(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動支持部(68)が、前記ロータ(22)の回転軸(44)に対して角度付き移動経路を有し、該角度付き移動経路が、約0度よりも大きく且つ約90度よりも小さい角度(146)を有する、請求項1に記載のシステム。
前記付勢要素(78)が、軸方向移動経路の後に前記角度付き移動経路に沿って移動するよう前記可動支持部(68)を付勢するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
前記付勢要素(78)が、同じ軸方向に前記可動支持部(68)を付勢して、前記ブラシ(46)を前記ロータ(22)上の溝(120)内に移動させるよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記付勢要素(78)が、前記可動支持部(68)を第1の位置から第2の位置に付勢し、前記ブラシ(46)と前記ロータ(22)との間のスペース(86)内の前記ブラシクリアランス(84)を増大させるよう構成され、前記可動支持部(68)が、流体流に応答して、前記第2の位置から前記第1の位置に移動して前記ブラシクリアランス(84)を減少させるよう構成され、前記流体流が、前記付勢要素(78)とは反対方向に前記可動支持部(68)を付勢するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記システムが、前記ロータ(22)、前記ステータ(42)及び前記ブラシシールセグメント(40)を有するターボ機械(38)を備える、請求項1に記載のシステム。
前記ロータ(22)と前記ステータ(42)との間で環状配列の複数のシールセグメント(40)を更に備え、前記複数のシールセグメント(40)の隣接するセグメントが中間付勢要素(56)を含む、請求項9に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0012】
開示される実施形態は、ターボ機械の定常状態中にはロータと共にシールを形成し、他方、ターボ機械の過渡運転又は状態(例えば、始動、シャットダウン又は他の動的状態)中にはロータとのブラシ接触を回避するよう設計された、タービン(例えば、ガス又は蒸気タービン)又は圧縮機などのターボ機械内の独立した可動(例えば、格納可能)ブラシシールセグメントに関する。以下で検討するように、付勢要素(例えば、バネ)は、軸方向、半径方向及び/又は角度付き移動経路に沿って軸方向及び/又は半径方向にブラシシールセグメントを付勢し、過渡運転中にロータとステータとの間のスペースにおけるブラシクリアランスを増大させる。定常状態中は、反対向きの力、すなわち作動機構が付勢要素に打ち勝ってブラシシールセグメントを反対の軸方向及び/又は半径方向に移動させ、これによりブラシシールクリアランスが減少し、ブラシシールセグメントのシール効果が向上する。例えば、反対向きの力は、作動流体の漏洩流とすることができる。別の実施例によれば、タービンエンジンの始動後、流体の漏洩流(例えば、蒸気又は燃焼ガス)は、付勢要素の付勢に打ち勝つ圧力差を生成することができる。結果として、ブラシシールセグメントは、軸方向、半径方向及び/又は角度付き移動経路に沿って軸方向及び/又は半径方向に移動して、ブラシシールクリアランスが減少し、ロータとのシールを向上させる。特定の実施形態では、ロータは、過渡運転中にブラシクリアランスをもたらす溝を含む。例えば、ブラシシールセグメント(又は、環状配列の複数のブラシシールセグメント)は、過渡状態の間には溝(例えば、環状溝)の上にあり、定常状態運転中は溝から離れて移動しブラシクリアランスを低減することができる。他の実施形態では、ブラシシールセグメントは、ヘッド、延長部及びシール面を有する可動支持部を含む。ヘッドは、静止部品(例えば、ステータ)のチャンバ内に取り付けられ、シール面は、他のシールなしで本質的にブラシからなる。例えば、ブラシシールセグメントは、支持リングには結合されず、チャンバ内で独立又は自立している。ブラシシールセグメントの独立構成は、ターボ機械内のブラシシールセグメント用の軸方向スペース要求を低減する。可動支持部はまた、付勢要素に結合され、ブラシとロータとの間のブラシクリアランスの量を決定する際に漏洩流に応答する。別の実施形態では、複数のブラシシールセグメントは、ロータとステータとの間に環状配列を形成してシールを形成し、ここでブラシシールセグメントは、隣接するブラシシールセグメント間の摩擦を低減するために中間付勢要素を含む。ブラシシールセグメントの設計により、過渡状態中に発生するブラシシール摩耗が低減され、ブラシシールセグメントによって占有される軸方向スペースが低減され、また、ターボ機械内でより多くのブラシシールが可能となり、効率が向上する。
【0013】
ブラシシールセグメントの開示される実施形態は、タービン(例えば、ガス又は蒸気タービン)及び圧縮機などのあらゆる好適なターボ機械で利用することができる。しかしながら、検討の目的で、
図1において開示される実施形態は、ガスタービンシステムの関連で示されている。
図1は、ブラシ摩耗を低減し且つタービン効率を向上させる特徴要素を備えたブラシシールセグメントを有するタービンシステム10の一実施形態のブロック図である。例えば、ブラシシールセグメントは、タービンシステムの過渡状態中にロータとのブラシ接触を回避(例えば、クリアランスの増大)し、タービンシステムの定常状態中にロータとのシールを形成(例えば、クリアランスの低減)するよう設計することができる。従って、ブラシシールセグメントは、移動可能、調整可能、格納可能又はタービンシステム10の作動条件に自動的に応答するものとして説明することができる。
【0014】
タービンシステム10は、該タービンシステム10を駆動するために天然ガス及び/又は水素リッチ合成ガスなどの液体又はガス燃料を用いることができる。図示のように、1以上の燃料ノズル12は、供給燃料14を吸い込み、燃料と空気を混合し、最適な燃焼、エミッション、燃料消費量及び出力空気燃料混合気を得るための好適な比率で空気燃料混合気を分配することができる。タービンシステム10は、1以上の燃焼器16内部に配置される1以上の燃料ノズル12を含むことができる。空気燃料混合気は、燃焼器16内の燃焼室にて燃焼し、これにより高温加圧排出ガスを生成する。燃焼器16は、タービン18を通って排出出口に向けて排出ガスを導く。排出ガスがタービンを通過すると、ガスにより、タービンブレードがタービンシステム10の軸線に沿ってシャフト又はロータ22を強制回転させる。以下で説明するように、ブラシシールセグメントは、ロータ22とタービン18の静止部品(例えば、ステータ)との間に環状配列で配置され、定常状態中にシールを形成し、また、過渡状態中にブラシクリアランスを提供することができる。ロータ22は、ブラシシールセグメントのブラシ用に1以上の溝を含むことができる。
【0015】
図示のように、ロータ22は、圧縮機24を含む、タービンシステム10の種々の部品に接続することができる。圧縮機24はまた、ロータ22に結合されたブレードを含む。圧縮機24はまた、ロータ22と圧縮機24の静止部品との間に環状配列でブラシシールセグメントを含むことができ、ここでブラシシールセグメントは、作動状態に応答する。ロータ22が回転すると、圧縮機24内のブレードもまた回転し、これにより吸気口26からの空気が圧縮機24を通って加圧され、燃料ノズル12及び/又は燃焼器16内に流入する。ロータ22はまた、負荷28に接続することができ、該負荷は、例えば発電プラント内の発電機又は航空機上のプロペラのような輸送手段又は定置負荷とすることができる。負荷28は、タービンシステム10の回転出力によって動力を供給することができるあらゆる好適な装置を含むことができる。
【0016】
図2は、複数のブラシシールセグメント40を有するターボ機械38(例えば、
図1のタービン18又は圧縮機24)の一部の実施形態の断面図である。ターボ機械38は、静止ステータ42内に配置されたロータ22を含む。ターボ機械38はまた、複数のブラシシールセグメント40を含む。図示のように、ブラシシールセグメント40は、ロータ22の回転軸44の周りにロータ22とステータ42間で環状配列を形成する。ブラシシールセグメント40の数は、ロータ22の直径又は他の設計考慮事項によって決まる。特定の実施形態では、ブラシシールセグメント40の数は、2〜12又はそれ以上の範囲にわたることができる。ブラシシールセグメント40から延びるブラシ46は、ロータ22が円周方向45に回転するときに定常状態下でロータ22とシールを形成する。過渡状態中(例えば、始動、シャットダウン又は他の動的条件)、ブラシクリアランスは、ブラシシールセグメント40上での摩耗を低減するため及びロータ22への損傷を低減するため、更に発熱を低減するためにブラシ46とロータ22との間でより大きくなっている。図示のように、各ブラシシールセグメント40は弓形形状を含む。
図3に示すように、中間付勢要素56(例えば、バネ)は、隣接するブラシシール40間に配置され、セグメントをロータから離れて移動させ及びあるクリアランスを維持し、更に隣接するセグメント40間の摩擦を低減するための力を提供する。中間付勢要素56はまた、隣接ブラシシールセグメント40間の適正な整列を可能にすることができる。例えば、中間付勢要素56は、1つのブラシシールセグメント40が隣接するブラシシールセグメント40と逆の方向に移動して、セグメント40を妨害する可能性を低減することができる。従って、中間付勢要素56が、過渡状態及び定常状態に相当する異なる位置間でブラシシールセグメント40の移動の自由度を確保することができる。
【0017】
図4は、ブラシシールセグメント40に関して更に詳細に示す。
図4は、
図2の線4−4で囲まれた
図2のターボ機械38のステータ42、ブラシシールセグメント40及びロータ22の実施形態の部分図である。ステータ42は、溝又はチャンバ66(例えば、環状チャンバ)を含む。各ブラシシールセグメント40は、以下でより詳細に示すようにチャンバ66に結合される。ブラシシールセグメント40は、可動(例えば、格納可能)支持部68を含む。可動支持部68はシール面69を含む。ブラシ46は、シール面69に沿って可動支持部68に結合される。特定の実施形態では、シール面69は、他のあらゆるシールなしで本質的にブラシからなる。ブラシ46は、多数のブリストル70(例えば、金属ブリストル)を含み、ロータ22の外面72とシールを形成する。特定の実施形態では、ブラシ46のブリストル70は、可動支持部68の長さ74に沿って複数の列(
図5〜
図10を参照)で整列することができる。幾つかの実施形態では、個々のブリストル70は、約0.1〜20ミルの直径を含むことができる。特定の実施形態では、個々のブリストル70は、約20〜200ミルの長さを含むことができる。ブリストル70の材料は、金属、プラスチック、木材、セラミック又は他の材料を含むことができる。材料の実施例は、Haynes25合金、Hastelloy(登録商標)又は他のタイプの合金を含む。可動支持部68は、ロータ22の回転軸44に沿った軸方向及び/又は半径方向の移動経路に対して軸方向及び/又は半径方向に可動支持部68を付勢する1以上の付勢要素78(例えば、バネ)のための1以上のポケット76を含む。一実施形態では、可動支持部68は、ロータ22の回転軸44に対して角度付き移動経路を含む。付勢要素78は、可動支持部68に結合され、板バネのようなバネを含むことができる。図示のように、付勢要素78は、ポケット76の長さにわたって延びる細長い弓形のバネ要素である。特定の実施形態では、付勢要素78は、バネ荷重バー、カム、液圧シリンダ、空気圧装置又は他の何れかの付勢要素を含むことができる。
【0018】
図5〜
図12に示すように、付勢要素78は、過渡状態中に可動支持部68を第1の位置から第2の位置まで付勢し、ロータ22とステータ42(例えば、ブラシ46)との間のスペース86内のブラシクリアランス84を増大させるよう構成される。過渡状態中の増大したブラシクリアランスにより、ブラシシールセグメント40に対する摩耗が低減され、ロータ22への損傷が低減され、更に発熱が低減される。以下でより詳細に説明するように、流体流れ又は漏洩流れ(例えば、蒸気、燃焼ガス、その他)は、可動支持部68を付勢要素78とは反対方向に付勢するよう構成される。定常状態中、スペース86からチャンバ66への漏洩流れに応答して、可動支持部68は、第2の位置から第1の位置に移動し、ロータ22とステータ42(すなわちブラシ46)との間のスペース86内のブラシクリアランス84を低減しシールを形成するよう構成される。
【0019】
図5及び
図6は、
図2及び
図4の線5−5に沿った、ステータ42、ブラシシールセグメント40及びロータ22の実施形態の部分側断面図である。ステータ42は、溝又はチャンバ66(例えば、環状チャンバ)を含む。独立又は自立式ブラシシールセグメント40は、支持リングなしでチャンバ66内に配置される。ブラシシールセグメント40は、可動支持部68、ブラシ46及び可動支持部68のポケット76内に配置される付勢要素78のペアを含む。可動支持部68は、ヘッド96、延長部98及びシール面69を含む。図示のように、可動支持部68は、チャンバ66に結合される。詳細には、可動支持部68のヘッド96は、チャンバ66内に取り付けられるよう構成され、その結果、ヘッド96は、チャンバ66内での限定された移動範囲を有する。ヘッド96は、ステータ42の開口100よりも幅広であり、チャンバ66内へのヘッド96の取り付けを可能にする。可動支持部68の延長部98は、半径方向102で開口100を通ってヘッド96から延びる。ブラシ46は、ヘッド96から延長部98を通り、更にシール面69を通って延びる。シール面69は、他のシールなしに本質的にブラシ46からなる。
【0020】
図示のように、可動支持部68は、ポケット76内の支持部の前部104(例えば、上流側)と後部106(例えば、下流側)に付勢要素78を含む。各付勢要素78は、バネ(例えば、板バネ)を含むことができる。付勢要素78に起因して、可動支持部68は、
図5及び
図6それぞれに示される第1の位置と第2の位置との間のロータ22の回転軸44に対して半径方向102及び108で半径方向の移動経路を有する。
図6に示すように、過渡状態中(例えば、始動、シャットダウン又は他の動的状態)、付勢要素78は、可動支持部68をチャンバ66内で第1の位置(
図5)から第2の位置まで半径方向108で付勢し、これによりブラシ46とロータ22との間のスペース86内のブラシクリアランス84を増大させるよう構成される。可動支持部68はまた、スペース86からチャンバ66への漏洩流110に応答して、第2の位置(
図6)から第1の位置(
図5)に移動して、ブラシクリアランス84を低減するよう構成される。例えば、運転中(例えば、始動後)、作動流体109(例えば、蒸気又は燃焼ガス)が前部104でブラシシールセグメント40に接近し、作動流体109の少なくとも一部がステータ42のチャンバ66内への流れ110として分流される。特定の実施形態では、作動流体109は、タービンシステム10における漏洩流であり、流れ110は、単に作動流体109の分流部分に過ぎない。特定の実施形態では、作動流体109は、漏洩流として説明されない場合もあるが、流れ110は、チャンバ566への分流に起因して依然として漏洩流として説明することができる。
図5に示すように、漏洩流110は、定常状態中に付勢要素78とは反対方向(すなわち、半径方向102)で可動支持部68を付勢するよう構成される。結果として、ブラシシールセグメント40のブラシ46は、ロータ22の外面と界接し、シールを形成する。従って、ブラシシールセグメント40の構成により、過渡状態中に生じるブラシシール摩耗が減少し、ブラシシールセグメントにより占有される軸方向スペースが低減され、更にターボ機械38内でより多くのブラシシールが可能となり、効率が向上する。
【0021】
図7及び
図8は、
図2及び
図4の線5−5に沿った、ステータ42、ブラシシールセグメント40及びロータ22の実施形態の部分側断面図である。一般に、ステータ42、独立式ブラシシールセグメント40及びロータ22は、構造的に、以下で説明するように可動性の点である程度の変動を伴って
図5及び
図6で説明した通りである。ロータ22は、外面72の周りに配置された溝120(例えば、環状溝)を含む。ブラシシールセグメント40は、可動支持部68のヘッド96の後部106に結合される付勢要素78(例えば、バネ)を含む。付勢要素78に起因して、可動支持部68は、
図8及び
図7それぞれに示される第1の位置と第2の位置との間のロータ22の回転軸44に沿って軸方向122及び124で軸方向の移動経路を有する。
【0022】
図7に示すように、付勢要素78は、可動支持部68軸方向124に付勢し、ロータ22とステータ42(すなわち、ブラシ46)との間のスペース86内のブラシクリアランス84を変更するよう構成される。換言すると、付勢要素78は、可動支持部68を軸方向124に付勢して、ブラシ46をロータ22上の溝120内に移動させるよう構成される。詳細には、過渡状態中、付勢要素78は、可動支持部68をチャンバ66内で第1の位置(
図8)から第2の位置(
図7)まで軸方向124で付勢してブラシ46を溝120内に移動させ、これによりブラシ46とロータ22との間のスペース86内のブラシクリアランス84を増大させるよう構成される。
図8に示すように、可動支持部68はまた、第2の位置(
図7)から第1の位置(
図8)に移動して、例えば、ブラシ46を溝120から外に移動させてロータ22の外面72とシールを形成することによって、漏洩流110に応答してブラシクリアランス84を低減するよう構成される。例えば、運転中(例えば、始動後)、作動流体109又は漏洩流110(例えば、蒸気又は燃焼ガス)が、前部104においてブラシシールセグメント40に軸方向122に接近する。結果として、漏洩流110は、前部104上の高圧126と後部106上の低圧128による圧力差を生成する。実際には、定常状態中、圧力126が、付勢要素78及び圧力128により加わる力よりも大きくなると、漏洩流110は、付勢要素78とは反対方向(例えば、軸方向122)に可動支持部68を付勢するよう構成される。ブラシシールセグメント40のこの軸方向移動122は、セグメント40をロータ22と近接した(例えば、小さなクリアランス84で)状態で溝120から外に移動させる。ブラシシールセグメント40の可変クリアランス84に起因して、図示の実施形態はブラシシール摩耗を低減し、ブラシシールセグメントにより占有される軸方向スペースを低減する。加えて、図示の実施形態は、効率を向上させるためにターボ機械38内でより多くのブラシシールの使用を可能にする。
【0023】
図9及び
図10は、
図2及び
図4の線5−5に沿った、ステータ42、ブラシシールセグメント40及びロータ22の実施形態の部分側断面図である。一般に、ステータ42、独立式ブラシシールセグメント40及びロータ22は、構造的に、以下で説明するように可動性の点である程度の変動を伴って
図5及び
図6で説明した通りである。ブラシシールセグメント40は、可動支持部68のヘッド96の後部106に結合される付勢要素78(例えば、バネ)を含む。付勢要素78の数は、1〜10又はそれ以上の範囲に及ぶことができる。図示のように、ステータ42は、チャンバ6内への開口100に隣接する角度付き底部138及び140を含み、これによりチャンバ66内でヘッド96の角度付き移動経路を定める。底部138及び140は、約0〜90度、1〜89度、5〜60度、5〜45度、5〜30度又は10〜20度の範囲にわたる、ロータ2の回転軸44に対する角度142を含む。可動支持部68のヘッド96はまた、ステータ42の底部138及び140と合致するような角度144が付けられる。例えば、ロータ22の回転軸44に対するヘッド96の角度144は、約0〜90度、1〜89度、5〜60度、5〜45度、5〜30度又は10〜20度の範囲に及ぶ。付勢要素78並びにステータ42の底部138及び140の角度付き構成に起因して、可動支持部68は、
図10及び9それぞれに示される第1及び第2の位置間でほぼ軸方向122、124及び半径方向102、106で回転軸44に対して角度付き移動経路を有する。角度付き移動経路は、約0〜90度、1〜89度、5〜60度、5〜45度、5〜30度又は10〜20度の範囲に及ぶ角度146を有する。図示のように、付勢要素78は、可動支持部68を付勢し角度付き移動経路に沿ってのみ移動するよう構成される。他の実施形態(例えば、
図11及び12)では、1以上の付勢要素78は、角度付き移動経路に加えて、他の移動経路(例えば、軸方向)に沿って可動支持部を付勢するよう構成される。
【0024】
図9に示すように、付勢要素78は、軸方向124及び半径方向108で角度付き移動経路145に沿って可動支持部68を付勢し、ロータ22とステータ42(例えば、ブラシ46)との間のスペース86内のブラシクリアランス84を変更するよう構成される。詳細には、過渡状態中、付勢要素78は、軸方向124及び半径方向108でチャンバ66内において可動支持部68を第1の位置(
図10)から第2の位置(
図9)まで付勢し、ブラシ46とロータ22との間のスペース86内のブラシクリアランス84を増大させるよう構成される。
図10に示すように、可動指示部68はまた、漏洩流110に応答して、第2の位置(
図9)から第1の位置(
図10)まで移動してブラシクリアランス84を減少させ、ロータ22の外面72とシールを形成するよう構成される。例えば、運転中(例えば、始動後)、漏洩流110の一部としての流体(例えば、蒸気又は燃焼ガス)が軸方向122に流れ、可動支持部68の後部106にかかる圧力よりも支持部68の前部104により大きな圧力が加わる。実際には、定常状態中、圧力126が要素78及び圧力128によって作用される力よりも大きい場合、漏洩流110は、付勢要素78とは反対方向(例えば、軸方向122及び半径方向102)に可動支持部68を付勢するよう構成される。ブラシシールセグメント40の可変のクリアランス84に起因して、図示の実施形態は、ブラシシール摩耗を低減し、ブラシシールセグメントにより占有される軸方向スペースを低減する。加えて、図示の実施形態により、効率を高めるためにターボ機械38内でより多くのブラシシールの使用を可能にする。
【0025】
図11及び12は、
図2及び
図4の線5−5に沿った、ステータ42、独立式ブラシシールセグメント40及びロータ22の実施形態の部分側断面図である。一般に、ステータ42、独立式ブラシシールセグメント40及びロータ22は、構造的に、以下で説明するように可動性の点である程度の変動を伴って
図5及び
図6で説明した通りである。ブラシシールセグメント40は、可動支持部68のヘッド96の後部106に結合される付勢要素78(例えば、バネ)を含む。特定の実施形態では、付勢要素78は、波形バネ(すなわち、バネ作用を与えるためにワイヤーに付加された波状部を有するコイル状平ワイヤー)を含むことができる。図示のように、ステータ42の底部138及び140は、チャンバ66に面する上面156、158を含み、上面156、158は、溝又は凹部を含む。可動支持部68のヘッド96は、可動支持部68のヘッド96は、
図13に関して以下で説明するように、漏洩流110に応答して溝付き上面156、158と相互作用するよう構成された突出部を含む。付勢要素78及びステータ42の底部138、140の溝付き上面156、158の構成に起因して、可動支持部68は、ロータ22の回転軸44に沿って軸方向の移動経路を有する。加えて、可動支持部68は、
図12及び11それぞれにおいて図示される第1及び第2の位置間でほぼ軸方向122、124及び半径方向102、108でロータ22の回転軸44に対して角度が付けられた移動経路を有する。角度付き移動経路は、約0〜90度、1〜89度、5〜60度、5〜45度、5〜30度又は10〜20度の範囲の角度を有する。図示のように、付勢要素78は、可動支持部68を付勢して、軸方向の移動経路の後に第1の位置(
図12)から第2の位置(
図11)への角度付き移動経路に沿って移動するよう構成される。
【0026】
図11に示すように、付勢要素78は、可動支持部68を軸方向124及び半径方向108に付勢して、ロータ22とステータ42(例えば、ハブ46)との間のスペース86内内のブラシクリアランス84を変化させるよう構成される。詳細には、過渡状態中、付勢要素78は、軸方向124及び半径方向108でチャンバ66内において可動支持部68を第1の位置(
図12)から第2の位置(
図11)まで付勢し、ブラシ46とロータ22との間のスペース86内のブラシクリアランス84を増大させるよう構成される。
図12に示すように、可動指示部68はまた、漏洩流110に応答して、第2の位置(
図11)から第1の位置(
図12)まで移動してブラシクリアランス84を減少させ、ロータ22の外面72とシールを形成するよう構成される。例えば、運転中(例えば、始動後)、漏洩流110の一部としての流体(例えば、蒸気又は燃焼ガス)が軸方向122に流れ、可動支持部68の後部106にかかる圧力よりも支持部68の前部104により大きな圧力が加わる。実際には、定常状態中、圧力126が要素78及び圧力128によって作用される力よりも大きい場合、漏洩流110は、付勢要素78とは反対方向(例えば、軸方向122及び半径方向102)に可動支持部68を付勢するよう構成される。
【0027】
図13は、可動支持部68のヘッド96とステータ42との間の相互作用を示している。
図13は、
図11及び12の線13−13で囲まれた、
図11及び12のブラシシールセグメント40の可動支持部68のヘッド96とステータ42との間の界接部の一実施形態の部分側断面図である。
図13の詳細事項は、ステータ42の底部138、140と、可動支持部68のヘッド96の対応する端部168、170の両方に当てはまる。ステータ42の底部138、140は、上面156、158を含み、その各々が、端部168、170の突出部174と相互作用するよう構成された溝172を含む。或いは、特定の実施形態では、端部168、170は溝172を含み、底部138及び140は突出部140を含む。加えて、他の実施形態では、端部168、170及び底部138、140の構成は、角度付き移動範囲を可能にする種々の湾曲及び/又は角度付き形状を含めるように変えることができる。
【0028】
図11及び12において上述したような漏洩流110(例えば、始動後)に応答して、ヘッド96の端部168、170は、最初に、軸方向122で軸方向の移動経路176に沿って移動し、次いで、突出部170が溝172内に配置されるまでほぼ軸方向122及び半径方向102で角度付き移動経路に沿って移動する。過渡状態に応答して、ヘッド96は、反対方向に移動する。換言すると、ヘッド96の端部168、170は、最初に、ほぼ軸方向124及び半径方向108で角度付き移動経路180に沿って移動し、次いで、軸方向124で軸方向移動経路182に沿って移動する。ブラシシールセグメント40の可変クリアランス84に起因して、図示の実施形態は、ブラシシール摩耗を低減し、ブラシシールセグメントにより占有される軸方向スペースを低減する。加えて、図示の実施形態は、効率を向上させるためにターボ機械38内でより多くのブラシシールの使用を可能にする。
【0029】
記載された実施形態の技術的作用は、ターボ機械38の過渡運転又は状態(すなわち、始動、シャットダウン又は他の動的状態)中にロータ22とのブラシ接触を回避すると共に、ターボ機械38の定常状態中にはロータ22とのシールを形成する、ターボ機械38における可動(例えば、格納可能)ブラシシールセグメント40(タービン18(例えば、ガス又は蒸気タービン)又は圧縮機24など)をシステムに提供することを含む。ブラシシールセグメント40の可動性又は格納性(例えば、軸方向及び/又は半径方向での)は、過渡状態中に生じるブラシシール摩耗を低減することができる。加えて、ブラシシールセグメント40は、独立又は自立式(例えば、支持リングがない)のものであり、従って、ブラシシールセグメント40により占有される軸方向スペースを低減することができる。全体として、ブラシシールセグメント40の設計は、効率を高めるためにターボ機械38内でより多くのブラシシールを使用できるようにする。
【0030】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。