機械10は、採掘、建設、農業、輸送、または当技術分野で知られている他の産業など、ある産業に関連付けられるあるタイプの動作を実施する固定または可動機械を具現化することができる。例えば、機械10は、
図1に示されるローダなど、資材運搬機械でよい。あるいは、機械10は、掘削機、ドーザ、バックホー、モータグレーダ、ダンプトラック、または他の同様の機械を具現化することができる。機械10は、とりわけ、作業工具14を移動させるように構成された連係システム12と、連係システム12に動力を提供するプライムムーバ16とを含むことがある。
【0011】
連係システム12は、作業工具14を移動させるために、流体アクチュエータによって作用を及ぼされる構造を含むことがある。具体的には、連係システム12は、ブーム(すなわち上昇部材)17を含むことがあり、ブーム17は、1対の隣接する複動型油圧式シリンダ20(
図1には一方のみを示す)によって、作業面18に対して水平軸28の周りで垂直方向に回動可能である。また、連係システム12は、水平軸30の周りでブーム17に対して垂直方向に作業工具14を傾動させるために接続された単一の複動型油圧式シリンダ26を含むこともある。ブーム17は、一端で、機械10の本体32に回動可能に接続されることがあり、ブーム17の他端には、作業工具14が回動可能に接続されることがある。代替的な結合構成もまた可能となり得ることに留意されたい。
【0012】
単一の機械10に多数の異なる作業工具14を取付け可能であることがあり、特定の作業を行うように制御することができる。例えば、作業工具14は、バケツ(
図1に示す)、フォーク機構、ブレード、ショベル、リッパ、ダンプベッド、ほうき、除雪機、推進デバイス、切削デバイス、把持デバイス、または当技術分野で知られている別の作業実施デバイスを具現化することができる。作業工具14は、
図1の実施形態では機械10に対して上昇および傾動するように接続されているが、あるいは、またはさらに、回動、回転、摺動、揺動、または任意の他の好適な様式で移動することができる。
【0013】
プライムムーバ16は、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、気体燃料エンジン、または当技術分野で知られている別のタイプの燃焼機関などのエンジンを具現化することができ、機械10の本体32によって支持され、機械10および作業工具14の移動のために動力供給するように動作可能である。あるいは、プライムムーバは、必要に応じて、燃料電池、動力貯蔵デバイス(例えばバッテリ)、または当技術分野で知られている別の動力源など、非燃焼動力源を具現化することができることが企図される。プライムムーバは、機械的または電気的な動力出力を発生することができ、次いで、この動力出力を、油圧式シリンダ20および26を移動させるための油圧力に変換することができる。
【0014】
プライムムーバ16は、油圧式シリンダ20、26による使用向けのものであることがある限られた量の動力を有することがある。プライムムーバ16が連続的に供給することができるよりも大きな動力が消費されるとき、プライムムーバ16は停滞状態になり、出力速度および効率の低下を引き起こす可能性がある。いくつかの状況では、プライムムーバ16は、停滞状態中に完全に機能停止することさえあり得る。したがって、プライムムーバ16は、プライムムーバ16を停滞状態にせずに油圧式シリンダ20、26が消費を許される最大トルク制限量を確立するように構成されることがある。
【0015】
分かりやすくするために、
図2は、ただ1つの油圧式シリンダ26と、油圧式シリンダ20の1つとの構成および接続を示す。しかし、機械10は、必要に応じて、連係システム12の同じ構造部材または他の構造部材を同様の様式で移動させるために接続された他の油圧式アクチュエータを含むこともできることに留意すべきである。
【0016】
図2に示されるように、各油圧式シリンダ20および26は、第1のチャンバ38と第2のチャンバ40とを形成するように、管34と、管34の内部に配置されたピストンアセンブリ36とを含むことがある。一例では、ピストンアセンブリ36のロッド部分36aは、第2のチャンバ40の端部を通って延在することがある。したがって、第2のチャンバ40は、そのそれぞれのシリンダのロッドエンド44に関連付けられることがあり、第1のチャンバ38は、そのそれぞれのシリンダの反対側のヘッドエンド42に関連付けられることがある。
【0017】
第1のチャンバ38と第2のチャンバ40はそれぞれ、選択的に、加圧流体の供給および加圧流体の排出を行われることがあり、ピストンアセンブリ36を管34の内部で変位させ、それにより、油圧式シリンダ20、26の実効長さを変えて、作業工具14(
図1参照)を移動させる。第1のチャンバ38および第2のチャンバ40の内外への流体の流量は、油圧式シリンダ20、26および作業工具14の速度に関係することがあり、第1のチャンバ38と第2のチャンバ40の圧力差は、作業工具14に対して油圧式シリンダ20、26によって加えられる力に関係することがある。油圧式シリンダ20、26の伸張(矢印46によって表される)と収縮(矢印47によって表される)は、様々な様式で作業工具14を移動させる(例えば、それぞれ作業工具14を上昇および傾動させる)のを補助するように働くことがある。
【0018】
第1のチャンバ38および第2のチャンバ40の充填および排出を調整する助けとなるように、機械10は、相互接続して協働する複数の流体構成要素を有する油圧制御システム48を含むことがある。油圧制御システム48は、とりわけ、油圧式シリンダ20、26、エンジン駆動式ポンプ52、およびタンク53の間の回路を少なくとも部分的に形成する弁スタック50を含むことがある。弁スタック50は、上昇弁機構54と、傾動弁機構56と、いくつかの実施形態では1つまたは複数の補助弁機構(図示せず)とを含むことがあり、補助弁機構は、並列して加圧流体を受け取る、および放出するように流体接続される。一例では、弁機構54、56は、弁スタック50を形成するために互いにボルト留めされた別個の本体を含むことがある。別の実施形態では、各弁機構54、56は、外部流路(図示せず)のみを介して互いに接続された独立型の機構でよい。必要に応じて、より多数、より少数、または異なる構成の弁機構を弁スタック50の内部に含むことができることが企図される。例えば、連係システム12、1つまたは複数の移動弁機構、および他の適切な弁機構の揺動運動を制御するように構成された揺動弁機構(図示せず)を弁スタック50内に含むことができる。さらに、油圧制御システム48は、油圧式シリンダ20、26の対応する移動をプライムムーバ16により確立されたトルク制限量の中に制御するために、プライムムーバ16および弁機構54、56と通信する制御装置58を含むことがある。
【0019】
上昇弁機構54と傾動弁機構56はそれぞれ、それらの関連の流体アクチュエータの運動を調整することができる。具体的には、上昇弁機構54は、両方の油圧式シリンダ20の運動を同時に制御し、それにより作業面18に対してブーム17を上昇させるように移動可能な要素を有することがある。同様に、傾動弁機構56は、油圧式シリンダ26の運動を制御し、それによりブーム17に対して作業工具14を傾動するように移動可能な要素を有することもある。ブーム17の下降移動、および作業工具14の下方向への傾動移動中、油圧式シリンダ20、26は、重力によって補助されることがある。対照的に、上方向への上昇および傾動移動中、油圧式シリンダ20、26は、重力に反して作業していることがある。重力補助移動中、油圧式シリンダ20、26は、再生モードで動作することが可能であることがあり、第1のチャンバ38と第2のチャンバ40の一方からの加圧流体(すなわち再生流体)が、第1のチャンバ38と第2のチャンバ40の他方の内部で即時に再使用するのに十分に高い圧力で放出されることがあり、それにより、油圧制御システム48に対する負荷を減少させる。
【0020】
弁機構54、56は、共通の経路を介して、油圧式シリンダ20、26への加圧流体の流れおよび油圧式シリンダ20、26からの加圧流体の流れを調整するように接続することができる。具体的には、弁機構54、56は、共通の供給経路60を介してポンプ52に接続することができ、共通の排出経路62を介してタンク53に接続することができる。上昇弁機構54と傾動弁機構56は、それぞれ別個の流体経路66および68を介して共通の供給経路60に並列に接続することができ、また、それぞれ別個の流体経路72および74を介して共通の排出経路62に並列に接続することができる。各流体経路66、68の内部に、圧力補償弁78および/またはチェック弁79を配設して、実質的に一定の流量を有する一方向での流体供給を弁機構54、56に提供することができる。圧力補償弁78は、流れ通過位置と流れ阻止位置との間の差圧に応答して移動可能な事前補償弁(
図2に示される)または事後補償弁(図示せず)でよく、それにより、圧力補償弁78に向けられる流体の圧力が変わるときでさえ、流体の実質的に一定の流量が弁機構54および56に提供される。いくつかの用途では、必要に応じて、圧力補償弁78および/またはチェック弁79を省略することができることが企図される。
【0021】
上昇弁機構54と傾動弁機構56はそれぞれ実質的に同一であり、4つの独立した調量弁(IMV)を含むことがある。4つのIMVのうち、2つは、一般に流体供給機能に関連付けられることがあり、2つは、一般に排出機能に関連付けられることがある。例えば、上昇弁機構54は、ヘッドエンド供給弁80と、ロッドエンド供給弁82と、ヘッドエンド排出弁84と、ロッドエンド排出弁86とを含むことがある。同様に、傾動弁機構56は、ヘッドエンド供給弁88と、ロッドエンド供給弁90と、ヘッドエンド排出弁92と、ロッドエンド排出弁94とを含むことがある。
【0022】
ヘッドエンド供給弁80は、流体経路66と、油圧式シリンダ20の第1のチャンバ38に連通する流体経路104との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して第1のチャンバ38への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。ヘッドエンド供給弁80は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第1のチャンバ38内に流れることを可能にされる第1の端部位置と、第1のチャンバ38からの流体の流れが阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。第1のチャンバ38内部の圧力がポンプ52の圧力および/または再生流体を受け取るチャンバの圧力を超える再生イベント中、ヘッドエンド供給弁80は、第1のチャンバ38からの流体がヘッドエンド供給弁80を通って流れることができるように構成することもできることが企図される。さらに、ヘッドエンド供給弁80は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、上述した以外の追加の要素または異なる要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ヘッドエンド供給弁80は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0023】
ロッドエンド供給弁82は、流体経路66と、油圧式シリンダ20の第2のチャンバ40に連通する流体経路106との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して第2のチャンバ40への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。ロッドエンド供給弁82は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第2のチャンバ40内に流れることを可能にされる第1の端部位置と、第2のチャンバ40からの流体が阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。第2のチャンバ40内部の圧力がポンプ52の圧力および/または再生流体を受け取るチャンバの圧力を超える再生イベント中、ロッドエンド供給弁82は、第2のチャンバ40からの流体がロッドエンド供給弁82を通って流れることができるように構成することもできることが企図される。さらに、ロッドエンド供給弁82は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、追加の弁要素または異なる弁要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ロッドエンド供給弁82は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0024】
ヘッドエンド排出弁84は、流体経路104と流体経路72との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して、油圧式シリンダ20の第1のチャンバ38からタンク53への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。ヘッドエンド排出弁84は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第1のチャンバ38から流れることを可能にされる第1の端部位置と、第1のチャンバ38からの流体の流れが阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。ヘッドエンド排出弁84は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、追加の弁要素または異なる弁要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ヘッドエンド排出弁84は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0025】
ロッドエンド排出弁86は、流体経路106と流体経路72との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して、油圧式シリンダ20の第2のチャンバ40からタンク53への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。ロッドエンド排出弁86は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第2のチャンバ40から流れることを可能にされる第1の端部位置と、第2のチャンバ40からの流体の流れが阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。ロッドエンド排出弁86は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、追加の弁要素または異なる弁要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ロッドエンド排出弁86は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0026】
ヘッドエンド供給弁88は、流体経路68と、油圧式シリンダ26の第1のチャンバ38に連通する流体経路108との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して第1のチャンバ38への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。ヘッドエンド供給弁88は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第1のチャンバ38内に流れることを可能にされる第1の端部位置と、第1のチャンバ38からの流体の流れが阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。第1のチャンバ38内部の圧力がポンプ52の圧力および/または再生流体を受け取るチャンバの圧力を超える再生イベント中、ヘッドエンド供給弁88は、第1のチャンバ38からの流体がヘッドエンド供給弁88を通って流れることができるように構成することもできることが企図される。さらに、ヘッドエンド供給弁88は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、追加の要素または異なる要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ヘッドエンド供給弁88は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0027】
ロッドエンド供給弁90は、流体経路68と、油圧式シリンダ26の第2のチャンバ40に連通する流体経路110との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して第2のチャンバ40への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。具体的には、ロッドエンド供給弁90は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第2のチャンバ40内に流れることを可能にされる第1の端部位置と、第2のチャンバ40からの流体が阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。第2のチャンバ40内部の圧力がポンプ52の圧力および/または再生流体を受け取るチャンバの圧力を超える再生イベント中、ロッドエンド供給弁90は、第2のチャンバ40からの流体がロッドエンド供給弁90を通って流れることができるように構成することもできることが企図される。さらに、ロッドエンド供給弁90は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、追加の弁要素または異なる弁要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ロッドエンド供給弁90は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0028】
ヘッドエンド排出弁92は、流体経路108と流体経路74との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して、油圧式シリンダ26の第1のチャンバ38からタンク53への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。具体的には、ヘッドエンド排出弁92は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第1のチャンバ38から流れることを可能にされる第1の端部位置と、第1のチャンバ38からの流体の流れが阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。ヘッドエンド排出弁92は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、追加の弁要素または異なる弁要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ヘッドエンド排出弁92は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0029】
ロッドエンド排出弁94は、流体経路110と流体経路74との間に配設することができ、制御装置58からの流量指令に応答して、油圧式シリンダ26の第2のチャンバ40からタンク53への加圧流体の流量を調整するように構成することができる。ロッドエンド排出弁94は、可変位置のばね偏倚式の弁要素、例えばポペットまたはスプール要素を含むことがあり、これは、流体が第2のチャンバ40から流れることを可能にされる第1の端部位置と、第2のチャンバ40からの流体の流れが阻止される第2の端部位置との間の任意の位置に移動するように作動および構成されるソレノイドである。ロッドエンド排出弁94は、例えば、固定位置弁要素または当技術分野で知られている任意の他の弁要素など、追加の弁要素または異なる弁要素を含むことができることが企図される。あるいはまた、ロッドエンド排出弁94は、油圧作動、機械作動、空気圧作動、または別の適切な様式で作動することもできることが企図される。
【0030】
ポンプ52は、可変容量を有することがあり、負荷感知制御することができ、タンク53から流体を引き出して、流体を特定の高圧で弁機構54、56に放出する。すなわち、ポンプ52は、ストローク調節メカニズム96、例えばスワッシュプレートまたはスピル弁を含むことがあり、その位置が、油圧制御システム48の感知された負荷に基づいて油圧機械式に調節され、それによりポンプ52の出力(例えば放出速度)を変える。ポンプ52の変位は、ポンプ52から実質的に流体が放出されないゼロ変位位置から、流体が最大流量でポンプ52から放出される最大変位位置まで調節することができる。一実施形態では、負荷感知経路(図示せず)が、圧力信号をストローク調節メカニズム96に送ることができ、その信号の値に基づいて(すなわち経路内の信号流体の圧力に基づいて)ストローク調節メカニズム96の位置が変化して、ポンプ52の出力を増加または減少させることができ、それにより特定の圧力を維持することができる。ポンプ52は、例えば、カウンタシャフトによって、ベルトによって、または別の適切な様式で、機械10のプライムムーバ16に駆動可能に接続することができる。あるいは、ポンプ52は、トルク変換器を介して、ギアボックスを介して、電気回路を介して、または当技術分野で知られている任意の他の様式で、プライムムーバ16に間接的に接続することができる。
【0031】
ポンプ52は、入力速度と、ストローク調節メカニズム96の変位位置とに少なくとも一部依存する最大流量容量を有することがある。すなわち、所与の入力速度(すなわちプライムムーバ16の出力速度)および所与の変位に関して、ポンプ52は、指定の時間内に特定量の圧力流体を放出することができる。流体のこの量は、ポンプ52の変位または入力速度の変更を行わずに油圧式シリンダ20、26が消費することができる流体の最大量でよい。所与の入力速度に関してポンプ52の流量容量を高めるために、ポンプ52の変位を最大変位位置まで増加させる必要があることがある。同様に、所与の変位に関してポンプ52の流量容量を高めるために、ポンプ52の入力速度を増加させる必要があることがある。しかし、ほとんどの状況で、ポンプ52の入力速度(すなわちプライムムーバ16の出力速度)は、ポンプ52に関連付けられない因子、例えば、機械10の機械効率および/または移動速度に関連付けられる目標エンジン速度に基づいて制御されることがある。したがって、ポンプ52の流量を制御する主な手段は、ポンプ52の変位を、さらなる流れを利用可能でないことがある最大変位位置まで調節することを含むことがある。
【0032】
タンク53は、流体の供給を保つように構成されたリザーバを構成することができる。流体は、例えば、専用の油圧作動油、エンジン潤滑油、トランスミッション潤滑油、または当技術分野で知られている任意の他の流体を含むことがある。機械10の内部の1つまたは複数の油圧回路は、タンク53から流体を引き出すこと、およびタンク53に流体を戻すことができる。また、必要に応じて、油圧制御システム48を複数の個別の流体タンクに接続することができることが企図される。
【0033】
制御装置58は、とりわけ、機械10の操作者からの入力、プライムムーバ16からのトルク制限量、ポンプ52の最大流量容量、および/または1つまたは複数の感知される動作パラメータに基づいて、弁機構54、56を制御するための構成要素を含む単一のマイクロプロセッサまたは複数のマイクロプロセッサを具現化することができる。多数の市販のマイクロプロセッサを、制御装置58の機能を実施するように構成することができる。制御装置58は、複数の機械機能を制御することが可能な汎用機械マイクロプロセッサで容易に具現化することができることを理解すべきである。制御装置58は、メモリ、二次記憶デバイス、処理装置、またはアプリケーションを実行するための任意の他の構成要素を含むことがある。電源回路、信号調整回路、ソレノイドドライバ回路、および他のタイプの回路など、様々な他の回路が制御装置58に関連付けられることがある。
【0034】
制御装置58は、機械10の操作卓の内部に位置する1つまたは複数のインターフェースデバイス98を介して、機械10の所望の移動に関連付けられる操作者入力を受信することができる。インターフェースデバイス98は、例えば、単軸または多軸ジョイスティック、レバー、または(機械10が搭乗した操作者によって直接制御される場合には)搭載された操作者座席の近傍に位置するか機械10に搭載されない離れた場所にある他の既知のインターフェースデバイスを具現化することがある。各インターフェースデバイス98は、比例型のデバイスでよく、これは、中立位置から最大変位位置までの範囲を通って移動可能であり、対応する変位信号を生成し、この信号は、油圧式シリンダ20、26によって引き起こされる作業工具14の所望の速度、例えば作業工具14の所望の傾動および/または上昇速度を示す。所望の上昇および傾動速度信号は、同じまたは異なるインターフェースデバイス98によって個別にまたは同時に生成することができ、さらなる処理のために制御装置58に送ることができる。
【0035】
インターフェースデバイス位置信号、プライムムーバトルク制限量、最大ポンプ流量容量、対応する所望の作業工具速度、関連の流量、弁要素位置、システム圧力、および/または油圧制御システム48の他の特性に関係する1つまたは複数のマップを、制御装置58のメモリに記憶することができる。これらのマップはそれぞれ、テーブル、グラフ、および/または数式の形態でよい。一例では、所望の作業工具速度および指令された流量は、ヘッドエンドおよびロッドエンド供給弁80、82、88、90の制御のための2Dテーブルの座標軸を成すことがある。所望の速度で油圧式シリンダ20、26を移動させるのに必要な指令された流量と、それに対応する、適切な弁機構54、56の弁要素位置とは、必要に応じて、同じまたは別の独立した2Dまたは3Dマップに関係付けられることがある。あるいはまた、所望の速度を、単一の2Dマップ内の弁要素位置に直接関係付けることもできることが企図される。制御装置58は、油圧式シリンダ20、26の作動に影響を及ぼすために、操作者がこれらのマップを直接修正することができるように、および/または制御装置58のメモリに記憶されている利用可能な関係マップから特定のマップを選択することができるように構成することができる。また、必要に応じて、感知または決定された機械動作モードに基づいて、制御装置58によって使用するためのマップを自動的に選択することができることも企図される。
【0036】
制御装置58は、インターフェースデバイス98から入力を受信し、その入力に応答して、かつ上述した関係マップに基づいて、弁機構54、56の動作を指令するように構成することができる。具体的には、制御装置58は、所望の作業工具速度を示すインターフェースデバイス位置信号を受信し、制御装置58のメモリに記憶されている選択および/または修正された関係マップを参照して、弁機構54、56内部の所望の供給要素および/または排出要素それぞれに関する所望の流量を決定することができる。従来の油圧システムでは、次いで、所望の流量が適切な供給要素および排出要素に指令されて、所望の作業工具速度に対応する流量で油圧式シリンダ20、26内部の特定のチャンバの充填を行う。しかし、上述したように、所望の流量が、全体として、プライムムーバ16によって提供されるトルク制限量を超えるポンプ52によるトルク消費を生じることがあり、それにより速度低下、低効率、さらにはプライムムーバ故障の可能性を高める状況もあり得る。したがって、以下の節でより詳細に説明する制御装置58は、油圧式シリンダ20、26内に加圧流体を計量供給するように弁機構54、56に指令する前に、所望の流量を選択的に減少させるように構成することができ、それにより、ポンプ52によるトルク消費を制限する。
【0037】
制御装置58は、機械間のばらつきを考慮に入れるために、少なくとも一部、各油圧式シリンダ20、26に入る流体の測定される流量および/または圧力に依拠することがある。測定される流量は、1つまたは複数のセンサ102、103によって直接または間接的に感知されることがある。開示する実施形態では、各センサ102、103は、異なる油圧式シリンダ20、26のピストンアセンブリ36内部に埋め込まれた磁石(図示せず)に関連付けられる磁気ピックアップ型のセンサを具現化することができる。この構成では、センサ102、103はそれぞれ、磁石の相対位置を監視し、時間に対する位置変化をインデックスし、対応する速度信号を生成することによって、対応する油圧式シリンダ20、26の延出位置を検出するように構成することができる。油圧式シリンダ20、26が延出および後退するとき、センサ102、103は、速度信号を生成して、さらなる処理のために制御装置58に送ることができる。あるいは、センサ102、103は、他のタイプのセンサを具現化することもできることが企図され、例えば、油圧式シリンダ20、26の内部の導波路(図示せず)に関連付けられる磁気抵抗型のセンサ、油圧式シリンダ20、26に外部に取り付けられたケーブル(図示せず)に関連付けられるケーブル型のセンサ、内部または外部に取り付けられた光センサ、油圧式シリンダ20、26によって回動可能なジョイントに関連付けられるロータリ型のセンサ、または当技術分野で知られている任意の他のタイプのセンサである。あるいは、センサ102、103は、単に、油圧式シリンダ20、26の延出および後退位置に関連付けられる信号を生成するように構成することができ、制御装置58が次いで、時間に従って位置信号をインデックスし、それにより、センサ102、103からの位置信号に基づいて油圧シリンダ20、26の速度を決定することもさらに企図される。センサ102、103によって提供される速度情報から、かつ油圧式シリンダ20、26の既知の幾何形状および/または運動学的特徴(例えば流通面積)に基づいて、制御装置58は、油圧式シリンダ20、26に入る流体の流量を計算するように構成することができる。すなわち、特定のシリンダに入る流体の流量は、シリンダの速度およびその流通断面積の関数として、制御装置58によって計算することができる。
【0038】
油圧制御システム48の圧力は、圧力センサ105によって直接または間接的に測定することができる。圧力センサ105は、油圧制御システム48の圧力を示す信号を生成するように構成された任意のタイプのセンサを具現化することがある。例えば、圧力センサ105は、センサ要素と連絡する流体による関連のセンサ要素の圧縮に比例する信号を生成するように構成された、歪ゲージ型、容量型、または圧電型の圧縮センサでよい。圧力センサ105によって生成された信号は、さらなる処理のために制御装置58に送ることができる。
【0039】
図3は、制御装置58によって行われる例示的なポンプトルク制限動作を示す。開示する概念をさらに示すために、
図3を以下の節でより詳細に論じる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
開示する油圧制御システムは、機械性能およびアクチュエータ制御性が問題となる複数の流体アクチュエータを含む任意の機械に適用可能であることがある。開示する油圧制御システムは、ポンプトルク制限動作によりプライムムーバ停滞の可能性および/または影響を減少することによって、機械性能を高めることができる。各アクチュエータを通る流体の流れに対して分散的および比例的にポンプトルク制限動作を実施し、ポンプ容量、アクチュエータ停滞、流れ補正、および重力補助を考慮に入れることによって、アクチュエータの制御性を改良することができる。ここで、油圧制御システム48の動作を説明する。
【0041】
機械10の動作中、機械の操作者は、インターフェースデバイス98を操作して、作業工具14の対応する移動を要求することができる。インターフェースデバイス98の変位位置は、操作者が望む作業工具14の速度に関係付けられることがある。インターフェースデバイス98は、操作中に操作者が望む作業工具14の速度を示す位置信号を生成して、これらの位置信号をさらなる処理のために制御装置58に送ることができる。
【0042】
制御装置58は、所望の速度を示す操作者インターフェースデバイス位置信号を受信し(ステップ300)、メモリに記憶されているマップを参照して、対応する所望の流量を決定する(ステップ302)ことができ、これは、油圧式シリンダ20、26を所望の速度で移動させるはずである。次いで、制御装置58は、各油圧式シリンダ20、26に関する所望の流量をすべて足し合わせることができる(ステップ304)。
【0043】
ステップ300〜304の完了とほぼ同時に、制御装置58は、現在の動作状態を前提として、最大ポンプ流量容量を決定することもできる(ステップ305)。制御装置58は、所与の速度でポンプ52に関して利用可能な最大変位位置を決定するために、メモリに記憶されている関係と共に現在のポンプ入力速度(すなわちプライムムーバ16の現在の出力速度)を参照することによって、最大ポンプ流量を決定することができる。次いで、制御装置は、入力速度と最大変位位置の関数として、対応する流量を計算し、いくつかの実施形態では、既知の損失、超過速度設定値、および/またはポンプ52からの流れを消費している制御されていないアクチュエータ以外の負荷に基づいて、流量を補償することができる。いくつかの実施形態では、制御装置58はまた、ポンプ間のばらつきを考慮する補正因子をポンプ52の最大流量容量に適用することもある(ステップ306)。補正因子の決定は、以下により詳細に説明する。
【0044】
制御装置58は、最大ポンプ流量容量と、上述した所望の流量の和とを利用して、流れ制限量スケーリング因子を決定することができ(ステップ308)、流れ制限量スケーリング因子は、所望の流量がポンプ52の最大容量を超えないことを保証する助けとなることがある。特に、流れ制限量スケーリング因子は、最大ポンプ流量容量と所望の流量の和との比として決定することができる。開示する実施形態では、この比は、0〜1の範囲に制限されることがある。流れ制限量スケーリング因子の決定後、制御装置58は、所望の流量の第1の減少中に因子を適用することができる。すなわち、制御装置58は、各油圧式シリンダ20、26に関する所望の流量に流れ制限量スケーリング因子を掛けることができる(ステップ310)。次いで、制御装置58は、第1の減少が行われた後に、所望の流量を足し合わせることができる(ステップ312)。
【0045】
ステップ300〜312の完了とほぼ同時に、制御装置58はまた、プライムムーバ16から、ポンプ52に関するトルク制限量を受信し(ステップ314)、対応するトルク流れ制限量を決定することができる(ステップ316)。トルク流れ制限量は、圧力センサ105によって提供される現在の圧力信号と、プライムムーバ16によって提供されるトルク制限量との関数として決定されることがある。例えば、現在のトルク流れ制限量を決定するために、トルク制限量を現在の圧力で割ることができる。ステップ306に関して上述したのと同様に、ステップ316で決定されるトルク流れ制限量は、ポンプ間のばらつきを見込むのと同じまたは別の補正因子を使用して補正することができる(ステップ318)。上でも述べたように、補正因子の決定は、以下により詳細に説明する。
【0046】
制御装置58は、ステップ316、318で決定された補正されたトルク流れ制限量と、ステップ312で決定されたスケール調整された所望の流量の和とを利用して、トルク制限量スケーリング因子を決定することができ、トルク制限量スケーリング因子は、プライムムーバ16によって設定されるトルク制限量を所望の流量が超えないことを保証する助けとなることがある。特に、トルク制限量スケーリング因子は、補正されたトルク制限流量と、スケール調整された所望の流量の和との比として決定されることがある。トルク制限量スケーリング因子の決定後、制御装置58は、所望の流量の第2の減少中にその因子を適用し(ステップ328)、次いで、得られた流量を、対応する弁機構54、56に割り振ることができる(ステップ326)。
【0047】
いくつかの状況では、制御装置58は、スケール調整された所望の流量の割振り中に、ステップ300で操作者によって要求された移動方向を考慮するように構成することができる。具体的には、制御装置58は、要求される作業工具14の移動が概して重力と同方向である(すなわち、要求される流れ方向により、対応する油圧式シリンダ20、26が重力の補助の下で移動される、または重力に反して移動される)か、または油圧式シリンダ20、26の1つの再生が行われているかを判断するように構成することができ(ステップ322)、その判断に応じて異なる様式で応答する。要求される移動が重力に反するとき(例えば、作業工具14が上昇または上方向に傾動しているとき)、かつ再生が行われていないときには、制御は、上述したようにステップ322を通過することができる。しかし、要求される移動が重力と同方向であるとき(例えば、作業工具14が下降または下方向に傾動しているとき)、または再生が行われているときには、制御装置58は、ステップ310中に決定されたスケール調整された所望の流量を変えることなく維持するように構成することができる(ステップ324)(すなわち、トルク制限量スケーリング比が適用されないことがある)。このようにして、流体の指令された流量で可能なよりも速くシリンダを移動させる重力または再生の影響を回避することができ、補正流量の完全性を保つことができ、それにより、油圧制御システム48に安定性を提供する。
【0048】
また、制御装置58は、いくつかの実施形態では、油圧システム48内部のアクチュエータのサブセット(すなわち、油圧式シリンダ20、26の1つまたは複数)が停滞状態であるどうか判断し(ステップ330)、それに従って応答するように構成することができる。開示する実施形態では、制御装置58は、とりわけ、速度センサ102、103および圧力センサ105からの信号に基づいて、油圧制御システム48のアクチュエータのサブセットが停滞状態であることを判断することができる。例えば、速度センサ102、103によって決定される油圧式シリンダ20、26の1つの速度が予想されるよりも大幅に遅く(例えば、ほぼまたは完全に停止されており)、圧力センサ105によって決定されるときに油圧制御システムの圧力が高く(例えば、最大システム圧力の約90%を超え)、対応するシリンダに関する所望の流量が最小しきい値レベルよりも大きいとき、制御装置58は、シリンダが停滞しているとみなすことができる。さらに、またはあるいは、必要に応じて、停滞を検出する他の方法を利用することができることが企図される。
【0049】
制御装置58は、アクチュエータのサブセットが停滞状態であると判断したとき、アクチュエータ内への加圧流体の実際の流量がほぼまたは完全にゼロであると結論付けることができる。この状況では、アクチュエータの停滞しているサブセットに関してステップ326で前に割り振られた流体の流量を、他方の停滞していないアクチュエータによって利用することができる。したがって、制御装置58は、停滞しているアクチュエータに関して元々割り振られていた流体流量(ここでは、再加算流と呼ぶ)を足し合わせ、この和を、停滞していないアクチュエータに関して元々意図されている割り振られた流量の和と足し合わせ、その合計を、停滞していないアクチュエータのみに割り振りし直すことができる(ステップ332)。いくつかの実施形態では、新たに割り振りし直された流量は、上述したステップ302で決定された元の所望の流量に限定する必要があることがある。
【0050】
割り振りし直された流量と、アクチュエータの停滞しているサブセットの流量(すなわち、低い流量またはゼロの流量)とを制御装置58によってシステム応答モデルに通して、上述したステップ306および318で利用される補正因子を決定することができる(ステップ334)。開示した実施形態では、補正因子は、弁機構および/またはポンプに特有のものでよく、これらの補正因子を利用して、各機構に関する所望の流量および/またはポンプ52の最大流量容量を、構成(compounding)および/またはスケール調整することによって増減する。システム応答モデルを使用して、対応するシリンダ内に流体の所望の流量を計量供給するための、特定の弁機構の指令に対する油圧制御システム48の応答の仕方を推定することができる。開示する実施形態では、システム応答モデルは、ポンプ応答部分、シリンダ応答部分、および弁挙動部分を含めた3つの異なる部分からなることがある。しかしながら、システム応答モデルは、必要に応じて、追加の部分および/または異なる部分を含むことができることが企図される。システム応答モデルの各部分は、1つまたは複数の数式、アルゴリズム、マップ、および/またはサブルーチンを含むことがあり、これらは、油圧制御システム48の指定された部分の物理的応答および/または挙動を予測するように機能する。各数式、アルゴリズム、マップ、および/またはサブルーチンは、機械10の製造中に開発することができ、個々の機械10の実際の動作条件に基づいて、定期的に更新、および/または一意に調整することができる。次いで、システム応答モデルからの推定された出力を、実際の測定された状態、例えば実際の速度、圧力、流量などと比較することができ、その比較に応じて補正因子を計算することができる。
【0051】
ステップ332の完了後、制御装置58は、プライムムーバ16に関連付けられるすべての余剰トルク流れ制限量がポンプ52によって完全に消費され、油圧式シリンダ20、26を最も効率的に移動するように弁機構54、46に指令されることを保証するように構成することができる。特に、制御装置58は、ステップ318で決定された補正されたトルク流れ制限量を、ステップ332で決定された割り振りし直された流量の和(すなわち、停滞していないアクチュエータのみに対する、割り振られた流量と任意の再加算流量との和)と比較して、差が0よりも大きいかどうか判断するように構成することができる(ステップ336)。余剰トルク流れ制限量が存在しないとき(ステップ336:いいえ)、ステップ332で割り振りし直された流量を適切な弁機構54、56に指令することができる(ステップ340)。そうでない場合(ステップ336:はい)、ステップ336で求められた任意の非ゼロの差は、増加後の流量が元々望まれていた流量を超えない限り、停滞していないアクチュエータの間で制御装置58によって案分することができる(ステップ338)。差のこの再分配後、新たに増加された流量を適切な弁機構54、56に指令することができる(ステップ340)。すべてのトルク流れ制限量を完全に利用することによって、油圧制御システム48の効率を改良することができる。
【0052】
開示する油圧制御システム48は、ポンプトルク制限動作によりプライムムーバ停滞の可能性および/または影響を減少することによって、機械性能を改良する一助となることがある。具体的には、油圧制御システム48は、ポンプ52の流れ制限量およびトルク制限量を決定し、これらの制限量に基づいて、制限量を超えないことを保証する助けとなるように、操作者が要求する流量をスケール調整するように構成することができる。このようにして、プライムムーバ16の性能を、機械10の全体的な性能と共に改良することができる。
【0053】
開示した油圧制御システムに対して様々な修正および変形を施すことができることは当業者に明らかであろう。他の実施形態は、本明細書を考察することで、また開示した油圧制御システムを実施することで当業者に明らかになろう。本明細書および例は、単に例示とみなされるものと意図され、真の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示される。