(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、回路遮断器は、電気回路をハンドルにより手動で開閉したり、短絡電流などの事故電流発生時にそれを感知して自動で回路を遮断して負荷機器や回路を保護する電気機器の一種である。
【0003】
以下、
図5及び
図6を参照して、従来の回路遮断器のトリップ装置について説明する。
【0004】
従来の回路遮断器は、
図5に示すように、ケース10と、ケース10に固定配置される固定接触子20と、固定接触子20に対して接離可能に配置される可動接触子30と、可動接触子30を開閉する開閉機構40と、短絡電流などの事故電流発生時にそれを感知して自動で開閉機構40がトリップする位置に動作するようにトリガするトリップ装置60とを含み、開閉機構40は、手動で開閉できるようにするハンドル50と、後述するバイメタル66の湾曲時に開閉機構40のラッチ(図示せず)の拘束を解除するまでのいわゆるトリガ機能を有するクロスバー42とを含む。
【0005】
トリップ装置60は、
図6に示すように、電源側に接続される第1端子62と、負荷側に接続される第2端子64と、一側は第1端子62に接続され、他側は第2端子64に接続されて通電するバイメタル66とを含む。
【0006】
この場合、第1端子62とバイメタル66の一側は、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66aが面接触し、第1リベット67aが貫通して締結される。
【0007】
また、第2端子64とバイメタル66の他側は、第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66bが面接触し、第2リベット67bが貫通して締結される。
【0008】
このような構成により、事故電流が通電すると、バイメタル66は通電電流により発熱する。
【0009】
温度が上昇したバイメタル66は、
図6の右方向に湾曲し、加圧部材66cによりクロスバー42を回動させ、開閉機構40のラッチ(図示せず)の拘束を解除する。
【0010】
ラッチ(図示せず)の拘束が解除されると、開閉機構40のトリップばね(図示せず)の付勢力により、可動接触子30が固定接触子20から迅速に分離する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、前述した従来の回路遮断器用トリップ装置においては、互いに面接触する第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間及び第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間の微細空隙でアークが発生する。
【0012】
よって、融着並びにバイメタル66の抵抗値変化、発熱量変化及び湾曲量変化が生じ、結果としてトリップ遅延によりトリップ動作の信頼性が低下するという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、第1端子、バイメタル及び第2端子の接続部におけるアークの発生を抑制し、融着並びにそれによるバイメタルの抵抗値変化、発熱量変化及び湾曲量変化を抑制することにより、トリップ遅延によるトリップ動作の信頼性低下の問題を解決することのできる回路遮断器用トリップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、電源側に接続される第1端子と、負荷側に接続される第2端子と、一側は前記第1端子に接続され、他側は前記第2端子に接続されて通電するバイメタルとを含み、前記バイメタルは、前記第1端子及び前記第2端子の少なくとも一方に耐アーク膜(arc-resistivity member)を介して面接触する、回路遮断器用トリップ装置を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記耐アーク膜は、耐アーク性と導電性を有する金属で形成されてもよい。
【0016】
前記耐アーク膜は炭化銀(AgC)で形成されてもよい。
【0017】
この場合、前記耐アーク膜は、前記バイメタルの表面にめっきされて形成されてもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、前記耐アーク膜は絶縁紙で形成されてもよい。
【0019】
この場合、前記耐アーク膜を貫通する導電性リベットを通って電流が流れるように構成されてもよい。
【0020】
前記耐アーク膜はノーメックス(登録商標)で形成されてもよい。
【0021】
前記導電性リベットは銅で形成されてもよい。
【0022】
ここで、前記耐アーク膜は、前記バイメタルや前記第1端子や前記第2端子とは別途に備えられてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明による回路遮断器用トリップ装置は、電源側に接続される第1端子と、負荷側に接続される第2端子と、一側は第1端子に接続され、他側は第2端子に接続されて通電するバイメタルとを含み、バイメタルは、第1端子及び第2端子の少なくとも一方に耐アーク膜を介して面接触することにより、接触面間でアークの発生を抑制することができる。よって、融着並びにそれによるバイメタルの抵抗値変化、発熱量変化及び湾曲量変化を抑制し、結果としてトリップ遅延によるトリップ動作の信頼性低下の問題を解消することができる。
【0024】
また、本発明による回路遮断器用トリップ装置は、炭化銀(AgC)などの耐アーク性及び導電性を有する金属をバイメタル又は端子にめっきすることにより、製造容易性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明による回路遮断器用トリップ装置を、添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の第1実施形態によるトリップ装置を示す斜視図であり、
図2は
図1を反対側から見た斜視図であり、
図3は
図1の分解斜視図である。
【0028】
図1〜
図3に示すように、本発明の第1実施形態による回路遮断器用トリップ装置160は、電源側に接続される第1端子62と、負荷側に接続される第2端子64と、一側は第1端子62に接続され、他側は第2端子64に接続されて通電するバイメタル66とを含む。
【0029】
第1端子62及び第2端子64は、バイメタル66を支持するブラケットの役割を果たすと共に、電気的にバイメタル66を回路に接続する役割を果たす。
【0030】
第1端子62は、後述する第1耐アーク膜168aの一面に面接触する第1端子接触面62aを含む。
【0031】
第2端子64は、後述する第2耐アーク膜168bの一面に面接触する第2端子接触面64bを含む。
【0032】
バイメタル66は、一端に加圧部材66cを備える。
【0033】
バイメタル66は、他端一面に第1耐アーク膜168aがめっきされたバイメタル第1接触面66aを備え、他端一面の背面に第2耐アーク膜168bがめっきされたバイメタル第2接触面66bを備える。
【0034】
よって、バイメタル第1接触面66aは第1耐アーク膜168aの一面の背面に面接触し、バイメタル第2接触面66bは第2耐アーク膜168b一面の背面に面接触することになる。
【0035】
つまり、バイメタル第1接触面66aは、第1端子接触面62aに第1耐アーク膜168aを介して面接触する。
【0036】
また、バイメタル第2接触面66bは、第2端子接触面64bに第2耐アーク膜168bを介して面接触する。
【0037】
この場合、第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bは、電流が第1端子接触面62aからバイメタル第1接触面66a、バイメタル第2接触面66bを介して第2端子接触面64bに安定して流れるように、耐アーク性及び導電性を有する材質で形成される必要がある。
【0038】
すなわち、第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bは、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間でアークの発生が抑制されて通電し、第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間でアークの発生が抑制されて通電するように、耐アーク性及び導電性を有する材質で形成される必要がある。
【0039】
また、第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bは、製造容易性を考慮して、バイメタル66にめっきされるように、金属材質で形成される必要がある。
【0040】
よって、第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bは、耐アーク性及び導電性を有し、めっき可能な金属である炭化銀(AgC)をバイメタル第1接触面66a及びバイメタル第2接触面66bにめっきすることにより形成する。
【0041】
しかし、これらに限定されるものではない。
【0042】
例えば、第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bは、バイメタル第1接触面66a及びバイメタル第2接触面66bの代わりに、第1端子接触面62a及び第2端子接触面64bにめっきすることにより形成してもよい。
【0043】
他の例として、第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bは、後述するように、バイメタル66や第1端子62や第2端子64とは別個の板状部材で別途に備えられ、バイメタル第1接触面66aと第1端子接触面62a間及びバイメタル第2接触面66bと第2端子接触面64b間に設けられてもよい。
【0044】
また、第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bは、耐アーク性及び導電性を有する他の材質を用いて、前述したようにめっきすることにより形成してもよく、別途に備えてもよい。
【0045】
さらに、一面の材質と背面の材質が異なる、異種物質の接合体であるバイメタル66は、一面と背面のいずれか一方にのみ第1端子62及び第2端子64が接続されると、接続された面の物質のみ加熱されて融断や逆方向の湾曲が発生する。これを抑制するために、バイメタル66は、他端一面のバイメタル第1接触面66aが第1端子62に接続され、他端一面の背面のバイメタル第2接触面66bが第2端子64に接続される。
【0046】
次に、バイメタル66が第1端子62に固定締結されるように、第1端子接触面62a、第1耐アーク膜168a及びバイメタル第1接触面66aを第1リベット67aが貫通して締結される。
【0047】
また、バイメタル66が第2端子64に固定締結されるように、第2端子接触面64b、第2耐アーク膜168b及びバイメタル第2接触面66bを第2リベット67bが貫通して締結される。
【0048】
第1リベット67a及び第2リベット67bは、ボルトなどの他の締結部材で代替してもよい。
【0049】
同図において、従来と同じ部分には同じ符号を付した。
【0050】
以下、前述した本発明の第1実施形態による回路遮断器用トリップ装置160の作用効果について説明する。
【0051】
本発明の第1実施形態による回路遮断器用トリップ装置160において、電源側から印加された電流は、第1端子接触面62a、第1耐アーク膜168a、バイメタル第1接触面66a、バイメタル第2接触面66b、第2耐アーク膜168b及び第2端子接触面64bを介して負荷側に流れる。
【0052】
よって、バイメタル66は、バイメタル第1接触面66aからバイメタル第2接触面66bに流れる電流により発熱する。
【0053】
このように発熱して温度が上昇したバイメタル66は、
図1の右方向に湾曲する。
【0054】
ここで、バイメタル66は、正常電流では発熱量及び湾曲量が小さいので回路遮断器の開閉機構40をトリップさせない。
【0055】
しかし、バイメタル66は、回路に短絡電流などの事故電流が発生すると、発熱量及び湾曲量が増加し、加圧部材66cによりクロスバー42を加圧して回動させる。このようなクロスバー42の回動により、開閉機構40のラッチ(図示せず)の拘束が解除され、結果として可動接触子30が固定接触子20から迅速に分離する。
【0056】
この過程で、第1耐アーク膜168aは、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間でアークの発生を抑制して電流を通過させる役割を果たす。
【0057】
また、第2耐アーク膜168bは、第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間でアークの発生を抑制して電流を通過させる役割を果たす。
【0058】
ここで、本発明の第1実施形態による回路遮断器用トリップ装置160は、バイメタル第1接触面66aとバイメタル第2接触面66bに、耐アーク性と導電性を有する炭化銀(AgC)材質の第1耐アーク膜168a及び第2耐アーク膜168bがめっきされている。
【0059】
また、バイメタル第1接触面66aと第1端子接触面62aは、第1耐アーク膜168aを介して面接触する。
【0060】
さらに、バイメタル第2接触面66bと第2端子接触面64bは、第2耐アーク膜168bを介して面接触する。
【0061】
このような構成により、電流が第1端子接触面62aから第1耐アーク膜168a、バイメタル第1接触面66a、バイメタル第2接触面66b及び第2耐アーク膜168bを介して第2端子接触面64bに流れ、バイメタル66が通電電流により発熱する。
【0062】
よって、本発明の第1実施形態による回路遮断器用トリップ装置160は、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間及び第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間でアークの発生を抑制し、融着並びにそれによるバイメタル66の抵抗値変化、発熱量変化及び湾曲量変化を抑制し、結果としてトリップ遅延によるトリップ動作の信頼性低下の問題を解消することができる。
【0063】
この場合、本発明の第1実施形態による回路遮断器用トリップ装置160は、バイメタル66が第1端子62及び第2端子64の両方に面接触するので、面接触する2箇所に耐アーク膜が形成されている。しかし、もしバイメタル66が第1端子62及び第2端子64のいずれか一方にのみ面接触する場合は、すなわち他方は線で接続されて面接触しない場合は、面接触する1箇所にのみ耐アーク膜を形成してもよい。
【0064】
また、本発明の第1実施形態による回路遮断器用トリップ装置160においては、バイメタル66を通過する電流によりバイメタル66が直接発熱して湾曲するように、すなわち直接式となるように、第1端子62及び第2端子64が単に電流を通過させる役割のみ果たす。しかし、もしバイメタル66がバイメタル66を通過する電流により直接発熱すると共に、ヒータにより加熱されて湾曲するようにする場合は、すなわち直間接式とする場合は、第1端子62又は第2端子64がヒータを含み、電流を通過させると共にバイメタル66を加熱する役割を果たすようにしてもよい。ここで、ヒータの加熱方法は、ヒータが接触による伝導でバイメタル66を加熱する直熱式、ヒータがバイメタル66と所定のギャップを置いて対向して設けられ、伝導や輻射でバイメタル66を加熱する放熱式、ヒータの一部分は接触による伝導でバイメタル66を加熱し、他の部分はバイメタル66と所定のギャップを置いて対向して設けられ、伝導や輻射でバイメタル66を加熱する直放熱式のいずれかであってもよい。
【0065】
図4は本発明の第2実施形態によるトリップ装置の分解斜視図である。
【0066】
図4に示すように、本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260は、耐アーク性と導電性を有する炭化銀(AgC)をバイメタル66にめっきした耐アーク膜168a、168bの代わりに、絶縁紙が別途に備えられる耐アーク膜268a、268bを含むという点が、第1実施形態との構成上の相違点である。
【0067】
すなわち、本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260は、電源側に接続される第1端子62と、負荷側に接続される第2端子64と、一側は第1端子62に接続され、他側は第2端子64に接続されて通電するバイメタル66と、第1端子62とバイメタル66の一側間に設けられる第1耐アーク膜268aと、第2端子64とバイメタル66の他側間に設けられる第2耐アーク膜268bと、第1端子62、第1耐アーク膜268a及びバイメタル66の一側を貫通して締結する導電性第1リベット267aと、第2端子64、第2耐アーク膜268b及びバイメタル66の他側を貫通して締結する導電性第2リベット267bとを含む。
【0068】
ちなみに、
図4の構成要素を組み立てると、
図1と同じ形状となる。
【0069】
次に、第1端子62及び第2端子64は、バイメタル66を支持するブラケットの役割を果たすと共に、電気的にバイメタル66を回路に接続する役割を果たす。
【0070】
第1端子62は、後述する第1耐アーク膜268aの一面に面接触する第1端子接触面62aを含む。
【0071】
第2端子64は、後述する第2耐アーク膜268bの一面に面接触する第2端子接触面64bを含む。
【0072】
バイメタル66は、一端に加圧部材66cを備える。
【0073】
また、バイメタル66は、他端一面に第1耐アーク膜268aの一面の背面に面接触するバイメタル第1接触面66aを備え、他端一面の背面に第2耐アーク膜268bの一面の背面に面接触するバイメタル第2接触面66bを備える。
【0074】
第1耐アーク膜268aと第2耐アーク膜268bは板状部材である。
【0075】
第1耐アーク膜268aは、一面が第1端子接触面62aに面接触し、背面がバイメタル第1接触面66aに面接触する。
【0076】
第2耐アーク膜268bは、一面が第2端子接触面64bに面接触し、背面がバイメタル第2接触面66bに面接触する。
【0077】
導電性第1リベット267aと導電性第2リベット267bは棒状部材である。
【0078】
導電性第1リベット267aは、バイメタル66が第1端子62に固定締結されるように、第1端子接触面62a、第1耐アーク膜268a及びバイメタル第1接触面66aを貫通して締結する。
【0079】
導電性第2リベット267bは、バイメタル66が第2端子64に固定締結されるように、第2端子接触面64b、第2耐アーク膜268b及びバイメタル第2接触面66bを貫通して締結する。
【0080】
導電性第1リベット267a及び導電性第2リベット267bは、ボルトなどの他の導電性締結部材で代替してもよい。
【0081】
この場合、第1耐アーク膜268aは、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間を絶縁してアークの発生を抑制するように、ノーメックスなどの絶縁紙を用いてバイメタル66や第1端子62とは別個の板状部材で備えられ、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間に設けられる。
【0082】
また、第2耐アーク膜268bは、第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間を絶縁してアークの発生を抑制するように、ノーメックスなどの絶縁紙を用いてバイメタル66や第2端子64とは別個の板状部材で備えられ、第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間に設けられる。
【0083】
その代わりに、導電性第1リベット267a及び導電性第2リベット267bが銅などの導電性材質で形成されるので、電流は第1端子接触面62aから導電性第1リベット267a、バイメタル第1接触面66a、バイメタル第2接触面66b及び導電性第2リベット267bを介して第2端子接触面64bに流れる。
【0084】
しかし、第1耐アーク膜268a及び第2耐アーク膜268bは、前述したように、別途に備えられて導電性第1リベット267a及び導電性第2リベット267bにより締結されるが、その代わりにバイメタル第1接触面66a及びバイメタル第2接触面66bに接着剤などにより付着し、バイメタル66と一体に形成してもよい。
【0085】
また、第1耐アーク膜268a及び第2耐アーク膜268bは、第1端子接触面62a及び第2端子接触面64bに接着剤などにより付着し、それぞれ第1端子62及び第2端子64と一体に形成してもよい。
【0086】
さらに、第1耐アーク膜268a及び第2耐アーク膜268bは、絶縁性を有する他の材質を用いて、前述したように別途に備え、リベットして形成してもよく、バイメタル66又は端子62、64に付着して形成してもよい。
【0087】
さらに、一面の材質と背面の材質が異なる、異種物質の接合体であるバイメタル66は、一面と背面のいずれか一方にのみ第1端子62及び第2端子64が接続されると、接続された面の物質のみ加熱されて融断や逆方向の湾曲が発生する。これを抑制するために、バイメタル66は、他端一面のバイメタル第1接触面66aが第1端子62に接続され、他端一面の背面のバイメタル第2接触面66bが第2端子64に接続される。
【0088】
同図において、従来と同じ部分には同じ符号を付した。
【0089】
以下、前述した本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260の作用効果について説明する。
【0090】
本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260において、電源側から印加された電流は、第1端子接触面62a、導電性第1リベット267a、バイメタル第1接触面66a、バイメタル第2接触面66b、導電性第2リベット267b及び第2端子接触面64bを介して負荷側に流れる。
【0091】
よって、バイメタル66は、バイメタル第1接触面66aからバイメタル第2接触面66bに流れる電流により発熱する。
【0092】
このように発熱して温度が上昇したバイメタル66は、
図4の右方向に湾曲する。
【0093】
ここで、バイメタル66は、正常電流では発熱量及び湾曲量が小さいので回路遮断器の開閉機構40をトリップさせない。
【0094】
しかし、バイメタル66は、回路に短絡電流などの事故電流が発生すると、発熱量及び湾曲量が増加し、加圧部材66cによりクロスバー42を加圧して回動させる。このようなクロスバー42の回動により、開閉機構40のラッチ(図示せず)の拘束が解除され、結果として可動接触子30が固定接触子20から迅速に分離する。
【0095】
この過程で、第1耐アーク膜268aは、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間を絶縁してアークの発生を抑制する役割を果たす。
【0096】
また、第2耐アーク膜268bは、第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間を絶縁してアークの発生を抑制する役割を果たす。
【0097】
ここで、第1耐アーク膜268aと第2耐アーク膜268bは電流が流れないように絶縁するので、導電性材質で形成される導電性第1リベット267a及び導電性第2リベット267bが前述したように線路の役割を果たす。
【0098】
ここで、本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260は、ノーメックスなどの絶縁紙で形成される第1耐アーク膜268a及び第2耐アーク膜268bが別途に備えられる。
【0099】
また、バイメタル第1接触面66aと第1端子接触面62aは、第1耐アーク膜268aを介して面接触すると共に、導電性第1リベット267aが貫通して締結される。
【0100】
さらに、バイメタル第2接触面66bと第2端子接触面64bは、第2耐アーク膜268bを介して面接触すると共に、導電性第2リベット267bが貫通して締結される。
【0101】
このような構成により、電流が第1端子接触面62aから導電性第1リベット267a、バイメタル第1接触面66a、バイメタル第2接触面66b及び導電性第2リベット267bを介して第2端子接触面64bに流れ、バイメタル66が通電電流により発熱する。
【0102】
よって、本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260は、第1端子接触面62aとバイメタル第1接触面66a間及び第2端子接触面64bとバイメタル第2接触面66b間でアークの発生を抑制し、融着並びにそれによるバイメタル66の抵抗値変化、発熱量変化及び湾曲量変化を抑制し、結果としてトリップ遅延によるトリップ動作の信頼性低下の問題を解消することができる。
【0103】
この場合、本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260は、バイメタル66が第1端子62及び第2端子64の両方に面接触するので、面接触する2箇所に耐アーク膜が設けられている。しかし、もしバイメタル66が第1端子62及び第2端子64のいずれか一方にのみ面接触する場合は、すなわち他方は線で接続されて面接触しない場合は、面接触する1箇所にのみ耐アーク膜を設けてもよい。
【0104】
また、本発明の第2実施形態による回路遮断器用トリップ装置260においては、バイメタル66を通過する電流によりバイメタル66が直接発熱して湾曲するように、すなわち直接式となるように、第1端子62及び第2端子64が単に電流を通過させる役割のみ果たす。しかし、もしバイメタル66がバイメタル66を通過する電流により直接発熱すると共に、ヒータにより加熱されて湾曲するようにする場合は、すなわち直間接式とする場合は、第1端子62又は第2端子64がヒータを含み、電流を通過させると共にバイメタル66を加熱する役割を果たすようにしてもよい。ここで、ヒータの加熱方法は、ヒータが接触による伝導でバイメタル66を加熱する直熱式、ヒータがバイメタル66と所定のギャップを置いて対向して設けられ、伝導や輻射でバイメタル66を加熱する放熱式、ヒータの一部分は接触による伝導でバイメタル66を加熱し、他の部分はバイメタル66と所定のギャップを置いて対向して設けられ、伝導や輻射でバイメタル66を加熱する直放熱式のいずれかであってもよい。
【0105】
本発明による回路遮断器用トリップ装置以外の回路遮断器の他の構成要素及び作用効果は、従来と同じであるので重複を避けるために省略する。